JP6331592B2 - 樹脂組成物の射出成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物、特に特定のポリカーボネート樹脂を含有するポリカーボネート樹脂組成物の大型成形品の射出成形におけるシルバーストリークの抑制とウエルドラインの解消に関する。
従来から、射出成形機によって大型成形品を成形する際に、充填速度を速くする方法が行われるが、シルバーストリークの発生という問題が生じやすい。
このシルバーストリークは、流路の狭いゲート部分を溶融樹脂が通過するときに、せん断発熱により溶融樹脂温度が上昇することにより、溶融樹脂が分解し、あるいは樹脂内の低沸点成分が気化し、これらが成形品表面に残ると推測されるものであり、外観不良の一つである。
一方、充填速度が遅い場合は、金型キャビティ内で溶融樹脂が流動停止し、大型成形品を得ることが困難となりやすい。
これに対して、ゲートの厚みや幅を大きくしたり、ゲート点数を多くしたりすることによって、シルバーストリークの発生を回避する方法が試みられている。
これらの方法によって、シルバーストリーク発生の対策としての効果はそれなりにあるものの、しかしながら、副次的につぎのような他の不良が発生しやすくなるという問題がある。
まず、ゲートを厚くした場合は、ゲートカットに特殊な装置が必要になる。
また、ゲート点数を多点にした場合は、ウエルドラインが発生し、塗装などの二次加工が必要となる。
これに対し、特許文献1に示す方法が検討されている。この特許文献1では、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂の成形品の外観を損なうシルバーストリークを射出プレス成形で溶融樹脂表面を圧縮することにより低減している。
特開2009−102537号公報
しかし、特許文献1に示す方法を用いた場合、金型を開いた状態で溶融樹脂を金型に充填できるが、次いでプレスする工程があるため、精密成形品の成形には不向きであり、また大量生産はできないことが多く、シルバーストリークの低減には不充分となるおそれがある。
そこで本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、安価で、シルバーストリークが抑制され、かつウエルドラインの解消された成形品を、安定して成形できる射出成形用金型及び樹脂成形方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題に鑑み鋭意検討を重ねたところ、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂を含有するポリカーボネート樹脂組成物の射出成形において、射出成形時、ゲート部の温度を特定範囲とすることにより、シルバーストリークが抑制され、かつウエルドラインの解消された成形品を、安定して成形できることを見いだし、本発明を完成させた。すなわち、本発明の要旨は下記[1]〜[8]に存する。
[1]加熱シリンダを有する射出装置により樹脂組成物を溶融し、ゲート、ランナー及びキャビティーを少なくとも有する金型に射出成形する方法であって、前記樹脂組成物が構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂を含有するポリカーボネート樹脂組成物であり、且つ、前記加熱シリンダの設定温度の最高値と射出成形時のゲート部における前記樹脂組成物の温度との差が30℃以下であることを特徴とする樹脂組成物の射出成形方法。
Figure 0006331592
(但し、上記一般式(1)で表される部位が−CH−O−Hの一部である場合を除く。)
[2]加熱シリンダの設定温度の最高値が230〜260℃であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
[3]成形時の射出率は、30〜80cm/secの範囲であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
[4]前記ゲート幅は5〜20mmであり、前記ゲートは、キャビティ面からランナーに向かって、10°〜30°広がるテーパーを有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
[5]前記射出成形用金型は、投影面積10000mm以上50000mm以下、最大流動長100mm以上400mm以下、製品の最大肉厚2.0mm以上4.0mm以下の成形品を成形する金型であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
[6]上記ジヒドロキシ化合物(1)が、下記一般式(2)で表される化合物である[1]〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
Figure 0006331592
[7]前記ポリカーボネート樹脂が脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構造単位をさらに含む[1]〜[6]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
[8]前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が90℃以上145℃未満である[1]〜[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
この発明の射出成形方法を採用することにより、シルバーストリークの発生を抑制し、ウエルドラインなどの外観不良を生じさせないで、綺麗な樹脂成形体として得ることができる。とりわけ、投影面積が大きく、ゲート位置から成形品末端までの距離が長い成形においてその効力を発揮する。
この発明にかかる射出成形用金型の側面断面図 この発明にかかる射出成形用金型の固定側金型のキャビティ配置図(PL視) (a)〜(b)実施例1〜2で用いたゲート部の断面図 (a)〜(c)比較例1〜3で用いたゲート部の断面図
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
この発明は、樹脂組成物、特に特定のポリカーボネート樹脂を含有する樹脂組成物の射出成形方法にかかる発明である。
[樹脂組成物]
この発明に用いられる樹脂組成物しては、特定の構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂を含有するポリカーボネート樹脂組成物である。
[ポリカーボネート樹脂組成物]
上記ポリカーボネート樹脂組成物に有されるポリカーボネート樹脂は、構造の一部に下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(以下、「ジヒドロキシ化合物(1)」と称する場合がある。)に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物である。
Figure 0006331592
但し、上記一般式(1)で表される部位が−CH−O−Hの一部である場合を除く。
[サンシャインでの耐候性]
後述する射出成形方法を用いて、このポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形体(厚さ2mm)をJIS B7753に準拠したブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、1時間当たりの降雨スプレー時間12分の環境下にて、サンシャインカーボンアークを用い、放電電圧50V、放電電流60Aで、ガラスフィルターはAタイプを介して1000時間照射処理するという処理をした後、JIS K7105に準拠してC光源にて測定した該照射処理前後のΔE*は、10以下となることがよく、3以下であることが好ましい。上記照射処理前後のΔE*が10以下とすることにより、優れた耐光性を有するだけでなく、優れた成形性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、表面硬度及び機械的強度を兼備するものとなる。
なお、サンシャインカーボンアークを用いた照射処理の詳細については後述するが、特定の装置で、特定のフィルターなどを用い、主として300nm以上、1100nm以下の波長の光を、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、1時間当たりの降雨スプレー時間12分の環境下にて、サンシャインカーボンアークを用い、放電電圧50V、放電電流60Aで、試料に1000時間照射することをいう。以下、この照射処理を「特定照射処理I」と称す場合がある。
[サンシャインのΔE]
また、このポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形体(厚さ2mm)について、成形後、特定照射処理Iを行う前に、C光源にて測定した初期のL*,a*,b*値(以下、それぞれ「L*0」,「a*0」,「b*0」と称する場合がある。)と、この成形体に対して特定照射処理を行った後に、同様にC光源にて測定したL*,a*,b*値(以下、それぞれ「L*1」,「a*1」,「b*1」と称する場合がある。)より求めたΔE*が10以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。尚、ΔE*は次式より求められる。
ΔE*=√((L*1−L*0)+(a*1−a*0)+(b*1−b*0))このΔEが大きい場合は、樹脂パネルを長期間屋外等で使用したとき、光学特性の長期耐久性と安定性に劣る場合がある。
[サンシャイン、引っ張り強度]
また、後述する射出成形方法を用いて、上記ポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形体(JIS K7113準拠、厚さ4mm1号形試験片)をJIS B7753に準拠したブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、1時間当たりの降雨スプレー時間12分の環境下にて、サンシャインカーボンアークを用い、放電電圧50V、放電電流60Aで、ガラスフィルターはAタイプを介して1000時間照射処理(このサンシャインカーボンアークを用いた照射処理の詳細については後述するが、以下、この照射処理を「特定照射処理II」と称す場合がある。)した後、JIS K7113に準拠して測定した引張強度と、この特定照射処理II前に同様に測定した引張強度(以下「初期引張強度」と称す場合がある。)の割合の百分率(即ち、(特定照射処理II後の引張強度/初期引張強度)×100。以下、この割合を「引張強度保持率」と称す場合がある。)は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、特に好ましくは100%である。引張強度保持率が80%以上なので、長期間屋外等で使用した場合であっても、引張強度等の機械的強度の低下が殆ど見られず、この機械的強度を保持することができる。
