以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るシート処理装置を含んで構成される画像形成システムの概略構造を示す縦断面図である。
この画像形成システムは、画像形成を行う画像形成装置300と、自動原稿給紙装置400と、Z折り機590と、シート処理装置500とから構成される。
シート処理装置500は、Z折り機590を介して画像形成装置300に接続されている。シート処理装置500とZ折り機590と画像形成装置300とは、互いに通信可能に接続される。シート処理装置500は、いずれも不図示の中綴じ処理装置及び平綴じ処理装置を備えている。画像形成装置300は単独でも使用できるようになっている。シート処理装置500は、Z折り機590と一体であってもよく、Z折り機590及び画像形成装置300と一体であってもよい。
画像形成装置300は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの感光ドラム914a〜914dと、定着器904と、シートを収納するカセット909a〜909dとを備える。カセット909a〜909dから給紙されるシートは、感光ドラム914a〜914d等によって4色のトナー像が転写され、定着器904に搬送されてトナー画像を定着され、機外に排出される。画像形成装置300から排出されたシートはZ折り機590に導入され、Z折り機590では、画像形成装置300から受け取ったシートをZ型に折って(Z折り処理)、それをシート処理装置500へ供給する。
画像形成装置300は、操作部308を有している。ここで、画像形成装置300の背面側(図1の紙面の奥側)を「奥側」と称する。一方、ユーザが操作部308に対して各種入力/設定を行うために位置する側が、画像形成装置300の正面側(図1の紙面の手前側)であり、これを「手前側」と称する。従って、図1は、画像形成装置300を手前側から見ている。手前(正面)側、奥(背面)側の呼称は、シート処理装置500においても共通に用いる。
図2は、シート処理装置500の縦断面図である。
シート処理装置500は、画像形成装置300で画像形成されたシートを、Z折り機590を介して取り込む。シート処理装置500は、取り込んだ複数のシートを整合して束ねる処理、ソート処理、ノンソート処理のほか、シート束の後端側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、シート束の後端側にパンチ穴をあけるパンチ処理、製本処理等の処理を行う。
シート処理装置500は、シートにステイプル等の後処理を行うステイプル600、シート整合等を行う整合部(不図示)を有する処理トレイ680、シート束を二つ折りにして製本する製本処理部(不図示)も備えている。シート処理装置500の左側部には支柱903が設けられる。
シート処理装置500は、後処理等が施されたシート束を積載するための積載トレイとして、上側のトレイ701と下側のトレイ700とを備える。また、シート処理装置500は、いずれも図3で後述する、排紙モータM1107、束排紙モータM1108、上トレイ駆動モータM1109、下トレイ駆動モータM1110、揺動モータM1111を備える。
ところで、ジョブに従ってシート処理装置500から機外に排出される成果物は、束となったシート群に限られず、1枚のシートである場合もある。そこで、以降、1枚のシートや複数のシートでなるシート束を総称して「成果物Pt」と呼称し、シート処理装置500からトレイ700またはトレイ701には成果物Ptを単位として排出がなされるものとする。成果物Ptには、シート処理装置500でスイテイプル処理されたシート束、Z折り機590でZ折り処理されたシートが含まれる。
排紙モータM1107は、排出手段であるローラ対902を動作させてトレイ701へ成果物Ptを排出する。トレイ701への成果物Ptの排出を上トレイ排紙センサ1118が検知する。束排紙モータM1108は、排出手段であるローラ対901を動作させてトレイ700へ成果物Ptを排出する。トレイ700への成果物Ptの排出を下トレイ排紙センサ1119が検知する。シート処理装置500は、トレイ700に成果物Ptを排出する時は、揺動ガイドモータM1111を駆動させて揺動ガイド650を閉じてローラ対901で成果物Ptをニップさせることで排紙動作を行う。
トレイ700、701は各々、鉛直方向(上下方向)に移動自在になっている。上トレイ駆動モータM1109は、上側のトレイ701を上下方向に移動させる。トレイ701の移動可能な下限位置は、上トレイ下限センサ1116によって検知される。下トレイ駆動モータM1110(以下、「モータM1110」と略称することもある)は、下側のトレイ700を上下方向に移動させる。トレイ700の移動可能な下限位置は、下トレイ下限センサ1117によって検知される。
