JP6336358B2 - タイヤのシミュレーション方法及びタイヤの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、タイヤの振動性能又は転がり抵抗性能への影響度が高い位置を、コンピュータを用いて特定することができるタイヤのシミュレーション方法及びタイヤの製造方法に関する。
従来、走行中のタイヤの振動を吸収するために、例えば、制振部材をタイヤに貼り付ける方法が提案されている。制振部材としては、例えば、損失正接tanδが大きいゴム部材がある。このような制振部材は、タイヤの振動を熱に変換して吸収しうる反面、エネルギーロスが大きいため、タイヤの転がり抵抗を増加させるという問題がある。このように、タイヤの振動を低下させること、及び、転がり抵抗の低下させることは、二律背反の関係がある。このため、制振部材の貼り付け位置の決定には、多くの実験を繰り返して、タイヤの振動性能又は転がり抵抗性能への影響度が高い位置を特定する必要がある。
特開2004−010000号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤの振動性能又は転がり抵抗性能への影響度が高い位置を容易に特定することができるタイヤのシミュレーション方法及びタイヤの製造方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、コンピュータに、タイヤを、有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを設定する工程、前記コンピュータが、前記タイヤモデルを用いて振動シミュレーションを実行し、前記各要素の第1歪エネルギーロスEaを計算する第1計算工程、前記コンピュータが、前記タイヤモデルを用いて変形シミュレーションを実行し、前記各要素の第2歪エネルギーロスEbを計算する第2計算工程、及び前記コンピュータが、前記各要素について、前記第1歪エネルギーロスEaを前記第2歪エネルギーロスEbで除した振動・変形パラメータEa/Eb、又は、前記第2歪エネルギーロスEbを前記第1歪エネルギーロスEaで除した変形・振動パラメータEb/Eaを計算する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記第1計算工程は、前記タイヤモデルを用いた固有値解析を実行する工程、及び前記各要素の前記第1歪エネルギーロスEaを、固有値と固有ベクトルとに基づいて計算する工程を含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記コンピュータに、路面を、有限個の要素でモデル化した路面モデルを設定する工程をさらに含み、前記第2計算工程は、前記コンピュータが、前記路面モデルの上に前記タイヤモデルを接地させて前記第2歪エネルギーロスEbを計算する工程を含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤのシミュレーション方法において、前記コンピュータに、路面を、有限個の要素でモデル化した路面モデルを設定する工程をさらに含み、前記第2計算工程は、前記コンピュータが、前記路面モデルに接地した前記タイヤモデルの転動計算を行って、前記第2歪エネルギーロスEbを計算する工程を含むのが望ましい。
本発明は、タイヤの製造方法であって、前記タイヤを準備するステップと、前記タイヤに基づいて、請求項1乃至4の何れかに記載のタイヤのシミュレーション方法を実行するステップと、前記振動・変形パラメータEa/Eb又は前記変形・振動パラメータEb/Eaに基づいて、前記タイヤの構造を修正する修正ステップとを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記タイヤの製造方法において、前記修正ステップは、前記振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に大きい前記要素の位置に基づいて、前記タイヤの振動を吸収するための制振部材を貼り付けるステップを含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの製造方法において、前記修正ステップは、前記振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に大きい前記要素の位置に基づいて、前記タイヤの構成部材を、前記タイヤの振動を吸収するための制振部材に置き換えるステップを含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの製造方法において、前記修正ステップは、前記振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に小さい前記要素の位置に基づいて、前記タイヤの構成部材の厚さを小さくするステップを含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤの製造方法において、前記修正ステップは、前記振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に小さい前記要素の位置に基づいて、前記タイヤの損失正接を小さくする部材に置き換えるステップを含むのが望ましい。
請求項1記載のタイヤのシミュレーション方法は、コンピュータが、タイヤモデルを用いて振動シミュレーションを実行し、各要素の第1歪エネルギーロスEaを計算する第1計算工程、タイヤモデルを用いて変形シミュレーションを実行し、各要素の第2歪エネルギーロスEbを計算する第2計算工程、及び、各要素について、第1歪エネルギーロスEaを第2歪エネルギーロスEbで除した振動・変形パラメータEa/Eb、又は、第2歪エネルギーロスEbを第1歪エネルギーロスEaで除した変形・振動パラメータEb/Eaを計算する工程を含んでいる。
振動・変形パラメータEa/Ebが大きいほど、又は、変形・振動パラメータEb/Eaが小さいほど、タイヤの振動が大であり、かつ、タイヤの転がり抵抗への影響が小さいことを示している。このような要素の位置に基づいて、例えば、タイヤの振動を吸収するための制振部材が貼り付けられることにより、タイヤの転がり抵抗の悪化を抑制しつつ、タイヤの振動を低下(耐ロードノイズ性能を向上)させることができる。