ところで、上記初期引張強度は、用途として、樹脂パネルとして用いる場合は、40MPa以上であることが好ましく、特に50MPa以上であることが好ましい。40MPa未満とすると、得られる携帯電話用筺体の機械的強度を十分確保できないおそれがある。一方、この場合の上記初期引張強度の上限は、特に限定されるものではないが、60MPaであれば十分である。
[鉛筆強度]
さらに、後述する射出成形方法を用いて、上記ポリカーボネート樹脂組成物から成形された成形体のJIS K5600−5−4に準拠して測定した鉛筆硬度は、HB以上であることが好ましく、F以上であることがより好ましく、H以上であることが更に好ましい。鉛筆硬度が過度に低いと、上記成形体を樹脂パネルとして用いる場合、この樹脂パネルの表面が傷つきやすく、例えば、飛砂等により外観不良を起こす可能性がある。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造]
上記のようなポリカーボネート樹脂組成物であれば、本発明の効果を奏するが、そのようなポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、次の方法等で製造することができる。
1)ポリカーボネート樹脂製造時の触媒の種類と量を適宜選択する。
2)重合時の温度及び時間を適宜選択する。
3)ポリカーボネート樹脂組成物中の紫外線吸収能を有する化合物、例えば、残存フェノール、残存ジフェニルカーボネートを減らす。
4)原料モノマーとして紫外領域に吸収能を持つ物質の使用量を減らす。
5)原料中の不純物として含まれる紫外領域に吸収能を持つ物質の使用量を減らす。
6)ポリカーボネート樹脂組成物に耐光安定剤を含有させる。
7)ポリカーボネート樹脂を構成する構造単位のうち、構造の一部に上記の一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有量を少なくする。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造の詳細]
以下、本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物を製造するための方法について詳述する。
<原料>
(ジヒドロキシ化合物)
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、構造の一部に上記の一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位を少なくとも含む。
即ち、ジヒドロキシ化合物(1)は、2つのヒドロキシル基と、更に上記の一般式(1)で表される部位を少なくとも含むものをいう。
<ジヒドロキシ化合物の比率>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂を構成する全てのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する、ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合は、100mol%以下がよく、好ましくは90mol%以下、更に好ましくは85mol%以下、特に好ましくは80mol%以下である。一方、好ましくは20mol%以上、更に好ましくは30mol%以上、特に好ましくは40mol%以上である。
ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合は100mol%であってもよいが、この場合、本発明の射出成形方法により得られる成形品にサンシャインカーボンアークを用いた照射処理を施した際、割れが生じる場合があり、また透明性が悪化しヘイズが大きくなる場合がある。ただし、後述する耐光安定剤、中でも所定量のヒンダードアミン系耐光安定剤をポリカーボネート樹脂組成物に含有させることにより、この割れを防止することが可能となる。このように割れが生じる原因の詳細は明らかではないが、ジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合が多過ぎると、得られる成形品の表面が紫外線照射劣化、加水分解し、ポリカーボネート樹脂の分子量が低下するためと考えられる。ただし、上述の通り、耐光安定剤をポリカーボネート樹脂組成物に含有させることにより、成形品の割れを防止することが可能である。この原因の詳細は明らかではないが、耐光安定剤により、成形品の表面の紫外線照射劣化、加水分解が抑制され、ポリカーボネート樹脂の分子量が低下し難いためと考えられる。耐光安定剤によることなく、割れを抑制するためには、90mol%以下が好ましい。
一方、ポリカーボネート樹脂中のジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合が少な過ぎると、得られる成形品の耐熱性が低下する場合がある。
<ヒドロキシ化合物の一般式と特徴>
上記ジヒドロキシ化合物(1)としては、構造の一部に上記一般式(1)で表される部位を有するものであれば特に限定されるものではない。具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等のフェニル置換フルオレン等、側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記一般式(3)で表されるスピログリコール等の環状エーテル構造を有する化合物(環状エーテル)等が挙げられる。
これらの中でも、入手のし易さ、ハンドリング、重合時の反応性、得られるポリカーボネート樹脂の色相の観点から、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールが好ましく、耐熱性の観点からは、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール、下記一般式(3)で表される環状エーテル構造を有する化合物が好ましく、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコールがより好ましい。
これらは得られるポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 0006331592
Figure 0006331592
上記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのジヒドロキシ化合物のうち、芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物を用いることがポリカーボネート樹脂の耐光性の観点から好ましく、中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、耐光性、光学特性、成形性、耐熱性、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、上記ジヒドロキシ化合物(1)以外のジヒドロキシ化合物(以下「その他のジヒドロキシ化合物」と称す場合がある。)に由来する構造単位を含んでいてもよい。その他のジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオールの等の脂肪族ジヒドロキシ化合物、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール等の脂環式ジヒドロキシ化合物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ポリカーボネート樹脂の耐光性の観点からは、分子構造内に芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物、即ち脂肪族ジヒドロキシ化合物及び/又は脂環式ジヒドロキシ化合物が好ましく、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、特に1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましく、脂環式ジヒドロキシ化合物としては、特に1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。
これらのその他のジヒドロキシ化合物を用いることにより、ポリカーボネート樹脂の柔軟性の改善、成形性の改善などの効果を得ることも可能であるが、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合が多過ぎると、機械的物性の低下や、耐熱性の低下を招くことがあるため、ポリカーボネート樹脂中の全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対するジヒドロキシ化合物(1)に由来する構造単位の割合が、前述の下限値以上となるように用いることが好ましい。
<塩基性安定剤>
なお、ポリカーボネート樹脂の合成に供されるジヒドロキシ化合物(1)は、還元剤、抗酸化剤、脱酸素剤、光安定剤、制酸剤、pH安定剤、熱安定剤等の安定剤を含んでいても良く、特に酸性下で本発明のジヒドロキシ化合物は変質しやすいことから、塩基性安定剤を含むことが好ましい。
塩基性安定剤としては、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations2005)における1族又は2族の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩、脂肪酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウム又はカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2ナトリウム、亜リン酸水素2ナトリウムが好ましい。
