JP6028878B2 - 水まわり用ガラス部材 - Google Patents

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本発明は、水まわり用ガラスの表面にアモルファスカーボン層が形成された水まわり用ガラス部材に関する。
水まわりで用いられるガラス(以下、水まわり用ガラス、ガラス基材、あるいはガラスとも言う。)は、水が存在する環境下で用いられる。水まわり用ガラスは、例えば、鏡やシャワーブースの扉、キッチンや洗面所のカウンター、キッチンシンクの水はね防止部材等として、水が存在する環境下で用いられる。よって、水まわり用ガラスの表面には水が付着しやすい。水まわり用ガラスの表面に付着した水が乾燥することで、水まわり用ガラスの表面に、水道水に含まれる成分であるシリカやカルシウムを含んだ水垢が形成されてしまうという問題が知られている。また、水まわり用ガラスの表面に、タンパク質や皮脂、カビ、微生物、石鹸などの汚れが付着してしまうという問題も知られている。
水まわり用ガラスの表面にこれらの汚れを付着させないことは困難であるため、清掃によって表面の汚れを落とし原状を回復させることが通例行われている。具体的には、洗剤や水道水を利用して布やスポンジなどで水まわり用ガラスの表面をこするなどの作業により、これらの汚れを落とす。水まわり用ガラスに対しては、汚れの取れやすさが求められている。
一方、水まわり用ガラスを頻繁に清掃することなく放置すると、水まわり用ガラスの表面に汚れが溜まる。この汚れが目立つと、概観が悪くなるばかりか水まわり用ガラスの透明性が失われ、窓や鏡等としての機能が損なわれる恐れがある。水まわり用ガラスは、汚れが付着した場合であっても、汚れが目立たない表面を有することも求められている。すなわち、水まわり用ガラスは、汚れが落ちやすく、かつ付着した汚れが目立ちにくい表面を有すること、つまり高い防汚性が求められている。
さらに、水まわり用ガラスは通常長期間にわたって使用されるため、防汚性が長期間維持されること、すなわち防汚耐久性が求められる。水まわり用ガラスは、例えば窓がある空間に設置され、太陽光が間接的に照射される環境で使用される場合がある。したがって、紫外線が照射される環境においても、防汚耐久性つまり耐侯性を発揮することが求められている。
特表2005−509584号公報(特許文献1)には、水滴が球状形態を取って基体上に堆積される可能性を低減して可視性を改良するために、ガラス上にダイヤモンド状炭素(DLC)含有層を形成し、このDLC含有層に紫外線源を用いて紫外線照射して水滴との接触角が約20度より大きくない被覆ガラス物品が記載されている。ガラス物品の表面を親水性とすることにより、ビーズ状凝縮物の形成を抑制することが記載されている。
特開2014−202047号公報(特許文献2)には、水栓金具の表面に非晶質炭素(DLC)層を形成し、水栓金具の質感を維持するために、この非晶質炭素(DLC)層の色差を特定の範囲とすることが記載されている。
一方、屋外で用いられるガラスの表面に、雨由来の汚れの付着を防止することも検討されている。
特表2002−543035号公報(特許文献3)には、ソーダ含有性のガラス基板に非晶質炭素(DLC)コーティングを行なうことで、ガラス基板上の汚れや腐食を減少させることが記載されている。非晶質炭素(DLC)コーティングは、少なくとも一つの高四面体非晶質炭素(ta−C)層を含んでおり、この高四面体非晶質炭素(ta−C)層は密度が高く、高い割合のsp炭素−炭素結合を有することが好ましいことが記載されている。
特開2000−72488号公報(特許文献4)には、ガラス基材上にシリコンを主成分とする層、アモルファスカーボン層を順次形成することにより、無機汚れが付き難くなる、あるいは汚れが落としやすくなることが記載されている。また、アモルファスカーボン層において、カーボンと水素の総量に対して水素を5〜20原子%含有することで、硬度が増加し、耐擦傷性が向上すること、また耐候性が向上することが記載されている。
特表2005−509584号公報 特開2014−202047号公報 特表2002−543035号公報 特開2000−72488号公報
浴室、トイレ、洗面所、台所などの屋内の水まわり設備は、毎日複数回使用され、使用の度に、水に曝される。これらの設備は、生活時間中は随時使用されるため、頻繁に清掃を行った場合であっても、常に清浄な状態に保つことは非常に難しい。また、頻繁に清掃を行うことが難しい場合もある。また、これらの設備は改築などのタイミングで交換されることが多く、使用期間が10年以上と長期間に亘る場合が多い。
上記特許文献1の被覆ガラス物品には接触角を低下させるために紫外線照射に暴露されている必要がある。すなわち屋内水まわり環境等、紫外線があまり照射されない環境について考慮されていない。
特許文献2では、優れた外観を得ることについて記載されているものの、長期間にわたって防汚性を持続させることについて検討されていない。
特許文献3及び4の方法は、毎日複数回水に曝される環境が想定されていない。また、そうした環境において、長期間にわたって防汚性を持続させることについて検討されていない。
本発明者らは、屋内水まわり環境で用いられる水まわり用ガラスの表面にアモルファスカーボン層を設けることで、防汚性および防汚耐久性を兼ね備え、さらにガラス本来の透明性を維持可能な水まわり用ガラス部材を得ようと試みた。ガラスは透明であるため、アモルファスカーボン層を備えていてもその視認性が損なわれないことが好ましい。また、ガラスを鏡として用いる場合にも、アモルファスカーボン層を設けることにより、外観に変化がないことが好ましい。このように、アモルファスカーボン層を設けることによる外観変化を抑制して視認性を確保するために、例えば、厚みが小さいアモルファスカーボン層を設けることが考えられる。しかし、アモルファスカーボン層の厚みが小さい場合には、微量の紫外線により次第にアモルファスカーボン層が分解され、経時的にアモルファスカーボン層が消失してしまい、耐侯性すなわち防汚耐久性を得ることが出来ない恐れがある。一方で、厚みが大きいアモルファスカーボン層を設ける場合には、アモルファスカーボン層の透明性が低下し、水まわり用ガラス部材の外観が変化してしまう恐れがある。