一方、振動・変形パラメータEa/Ebが小さいほど、又は、変形・振動パラメータEb/Eaが大きいほど、タイヤの振動が小であり、かつ、タイヤの転がり抵抗への影響が大きいことを示している。このような要素の位置に基づいて、例えば、タイヤの損失正接を小さくする部材に置き換えられることにより、タイヤの振動(耐ロードノイズ性能の悪化)を抑制しつつ、タイヤの転がり抵抗を向上させることができる。
このように、請求項1記載のタイヤのシミュレーション方法は、タイヤの振動性能又は転がり抵抗性能への影響度が高い位置を容易に特定することができるため、例えば、タイヤの設計工程又は製造工程において、振動性能又は転がり抵抗性能の改善することができる。
請求項5記載のタイヤの製造方法では、振動・変形パラメータEa/Eb又は変形・振動パラメータEb/Eaに基づいて、タイヤの構造を修正する修正ステップを含んでいる。このように、請求項5記載のタイヤの製造方法では、タイヤの振動性能又は転がり抵抗性能への影響度が高い位置を特定して、タイヤの構造が修正されるため、タイヤの振動性能及び転がり抵抗性能を確実に向上させることができる。
本実施形態のタイヤのシミュレーション方法が実施されるコンピュータのブロック図である。 本実施形態のタイヤの断面図である。 本実施形態のタイヤのシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態のタイヤモデルの断面図である。 本実施形態のタイヤモデル及び路面モデルの斜視図である。 本実施形態の第1計算工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 断面二次モードの固有値解析が実施されたタイヤモデルの断面図である。 本実施形態の第2計算工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 タイヤモデルの振動・変形パラメータを示したコンター図である。 本実施形態のタイヤの製造方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図2に示したタイヤに貼り付けられる制振部材の部分斜視図である。 本実施形態の修正ステップの処理手順の一例を示すフローチャートである。 図5に示したタイヤモデルの部分断面図である。 他の実施形態の修正ステップの処理手順の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のタイヤのシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)は、コンピュータを用いて、振動シミュレーションによって計算される第1歪エネルギーロスEaと、変形シミュレーションによって計算される第2歪エネルギーロスEbとに基づいて、振動・変形パラメータEa/Eb又は変形・振動パラメータEb/Eaが計算される。そして、これらの振動・変形パラメータEa/Eb又は変形・振動パラメータEb/Eaに基づいて、タイヤの振動性能又は転がり抵抗性能への影響度が高い位置が特定される。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法が実施されるコンピュータのブロック図である。本実施形態のシミュレーション方法に用いられるコンピュータ1は、入力デバイスとしての入力部11、出力デバイスとしての出力部12、及び、タイヤの物理量等を計算する演算処理装置13を有し、タイヤのシミュレーション装置(以下、単に「シミュレーション装置」ということがある。)1Aとして構成されている。
入力部11は、例えば、キーボード又はマウス等が用いられる。出力部12は、例えば、ディスプレイ装置又はプリンタ等が用いられる。演算処理装置13は、各種の演算を行う演算部(CPU)13A、データやプログラム等が記憶される記憶部13B、及び、作業用メモリ13Cが含まれている。
記憶部13Bは、例えば、磁気ディスク、光ディスク又はSSD等からなる不揮発性の情報記憶装置である。記憶部13Bには、データ部15及びプログラム部16が設けられている。
データ部15は、評価対象のタイヤや路面に関する情報(例えば、CADデータ等)が記憶される初期データ部15A、タイヤをモデル化したタイヤモデルが入力されるタイヤモデル入力部15B、及び、路面をモデル化した路面モデルが入力される路面モデル入力部15Cが含まれている。さらに、データ部15には、シミュレーションの境界条件が入力される境界条件入力部15D、及び、演算部13Aが計算した物理量(歪エネルギーロスを含む)が入力される物理量入力部15Eが含まれている。
プログラム部16は、演算部13Aによって実行されるプログラムである。プログラム部16には、タイヤモデルをモデル化するタイヤモデル設定部16A、路面モデルをモデル化する路面モデル設定部16B、タイヤモデルの内圧充填後の形状を計算する内圧充填計算部16C、内圧充填後のタイヤモデルに、荷重を定義する荷重負荷計算部16D、及び、タイヤモデルを用いたシミュレーションを実行して、タイヤの歪に関する物理量を取得する歪計算部16Eが含まれている。
歪計算部16Eは、振動シミュレーションを実行する第1計算部33、変形シミュレーションを実行する第2計算部34、及び、振動・変形パラメータを計算する第3計算部35を含んでいる。
図2は、本実施形態のシミュレーション方法で、タイヤの振動性能又は転がり抵抗性能への影響度が高い位置が特定されるタイヤの断面図である。本実施形態のタイヤ2は、乗用車用の空気入りタイヤとして構成されている。タイヤ2は、例えば、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配されるベルト層7とを具えている。
カーカス6は、少なくとも1枚、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aで構成されている。カーカスプライ6Aは、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aに連なりビードコア5の廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含んでいる。
カーカスプライ6Aの本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8が配されている。カーカスプライ6Aは、例えば、タイヤ赤道Cに対して80度〜90度の角度で配列されたカーカスコードが、互いに交差する向きに重ねられている。