これら塩基性安定剤のジヒドロキシ化合物(1)中の含有量に特に制限はないが、少なすぎるとジヒドロキシ化合物(1)の変質を防止する効果が得られない可能性があり、多すぎるとジヒドロキシ化合物(1)の変性を招く場合があるので、通常、ジヒドロキシ化合物(1)に対して、0.0001重量%〜1重量%、好ましくは0.001重量%〜0.1重量%である。
なお、これら塩基性安定剤を含有したジヒドロキシ化合物(1)をポリカーボネート樹脂の製造原料として用いると、塩基性安定剤自体が重合触媒となり、重合速度や品質の制御が困難になるだけでなく、初期色相の悪化を招き、結果的に成形品の耐光性を悪化させるため、ポリカーボネート樹脂の製造原料として使用する前に塩基性安定剤をイオン交換樹脂や蒸留等で除去することが好ましい。
<酸化防止剤>
ジヒドロキシ化合物(1)がイソソルビド等、環状エーテル構造を有する場合には、酸素によって徐々に酸化されやすいので、保管や、製造時には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤等を用いたり、窒素雰囲気下で取り扱うことが肝要である。イソソルビドが酸化されると、蟻酸等の分解物が発生する場合がある。例えば、これら分解物を含むイソソルビドをポリカーボネート樹脂の製造原料として使用すると、得られるポリカーボネート樹脂更にはポリカーボネート樹脂組成物の着色を招く可能性があり、また、物性を著しく劣化させる可能性があるだけではなく、重合反応に影響を与え、高分子量の重合体が得られない場合もある。
上記酸化分解物を含まないジヒドロキシ化合物(1)を得るために、また、前述の塩基性安定剤を除去するためには、蒸留精製を行うことが好ましい。この場合の蒸留とは単蒸留であっても、連続蒸留であってもよく、特に限定されない。蒸留の条件としてはアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気において、減圧下で蒸留を実施することが好ましく、熱による変性を抑制するためには、250℃以下、好ましくは200℃以下、特には180℃以下の条件で行うことが好ましい。
このような蒸留精製で、ジヒドロキシ化合物(1)中の蟻酸等の分解物の含有量を20重量ppm以下、好ましくは10重量ppm以下、特に好ましくは5重量ppm以下にすることにより、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物をポリカーボネート樹脂の製造原料として使用した際に、重合反応性を損なうことなく色相や熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂の製造が可能となる。蟻酸等の分解物の含有量の測定はイオンクロマトグラフィーで行う。
<炭酸ジエステル>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、上述したジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを原料として、エステル交換反応により重縮合させて得ることができる。
反応に用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(4)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 0006331592
一般式(4)において、A及びAは、それぞれ置換もしくは無置換の炭素数1〜炭素数18の脂肪族基又は置換もしくは無置換の芳香族基であり、AとAとは同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(4)で表される炭酸ジエステル(以下「炭酸ジエステル(4)」と称す場合がある。)としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。
なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、これらの不純物が重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
<エステル交換反応触媒>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、上述のようにジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)とをエステル交換反応させて製造される。より詳細には、エステル交換させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒存在下でエステル交換反応により重縮合を行う。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、単に「触媒」、「重合触媒」と言うことがある)は、特に得られるポリカーボネート樹脂組成物の波長350nmにおける光線透過率や、イエローインデックス(YI)値に影響を与え得る。
用いられる触媒としては、製造されたポリカーボネート樹脂組成物の耐光性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、成形性及び機械的強度のうち、とりわけて耐光性を満足させ得るものであれば、限定されないが、長周期型周期表における1族又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物の1種又は2種以上が挙げられる。好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用される。
上記の1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また、上記の1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
上記の1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられ、中でもリチウム化合物が好ましい。
上記の2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられ、中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、重合活性と得られるポリカーボネート樹脂組成物の色相の観点から、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましく、最も好ましくはカルシウム化合物である。
上記の塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
上記の塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
上記の塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
上記のアミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
上記重合触媒の使用量は、通常、重合に使用した全ジヒドロキシ化合物1mol当たり0.1μmol〜300μmol、好ましくは0.5μmol〜100μmolであり、中でもリチウム及び2族からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、特にはマグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を用いる場合は、金属量として、前記全ジヒドロキシ化合物1mol当たり、通常、0.1μmol以上、好ましくは0.5μmol以上、特に好ましくは0.7μmol以上とする。また上限としては、通常20μmol、好ましくは10μmol、さらに好ましくは3μmol、特に好ましくは1.5μmol、中でも1.0μmolが好適である。
触媒量が少なすぎると、重合速度が遅くなるため結果的に所望の分子量のポリカーボネート樹脂を得ようとすると、重合温度を高くせざるを得なくなり、得られたポリカーボネート樹脂の色相や耐光性が悪化したり、未反応の原料が重合途中で揮発して本発明のジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)のモル比率が崩れ、所望の分子量に到達しない可能性がある。一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂の色相の悪化を招き、ポリカーボネート樹脂の耐光性が悪化する可能性がある。
<フェノールの副生>
更に、炭酸ジエステル(4)として、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートを用いて、本発明に用いるポリカーボネート樹脂を製造する場合は、フェノール、置換フェノールが副生して、ポリカーボネート樹脂中に残存し、ポリカーボネート樹脂組成物中にも含有することは避けられないが、残存したフェノール、置換フェノールも芳香環を有することから紫外線を吸収し、耐光性の悪化要因になる場合があるだけでなく、成形時の臭気の原因となる場合がある。
ポリカーボネート樹脂中には、通常のバッチ反応後は1000重量ppm以上の副生フェノール等の芳香環を有する芳香族モノヒドロキシ化合物が含まれているが、耐光性や臭気低減の観点からは、脱揮性能に優れた横型反応器や真空ベント付の押出機を用いて、これらを脱揮除去し、ポリカーボネート樹脂中の前記芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量が700重量ppm以下、好ましくは500重量ppm以下、特には300重量ppm以下とすることが好ましい。ただし、ポリカーボネート樹脂中の芳香族モノヒドロキシ化合物を工業的に完全に除去することは困難であり、ポリカーボネート樹脂中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量の下限は通常1重量ppmである。
なお、これら芳香族モノヒドロキシ化合物は、用いる原料により、当然置換基を有していてもよく、例えば、炭素数が5以下であるアルキル基などを有していてもよい。
また、1族金属、中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、特にはナトリウム、カリウム、セシウムは、ポリカーボネート樹脂中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性がある一方で、該金属は使用する触媒からのみではなく、原料や反応装置から混入する場合があるため、ポリカーボネート樹脂中のこれらの金属の合計量は、金属量として、通常1重量ppm以下、好ましくは0.8重量ppm以下、より好ましくは0.7重量ppm以下となるようにする。
