JP6335130B2 - 小豆膨化食品の製法 - Google Patents

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Description

本発明は、小豆膨化食品の製法に関し、特に、粉砕した小豆を主成分として膨化させた新規な小豆の加工食品の製法に関する。
小豆(あずき,adzuki bean,Vigna angularis)は、菓子の餡(あん)、汁粉(しるこ)や善哉(ぜんざい)、羊羹(ようかん)等をはじめとする広汎な食品の材料として知られ使用されている。通常、小豆の調理に際し、生小豆は熱湯中で十分に軟らかくなるまで蒸煮される。そして、砂糖等の調味料が蒸煮された小豆中に添加され、全体に味が馴染むまでさらに蒸煮される。このように湿潤な条件下において調理されることが大半であった。
小豆については、例えばその色から理解されるように、色素等の各種成分が含まれている。しかしながら、小豆の茹で汁、皮等は廃棄されることが多く、小豆の皮等に含まれる有効成分を十分に活用しきれていなかった。例えば、小豆の煮汁には抗腫瘍性成分が含まれていたり(特許文献1参照)、抗アレルギー成分が含まれていたり(特許文献2参照)することが明らかとなった。このことから、小豆の全体利用を検討する価値は十分にあるといえる。
そのことから、従前の蒸煮とは異なる加工法の適用が検討されてきた。例えば、穀類、豆類において、これらをあらかじめ粉砕して適宜の水分を添加するとともに二軸エクストルーダーにより加工した食品が提案されている(特許文献3,4,5,6,7等参照)。二軸エクストルーダーは原材料の混合とともに加熱が可能であり、連続生産に好適である。しかしながら、二軸エクストルーダーによる加工を小豆に適用しようとした場合、小豆の皮に含まれる繊維分が障害となって、膨化、成形がしにくい問題があった。そこで、小豆の粉末に他の成分を添加した膨化、成形が試みられてきた(非特許文献1参照)。
ところが、当該非特許文献1によると、小豆のみによる調製では膨化が十分ではなく硬く仕上がり、食感上の問題を有していた。そのことから、良好な膨化と食感のため小豆以外の成分としてトウモロコシ粉の配合を増やしていた。それゆえ、小豆を使用しているにもかかわらず、小豆本来の香りがトウモロコシの臭気により隠されてしまう仕上がりとなっていた。
そこで、既存の蒸煮には留まらない新たな小豆の加工方法を構築して小豆の全体利用の用途をさらに進め、小豆の風味と良好な食感を伴う新たな小豆の加工食品が求められている。
特許第4971566号公報 特開2011−178680号公報 特公平5−79290号公報 特許第2558494号公報 特許第2530184号公報 特許3662192号公報 特開2007−166904号公報
石川県農業総合研究センター研究報告 林美央,道畠俊英,28:31−37(2008),「2軸エクストルーダーによる小豆の食品素材化」
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、エクストルーダーを用いた膨化食品とすることにより小豆の全体利用を促して有効成分の摂取を可能とし、特に、本物の小豆のような外観により、和風を演出した食品に利用しやすく、風味等も小豆風で食品の雰囲気を損なうことがなく、一方で、小豆の風味でありながらスナック菓子のようなサクサクとした軽く口当たりのよい斬新な食感を創出した新たな小豆膨化食品の製法を提供しようとするものである
