JP6331981B2 - 自動車 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車に関し、詳しくは、前輪に動力を入出力可能な前輪用モータと、後輪に動力を入出力可能な後輪用モータと、前輪用モータおよび後輪用モータと電力をやりとり可能なバッテリと、を備える自動車に関する。
従来、この種の自動車としては、エンジンと、第1モータと、前輪に連結された駆動軸とエンジンの出力軸と第1モータの回転軸とにリングギヤとキャリヤとサンギヤとが接続された動力分配統合機構(遊星歯車機構)と、駆動軸に動力を入出力可能な第2モータと、後輪に動力を入出力可能な第3モータと、第1モータおよび第2モータおよび第3モータと電力をやりとり可能なバッテリと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、スリップが発生しているか否か,発進時・急加速時か否か,減速走行時か否かに応じて、前輪のトルクと後輪のトルクとの和に対する後輪のトルクの割合の要求値としての後輪要求分配比を設定し、設定した後輪要求分配比に基づいて前輪トルクおよび後輪トルクを設定し、前輪トルクが前輪に出力されると共に後輪トルクが後輪に出力されるようにエンジンと第1モータと第2モータと第3モータとを制御している。
特開2006−248319号公報
上述の自動車では、アクセルオフ時において、ブレーキオフからブレーキオンとされたときなど車両の要求制動力が変化するときに、車両が前傾姿勢となり(車両のピッチ成分の安定性が低下し)、車両の走行姿勢の安定性が低下することがある。
本発明の自動車は、車両の走行姿勢の安定性が低下するのを抑制することを主目的とする。
本発明の自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の自動車は、
前輪に動力を入出力可能な前輪用モータと、
後輪に動力を入出力可能な後輪用モータと、
前記前輪用モータおよび前記後輪用モータと電力をやりとり可能なバッテリと、
アクセル操作およびブレーキ操作に応じた要求トルクにより走行するように前記前輪用モータと前記後輪用モータとを制御する制御手段と、
を備える自動車であって、
前記制御手段は、アクセルオフ且つブレーキオフ時には、前記前輪のトルクと前記後輪のトルクとの和に対する前記後輪のトルクの割合である後輪分配比が第1分配比となるように制御し、アクセルオフ且つブレーキオン時には、前記後輪分配比が前記第1分配比より大きい第2分配比となるように制御する手段である、
ことを特徴とする。
この本発明の自動車では、アクセル操作およびブレーキ操作に応じた要求トルクにより走行するように前輪用モータと後輪用モータとを制御する。そして、アクセルオフ且つブレーキオフ時には、前輪のトルクと後輪のトルクとの和に対する後輪のトルクの割合である後輪分配比が第1分配比となるように制御し、アクセルオフ且つブレーキオン時には、後輪分配比が第1分配比より大きい第2分配比となるように制御する。アクセルオフ且つブレーキオン時には、アクセルオフ且つブレーキオフ時に比して、車両の減速度が大きくなり、車両の重心位置が車両前側となる。したがって、アクセルオフ且つブレーキオン時に、アクセルオフ且つブレーキオフ時に比して、後輪分配比を大きくする、即ち、後輪のトルク(制動トルク)を大きくすると共に前輪のトルク(制動トルク)を小さくすることにより、車両が前傾姿勢となるのを抑制することができる。この結果、車両の走行姿勢の安定性が低下するのを抑制することができる。
こうした本発明の自動車において、前記第1分配比は、車両の静荷重重心位置に応じた分配比であり、前記第2分配比は、車両の動荷重重心位置に応じた分配比である、ものとすることもできる。こうすれば、車両の走行姿勢の安定性が低下するのをより抑制することができる。この場合、前記第2分配比は、前記動荷重重心位置が車両前側となるほど大きくなる傾向の分配比である、ものとすることもできる。
また、本発明の自動車において、前記第2分配比は、ブレーキ操作量が大きいほど大きくなる傾向の分配比である、ものとすることもできる。ブレーキ操作量が大きいほど、車両の減速度が大きくなり、車両が前傾姿勢になりやすい。したがって、こうした傾向の第2分配比を用いることにより、車両の走行姿勢の安定性が低下するのをより抑制することができる。
さらに、本発明の自動車において、エンジンと、発電機と、前記前輪に連結された前輪用駆動軸と前記エンジンの出力軸と前記発電機の回転軸とに3つの回転要素が接続されたプラネタリギヤと、を備えるものとすることもできる。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例のHVECU70により実行されるアクセルオフ時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 動荷重重心位置設定用マップの一例を示す説明図である。 後輪要求分配比設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例のアクセルオフ時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変形例の後輪要求分配比設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。 変形例の電気自動車320の構成の概略を示す構成図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2,MG3と、インバータ41,42,43と、バッテリ50と、ブレーキアクチュエータ94と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)70と、を備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されている。このエンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により運転制御されている。