本発明者らは、防汚性を長期間発現させるために、例えば、初期は疎水性であるアモルファスカーボン層を経時的に親水化させることで、例えば長年の使用で汚れが蓄積された場合にも、付着した汚れが目立ち難くなることを見出した。しかしながら、紫外線によりアモルファスカーボン層を分解されにくい、つまりアモルファスカーボン層の密度が所定値よりも高い場合には、アモルファスカーボン層を経時的に親水化させることができないということが分かった。また、アモルファスカーボン層の密度が低い場合には、アモルファスカーボン層が微量の紫外線によって次第に分解され、耐侯性すなわち防汚耐久性を得ることができないということが分かった。
このような課題に対し、本発明では、屋内水まわり環境で用いられる水まわり用ガラスの表面にアモルファスカーボン層を設けた水まわり用ガラス部材において、アモルファスカーボン層の密度、膜厚、及びアモルファスカーボン層が形成される前後の色差をアモルファスカーボン層の膜厚で除算した値であり透明度の指標であるXを特定の範囲とすることにより、防汚性および防汚耐久性を兼ね備え、ガラス本来の透明性を維持可能な水まわり用ガラス部材を得ることができるとの知見を得た。
本発明は、防汚性および防汚耐久性を兼ね備え、透明性を維持可能な屋内水まわり環境で用いられる水まわり用ガラス部材を得ることを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、屋内水まわり環境で用いられる水まわり用ガラス部材を提供する。水まわり用ガラス部材は、ガラス基材と、前記ガラス基材の表面に設けられ炭素原子を主に含むアモルファスカーボン層と、を備える。アモルファスカーボン層は、密度が1.1g/cm3よりも大きく2.0g/cm3未満であり、膜厚が4nm以上20nm以下であり、水まわり用ガラスの表面にアモルファスカーボン層が形成される前後の色差(ΔE)を膜厚で除算した値(X)が0.2よりも大きく0.9未満である。
また、本発明は、前記水まわり用部材の製造方法を提供する。この製造方法は、容器内に設けられた基材支持部に水まわり用ガラスを配置する工程と、前記容器内を減圧する工程と、前記容器内に原料を導入し、前記容器内を所定圧力に調整する工程と、前記原料をプラズマ化して前記アモルファスカーボン層の密度を1.1g/cm より大きく2.0g/cm 未満の範囲とすることが可能な程度に該プラズマ中のラジカルを多くした高密度プラズマを生成する高密度プラズマ生成工程と、前記基材支持部に電圧を印加する工程と、前記高密度プラズマを前記水まわり用ガラスの表面に堆積させ、前記水まわり用ガラスの表面に膜厚が4nm以上20nm以下であり、前記アモルファスカーボン層が形成される前後の色差(ΔE)を前記膜厚で除算した値(X)が0.2よりも大きく0.9未満であるアモルファスカーボン層を形成する工程と、を含む。

本発明によれば、ガラス本来の透明性を維持しつつ、その表面において、汚れを落としやすくし、また汚れを目立ち難くする、すなわち防汚性を有する水まわり用ガラス部材を提供することが可能となる。さらにその防汚性を長期間にわたって発現可能な水まわり用ガラス部材を提供することが可能となる。したがって、防汚性および防汚耐久性を兼ね備え、透明性を維持可能な屋内水まわり環境で用いられる水まわり用ガラス部材を得ることができる。そのため、頻繁に水がかかる水まわりにおいて、水まわり用ガラス部材の機能を長期間維持することができる。
基材上にアモルファスカーボン層を設けた構成を表す概略図。 基材上に中間層とアモルファスカーボン層を設けた構成を表す概略図。 本発明において利用可能なプラズマCVD装置の構成の一例を示す概略図。
本発明の屋内水まわり環境で用いられる水まわり用ガラス部材は、図1に示すように、基材1と、その表面に設けられたアモルファスカーボン層2と、を含む。また、図2に示すように、水まわり用ガラス部材は、基材1と、アモルファスカーボン層2と、の間に設けられた中間層3を含むものでも良い。
本発明の水まわり用ガラス部材が用いられる水まわりとしては、水を用いる場所であれば良く、住宅や、公園、デパートなどの公共施設などが挙げられる。例えば、浴室、洗面所、台所、便所などで用いられる。本発明の水まわり用ガラス部材は、具体的には、鏡、壁、床、窓、浴室の扉、浴室の壁、シャワーブースパネル、キッチンや洗面所のカウンター、キッチンシンクの水はね防止部材などとして用いられることが好ましい。本発明の水まわり用ガラス部材は、浴室で用いられることがより好ましい。具体的には、鏡、浴室の扉、シャワーブースパネル、窓などとして用いられることがより好ましい。本発明の水まわり用ガラス部材は、浴室で用いられる鏡として用いられることがさらに好ましい。これにより、鏡の機能である写像性を長期間維持することが可能となる。
(基材)
本発明において、基材は、水まわり用ガラスである。つまり前述した水を用いる場所で用いられるガラスである。水まわり用ガラスの表面性状は、特に限定されるものではなく、光沢を有する鏡面、梨地、ヘアラインなどを適用することができる。
(アモルファスカーボン層)
本発明において、アモルファスカーボン層は、炭素原子および水素原子を含む非晶質の化合物を含む。アモルファスカーボン層は、炭素原子を主に含む。ここで、「炭素を主に含む」とは、アモルファスカーボン層における炭素原子量が50atm%よりも多いことを指す。アモルファスカーボン層における炭素原子量は、より好ましくは60atm%以上である。
アモルファスカーボン層に含まれる炭素‐炭素結合は、ダイヤモンド構造のsp構造とグラファイト構造のsp構造の結合状態を有している。アモルファスカーボン層に含まれるsp構造の炭素‐炭素結合は、sp構造の炭素‐炭素結合とsp構造の炭素‐炭素結合の和に対して10%以上含まれるのが好ましい。より好ましくは20%以上、さらにより好ましくは30%以上含まれるとよい。アモルファスカーボン層に含まれるsp構造の炭素‐炭素結合が多いことにより、アモルファスカーボン層の硬度を高め、化学的な反応性を低下させることができる。
(アモルファスカーボン層の膜厚)
本発明において、アモルファスカーボン層の膜厚は、例えば4nm以上である。より好ましくは7nm以上である。これにより、間接的に、微量な紫外線が照射される環境においても、耐侯性すなわち防汚耐久性を得ることが可能となる。また、本発明のアモルファスカーボン層の膜厚は、例えば20nm以下である。より好ましくは18nm以下である。これにより、透明性の高い水まわり用ガラス部材を得ることが可能となる。
本発明において、「透明性」が高いとは、ガラス本来の視認性を損なわない性質を言う。例えば、ガラス上にアモルファスカーボン層を設けたことでその外観に変化がない場合を「透明性」が高い、とする。一方、表面に付着した汚れが視認される状態や、アモルファスカーボン層を設けたことで外観が変化した状態を、「透明性」が低い、とする。