すなわち、請求項1の発明は、気流粉砕で平均粒径が100μm以下に粉砕された小豆粉末と米破砕物よりなるデンプン膨化剤とを主成分として、前記小豆粉末と前記デンプン膨化剤の重量配合割合を65:35ないし75:25として、二軸エクストルーダー内において加熱混練するとともに、前記二軸エクストルーダーのダイスからの吐出時に膨化後の形状が楕円形または紡錘形の小豆風粒状体に膨化させることを特徴とする小豆膨化食品の製法に係る
請求項2の発明は、前記小豆粉末と前記デンプン膨化剤の合計重量の6重量%以下の糖類が添加される請求項1に記載の小豆膨化食品の製法に係る。
請求項1の発明によると、気流粉砕で平均粒径が100μm以下に粉砕された小豆粉末と米破砕物よりなるデンプン膨化剤とを主成分として、前記小豆粉末と前記デンプン膨化剤の重量配合割合を65:35ないし75:25として、二軸エクストルーダー内において加熱混練するとともに、前記二軸エクストルーダーのダイスからの吐出時に膨化後の形状が楕円形または紡錘形の小豆風粒状体に膨化させることを特徴とするものであるから、小豆の全体利用を促して有効成分の摂取を可能とし、同時に小豆の風味と良好な食感の両立を図った新たな小豆膨化食品を提供することができ、特に、本物の小豆のような外観により、和風を演出した食品に利用しやすく、風味等も小豆風で食品の雰囲気を損なうことがなく、一方で、小豆の風味でありながらスナック菓子のようなサクサクとした軽く口当たりのよい斬新な食感を創出した新たな小豆膨化食品を提供することができる。
また、請求項2の発明によると、請求項1において、前記小豆粉末と前記デンプン膨化剤の合計重量の6重量%以下の糖類が添加されるため、膨化を妨げることなく適度に味付けすることができる。
本発明の一実施例に係る小豆膨化食品の製造を表した概略図である。 気流粉砕機により小豆を粉砕したときの粒度分布図である。 カッティングミルにより小豆を粉砕したときの粒度分布図である。 気流粉砕小豆粉末を用いた小豆膨化食品の写真である。 カッティングミル小豆粉末を用いた小豆膨化食品の写真である。
図1は、本発明の一実施例に係る小豆膨化食品1の製造を示す概略図である。この小豆膨化食品1は、小豆粉末2とデンプン膨化剤3とを主成分5として加工された小豆食品であり、主としてスナック菓子(パフ)等に用いられる。小豆膨化食品1の加工に際しては後述する二軸エクストルーダー10が用いられ、主成分5を二軸エクストルーダー10内において加熱混練するとともに、二軸エクストルーダー10のダイス16からの吐出時に膨化させてなる。
二軸エクストルーダー10は、図1に示すように、螺旋状の突条部13aが設けられた第1スクリュ13と、第1スクリュ13の突条部13aと噛み合うように螺旋状の突条部14bが設けられた第2スクリュ14とを備える。図中の符号11は加熱手段(図示せず)を有する二軸エクストルーダー10の機体、12は主成分5(主原料)等の適宜の材料を機体11内へ投入するためのフィーダー(ホッパー)等からなる供給部、15は第1スクリュ13及び第2スクリュ14を回転駆動させるための駆動手段、16は機体11内から混練されて移送された混練物5aを吐出するダイス、17はダイス16から吐出された混練物5aを切断するための切断手段である。
小豆粉末2は、小豆の風味や色、香り等を備えた食品とするために主成分5に主体的に含まれる成分である。この小豆粉末2は、小豆(あずき,adzuki bean,Vigna angularis)を原料として公知の粉砕装置を用いて粉末状に粉砕されて得られる。原料の小豆は、収穫後に適宜選別された加熱されていない生状態の小豆である。特に、粉末状に粉砕する便宜上、乾燥した生状態の小豆が用いられる。この乾燥した生状態の小豆とは、小豆を含水により軟化することなく、収穫、洗浄後、自然乾燥あるいは通風乾燥等により水分含量を10ないし20%にまで低下させた小豆であり、一般に流通している形態である。なお、生状態の小豆には、水蒸気や炒ることにより表面を殺菌した小豆も含まれる。
