JP2015193911A - 水まわり用部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、防汚耐久性および耐摺動性が高い水まわり用部材を得ることを目的としている。
【解決手段】 水まわり用部材において、水まわり部材の表面にアモルファスカーボン層が形成されており、アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量が3atm%以上38atm%以下であることを特徴とする、水まわり用部材を提供する。これにより、防汚耐久性および耐摺動性が高い水まわり用部材を得ることが可能となる。
【選択図】 なし
【解決手段】 水まわり用部材において、水まわり部材の表面にアモルファスカーボン層が形成されており、アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量が3atm%以上38atm%以下であることを特徴とする、水まわり用部材を提供する。これにより、防汚耐久性および耐摺動性が高い水まわり用部材を得ることが可能となる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、水まわり用部材に関する。
水まわりで用いられる部材(以下、「水まわり用部材」とも言う。)は、水が存在する環境下で用いられる。よって、水まわり用部材の表面には水が付着しやすい。この表面に付着した水が乾燥することで、水まわり用部材の表面に水垢が形成されてしまうという問題が知られている。また、水まわり用部材の表面は、水に含まれる成分であるシリカやカルシウム化合物、またタンパク質や皮脂、カビ、微生物、石鹸カス(金属石鹸)などの汚れが付着してしまうという問題も知られている。
水まわり用部材の表面にこれらの汚れを付着させないことは困難であるため、清掃により表面の汚れを落とし原状を回復させることが通例行われている。具体的には、洗剤や水道水を利用して布やスポンジなどでこするなどの作業によりこれらの汚れを取り去る。このとき水まわり用部材に対して、汚れの取れやすさ、つまり高い防汚性が求められている。さらにこのような日常の清掃や定期的に行われる念入りな清掃の負荷に対して、防汚性だけでなく、水まわり用部材の外観が長年維持できるような水まわり用部材の堅牢性、つまり防汚耐久性及び耐摺動性も求められている。特に、水まわり用部材は、清掃が頻繁であり、メラミンスポンジなど特殊な清掃用品が使われることから、高い防汚耐久性及び耐摺動性が求められている。
水まわり用部材表面の水垢や水起因の汚れ付着を防止するために、以下のような技術が知られている。特開2008−163362号公報(特許文献1)には、めっき被膜が形成された水栓金具において、めっき被膜に親水性微粒子を含み、この親水性微粒子の一部をめっき被膜表面から突出させることが記載されている。また、めっき被膜表面に親水性微粒子により形成される凹凸が存在することで、めっき被膜表面に親水性を付与し、水垢付着を抑制することが記載されている。
特開2002−317298号公報(特許文献2)には、基材の表面にめっき層を形成し、このめっき層にフッ素樹脂からなる撥水性粒子を含ませることが記載されている。めっき層表面を撥水性にすることで、水垢などを取り除きやすくすることが記載されている。
一方で、自動車や建造物の窓ガラスなどの表面の防汚性を上げる方法として、部材の表面にアモルファスカーボン(非晶質炭素)を含む層を形成することが知られている。特表2002−543035号公報(特許文献3)には、ソーダ含有性のガラス基板に非晶質炭素(DLC)コーティングを行なうことで、ガラス基板上の汚れや腐食を減少させることが記載されている。非晶質炭素(DLC)コーティングは、少なくとも一つの高四面体非晶質炭素(ta−C)層を含んでおり、この高四面体非晶質炭素(ta−C)層は高密度で高い割合のsp3炭素−炭素結合を有することが好ましいことが記載されている。
上記特許文献1や上記特許文献2の方法は、水が頻繁にかかるような環境で水まわり用部材を用いた場合、水まわり用部材の表面に水垢の付着を防止できないという課題がある。さらに、水まわり用部材の表面の水垢堆積量が多くなると防汚性が得られず、防汚耐久性が低いという課題がある。さらに、特許文献2の方法では、フッ素樹脂の硬度が低いため、表面が繰り返し摺動された場合、防汚性の低下や外観の劣化が起こり、防汚耐久性や耐摺動性が低いという課題がある。
上記特許文献3の方法は、水まわり用部材の表面に付着する水垢や汚れに対する防汚性や防汚耐久性、及び耐摺動性を発揮しうるかについては、検討されていない。
アモルファスカーボンは、耐薬品性、耐熱性、耐磨耗性があり、化学的、物理的に安定な物質として知られている。しかしながら、本発明者らはアモルファスカーボン層が水やその他の物質と接触することによって、アモルファスカーボン層の性状が変化してしまうということを見出した。つまり、表面にアモルファスカーボン層が形成された水まわり用部材において、アモルファスカーボン層に水の曝露や清掃による摺動の負荷などが加わることによって、アモルファスカーボン層の防汚性が低下する、すなわち防汚耐久性が低いという新たな課題があることが分かった。
このような課題に対し、本発明では、水まわり用部材の表面にアモルファスカーボン層を形成し、アモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる水素原子の量を特定の範囲とすることにより、防汚耐久性及び耐摺動性を両立することが可能な水まわり用部材を得ることができるとの知見を得た。