ベルト層7は、少なくとも2枚、本実施形態ではタイヤ半径方向で重ね合わされた2枚のベルトプライ7A、7Bから構成されている。2枚のベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードが、タイヤ周方向に対して、例えば10度〜35度の角度で傾けて配列されている。このようなベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わされている。
図3は、本実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、図2に示したタイヤ2をモデル化したタイヤモデルが設定される(工程S1)。
工程S1では、先ず、図1に示されるように、初期データ部15Aに記憶されているタイヤ2(図2に示す)に関する情報(例えば、タイヤ2の輪郭データ等)が、作業用メモリ13Cに入力される。さらに、タイヤモデル設定部16Aが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、タイヤモデル設定部16Aが、演算部13Aによって実行される。
図4は、本実施形態のタイヤモデルの断面図である。工程S1では、図2に示したタイヤ2に関する情報に基づいて、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素F(i)(i=1、2、…)で離散化する。これにより、タイヤ2がモデル化されたタイヤモデル21が設定される。設定されたタイヤモデル21は、タイヤモデル入力部15B(図1に示す)に入力される。なお、数値解析法としては、例えば有限要素法、有限体積法、差分法又は境界要素法が適宜採用できるが、本実施形態では有限要素法が採用される。
要素F(i)としては、例えば、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は、6面体ソリッド要素などが用いられるのが望ましい。各要素F(i)には、複数個の節点22が設けられる。このような各要素F(i)には、要素番号、節点22の番号、節点22の座標値及び材料特性(例えば密度、ヤング率及び/又は減衰係数等)などの数値データが定義される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1に、路面をモデル化した路面モデルが設定される(工程S2)。工程S2では、先ず、図1に示した初期データ部15Aに記憶されている路面に関する情報が、作業用メモリ13Cに入力される。さらに、路面モデル設定部16Bが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、路面モデル設定部16Bが、演算部13Aによって実行される。
図5は、本実施形態のタイヤモデル21及び路面モデル24の斜視図である。工程S2では、路面に関する情報に基づいて、数値解析法(本実施形態では、有限要素法)により取り扱い可能な有限個の要素G(i)(i=1、2、…)で離散化する。これにより、工程S2では、路面モデル24が設定される。設定された路面モデル24は、路面モデル入力部15C(図1に示す)に入力される。
要素G(i)は、変形不能に設定された剛平面要素として設定されている。この要素G(i)には、複数の節点25が設けられる。さらに、要素G(i)は、要素番号や、節点25の座標値等の数値データが定義される。
本実施形態では、路面モデル24として、平滑な表面を有するものが例示されたが、必要に応じて、アスファルト路面のような微小凹凸、不規則な段差、窪み、うねり、又は、轍等の実走行路面に近似した凹凸などが設けられても良い。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1に、タイヤモデル21に境界条件が定義される(工程S3)。境界条件としては、例えば、タイヤモデル21の内圧条件、負荷荷重条件、及び、タイヤモデル21と路面モデル24との摩擦係数等が設定される。これらの条件は、境界条件入力部15D(図1に示す)に入力される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、タイヤモデル21を用いた振動シミュレーションを実行する(第1計算工程S4)。図2に示したタイヤ2において、高周波のロードノイズを発生させる振動は、タイヤ断面二次モードが関係している。本実施形態の第1計算工程S4では、断面二次モードに基づく固有値解析(振動シミュレーション)を実行して、タイヤモデル21各要素F(i)の第1歪エネルギーロスEaが計算される。図6は、本実施形態の第1計算工程S4の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第1計算工程S4では、先ず、タイヤモデル21(図4に示す)の内圧充填後の形状が計算される(工程S41)。工程S41では、図1に示されるように、タイヤモデル入力部15Bに入力されているタイヤモデル21、及び、境界条件入力部15Dに入力されている内圧条件が作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、内圧充填計算部16Cが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、内圧充填計算部16Cが、演算部13Aによって実行される。
工程S41では、先ず、図4に示されるように、タイヤ2のリム26(図2に示す)がモデル化されたリムモデル27によって、タイヤモデル21のビード部21c、21cが拘束される。さらに、タイヤモデル21には、内圧条件に相当する等分布荷重wに基づいて、変形計算される。これにより、工程S41では、内圧充填後のタイヤモデル21が計算される。内圧は、例えば、タイヤ2(図2に示す)が基づいている規格を含む規格体系において、各規格が定めている空気圧が設定されるのが望ましい。
タイヤモデル21の変形計算は、各要素F(i)の形状及び材料特性などをもとに、各要素F(i)の質量マトリックス、剛性マトリックス、及び、減衰マトリックスがそれぞれ作成される。さらに、これらの各マトリックスが組み合わされて、全体の系のマトリックスが作成される。そして、コンピュータ1が、前記各種の条件を当てはめて運動方程式を作成し、これらを微小時間(単位時間Tx(x=0、1、…))ごとにタイヤモデル21の変形計算を行う。このようなタイヤモデル21の変形計算(後述する転動シミュレーションを含む)は、例えば、LSTC社製の LS-DYNA などの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算できる。なお、単位時間Txについては、求められるシミュレーション精度によって、適宜設定することができる。