小豆を粉砕する粉砕装置は気流粉砕機が好ましく用いられる。気流粉砕とは、粉砕装置(気流粉砕機)の粉砕室内に生じた気流の渦の中に原料となる生状態の小豆を投入し、この生小豆同士が互いに衝突して砕ける現象を利用して、生状態の小豆から順次微粉末まで粒径を細かくして粉化する粉砕方法である。生状態の小豆を微細化する場合、例えば、はじめに蒸煮され、摩砕可能な軟らかさに仕上げられる。しかし、気流粉砕機によって粉砕する場合は、原料である小豆が生状態のまま投入される。このことから自明なように、仮に通常通り含水して膨潤した小豆を気流粉砕機に投入した場合、湿った小豆が装置の粉砕室に貼り付く等、十分な粉砕は不可能となる。従って、気流粉砕の場合、被粉砕物(小豆)は含水していない乾燥生小豆が用いられる。そのため、気流粉砕による小豆の粉砕では、小豆を蒸煮する工程が省略可能である。
生小豆を粉砕する気流粉砕機として、例えば、特開2007−275849号公報に開示のジェットミル、特開2011−206621号公報に開示の気流式粉砕機等の各種装置が挙げられる。前記のジェットミルの場合、同装置の粉砕室内に圧縮空気等の気体が噴射され、気流の渦が生成される。また、前記の気流式粉砕機の場合、ファン等の回転翼が粉砕室内に備えられ、当該回転翼により気流の渦が生じる。
気流粉砕法(気流粉砕機)の利点は、被粉砕物(生状態の小豆)が装置内の粉砕部分と接触しない点である。カッティングミル等の他の粉砕においては、被粉砕物と粉砕用の刃や装置の壁面等との接触は不可避である。しかし、気流粉砕法によると気流に乗った被粉砕物同士の衝突であるため、被粉砕物以外の混入は他の粉砕方法と比較して抑えられる。
他の利点としては、粉砕により生じた粉砕物の粒度分布が比較的揃っていることである。後記実施例において詳述するが、気流粉砕機とカッティングミルとの粒度分布を比較した場合、気流粉砕機を用いた粉砕では粒度分布は小粒径側にまとまり、分散の少ない分布である。従って、気流粉砕機の使用は小豆粉末2の品質を安定化させる観点から好ましい。
気流粉砕により粉砕された小豆粉末2は、平均粒径100μm以下に加工される。この平均粒径は、気流粉砕による小豆粉末2の粒度分布の把握を容易にするとともに、主成分5の膨張しやすさ、小豆膨化食品1の舌触り等の感触、デンプンの粒子の状態等を総合的に考慮して規定される。平均粒径が100μmより大きくなると、主成分5が膨張しにくく、小豆膨化食品1の食感等の感触が悪くなるおそれがある。なお、本明細書における「平均粒径」とは、公知のレーザー回折・散乱式 粒子径・粒度分布測定装置を用いてレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(累積平均径)を意味する。
未粉砕または規定よりも大きい小豆の破片の除去とともに小豆粉末2の粉砕後の粒径を揃えるため、篩別を加えることができる。ここでは小豆粉末2は20メッシュないし50メッシュの適宜の目開きの篩に通される。使用する篩の規格はJIS Z 8801−1(2006)に準拠する。こうして、まず、生状態の小豆から小豆粉末2を得ることができる。
デンプン膨化剤3は、膨化を促進するために小豆食品としての風味や色、香り等を損なわない程度に主成分5に含まれる成分である。膨化の際にはデンプンが基材になると考えられ、主成分5にデンプンが多く含有されるほど膨化させやすくなる。このデンプン膨化剤3は、特に、米破砕物が用いられる。米破砕物の原料は白米や玄米等のうるち米であり、一般に流通している形態である。これを公知の粉砕装置により粒状に破砕処理することで米破砕物が得られる。米破砕物は膨化させやすく、無色で風味にくせがないことから、小豆粉末2とともに主成分5として用いても十分に膨化させることが可能で、小豆の風味や色、香り等への影響が極めて少ないため好ましい。