本発明において、「防汚性」とは、その水垢が軽い負荷の清掃で除去できる性質を示す(初期の水垢除去性)。また、付着した汚れが目立ち難いことを示す。
また、本発明において、「防汚耐久性」あるいは「耐候性」とは、長期間に亘って微量な紫外線が照射されながら水道水、洗剤などがかかるという、屋内水周り環境を模擬した状況下でも防汚性が維持される性質を示す(長期間にわたる水垢除去性)。
アモルファスカーボン層の膜厚は、例えば、X線反射率法(X−ray Reflectometry。以下、XRRと言う)反射分光法、X線光電子分光法、グロー放電発光分析法などにより求めることができる。また、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、段差計などを用いてアモルファスカーボン層の膜厚を測定することもできる。
本発明による屋内水まわり環境で用いられる水まわり用ガラス部材においては、アモルファスカーボン層の厚さが、例えば4nm以上20nm以下と薄い。そのため、XRRを用いて膜厚を測定することが好ましい。XRRを用いると、アモルファス構造であるアモルファスカーボン層と基材との界面の判別が可能である。XRRを用いる場合、上述の密度を求める方法と同様の方法にて求めることができる。
(色差)
本発明において、水まわり用ガラスの表面にアモルファスカーボン層が形成される前後の色差(以下、ΔEとも言う)は2以上であることが好ましい。さらに好ましくは4以上である。
本発明者らは、色差ΔEとアモルファスカーボン層の膜質との間に密接な関係があることを見出した。具体的には、色差ΔEを所定値以上に大きくすることで、アモルファスカーボン層の膜質を高めることができることを見出した。具体的には、同じ膜厚の場合には、色差が高い膜のほうが、色差が低い膜よりも膜質が良好であることを見出した。膜質を高めることにより、微量の紫外線が照射される環境においてもアモルファスカーボン層の分解を抑制して、耐侯性を得ることが可能となる。また、本発明のΔEは12以下であることが好ましく、さらに好ましくは10以下である。これにより、透明性の高い水まわり用ガラス部材を得ることが可能となる。
(色差の測定)
ΔEは、分光測色計などを用いて測定することが可能である。ΔEは、下記の方法で求めることができる。まず、基材である水まわり用ガラスのL 、a 、b をそれぞれ測定する。次に、水まわり用ガラスの表面にアモルファスカーボン層を形成した水まわり用ガラス部材のL、a、bを測定する。その後、下記式を用いてΔEを求める。
ΔL=L−L
Δa=a−a
Δb=b−b
ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
水まわり用ガラスの表面にアモルファスカーボン層が形成された水まわり用ガラス部材からΔEを求める場合、以下の方法にて求めることができる。水まわり用ガラス部材のL、a、bを測定する。その後、アモルファスカーボン層を除去し、この基材のL 0、a 0、b 0を測定する。得られた値を用いて、上述の方法と同様の方法にてΔEを求めることができる。
水まわり用ガラスの両面にアモルファスカーボン層が形成されている場合は、一方の面ごとにΔEを算出する。まず、水まわり用ガラスの両面にアモルファスカーボン層が形成された状態で、水まわり用ガラスの一方の面のL、a、bを測定する。次に、一方の面のみアモルファスカーボン層を除去し、水まわり用ガラス表面のL 0、a 0、b 0の測定を行う。得られた値を用いて上述の方法と同様の方法にて一方の面のΔEを算出する。水まわり用ガラスの他方の面について、アモルファスカーボン層が形成された状態のL、a、bを測定する。次に、水まわり用ガラスの他方の面のアモルファスカーボン層を除去し、水まわり用ガラス表面のL 0、a 0、b 0を測定する。得られた値を用いて上述の方法と同様の方法にて水まわり用ガラスの他方の面のΔEを算出する。
アモルファスカーボン層を除去する方法としては、機械研磨やショット・ブラスト処理により物理的に除去する方法やアルゴンプラズマや酸素プラズマを用いたエッチングにより除去する方法を用いることができる。
(透明度)
本発明において、アモルファスカーボン層の透明度を表すパラメータとして、水まわり用ガラスの表面にアモルファスカーボン層が形成される前後の色差(ΔE)をアモルファスカーボン層の膜厚で除算した値(以下、Xともいう)を用いる。透明度Xは以下の式で表される。
X(nm−1)=ΔE/アモルファスカーボン層の膜厚(nm)
透明度Xとは、アモルファスカーボン層の単位膜厚あたりの色差である。すなわち、透明度とは、膜質の指標である。例えば、膜質が良好な場合には、単位膜厚あたりの色差ΔEが大きくなる。膜質が悪い場合には、単位膜厚あたりの色差ΔEは小さい。
本発明者らは、アモルファスカーボン層において、同じ色差、同じ膜厚、あるいは同じ密度であっても、膜質が異なる場合があることを見出した。透明度X、密度、膜厚を所定範囲内とすることで、ガラス本来の透明性を確保しつつ、良好な膜質のアモルファスカーボン層を設け、長期間にわたり防汚性、防汚耐久性を発現させることが可能となる。
アモルファスカーボン層の膜質を高めるには、透明度Xの値を大きくすることが好ましい。具体的には、本発明において透明度Xは、0.3以上である。より好ましくは、透明度Xは0.4以上である。
一方で、アモルファスカーボン層において透明性を高める、すなわちアモルファスカーボン層を設けたことによる外観変化を抑制するためには、Xが小さい値であることが好ましい。しかし、Xが小さすぎる場合は、アモルファスカーボン層の膜質が低くなり、耐侯性が得られない恐れがある。本発明において、透明度Xは、例えば0.8以下である。好ましくは、透明度Xは0.7以下である。これにより、透明性を得ることが可能となる。
(密度)
本発明において、アモルファスカーボン層の密度は好ましくは2.0g/cm未満であり、より好ましくは1.9g/cm以下である。