本発明は、防汚耐久性および耐摺動性を両立することが可能な水まわり用部材を得ることを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、水まわり用部材において、水まわり用部材の表面にアモルファスカーボン層が形成されており、アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量が3atm%以上38atm%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、防汚耐久性および耐摺動性を両立することが可能な水まわり用部材を得ることが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水まわり用部材は、水まわり用部材の表面にアモルファスカーボン層が形成されており、アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量が3atm%以上38atm%以下であることを特徴とする。このように、アモルファスカーボン層の表面近傍の水素量を特定の量とすることで、防汚耐久性および耐摺動性を両立することが可能となる。
(基材)
本発明の基材は、水まわり用部材である。具体的な水まわり用部材の材料は、金属、ガラス、陶器、樹脂などが挙げられる。水まわり用部材は、1つの材料のみで構成されていてもよいし、2つ以上の材料で構成されていてもよい。本発明において、水まわり用部材は、金属またはガラスで構成されていることが好ましい。
本発明の基材は、水まわり用部材である。具体的な水まわり用部材の材料は、金属、ガラス、陶器、樹脂などが挙げられる。水まわり用部材は、1つの材料のみで構成されていてもよいし、2つ以上の材料で構成されていてもよい。本発明において、水まわり用部材は、金属またはガラスで構成されていることが好ましい。
樹脂の材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合合成樹脂(ABS)、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などを用いることができる。
金属の材料としては、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、クロム、錫、金、チタン、亜鉛及びそれらの合金であるステンレス鋼、黄銅、青銅などが挙げられる。これらのうち好ましいのはステンレス鋼又は黄銅である。これにより耐食性や加工性を向上させることが可能となる。
水まわり用部材の材料として金属を用いる場合、水まわり用部材の表面には、美観や耐食性を付与するために、メッキが施されているものも用いることができる。メッキの種類としては、銅メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ、錫メッキ、金メッキ、亜鉛メッキおよびそれらの合金である錫亜鉛メッキなどが挙げられる。メッキの形成方法は特に制限はなく、電解メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ、乾式メッキ等で形成されたメッキを利用することができる。
水まわり用部材の表面性状は、特に限定されるものではなく、光沢を有する鏡面、梨地、ヘアラインなどを適用することができる。
水まわり用部材は、水まわりで用いられる部材である。水まわりとしては、公園、デパートなどの公共施設や住宅などの浴室、洗面所、台所、便所が挙げられるが、水を用いる場所であれば良い。具体的な水まわり用部材としては、水栓金具、排水金具、シャワーヘッド、シャワーバー、手すり、キッチンカウンター、キッチンシンク、排水口、鏡、壁、床、扉、窓などが挙げられる。好ましい水まわり用部材は、浴室で用いられる部材であり、具体的には、水栓金具、排水金具、シャワーヘッド、シャワーバー、手すり、排水口、鏡、浴室壁、浴室床、浴室扉、浴室窓が挙げられる。さらに好ましくは、水栓金具、シャワーヘッド、シャワーバー、手すり、鏡、浴室壁、浴室扉、浴室窓である。
(アモルファスカーボン層)
本発明のアモルファスカーボン層は、炭素原子および水素原子を含む非晶質の化合物である。
本発明のアモルファスカーボン層は、炭素原子および水素原子を含む非晶質の化合物である。
アモルファスカーボン層に含まれる炭素‐炭素結合は、ダイヤモンド構造のsp3構造とグラファイト構造のsp2構造の結合状態を有している。アモルファスカーボン層に含まれるsp3構造の炭素‐炭素結合は、sp3構造の炭素‐炭素結合とsp2構造の炭素‐炭素結合の和に対して25atm%以上含まれるのが好ましい。さらに好ましくは40atm%以上含まれるとよい。アモルファスカーボン層に含まれるsp3構造の炭素‐炭素結合が多いことにより、アモルファスカーボン層の硬度を高め、化学的な反応性を低下させることができる。
本発明のアモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は、3atm%以上である。好ましい下限は、11atm%以上であり、より好ましくは16atm%以上とすることが好ましい。これにより、アモルファスカーボン層の防汚耐久性を高めることが可能となる。また、本発明のアモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は、38atm%以下である。好ましい上限は30atm%以下であり、より好ましくは28atm%以下である。これにより、アモルファスカーボン層の耐摺動性を高めることが可能となる。
このように本発明のアモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる水素原子の量が防汚耐久性及び耐摺動性に影響を与える理由としては以下のように考えているが、本発明はこの作用機序に限定されるものではない。
アモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる水素原子の量を特定の範囲とすることで、アモルファスカーボン層の表面近傍に存在する不安定な化学結合の状態にある炭素原子の量を少なくすることができると考えられる。不安定な化学結合の状態にある炭素原子とは、ダングリングボンド(未結合手)や歪みを持った化学結合を有する炭素原子を意味する。このような状態にある炭素原子は、他の化学種との反応性が高い状態にあると考えられる。しかしながら、本発明ではアモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる水素原子の量を特定の範囲とすることで、アモルファスカーボン層の表面近傍に存在する不安定な化学結合の状態にある炭素原子の量を少なくすることができる。よって、水まわり環境における汚れ等の物質がアモルファスカーボン層に含まれる不安定な化学結合の状態にある炭素原子と化学反応することを抑制することが可能となると考えられる。以上より、アモルファスカーボン層表面に汚れの付着を防止することができ、防汚耐久性を得ることができると考えられる。
さらに、アモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる水素原子の量を特定の範囲とすることで、アモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる炭素原子同士の共有結合が水素原子によって終端されて、化学的に安定となると考えられる。これにより、アモルファスカーボン層の表面に清掃などの負荷が与えられても表面が劣化しにくくなり、防汚耐久性や耐摺動性が向上すると考えられる。したがって、本発明ではアモルファスカーボン層に含まれる水素原子の量を好適な範囲とすることによって、防汚耐久性及び耐摺動性を両立することが可能な水まわり用部材を得ることができると考えている。
本発明のアモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は、弾性反跳粒子検出法(ElasticRecoilDetectionAnalysis。以下、「ERDA」と言う)により算出する。測定装置として、例えば高分解能RBS分析装置HRBS1000(KOBELCO社製)を使用することができる。測定条件として、加速電圧:500keV、イオン種:窒素イオン、検出器設置角度(反跳角):45.6°とする。反跳粒子のエネルギー検出範囲は、38keVから68keVまでとする。この条件で測定データを得る。得られた測定データに対し、以下の式を用いて算出するE2の値を適用し、アモルファスカーボン層の表面を決定する。
ここで、E0は入射粒子のエネルギー(加速電圧)、E2は反跳粒子のエネルギー、Kは運動係数、M1は窒素イオンの質量数、M2は水素イオンの質量数、φは反跳角である。E2は、アモルファスカーボン層の表面において散乱された水素原子のエネルギーと解釈することができる。ゆえに、E2の値をアモルファスカーボン層の表面(つまり、アモルファスカーボン層の表面からの深さが0nm)と定義できる。
得られた測定データは、専用解析ソフト(例えば、analysisIB、KOBELCO社製)により解析する。解析条件は、変化ステップ幅100、計算回数5000回とする。前述の方法で決定したアモルファスカーボン層の表面から、アモルファスカーボン層の表面からの深さが60nmまでの領域の解析データを得る。得られた測定データを標準試料の測定データと比較し、アモルファスカーボン層の表面からの深さに対する水素原子の量を算出し、アモルファスカーボン層の表面からの深さに対する水素原子の量を示すプロファイルを作成する。標準試料として、層中の水素原子の量が既知であるアモルファスカーボン層が形成された試料を用いる。アモルファスカーボン層の表面から、つまりアモルファスカーボン層の表面からの深さが0nmからの深さ1nmごとに水素原子の量を算出する。本発明のアモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は、このようにして求められるアモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域の値を用いる。このように得られたデータにおいて、表面からの深さが3nm未満の領域の値は、アモルファスカーボン層の表面に付着した汚れ等の影響により、水素原子の量は変動があるためである。
本発明において、アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域とは、上述のERDAの検出深さにおいて、アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域を意味する。ERDAの検出深さにおいて、アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmより小さい領域または大きい領域、つまり表面からの深さが3nmよりアモルファスカーボンの表面側の領域や基材側の領域は含まない。
本発明において、アモルファスカーボン層は、アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmより大きく30nm以下に含まれる水素原子の量が、3atm%以上38atm%以下であることが好ましい。これによって、清掃などによりアモルファスカーボン層が損耗した場合であっても、防汚耐久性が良好なアモルファスカーボン層の表面を維持することが可能となる。
また、アモルファスカーボン層に他の元素をドーピングすることによって、アモルファスカーボン層の表面の物性を改変することができる。
ドーピングする元素としては、ケイ素、チタン、クロム、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、銀、金、ニオブ、モリブデン、タングステン以外の元素から選択されることが好ましい。特に好ましい元素としては、フッ素、硫黄、窒素、酸素などが挙げられる。これによって、アモルファスカーボン層の防汚耐久性を低下させることなく、表面の物性を改変することが可能になる。例えば、アモルファスカーボン層にフッ素をドーピングすることで、アモルファスカーボン層の表面自由エネルギーを低下させることができる。これにより、汚れ等の付着力を低下させることができるため、清掃の手間を軽減することができる。
