以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1〜図5を参照して、本発明の一実施形態による画像形成装置100について説明する。画像形成装置100(ここではカラープリンター)本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト(中間転写体、印字媒体)8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。その後、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9の作用によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写される。さらに、トナー像が二次転写された転写紙Pは、定着部13においてトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。なお、ここでは感光体ドラム1a〜1dとして、アルミニウム製のドラム素管の外周面にアモルファスシリコン感光層を積層したものを使用している。
トナー像が二次転写される転写紙Pは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング部7a、7b、7c及び7dが設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ(トナー収容容器)4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等がクリーニング部7a〜7dにより除去される。
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙P上に二次転写される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部13を通過した転写紙Pの一部を一旦排出ローラー対15から装置外部にまで突出させる。そして、転写紙Pの後端が分岐部14を通過した後に排出ローラー対15を逆回転させるとともに分岐部14の搬送方向を切り換える。これにより、転写紙Pは後端から用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ニップ部に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次のトナー像が、二次転写ローラー9によって転写紙Pの画像が形成されていない面に二次転写される。トナー像が二次転写された転写紙Pは、定着部13に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
画像形成部Pdの下流側且つ二次転写ローラー9の上流側直近には濃度検知センサー45が配置されている。濃度検知センサー45は、画像形成部Pa〜Pdにおいて中間転写ベルト8上に形成される濃度補正パターンに測定光を照射し、これらからの反射光を受光して光電変換して受光出力信号を出力し、出力値はA/D変換された後、センサー出力値(出力値)として後述する制御部42に送信される。
濃度検知センサー45としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた反射型光学センサーが用いられる。濃度補正パターンのトナー濃度を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上の各パッチ画像に対し順次測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、及びベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
トナーの付着量が多い場合には、ベルト表面からの反射光がトナーによって遮光されるので、受光素子の受光量が減少する。一方、トナーの付着量が少ない場合には、逆にベルト表面からの反射光が多くなる結果、受光素子の受光量が増大する。従って、受光した反射光量に基づく出力値により各色の濃度補正パターンのトナー付着量(トナー濃度)を検知し、予め定められた目標濃度と比較して現像バイアスなどを調整することにより、各色について濃度補正が行われる。
ただし、反射型光学センサーは、画像(濃度補正パターン)のトナー濃度が低濃度〜中間濃度の場合に比べて高濃度の場合の方が、トナー濃度検出精度が低い。このため、後述するように、画像形成装置100では、濃度補正パターンを比較的低いトナー濃度にするために、現像ローラーと磁気ローラーとの間の電位差(後述する第2電位差)ΔVを比較的低くして濃度補正パターンを形成し、そのトナー濃度を反射型光学センサーで検出して濃度補正を行う。
次に、図2を参照して、現像装置3aの詳細構造について説明する。なお、以下の説明では図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器(ケーシング)20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21及び供給搬送室22には、トナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナーを磁性キャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー(撹拌搬送部材)25a及び供給搬送スクリュー(撹拌搬送部材)25bがそれぞれ回転可能に配設されている。
そして、攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された不図示の現像剤通過路を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、現像剤通過路によって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
