JP6213889B2 - 水栓金具 - Google Patents

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Description

本発明は、水栓金具の表面処理に関し、さらに詳しくは、防汚性の機能付与を目的とし、表面にアモルファスカーボン膜を形成した水栓金具に関する。
水栓金具は、製品としての意匠性を高める目的で、材質表面に対して機械加工やめっきが施されている。
浴室や洗面台で使用される水栓金具は、水道水や洗剤等が表面に付着する環境下で使用される。水栓金具の表面に付着した水や汚れは、それらが乾燥することによって製品表面に汚れとして固着する。これらの汚れは、水栓金具の外観を損ない商品価値を下げるだけでなく、使用者に対して清掃作業という煩わしさを与えるという懸念がある。
水栓金具の表面において想定される汚れの種類には、油分、金属石鹸、洗剤残り等の有機成分の汚れと、水道水中に溶解しているシリカや炭酸カルシウム等の水垢等の無機成分による汚れがある。有機成分の汚れは、洗剤によって比較的容易に除去することが可能である。一方、無機成分の汚れは、製品表面に強固に固着するため、中性洗剤等で除去することが難しい。固着した水垢を清掃により除去する手段として、例えば水垢専用の研磨粒子入りのスポンジや洗剤が市販されている。しかしながら、研磨粒子自体や過度な清掃行為によって、水周り製品の表面に損傷を与え、結果として傷などが発生し外観を損ねる場合があり、抜本的な解決には至っていない。
無機汚れに対する対策として、特許文献1(特開2000−72488)には、ガラス基材上にシリコンを主成分とする層、アモルファスカーボン層を順次形成することにより、無機汚れがつきにくい、または落としやすくなることが開示されている。また、ガラス基材とアモルファスカーボン層の密着性を向上させるために、シリコンを主成分とする層を0.5〜3nmの膜厚とし、アモルファスカーボン層は、防汚機能発現のため、3nm〜50nmの膜厚とすることが開示されている。
特開2000−72488号公報
本発明者らは、水栓金具表面にアモルファスカーボン層を形成し、水栓金具の質感を損なうことなく水栓金具上に水垢に対する防汚性の機能を付与することを試みた。特許文献1で開示されている通り、ガラス基材を用いた場合にはアモルファスカーボン層を膜厚3nm以上形成することにより、水垢除去性に対する効果が確認された。一方、水栓金具の金属基材に対して同様にアモルファスカーボンを形成したが、水垢除去性に対する効果が確認できなかった。
さらに、ガラス基材と水栓金具の金属基材について、アモルファスカーボン層の形成による色調の変化を比較観察した。その結果、同一膜厚を形成した場合でも、ガラスより水栓金具の方が黄色味の増加が顕著であり、基材が金属の場合には色調の変化が大きく感じられることが分かった。
本発明は、水栓金具の質感を維持しつつ、水垢の付きにくい、または取れやすいことを特徴とする防汚性水栓金具とその製造方法の提供を目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、クロムめっき、ニッケルめっきの少なくともいずれかを施した表面にアモルファスカーボン層が形成された水栓金具であって、基材とアモルファスカーボン層との間に設けられ、炭素、水素、及びケイ素を含有する中間層をさらに備え、前記アモルファスカーボン層が形成される前後の色差値の差分である色差ΔE*abが2.5以上17.8以下であることを特徴とする。
また、本発明に係る水栓金具は、クロムめっき、ニッケルめっきの少なくともいずれかを施した基材の表面にアモルファスカーボン層が形成された水栓金具であって、前記アモルファスカーボン層が前記基材の表面に直接設けられており、前記アモルファスカーボン層の膜厚が12nmより厚いく37nm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、水栓金具の外観を維持しつつ水栓金具の表面に堆積する水垢の固着を抑制、または水垢を落としやすくすることが可能となる。
基材上にアモルファスカーボン層を形成した構成を表す概略図 基材上に中間層とアモルファスカーボン層を形成した構成を表す概略図
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の水栓金具は、図1に示すように、基材1上にアモルファスカーボン層2が形成されたものである。また、図2に示すように、基材1上に中間層3とアモルファスカーボン層2が形成されたものである。
(基材)