本発明のアモルファスカーボン層は、硬度が2GPa以上であることが好ましい。さらに好ましくは3GPa以上、さらにより好ましくは6GPa以上であることが好ましい。これにより、清掃などによってアモルファスカーボン層の表面を摺動した場合でも、膜の損耗が抑制されるため、良好な外観を維持することができる。また、硬度の上限としては、50GPa以下であることが好ましい。
硬度は、以下のように算出する。すなわち、超微小押し込み硬さ試験機(例えば、ENT−2100、株式会社エリオニクス社製、三角錐ダイヤモンド圧子)を用い、測定条件として、試験荷重0.1mN、分割数500回、ステップインターバル20msec、保持時間5000msecで行うことにより得られた測定値を硬度とする。
本発明のアモルファスカーボン層の膜厚は、3nm以上であることが好ましい。また、アモルファスカーボン層の膜厚は特に上限はないが、10μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは5μm以下であり、さらにより好ましくは1μm以下である。これによりアモルファスカーボン層の残留応力を低減でき、基材からアモルファスカーボン層が剥離することを抑制することができる。
アモルファスカーボン層の膜厚を算出するための方法として、触針式膜厚計、X線反射率法、反射分光法、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線光電子分光法、グロー放電発光分析法などが挙げられる。
(中間層)
本発明では、アモルファスカーボン層と基材との間に、中間層が存在してもよい。中間層は、炭素、水素、ケイ素を含有することが好ましい。中間層に含まれるケイ素の量は、アモルファスカーボン層に含まれるケイ素の量よりも多い方が好ましい。このような中間層を設けることで、アモルファスカーボン層と基材の密着性を向上させることが可能となる。中間層にケイ素と炭素の結合を含むことで、アモルファスカーボン層と中間層の密着性を向上させることが可能となる。
本発明では、アモルファスカーボン層と基材との間に、中間層が存在してもよい。中間層は、炭素、水素、ケイ素を含有することが好ましい。中間層に含まれるケイ素の量は、アモルファスカーボン層に含まれるケイ素の量よりも多い方が好ましい。このような中間層を設けることで、アモルファスカーボン層と基材の密着性を向上させることが可能となる。中間層にケイ素と炭素の結合を含むことで、アモルファスカーボン層と中間層の密着性を向上させることが可能となる。
(成膜方法)
アモルファスカーボン層を形成する方法としては、物理蒸着法(PVD法)又は化学蒸着法(CVD法)が挙げられる。PVD法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、プラズマイオン注入製膜法などが挙げられる。
アモルファスカーボン層を形成する方法としては、物理蒸着法(PVD法)又は化学蒸着法(CVD法)が挙げられる。PVD法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、イオン化蒸着法、プラズマイオン注入製膜法などが挙げられる。
アモルファスカーボン層を形成するための原料として、炭素および水素を含む原料を用いる。炭素および水素を含む原料としては、炭化水素や、グラファイトなどの炭素と水素や炭化水素を混合した原料が挙げられる。炭化水素としては、メタン、アセチレン、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。PVD法の原料としては、グラファイトなどの固体原料と、メタン、アセチレン、トルエン、ベンゼン、水素などを混合した原料を用いることができる。一方、CVD法の原料としては、メタン、アセチレン、トルエン、ベンゼンなどの炭化水素の原料が用いることができる。
本発明のアモルファスカーボン層は、トルエンやベンゼン等の分子量の大きな炭化水素原料を用いて形成することが好ましい。これにより、アモルファスカーボン層に含まれる水素原子の量を制御し易くなり、アモルファスカーボン層の品質特性を安定化させることができる。さらに、アモルファスカーボン層の形成速度を上げることができ、成膜時間を短縮することができ、製品の生産性を向上させることができる。
また、アモルファスカーボン層を形成するための原料として、炭素及び水素だけでなく、酸素や窒素、フッ素などを含むものを用いることもできる。
本発明のアモルファスカーボン層は、CVD法を用いて形成することが好ましい。CVD法は、真空槽内に導入された原料に熱、光、プラズマ等のエネルギーを与え、活性化された原料が基材表面において互いに化学反応を繰り返すことにより、基材上に堆積していき、基材上にアモルファスカーボン層が形成されると考えられる。CVD法では、原料は気体として真空槽内に導入される。そのため、真空槽内での原料の濃度を均一にすることができ、基材表面付近に存在する活性化された原料の濃度も均一にすることが可能となる。これにより、基材上に形成されるアモルファスカーボン層の膜厚のバラつきを小さくすることができ、基材上に均一な厚さの膜を形成することが可能である。また、原料である炭化水素は、炭素と水素とが一定の割合のまま基材周辺に存在することができる。このためアモルファスカーボン層に含まれる水素原子の量のバラツキを抑えることが可能となり、アモルファスカーボン層に含まれる水素原子の量を本願のような特定の範囲とすることが可能になると考えられる。また、CVD法は、グラファイトの固体原料を用いるPVD法と比較して成膜速度が早いため、成膜時間を短縮することができる。