現像容器20は図2の左斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー25bの上方には磁気ローラー30が配置され、磁気ローラー30の左斜め上方には現像ローラー31が対向配置されている。そして、現像ローラー31の外周面の一部が現像容器20の開口部20bから露出し、感光体ドラム1aに対向している。磁気ローラー30および現像ローラー31は、それぞれ図2において時計回り方向に回転する。
磁気ローラー30は、図2において時計回り方向に回転する非磁性の回転スリーブと、回転スリーブに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体で構成されている。
現像ローラー31は、図2において時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された現像ローラー側磁極で構成されており、磁気ローラー30と現像ローラー31とはその対向位置において所定のギャップをもって対向している。現像ローラー側磁極は、固定マグネット体の対向する磁極と異極性である。
また、現像容器20には穂切りブレード35が磁気ローラー30の長手方向(図2の紙面と垂直方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード35は、磁気ローラー30の回転方向(図2の時計回り方向)に対し、現像ローラー31と磁気ローラー30との対向領域Rよりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード35の先端部と磁気ローラー30表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラー31には、直流電圧(以下、Vslv(DC)ともいう)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)ともいう)が印加され、磁気ローラー30には、直流電圧(以下、Vmag(DC)ともいう)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)ともいう)が印加されている。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像バイアス電源(電圧印加部)46(図3参照)からバイアス制御回路(図示せず)を経由して現像ローラー31及び磁気ローラー30の各スリーブに印加される。
前述のように、攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内の攪拌搬送室21及び供給搬送室22を循環してトナーが帯電し、供給搬送スクリュー25bによって現像剤が磁気ローラー30に搬送される。そして、磁気ローラー30上に現像剤から磁気ブラシ(図示せず)を形成し、磁気ローラー30上の磁気ブラシは穂切りブレード35によって層厚規制された後、磁気ローラー30と現像ローラー31との対向領域Rに搬送され、磁気ローラー30に印加されるVmag(DC)と現像ローラー31に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー31上にトナー薄層を形成する。
現像ローラー31上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラー30と現像ローラー31との回転速度差等によっても変化するが、磁気ローラー30と現像ローラー31との間の電位差(後述する第2電位差)ΔVによって制御することができる。この電位差ΔVを大きくすると現像ローラー31上のトナー層は厚くなり、電位差ΔVを小さくするとトナー層は薄くなる。現像時における電位差ΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
磁気ブラシによって現像ローラー31上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー31の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラー31との対向領域(現像領域)に搬送される。現像ローラー31には所定のバイアスが印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によって現像ローラー31から感光体ドラム1aにトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
現像に用いられずに現像ローラー31に残ったトナーは、現像ローラー31の回転により再度現像ローラー31と磁気ローラー30との対向領域Rに搬送され、磁気ローラー30上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは磁気ローラー30の固定マグネット体の同極部分で磁気ローラー30から引き剥がされた後、供給搬送室22内に落下する。
図3は、本発明の画像形成装置100の制御経路を示すブロック図である。図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。画像形成装置100は、画像形成部Pa〜Pd、画像入力部40、AD変換部41、制御部42、記憶部43、操作パネル44、定着部13、中間転写ベルト8、濃度検知センサー45及び現像バイアス電源46等を含む構成である。
画像入力部40は、画像形成装置100がカラー複写機である場合、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCD等から構成される画像読取部であり、画像形成装置100が図1に示すようなカラープリンターである場合、パーソナルコンピューター等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部40より入力された画像信号はAD変換部41においてデジタル信号に変換された後、記憶部43内の画像メモリー50に送出される。
記憶部43は、画像入力部40から入力されAD変換部41においてデジタル変換された印刷画像データをページ単位で記憶する画像メモリー50、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される読み書き自在のRAM(Random Access Memory)51、及び画像形成装置100の制御用プログラムや制御上の必要な数値等の画像形成装置100の使用中に変更されることがないデータ等が収められる読み出し専用のROM(Read Only Memory)52を備えている。