次に、第1計算工程S4では、タイヤモデル21を用いた固有値解析が実行される(工程S42)。工程S42では、図1に示されるように、第1計算部33が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、第1計算部33が、演算部13Aによって実行される。
本実施形態の工程S42では、歪エネルギーロスを計算する従来の方法と同様に、下記式(1)を用いて固有値解析が実施される。これにより、タイヤモデル21の要素F(i)の各節点22の固有値(又は、固有振動数)ωr、及び、固有ベクトル(又は、振動モード){ψr}が計算される。
次に、第1計算工程S4では、固有値ωrと固有ベクトル{ψr}とに基づいて、各要素F(i)の歪エネルギーロス(第1歪エネルギーロスEa)が計算される(工程S43)。工程S43も、工程S42と同様に、第1計算部33が実行される。
タイヤの断面二次モードでの第1歪エネルギーロスEaは、下記式(2)で示される。下記式(2)では、先ず、固有値ωrと固有ベクトル{ψr}に基づいて、各要素F(i)の節点22毎に、歪エネルギーUが求められる。そして、歪エネルギーUと、損失正接tanδとに基づいて、第1歪エネルギーロスEaが計算される。これらの第1歪エネルギーロスEaは、物理量入力部15E(図1に示す)に入力される。工程S42及び工程S43での固有値解析は、例えば、市販の固有値解析ソフトウェア( Dassault Systems 社製の ABAQUS等)を用いて計算できる。図7は、断面二次モードの固有値解析が実施されたタイヤモデル21の断面図である。

ここで、
tr:転置行列を示す。
U :歪エネルギー
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、タイヤモデル21を用いた変形シミュレーションを実行する(第2計算工程S5)。第2計算工程S5では、変形シミュレーションの結果に基づいて、タイヤモデル21の各要素F(i)の第2歪エネルギーロスEbが計算される。図8は、本実施形態の第2計算工程S5の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第2計算工程S5では、先ず、タイヤモデル21(図4に示す)の内圧充填後の形状が計算される(工程S51)。工程S51では、第1計算工程S4の工程S41と同様の手順により、内圧充填後のタイヤモデル21が計算される。
次に、第2計算工程S5では、荷重が定義されたタイヤモデル21が計算される(工程S52)。この工程S52では、先ず、境界条件入力部15Dに入力されている負荷荷重条件、キャンバー角及び摩擦係数が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、工程S52では、荷重負荷計算部16Dが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、荷重負荷計算部16Dが、演算部13Aによって実行される。
工程S52では、図5に示されるように、内圧充填後のタイヤモデル21と、路面モデル24との接触が計算される。次に、工程S52では、負荷荷重条件T及びキャンバー角に基づいて、タイヤモデル21の変形が計算される。これにより、工程S52では、路面モデル24に接地したタイヤモデル21が計算される。
次に、第2計算工程S5では、第2歪エネルギーロスEbが計算される(工程S53)。工程S53では、第2計算部34が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、第2計算部34が、演算部13Aによって実行される。
本実施形態の工程S53では、路面モデル24にタイヤモデル21を転動させることなく、第2歪エネルギーロスEbを計算する静的シミュレーションが実施される。本実施形態の静的シミュレーションでは、タイヤモデル21が路面モデル24に静的に接触(接地)した状態で受ける歪を、タイヤが負荷転動しているときの一瞬間に受ける動的な歪と実質的に等しいものとして仮定し、静的な計算結果から動的な歪の履歴が求められる。このような静的シミュレーションは、例えば、タイヤモデル21を路面モデル24に転動させるシミュレーションに比べて、計算時間を短縮することができる。
静的シミュレーションは、従来と同様に、例えば、特開2005−186900号公報に記載の歪経路法に従って実施することができる。歪経路法に基づく静的シミュレーションが実施されることにより、各要素F(i)の単位体積当たりのエネルギーロスが計算される。このエネルギーロスを用いることにより、タイヤ性能を表す一つの物理量として、タイヤモデル21の転がり抵抗RRを近似的に計算することができる。転がり抵抗RRは、下記式(3)により計算することができる。
RR={Σ(W・V)}/2πR …(3)
ここで、Vは各要素の体積、Rはタイヤの荷重半径であり、Σは、エネルギーロスWとその要素の体積Vとの積について全要素の和を示す。
転がり抵抗RRは、各要素F(i)の節点22毎に計算される。本実施形態では、転がり抵抗RRが、第2歪エネルギーロスEbとして計算される。これらの第2歪エネルギーロスEbは、物理量入力部15E(図1に示す)に入力される。
本実施形態では、タイヤモデル21を路面モデル24に接地させた静的シミュレーションによって、第2歪エネルギーロスEb(転がり抵抗RR)が計算される態様が示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、路面モデル24にタイヤモデル21を転動させる転動シミュレーション(転動計算)を実行して、第2歪エネルギーロスEb(転がり抵抗RR)が計算されてもよい。このような転動シミュレーションを行うことにより、タイヤ周方向で不均一なトレッドパターンやタイヤ構造を考慮した第2歪エネルギーロスEb(転がり抵抗RR)を計算することができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、振動・変形パラメータEa/Eb、又は、変形・振動パラメータEb/Eaを計算する(工程S6)。工程S6では、先ず、物理量入力部15Eに入力されている第1歪エネルギーロスEa及び第2歪エネルギーロスEbが、作業用メモリ13Cに読み込まれる。さらに、工程S6では、第3計算部35が、作業用メモリ13Cに読み込まれる。そして、第3計算部35が、演算部13Aによって実行される。