一般に、アモルファスカーボン層は疎水性であり、水との接触角が高いことが知られている。一方で、長期間に亘って微量な紫外線が照射されると、アモルファスカーボン層の炭素−炭素結合の一部が切断され、酸素や水と新たに炭素‐酸素結合あるいは炭素‐水素結合が形成される。本発明者らは、アモルファスカーボン層の密度が2.0g/cm未満に小さい場合には、アモルファスカーボン層の接触角を経年的に小さくすることができることを見出した。例えば、アモルファスカーボン層の接触角が低くなると、その表面が疎水性から親水性に変化する。そして、接触角が小さくなると、表面に付着した水滴の濡れ性が向上する。その結果、水膜に含まれる単位面積当たりの水量が減少する。そのため、表面の広い範囲に薄く水滴が広がり、水垢が目立ち難くなる。つまり、アモルファスカーボン層の密度を所定値よりも小さくすることで、長期間の使用などにより汚れが蓄積された場合であっても、汚れが目立ち難くなることを、本発明者らは新たに見出した。本発明にかかる屋内の水まわり環境で用いられる水まわり部材においては、アモルファスカーボン層の密度を所定値よりも低くしているため、汚れを目立ち難くすることができる。
アモルファスカーボン層の密度は、1.1g/cmよりも大きいことが好ましい。より好ましくは1.4g/cm以上である。これにより、微量な紫外線照射下においても、長期間の使用によってアモルファスカーボン層が消失することを抑制でき、長期間にわたって防汚耐久性を維持することが可能となる。
(密度の測定)
本発明において、アモルファスカーボン層の密度は、XRRにより以下の方法を用いて測定する。測定装置として、例えば試料水平型多目的X線回折装置 Ultima IV(リガク社製)や水平型X線回折装置SmartLab(リガク社製)を使用することができる。測定条件として、CuKα線、測定角度(0.2〜4°)を用いる。この条件でX線散乱強度の測定データを得る。得られた測定データに対し、データ解析ソフトを用いて密度を測定する。データ解析ソフトとして、例えば(株)リガク製X線反射率解析ソフト GlobalFit [Ver. 1.3.3]を用いることができる。データ解析ソフトにて、膜厚、密度、界面ラフネスをパラメータとしてシミュレーションを行い、シミュレーションデータを得る。X線散乱強度の測定データとシミュレーションデータのX線散乱強度の値が近くなるように、最小二乗法によってフィッティングを行うことによって各パラメータの最適値を求め、膜厚、密度、界面ラフネスの値を求める。
なお、後述するように、基材の表面粗さが大きい場合、基材にうねりなどがある場合、あるいは、基材の形状などによって、上記方法での密度の測定精度が確保できない場合がある。具体的には、基材が金属やプラスチックの場合や、水栓などの複雑な形状の場合、上記方法で精度よい測定が困難な場合がある。そのような場合には、上記方法以外の方法で膜厚を測定し、RBS「高分解能ラザフォード後方散乱分光法」(HR−RBS:High Resolution Rutherford Backscattering Spectrometry)により測定した面密度を膜厚で除して密度を算出することができる。
本発明のアモルファスカーボン層の透明度、密度および膜厚が、耐候性に影響を与える理由としては以下のように考えているが、本発明はこの作用機序に限定されるものではない。
アモルファスカーボン層に紫外線が照射されると、アモルファスカーボンの炭素‐炭素結合が切断されて、炭素は酸素や水と新たな結合(炭素‐酸素結合や炭素‐水素結合)を形成する。この反応が進行すると、一部の炭素原子はアモルファスカーボン層との結合が完全に切断されて、二酸化炭素やメタンのような低分子化合物となり、アモルファスカーボン層から放出される。その結果、アモルファスカーボン層に含まれる炭素原子の数が減少、すなわちアモルファスカーボン層が薄くなり、最終的にはアモルファスカーボン層が消失する。これを抑制するために、本発明では、アモルファスカーボン層の密度を特定の値以上とし、かつアモルファスカーボン層の膜厚を特定の値以上とする。あるいは、後述するように水素原子の量を特定の量よりも少なくする。これにより、例えば、アモルファスカーボン層に含まれる炭素原子の数を多くすることができる。このため、紫外線照射によって、アモルファスカーボン層に含まれる炭素原子の数が少し減少したとしても、十分な数の炭素原子が残存しているため、アモルファスカーボン層の消失を抑制することができる。したがって、耐侯性を得ることができると考えられる。
(水素原子量)
本発明において、アモルファスカーボン層の水素原子の量は、好ましくは3atm%より多い。より好ましくは15atm%以上、さらに好ましくは21atm%以上である。これにより、アモルファスカーボン層の防汚性を高めることが可能となる。また、アモルファスカーボン層の水素原子の量は、好ましくは42atm%よりも少ない。より好ましくは38atm%以下、さらに好ましくは35atm%以下である。これにより、アモルファスカーボン層の耐侯性を高めることが可能となる。
(水素原子の量の測定)
本発明のアモルファスカーボン層に含まれる水素原子の量は、弾性反跳粒子検出法(Elastic Recoil Detection Analysis。以下、ERDAと言う)により測定する。測定装置として、例えば高分解能RBS分析装置HRBS1000(KOBELCO社製)を使用することができる。測定条件は、加速電圧:500keV、イオン種:窒素イオンとする。反跳水素粒子のエネルギー検出範囲は、38keVから68keVまでとする。この条件で測定データを得る。得られる測定データの一例を図3に示す。測定データは、横軸に入射窒素イオンのエネルギー、縦軸に反跳水素粒子の収量をプロットしたグラフである。得られる測定データを専用解析ソフト(例えば、analysisIB、KOBELCO社製)により解析する。解析条件は、変化ステップ幅100、計算回数5000回とする。アモルファスカーボン層の表面は、次のように定義する。図3に示すように測定データのグラフにおいて、入射窒素イオンのエネルギーが60.5KeV以上の領域で反跳水素粒子の収量の最大点5を始点にして、スペクトル形状に沿って近似直線6を引く。近似直線6上の反跳水素粒子の収量の最大点5の1/2の点7をアモルファスカーボン層の表面と定義する。この定義した表面(つまり、表面からの深さが0nm)から深さ1nm相当の幅ごとにこの1nmの幅に含まれる反跳水素粒子の収量の平均値を算出する。得られた1nm幅ごとの反跳水素粒子の収量の平均値と、同様に処理した水素量既知の標準試料の反跳水素粒子の収量の平均値とを比較し、アモルファスカーボン層の表面からの深さに対する水素原子の量を示すプロファイルを作成する。このような処理によって、アモルファスカーボン層の表面からの深さ1nm幅ごとに、アモルファスカーボン層の表面からの深さが0nmから30nmまでの領域における水素原子の量のプロファイルを得る。