また、本発明のアモルファスカーボン層はプラズマCVD法を用いて形成することがさらに好ましい。プラズマCVD法は、原料ガスをプラズマ化する手段として高周波電源を使用するため、基材を設置した雰囲気温度を200℃以下の低温に保つことができる。このため、基材に使用されている材質が耐熱性の低い樹脂や合金などを含む場合においても、基材を熱劣化させることなくアモルファスカーボン層を形成することが可能となる。さらに、プラズマCVD法においては、以下のような過程でアモルファスカーボン層が形成される。真空槽内に基材と原料を導入し、外部電源より高周波電圧を印加することによって、原料をプラズマさせることにより、原料のイオンやラジカル種が生成する。生成したイオンやラジカル種は、基材表面において互いに化学結合を繰り返すことにより、基材上に堆積していく。堆積の極めて初期段階においては、アモルファスカーボンの島状の核生成が起こると考えられ、堆積が進むにつれて基材表面を次第に被覆して、最終的には均一な膜が形成される。このため、プラズマCVD法によりアモルファスカーボン層を形成することで、基材が複雑形状であったとしても、基材上に均一な膜を形成することができる。
また、アモルファスカーボン層と基材の間に中間層を形成する場合、原料ガスを変えることで、アモルファスカーボン層と同様の手法で形成することが可能である。
中間層の原料ガスとしては、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルシラン(TMS)、テトラエトオキシシリコン(TEOS)からなる群より選ばれた一以上のガスを第一の成分として使用できる。また、水素、酸素からなる群より選ばれた一以上のガスを第二の成分として第一の成分と混合して使用できる。また、HMDSOを使用する代わりに、TMSと酸素の混合ガスを使用しても良い。
(前処理)
本発明では、基材表面にアモルファスカーボン層または中間層を形成する際に、基材の前処理を行うことができる。前処理は、(1)基材表面に付着した有機や無機の吸着物を除去、(2)酸化物層の除去による密着性の向上、(3)基材表面粗さの調整、(4)基材表面のプラズマによる活性化等の目的で実施される。前処理は、中間層やアモルファスカーボン層を形成する同一プロセスで行っても良いし、別プロセスとして行っても良い。
本発明では、基材表面にアモルファスカーボン層または中間層を形成する際に、基材の前処理を行うことができる。前処理は、(1)基材表面に付着した有機や無機の吸着物を除去、(2)酸化物層の除去による密着性の向上、(3)基材表面粗さの調整、(4)基材表面のプラズマによる活性化等の目的で実施される。前処理は、中間層やアモルファスカーボン層を形成する同一プロセスで行っても良いし、別プロセスとして行っても良い。
本発明では、前処理として、アモルファスカーボン層または中間層を形成する前に、Arガスを用いたスパッタリングを実施するのが好ましい。
実施例1
(成膜装置)
成膜には、スパッタリング成膜装置を用いた。
(成膜装置)
成膜には、スパッタリング成膜装置を用いた。
(基材)
基材として、ステンレス鋼(SUS304)を用いた。また、基材表面の汚れを除去するために、イオン交換水およびアセトンによる超音波洗浄を順次実施した。
基材として、ステンレス鋼(SUS304)を用いた。また、基材表面の汚れを除去するために、イオン交換水およびアセトンによる超音波洗浄を順次実施した。
(アモルファスカーボン層成膜)
基材を前述の成膜装置の真空容器の内部にセッティングし、真空排気装置により高真空状態(1Pa以下)まで減圧した。アモルファスカーボン層の原料には、固体カーボンのスパッタリングターゲットを用いた。真空容器内に、プロセスガスとしてアルゴンガスと炭化水素ガスの混合ガスを導入し、容器内の圧力を調整した。高周波出力300W、基材温度を100℃以下とし、所定の処理時間の成膜を行うことにより、基材上にアモルファスカーボン層を形成し、サンプルを得た。
基材を前述の成膜装置の真空容器の内部にセッティングし、真空排気装置により高真空状態(1Pa以下)まで減圧した。アモルファスカーボン層の原料には、固体カーボンのスパッタリングターゲットを用いた。真空容器内に、プロセスガスとしてアルゴンガスと炭化水素ガスの混合ガスを導入し、容器内の圧力を調整した。高周波出力300W、基材温度を100℃以下とし、所定の処理時間の成膜を行うことにより、基材上にアモルファスカーボン層を形成し、サンプルを得た。
(水素原子量の測定)
得られたサンプルのアモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる水素原子の量を以下の方法により測定した。測定には、弾性反跳粒子検出法(ERDA:ElasticRecoilDetectionAnalysis)を用いた。測定装置として、高分解能RBS分析装置HRBS1000(KOBELCO社製)を使用した。測定条件は、加速電圧:500keV、イオン種:窒素イオン、検出器角度(反跳角)45.6°とした。反跳粒子のエネルギー検出範囲は、38keVから68keVまでとした。アモルファスカーボン層の表面は前述の方法を用いて決定した。得られた測定データは、専用解析ソフト(名称:analysisIB、KOBELCO社製)を用いて解析を行った。解析条件は、変化ステップ幅100、計算回数5000回とした。前述の方法を用いて決定したアモルファスカーボン層の表面から、表面からの深さが60nmまでの領域の解析データを得た。測定データを標準試料の測定データと比較し、アモルファスカーボン層の表面からの深さに対する水素原子の量を算出し、アモルファスカーボン層の表面からの深さに対する水素原子の量を示すプロファイルを作成した。標準試料として、層中の水素原子の量が20atm%であるアモルファスカーボン層が形成された試料を用いた。アモルファスカーボン層の表面からの深さが0nmから深さ1nmごとに水素原子の量を算出した。アモルファスカーボン層の水素原子の量としては、アモルファスカーボン層の表面からの深さが2‐3nmの値を用いた。この得られた値をアモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量とした。その結果、実施例1のサンプルのアモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は11atm%であった。