米を破砕する装置は特に限定されない。また、米破砕物の粒径は特に限定されるものではなく、主成分5の膨張しやすさ、最終的にできあがる小豆膨化食品1の舌触り等の感触、二軸エクストルーダーによる加工時の機械適性等を総合的に考慮して規定される。特に機械適性の観点からグリッツ状の米破砕物が好ましい。
主成分5を構成する小豆粉末2とデンプン膨化剤3の重量配合割合としては、65:35ないし75:25である。小豆粉末2の重量配合割合が65%より少なくデンプン膨化剤3の重量配合割合が35%より多い場合、小豆粉末2が少なすぎて小豆食品としての風味や色、香り等が損なわれるおそれがある。小豆粉末2の重量配合割合が75%より多くデンプン膨化剤3の重量配合割合が25%より少ない場合、加工に使用した二軸エクストルーダーが焦げ付いたり、詰まったりする等の機械適性が好ましくない。
また、主成分5には、食品の味付けや風味を整える等の目的で、必要に応じて糖類や塩類等の調味料を適宜に添加することが可能である。添加される糖類は、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、異性化糖、オリゴ糖、デンプン糖化物等の一般的な糖類であり、グラニュー糖、上白糖、黒砂糖等である。さらに、トレハロース等の糖類、さらにはソルビトール等の糖アルコール(ただし、粉末状に限る)を加えても良い。糖類の添加量は小豆粉末2とデンプン膨化剤3の合計重量の6重量%以下とされる。糖類は水分を吸収しやすく、加熱により粘性のある飴状になる性質を有することから、小豆粉末2とデンプン膨化剤3の合計重量の6重量%より多く添加されると膨化を妨げるおそれがある。また、添加される塩類は、食塩等が挙げられ、添加量は小豆粉末2とデンプン膨化剤3の合計重量の1.5重量%以下とされる。塩類が小豆粉末2とデンプン膨化剤3の合計重量の1.5重量%より多い場合、小豆食品としての風味を損なうおそれがある。なお、その他に、食感や膨化の改善等を目的として、炭酸カルシウムや加工デンプン等の添加材料も適宜添加してもよい。特に、炭酸カルシウムは膨化に際して気泡を細かく均一にすることができる。
次に、本発明の小豆膨化食品1の製造工程を、図1の概略図を用いて説明する。本発明の小豆膨化食品1においては、はじめに小豆粉末2とデンプン膨化剤3が主成分(主原料)5として用意される。主成分5における小豆粉末2とデンプン膨化剤3との配合は、前記のように65:35ないし75:25である。この主成分5が粉体のまま供給部12に投入されて二軸エクストルーダー10の機体11の内部に供給される。また、主成分5には、必要に応じて糖類や塩類等の調味料や炭酸カルシウムや加工デンプン等の添加材料が事前に添加して混合される。
供給された主成分5は、第1スクリュ13と第2スクリュ14の回転に伴い、小豆粉末2とデンプン膨化剤3とが混合、混練されながら順次ダイス16側へ移送される。二軸エクストルーダー10の機体11の内部においては、混練された主成分5が二軸エクストルーダー10のヒーター(図示せず)と通じて加熱される。また、加熱とともに各スクリュ13,14の回転により移送中に混練された主成分5にも適度な圧力が加わる。このため、原料からの加熱加工、殺菌等も一括して行われる。