トレイ701、700のそれぞれの移動量は、上トレイエンコーダセンサ1114、下トレイエンコーダセンサ1115によって検出される。トレイ701、700のそれぞれの積載面上における成果物Ptの有無(存在するか否か)は、上トレイ紙有無検知センサ1121、下トレイ紙有無検知センサ1122によってそれぞれ検知される。さらに、トレイ701、700に積載された最上位の成果物Ptの上面位置が、上トレイ紙面検知センサ1112、下トレイ紙面検知センサ1113によって検知される。検知された成果物Ptの上面位置に基づく制御の詳細については後述する。
図3は、画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
図3には、画像形成装置300とシート処理装置500の制御系について示してある。図3ではZ折り機590は省略してあるが、Z折り機590は通信を介して画像形成装置300によって制御される。
画像形成装置300は、CPU回路部150を備えている。CPU回路部150は、CPU153、ROM151、RAM152を内蔵し、ROM151に格納されている制御プログラムにより、画像形成装置300の各ブロック101,201,202,301,401を総括的に制御する。RAM152は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
CPU回路部150に接続されるブロックについて、まず、原稿給送装置制御部101は、自動原稿給紙装置400(図1)をCPU回路部150からの指示に基づき駆動制御する。イメージリーダ制御部201は、スキャナのスキャナユニット、イメージセンサなどに対する駆動制御を行い、イメージセンサから出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部202に転送する。画像信号制御部202は、イメージセンサからのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、このデジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部301に出力する。
プリンタ制御部301は、画像信号制御部202から入力されたビデオ信号に基づき不図示の露光制御部を駆動する。操作部制御部401は、操作部308(図1)とCPU回路部150との間で情報のやり取りを行う。操作部制御部401は、操作部308からの各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部150に出力すると共に、CPU回路部150からの信号に基づき対応する情報を操作部308の表示部に表示させる。
シート処理装置500はフィニッシャ制御部501を備える。フィニッシャ制御部501は、CPU回路部150と情報のやり取りを行うことによってシート処理装置500全体の駆動制御を行うものである。なお、このフィニッシャ制御部501は、Z折り機590または画像形成装置300の側に設けてもよい。
フィニッシャ制御部501は、CPU550、ROM551、RAM552等を備え、不図示の通信ICを介して画像形成装置300のCPU回路部150と通信してデータ交換を行う。そして、フィニッシャ制御部501は、CPU回路部150からの指示に基づき、ROM551に格納された各種プログラムを実行してシート処理装置500を制御する。
また、フィニッシャ制御部501のCPU550は、センサ1112、1114、1116、1118、1121の検知結果に基づき、モータM1107、M1109を制御する。また、CPU550は、センサ1113、1115、1117、1119、1122の検知結果に基づき、モータM1108、M1110、M1111を制御する。
次に、図4〜図6で、トレイ700、701の移動量の検出について説明する。なお、トレイ700とトレイ701とは、移動量の検出態様が同様であるので、代表してトレイ700について説明する。
図4は、背面側から見たトレイ700及び支柱903の断面図である。
図4においてトレイ700内にモータM1110が配置される。モータM1110の回転力が、モータプーリ905及びベルト906を介してギアユニット911の第1ギア907に伝わるようになっている。そして第1ギア907に歯合している第2ギア908がシート処理装置500の支柱903内の支柱ギア912に歯合している。第2ギア908は、シャフト913を中心に回転する。この構成により、モータM1110がCW(図4の時計回り)またはCCW方向(図4の反時計回り)に回転することにより、支柱ギア912を介してトレイ700が上下に移動する。