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランク角θcrなどが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁への駆動信号,スロットルバルブのポジションを調節するスロットルモータへの駆動信号,イグナイタと一体化されたイグニッションコイルへの制御信号などが出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23により検出されたクランク角θcrに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ち、エンジン22の回転数Neを演算している。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されており、HVECU70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをHVECU70に出力する。
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、前輪38a,38bにデファレンシャルギヤ37Fおよび減速ギヤ35Fを介して連結された駆動軸36Fが接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、エンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36Fに接続されている。モータMG3は、例えば同期発電電動機として構成されており、後輪38c,38dにデファレンシャルギヤ37Rおよび減速ギヤ35Rを介して連結された駆動軸36Rが接続されている。モータMG1,MG2,MG3は、モータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40によってインバータ41,42,43の図示しないスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。インバータ41,42,43とバッテリ50とが接続された電力ライン54には、平滑用のコンデンサ57が接続されている。
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2,MG3を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、モータMG1,MG2,MG3の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ44,45,46からの回転位置θm1,θm2,θm3,モータMG1,MG2,MG3の各相に流れる電流を検出する電流センサからの相電流などが入力ポートを介して入力されている。モータECU40からは、インバータ41,42,43の図示しないスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、回転位置検出センサ44,45,46により検出されたモータMG1,MG2,MG3の回転子の回転位置θm1,θm2,θm3に基づいてモータMG1,MG2,MG3の回転数Nm1,Nm2,Nm3を演算している。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されており、HVECU70からの制御信号によってモータMG1,MG2,MG3を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2,MG3の駆動状態に関するデータをHVECU70に出力する。
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、インバータ41,42,43を介してモータMG1,MG2,MG3と電力をやりとりする。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52により管理されている。
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの電池電圧VB,バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからの電池電流IB,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度TBなどが入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために、電流センサ51bにより検出された電池電流IBの積算値に基づいてそのときのバッテリ50から放電可能な電力の容量の全容量に対する割合である蓄電割合SOCを演算している。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータをHVECU70に出力する。