本発明の基材は、水栓金具である。水栓金具は、本体を構成する材料として、銅および銅合金、ステンレス鋼、亜鉛ダイキャストなどの金属やABSなどの樹脂が挙げられる。水栓金具の表面には、意匠性と耐食性等の機能を付与する目的で、めっきが処理されていることが好ましい。めっきの一例として、ニッケルめっき、クロムめっき、スズめっき、亜鉛めっき、銅めっき、金めっきなどが挙げられ、これらの表面処理が単一層または複数層形成された水栓金具も利用することが可能である。
さらに、水栓金具の表面性状は特に限定されるものではなく、光沢を有する鏡面、梨地、ヘアラインなどに適用することができる。
(アモルファスカーボン層)
本発明のアモルファスカーボン層は、炭素原子および水素原子を含む非晶質の化合物である。炭素原子は、ダイヤモンド構造のsp構造とグラファイト構造のsp構造の2つの結合状態を有している。アモルファスカーボン層に含まれるsp構造の炭素原子は、sp構造の炭素原子とsp構造の炭素原子の和に対して30at%以上含まれるとよい。アモルファスカーボン層に含まれるsp構造の炭素原子を増加させることにより、アモルファスカーボン層の透光性を高めることができる。また、アモルファスカーボン層は、水素原子を含んでも含まなくても良いが、水素原子を含むほうがより好ましい。アモルファスカーボン層に含まれる水素原子は、アモルファスカーボン層の化学的な反応性を低下させ、同時に透光性を高めることができる。
アモルファスカーボン層は、従来から金属表面を高硬度の特徴を有するが、アモルファスカーボン層中の水素原子の量を増加させることにより、膜が弾性変形し易くなるため、水栓金具表面に使用させる際には清掃等による耐擦傷性の向上も期待できる。
また、アモルファスカーボン層に他の元素をドーピングすることによって、アモルファスカーボン層の表面の物性を改変することができる。たとえば、特許文献1で述べられているように、フッ素を含む原料ガスを導入することで、アモルファスカーボンの表面における水接触角を高めることにより、撥水性を付与することができる。
(中間層)
本願の中間層は、炭素、水素、ケイ素を含有する。中間層に含まれるSiの量は、アモルファスカーボン層とは明確な差を有しており、中間層はアモルファスカーボン層よりも多くのSiを含有する。中間層を設けることで、アモルファスカーボン層と基材の密着性を向上させることが可能となる。中間層のSiとCの結合は、アモルファスカーボン層と中間層の密着性を向上させることに寄与する。
(膜厚)
膜厚を算出するための方法として、反射分光法、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線光電子分光法、GD−OESが挙げられる。
反射分光法は、基材上に形成されたアモルファスカーボン層の膜厚、もしくは基材上に形成された中間層の膜厚、もしくは基材上に形成されたアモルファスカーボン層と中間層の合計膜厚を求めることができる。反射分光法は、測定光の照射面積と同程度の領域の平均化された情報を膜厚値として算出する。微視的に見たサンプル面内方向の膜厚にバラツキがある場合でも、マクロな情報を膜厚値として得ることができる。具体的には、段落(0045)に記載の方法を用いることができる。
走査型電子顕微鏡の断面像によって膜厚を測定することができる。SEM/EDXを使用することにより、中間層とアモルファスカーボン層の分離が可能である。観察倍率は、基材と各層とが一つの観察視野内に収まる最大の倍率を用いると良い。EDXにより膜表面から基材と垂直方向に基材に到達するまで連続したSi元素の検出強度を測定することにより、膜厚方向のSi検出強度のプロファイルを得る。アモルファスカーボン層と中間層の境界は、Siの検出強度プロファイルの膜表面方向からの立ち上がり部において、最大検出強度の1/2となる地点として求められる。中間層と基材の境界は、Siの検出強度プロファイルの最大検出ピークから基材方向への立ち下がり部において、最大検出強度の1/2となる地点として求められる。アモルファスカーボン層と中間層の境界地点、中間層と基材の境界地点の2点の間を中間層の膜厚とする。アモルファスカーボン層の膜厚は、SEM画像より観察されるアモルファスカーボン層の表面地点と、上記の膜表面方向からのSi検出強度の立ち上がり部の中間層の境界地点から求める。アモルファスカーボン層の表面に沿った観察視野において少なくとも1μmの領域内で無作為に5点測定した値を、最終的な膜厚値とする。