得られたプロファイルから、アモルファスカーボン層の表面からの深さが0nmから30nmの領域における水素原子の量の平均値を求める。なお、アモルファスカーボン層の厚さが30nmよりも小さい場合には、アモルファスカーボン層の領域において平均値を求める。後述する中間層やガラス基材は含まない。次に、アモルファスカーボン層の表面からの深さが0nmから30nmまでの領域におけるアモルファスカーボン層の表面からの深さ1nm毎の水素原子の量において、この平均値の1.5倍以上の水素原子の量を除く。残った水素原子の量のうち、最も大きな水素原子の量を本発明のアモルファスカーボン層に含まれる水素原子の量とする。平均値の1.5倍以上の水素原子の量を除く理由は、アモルファスカーボン層の表面近傍は表面に付着した汚れ等の影響で水素原子の量に変動があるためである。これにより、誤差の大きな値を除くことができる。
水素原子の量を測定するための測定サンプルの表面に付着した汚れは、水素原子の量に影響を与えるため、測定前に測定サンプル表面を十分に洗浄する。具体的には、アセトン中での超音波洗浄を2回以上行うことが好ましい。
本発明のアモルファスカーボン層に含まれる水素原子の量が防汚性および防汚耐久性に影響を与える理由としては以下のように考えているが、本発明はこの作用機序に限定されるものではない。
アモルファスカーボン層に含まれる水素原子の量を特定の量以上とすることで、アモルファスカーボン層に存在する不安定な化学結合の状態にある炭素原子の量を少なくすることができると考えられる。不安定な化学結合の状態にある炭素原子とは、ダングリングボンド(未結合手)や歪みを持った化学結合を有する炭素原子を意味する。このような状態にある炭素原子は、他の化学種との反応性が高い状態にあると考えられる。しかしながら、本発明ではアモルファスカーボン層に含まれる水素原子の量を特定の量以上とすることで、アモルファスカーボン層に存在する不安定な化学結合の状態にある炭素原子の量を少なくすることができる。よって、水まわり環境における汚れ等の物質がアモルファスカーボン層に含まれる不安定な化学結合の状態にある炭素原子と化学反応することを抑制することが可能となると考えられる。以上より、アモルファスカーボン層表面への汚れの固着を防止することができ、防汚性を得ることができると考えられる。
(親水性)
本発明において、アモルファスカーボン層は、長期間の使用に伴い間接的に微量の紫外線の照射を受けることにより、親水化される。本発明において親水性とは、水の静的接触角が0度以上40度以下、好ましくは5度以上35度以下、より好ましくは20度以下であることを指す。これにより、アモルファスカーボン層に汚れを含む水滴が存在する場合において、水滴とアモルファスカーボン層との接触面積を広くすることができる。したがって、水滴が蒸発する際に、水滴に含まれる汚れが凝集した状態で付着することを防ぐことができる。すなわち、付着した汚れが目立ちにくくなり、防汚性を得ることが可能となる。
本発明にかかるアモルファスカーボン層は、経年水まわりで使用されることによって親水性を示すようになる。具体的には、アモルファスカーボン層に窓等を介して微量の紫外線が間接的に照射される、使用時に水またはお湯がアモルファスカーボン層にかかる、あるいは清掃時にアモルファスカーボン層が洗剤などの酸性またはアルカリ性の液体と接触する、などにより、本発明にかかるアモルファスカーボン層を経年的に親水化させることができる。そのため、長年の使用で汚れが蓄積された場合であっても、付着した汚れを目立ち難くすることができる。
本発明にかかるアモルファスカーボン層は、経年の使用により、アモルファスカーボン層の表面が酸化され、アモルファスカーボン層に酸素が導入されることによって、親水性を示すと考えられる。アモルファスカーボン層に酸素が導入されるためには、アモルファスカーボン層の表面近傍の炭素原子が、空気や水に含まれる酸素原子と結合し、炭素‐酸素結合が形成される必要がある。このためには、アモルファスカーボン層中の炭素‐炭素結合が、空気や水に含まれる酸素原子と反応しやすいことが望ましい。このために、本発明ではアモルファスカーボン層の密度を特定の値以下とする。これにより、アモルファスカーボン層中の炭素−炭素同士の結合距離を長い状態にすることができる、すなわち炭素−炭素結合の結合エネルギーを低くすることができる。したがって、アモルファスカーボン層の表面が酸化されやすくなり、親水性を示しやすくなると考えられる。
(他元素のドーピング)
本発明において、アモルファスカーボン層に他の元素をドーピングすることによって、アモルファスカーボン層の表面の物性を改変することができる。
ドーピングする元素としては、チタン、クロム、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、銀、金、ニオブ、モリブデン、タングステン以外の元素から選択されることが好ましい。好ましい元素としては、ケイ素、酸素、硫黄、窒素などが挙げられる。特に、アモルファスカーボン層にケイ素および/または酸素をドープすると、アモルファスカーボン層の親水性が向上することが知られている。アモルファスカーボン層が、ケイ素および/または酸素をさらに含むことで、表面に付着した汚れをより汚れを目立ちにくくすることができる。
(中間層)
本発明では、アモルファスカーボン層と基材との間に、中間層が存在してもよい。中間層は、炭素、水素、ケイ素を含有することが好ましい。中間層に含まれるケイ素の量は、アモルファスカーボン層に含まれるケイ素の量よりも多い方が好ましい。このような中間層を設けることで、アモルファスカーボン層と基材の密着性を向上させることが可能となる。中間層にケイ素と炭素の結合を含むことで、アモルファスカーボン層と中間層の密着性を向上させることが可能となる。また、アモルファスカーボン層に中間層材料が混在していてもよい。
(製造方法)
アモルファスカーボン層を形成する方法としては、物理蒸着法(PVD法)又は化学蒸着法(CVD法)が挙げられる。PVD法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、イオン化蒸着法などが挙げられる。
(プラズマCVD法)
本発明において、アモルファスカーボン層はプラズマCVD法を用いて形成されるのが好ましい。
本発明の水まわり用ガラス部材の製造方法は、特定のものに限定されないが、例えば以下のような方法が挙げられる。容器内に設けられた基材支持部に水まわり用ガラスを配置する工程と、容器内を減圧する工程と、容器内に原料を導入し、容器内を所定圧力に調整する工程と、原料をプラズマ化して高密度プラズマを生成する高密度プラズマ生成工程と、基材支持部に電圧を印加する工程と、プラズマ化された原料を水まわり用ガラスの表面に堆積させ、水まわり用ガラスの表面にアモルファスカーボン層を形成する工程と、を含む製造方法が挙げられる。