ブレーキアクチュエータ94は、前輪38a,38bや後輪38c,38dに制動力を付与するためのアクチュエータとして構成されている。具体的には、ブレーキアクチュエータ94は、ブレーキペダル85の踏み込みに応じて生じるマスタシリンダ92の圧力(ブレーキ圧)と車速Vとに応じて車両に作用させる制動力を設定して、その制動力のうちブレーキの分担分に応じた制動力が前輪38a,38bや後輪38c,38dに作用するようにブレーキホイールシリンダ96a,96b,96c,96dの油圧を調整したり、ブレーキペダル85の踏み込みとは無関係に、制動力が前輪38a,38bや後輪38c,38dに作用するようにブレーキホイールシリンダ96a,96b,96c,96dへの油圧を調整したりすることができるように構成されている。このブレーキアクチュエータ94は、ブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)98により駆動制御されている。
ブレーキECU98は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。ブレーキECU98には、ブレーキアクチュエータ94を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、マスタシリンダ92に取り付けられた図示しない圧力センサにより検出されるマスタシリンダ圧(ブレーキ踏力Fb),前輪38a,38bや後輪38c,38dに取り付けられた車輪速センサ99a〜99dからの車輪速Vwa〜Vwd,操舵角センサ99stからの操舵角θstなどが入力ポートを介して入力されている。ブレーキECU98からは、ブレーキアクチュエータ94への駆動制御信号などが出力ポートを介して出力されている。ブレーキECU98は、HVECU70と通信ポートを介して接続されており、HVECU70からの制御信号によってブレーキアクチュエータ94を駆動制御したり、必要に応じてブレーキアクチュエータ94の状態に関するデータをHVECU70に出力する。ブレーキECU98は、車輪速センサ99a〜99dからの前輪38a,38bや後輪38c,38dの車輪速Vwa〜Vwdや操舵角センサ99stからの操舵角θstなどの信号を入力し、運転者がブレーキペダル85を踏み込んだときに前輪38a,38bや後輪38c,38dのいずれかがロックによりスリップするのを防止するアンチロックブレーキ装置機能(ABS)や運転者がアクセルペダル83を踏み込んだときに前輪38a,38bのいずれかが空転によりスリップするのを防止するトラクションコントロール(TRC),車両が旋回走行しているときに姿勢を保持する姿勢保持制御(VSC)などの車両挙動安定制御を行なう。
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROMやデータを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行モード(HV走行モード)やエンジン22の運転を停止して走行する電動走行モード(EV走行モード)で走行する。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、アクセルオフ時の動作について説明する。図2は、実施例のHVECU70により実行されるアクセルオフ時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、アクセルオフ時に、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、HVECU70は、アクセルオフ時には、このルーチンと並行して、エンジン22が自立運転されるように自立運転指令をエンジンECU24に送信すると共にモータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定してモータECU40に送信する。そして、自立運転指令を受信したエンジンECU24は、エンジン22が所定回転数(例えば、1000rpmや1200rpmなど)で自立運転されるようにエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。また、モータMG1のトルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されるようにインバータ41のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。エンジン22については、自立運転するのに代えて、運転停止するものとしてもよい。
アクセルオフ時制御ルーチンが実行されると、HVECU70は、まず、ブレーキペダルポジションBPや車速V,静荷重重心位置P1などのデータを入力する(ステップS100)。ここで、ブレーキペダルポジションBPは、ブレーキペダルポジションセンサ86により検出された値を入力するものとした。また、車速Vは、車速センサ88により検出された値を入力するものとした。さらに、静荷重重心位置P1は、車両の停車時の重心の位置であり、予め定められた値を入力するものとした。なお、静荷重重心位置P1は、乗員の着座位置や重量,荷物の搭載位置や重量などを図示しないセンサにより検出し、検出した各データに基づいて計算した値を入力するものとしてもよい。
