JP6331222B2 - 水まわり用金属部材 - Google Patents
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Description
本発明の基材は、水まわり用金属部材である。水まわり用金属部材としては、部材の表面が金属であればよい。よって、部材が金属のみで構成されていてもよいし、部材の表面のみが金属であり、表面の下の基材が樹脂などの金属以外の材料で構成されていてもよい。
本発明のアモルファスカーボン層は、炭素原子および水素原子を含む非晶質の化合物である。
本発明では、アモルファスカーボン層と基材との間に、中間層が存在してもよい。中間層は、炭素、水素、ケイ素を含有することが好ましい。中間層に含まれるケイ素の量は、アモルファスカーボン層に含まれるケイ素の量よりも多い方が好ましい。このような中間層を設けることで、アモルファスカーボン層と基材の密着性を向上させることが可能となる。中間層にケイ素と炭素の結合を含むことで、アモルファスカーボン層と中間層の密着向上させることが可能となる。
アモルファスカーボン層を形成する方法としては、物理蒸着法(PVD法)又は化学蒸着法(CVD法)が挙げられる。PVD法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、プラズマイオン注入製膜法などが挙げられる。
本発明では、基材表面にアモルファスカーボン層または中間層を形成する際に、基材の前処理を行うことができる。前処理は、(1)基材表面に付着した有機や無機の吸着物を除去、(2)酸化物層の除去による密着性の向上、(3)基材表面粗さの調整、(4)基材表面のプラズマにより活性化等の目的で実施される。前処理は、中間層やアモルファスカーボン層を形成する同一プロセスで行っても良いし、別プロセスとして行っても良い。
(成膜装置)
成膜には、スパッタリング成膜装置を用いた。
基材として、ステンレス鋼(SUS304)を用いた。また、基材表面の汚れを除去するために、イオン交換水およびアセトンによる超音波洗浄を順次実施した。
基材を前述の成膜装置の真空容器の内部にセッティングし、真空排気装置により高真空状態(1Pa以下)まで減圧した。アモルファスカーボン層の原料には、固体カーボンのスパッタリングターゲットを用いた。真空容器内に、プロセスガスとしてアルゴンガスと炭化水素ガスの混合ガスを導入し、容器内の圧力を調整した。高周波出力300W、基材温度を100℃以下とし、所定の処理時間の成膜を行うことにより、基材上にアモルファスカーボン層を形成し、サンプルを得た。
得られたサンプルのアモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる水素原子の量を以下の方法により測定した。測定には、弾性反跳粒子検出法(ERDA:ElasticRecoilDetectionAnalysis)を用いた。測定装置として、高分解能RBS分析装置HRBS1000(KOBELCO社製)を使用した。測定条件は、加速電圧:500kV、イオン種:窒素イオンとした。アモルファスカーボン層において、アモルファスカーボン層の表面から、アモルファスカーボン層の表面からの深さが60nmまでの領域の測定データを得た。得られた測定データは、専用解析ソフト(名称:analysisIB、KOBELCO社製)を用いて解析を行った。まず、測定データを標準試料の測定データと比較し、アモルファスカーボン層の表面からの深さに対する水素原子の量を算出し、アモルファスカーボン層の表面からの深さに対する水素原子の量を示すプロファイルを作成した。標準試料として、層中の水素原子の量が20atm%であるアモルファスカーボン層が形成された試料を用いた。アモルファスカーボン層の表面からの深さが10nm以上30nm以下の領域において、5nmごとに水素原子の量を算出した。この得られた5点のデータについて平均値を算出した。この得られた平均値をアモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる水素原子の量とした。その結果、実施例1のサンプルのアモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる水素原子の量は12atm%であった。
一軸往復式の摺動試験装置により、アモルファスカーボン層の表面の耐摺動性試験を実施した。試験の方法は、面圧が250g/cm2、移動速度が70mm/secの条件で、サンプルの表面にメラミンフォームスポンジ(レック株式会社製)を450回往復摺動した。この後、サンプル表面状態を目視によって観察した。アモルファスカーボン層の外観に変化はなかった。
上記の耐摺動性試験を実施したサンプルに対し、防汚耐久性評価を実施した。まず、アモルファスカーボン層の表面に、水道水を滴下し、温度25℃、湿度が70%の空気中で24時間放置することにより、サンプル表面に水垢を形成した。
このようにして得られた水垢を形成したサンプルの防汚耐久性を一軸往復式の摺動試験装置を用いて以下の条件で評価した。