主成分5等が混練されてなる混練物5aは二軸エクストルーダー10の末端部分に装着されたダイス16から吐出され、切断手段17により裁断される。この吐出時点で混練物5aの体積は膨張し、乾燥させて小豆膨化食品1となる。小豆膨化食品1の大きさや形状等は、ダイス16の穴の形状、大きさを適宜調整することにより調節可能である。切断手段17による裁断によっても、小豆膨化食品1の大きさ等は調整可能である。
この発明では、ダイス16の穴の形状を長方形や楕円形、紡錘形等の細溝状として、混練物5aの膨化後の形状が楕円形または紡錘形の粒状体の小豆膨化食品1としている。小豆膨化食品1を粒状体とすることで、色合いや風味だけでなく外観も小豆風となり、より本物の小豆に近い雰囲気を創出することができる。このような小豆膨化食品1はそのまま食するだけでなく、あんみつ等の小豆が用いられる和風食品の食材としても好適に使用することができる。また、小豆膨化食品1はシーズニング、コーティング、含漬等の味付けも可能である。
本発明に規定する小豆膨化食品1は、小豆粉末2に由来する小豆の風味と、膨化によるサクサクとした軽い良好な食感を併せ持つ食品である。さらに、小豆膨化食品1は小豆を粉砕した粉末を全部用いて加工することができるため、従前の製法では廃棄されていた小豆の煮汁、果皮等の未利用分も必要により混入させることが可能となる。そのため、小豆の全体利用を促して有効成分を摂取する上で効果的である。同時に、従来の小豆食品の製法では不可避であった小豆の煮汁の処理負担軽減や加工時間の圧縮も可能である。このため、全体的に製造経費を少なくすることが可能であるといえる。
[粉砕装置の選択]
発明者らは、小豆膨化食品を製造するに当たり、小豆を粉砕する粉砕装置の違いによる影響を検討した。そこで、粉砕装置として、気流式粉砕機(ミナミ産業株式会社製,ミナクロンミル)とカッティングミル(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製,型番SM100C)を用いた。そして、生状態の小豆を粉砕して小豆粉末を得るに際し、粉砕装置に起因する粒度の相違を検証した。原料となる小豆は水分含量約15%とし、両粉砕装置とも共通の原料とした。両装置を用いて粉砕した後、生じた小豆粉末の粒度分布を測定した。気流式粉砕機とカッティングミルにより粉砕した小豆粉末は、いずれもそのまま測定に供した。
図2は気流式粉砕機、図3はカッティングミルの粒度分布図であり、レーザー回折・散乱式 粒子径・粒度分布測定装置(日機装株式会社製,MT3300)による測定結果である。平均粒径は、同測定装置を用いてレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径とした。
気流式粉砕機の粒度分布図(図2)は単一のピークを有し、最大粒径(累積100%)は418.6μm、平均粒径(累積50%)は56.77μmであった。カッティングミルの粒度分布図(図3)は2つのピークを有し、最大粒径(累積100%)は1000μmを超過した。平均粒径(累積50%)は343.4μmであった。双方の粒度分布図の比較から明らかであるように、気流式粉砕機を用いた粉砕の方が、粉砕により生じた小豆粉末の均一性、ばらつきの少なさ、粒子の細かさにおいて優れている。特に、一回の粉砕処理により比較的均質な小豆粉末を得ることができるため、気流式粉砕の利点は大きい。
両図の粒度分布図から、10ないし100μmの範囲だけ着目すると傾向の相違は小さいようにも思われる。しかし、粉砕しきれていない500μm以上の粒子は無視できず、この除去のための篩別の手間が必要となる。このことからも、気流式粉砕機による粉砕の利点は大きい。
[小豆膨化食品の試作]