こうしてデータを入力すると、入力したブレーキペダルポジションBPと車速Vとに基づいて、車両に要求される要求トルクTd*を設定する(ステップS110)。要求トルクTd*は、実施例では、ブレーキペダルポジションBPと車速Vと要求トルクTd*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、ブレーキペダルポジションBPと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTd*を導出して設定するものとした。要求トルク設定用マップの一例を図3に示す。なお、要求トルクTd*が負の場合、制動トルクが要求されていることを意味する。この場合、モータMG2やモータMG3からは負のトルク、即ち、制動(回生)トルクが出力される。
続いて、ブレーキペダルポジションBPに基づいて、ブレーキオンかブレーキオフかを判定する(ステップS120)。そして、ブレーキオフのときには、静荷重重心位置P1に基づいて後輪要求分配比Dr*を設定し(ステップS130)、設定した後輪要求分配比Dr*を値1から減じて前輪要求分配比Df*を計算する(ステップS160)。ここで、後輪要求分配比Dr*,前輪要求分配比Df*は、それぞれ、前輪38a,38bのトルクと後輪38c,38dのトルクとの和に対する後輪38c,38d,前輪38a,38bのトルクの割合の要求値である。アクセルオフ且つブレーキオフ時の後輪要求分配比Dr*には、車両の走行安定性を考慮して定めた所定値Dr1を設定するものとした。所定値Dr1は、車両前側が車両後側より若干重い場合(前輪38a,38bに作用する荷重が後輪38c,38dに作用する荷重より若干大きい場合)、例えば、値0.55や値0.6,値0.65などを用いることができる。
こうして後輪要求分配比Dr*および前輪要求分配比Df*を設定すると、次式(1),(2)に示すように、要求トルクTd*に前輪要求分配比Df*,後輪要求分配比Dr*を乗じて、前輪38a,38b,後輪38c,38dに要求される前輪要求トルクTf*,後輪要求トルクTr*を計算する(ステップS170)。続いて、式(3),(4)に示すように、前輪要求トルクTf*,後輪要求トルクTr*を減速ギヤ35F,35Rのギヤ比Gf,Grで除して、モータMG2,MG3のトルク指令Tm2*,Tm3*を計算する(ステップS180)。そして、計算したモータMG2,MG3のトルク指令Tm2*,Tm3*をモータECU40に送信して(ステップS190)、本ルーチンを終了する。モータMG2,MG3のトルク指令Tm2*,Tm3*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm2*,Tm3*でモータMG2,MG3が駆動されるようにインバータ42,43のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
Tf*=Td*・Df* (1)
Tr*=Td*・Dr* (2)
Tm2*=Tf*/Gf (3)
Tm3*=Tr*/Gr (4)
ステップS120でブレーキオンのときには、ブレーキペダルポジションBPに基づいて動荷重重心位置P2を設定(推定)し(ステップS140)、設定した動荷重重心位置P2に基づいて後輪要求分配比Dr*を設定し(ステップS150)、上述のステップS160〜S190の処理を実行して、本ルーチンを終了する。
ここで、動荷重重心位置P2は、実施例では、ブレーキペダルポジションBPと動荷重重心位置P2との関係を予め定めて動荷重重心位置設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、ブレーキペダルポジションBPが与えられると記憶したマップから対応する動荷重重心位置P2を導出して設定するものとした。動荷重重心位置設定用マップの一例を図4に示す。動荷重重心位置P2は、図示するように、ブレーキペダルポジションBPが大きいほど車両前側となる傾向に設定するものとした。これは、ブレーキペダルポジションBPが大きいほど車両の減速度が大きくなるためである。
また、アクセルオフ且つブレーキオン時の後輪要求分配比Dr*は、実施例では、動荷重重心位置P2と後輪要求分配比Dr*との関係を予め定めて後輪要求分配比設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、動荷重重心位置P2が与えられると記憶したマップから対応する後輪要求分配比Dr*を導出して設定するものとした。後輪要求分配比設定用マップの一例を図5に示す。後輪要求分配比Dr*は、図示するように、動荷重重心位置P2が静荷重重心位置P1より車両前側となるほど所定値Dr1より大きくなる傾向に設定するものとした。ブレーキペダルポジションBPが大きいほど、車両の減速度が大きくなり、車両が前傾姿勢になりやすい。したがって、動荷重重心位置P2が車両前側となるほど、後輪要求分配比Dr*を大きくする、即ち、要求トルクTd*(要求制動トルク)に対する後輪38c,38dのトルク(制動トルク)の割合を大きくすると共に前輪38a,38bのトルク(制動トルク)の割合を小さくすることことにより、車両が前傾姿勢になるのを抑制することができる。この結果、車両の走行姿勢の安定性が低下するのを抑制することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフ且つブレーキオン時には、アクセルオフ且つブレーキオフ時に比して大きい後輪要求分配比Dr*を用いてモータMG2,MG3のトルク指令Tm2*,Tm3*を設定してモータMG2,MG3を制御する。