上記ポリカーボネート樹脂中の金属量は、湿式灰化などの方法でポリカーボネート樹脂中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
上記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、145℃未満がよく、130℃未満が好ましい。145℃より高いと、材料が脆くなり、実用使用時に破壊するおそれがある。一方、ガラス転移温度の下限は、80℃以上がよく、90℃以上が好ましい。80℃より低いと、実用使用時に熱変形するおそれがある。
<製造方法>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)とをエステル交換反応により重縮合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化等の不具合を招く。混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化し、耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の原料であるジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)とを混合する操作は、酸素濃度10vol%以下、更には0.0001vol%〜10vol%、中でも0.0001vol%〜5vol%、特には0.0001vol%〜1vol%の雰囲気下で行うことが、色相悪化防止の観点から好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂を得るためには、炭酸ジエステル(4)は、反応に用いるジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物に対して、0.90〜1.20のモル比率で用いることが好ましく、さらに好ましくは、0.95〜1.10のモル比率である。
このモル比率が小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂の末端水酸基が増加して、得られるポリカーボネート樹脂の熱安定性が悪化し、成形時に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望する高分子量体が得られない可能性がある。また、このモル比率が大きくなると、エステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂の製造が困難となる場合がある。エステル交換反応速度の低下は、重合反応時の熱履歴を増大させ、結果的に得られたポリカーボネート樹脂の色相や耐光性を悪化させる可能性がある。
さらには、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物に対して、炭酸ジエステル(4)のモル比率が増大すると、得られるポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、結果として本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物中の炭酸ジエステル含有量も増大する。ポリカーボネート樹脂組成物中の残存炭酸ジエステルは、紫外線を吸収してポリカーボネート樹脂組成物の耐光性を悪化させる場合がある。本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物中の炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは60重量ppm以下、更に好ましくは40重量ppm以下、特に好ましくは30重量ppm以下である。現実的にポリカーボネート樹脂組成物中には未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、濃度の下限値は通常1重量ppmである。
ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)とを重縮合させる方法は、上述の触媒の存在下、通常、複数の反応器を用いて多段階で実施される。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)のモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリカーボネート樹脂が得られなかったりして、結果的に本発明の目的を達成することができない可能性がある。
更には、留出するモノマーの量を抑制するために、重合反応器に還流冷却器を用いることは有効であり、特に未反応モノマー成分が多い重合初期の反応器でその効果は大きい。還流冷却器に導入される冷媒の温度は使用するモノマーに応じて適宜選択することができるが、通常、還流冷却器に導入される冷媒の温度・BR>ヘ該還流冷却器の入口において45℃〜180℃であり、好ましくは、80℃〜150℃、特に好ましくは100℃〜130℃である。還流冷却器に導入される冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下し、低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイル等が用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
重合速度を適切に維持し、モノマーの留出を抑制しながら、最終的なポリカーボネート樹脂組成物の色相や熱安定性、耐光性等を損なわないようにするためには、前述の触媒の種類と量の選定が重要である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で重合させて製造することが好ましいが、重合を複数の反応器で実施する理由は、重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制することが重要であり、重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の重合反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の製造に使用される反応器は、上述の通り、少なくとも2基以上であればよいが、生産効率などの観点からは、3基以上、好ましくは3〜5基、特に好ましくは、4基である。
反応器が2基以上であれば、その反応器内で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていく、などしてもよい。
重合触媒は原料調製槽や原料貯槽に添加することもできるし、重合槽に直接添加することもできるが、供給の安定性、重合の制御の観点からは、重合槽に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液として供給する。
重合反応の温度は、低すぎると反応速度の低下や反応時間の延長などにより生産性が低下し、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂の分解や着色を助長する可能性がある。
具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の最高温度として、140℃〜270℃、好ましくは180℃〜240℃、更に好ましくは200℃〜230℃で、110kPa〜1kPa、好ましくは70kPa〜5kPa、更に好ましくは30kPa〜10kPa(絶対圧力)の圧力下、0.1時間〜10時間、好ましくは0.5時間〜3時間、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。
第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力(絶対圧力)を200Pa以下にして、内温の最高温度210℃〜270℃、好ましくは220℃〜250℃で、通常0.1時間〜10時間、好ましくは、1時間〜6時間、特に好ましくは0.5時間〜3時間行う。
特にポリカーボネート樹脂の着色や熱劣化を抑制し、色相や耐光性の良好なポリカーボネート樹脂を得るには、全反応段階における内温の最高温度が250℃未満、特に225℃〜245℃であることが好ましい。また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴による劣化を最小限に抑えるためには、重合の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
所定の分子量のポリカーボネート樹脂を得るために、重合温度を高く、重合時間を長くし過ぎると、紫外線透過率が下がり、得られるポリカーボネート樹脂のイエローインデックス(YI)値が大きくなる傾向にある。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジフェニルやビスフェノールA等の原料として再利用することが好ましい。
[ペレット化]
上記のようにして得られたポリカーボネート樹脂は、重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮や、通常知られている、熱安定剤、中和剤、耐光安定剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練することも出来る。
押出機中の、溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150℃〜300℃、好ましくは200℃〜270℃、更に好ましくは230℃〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネート樹脂の熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や着色、ガスの発生を招く。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂を製造する際には、異物の混入を防止するため、押出機にフィルターを設置することが望ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として100μm以下が好ましい。特に、微少な異物の混入を嫌う場合は、40μm以下、さらには10μm以下が好ましい。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の押出は、押出後の異物混入を防止するために、好ましくはJISB 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルーム中で実施することが望ましい。