小豆膨化食品の原料となる小豆について、前記の気流式粉砕機を用いて粉砕した気流粉砕小豆粉末(試作例)を用意した。次に、小豆粉末とデンプン膨化剤とからなる主成分と、呈味のための砂糖や食塩等の調味料や添加材料を配合して小豆膨化食品A,B,C,D,E(下記参照)を作成し、小豆食品としての風味、色、香り及び膨化具合を評価し、良否を判じた。なお、各小豆膨化食品A,B,C,D,Eで使用した調味料や添加材料(砂糖、食塩、炭酸カルシウム、加工デンプン、粉末油脂、高甘味度甘味料整剤)は市販品とした。
小豆膨化食品A,B,C,D,Eの製造装置として、公知の二軸エクストルーダーを用いた。この二軸エクストルーダーによる製造では、回転数を161rpm、加熱温度を120℃、ダイス16の穴の形状を縦5.0mmかつ横1.5mmの長方形状とし、裁断された混練物5aの乾燥を120℃で約1分50秒とした。
小豆膨化食品Aは、気流粉砕機で粉砕した最大粒径500μm以下かつ平均粒径100μm以下の小豆粉末を65.8重量%と米破砕物(米グリッツ)であるデンプン膨化剤を28.2重量%とを主成分とし、添加材料として炭酸カルシウムを1.0重量%、加工デンプンを5.0重量%添加して作成した。小豆粉末とデンプン膨化剤の重量配合割合は70:30である。
小豆膨化食品Bは、気流粉砕機で粉砕した最大粒径500μm以下かつ平均粒径100μm以下の小豆粉末を65.1重量%と米破砕物(米グリッツ)であるデンプン膨化剤を27.9重量%とを主成分とし、調味料や添加材料として食塩を1.0重量%、炭酸カルシウムを1.0重量%、加工デンプンを5.0重量%添加して作成した。小豆粉末とデンプン膨化剤の重量配合割合は70:30である。
小豆膨化食品Cは、気流粉砕機で粉砕した最大粒径500μm以下かつ平均粒径100μm以下の小豆粉末を59.5重量%と米破砕物(米グリッツ)であるデンプン膨化剤を25.5重量%とを主成分とし、調味料や添加材料として砂糖を5.0重量%、食塩を1.0重量%、炭酸カルシウムを1.0重量%、加工デンプンを5.0重量%、粉末油脂を3.0重量%添加して作成した。小豆粉末とデンプン膨化剤の重量配合割合は70:30である。
小豆膨化食品Dは、気流粉砕機で粉砕した最大粒径500μm以下かつ平均粒径100μm以下の小豆粉末を59.5重量%と米破砕物(米グリッツ)であるデンプン膨化剤を25.5重量%とを主成分とし、調味料や添加材料として砂糖を5.0重量%、食塩を1.0重量%、炭酸カルシウムを1.0重量%、加工デンプンを5.0重量%、粉末油脂を3.0重量%、高甘味度甘味料整剤を0.13重量%添加して作成した。小豆粉末とデンプン膨化剤の重量配合割合は70:30である。
小豆膨化食品Eは、気流粉砕機で粉砕した最大粒径500μm以下かつ平均粒径100μm以下の小豆粉末を59.5重量%と米破砕物(米グリッツ)であるデンプン膨化剤を25.5重量%とを主成分とし、調味料や添加材料として砂糖を5.0重量%、食塩を1.0重量%、炭酸カルシウムを1.0重量%、加工デンプンを5.0重量%、粉末油脂を3.0重量%、高甘味度甘味料整剤を0.15重量%添加して作成した。小豆粉末とデンプン膨化剤の重量配合割合は70:30である。
[配合の相違の評価と考察]
小豆膨化食品A,B,C,D,Eのいずれも適度に膨化してスナック菓子(パフ)等のようなサクサクとした軽い良好な食感が得られた。また、小豆膨化食品A,B,C,D,Eのいずれも小豆の風味、香り、色合いを程よく有していた。十分な小豆の風味等と良好な食感を両立させる小豆粉末の割合は7割前後と考えられる。調味料の配合等の製造上の誤差を勘案して、小豆粉末とデンプン膨化剤の重量配合割合は65:35ないし75:25が妥当となる。
[粉砕方法の相違の評価]