図5は、正面側から見た下トレイエンコーダを示す図である。この下トレイエンコーダ920は、第2ギア908の手前側に配置され、シャフト913で第2ギア908と連結されている。下トレイエンコーダ920には、放射状の空洞921が均一間隔に形成されている。モータM1110によって駆動されて下トレイエンコーダ920が回転すると、空洞921との位置の一致に応じて下トレイエンコーダセンサ1115(以下、「エンコーダセンサ1115」と略記することもある)が信号を出力する。
図6は、モータM1110の動作とエンコーダセンサ1115の信号出力との関係を示すタイミングチャートである。ここで、エンコーダセンサ1115の出力信号の1CLKあたりの進み量は既知であるので、クロック数と進み量とに基づいてトレイ700の移動量を算出することができる。
次に、図7〜図12で、紙面高さ制御について説明する。紙面高さ制御は、トレイ700、701上における最上位の成果物Ptの上面位置を検知し、上面位置を目標位置に一致させる制御である。この制御の態様は両トレイについて同様であるので、代表してトレイ700の紙面高さ制御について説明する。
図7は、トレイ700の斜視図である。図8は、トレイ700の模式的な正面図である。
下トレイ紙面検知センサ1113(以下、「検知センサ1113」と略記することもある)は、機内からトレイ700に向かう排出口付近に配設される。図7に示すように、検知センサ1113は、1つの発光部1113aと2つの受光部1113b、1113cとで構成される。トレイ700の奥側に発光部1113aが配置され、手前側に受光部1113b、1113cが配置される。受光部1113bが下側、受光部1113cが上側に配置される。従って検知センサ1113は、上下の異なる2つの位置における成果物Ptの有無をそれぞれ検出する機能を有する。
発光部1113aは受光部1113b、1113cに向けて光を発する。奥行き方向における発光部1113aと受光部1113b、1113cとの間に成果物Ptが無い場合は、遮光されずに受光される。しかし、光路上に成果物Ptがあると遮光されて受光されない。
例えば、図8に示すように、トレイ700上における最上位の成果物Ptの上面位置が、ちょうど受光部1113bと受光部1113cとの間の位置にある場合を考える。この場合、発光部1113aからの発光信号が受光部1113bに対しては遮断され、受光部1113cへは伝わる状態となる。このような上面位置を、トレイ700が正常に紙面を受け取りする位置として、「目標位置」と規定している。上トレイ紙面検知センサ1112の構成は下トレイ紙面検知センサ1113と同様である。
なお、最上位の成果物Ptの上面位置は、トレイ700の載置面に対してではなく、上下方向における検知センサ1113の位置を基準としたものである。上面位置の検知を行う検出手段としては、検知センサ1113のような光学的なセンサに限定されるわけではないが、シート処理装置500の設置面や、シート処理装置500の本体に対して固定的な部位を基準に検知できる構成であればよい。
図9(a)〜(c)は、成果物Ptの排出動作とそれに応じた紙面高さ制御の遷移図である。図9(a)、(b)、(c)はそれぞれ、ローラ対901による成果物Ptの排出時、排出直後で紙面高さ制御の前、紙面高さ制御の後の状態を示している。
上面位置が目標位置となっている状態(図9(a))で、成果物Ptが排出されると、上面位置が上がる。すると、新たに排出された成果物Ptにより、発光部1113aからの発光信号が、受光部1113bだけでなく受光部1113cに対しても遮断されてしまう(図9(b))。
そこで、CPU550は、モータM1110を動作させてトレイ700を下降させ、発光部1113aからの発光信号が受光部1113bに対しては遮断されるが受光部1113cには届くように制御する(図9(c))。すなわち、上面位置を目標位置に再び一致させる。このときにトレイ700が下方に移動した移動量ΔL1は、今回排出された成果物Ptの厚みであるとCPU550は判断できる。
図10は、成果物Ptの排出動作とそれに応じた紙面高さ制御のタイミングチャートである。
束排紙モータM1108の動作により成果物Ptがトレイ700に排出されたことにより、上側の受光部1113cの信号状態が光遮断状態(High)になると、CPU550は、モータM1110を動作させてトレイ700を下降させる。そして受光部1113cの信号状態が光透過状態(Low)になると、CPU550は、モータM1110の動作を停止させてトレイ700の下降動作を停止させる。
ここでトレイ700の移動時に発生する1CLK(クロック)当たりのトレイ700の進み量をLとする。トレイ700の移動時に発生したCLK数がN1であるとすると、トレイ700の下降方向への移動量ΔL1は、ΔL1=L×N1により算出される。よって、前回トレイ700を下降した後に排出された成果物Ptの厚みは、L×N1であったことになる。