また、押出されたポリカーボネート樹脂を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、ヘパフィルター等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、さらにフィルターにて、水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは、99%除去の濾過精度として10μm〜0.45μmであることが好ましい。
[分子量、還元粘度]
このようにして得られたポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができ、還元粘度は、通常0.30dL/g以上であり、0.35dL/g以上が好ましく、還元粘度の上限は、通常1.20dL/g以下であり、1.00dL/g以下がより好ましく、0.80dL/g以下が更に好ましい。
ポリカーボネート樹脂の還元粘度が低すぎると成形品の機械的強度が小さい可能性があり、大きすぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性を低下させる傾向がある。
なお、ポリカーボネート樹脂の還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート溶液の濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定する。
[末端フェニル基濃度]
さらに、ポリカーボネート樹脂中の下記一般式(5)で表される末端基の濃度(末端フェニル基濃度)の下限量は、好ましくは20μeq/g、更に好ましくは40μeq/g、特に好ましくは50μeq/gであり、上限量は好ましくは160μeq/g、更に好ましくは140μeq/g、特に好ましくは100μeq/gである。
Figure 0006331592
ポリカーボネート樹脂の上記一般式(5)で表される末端基の濃度が、高すぎると重合直後や成形時の色相が良くても、紫外線曝露後の色相の悪化を招く可能性があり、逆に低すぎると熱安定性が低下するおそれがある。
上記一般式(5)で表される末端基の濃度を制御するには、原料であるジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル(4)のモル比率を制御する他、エステル交換反応時の触媒の種類や量、重合圧力や重合温度を制御する方法等が挙げられる。
また、ポリカーボネート樹脂中の芳香環に結合した水素原子の当量数を「A」、芳香環以外に結合した水素原子の当量数を「B」とした場合、芳香環に結合した水素原子の当量数の全水素原子の当量数に対する比率は、A/(A+B)で表されるが、耐光性には上述のように、紫外線吸収能を有する芳香族環が影響を及ぼす可能性があるため、A/(A+B)は0.05以下であることが好ましく、更に好ましくは0.04以下、特に好ましくは0.02以下、好適には0.01以下である。A/(A+B)は、1H−NMRで定量することができる。
[耐光安定剤]
ポリカーボネート樹脂組成物は、耐光安定剤を含有することが好ましい。
耐光安定剤とは、主に紫外線等の光による樹脂の劣化を防止し、光に対する安定性を向上させる作用を有するものであり、耐光安定剤としては、紫外線などの光を吸収し、そのエネルギーを熱エネルギーなどのポリマーの分解に寄与しないエネルギーとして変換して放出するものが挙げられる。より具体的には、紫外線そのものを吸収する紫外線吸収剤や、ラジカル捕捉作用のある耐光安定剤等を挙げることができる。
なかでも耐光安定剤としては、塩基性化合物が好ましく、更にはアミン化合物が好ましい。通常、ポリカーボネート樹脂は、アルカリなどの塩基成分に対して常温でも不安定であることが知られており、アミン化合物によっても加水分解を受けることが知られているが、ポリカーボネート樹脂においては逆に、塩基性化合物を混合することにより、更にはアミン化合物を混合することにより、紫外線などの光に対する安定性が飛躍的に向上し、しかも加水分解などの劣化が非常に小さくなる。なかでも、窒素が環式構造の一部となっている構造を有するものが好ましく、ピペリジン構造を有するヒンダードアミン系耐光安定剤であることがより好ましい。ここで規定するピペリジン構造には、飽和6員環状のアミン構造となっていれば如何なる構造であっても構わず、ピペリジン構造の一部が置換基により置換されているものも含む。該ピペリジン構造が有していてもよい置換基としては、炭素数4以下のアルキル基が挙げられ、特にはメチル基が好ましい。アミン化合物としては、更には、ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、複数のピペリジン構造を有する場合、それらのピペリジン構造がエステル構造により連結されている化合物が好ましい。特には下記式(6)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006331592
上記式(6)で表される化合物よりなる耐光安定剤の市販品としては、ADEKA社製「アデカスタブLA−77」がある。
その他、市販の耐光安定剤としては、下記式(7)で表されるヒンダードアミン系耐光安定剤であるBASFジャパン社製「チヌビン765」、下記式(8)で表されるヒンダードアミン系耐光安定剤であるBASFジャパン社製「キマソーブ944FDL」、下記式(9)で表されるヒンダードアミン系耐光安定剤であるBASFジャパン社製「キマソーブ2020FDL」などを用いることもできる。
Figure 0006331592
これらの耐光安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような耐光安定剤をポリカーボネート樹脂組成物に含有させることにより、前記特定照射処理I前後のΔEを小さくすることができ、白濁が防止され、透明性及び機械的強度に優れたポリカーボネート樹脂成形品としての携帯電話用筐体を得ることができる。
ポリカーボネート樹脂組成物中のかかる耐光安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して好ましくは0.0001重量部〜1重量部、更に好ましくは0.001重量部〜0.8重量部、特に好ましくは0.01重量部〜0.5重量部、最も好ましくは0.05重量部〜0.15重量部である。耐光安定剤の含有量が多過ぎると、着色する傾向があり、一方、少な過ぎると耐候試験に対する十分な改良効果が得られない傾向がある。
[離型材]
ポリカーボネート樹脂組成物は溶融成形時の上記樹脂成形用金型装置からの離型性をより向上させるために、更に離型剤を含有していることが好ましい。
離型剤としては、高級脂肪酸、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、蜜蝋等の天然動物系ワックス、カルナバワックス等の天然植物系ワックス、パラフィンワックス等の天然石油系ワックス、モンタンワックス等の天然石炭系ワックス、オレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられ、高級脂肪酸、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステルが特に好ましい。
高級脂肪酸エステルとしては、置換又は無置換の炭素数1〜炭素数20の一価又は多価アルコールと置換又は無置換の炭素数10〜炭素数30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、置換又は無置換の炭素数10〜炭素数30の飽和脂肪酸が好ましい。このような飽和脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
かかる離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.0001重量部以上、更に好ましくは0.01重量部以上、特に好ましくは0.1重量部以上、一方、好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.7重量部以下、特に好ましくは0.5重量部以下である。
ポリカーボネート樹脂に配合する前記離型剤の添加時期、添加方法は特に限定されない。添加時期としては、例えば、エステル交換法でポリカーボネート樹脂を製造した場合は重合反応終了時;さらに、重合法に関わらず、ポリカーボネート樹脂と他の配合剤との混練途中等のポリカーボネート樹脂が溶融した状態のとき;押出機等を用い、ペレット又は粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂とブレンド・混練する際;等が挙げられる。添加方法としては、ポリカーボネート樹脂に前記離型剤を直接混合又は混練する方法;少量のポリカーボネート樹脂又は他の樹脂等と前記離型剤を用いて作成した高濃度のマスターバッチとして添加する方法;などを採用することができる。
[酸化防止剤]
ポリカーボネート樹脂組成物は、酸化防止剤を含んでいても良い。
酸化防止剤としてはホスファイト系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができるが、好ましくは、ホスファイト系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤の併用である。
(ホスファイト系酸化防止剤)
上記のホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましく使用される。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
上記のホスファイト系酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.0001重量部以上、更に好ましくは0.0002重量部以上、特に好ましくは0.0003重量部以上、一方、好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.1重量部以下、特に好ましくは0.01重量部以下である。