また、RAM51には、濃度補正時のセンサー出力値の目標値(目標濃度)などが格納されている。
操作パネル44は、画像形成装置100の状態や画像形成状況や印刷部数を表示するとともに、タッチパネルとして両面印刷や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行う液晶表示部、印刷部数の設定や画像形成装置100がFAX機能を有する場合に相手方のFAX番号を入力等するためのテンキー、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられており、ユーザーは操作パネル44を操作して指示を入力することで、画像形成装置100の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。
制御部42は、例えば中央処理装置(CPU)であり、設定されたプログラムに従って画像入力部40、画像形成部Pa〜Pd、定着部13、及び用紙カセット16(図1参照)からの転写紙Pの搬送等を全般的に制御するとともに、画像入力部40から入力された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理して画像データに変換する。露光装置5は、処理後の画像データに基づいてレーザー光を照射し、感光体ドラム1a〜1d上に潜像を形成する。
さらに制御部42は、キャリブレーションモードが設定されると、濃度検知センサー45からのセンサー出力値を受信し、濃度補正パターン(基準画像)の各パッチ画像のセンサー出力値を目標値と比較する機能、比較結果に応じて現像バイアスを設定する濃度補正を行う機能等を有している。
次に、本発明の一実施形態の画像形成装置100における濃度補正制御について説明する。
先ず、ユーザーの操作により、若しくは所定枚数印字後にキャリブレーションモードが設定されると、制御部42は濃度補正パターンの形成を指示する。本発明では、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色について、所定濃度(ここでは100%)の濃度補正パターンを、現像装置3a〜3dに印加される現像バイアスの印加条件を段階的に変更して複数組形成する。
現像装置3a〜3dの現像ローラー31には50VのVslv(DC)が印加され、磁気ローラー30には90V、130V、170V、210VのVmag(DC)の計4段階に変更するものとする。すなわち、現像ローラー31と磁気ローラー30との間の第2電位差ΔVを、現像時の第2電位差ΔVとしては比較的小さい40V、80V、120V、160Vの計4段階に変更する。
ここで、本実施形態では、制御部42は図4に示すように、最初の濃度補正パターンを形成する直前の第1電位差ΔVを、濃度補正パターンを形成するときの第2電位差ΔVよりも大きい例えば300V以上(ここでは300V)に設定する。なお、制御部42は図5に示すように、それぞれの(全ての)濃度補正パターンを形成する直前の第1電位差ΔVを、濃度補正パターンを形成するときの第2電位差ΔVよりも大きい例えば300V以上(ここでは300V)に設定してもよい。
ここでは直流バイアス値を段階的に変更したが、直流バイアス値に代えて、或いは直流バイアス値と共に、交流バイアスのピークツーピーク値、周波数、Duty比の少なくとも1つを段階的に変更した現像バイアスレベルを設定しても良い。
中間転写ベルト8には、所定の現像バイアス(例えば第2電位差ΔV=40V)において、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色について100%の濃度補正パターンが計4個形成されている。なお、第2電位差ΔVが80V、120V、160Vの場合も同様の濃度補正パターンが形成されるので、トータルで4×4=16個のパターンが中間転写ベルト8上に形成されることになる。
次に、中間転写ベルト8に形成された濃度補正パターンのトナー濃度を濃度検知センサー45により検知し、センサー出力値が目標値となるような現像バイアスを各色について設定する。このとき、各現像バイアスにおける濃度補正パターンの濃度が記憶部43に記憶される。そして、画像形成装置100の濃度補正制御を終了する。
本実施形態では、上記のように、制御部42は、最初の濃度補正パターンを形成する直前(又は、それぞれの濃度補正パターンを形成する直前)の現像ローラー31と磁気ローラー30との間の第1電位差ΔVを、濃度補正パターンを形成するときの第2電位差ΔVよりも大きくする。これにより、低いトナー濃度で濃度補正パターンを形成するために第2電位差ΔVを小さくする場合であっても、濃度補正パターンを形成する直前の第1電位差ΔVを大きくすることによって、ACバイアスのマイナスの電位の影響を受けて現像ローラー31から磁気ローラー30にトナーが移動するのを抑制することができるので、磁気ローラー30上のトナー量が過剰になるのを抑制することができる。このため、磁気ローラー30上に移動した過剰トナーが再び現像ローラー31へ移動して、現像ローラー31上のトナー量が過多になり、第2電位差ΔVと濃度補正パターンのトナー層厚との関係において線形性が失われるのを抑制することができる。その結果、濃度補正パターンのトナー濃度が低い場合であってもトナー濃度検出精度が低くなるのを抑制することができるので、濃度補正の精度を向上させることができる。
また、制御部42が、それぞれの(全ての)濃度補正パターンを形成する直前に、第1電位差ΔVを第2電位差ΔVよりも大きくした場合、第2電位差ΔVと濃度補正パターンのトナー層厚との関係において線形性が失われるのをより抑制することができるので、濃度補正の精度をより向上させることができる。
また、後述するように、第2電位差ΔVが100V以下の場合に第2電位差ΔVとトナー層厚との関係において線形性が失われやすいので、少なくとも第2電位差ΔVが100V以下のときの第1電位差ΔVを第2電位差ΔVよりも大きくすることは、特に効果的である。