得られたサンプルのアモルファスカーボン層の表面近傍に含まれる水素原子の量を以下の方法により測定した。測定には、弾性反跳粒子検出法(ERDA:ElasticRecoilDetectionAnalysis)を用いた。測定装置として、高分解能RBS分析装置HRBS1000(KOBELCO社製)を使用した。測定条件は、加速電圧:500keV、イオン種:窒素イオン、検出器角度(反跳角)45.6°とした。反跳粒子のエネルギー検出範囲は、38keVから68keVまでとした。アモルファスカーボン層の表面は前述の方法を用いて決定した。得られた測定データは、専用解析ソフト(名称:analysisIB、KOBELCO社製)を用いて解析を行った。解析条件は、変化ステップ幅100、計算回数5000回とした。前述の方法を用いて決定したアモルファスカーボン層の表面から、表面からの深さが60nmまでの領域の解析データを得た。測定データを標準試料の測定データと比較し、アモルファスカーボン層の表面からの深さに対する水素原子の量を算出し、アモルファスカーボン層の表面からの深さに対する水素原子の量を示すプロファイルを作成した。標準試料として、層中の水素原子の量が20atm%であるアモルファスカーボン層が形成された試料を用いた。アモルファスカーボン層の表面からの深さが0nmから深さ1nmごとに水素原子の量を算出した。アモルファスカーボン層の水素原子の量としては、アモルファスカーボン層の表面からの深さが2‐3nmの値を用いた。この得られた値をアモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量とした。その結果、実施例1のサンプルのアモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は11atm%であった。
(耐摺動性試験)
一軸往復式の摺動試験装置により、アモルファスカーボン層の表面の耐摺動性試験を実施した。試験の方法は、面圧が250g/cm2、移動速度が70mm/secの条件で、サンプルの表面にメラミンフォームスポンジ(レック株式会社製)を450回往復摺動した。この後、サンプル表面状態を目視によって観察した。アモルファスカーボン層の外観に変化はなかった。
一軸往復式の摺動試験装置により、アモルファスカーボン層の表面の耐摺動性試験を実施した。試験の方法は、面圧が250g/cm2、移動速度が70mm/secの条件で、サンプルの表面にメラミンフォームスポンジ(レック株式会社製)を450回往復摺動した。この後、サンプル表面状態を目視によって観察した。アモルファスカーボン層の外観に変化はなかった。
(防汚耐久性評価)
上記の耐摺動性試験を実施したサンプルに対し、防汚耐久性評価を実施した。まず、アモルファスカーボン層の表面に、水道水を滴下し、温度25℃、湿度が70%の空気中で24時間放置することにより、サンプル表面に水垢を形成した。
このようにして得られた水垢を形成したサンプルの防汚耐久性を一軸往復式の摺動試験装置を用いて以下の条件で評価した。
洗剤をアモルファスカーボン層の表面に適量塗布し、面圧が100g/cm2、移動速度が35mm/secの条件で、浴室清掃用の市販のスポンジ(品名スコッチ・ブライト(登録商標)、品番BM−12K、住友スリーエム社製)のウレタンフォーム面を用いて、アモルファスカーボン層の表面に対して10回往復摺動させた。洗剤として、浴室清掃用の中性洗剤(品名:浴室用合成洗剤、メーカー:花王株式会社製、液性:中性)又は水栓金具清掃用の研磨剤入り洗剤(品名:磨き材、品番:ENL600、メーカー:TOTO株式会社製、液性:弱アルカリ性)を用いた。その後、サンプル表面の洗剤を流水で洗い流し、エアダスターで水分を除去した。サンプル表面に水垢が残存しているかを目視で判断した。その結果、洗剤として中性洗剤を用いた場合は水垢が残存していたが、洗剤として研磨剤入り洗剤を用いた場合は水垢が除去されていた。
上記の耐摺動性試験を実施したサンプルに対し、防汚耐久性評価を実施した。まず、アモルファスカーボン層の表面に、水道水を滴下し、温度25℃、湿度が70%の空気中で24時間放置することにより、サンプル表面に水垢を形成した。
このようにして得られた水垢を形成したサンプルの防汚耐久性を一軸往復式の摺動試験装置を用いて以下の条件で評価した。
洗剤をアモルファスカーボン層の表面に適量塗布し、面圧が100g/cm2、移動速度が35mm/secの条件で、浴室清掃用の市販のスポンジ(品名スコッチ・ブライト(登録商標)、品番BM−12K、住友スリーエム社製)のウレタンフォーム面を用いて、アモルファスカーボン層の表面に対して10回往復摺動させた。洗剤として、浴室清掃用の中性洗剤(品名:浴室用合成洗剤、メーカー:花王株式会社製、液性:中性)又は水栓金具清掃用の研磨剤入り洗剤(品名:磨き材、品番:ENL600、メーカー:TOTO株式会社製、液性:弱アルカリ性)を用いた。その後、サンプル表面の洗剤を流水で洗い流し、エアダスターで水分を除去した。サンプル表面に水垢が残存しているかを目視で判断した。その結果、洗剤として中性洗剤を用いた場合は水垢が残存していたが、洗剤として研磨剤入り洗剤を用いた場合は水垢が除去されていた。
(硬度の測定)
超微小押し込み硬さ試験機(ENT−2100、株式会社エリオニクス社製、三角錐ダイヤモンド圧子)を用いて硬度を測定した。測定条件は、試験荷重0.1mN、分割数500回、ステップインターバル20msec、保持時間5000msecで行った。
膜硬度の値として、10回測定を行い、最大値と最小値を除いた8個の測定値の平均値を用いた。膜硬度は6GPa以上であった。
超微小押し込み硬さ試験機(ENT−2100、株式会社エリオニクス社製、三角錐ダイヤモンド圧子)を用いて硬度を測定した。測定条件は、試験荷重0.1mN、分割数500回、ステップインターバル20msec、保持時間5000msecで行った。