次に、小豆膨化食品の原料となる小豆について、前記の気流式粉砕機を用いて粉砕した気流粉砕小豆粉末(試作例)と、前記のカッティングミルを用いて粉砕した小豆粉末(対照例)を用意した。小豆粉末とデンプン膨化剤とからなる主成分と、呈味のための砂糖や食塩等の調味料とを配合して、前記の小豆膨化食品Aと、新たに小豆膨化食品F(下記参照)とを作成し、喫食により評価し、良否を判じた。小豆膨化食品Fで使用した調味料や添加材料(砂糖、食塩、炭酸カルシウム、加工デンプン)は市販品とした。なお、図4は小豆膨化食品Aの写真、図5は小豆膨化食品Fの写真である。
小豆膨化食品Fは、小豆粉末がカッティングミルで粉砕した最大粒径1000μm以上かつ平均粒径700μm以上のものであり、配合率は小豆膨化食品Aと同様に、小豆粉末を65.8重量%と米破砕物(米グリッツ)であるデンプン膨化剤を28.2重量%とを主成分とし、添加材料として炭酸カルシウムを1.0重量%、加工デンプンを5.0重量%添加した。小豆粉末とデンプン膨化剤の重量配合割合は70:30である。
図4に示す小豆膨化食品Aの写真では、小豆粉末の粒径が細かいため、全体に表面の凹凸は少なく、色合いも比較的均一となっている。これに対し、図5に示す小豆膨化食品Fの写真では、小豆粉末の粒径が粗いため、表面にざらつきが残っており、表面に比較的大きな粒(小豆の皮の欠片)が斑点状に散らばっている。
[粉砕方法の相違の官能評価]
気流粉砕小豆粉末を用いて作成した小豆膨化食品Aと、カッティングミル粉砕の小豆粉末を用いて作成した小豆膨化食品Fを、実際に10名の評価者に試食してもらい良否の判定、感想を求めた。10名の評価者の内訳は、男性5人(20歳代1人、30歳代2人、40歳代1人、50歳代1人)、女性5人(20歳代3人、30歳代2人)とした。評価項目は各小豆膨化食品A,Fとも共通とし、次の4項目(Q1ないしQ4)とした。
(Q1:外観の評価)
気流粉砕小豆粉末を用いた小豆膨化食品Aと、カッティングミル粉砕の小豆膨化食品Fの双方の外観を見比べてもらい、いずれが好みであるかについて質問した。そして、A,Fのいずれかが好みであるか、または、いずれも同等であるかの人数を数えた。
(Q2:食感の評価)
気流粉砕小豆粉末を用いた小豆膨化食品Aと、カッティングミル粉砕の小豆膨化食品Fの双方を喫食してもらい、口に含んだときの食感(舌触り、サクサク感等)の好みについて質問した。そして、A,Fのいずれかが好みであるか、または、いずれも同等であるかの人数を数えた。
(Q3:風味の評価)
気流粉砕小豆粉末を用いた小豆膨化食品Aと、カッティングミル粉砕の小豆膨化食品Fの双方を喫食してもらい、口に含んだときの風味の好みについて質問した。そして、A,Fのいずれかが好みであるか、または、いずれも同等であるかの人数を数えた。
(Q4:小豆の香りの評価)
気流粉砕小豆粉末を用いた小豆膨化食品Aと、カッティングミル粉砕の小豆膨化食品Fの双方を喫食してもらい、口に含んだときの小豆の香りの強さについて質問した。そして、A,Fのいずれかが好みであるか、または、いずれも同等であるかの人数を数えた。
〔小豆食品の評価結果と考察〕
小豆膨化食品Aと小豆膨化食品Fとの対比評価の結果は表1である。気流粉砕小豆粉末を用いて作成した小豆膨化食品Aがいずれの項目においても過半数以上の好評価を得た。特に、スナック菓子(パフ)等のように膨化させた食品であるため、Q2の食感(サクサク感)で評価を得たことにおいて意義がある。
Figure 0006335130
〔官能評価のまとめ〕
気流粉砕小豆粉末では極端に大きな粒が存在せず、粒度分布も揃っており、外観や食感における評価の好要因となっていると考えられる。特に気流粉砕小豆粉末では、生状態の小豆を原料とし、小豆の全体利用が可能であるため、成分の有効活用も可能である。加えて、小豆を茹でる(蒸煮)等の事前処理の省略により、排水が出なくなるとともに製造経費の圧縮にも貢献し得る。