プラズマCVD法では、一般的に、減圧した容器内でアモルファスカーボン層が形成される。よって、減圧手段を用いて容器内を減圧する。容器内は、100Pa以下まで減圧されているのが好ましい。
原料は、原料導入部を介して気体として容器内に導入される。そのため、容器内での原料の濃度を均一にすることができ、基材表面付近に存在するプラズマを均一な状態にすることが可能となる。これにより、アモルファスカーボン層の膜厚のバラつきを小さくすることができ、膜厚が均一なアモルファスカーボン層を形成することが可能である。原料としては、炭化水素を含む原料を用いることができる。炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレン、トルエン、ベンゼンのいずれか一つ以上を用いることが好ましい。これらのうち、アセチレンを用いることがさらに好ましい。これによって、膜厚や密度が均一なアモルファスカーボン層を形成することができる。また、水まわり用ガラス部材のどの位置においても、均一に防汚性を長期間維持させることが可能となる。原料として、炭化水素だけでなく、酸素や窒素、硫黄などを含むものを用いることもできる。
原料を導入した後の容器内は、減圧手段を用いて所定圧力に調整される。この圧力として、100Pa以下に調整されるのが好ましい。
本発明において、高密度プラズマとして、誘導結合型プラズマ、電子サイクロトロン共鳴プラズマ、ヘリコン波プラズマ、表面波プラズマ、ペニングイオンゲージ放電プラズマ、ホローカソード放電プラズマのいずれか1つ以上を用いることが好ましい。これらのうち誘導結合型プラズマを用いるのがさらに好ましい。これにより簡易な装置で高密度プラズマを生成することができ、かつ大面積の基材にアモルファスカーボン層を形成することが可能となる。
アモルファスカーボン層と基材の間に中間層を形成する場合、原料を変えることで、アモルファスカーボン層と同様の手法で形成することが可能である。
中間層の原料としては、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルシラン(TMS)、テトラエトキシシラン(TEOS)からなる群より選ばれた一以上の原料を第一の成分として使用できる。また、水素、酸素、炭化水素からなる群より選ばれた一以上の原料を第二の成分として第一の成分と混合して使用できる。
(前処理)
本発明では、基材表面にアモルファスカーボン層または中間層を形成する際に、基材の前処理を行うことができる。前処理は、(1)基材表面に付着した有機や無機の吸着物を除去、(2)酸化物層の除去による密着性の向上、(3)基材表面粗さの調整、(4)基材表面のプラズマによる活性化等の目的で実施される。前処理は、中間層やアモルファスカーボン層を形成する同一プロセスで行っても良いし、別プロセスとして行っても良い。
本発明では、前処理として、アモルファスカーボン層または中間層を形成する前に、基材に対してArガスまたはOガスを用いたスパッタリングを実施するのが好ましい。
(プラズマCVD装置)
プラズマCVD法では、プラズマCVD装置を用いて、アモルファスカーボン層を形成する。本発明で利用可能なプラズマCVD装置の一例を図3に示す。プラズマCVD装置は、一般的に、アモルファスカーボン層を形成するための容器11と、容器11内を減圧するための減圧手段12と、容器内に原料を導入する原料導入部13と、容器11内に設けられ基材1を支持する基材支持部14と、基材支持部14に電圧を印加する電圧印加手段15と、原料をプラズマ化して高密度プラズマを生成するための高密度プラズマ生成手段16、とを備える。容器11内でプラズマ化された原料が基材1表面において互いに化学反応を繰り返すことにより、基材1上に堆積していき、基材1上にアモルファスカーボン層が形成されると考えられる。原料をプラズマ化するため、容器11内の温度を200℃以下の低温に保つことができる。これによって、鏡などの樹脂と複合されたガラス基材を用いることが可能となる。
減圧手段12としては、真空ポンプ19と排気口17と圧力調整手段18とで構成される。真空ポンプ19にて容器11内の気体を排気して減圧し、圧力調整手段18にて容器11内を目的の圧力に調整することができる。圧力調整手段18としては、容器11内の圧力を調整できるものであり、例えば、圧力調整弁などが挙げられる。
電圧印加手段15は、基材支持部14の一部である電極20とこの電極20に接続された電源21である。電源21としては、交流電源、直流電源、パルス電源のいずれか1つ以上を用いることが可能である。交流電源は、高周波電源を含む。電極20にバイアス電圧をかけることにより、プラズマに含まれるイオンを基材支持部に支持された基材1へと引き込む作用が生じる。これにより、基材1に衝突するイオンのエネルギーを高くすることが可能となる。これにより、アモルファスカーボン層の密度を高くすることが可能となる。
本発明において、前述の電圧印加手段15において、電源21としてパルス電源を用いることが好ましい。さらに好ましくは、高電圧パルス電源を用いる。高電圧パルス電源を用いることにより、1kV以上の高電圧パルス電圧を電極20に印加する。これにより、基材に衝突するイオンのエネルギーを高くすることができる。したがって、アモルファスカーボン層の基材への密着性を高めることができ、防汚性を長期間維持することが可能となる。
本発明のアモルファスカーボン層は、原料をプラズマ化して高密度プラズマを生成する高密度プラズマ生成手段16を備える装置を用いて形成されることが好ましい。容器内で生成するプラズマを高密度プラズマとすることで、プラズマ中のラジカルを多くすることができる。ラジカルは、基材支持部14に印加されたバイアス電圧による引き込みの影響を受けないため、低いエネルギーで基材上に堆積することが可能である。したがって、プラズマ中のラジカルが多くなることにより、アモルファスカーボン層の密度を低くすることができる。
本発明においては、高密度プラズマ生成手段16と電圧印加手段15とを用いることで、プラズマ中のラジカル存在量とイオンのエネルギーをそれぞれ独立して制御することが可能となる。これにより、アモルファスカーボン層の密度を好ましい範囲に制御することが容易となる。