膜硬度の値として、10回測定を行い、最大値と最小値を除いた8個の測定値の平均値を用いた。膜硬度は6GPa以上であった。
実施例2
(成膜装置)
成膜には、プラズマCVD成膜装置を用いた。
(成膜装置)
成膜には、プラズマCVD成膜装置を用いた。
(基材)
基材として、黄銅上に電解ニッケルめっきを15μmと電解クロムめっきを0.1μm施した水栓金具を用いた。また、めっき表面の汚れを除去するために、イオン交換水およびアセトンによる超音波洗浄を順次実施した。
基材として、黄銅上に電解ニッケルめっきを15μmと電解クロムめっきを0.1μm施した水栓金具を用いた。また、めっき表面の汚れを除去するために、イオン交換水およびアセトンによる超音波洗浄を順次実施した。
(前処理工程)
基材を真空容器の内部にセッティングし、真空排気装置により高真空状態(1Pa以下)まで減圧した。次に、アルゴンガスを導入し、真空容器内の圧力が0.7Paとなるように調整した。高周波出力500W、基材温度100℃以下とし、約5分間の処理を行うことにより、基材表面を調整した。
基材を真空容器の内部にセッティングし、真空排気装置により高真空状態(1Pa以下)まで減圧した。次に、アルゴンガスを導入し、真空容器内の圧力が0.7Paとなるように調整した。高周波出力500W、基材温度100℃以下とし、約5分間の処理を行うことにより、基材表面を調整した。
(中間層成膜工程)
中間層の原料には、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用いた。真空装置内にHMDSOを導入し、真空容器内の圧力が所定の範囲(1〜0.1Pa)となるように調整した。成膜条件は、高周波出力として200〜800Wの範囲の所定の出力値、基材温度として100℃以下を用い、所定の処理時間の成膜を行うことにより、基材表面に中間層を形成した。
中間層の原料には、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用いた。真空装置内にHMDSOを導入し、真空容器内の圧力が所定の範囲(1〜0.1Pa)となるように調整した。成膜条件は、高周波出力として200〜800Wの範囲の所定の出力値、基材温度として100℃以下を用い、所定の処理時間の成膜を行うことにより、基材表面に中間層を形成した。
(アモルファスカーボン層成膜工程)
アモルファスカーボン層の原料には、アセチレン及びトルエンガスを用いた。トルエンガスを導入し、真空容器内の圧力が所定の範囲(1〜0.1Pa)となるように調整した。成膜条件は、高周波出力値として200〜800Wの範囲の所定の出力値、基材温度として100℃以下を用い、所定の処理時間の成膜を行うことにより、中間層上にアモルファスカーボン層を形成し、サンプルを得た。
アモルファスカーボン層の原料には、アセチレン及びトルエンガスを用いた。トルエンガスを導入し、真空容器内の圧力が所定の範囲(1〜0.1Pa)となるように調整した。成膜条件は、高周波出力値として200〜800Wの範囲の所定の出力値、基材温度として100℃以下を用い、所定の処理時間の成膜を行うことにより、中間層上にアモルファスカーボン層を形成し、サンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様の評価試験を行なった。その結果、アモルファスカーボン層表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は16atm%であった。また、耐摺動性試験、防汚耐久性試験および膜硬度については、実施例1と同様の結果であった。
実施例3
実施例3は、実施例2に対して真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
実施例3は、実施例2に対して真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様の評価試験を行なった。その結果、アモルファスカーボン層表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は28atm%であった。また、耐摺動性試験、防汚耐久性試験および膜硬度については、実施例1と同様の結果であった。
実施例4
実施例4は、実施例2に対して真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
実施例4は、実施例2に対して真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様の評価試験を行なった。その結果、アモルファスカーボン層表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は27atm%であった。また、防汚耐久性試験において洗剤として中性洗剤を用いた場合に水垢が除去されていた以外は、実施例1と同様の結果であった。
実施例5
実施例5は、実施例2に対して真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
実施例5は、実施例2に対して真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様の評価試験を行なった。その結果、アモルファスカーボン層表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は30atm%であった。また、膜硬度が4.7GPaであった以外は、実施例1と同様の結果であった。
実施例6
実施例6は、実施例2に対して真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