工程S6では、第1歪エネルギーロスEa及び第2歪エネルギーロスEbに基づいて、振動・変形パラメータEa/Eb、又は、変形・振動パラメータEb/Eaが計算される。振動・変形パラメータEa/Ebは、タイヤモデル21の要素F(i)各節点22について、第1歪エネルギーロスEaが第2歪エネルギーロスEbで除されることによって計算される。変形・振動パラメータEb/Eaは、タイヤモデル21の要素F(i)の各節点22について、第2歪エネルギーロスEbが第1歪エネルギーロスEaで除されることによって計算される。振動・変形パラメータEa/Eb及び変形・振動パラメータEb/Eaは、物理量入力部15E(図1に示す)に記憶される。
第1歪エネルギーロスEaは、その値が大きいほど、タイヤモデル21の振動時の歪が大きいことを示している。一方、第2歪エネルギーロスEbは、その値が小さいほど、タイヤモデルの転がり抵抗への影響が小さいことを示している。従って、タイヤモデル21の各要素F(i)の位置において、振動・変形パラメータEa/Ebが大きいほど、タイヤの振動が大であり、かつ、タイヤの転がり抵抗への影響が小であることを示している。同様に、振動・変形パラメータEa/Ebの逆数である変形・振動パラメータEb/Eaは、その値が小さいほど、タイヤの振動への影響が大であり、かつ、タイヤの転がり抵抗が小であることを示している。
また、第1歪エネルギーロスEaは、その値が小さいほど、タイヤモデル21の振動時の歪が小さいことを示している。一方、第2歪エネルギーロスEbは、その値が大きいほど、タイヤモデルの転がり抵抗への影響が大きいことを示している。従って、タイヤモデル21の各要素F(i)の位置において、振動・変形パラメータEa/Ebが小さいほど、タイヤの振動への影響が小であり、かつ、タイヤの転がり抵抗への影響が大きいことを示している。同様に、振動・変形パラメータEa/Ebの逆数である変形・振動パラメータEb/Eaは、その値が大きいほど、タイヤの振動が小であり、かつ、タイヤの転がり抵抗への影響が大きいことを示している。
このように、本実施形態のシミュレーション方法は、各要素F(i)の節点22毎に計算される振動・変形パラメータEa/Eb、又は、変形・振動パラメータEb/Eaに基づいて、タイヤ2の振動性能又は転がり抵抗性能への影響度が高い位置を容易に特定することができる。このような位置に基づいて、例えば、タイヤ2の構造が修正されることにより、タイヤ2の振動性能又は転がり抵抗性能を改善することができる。
振動・変形パラメータEa/Eb又は変形・振動パラメータEb/Eaは、例えば、コンター図で表示されてもよい。図9は、タイヤモデル21の振動・変形パラメータEa/Ebを示したコンター図である。
コンター図は、タイヤモデル21の各要素F(i)の各節点22(図5に示す)で計算された振動・変形パラメータEa/Eb、及び、節点22の振動・変形パラメータEa/Ebから補間計算された振動・変形パラメータEa/Ebに基づいて、同一範囲の振動・変形パラメータEa/Eb毎に、異なる色情報が設定される。なお、色情報としては、例えば、カラースケール(色)やグレースケール(輝度)等から適宜選択することができる。コンター図は、例えば、汎用のポストプロセッサ( LSTC 社製の LS-PrePost など)を用いて求めることができる。
このようなコンター図は、振動・変形パラメータEa/Ebを容易に把握することができるため、タイヤ2の振動性能又は転がり抵抗性能への影響度が高い位置を特定するのに役立つ。また、変形・振動パラメータEb/Eaも、コンター図で表示されてもよい。
次に、本実施形態のタイヤの製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある。)について説明する。本実施形態の製造方法では、上述したシミュレーション方法で計算された振動・変形パラメータEa/Eb又は変形・振動パラメータEb/Eaに基づいて、タイヤ2の構造が修正される。図10は、本実施形態のタイヤの製造方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の製造方法では、先ず、タイヤ2が準備される(ステップS11)。ステップS11では、図2に示したタイヤ2が、例えば、従来の方法と同様に、未加硫の生タイヤ(図示省略)が金型内で加硫成形されることによって製造される。
次に、本実施形態の製造方法では、タイヤ2に基づいて、振動・変形パラメータEa/Eb、又は、変形・振動パラメータEb/Eaを計算するシミュレーション方法が実行される(ステップS12)。ステップS12では、ステップS11で準備されたタイヤ2に基づいて、図3、図6及び図8に示した処理手順のシミュレーション方法が、シミュレーション装置1A(図1に示す)によって実施される。これにより、タイヤ2の振動・変形パラメータEa/Eb又は変形・振動パラメータEb/Ea(本実施形態では、振動・変形パラメータEa/Eb)が計算される。
また、ステップS12では、振動・変形パラメータEa/Ebが、コンター図によって示される。これにより、オペレータは、タイヤモデル21の各要素F(i)の位置において、振動・変形パラメータEa/Ebの大小を、目視にて容易に確認することができる。
次に、本実施形態の製造方法では、振動・変形パラメータEa/Eb又は変形・振動パラメータEb/Eaに基づいて、タイヤ2の構造が修正される(修正ステップS13)。本実施形態の修正ステップS13では、振動・変形パラメータEa/Ebに基づいて、タイヤ2の振動を吸収するための制振部材が貼り付けられる。
図11は、タイヤに貼り付けられる制振部材9の部分斜視図である。制振部材9は、損失正接tanδが大きいゴム部材9gによって構成されている。本実施形態の制振部材9は、シート状に形成されている。このような制振部材9は、タイヤ2(図2に示す)の所定の箇所に貼り付けられることにより、タイヤ2の振動を熱に変換して吸収することができる。従って、制振部材9は、耐ロードノイズ性能を向上させるのに役立つ。