また、透過型電子顕微鏡の断面像によって膜厚を測定することができる。TEM/EDXを使用することにより、中間層とアモルファスカーボン層の分離が可能である。観察倍率は、基材と各層とが一つの観察視野内に収まる最大の倍率を用いる。観察倍率は、基材と各層とが一つの観察視野内に収まる最大の倍率を用いると良い。EDXにより膜表面から基材と垂直方向に基材に到達するまで連続したSi元素の検出強度を測定することにより、膜厚方向のSi検出強度のプロファイルを得る。アモルファスカーボン層と中間層の境界は、Siの検出強度プロファイルの膜表面方向からの立ち上がり部において、最大検出強度の1/2となる地点として求められる。中間層と基材の境界は、Siの検出強度プロファイルの最大検出ピークから基材方向への立ち下がり部において、最大検出強度の1/2となる地点として求められる。アモルファスカーボン層と中間層の境界地点、中間層と基材の境界地点の2点の間を中間層の膜厚とする。アモルファスカーボン層の膜厚は、TEM画像より観察されるアモルファスカーボン層の表面地点と、上記の膜表面方向からのSi検出強度の立ち上がり部の中間層の境界地点から求める。アモルファスカーボン層の表面に沿った観察視野において少なくとも100nmの領域内で無作為に5点測定した値を、最終的な膜厚値とする。
反射分光法により測定した膜厚値は、SEM/EDXまたはTEM/EDXによって測定した膜厚値との相関関係を求めることにより、換算係数を算定することができ、必要に応じて膜厚の値を修正することができる。すなわち、反射分光法によって測定が困難なサンプルであっても、SEM/EDXまたはTEM/EDXによって測定した膜厚値に対して上記の換算を行うことで、反射分光法によって求めた膜厚値と同等の値として取り扱うことが可能である。
水栓金具の表面にアモルファスカーボン層を直接形成する際のアモルファスカーボン層の膜厚は12nmより大きくすることが好ましい。膜厚を12nmより大きくすることで、基材の被覆率が100%に近くなり、水垢除去性に対する効果を発現することが可能となる。12nm以下では、基材を十分に被覆できないため、水垢除去性に対する効果が得られない。アモルファスカーボン層を水栓金具上に直接形成する際の上限膜厚は、37nm以下とすることが好ましい。なお、ここで定めた膜厚は反射分光法により求めた値である。
水栓金具の表面に形成された中間層の膜厚は、好ましい下限値が1.4nm以上であり、好ましい上限値が、31nm以下、より好ましくは15nm以下、さらに好ましくは7nm以下である。中間層の上に形成されたアモルファスカーボン層の膜厚は、好ましい下限値が1.5nm以上であり、好ましい上限値が29nm以下、より好ましくは15nm以下、さらに好ましくは7nm以下である。なお、ここで定めた膜厚は反射分光法により求めた値である。
中間層は、アモルファスカーボン層が下地を均一に被覆するための表面を提供し、アモルファスカーボン層の膜厚ムラを緩和する効果があると考えられる。
(意匠性)
水栓金具上にアモルファスカーボン層を形成する場合、および中間層とアモルファスカーボン層を形成する場合、いずれの場合においても、各層の膜厚が厚くなるにつれて、水栓金具の色味が変化し、色差ΔE*abは増大する。アモルファスカーボン層の単層、または、中間層とアモルファスカーボン層の合計膜厚が約100nm以下の薄膜の場合、膜厚と色差は比例関係となることを確認した。
発明者らは、上記の膜厚と色調の関係性を利用して、水栓金具の意匠性を維持する膜厚の上限値を色差ΔE*abを指標として決定した。水栓金具の意匠性は、色差ΔE*abの異なるサンプルを用意し、官能評価によって判別が可能である。
例えば、水栓金具上にアモルファスカーボン層を形成した際の色差と膜厚の関係から、ΔE*ab=20以下となるアモルファスカーボン層の上限膜厚は、37nm以下であることが求められる。同様に、水栓金具上に中間層とアモルファスカーボン層を形成した際の色差と膜厚の関係から、ΔE*ab=20以下となる中間層とアモルファスカーボン層の上限膜厚は、それぞれ37nm以下と29nm以下であることが求められる。
膜厚の上限値は、各層の色差と膜厚の関係性から決定することができるため、色差変化の小さい場合には、より厚い膜を形成することが可能となる。
(色差)
色差の測定には、分光測色計などを用いて測定することが可能である。成膜前の色差値と成膜後の色差値の差分により求めることができる。成膜前の色差値は、成膜前の基材のL*、a*、b*を測定することで求めることができる。また、成膜後の色差値は成膜後の基材のL*、a*、b*を測定することで求めることができる。成膜前後のL*、a*、b*につき、それぞれの差分より、ΔL*、Δa*、Δb*値を算出し、色差の定義より、ΔE*ab={(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2より、色差ΔE*abを算出することができる。
また、アモルファスカーボン成膜後の基材に対しては、アモルファスカーボン膜を機械研磨による物理的除去、あるいはアルゴンプラズマや酸素プラズマを用いたエッチングにより除去することで、下地の金属層を露出させ、この状態を成膜前としてL*、a*、b*値を測定することで、色差を算出することが可能である。