洗剤をアモルファスカーボン層の表面に適量塗布し、面圧が100g/cm2、移動速度が35mm/secの条件で、浴室清掃用の市販のスポンジ(品名スコッチ・ブライト(登録商標)、品番BM−12K、住友スリーエム社製)のウレタンフォーム面を用いて、アモルファスカーボン層の表面に対して10回往復摺動させた。洗剤として、浴室清掃用の中性洗剤(品名:浴室用合成洗剤、メーカー:花王株式会社製、液性:中性)又は水栓金具清掃用の研磨剤入り洗剤(品名:磨き材、品番:ENL600、メーカー:TOTO株式会社製、液性:弱アルカリ性)を用いた。その後、サンプル表面の洗剤を流水で洗い流し、エアダスターで水分を除去した。サンプル表面に水垢が残存しているかを目視で判断した。その結果、洗剤として中性洗剤を用いた場合は水垢が残存していたが、洗剤として研磨剤入り洗剤を用いた場合は水垢が除去されていた。
超微小押し込み硬さ試験機(ENT−2100、株式会社エリオニクス社製、三角錐ダイヤモンド圧子)を用いて硬度を測定した。測定条件は、試験荷重0.1mN、ステップインターバル20msec、保持時間5000msecで行った。
膜硬度の値として、10回測定を行い、最大値と最小値を除いた8個の測定値の平均値を用いた。膜硬度は6GPa以上であった。
(成膜装置)
成膜には、プラズマCVD成膜装置を用いた。
基材として、黄銅上に電解ニッケルめっきを15μmと電解クロムめっきを0.1μm施した水栓金具を用いた。また、めっき表面の汚れを除去するために、イオン交換水およびアセトンによる超音波洗浄を順次実施した。
基材を真空容器の内部にセッティングし、真空排気装置により高真空状態(1Pa以下)まで減圧した。次に、アルゴンガスを導入し、真空容器内の圧力が0.7Paとなるように調整した。高周波出力500W、基材温度100℃以下とし、約5分間の処理を行うことにより、基材表面を調整した。
中間層の原料には、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用いた。真空装置内にHMDSOを導入し、真空容器内の圧力が所定の範囲(1〜0.1Pa)となるように調整した。成膜条件は、高周波出力として200〜800Wの範囲の所定の出力値、基材温度として100℃以下を用い、所定の処理時間の成膜を行うことにより、基材表面に中間層を形成した。
アモルファスカーボン層の原料には、アセチレン及びトルエンガスを用いた。トルエンガスを導入し、真空容器内の圧力が所定の範囲(1〜0.1Pa)となるように調整した。成膜条件は、高周波出力値として200〜800Wの範囲の所定の出力値、基材温度として100℃以下を用い、所定の処理時間の成膜を行うことにより、中間層上にアモルファスカーボン層を形成し、サンプルを得た。
実施例3は、実施例2に対してアモルファスカーボン層成膜工程の真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
実施例4は、実施例2に対してアモルファスカーボン層成膜工程の真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
実施例5は、実施例2に対してアモルファスカーボン層成膜工程の真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
実施例5は、実施例2に対してアモルファスカーボン層成膜工程の真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
比較例1は、実施例1に対してプロセスガスとしてアルゴンの単体ガスを用いたこと以外は同様の方法によりサンプルを得た。
比較例2は、実施例2に対してアモルファスカーボン層成膜工程の真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
Claims (5)
- 外表面が水道水に曝露される環境で、前記外表面が目視される状態で用いられ、水道水による水垢付着が抑制された水まわり用金属部材において、
前記水まわり金属部材の表面にアモルファスカーボン層が形成されており、
前記アモルファスカーボン層の表面からの深さが10nm以上30nm以下の領域に含まれる水素原子の量が12atm%以上25atm%以下であることを特徴とする、水まわり用金属部材。 - 前記アモルファスカーボン層の表面からの深さが10nm以上30nm以下の領域に含まれる水素原子の量が、15atm%より多く25atm%未満であることを特徴とする、請求項1に記載の水まわり用金属部材。
- 前記アモルファスカーボン層の硬度は2GPa以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の水まわり用金属部材。
- 前記アモルファスカーボン層はCVD法により形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水まわり用金属部材。
- 前記水まわり用金属部材が、水栓金具、シャワーヘッド、シャワーバー、キッチンカウンター、キッチンシンクのいずれかひとつである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水まわり用金属部材。
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