次にトレイ700からユーザによって一部の成果物Ptが取り除かれた場合の動作を説明する。
図11(a)〜(c)は、積載された複数の成果物Ptのうち一部が取り去られた場合の紙面高さ制御の遷移図である。図11(a)、(b)、(c)はそれぞれ、成果物Ptの取り去り前、取り去り直後で紙面高さ制御の前、紙面高さ制御の後の状態を示している。
上面位置が目標位置となっている状態(図11(a))で、トレイ700上から一部(1部数以上)の成果物Ptが取り去られると、上面位置が下がる。すると、発光部1113aからの発光信号が、受光部1113cだけでなく受光部1113bに対しても受光される(図11(b))。
そこで、CPU550は、モータM1110を動作させてトレイ700を上昇させ、発光部1113aからの発光信号が受光部1113bに対しては遮断されるが受光部1113cには届くように制御する。すなわち、上面位置を目標位置に再び一致させる(図11(c))。このときにトレイ700が上方に移動した移動量ΔL2は、今回取り去られた成果物群の総厚みに相当する。
図12は、積載された複数の成果物Ptのうち一部が取り去られた場合の紙面高さ制御のタイミングチャートである。
成果物Ptがトレイ700から取り去られたことにより、下側の受光部1113bの信号状態が光透過状態(Low)になると、CPU550は、モータM1110を動作させてトレイ700を上昇させる。そして受光部1113bの信号状態が光遮断状態(High)になると、CPU550は、モータM1110の動作を停止させてトレイ700の上昇動作を停止させる。
トレイ700の上方への移動時に発生したCLK数がN2であるとすると、移動量ΔL2は、ΔL2=L×N2により算出される。あるジョブにおいて複数の成果物Ptが出力される場合、各成果物Ptの厚みは同じであると考えられるので、移動量ΔL2から、取り去られた成果物Ptの部数である取去部数K2を導き出せる。ジョブにおける1回目の排出により、排出された成果物Ptの厚みΔL1はL×N1であると判明している。積載されていた成果物Ptが全て同じ厚みであると考えて、取去部数K2は、K2=ΔL2/ΔL1=(L×N2)/(L×N1)から求められる。
CPU550が、下トレイエンコーダセンサ1115の検出結果から算出されるトレイ700の移動量ΔL1、ΔL2とトレイ700の移動方向とに基づき、現在のトレイ700における成果物Ptの積載量KSを決定する。本実施の形態では、一例として、積載量KSを成果物Ptの部数(排出単位の数)として把握するとする。
次に、図13で、ジョブ実行時における成果物Ptの排出・排出停止の制御を説明する。代表してトレイ700に関する排出の制御を説明するが、トレイ701についても同様に制御される。
図13は、ジョブ処理における成果物排出制御のフローチャートである。この処理は、ジョブが投入されると開始される。ジョブ投入当初においては、トレイ700上の積載量KSは初期値(0)となっている。
まず、CPU550は、トレイ700上の成果物Ptの上面位置が適正かどうか判別する(ステップS101)。すなわち、CPU550は、トレイ700に積載された最上位の成果物Ptの上面位置が、目標位置と一致しているか否かを検知センサ1113の出力から判別する。具体的には、下側の受光部1113bの信号がLowで且つ上側の受光部1113cがHighである場合に、上面位置が、目標位置と一致していると判別される。
その判別の結果、上面位置が適正でない場合は、CPU550は、ステップS102で、上面位置が目標位置と一致するよう、モータM1110を動作させてトレイ700を上下移動させる。即ち、CPU550とモータM1110は本発明の移動手段に相当する。その後、CPU550は、処理をステップS103に進める。一方、上面位置が適正である場合は、CPU550は、そのまま処理をステップS103に進める。
ステップS103では、CPU550は、新たに成果物Ptの排出がなされたか否かを、下トレイ排紙センサ1119の検知結果から判別する。そして、CPU550は、成果物Ptの排出がなされない場合は処理をステップS108に進める一方、成果物Ptの排出がなされた場合は、紙面高さ制御を実行する(ステップS104)。
このステップS104における紙面高さ制御では、CPU550は、新たに成果物Ptの排出がなされて上昇した上面位置を目標位置に再び一致させるため、モータM1110を動作させてトレイ700を下降させる。それと共に、CPU550は、エンコーダセンサ1115の出力信号からトレイ700の下方への移動量ΔL1を求める。