高密度プラズマ生成手段16は、高密度プラズマとして、誘導結合型プラズマ、電子サイクロトロン共鳴プラズマ、ヘリコン波プラズマ、表面波プラズマ、ペニングイオンゲージ放電プラズマ、ホローカソード放電プラズマのいずれか1つ以上を生成するものであることが好ましい。
高密度プラズマ生成手段16は、アンテナまたは電極22とこのアンテナまたは電極22に接続された電源23であることが好ましい。例えば、誘導結合型プラズマは、アンテナと高周波電源とを用いることで生成できる。ヘリコン波プラズマは、アンテナと高周波電源と磁界生成手段とを用いることで生成できる。表面波プラズマは、アンテナとマイクロ波電源と誘電体とを用いることで生成できる。ホローカソード放電プラズマは、アノード電極とアノードとは間隔を空けて対向するカソード電極と交流電源とを用いることで生成できる。
本発明において、高密度プラズマとして、誘電結合型プラズマを用いるのがさらに好ましい。これにより簡易な装置で高密度プラズマを生成することができ、かつ大面積の基材にアモルファスカーボン層を形成することが可能となる。
誘導結合型プラズマを生成する場合、高密度プラズマ生成手段16としてアンテナと高周波電源を用いることが好ましい。アンテナと原料の間に誘電体を備え、誘電体を介して原料に電界が印加されるものでもよい。アンテナに高周波電流を流し、アンテナの周囲に発生する磁界により誘導された電界によって原料が励起されることで、誘導結合型プラズマが生成される。アンテナは、容器の内部か外部のどちらかに配置することができる。本発明では、アンテナを容器の内部に配置するのが好ましい。これにより高周波電源の出力を効率良く原料に与えてプラズマを生成させることが可能になるため、低出力の高周波電源を用いた場合も高密度プラズマを生成することが可能となる。
実施例1
(成膜装置)
アモルファスカーボン層を形成するための容器と、容器を減圧するための減圧手段と、容器内に原料を導入する原料導入部と、基材を支持する基材支持部と、基材支持部に設けられた電極板と、電極板に電圧を印加する電圧印加手段と、高密度プラズマを生成する高密度プラズマ生成手段と、を備えるプラズマCVD装置を用いた。高密度プラズマ生成手段として、アンテナと高周波電源とを用いた。
(基材)
基材として、水まわり用ガラスとして用いられるソーダライムガラス板を使用した。基材表面の汚れを除去するために、イオン交換水およびエタノールによる洗浄を順次実施した。
(前処理工程)
基材を基材支持部に配置し、減圧手段により高真空状態(1Pa以下)まで減圧した。次に、酸素ガスを導入し、容器内の圧力が0.01〜2.0Paとなるように調整した。高周波出力100〜500W、基材温度100℃以下とし、基材表面の前処理を行った。
(アモルファスカーボン層成膜工程)
アモルファスカーボン層の原料には、アセチレンを用いた。容器内の圧力を0.001〜2Pa、および高周波電源の出力を100〜390W、電極板に印加する電圧を−12〜−2kVになるように調整して、所定の処理時間の成膜を行うことにより、基材上にアモルファスカーボン層を形成し、実施例1のサンプルを得た。このサンプルについて各評価を行った。
実施例2〜10
実施例2〜10は、実施例1に対して、容器内の圧力、高周波電源の出力、基材に印加する電圧を実施例1の記載範囲内で変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。このサンプルについて各評価を行った。
評価
(密度および膜厚の測定)
各サンプルのアモルファスカーボン層の密度および膜厚は、XRRにより測定した。測定装置として、試料水平型多目的X線回折装置 Ultima IV(リガク社製)を使用した。測定条件として、CuKα線、測定角度(0.2〜4°)を用いた。この条件で各サンプルのX線散乱強度の測定データを得た。得られた測定データに対し、データ解析ソフトを用いて密度を算出した。データ解析ソフトとして、((株)リガク製X線反射率解析ソフトGlobalFit [Ver.1.3.3]を用いた。データ解析ソフトにて、膜厚、密度、界面ラフネスをパラメータとしてシミュレーションデータを得た。X線散乱強度の測定データとシミュレーションデータのX線散乱強度の値が近くなるように、最小二乗法によってフィッティングを行うことによって各パラメータの最適値を求め、膜厚、密度、界面ラフネスの値を求めた。得られた膜厚および密度を表1に示す。
(色差の測定および透明度、透明性の評価)
各サンプルの色差の測定には、分光測色計(型番:CM−2600d、コニカミノルタ社製)を用いた。観察光源は、F2を用いた。測定器に白色校正板にて校正を実施した。まず、アモルファスカーボン層を形成する前に、基材のL 、a 、b をそれぞれ測定した。次に、作製したサンプルのL、a、bを測定した。その後、下記式を用いてΔEを求めた。
ΔL=L−L
Δa=a−a
Δb=b−b
ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
得られたΔEを表1に示す。また、得られたΔEと得られた膜厚を用いて、下記の式から透明度Xを求めた。得られた透明度Xを表1に示す。
X(nm−1)=ΔE/アモルファスカーボン層の膜厚(nm)
さらに、透明性を次のように評価した。色差ΔEが10以下かつ透明度Xが0.8以下のものを◎(非常に良好)、ΔEが12以下またはXが0.8以下のものを○(良好)、ΔEが12より大またはXが0.9以上のものを×(不良)と判定した。
(耐侯性(防汚耐久性)の評価)
防汚耐久性の評価は、JIS−A−1415に準拠したサンシャインカーボンアーク式ウェザーメーター試験の後、サンプルの外観評価を行うことにより行った。装置は、WEL−SUM−HC(H)(スガ試験機社製)を用いた。ランプは、サンシャインカーボンアークランプ、試験時間は50時間および100時間の2種類とした。50時間あるいは100時間の中で、102分間光照射後に18分間光照射及び水噴霧を行う合計120分のサイクルを繰り返した。試験後のサンプルに対して、防汚性の評価を行った。
防汚性の評価は、次のように行った。
アモルファスカーボン層の表面に、水道水を20μl滴下し、24時間放置することにより、サンプル表面に水垢を形成した。水垢を形成したサンプルを以下の条件で評価した。洗剤をアモルファスカーボン層の表面に適量塗布し、スポンジのウレタンフォーム面を用いて、アモルファスカーボン層の表面に対して5回往復摺動させた。洗剤として、浴室清掃用の中性洗剤を用いた。その後、サンプル表面の洗剤を流水で洗い流し、エアダスターで水分を除去した。サンプル表面に水垢が残存しているかを目視で判断した。試験時間50および100時間のサンプルで水垢が残存していないものを◎(非常に良好)、試験時間50時間のサンプルのみ水垢が残存していないものを○(良好)、試験時間50および100時間のサンプルとも水垢が残存しているものを×(不良)と判定した。結果を表1に示す。水垢の落ちやすさを示すものは、アモルファスカーボン層が紫外線で消失せずに残存していることを示す。したがって、紫外線照射後の水垢の落ちやすさを評価することで、耐侯性すなわち防汚耐久性を評価した。