実施例6は、実施例2に対して真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様の評価試験を行なった。その結果、アモルファスカーボン層表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は38atm%であった。また、膜硬度が3.8GPaであった以外は、実施例1と同様の結果であった。
実施例7
実施例7は、実施例2に対して、基材としてガラスを用いたこと、真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
実施例7は、実施例2に対して、基材としてガラスを用いたこと、真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様の評価試験を行なった。その結果、アモルファスカーボン層表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は16atm%であった。また、耐摺動性試験、防汚耐久性試験および膜硬度については、実施例1と同様の結果であった。
実施例8
実施例8は、実施例2に対して、基材としてガラスを用いたこと、真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
実施例8は、実施例2に対して、基材としてガラスを用いたこと、真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様の評価試験を行なった。その結果、アモルファスカーボン層表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は20atm%であった。また、防汚耐久性試験において洗剤として中性洗剤を用いた場合に水垢が除去されていた以外は、実施例1と同様の結果であった。
実施例9
実施例9は、実施例2に対して、基材としてガラスを用いたこと、真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
実施例9は、実施例2に対して、基材としてガラスを用いたこと、真空容器内の圧力および高周波出力の出力値を変更した以外は同様の方法によりサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様の評価試験を行なった。その結果、アモルファスカーボン層表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は30atm%であった。また、防汚耐久性試験において洗剤として中性洗剤を用いた場合に水垢が除去されていた以外は、実施例1と同様の結果であった。
比較例1
比較例1は、実施例1に対してプロセスガスとしてアルゴンの単体ガスを用いたこと以外は同様の方法によりサンプルを得た。
比較例1は、実施例1に対してプロセスガスとしてアルゴンの単体ガスを用いたこと以外は同様の方法によりサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様の評価試験を行なった。その結果、アモルファスカーボン層表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は2atm%であった。また、防汚耐久性試験においていずれの洗剤を用いた場合にも水垢が除去されていなかった以外は、実施例1と同様の結果であった。
比較例2
比較例2は、実施例2に対して高周波出力の出力値を変更したこと以外は同様の方法によりサンプルを得た。
比較例2は、実施例2に対して高周波出力の出力値を変更したこと以外は同様の方法によりサンプルを得た。
得られたサンプルについて、実施例1と同様の評価試験を行なった。その結果、アモルファスカーボン層表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量は39atm%であった。また、耐摺動性試験においてアモルファスカーボン層に傷が入っていたこと、及び膜硬度が1.4GPaであったこと以外は、実施例1と同様の結果であった。
Claims (5)
- 水まわり用部材において、
前記水まわり部材の表面にアモルファスカーボン層が形成されており、
前記アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量が3atm%以上38atm%以下であることを特徴とする、水まわり用部材。 - 前記アモルファスカーボン層の硬度は2GPa以上であることを特徴とする、請求項1に記載の水まわり用部材。
- 前記アモルファスカーボン層はCVD法により形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水まわり用部材。
- 前記アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量が、3atm%以上30atm%以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水まわり用部材。
- 前記アモルファスカーボン層の表面からの深さが3nmの領域に含まれる水素原子の量が、11atm%以上30atm%以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水まわり用部材。
Priority Applications (1)
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-
2015
- 2015-02-23 JP JP2015032648A patent/JP2015193911A/ja active Pending
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CN113767186B (zh) * | 2020-03-31 | 2023-10-03 | Toto株式会社 | 卫生设备部件 |
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