また、上記のように、画像のトナー濃度を検出する濃度検知センサー45として一般的に用いられる反射型光学センサーを用いた場合であっても、濃度補正の精度を向上させることができるので、特に有効である。
また、上記のように、制御部42は、第1電位差ΔVを300V以上に設定する。これにより、第2電位差ΔVとトナー層厚との関係において線形性が失われるのを十分に抑制することができるので、濃度補正の精度を十分に向上させることができる。
次に、濃度補正パターンを形成する直前の第1電位差ΔVを、濃度補正パターンを形成するときの第2電位差ΔVよりも大きくすることによる効果を確認するために行った確認実験について説明する。この確認実験は、本実施形態のように第1電位差ΔVを大きくする実施例1および2と、本実施形態に対応していない比較例1とについて行った。
実施例1では、現像装置3aを用いて、第2電位差ΔVを0V〜400Vまで40V毎に設定して濃度補正パターンを形成した。このとき、図4に示したように、最初の濃度補正パターンを形成する直前の第1電位差ΔVを第2電位差ΔVよりも大きく設定した。
実施例2では、現像装置3aを用いて、第2電位差ΔVを0V〜400Vまで40V毎に設定して濃度補正パターンを形成した。このとき、図5に示したように、各濃度補正パターンを形成する直前の第1電位差ΔVを第2電位差ΔVよりも大きく設定した。
比較例1では、現像装置3aを用いて、第2電位差ΔVを0V〜400Vまで40V毎に設定して濃度補正パターンを形成した。このとき、図6に示すように、40Vずつ順に大きくして濃度補正パターンを形成した。すなわち、各濃度補正パターンを形成する直前の第1電位差ΔVを第2電位差ΔVよりも大きくしなかった。
なお、この確認実験(実施例1、2および比較例1)では、現像ローラー31への電圧印加条件は、Vslv(DC)=50V、Vslv(AC)のVppを1500Vとした。また、磁気ローラー30にはVmag(AC)のVppを2200Vとして逆位相で印加した。また、実施例1、2および比較例1のその他の構成は上記実施形態と同様にした。
そして、実施例1、2および比較例1の濃度補正パターンのトナー層厚(ここでは単位面積当たりのトナー量[mg/cm2])をトナー量検知センサー(図示せず)により検知した。その結果を図7に示す。
図7を参照して、比較例1では、濃度補正パターンを形成する際の第2電位差ΔVが小さい(約100V以下)場合に、第2電位差ΔVと濃度補正パターンのトナー層厚(単位面積当たりのトナー量)との関係において、線形性が失われることが判明した。これは以下の理由によるものと考えられる。すなわち、現像ローラー31と磁気ローラー30との間の第2電位差ΔVが小さい領域では、ACバイアスのマイナスの電位の影響を受け、現像ローラー31から磁気ローラー30にトナーを移動させる力が働き、磁気ローラー30上のトナー量が過剰となった。その状態で現像し続けることにより、磁気ローラー30上に移動したトナーが電位を持っているため、磁気ローラー30上の過剰トナーが再び現像ローラー31へ移動した。これにより、現像ローラー31上のトナー量が過多になり、第2電位差ΔVと濃度補正パターンのトナー層厚との関係において、線形性が失われた。
その一方、実施例1および2では、濃度補正パターンを形成する直前の第1電位差ΔVを第2電位差ΔVよりも大きくすることによって、第2電位差ΔVと濃度補正パターンのトナー層厚との関係において、線形性が失われるのを抑制できることが判明した。これは以下の理由によるものと考えられる。すなわち、第2電位差ΔVが小さい領域であっても、濃度補正パターンを形成する直前に第1電位差ΔVを大きくすることによって、ACバイアスのマイナスの電位の影響を受けて現像ローラー31から磁気ローラー30にトナーが移動するのを抑制することができたので、磁気ローラー30上のトナー量が過剰になるのを抑制することができた。このため、磁気ローラー30上に移動した過剰トナーが再び現像ローラー31へ移動して、現像ローラー31上のトナー量が過多になり、第2電位差ΔVと濃度補正パターンのトナー層厚との関係において、線形性が失われるのを抑制することができた。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、カラープリンターに本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限らない。言うまでもなく、モノクロプリンター、モノクロ複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の、現像ローラーと磁気ローラーとを有する現像装置を備えた種々の画像形成装置に本発明を適用できる。
また、上記実施形態では、例えば全ての濃度補正パターンを形成する直前に第1電位差ΔVを大きくする例について示したが、本発明はこれに限らない。第2電位差ΔVが100V以下の場合に第2電位差ΔVとトナー層厚との関係において線形性が失われやすいので、少なくとも第2電位差ΔVが100V以下で濃度補正パターンを形成する直前に第1電位差ΔVを大きくすれば、濃度補正の精度向上に有効である。
また、濃度補正パターンを形成する直前に第1電位差ΔVを大きくすることにより現像ローラー31に担持されたトナーを、濃度補正パターンを形成する直前に感光体ドラム1a〜1dに排出させてもよい。このように構成すれば、低印字率のときに現像ローラー31上の未現像トナーが磁気ローラー30に回収され、磁気ローラー30にトナーが過剰に付着した場合であっても、過剰トナーを現像ローラー31から感光体ドラム1a〜1dに排出することができる。このため、濃度補正パターン形成時に、低印字率による過剰トナーの影響を受けるのを抑制することができるので、濃度補正の精度をより向上させることができる。
また、本実施形態では、中間転写ベルト8に形成された濃度補正パターンを検知したが、その他、直接転写方式のタンデム型画像形成装置を用いる場合には、用紙を搬送する搬送ベルトを印字媒体とし、該搬送ベルト上に形成された濃度補正パターンを検知することもできる。
なお、上記のキャリブレーションモードは、装置の電源投入時に設定されるようにすることもできる。
また、上述した実施形態および変形例の構成を適宜組み合わせて得られる構成についても、本発明の技術的範囲に含まれる。