制振部材9の損失正接tanδは、適宜設定することができる。本実施形態では、例えば、JIS K6394に準拠し、動的歪14.432N、周波数1Hz〜100Hzの条件において、30℃の周波数域100Hz〜500Hzでの損失正接tanδが1.5〜5であり、かつ、70℃の周波数域10Hzでの損失正接tanδが0.30以下に設定されるのが望ましい。このようなゴム部材9gは、エネルギーロスの増加を抑えつつ、タイヤの振動を効果的に吸収することができる。制振部材9の厚さW1は、適宜設定することができる。本実施形態の厚さW1は、例えば、0.5mm〜4.0mm程度に設定されている。制振部材9は、加硫時の架橋によって接着される。これにより、制振部材9は、生タイヤの他の構成部材と一体に加硫されるため、制振部材の剥がれ等を、効果的に抑制することができる。
なお、上記のような損失正接tanδを有するゴム部材9gは、ゴムの配合を適宜調節することによって製造することができる。損失正接tanδの測定は、粘弾性スペクトロメータ(Metravib社製のVA4500)を用いて測定することができる。
制振部材9は、タイヤ2(図2に示す)の振動を熱に変換して吸収しうる反面、エネルギーロスが大きい。これにより、タイヤの転がり抵抗を増加させてしまうという問題がある。このため、タイヤの振動を低下させること、及び、転がり抵抗の低下させることは、二律背反の関係がある。従って、タイヤの振動への影響が大であり、かつ、タイヤの転がり抵抗への影響が小さい位置に、制振部材9を貼り付けることが重要である。
図12は、本実施形態の修正ステップS13の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の修正ステップS13は、先ず、制振部材9を貼り付ける位置が決定される(ステップS131)。
上述したように、タイヤモデル21(図4に示す)の各要素F(i)の位置において、振動・変形パラメータEa/Ebの値が大きいほど、タイヤ2の振動への影響が大であり、かつ、タイヤ2の転がり抵抗への影響が小さい。このような振動・変形パラメータEa/Ebの値が相対的に大きい要素F(i)の位置に、制振部材9が貼り付けられることにより、タイヤ2の振動を吸収しつつ、タイヤ2の転がり抵抗の悪化を抑制することができる。
このような観点に基づいて、本実施形態のステップS13では、振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に大きい要素F(i)の位置に基づいて、制振部材9を貼り付ける位置が決定される。
制振部材9の貼り付け位置を決定するための振動・変形パラメータEa/Ebの範囲については、タイヤ2の構造や、求められる性能に基づいて、適宜設定することができる。例えば、タイヤ2が乗用車用である場合、振動・変形パラメータEa/Ebが、振動・変形パラメータEa/Ebの最大値の−15%までの範囲の要素F(i)において、制振部材9を貼り付ける位置が決定されるのが望ましい。これにより、タイヤ2の転がり抵抗性能の悪化を抑制しつつ、耐ロードノイズ性能(耐振動性能)を確実に向上させることができる。
なお、制振部材9を貼り付ける位置は、振動・変形パラメータEa/Ebに基づいて、オペレータが決定してもよく、また、コンピュータ1に自動的に決定させてもよい。
次に、本実施形態の修正ステップS13では、ステップS131で決定された貼り付け位置に基づいて、制振部材9が貼り付けられる(ステップS132)。本実施形態では、振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に大きい要素F(i)の位置(本実施形態では、タイヤ2の内面)に、制振部材9が貼り付けられる。これにより、タイヤ2は、転がり抵抗の悪化を抑制しつつ、耐ロードノイズ性能を向上しうる。また、同一構造のタイヤ2の製造ラインでは、同一の貼り付け位置に基づいて、生タイヤの内面に制振部材9が貼り付けられ、加硫成形される。これにより、転がり抵抗の悪化を抑制しつつ、耐ロードノイズ性能を向上しうるタイヤ2を、連続して製造することができる。
このように、本実施形態の製造方法では、制振部材9(図3に示す)をタイヤ2(図2に示す)の複数箇所に貼りつける実験を繰り返すことなく、制振部材9の貼り付け位置を正確かつ容易に決定することができる。従って、制振部材9の貼り付け位置を決定するのに要するコストや時間を、効果的に小さくすることができる。
図13は、図5に示したタイヤモデル21の部分断面図である。本実施形態のステップS131では、要素F(i)の節点22毎に求められた振動・変形パラメータEa/Ebに基づいて、制振部材9を貼り付ける位置が決定されるものが例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、タイヤ子午線断面のタイヤ内腔面30に沿って区切られた複数の領域31毎に求められた振動・変形パラメータEa/Ebの平均値に基づいて、制振部材9を貼り付ける位置が決定されてもよい。これにより、振動・変形パラメータEa/Ebを、要素F(i)よりも大きな領域31で比較できるため、制振部材9を貼り付ける位置を容易に決定することができる。
領域31のタイヤ内腔面30に沿った幅W2は、例えば、制振部材9の幅(図示省略)と同一、制振部材9の幅の整数倍、又は、制振部材9の幅の小数倍に設定されてもよい。これにより、貼り付け位置が決定された領域31に、制振部材9を隙間なく、かつ、容易に貼り付けることができる。
また、本実施形態のステップS132では、振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に大きい要素F(i)の位置に基づいて、タイヤ2の振動を吸収するための制振部材9を貼り付けるステップが実施される態様が例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に大きい要素F(i)の位置に基づいて、タイヤ2の構成部材を、タイヤ2の振動を吸収するための制振部材(図示省略)に置き換えるステップが実施されてもよい。
ここで、「タイヤ2の構成部材を、制振部材(図示省略)に置き換える」とは、未加硫の生タイヤ(図示省略)のトレッドゴム2Gや、サイドウォールゴム3G等の構成部材を、他の制振部材に置き換えることを意味している。これにより、転がり抵抗性能の悪化を抑制しつつ、耐ロードノイズ性能を向上しうるタイヤ2を製造することができる。なお、制振部材は、図11に示したゴム部材9gと同一配合のゴム部材であってもよいし、他の配合のゴム部材でもよい。