これにより、車両が前傾姿勢になるのを抑制することができ、車両の走行姿勢の安定性が低下するのを抑制することができる。具体的には、アクセルオフ且つブレーキオフ時には、静荷重重心位置P1に応じた所定値Dr1を後輪要求分配比Dr*に設定し、アクセルオフ且つブレーキオン時には、静荷重重心位置P1より車両前側となる動荷重重心位置P2に応じて、アクセルオフ且つブレーキオフ時より大きい値を要求分配比Dr*を設定する。これにより、車両の走行姿勢の安定性が低下するのをより抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフ且つブレーキオン時には、動荷重重心位置P2を直接的に用いて後輪要求分配比Dr*を設定するものとしたが、動荷重重心位置P2と静荷重重心位置P1との関係に基づいて後輪要求分配比Dr*を設定するものとしてもよい。図6は、変形例のアクセルオフ時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。この図6のルーチンは、図2のルーチンのステップS150の処理に代えてステップS150Bの処理を実行する点を除いて、図2のルーチンと同一である。したがって、図6のルーチンにおいて、図2のルーチンと同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、この変形例では、静荷重重心位置P1,動荷重重心位置P2は、車両前側となるほど大きい値となるものとした。
図6のルーチンでは、ステップS120でブレーキオンであると判定され、ステップS140で動荷重重心位置P2を設定すると、設定した動荷重重心位置P2を静荷重重心位置P1で除した値(P2/P1)に基づいて後輪要求分配比Dr*を設定し(ステップS150B)、ステップS160以降の処理を実行する。この場合、後輪要求分配比Dr*は、値(P2/P1)と後輪要求分配比Dr*との関係を予め定めて後輪要求分配比設定用マップとして図示しないROMに記憶しておき、値(P2/P1)が与えられると記憶したマップから対応する後輪要求分配比Dr*を導出して設定するものとした。この変形例の後輪要求分配比設定用マップの一例を図7に示す。後輪要求分配比Dr*は、図示するように、値(P2/P1)が大きいほど大きくなる傾向に設定するものとした。これにより、値(P2/P1)が大きいほど、即ち、動荷重重心位置P2が静荷重重心位置P1より車両前側となるほど、要求トルクTd*(要求制動トルク)に対する、後輪38c,38dのトルクの割合を大きくすると共に前輪38a,38bのトルクの割合を小さくすることになる。この結果、実施例と同様に、車両が前傾姿勢になるのを抑制することができ、車両の走行姿勢の安定性が低下するのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフ時には、静荷重重心位置P1または動荷重重心位置P2に基づいて後輪要求分配比Dr*を設定するものとしたが、静荷重重心位置P1または動荷重重心位置P2に加えて、操舵角センサ99stなどからの操舵角θstなどにも基づいて後輪要求分配比Dr*を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフ且つブレーキオン時には、ブレーキペダルポジションBPが大きいほど静荷重重心位置P1より車両前側となる傾向に動荷重重心位置P2を設定し、動荷重重心位置P2が静荷重重心位置P1より車両前側となるほど所定値Dr1より大きくなる傾向に後輪要求分配比Dr*を設定するものとしたが、所定値Dr1より大きい所定値Dr2を後輪要求分配比Dr*に設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフ且つブレーキオフ時には、静荷重重心位置P1に応じて後輪要求分配比Dr*を設定し、アクセルオフ且つブレーキオン時には、ブレーキペダルポジションBPが大きいほど静荷重重心位置P1より車両前側となる傾向に動荷重重心位置P2を設定し、動荷重重心位置P2が静荷重重心位置P1より車両前側となるほど所定値Dr1より大きくなる傾向に後輪要求分配比Dr*を設定するものとした。しかし、アクセルオフ時には、静荷重重心位置P1や動荷重重心位置P2を用いずに、ブレーキペダルポジションBP(車両の減速度)が大きいほど大きくなる傾向に後輪要求分配比Dr*を設定するものとしてもよい。ハイブリッド自動車20では、ブレーキペダルポジションBPが大きいほど、要求トルクTd*に小さい(絶対値としては大きい)値を設定するから、減速度が大きくなる。したがって、この場合でも、実施例と同様に、アクセルオフ且つブレーキオン時には、アクセルオフ且つブレーキオフ時より大きい値を後輪要求分配比Dr*に設定することになる。この結果、実施例と同様に、車両が前傾姿勢になるのを抑制することができ、車両の走行姿勢の安定性が低下するのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、減速ギヤ35Fを介して前輪38a,38bに駆動軸36Fを連結すると共に減速ギヤ35Rを介して後輪38c,38dに駆動軸36Rを連結するものとした。しかし、減速ギヤ35Fを介さずに前輪38a,38bに駆動軸36Fを連結するものとしてもよい。また、減速ギヤ35Fに代えて変速機を介して前輪38a,38bに駆動軸36Fを連結するものとしてもよい。さらに、減速ギヤ35Rを介さずに後輪38c,38dに駆動軸36Rを連結するものとしてもよい。加えて、減速ギヤ35Rに代えて変速機を介して後輪38c,38dに駆動軸36Rを連結するものとしてもよい。