(成膜方法)
水栓金具にアモルファスカーボン層および中間層を形成する方法としては、PVD法(スパッタ法、イオンプレーティング法など)またはCVD法(プラズマCVD法、イオン化蒸着法など)が可能である。
(前処理)
本発明のある実施形態として、基材表面にアモルファスカーボン層を形成する際に、基材の前処理として、基材表面の調整を行うことができる。
前処理は、(1)基材表面に付着した有機や無機の吸着物を除去、(2)酸化物層の除去による密着性の向上、(3)基材表面粗さの調製、(4)基材表面のプラズマにより活性化等の目的で実施される。前処理は、中間層やアモルファスカーボン層を形成する同一プロセスで行っても良いし、別プロセスとして行っても良い。
本発明では、前処理として、中間層形成前にArガスを用いたスパッタリングを実施するのが好ましい。
本発明のアモルファスカーボン層及び中間層はプラズマCVD法を用いて以下のように形成することができる。
(アモルファスカーボン層成膜工程)
基材に高周波パルス電圧を印加することによって、基材の周りに存在する原料ガスがプラズマ化し、原料のイオンやラジカル種が生成する。生成したイオンやラジカル種は、基材表面において互いに化学結合を繰り返すことにより、基材上に堆積していく。堆積の極めて初期段階においては、アモルファスカーボンの島状の核生成が起こると考えられ、堆積が進むにつれて基材表面を次第に被覆して、最終的には均一な膜が形成される。
アモルファスカーボン層の原料ガスとしては、アセチレン、プロパン、ブタン、メタン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、クロルベンゼンからなる群より選ばれた一以上のガスを使用することができる。
(中間層成膜工程)
原料ガスを変えることで、アモルファスカーボン層と同様の手法で形成することが可能である。
中間層の原料ガスとしては、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラメチルシラン(TMS)、テトラエトオキシシリコン(TEOS)からなる群より選ばれた一以上のガスを第一の成分として使用できる。また、水素、酸素からなる群より選ばれた一以上のガスを第二の成分として第一の成分と混合して使用できる。水栓金具における中間層は透光性が要求されるため、原料ガスとして、HMDSOを用いることにより意匠性の変化を抑制することができる。また、HMDSOを使用する代わりに、TMSと酸素の混合ガスを使用しても良い。
中間層の成膜方法としては、カーボンイオンやプロトンおよびその化合物からなるイオン注入などが可能であるほか、上記ガス種とアモルファスカーボン原料ガスとの混合によるミキシング層を形成しても良い。
(成膜装置)
成膜には、プラズマCVD成膜装置を用いた。
基材として、黄銅上に電解ニッケルめっきを15μmと電解クロムめっきを0.1μm施した水栓金具を用いた。
また、めっき表面の汚れを除去するために、イオン交換水およびアセトンによる超音波洗浄を順次実施した。
前述した基材を、前述した成膜装置に設置し、下記のステップに示す手順で成膜を行った。
ステップ1:(前処理工程)
基材を真空容器の内部にセッティングし、真空排気装置により高真空状態(0.00133Pa以下)まで減圧した。次に、アルゴンガスを導入し、真空容器内の圧力が0.7Paとなるように調整した。高周波出力500W、基材温度を100℃以下とし、約5分間の処理を行うことにより、基材表面を調整した。
ステップ2:(中間層成膜工程)
次に、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を導入し、真空容器内の圧力が0.2Paとなるように調整した。高周波出力300W、基材温度を100℃以下とし、所定の処理時間の成膜を行うことにより、基材表面に中間層を形成した。
ステップ3:(アモルファスカーボン層成膜工程)
次に、アセチレンガスを導入し、真空容器内の圧力が0.2Paとなるように調整した。高周波出力300W、基材温度を100℃以下とし、所定の処理時間の成膜を行うことにより、中間層上にアモルファスカーボン層を形成し、各サンプルを得た。
ステップ1、ステップ2およびステップ3において、所定の処理時間に変更することにより、表1に記載の実施例1〜4および比較例3,4を作製した。
ステップ1およびステップ3において、所定の処理時間に変更することにより、表1に記載の実施例5および比較例1,2を作製した。
(水垢汚れの清掃性評価)
各サンプルのアモルファスカーボン層の表面に、水道水を滴下し、25℃、60%の空気中で24時間放置することにより、基材表面に水垢を形成した。