次に、ステップS105では、CPU550は、積載量KSをカウントアップする。具体的には、CPU550は、部数に相当する積載量KSを1だけインクリメント(KS←KS+1)することで更新する。即ち、CPU550は、本発明のカウント手段に相当する。
次に、ステップS106では、CPU550は、積載量KSが、部数の積載制限値である上限値LMT(所定量)を超えたか(KS>LMT)否かを判別する。ここで上限値LMTは、予め定めた固定値とするが、ステイプル処理の態様(枚数)や、半折り、Z折りといったような折り処理の態様等に応じてCPU550が動的に定めてもよい。
その判別の結果、積載量KSが上限値LMTを超えていない場合(KS≦LMT)は、積載の余裕があるので、CPU550は、ジョブが未完であるか否かを判別する(ステップS107)。そして、CPU550は、ジョブが未完である場合は、処理をステップS101に戻す一方、ジョブが完了している場合は、図13の処理を終了させる。
ステップS106の判別の結果、KS>LMTが成立した場合は、これ以上成果物Ptを積載するのが適切でないので、CPU550は、処理をステップS113に進め、トレイ700上の積載シート(成果物Pt)の除去を促すための報知を行う。次に、ステップS114では、CPU550は、束排紙モータM1108、ローラ対901の動作を停止させる排紙停止を行う。ここでは、トレイ700に成果物Ptを排出するための動作の停止と、それに伴い継続不能となる機内での動作の停止を行うよう制御される。
次に、ステップS115では、紙無しとなったか、すなわち、トレイ700上から成果物Ptが無くなったか否かを、下トレイ紙有無検知センサ1122がオフになったかどうかにより判別する。全ての成果物Ptが取り去られると、紙無しとなる。即ち、下トレイ紙有無検知センサ1122は本発明の有無検知手段に相当する。そして、CPU550は、トレイ700上に成果物Ptが存在する場合は、ステップS113の報知を継続する一方、トレイ700上から成果物Ptが無くなった場合は、積載量KSのカウントを初期値にリセットする(ステップS116)。その後、CPU550は、ステップS114で動作を停止(中断)させていた場合はその動作の再開をさせるよう制御し(ステップS117)、処理をステップS101に戻す。これにより、ジョブ未完状態で一旦、排紙停止状態となっても、成果物Ptが全て除去されればジョブ処理が再開される。
ステップS108では、CPU550は、トレイ700に積載された成果物Ptの抜き取りがなされたか否かを判別する。この判別は、下側の受光部1113bの信号がLowになったか否かに基づきなされる。その判別の結果、CPU550は、成果物Ptの抜き取りがなされなかった場合は、処理をステップS101に戻す一方、成果物Ptの抜き取りがなされた場合は、紙面高さ制御を実行する(ステップS109)。
このステップS109における紙面高さ制御では、CPU550は、成果物Ptの抜き取りにより下降した上面位置を目標位置に再び一致させるため、モータM1110を動作させてトレイ700を上昇させる。それと共に、CPU550は、エンコーダセンサ1115の出力信号からトレイ700の上方への移動量ΔL2を求める。
次に、ステップS110では、CPU550は、ステップS115と同様に、紙無しとなったか、すなわち、トレイ700上から成果物Ptが無くなったか否かを判別する。そして、CPU550は、トレイ700上から成果物Ptが無くなった場合は、処理をステップS116に進める。これにより、後述するステップS111、S112による積載量KSの更新処理を行うことなく、積載量KSをリセットでき、無駄な処理が回避される。
一方、トレイ700上に成果物Ptが存在する場合は、CPU550は、処理をステップS111に進める。ステップS111では、CPU550は、ステップS104で既に把握している1部あたりの移動量ΔL1と、ステップS109で求めた、取り去られた成果物群の総厚みである移動量ΔL2とに基づき、上述したように取去部数K2を算出する。
次に、ステップS112では、CPU550は、積載量KSのカウントダウンを行う。すなわちCPU550は、積載量KSから取去部数K2を減算することにより(KS←KS−K2)、決定された積載量KSを更新する。その後、CPU550は、処理をステップS101に戻す。これにより、ジョブの継続により徐々に増えていく積載量KSを、成果物Ptの取り去りにより減少させることができる。従って、ジョブにおいて排出された成果物Ptが大量であっても、KS>LMTとなる前にユーザがトレイ700から成果物Ptを少しでも取り去れば、その分だけ積載の余裕が回復する。なお、前述したステップS102においても、加算または減算による積載量KSの更新は行われる。