ホスファイト系酸化防止剤の含有量が過度に少ないと、成形時の着色抑制効果が不十分になることがある。また、ホスファイト系酸化防止剤の含有量が過度に多いと、射出成形時における金型への付着物が多くなったりすることにより、製品の表面外観が損なわれるおそれがある。
(フェノール系酸化防止剤)
上記のフェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の化合物が挙げられる。
これらの化合物の中でも、炭素数5以上のアルキル基によって1つ以上置換された芳香族モノヒドロキシ化合物が好ましく、具体的には、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が更に好ましい。
ここで、フェノール系酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは、0.0001重量部以上、さらに好ましくは0.0002重量部以上、特に好ましくは0.0003重量部以上、一方、好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.1重量部以下、特に好ましくは0.01重量部以下である。
フェノール系酸化防止剤の含有量が過度に少ないと、成形時の着色抑制効果が不十分になることがある。また、フェノール系酸化防止剤の含有量が過度に多いと、射出成形時における金型への付着物が多くなったりすることにより、製品の表面外観が損なわれるおそれがある。
(イオウ系酸化防止剤)
上記のイオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ビス[2−メチル−4−(3−ラウリルチオプロピオニルオキシ)−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、オクタデシルジスルフィド、メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール、1,1’−チオビス(2−ナフトール)などを挙げることができる。上記のうち、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が好ましい。
ここで、イオウ系酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは、0.0001重量部以上、さらに好ましくは0.0002重量部以上、特に好ましくは0.0003重量部以上、一方、好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.1重量部以下、特に好ましくは0.01重量部以下である。
イオウ系酸化防止剤の含有量が過度に少ないと、成形時の着色抑制効果が不十分になることがある。また、イオウ系酸化防止剤の含有量が過度に多いと、射出成形時における金型への付着物が多くなったりすることにより、製品の表面外観が損なわれるおそれがある。
ポリカーボネート樹脂組成物はホスファイト系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤をそれぞれ単独で含有しても着色抑制の効果の発現は乏しく、双方含有することで、成形時の着色抑制に多大な効果を発揮する可能性がある。
ホスファイト系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤を併用する場合、これらの合計でポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.0001重量部以上、更に好ましくは0.0002重量部以上、特に好ましくは0.0003重量部以上、一方、好ましくは1重量部以下、更に好ましくは0.5重量部以下、特に好ましくは0.3重量部以下となるように用いることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂に配合する前記酸化防止剤の添加時期、添加方法は特に限定されない。添加時期としては、例えば、エステル交換法でポリカーボネート樹脂を製造した場合は重合反応終了時;さらに、重合法に関わらず、ポリカーボネート樹脂と他の配合剤との混練途中等のポリカーボネート樹脂が溶融した状態のとき;押出機等を用い、ペレット又は粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂とブレンド・混練する際;等が挙げられる。添加方法としては、ポリカーボネート樹脂に前記酸化防止剤を直接混合又は混練する方法;少量のポリカーボネート樹脂又は他の樹脂等と前記酸化防止剤を用いて作成した高濃度のマスターバッチとして添加する方法などを採用することができる。
{その他の添加剤}
ポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形機内の滞留時間が長くなった場合における着色を抑制するために、更に酸性化合物又はその誘導体を含有していてもよい。
酸性化合物又はその誘導体としては、例えば、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、クエン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの酸性化合物又はその誘導体の中でも、スルホン酸類又はそのエステル類が好ましく、中でも、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチルが特に好ましい。
酸性化合物又はその誘導体の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは0.00001重量部以上、更に好ましくは0.0001重量部以上、特に好ましくは0.0002重量部以上、一方、好ましくは0.1重量部以下、更に好ましくは0.01重量部以下、特に好ましくは0.001重量部以下である。
酸性化合物又はその誘導体の配合量が過度に少ないと、射出成形する際に、ポリカーボネート樹脂組成物の射出成形機内の滞留時間が長くなった場合における着色を抑制することが充分に出来ない場合がある。また、酸性化合物又はその誘導体の配合量が過度に多いと、ポリカーボネート樹脂組成物の耐加水分解性が著しく低下する場合がある。
これらの酸性化合物又はその誘導体は、上述したポリカーボネート樹脂の重縮合反応において使用される塩基性エステル交換触媒を中和する化合物として、ポリカーボネート樹脂組成物の製造工程において添加することができる。
[着色剤]
ポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、着色剤を含有することができる。
着色剤としては特に制限が無いが、無機顔料、有機顔料、有機染料等が挙げられ、着色できるものであれば特に制限は無い。
上記の無機顔料としては具体的には例えば、カーボンブラック;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料等;が挙げられる。
上記の有機顔料や有機染料としては具体的には例えばフタロシアニン系染顔料;アゾ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の縮合多環染顔料;アンスラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、メチン系、キノリン系、複素環系、メチル系の染顔料等が挙げられる。
これら着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂組成物に配合する前記着色剤の添加時期、添加方法は特に限定されない。添加時期としては、例えば、エステル交換法でポリカーボネート樹脂を製造した場合は重合反応終了時;さらに、重合法に関わらず、ポリカーボネート樹脂と他の配合剤との混練途中等のポリカーボネート樹脂が溶融した状態のとき;押出機等を用い、ペレットまたは粉末等の固体状態のポリカーボネート樹脂とブレンド・混練する際等が挙げられる。添加方法としては、ポリカーボネート樹脂に前記着色剤を直接混合または混練する方法;少量のポリカーボネート樹脂または他の樹脂等と前記着色剤を用いて作成した高濃度のマスターバッチとして添加する方法等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂組成物に着色剤を配合する場合、着色剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下、特に好ましくは1重量部以下、一方、好ましくは0.00001重量部以上、更に好ましくは0.00005重量部以上、特に好ましくは0.0001重量部以上である。
着色剤の配合量が過度に少ないと、目的とする着色を得ることができず、着色剤の配合量が過度に多いと、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性が低下する場合がある。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造]
ポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、帯電防止剤を含有することができる。
また、ポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、ASなどの合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、ゴムなどの1種又は2種以上を含んでいてもよいが、本発明に用いるポリカーボネート樹脂を用いることによる効果を得る上で、本発明に用いるポリカーボネート樹脂組成物中の全樹脂成分(高分子成分)中の本発明に用いるポリカーボネート樹脂の割合は50重量%以上、特に60重量%〜100重量%であることが好ましい。
さらに、ポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、樹脂組成物に通常用いられる核剤、難燃剤、難燃助剤、無機充填剤、衝撃改良剤、加水分解抑制剤、発泡剤等が含まれていても差し支えない。
{ポリカーボネート樹脂組成物の製造}
ポリカーボネート樹脂組成物は、上記成分を同時に、又は任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。