形成した水垢の清掃性は、一軸往復式の摺動試験装置によって水垢汚れの清掃性を評価した。水垢を清掃するための摺動素材は、一般家庭で使用される浴室清掃用の市販のスポンジ(品名スコッチブライト、品番BM−12K、メーカー住友スリーエム社製)を使用した。摺動面にかかる面圧は、100g/cm、摺動子の移動速度は、35mm/secとし、摺動子を一定方向に10往復させた後に、水垢が残存しているかを目視で判断し、水垢が除去されたものを○、除去されていないものを×として評価した。表1に水垢除去性の評価結果を示す。
(膜厚)
各サンプルの膜厚は、反射分光法を用いて以下のように測定した。
測定装置は、分光エリプソメーター(型番:FE−5000、大塚電子株式会社製)および、反射分光膜厚計(型番:FE−3000、大塚電子株式会社製)を用いた。まず、分光エリプソメーターを用いて、基材とアモルファスカーボン膜および中間層の光学特性の測定より、屈折率「n(λ)」および消衰係数「k(λ)」を求めた。次に、基材上に形成したアモルファスカーボン層および中間層のそれぞれについて光学特性を測定し、基材と同様に屈折率および消衰係数を求めた。これらの情報をもとに、中間層、アモルファスカーボン層のそれぞれについて、膜厚解析モデルを立てた。中間層の膜厚測定には、金属基材上に中間層の成膜処理時間を振って作成したサンプルに対して、解析値を算出した。アモルファスカーボン層の膜厚についても、中間層と同様にして、アモルファスカーボン層の解析値を算出した。成膜処理時間に対して、各層の膜厚解析値をプロットし、原点を通る最小二乗近似によって求めた検量線を作成した。検量線に各サンプルの成膜処理時間を代入して、中間層とアモルファスカーボン層の膜厚を求めた。
(色差)
各サンプルの色差の測定には、分光測色計(型番:CM−2600d、コニカミノルタ社製)を用いた。測定光源は、F2を用いた。測定器に白色校正板(#YYYY)にて校正を実施した。まず、成膜前の基材のL*、a*、b*を測定し、成膜前の色差値とした。次に、成膜後の基材のL*、a*、b*を測定し、成膜後の色差値とした。成膜前後のL*、a*、b*につき、それぞれの差分より、ΔL*、Δa*、Δb*値を算出した。色差の定義より、ΔE*ab={(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2より、色差ΔE*abを算出した。
(意匠性の評価)
各サンプルについて、意匠性の評価を実施した。評価方法は、表面がクロムめっき処理された水栓金具との色味の比較により行った。被験者30人の視覚による官能評価とし、次に示す4段階の基準で判定した。4段階の基準の区分には、被験者30人中20人以上の判定結果が一致した結果によって決定した。評価結果を表1に示す。
「×」:水栓金具として違和感を感じる色味
「△」:水栓金具として受容される色味
「○」:クロムめっき品と同一の空間で使用する際に違和感を感じる色味
「◎」:クロムめっき品と同一の空間で使用する際に違和感を感じない色味
とした。
Figure 0006213889

Claims (6)

  1. クロムめっき、ニッケルめっきの少なくともいずれかを施した基材の表面にアモルファスカーボン層が形成された水栓金具であって、
    基材とアモルファスカーボン層との間に設けられ、炭素、水素、及びケイ素を含有する中間層をさらに備え、
    前記アモルファスカーボン層が形成される前後の色差値の差分である色差ΔE*abが、2.5以上17.8以下であることを特徴とする防汚性水栓金具。
  2. 前記アモルファスカーボン層の膜厚が1.5nm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の防汚性水栓金具。
  3. 前記色差ΔE*abが9.3以下である、請求項1または2に記載防汚性水栓金具。
  4. 前記色差ΔE*abが2.5以上5.1未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防汚性水栓金具。
  5. クロムめっき、ニッケルめっきの少なくともいずれかを施した基材の表面にアモルファスカーボン層が形成された水栓金具であって、
    前記アモルファスカーボン層が前記基材の表面に直接設けられており、
    前記アモルファスカーボン層の膜厚が12nmより厚く37nm以下であることを特徴とする防汚性水栓金具。
  6. 前記アモルファスカーボン層が形成される前後の色差値の差分である色差ΔE*abが、15以下である、請求項記載の防汚性水栓金具。
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