ところで、検知センサ1113は、決まった位置で紙面検知を行うが、光路から外れた位置での紙面検知が行えるわけではない。例えば、検知センサ1113よりもシート搬送方向先方(図8の左方)の位置で成果物Ptに盛り上がりがあったとしても、それを検知できるわけではない。成果物Ptに、Z折り処理されたシートまたはステイプル処理されたシートが含まれている場合は、シート自体の厚みの合計よりも厚い部分が生じる。
ところが、本実施の形態のように、余裕を持った値に上限値LMTを設定し、積載制限超えの判断(満載検知)を部数で管理することにより、Z折りやステイプルが施された成果物Ptを扱う場合にも、適切な積載制御を行える。なお、積載量KSを成果物Ptの部数としてではなく、積載の厚みとして把握して制御することも可能であるが、そのような制御態様については変形例として後に述べる。
本実施の形態によれば、CPU550は、トレイ700に積載された最上位の成果物Ptの上面位置が目標位置より低い場合/高い場合は、トレイ700を上方/下方に移動させることで、上面位置を目標位置に一致させる。そして、CPU550は、トレイ700の移動量ΔL1、ΔL2と移動方向とに基づいて、積載量KSを決定する。そして積載量KSが上限値LMTより大きい場合に、CPU550は、それ以降の成果物Ptの排出を停止させる。これにより、トレイ700に大量に成果物Ptが積載されても、紙詰まりやトレイ700からの成果物Ptの落下を回避でき、適切な積載制限を行うことができる。
特に、積載量KSは、成果物Ptの排出によって増加するだけでなく、トレイ700からの成果物Ptの取り去りによって減少する。これにより、大量の成果物Ptを排出するようなジョブが投入された場合であっても、ジョブ処理中に、トレイ700上の成果物Ptの取り去りにより積載量KSが上限値LMTを超えないようにすることが可能となる。従って、成果物Ptの排出を継続でき、生産性を向上させることができる。
しかも、CPU550は、成果物Ptを出力するジョブが終了するまでの間、上面位置に変化があったことに応答して、積載量KSを更新する(ステップS105、S112)ので、常に最新の積載量KSを決定できる。
また、トレイ700から成果物Ptが全部取り去られると、CPU550は、積載量KSを更新することなくリセットするので、無駄な処理を削減することができる。
次に、積載量KSを成果物Ptの部数としてではなく、積載の厚みとして把握して積載制御する態様を変形例として説明する。この変形例は、図13のステップS105、S106、S111、S112の処理内容を下記のように変更することで実現可能である。
積載量としては、部数である積載量KSに代えて、トレイ700上に積載された成果物Ptの総厚みに相当する積載量KStを用いる。満載検知用の積載制限値(所定量)としては、部数の積載制限値である上限値LMTに代えて、総厚みの制限値である上限値LMTtを用いる。取去部数K2は用いない。
変形例においてまず、図13のステップS105では、CPU550は、積載量KStに、トレイ700が下方に移動した移動量ΔL1を加えることにより(KSt←KSt+ΔL1)、積載量KStを更新する。ステップS106では、CPU550は、積載量KStが、上限値LMTtを超えたか(KSt>LMTt)否かを判別する。ここで上限値LMTtは、予め定めた固定値とするが、ステイプル処理の態様(枚数)や、半折り、Z折りといったような折り処理の態様等に応じてCPU550が動的に定めてもよい。
ステップS111の処理は廃止する。ステップS112では、CPU550は、積載量KStから、トレイ700の上方への移動量ΔL2を減算することにより(KSt←KSt−ΔL2)、積載量KSを更新する。なお、前述したステップS102においても、積載量KStの更新は行われる。
本発明は、Z折りやステイプル処理された成果物Ptを適用対象とするのに好適である。一方、これら以外の成果物Ptとして、綴じ処理がされずに例えば10部ずつの束ごとにオフセットされて排出されるようものが考えられる。このような成果物Ptについては、積算の厚みはシート自体の厚みの合計と変わらないから、上記した変形例のように積載量を成果物Ptの総厚みとして把握しても適切な制御が可能である。
なお、本実施の形態及び変形例では、積載制限を超えたか否か(満載検知)を積載量から判断した。しかし、積載の総厚みがシート自体の厚みの合計と変わらないことがわかっているような場合には、トレイ700が下トレイ下限センサ1117まで到達したことで積載制限を超えたと判断してもよい。従って、例えば、モードを設定できるように構成し、ジョブにおいて、Z折り及び/又はステイプル処理された成果物Ptが適用対象となる場合にだけ、積載量を部数として把握して満載検知を行うようにしてもよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。