このようにして得られるポリカーボネート樹脂組成物は、耐光性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性、成形性、表面硬度及び機械的強度に優れたものである。
「樹脂射出成形用金型装置]
以下において、ポリカーボネート樹脂組成物を、単に「樹脂組成物」と称する場合がある。
この発明の射出成形方法にかかる樹脂射出成形用金型装置は、図1に示すように、樹脂成形用金型装置1を構成する2つの型、すなわち、固定側金型2及び可動側金型3から構成される。
そして、この金型2,3は、図1、図2に示すように、成形のためのキャビティ4、樹脂組成物を導入するためのスプルー5、スプルー5から導入された樹脂組成物を前記キャビティに4誘導するランナー6、及びこのキャビティ4とランナー6とを接続するゲート7,8,9を有する。
前記キャビティ4は、固定側金型2と可動側金型3を閉じることにより、構成される。このキャビティ4は、上記固定側金型2のキャビティ面(意匠面側キャビティ面)4aと、可動側金型3のキャビティ面(非意匠面側キャビティ面)4bとから構成される。
供給樹脂組成物は、図1のスプルー5から、図2に示すランナー6、ゲート7を介して、キャビティ4に供給される。このランナー6は、図2に示すように、キャビティ4の少なくとも一方の端部に補助ゲート8,9を介して連結されると共に、キャビティ4の中央部付近にサイドゲート7を介して連結される。
この射出成形用金型は、大型成形品を成形する射出成形用の金型である。
具体的には、この射出成形用金型の投影面積は、50000mm以下がよく、40000mm以下が好ましい。50000mmより大きいと、肉厚が薄い場合はショートショット、肉厚が厚い場合はひけ不良が発生するおそれがある。一方、投影面積の下限は、10000mmがよく、20000mmが好ましい。10000mmより小さくてもよいが、一般的なゲート(一定断面)で充分である。
なお、投影面積とは、成形品の面積をいい、図2においては、凹状の部分の面積に相当する。
また、この射出成形用金型1の最大流動長はゲートとキャビテイの結合部から、400mm以下がよく、350mm以下が好ましい。400mmより長いと、ショットショットという問題点を生じる場合がある。一方、最大流動長の下限は、100mmがよく、200mmが好ましい。100mmより短くてもよいが、一般的な均一断面のゲートで充分である。
さらに、この射出成形用金型1のキャビティ4の最大厚み、すなわち、製品の最大肉厚は、2.0mm以上がよく、2.5mm以上が好ましい。2.0mmより薄いと、成形品の製品剛性が低く、自重で変形する傾向がある。一方、製品の最大肉厚の上限は、4.0mmがよく、3.5mmが好ましい。4.0mmより厚いと、ひけ不良が発生するおそれがある。
前記のゲート7,8,9の幅は、5mm以上がよく、8mm以上が好ましい。5mmより狭いと、シルバーストリークが発生しやすくなる。一方、ゲート幅の上限は、20mmがよく、15mmが好ましい。20mmより広いと、ゲートカットに特殊な治具が必要となる場合がある。
前記ゲート7,8,9は、図3(a)〜(b)に示すように、キャビティ面4a(4b)からランナー6に向かって、10°〜30°広がるテーパー(デーパの角度は、図3(a)〜(b)に示すθに相当)であることがよく、15°〜25°であることが好ましい。この範囲を満たすことにより、樹脂組成物の流れが良くなり、シルバーストリークの発生を抑制し、かつ溶融樹脂の最大流動長を長くすることが可能となる。(最大流動長は金型により決まるものであり、テーパにより決まらない。)
「樹脂成形用金型装置を用いての射出成形]
上記樹脂成形用金型装置を用いて射出成形体を製造する方法としては、下記の方法があげられる。
まず、射出成形機のホッパー等に樹脂組成物を投入する。次いで射出装置の加熱シリンダにより樹脂組成物を溶融させる。このときの加熱シリンダの設定温度の最高値は、230〜260℃がよく、240〜250℃が好ましい。加熱シリンダの設定温度の最高値が低すぎると、前記樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、十分な射出成形が困難となる場合がある。加熱温度の設定温度の最高値が高くなりすぎると、樹脂組成物が着色する場合があり、射出成形品の色調が悪化する可能性がある。
なお、前記の加熱シリンダの設定温度の最高値は、シリンダノズルの先端部分の設定温度を除いた場合の設定温度の最高値が好ましい。これは、一般的に、加熱シリンダーを通過し、スプルー5に射出される樹脂組成物の温度は、加熱シリンダの設定温度のうち、最高値の温度に近い温度になる傾向がある。しかし、シリンダノズルの先端部分では、すぐに樹脂組成物が射出されるので、この先端部分の設定温度には影響されにくいからである。
次に、可動側金型3を固定側金型2に接触させて、金型を閉じる。
次いで、射出により樹脂成形用金型装置のスプルー5,ランナー6、サイドゲート7、補助ゲート8,9を介して、溶融した樹脂組成物をキャビティ4内に充填すると共に、その圧力を保持する。
この充填の際の射出率(せん断速度、「2次元」に置き換えられる。)は、30cm/sec以上がよく、40cm/sec以上が好ましい。30cm/secより小さいと、キャビティ内で樹脂組成物が早く固化するおそれがある。一方、射出率の上限は、80cm/secがよく、60cm/sec好ましい。80cm/secより大きいとシルバーストリーク、フローマークが発生しやすい。
また、前記の加熱された加熱シリンダの設定温度の最高値と、射出成形時のゲート部(7,8,9)における前記樹脂組成物の温度との差が30℃以下がよく、20℃以下が好ましい。30℃より高いと、シルバーストリークが生じるおそれがある。一方、この温度の差はできるだけ小さい方が良く、その下限をあえてあげるなら、5℃がよく、0℃が好ましい。
ところで、前記の射出成形時のゲート部(7,8,9)における前記樹脂組成物の温度が、前記の加熱された加熱シリンダの設定温度の最高値より高くなる。これは、せん断発熱が生じるためである。このせん断発熱とは、溶融樹脂組成物が金型キャビティに充填され、キャビティ面から樹脂組成物温度が下がり固化層が形成され、肉厚中心部の流動層との界面でせん断変形が起こり、発熱する現象をいう。このため、このせん断発熱が生じると、樹脂組成物の温度は、前記シリンダ設定温度より、このせん断発熱の分だけ上昇する。
その後、キャビティ内の樹脂組成物を冷却して、金型を開き、樹脂成形体を取り出す。
上記樹脂成形用金型装置は、固定側金型2に冷却管10が、可動側金型3に冷却管11が配置されており、図示していないが、個々に金型温度を調整できるように、別々の金型温調機から連結され、通水することができる。
使用する樹脂組成物の種類によって相違するが、上記のポリカーボネート樹脂組成物を用いる場合は、射出成形機の加熱シリンダ温度の最高値を230℃〜260℃とし、上記樹脂成形用金型装置の金型温度を40℃〜90℃とすることが好ましい。
[各種樹脂パネル]
上述した樹脂成形用金型装置を用いて、上記ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形することにより、樹脂パネル、表示パネルなどの樹脂射出成形体を製造することができる。
本発明の製造方法で製造された樹脂射出成形体は、特に、その耐候性、透明性による着色鮮鋭性及びこれらの特性の長期耐久性を利用して、各種樹脂製表示パネルなどに好適に用いられる。
以下、実施例、比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例になんら限定されるものではない。
<原材料>
・ISB…イソソルビド、ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB
・CHDM…1,4−シクロヘキサンジメタノール、新日本理化(株)製、商品名:SKY CHDM
・DPC…ジフェニルカーボネート、三菱化学(株)製
・AS2112…化合物名:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、(株)ADEKA製
・IRGANOX1010…化合物名:ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート、BASFジャパン(株)製
・E−275…化合物名:ジステアリン酸エチレングリコール、日油(株)製
<測定方法・評価方法>
(1)ポリカーボネート樹脂中の各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比(組成比率)の測定
ポリカーボネート樹脂中の各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比は、ポリカーボネート樹脂30mgを秤取し、重クロロホルム約0.7mLに溶解し、溶液とし、これを内径5mmのNMR用チューブに入れ、日本電子社製JNM−AL400(共鳴周波数400MHz)を用いて常温でH−NMRスペクトルを測定した。各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に基づくシグナル強度比より各ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位比を求めた。該構造単位比を単に組成比率と称することがある。
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製DSC6220)を用いて測定した。ポリカーボネート樹脂試料約10mgを同社製アルミパンに入れて密封し、50mL/分の窒素気流下、昇温速度20℃/分で室温から250℃まで昇温した。3分間温度を保持した後、30℃まで20℃/分の速度で冷却した。30℃で3分保持し、再び200℃まで20℃/分の速度で昇温した。2回目の昇温で得られた測定データのDDSCのピークトップの値をTgとした。
(3)還元粘度の測定
ポリカーボネート樹脂のサンプルを、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタン塩化メチレンの質量比1:1の混合溶媒を用いて溶解し、1.00g/dLの濃度のポリカーボネート樹脂溶液を精密に調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間tとポリカーボネート樹脂溶液の通過時間tから次式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t