実施例では、前輪38a,38bに減速ギヤ35Fを介して連結された駆動軸36Fにプラネタリギヤ30を介して接続されたエンジン22およびモータMG1と、駆動軸36Fに接続されたモータMG2と、後輪38c,38dに減速ギヤ35Rを介して連結された駆動軸36Rに接続されたモータMG3と、を備えるハイブリッド自動車20の構成とした。しかし、図8に示すように、エンジン22と、エンジン22に接続されたインナーロータ132と駆動軸36Fに接続されたアウターロータ134とを有しエンジン22からの動力の一部を駆動軸36Fに伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機130と、駆動軸36Fに接続されたモータMGFと、駆動軸36Rに接続されたモータMGRと、を備えるハイブリッド自動車120の構成としてもよい。また、図9に示すように、エンジン22と、エンジン22にクラッチ229を介して接続されたモータMGFと、モータMGFと駆動軸36Fとに接続された変速機230と、駆動軸36Rに接続されたモータMGRと、を備えるハイブリッド自動車220の構成としてもよい。さらに、図10に示すように、駆動軸36Fに接続されたモータMGFと、駆動軸36Rに接続されたモータMGRと、を備える電気自動車320の構成としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータMG2が「前輪用モータ」に相当し、モータMG3が「後輪用モータ」に相当し、バッテリ50が「バッテリ」に相当し、図2のアクセルオフ時制御ルーチンを実行するHVECU70と、HVECU70からのトルク指令Tm2*,Tm3*に基づいてモータMG2,MG3を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動車の製造産業などに利用可能である。
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクポジションセンサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、30 プラネタリギヤ、35F,35R 減速ギヤ、36F,36R 駆動軸、37F,37R デファレンシャルギヤ、38a,38b 前輪、38c,38d 後輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42,43 インバータ、44,45,46 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、57 コンデンサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、92 マスタシリンダ、94 ブレーキアクチュエータ、96a〜96d ブレーキホイールシリンダ、98 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、99a〜99d 車輪速センサ、99st 操舵角センサ、130 対ロータ電動機、132 インナーロータ、134 アウターロータ、229 クラッチ、230 変速機、320 電気自動車、MG1,MG2,MG3,MGF,MGR モータ。

Claims (5)

  1. 前輪に動力を入出力可能な前輪用モータと、
    後輪に動力を入出力可能な後輪用モータと、
    前記前輪用モータおよび前記後輪用モータと電力をやりとり可能なバッテリと、
    アクセル操作およびブレーキ操作に応じた要求トルクにより走行するように前記前輪用モータと前記後輪用モータとを制御する制御手段と、
    を備える自動車であって、
    前記制御手段は、アクセルオフ且つブレーキオフ時には、前記前輪のトルクと前記後輪のトルクとの和に対する前記後輪のトルクの割合である後輪分配比が第1分配比となるように制御し、アクセルオフ且つブレーキオン時には、前記後輪分配比が前記第1分配比より大きい第2分配比となるように制御する手段である、
    ことを特徴とする自動車。
  2. 請求項1記載の自動車であって、
    前記第1分配比は、車両の静荷重重心位置に応じた分配比であり、
    前記第2分配比は、車両の動荷重重心位置に応じた分配比である、
    ことを特徴とする自動車。
  3. 請求項2記載の自動車であって、
    前記第2分配比は、前記動荷重重心位置が車両前側となるほど大きくなる傾向の分配比である、
    ことを特徴とする自動車。
  4. 請求項1記載の自動車であって、
    前記第2分配比は、ブレーキ操作量が大きいほど大きくなる傾向の分配比である、
    ことを特徴とする自動車。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の自動車であって、
    エンジンと、
    発電機と、
    前記前輪に連結された前輪用駆動軸と前記エンジンの出力軸と前記発電機の回転軸とに3つの回転要素が接続されたプラネタリギヤと、
    を備えることを特徴とする自動車。
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