本発明の小豆膨化食品は、適宜の調味料を添加することにより、例えばスナック菓子のようにしてそのまま食すことが可能である。また、本発明の小豆膨化食品を他の食材とともに調理して食すことも可能である。以下に、本発明の小豆膨化食品を利用して調理可能な食品の調理例を説明する。
〔調理例〕
調理例1は、本発明の小豆膨化食品をトッピング材料とした例である。トッピングの対象となる食材として、餅、アイスクリーム、ケーキ等の適宜に加えることができる。調理手順は、トッピング対象の食材(餅、アイスクリーム、ケーキ等)に適量の小豆膨化食品を乗せ、必要に応じてドライフルーツやナッツ等の他のトッピング材料を加えた。
調理例2は、本発明の小豆膨化食品を利用したシリアルバーである。使用する食材は、小豆膨化食品(50g)、砂糖(30g)、水あめ(30g)とした。調理手順は、まず砂糖と水あめを鍋に入れて加熱し、少し泡立ってきたら火を弱めて、小豆膨化食品を加えて弱火で加熱しながらかき混ぜた。火が通ったところでクッキングシート上に長方形状に広げ、固まる前に適宜の形状に切り分けた。全体が固まって完成とした。
調理例3は、本発明の小豆膨化食品を利用したフルーツグラノーラバーである。使用する食材、小豆膨化食品(100g)、無塩バター(50g)、ドライフルーツ(30g)、ナッツ(30g)、砂糖(15g)、蜂蜜(15g)とした。調理手順は、まず無塩バターを室温に戻して練った後、砂糖と蜂蜜を混ぜ、そこへ小豆膨化食品をゴムベラ等を用いて合わせた。これらをオーブンシート状に平らに広げ、焼き色が付くまで予熱約170度で約15分加熱した。また、刻んだナッツを予熱約150度で5〜10分程度加熱したものと、適度なサイズに切ったドライフルーツを用意した。これらを混ぜて数日ないし1週間程度密封保存し、適当なサイズにカットして完成とした。
以上の通り、本発明の小豆膨化食品は、そのまま食すだけでなく、様々な食材とともに調理して用いることにも適している。特に、本物の小豆のような外観により、和風を演出した食品に利用しやすく、風味等も小豆風で食品の雰囲気を損なうことがない。一方で、小豆の風味でありながらスナック菓子のようなサクサクとした軽く口当たりのよい斬新な食感を創出した新たな小豆膨化食品の製法を提供することができる。
本発明は、生状態の小豆を原料として得た小豆粉末とデンプン膨化剤とを配合して主成分とし、膨化させた小豆食品の製法の提案である。そこで、小豆の全体を混入でき機能性等を高めると同時に小豆の風味と良好な食感の両立を図った新たな小豆膨化食品を作り出すことができる。
1 小豆膨化食品
2 小豆粉末
3 デンプン膨化剤
5 主成分
5a 混練物
10 二軸エクストルーダー
11 加熱手段
12 供給部
13 第1スクリュ
13a 突条部
14 第2スクリュ
14a 突条部
15 駆動手段
16 ダイス
17 切断手段

Claims (2)

  1. 気流粉砕で平均粒径が100μm以下に粉砕された小豆粉末と米破砕物よりなるデンプン膨化剤とを主成分として、前記小豆粉末と前記デンプン膨化剤の重量配合割合を65:35ないし75:25として、二軸エクストルーダー内において加熱混練するとともに、前記二軸エクストルーダーのダイスからの吐出時に膨化後の形状が楕円形または紡錘形の小豆風粒状体に膨化させることを特徴とする小豆膨化食品の製法
  2. 前記小豆粉末と前記デンプン膨化剤の合計重量の6重量%以下の糖類が添加される請求項1に記載の小豆膨化食品の製法
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