相対粘度から次式より比粘度ηspを求めた。
ηsp=(η−η)/η=ηrel−1比粘度を濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
(4)せん断速度のシュミュレーション
東レエンジニアリング(株)の流動解析ソフト(3D−TIMON)を使用してゲート部分のせん断発熱(ΔT)は予測した。
製品形状、ゲート形状を2次元要素、スプルー・ランナーを3次元要素で作成した。
樹脂組成物データは、溶融粘度はキャピラリーレオメーター、比熱はDSC、熱伝導率はK−システム、密度を実測し、解析データとした。
成形条件の入力は、実際の樹脂温度、充填時間を実測し、解析データとした。
[イソソルバイドポリカーボネート樹脂組成物(以下、「ISP樹脂組成物」と呼ぶことがある)の製造方法]
(製造例1)
撹拌翼及び100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、ISBとCHDM、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPC及び酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換して、酸素濃度0.0005体積%〜0.001体積%に調節した。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。
重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。このようにしてオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼及び上記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温及び減圧を開始して、60分で内温220℃、圧力200Paにした。
その後、20分かけて内温230℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で復圧し、内容物をストランドの形態で抜出し、回転式カッターでポリカーボネート樹脂のペレットにした。
得られたポリカーボネート樹脂中のISBに由来する構造単位とCHDMに基づく構造単位とのモル比は70:30であった。又、該ポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.44dL/gであり、ガラス転移温度は128℃であった。
(樹脂組成物の調製)
製造例1において製造したポリカーボネート樹脂のペレットを、さらに酸化防止剤であるAS2112を0.05重量%、IRGANOX1010を0.1重量%、離型剤であるE−275を0.3重量%配合し、日本製鋼所社製2軸押出機(TEX30HSS−32)を用いて、樹脂温度250℃で押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化することによりポリカーボネート樹脂組成物を製造した。
[実施例1]
樹脂成形用金型として、図1〜図4に示す射出成形用金型を用いた。
この金型は、図2に示す可動側金型と固定側金型で形成される樹脂組成物を充填するための凹形状部(幅340mm、長さ320mm、最大肉厚3mm)のキャビティが1個形成されている。
固定側金型の金型温度は、図1に示す冷却管10に、図示していないが金型温調機から80℃の温水を通水し80℃に調整した。
可動側金型の金型温度は、図1に示す冷却管11に、図示していないが金型温調機から80℃の温水を通水し80℃に調整した。
成形機は、(株)名機製作所のNADEM2000II2色成形機を用いた。前記ポリカーボネート樹脂組成物を加熱シリンダの最高温度250℃にて溶融し、可動側金型3を固定側金型2に接触させて、金型を閉じ、図3に示す上記樹脂成形用金型のスプルー5,ランナー6、サイドゲート7−1(図3(a)のサイドゲート)(W=10.T1(製品側最大肉厚1.5mm、テーパー30°)を介して、前記ポリカーボネート樹脂組成物をキャビティ4内に、4.5秒で射出率52cm/secにて等速充填すると共に、その圧力を保持する。その後、キャビティ内の樹脂組成物を冷却して、金型を開き、樹脂成形体を取り出した。
樹脂組成物データ、金型情報、成形条件を、東レエンジニアリング(株)の流動解析ソフト(3D−TIMON)で解析した結果、射出成形時の加熱シリンダの最高温度とゲート部分との温度差(ΔT)は+10℃であった。
得られた樹脂成形体は、樹脂パネルとしての機能は満足でき、樹脂成形体は全面に亘って美麗な外観を呈していた。
[実施例2]
サイドゲート7−1をサイドゲート7−2(図3(b)のサイドゲート)に(W=10.T1(製品側最大肉厚1.5mm、テーパー10°)にした以外は、
実施例1と同じ条件で射出成形を行った。
樹脂組成物データ、金型情報、成形条件を、東レエンジニアリング(株)の流動解析ソフト(3D−TIMON)で解析した結果、射出成形時の加熱シリンダの最高温度とゲート部分との温度差(ΔT)は+20℃であった。
得られた樹脂成形体は、樹脂パネルとしての機能は満足でき、樹脂成形体は全面に亘って美麗な外観を呈していた。
[比較例1]
サイドゲート7−1をサイドゲート7−3(図4(a)のサイドゲート)に(W=10.T1(製品側最大肉厚1.5mm、テーパー無し)にした以外は、実施例1と同じ条件で充填を行った。キャビティに完全に樹脂組成物は充填せず、補助ゲート8,9を使用して成形品を得た。
得られた樹脂成形体は、ウエルドラインが2本発生し、樹脂パネルとしての塗装処理が必要であった。
樹脂組成物データ、金型情報、成形条件を、東レエンジニアリング(株)の流動解析ソフト(3D−TIMON)で解析した結果、射出成形時の加熱シリンダの最高温度とゲート部分との温度差(ΔT)は+40℃であった。
[比較例2]
サイドゲート7−1をサイドゲート7−4(図4(b)のサイドゲート)に(W=10.T1(製品側最大肉厚2.8mm、テーパー無し)にした以外は、実施例1と同じ条件で充填を行った。
得られた樹脂成形体は、樹脂パネルとしての機能は満足でき、樹脂成形体は全面に亘って美麗な外観を呈していが。ゲートカットに特殊治具(ホットカット)が必要であった。
樹脂組成物データ、金型情報、成形条件を、東レエンジニアリング(株)の流動解析ソフト(3D−TIMON)で解析した結果、射出成形時の加熱シリンダの最高温度とゲート部分との温度差(ΔT)は+15℃であった。
[比較例3]
サイドゲート7−1をサイドゲート7−5(図4(c)のサイドゲート)に(W=10.T1(製品側最大肉厚2.8mm、テーパー50°)にした以外は、実施例1と同じ条件で充填を行った。
得られた樹脂成形体は、ゲート近傍の成形品表面にフローマークが発生し、樹脂パネルとしての塗装処理が必要であった。
樹脂組成物データ、金型情報、成形条件を、東レエンジニアリング(株)の流動解析ソフト(3D−TIMON)で解析した結果、射出成形時の加熱シリンダの最高温度とゲート部分との温度差(ΔT)は+10℃であった。
1 金型
2 固定側金型
3 可動側金型
4 キャビティ
5 スプルー
6 ランナー
7 サイドゲート
8 補助ゲート
9 補助ゲート
10 固定側冷却管
11 可動側冷却管

Claims (6)

  1. 加熱シリンダを有する射出装置により樹脂組成物を溶融し、ゲート、ランナー及びキャビティーを少なくとも有する金型に射出成形する方法であって、
    前記樹脂組成物が下記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂を含有し、
    前記ポリカーボネート樹脂が、下記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物であり、かつ、分子構造内に芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物に由来する構造単位をさらに含み、
    前記ポリカーボネート樹脂を構成する全てのジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する、下記一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位の割合は、20mol%以上、90mol%以下であり、
    下記一般式(1)で表される化合物として、下記一般式(2)で表される化合物を用い、
    前記樹脂組成物中の全樹脂成分(高分子成分)中の前記ポリカーボネート樹脂の割合が60重量%〜100重量%である樹脂組成物であり、
    成形時の射出率は、30〜80cm/secの範囲であり、且つ、
    前記加熱シリンダの設定温度の最高値と射出成形時のゲート部における前記樹脂組成物の温度との差が30℃以下であることを特徴とする樹脂組成物の射出成形方法。
    Figure 0006331592
    Figure 0006331592
  2. 加熱シリンダの設定温度の最高値が230〜260℃であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
  3. 前記ゲート幅は5〜20mmであり、
    前記ゲートは、キャビティ面からランナーに向かって、10°〜30°広がるテーパーを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
  4. 前記射出成形用金型は、投影面積10000mm以上50000mm以下、最大流動長100mm以上400mm以下、製品の最大肉厚2.0mm以上4.0mm以下の成形品を成形する金型であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
  5. 前記の上記一般式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物であり、かつ、分子構造内に芳香環構造を有しないジヒドロキシ化合物が、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
  6. 前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が90℃以上145℃未満である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の射出成形方法。
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