(汚れの目立ちにくさの評価)
得られた各サンプルに紫外線を照射したのち、サンプルの表面に水垢を形成し、この水垢の目立ちにくさを評価した。まず、低圧水銀ランプを備えた光表面処理装置PL21−200(セン特殊光源社製)を用いて、サンプル表面に紫外線を照度30mW/cmにて、3分間照射した。このサンプル表面に水道水を散布することで、サンプル表面に水垢を形成した。1回当りの水道水の散布は、流量1L/minで1分間行った。水道水を168回散布した後に、水垢の目立ちにくさを評価した。水垢の目立ちにくさを目視により評価した。168回散布後に水垢がほとんど目立たないものを◎、目立ちにくいものを○、168回散布後に水垢が目立つものを×、と判定した。結果を表1に示す。
(親水性の持続性の評価)
上述の汚れの目立ちにくさを評価したサンプルについて、水の静的接触角を測定することで、親水性の持続性を評価した。水の静的接触角の測定には、接触角計(CA−X150、協和界面科学製)を用いた。結果を表1に示す。
比較例1
比較例1は、実施例1に対して、高周波電源の出力値を400Wとした以外は、実施例1と同様の方法にてサンプルを得た。
比較例2
比較例2は、実施例1に対して、高周波電源の出力値を0Wとした以外は、実施例1と同様の方法にてサンプルを得た。
比較例3
比較例3は、実施例1に対して、真空容器内の圧力を実施例1の記載範囲内で調整し、高周波電源の出力値を0W、基材に印加する電圧を−10kVとした以外は、実施例と同様の方法にてサンプルを得た。
比較例1〜3のサンプルについて、実施例と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006028878
1 基材
2 アモルファスカーボン層
3 中間層
11 容器
12 減圧手段
13 原料導入部
14 基材支持部
15 電圧印加手段
16 高密度プラズマ生成手段
17 排気口
18 圧力調整手段
19 真空ポンプ
20 電極板
21 電源
22 アンテナまたは電極
23 電源

Claims (11)

  1. 屋内水まわり環境で用いられる水まわり用ガラス部材であって、
    ガラス基材と、
    前記ガラス基材の表面に設けられ、炭素原子を主に含むアモルファスカーボン層と、
    を備え、
    前記アモルファスカーボン層は、
    密度が1.1g/cmより大きく2.0g/cm未満であり、
    膜厚が4nm以上20nm以下であり、
    前記アモルファスカーボン層が形成される前後の色差(ΔE)を前記膜厚で除算した値(X)が0.2よりも大きく0.9未満であることを特徴とする
    水まわり用ガラス部材。
  2. 前記アモルファスカーボン層が形成される前後の色差(ΔE)を前記膜厚で除算した値(X)が0.3以上0.7以下である、請求項1に記載の水まわり用ガラス部材。
  3. 前記アモルファスカーボン層が形成される前後の色差(ΔE)が2以上12以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の水まわり用ガラス部材。
  4. 前記アモルファスカーボン層は、前記膜厚が7nm以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水まわり用ガラス部材。
  5. 前記アモルファスカーボン層は、前記色差が4以上10以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水まわり用ガラス部材。
  6. 前記アモルファスカーボン層は、ケイ素および酸素のうちの少なくともいずれかをさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水まわり用ガラス部材。
  7. 前記基材と前記アモルファスカーボン層との間に設けられた中間層をさらに備えた、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水まわり用ガラス部材。
  8. 水まわり用ガラスの表面にアモルファスカーボン層が形成された水まわり用ガラス部材の製造方法において、
    容器内に設けられた基材支持部に水まわり用ガラスを配置する工程と、
    前記容器内を減圧する工程と、
    前記容器内に原料を導入し、前記容器内を所定圧力に調整する工程と、
    前記原料をプラズマ化して前記アモルファスカーボン層の密度を1.1g/cm より大きく2.0g/cm 未満の範囲とすることが可能な程度に該プラズマ中のラジカルを多くした高密度プラズマを生成する高密度プラズマ生成工程と、
    前記基材支持部に電圧を印加する工程と、
    前記高密度プラズマを前記水まわり用ガラスの表面に堆積させ、前記水まわり用ガラスの表面に膜厚が4nm以上20nm以下であり、前記アモルファスカーボン層が形成される前後の色差(ΔE)を前記膜厚で除算した値(X)が0.2よりも大きく0.9未満であるアモルファスカーボン層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする、水まわり用ガラスの製造方法。
  9. 前記高密度プラズマは、誘導結合型プラズマ、表面波プラズマ、ヘリコン波プラズマ、電子サイクロトロン共鳴プラズマ、ペニングイオンゲージ放電プラズマ、ホローカソード放電プラズマのいずれか1つ以上であることを特徴とする、請求項8に記載の水まわり用ガラス部材の製造方法。
  10. 前記高密度プラズマは、誘導結合型プラズマであることを特徴とする、請求項8または9に記載の水まわり用ガラス部材の製造方法。
  11. 前記高密度プラズマは、前記容器内に配置されたアンテナに電力を供給し、前記原料をプラズマ化することにより生成されることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の水まわり用ガラス部材の製造方法。
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