これまでの実施形態の修正ステップS13では、振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に大きい要素F(i)の位置に基づいて、加硫後のタイヤ2に制振部材9を貼り付けるステップや、生タイヤの構成部材を他の制振部材9に置き換えるステップが例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、振動・変形パラメータEa/Ebに基づいて、タイヤ2の構成部材の厚さを小さくしてもよい。
タイヤ2の構成部材の厚さを小さくすると、タイヤ2のエネルギーロスが小さくなり、転がり抵抗を低減することができる。しかしながら、タイヤ2のゴムボリュームの低下により、振動を十分に吸収することができなくなる問題がある。このため、転がり抵抗の低下させること、及び、タイヤの振動を低下させることは、二律背反の関係がある。従って、タイヤの転がり抵抗への影響が大であり、かつ、タイヤの振動への影響が小さい位置において、タイヤ2の構成部材の厚さを小さくすることが重要である。
図14は、他の実施形態の修正ステップS13の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の修正ステップS13は、先ず、タイヤの構成部材の厚さを小さくする位置が決定される(ステップS141)。
上述したように、タイヤモデル21(図4に示す)の各要素F(i)の位置において、振動・変形パラメータEa/Ebが小さいほど、タイヤの転がり抵抗への影響が大であり、かつ、タイヤの振動への影響が小さいことを示している。このような振動・変形パラメータEa/Ebの値が相対的に小さい要素F(i)の位置において、タイヤ2の構成部材の厚さが小さく設定されることにより、転がり抵抗を低減しつつ、タイヤの振動が増大するのを抑制することができる。
このような観点より、この実施形態の修正ステップS13では、振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に小さい要素F(i)の位置に基づいて、タイヤ2の構成部材の厚さを小さくする位置が決定される。
厚さを小さくする位置を決定するための振動・変形パラメータEa/Ebの範囲については、タイヤ2の構造や、求められる性能に基づいて、適宜設定することができる。例えば、タイヤ2が乗用車用である場合、振動・変形パラメータEa/Ebが、振動・変形パラメータEa/Ebの最小値から+15%程度の範囲の要素F(i)において、タイヤの構成部材の厚さを小さくする位置が決定されるのが望ましい。
次に、この実施形態の修正ステップS13では、ステップS141で決定された位置に基づいて、タイヤ2の構成部材の厚さを小さくする(ステップS142)。タイヤ2の構成部材の厚さを小さくする方法としては、例えば、未加硫の生タイヤの構成部材の厚さを小さくする、又は、加硫後のタイヤ2を直接削ることによって、実現することができる。これにより、耐ロードノイズ性能(耐振動性能)の悪化を維持しつつ、転がり抵抗性能を効果的に向上させることができるタイヤ2を製造することができる。なお、タイヤ2の構成部材の厚さを小さくする量については、タイヤ部材、タイヤの構造、及び、タイヤ2に求められる転がり抵抗の向上分に基づいて、適宜設定することができる。
この実施形態のステップS142では、振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に小さい要素F(i)の位置に基づいて、タイヤ2の構成部材の厚さを小さくするステップが実施される態様が例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に小さい要素F(i)の位置に基づいて、タイヤ2の損失正接tanδを小さくする部材に置き換えるステップが実施されてもよい。
タイヤの損失正接を小さくする部材(図示省略)は、損失正接tanδが小さいゴム部材によって構成されている。このようなゴム部材は、振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に小さい要素F(i)の位置に貼り付けられることにより、タイヤ2の振動が熱に変換されるのを抑制することができるため、転がり抵抗を効果的に低減することができる。
このゴム部材の損失正接tanδは、JIS K6394に準拠し、動的歪14.432N、周波数1Hz〜100Hzの条件において、30℃の周波数域100Hz〜500Hzでの損失正接tanδが1.5〜5.0であり、かつ、70℃の周波数域10Hzでの損失正接tanδが0〜0.3に設定されるのが望ましい。このようなゴム部材は、タイヤの振動の増加を抑えつつ、エネルギーロスを低下させることができる。
なお、上記した制振部材9を貼り付けるステップ、制振部材(図示省略)に置き換えるステップ、タイヤ2の構成部材の厚さを小さくするステップ、及び、タイヤ2の損失正接tanδを小さくする部材を貼り付けるステップは、単独で実施されてもよいし、それらを組み合わせて実施されてもよい。これにより、耐ロードノイズ性能(耐振動性能)の悪化を維持しつつ、転がり抵抗性能を効果的に向上することができるタイヤ2を製造することができる。
これまでの実施形態の修正ステップS13では、各要素F(i)の振動・変形パラメータEa/Ebに基づいて、タイヤの構造を修正する態様が例示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、各要素F(i)の変形・振動パラメータEb/Eaに基づいて、タイヤ2の構造が修正されてもよい。
上述したように、タイヤモデル21(図4に示す)の各要素F(i)の位置において、変形・振動パラメータEb/Eaが大きいほど、転がり抵抗への影響が大であり、かつ、タイヤの振動への影響が小さいことを示している。従って、修正ステップS13では、変形・振動パラメータEb/Eaが相対的に大きな要素F(i)の位置に基づいて、タイヤ2の構成部材の厚さを小さくするステップや、タイヤ2の損失正接を小さくする部材に置き換えるステップが実施されるのが望ましい。これにより、耐ロードノイズ性能(耐振動性能)の悪化を維持しつつ、転がり抵抗性能を効果的に向上することができるタイヤ2を製造することができる。
また、タイヤモデル21(図4に示す)の各要素F(i)の位置において、変形・振動パラメータEb/Eaが小さいほど、タイヤの振動への影響が大であり、かつ、タイヤの転がり抵抗への影響が小さいことを示している。従って、修正ステップS13では、変形・振動パラメータEb/Eaが相対的に小さい要素F(i)の位置に基づいて、タイヤ2の振動を吸収するための制振部材9を貼り付けるステップや、タイヤ2の構成部材を、タイヤの振動を吸収するための制振部材に置き換えるステップが実施されるのが望ましい。これにより、タイヤ2の振動を吸収しつつ、転がり抵抗の悪化を抑制することができるタイヤ2を製造することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図3、図6及び図8に示した処理手順に従って、図2に示すタイヤをモデル化したタイヤモデルを用いて、振動シミュレーションに基づく第1歪エネルギーロスEa及び変形シミュレーションに基づく第2歪エネルギーロスEbが求められた。これらの第1歪エネルギーロスEa及び第2歪エネルギーロスEbに基づいて、振動・変形パラメータEa/Ebが計算された。
さらに、タイヤ子午線断面において、タイヤ赤道とビード部との間で区分された6つの領域毎に、振動・変形パラメータEa/Ebの平均値が計算された。そして、図10及び図12の手順に従って、振動・変形パラメータEa/Ebの平均値が最も大きい領域(本例では、タイヤ赤道に最も近い領域)のタイヤ内腔面に、制振部材が貼り付けられた(実施例)。
そして、制振部材が貼り付けられた実施例のタイヤと、制振部材が貼り付けられていない比較例のタイヤとの転がり抵抗性能、及び、耐ロードノイズ性能が比較された。共通仕様は、次の通りである。
タイヤサイズ:195/65R15
リム:15×6J
内圧:230kP
荷重:4.33kN
車両:2000ccの国産FF車
制振部材:
30℃の周波数域100Hz〜500Hzでの損失正接tanδ:1.80
70℃の周波数域10Hzでの損失正接tanδ:0.088
厚さW1:2mm
<耐ロードノイズ性能>
実施例及び比較例の各タイヤを、上記条件でリム組みし、上記車両の全輪に装着した。そして、スムース路面において、上記車両を速度50km/hで走行させ、運転席の左耳の位置において、1/3オクターブの315Hzバンドの騒音レベル(dB)が測定された。評価は、比較例を100とする指数で表示した。指数が大きいほど、耐ロードノイズ性能に優れている。
<転がり抵抗性能>
転がり抵抗試験機を用い、試験タイヤを上記条件でリム組みし、下記の条件で走行させたときの転がり抵抗を測定し、比較例を100とする指数で表示した。指数が大きいほど、転がり抵抗性能が優れている。
荷重:3.43kN
速度:80km/h
テスト結果を表1に示す。
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて、耐ロードノイズ性能を大幅に向上させることができた。一方、実施例のタイヤと、比較例のタイヤとは、転がり抵抗性能が略同一であった。従って、本発明のシミュレーション方法及び製造方法では、タイヤの振動性能又は転がり抵抗性能への影響度が高い位置を特定して、タイヤの転がり抵抗の悪化を抑制しつつ、振動性能を確実に向上させることができた。
2 タイヤ
9 制振部材
21 タイヤモデル
F(i) 要素
Ea 第1歪エネルギーロス
Eb 第2歪エネルギーロス

Claims (9)

  1. コンピュータに、タイヤを、有限個の要素でモデル化したタイヤモデルを設定する工程、
    前記コンピュータが、前記タイヤモデルを用いて振動シミュレーションを実行し、前記各要素の第1歪エネルギーロスEaを計算する第1計算工程、
    前記コンピュータが、前記タイヤモデルを用いて変形シミュレーションを実行し、前記各要素の第2歪エネルギーロスEbを計算する第2計算工程、及び
    前記コンピュータが、前記各要素について、前記第1歪エネルギーロスEaを前記第2歪エネルギーロスEbで除した振動・変形パラメータEa/Eb、又は、前記第2歪エネルギーロスEbを前記第1歪エネルギーロスEaで除した変形・振動パラメータEb/Eaを計算する工程を含むことを特徴とするタイヤのシミュレーション方法。
  2. 前記第1計算工程は、前記タイヤモデルを用いた固有値解析を実行する工程、及び
    前記各要素の前記第1歪エネルギーロスEaを、固有値と固有ベクトルとに基づいて計算する工程を含む請求項1記載のタイヤのシミュレーション方法。
  3. 前記コンピュータに、路面を、有限個の要素でモデル化した路面モデルを設定する工程をさらに含み、
    前記第2計算工程は、前記コンピュータが、前記路面モデルの上に前記タイヤモデルを接地させて前記第2歪エネルギーロスEbを計算する工程を含む請求項1又は2記載のタイヤのシミュレーション方法。
  4. 前記コンピュータに、路面を、有限個の要素でモデル化した路面モデルを設定する工程をさらに含み、
    前記第2計算工程は、前記コンピュータが、前記路面モデルに接地した前記タイヤモデルの転動計算を行って、前記第2歪エネルギーロスEbを計算する工程を含む請求項1又は2記載のタイヤのシミュレーション方法。
  5. タイヤの製造方法であって、
    前記タイヤを準備するステップと、
    前記タイヤに基づいて、請求項1乃至4の何れかに記載のタイヤのシミュレーション方法を実行するステップと、
    前記振動・変形パラメータEa/Eb又は前記変形・振動パラメータEb/Eaに基づいて、前記タイヤの構造を修正する修正ステップとを含むことを特徴とするタイヤの製造方法。
  6. 前記修正ステップは、前記振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に大きい前記要素の位置に基づいて、前記タイヤの振動を吸収するための制振部材を貼り付けるステップを含む請求項5記載のタイヤの製造方法。
  7. 前記修正ステップは、前記振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に大きい前記要素の位置に基づいて、前記タイヤの構成部材を、前記タイヤの振動を吸収するための制振部材に置き換えるステップを含む請求項5記載のタイヤの製造方法。
  8. 前記修正ステップは、前記振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に小さい前記要素の位置に基づいて、前記タイヤの構成部材の厚さを小さくするステップを含む請求項5記載のタイヤの製造方法。
  9. 前記修正ステップは、前記振動・変形パラメータEa/Ebが相対的に小さい前記要素の位置に基づいて、前記タイヤの損失正接を小さくする部材に置き換えるステップを含む請求項5記載のタイヤの製造方法。
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