JP7124909B2 - 衛生設備部材 - Google Patents
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Description
基材と、当該基材上にある着色層とを少なくとも備えてなる部材であって、
前記着色層が、
XPS深さ方向分析で得られるプロファイルにおいて、スパッタ開始からCrが1at%超検出されてから8分後の深さ領域において、
C、Cr、N、およびOの合計を100at%として、
47at%超97at%未満のC、
1at%超30at%未満のCr、
1at%超14at%未満のN、および
1at%超9at%未満のOを含み、かつ
その厚さが0.5μm以上4μm以下である
ことを特徴とする。
1 部材
本発明が好ましく適用される部材は、その表面に着色が施された部材であり、かつ長期間にわたり使用され、その間定期的に擦ることにより表面を清浄化する清掃に付される部材である。部材の例としては「衛生設備部材」が挙げられ、具体的には建物の給排水設備または室内用の備品であって、水(例えば、生活用水(工業用水でも良い))がかかり得る環境で用いられるものが挙げられる。本発明において、水がかかり得る環境としては、例えば住宅や、公園、商業施設、オフィスなどの公共施設などの水を用いる場所であり、具体的にはバスルーム、トイレ空間、化粧室、洗面所、台所などである。
本発明において、基材10の材質は特に制限されず、例えば衛生設備部材の基材として一般的に使用されているものを使用することができる。
本発明において、基材10は、支持材10aを含んでなる。すなわち、基材10は支持材10aからなるものであるか、支持材10aと他の要素とを備えてなるか、または、支持材10aの表面層40の側に、後述する領域10bを含んでなるものか、のいずれかである。支持材10aの材質としては、金属、樹脂、セラミック、陶器、ガラスなどを用いることができる。
着色層の構成
(着色層の組成)
本発明において、着色層は、炭素原子(C)、クロム原子(Cr)、窒素原子(N)、酸素原子(O)を含む層であり、
XPS深さ方向分析で得られるプロファイルにおいて、スパッタ開始からCrが1at%超検出されてから8分後の深さ領域において、
C、Cr、N、およびOの合計を100at%として、
47at%超97at%未満のC、
1at%超30at%未満のCr、
1at%超14at%未満のN、および
1at%超9at%未満のOを含み、
好ましくは、
48at%超97at%未満のC、
1at%超30at%未満のCr、
1at%超14at%未満のN、および
1at%超8at%未満のOを含み、
より好ましくは、 54at%超97at%未満のC、
1at%超28at%未満のCr、
1at%超14at%未満のN、および
1at%超4at%未満のOを含む。
本発明において、着色層20の厚さは0.5μm以上4μm以下である。厚さがこの範囲にある薄膜の着色層20は、基材10の性状、例えば色味、表面性状などを維持することができ、特にCを主として含む膜は光の吸収係数が小さく、干渉色を抑制するためには一定以上の膜厚が必要である。着色層20の膜厚が0.5μm以上であると、干渉色が抑制され、またその発色が良好となる。
(着色層の組成)
本発明において、着色層20の組成、具体的には、着色層に含まれるCr、C、NおよびOの各割合(%)は、XPS深さ方向分析で得られるプロファイルにおいて、スパッタ開始からCrが1at%超検出されてから8分後の深さ領域を測定点とし、その測定点における、C、Cr、NおよびOの合計を100at%としたときの各原子の割合として求められる。ここで、「XPS深さ方向分析で得られるプロファイル」とは、後記する「XPS測定条件」と「スパッタ条件1」を用いたXPS深さ方向分析により得られるプロファイルを指す。
XPS測定条件
X線条件:単色化AlKα線(出力25W)
光電子取出角:45°
分析領域:100μmφ
分析元素(エネルギー範囲):Zr3d(177-187eV)、C1s(281-296eV)、N1s(394-406eV)、O1s(524-540eV)、Cr2p3(572-582eV)、Si2p(98―108eV)
(XPS深さ方向分析時のスパッタリング条件1、以下「スパッタ条件1」という)
不活性ガス種:Ar
スパッタ電圧:4KV
スパッタ範囲:2mm×2mm
スパッタサイクル:10秒
(XPS深さ方向分析時のスパッタリング条件2、以下「スパッタ条件2」という)
不活性ガス種:Ar
スパッタ電圧:500V
スパッタ範囲:2mm×2mm
スパッタサイクル:1分
本発明において、着色層20の膜厚は下記方法により求めることができる。まず、着色層20を含む部材1における、意匠面(製品として設置したときに、目に触れる部分を指し、陰となり見えない部分を除く)上の任意の点を着色層20と垂直方向(図1のZ方向)に切断し、粗い番手から始めて細かい番手まで研磨を行い平滑な断面を得る。研磨痕で観察ができない場合にはイオンミリング装置等を用いて断面ミリングを行い、平滑な断面を得る。この断面に対して、走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(SEM/EDX)を用いて観察を行うことで、着色層20および基材10の識別ができる。着色層の膜厚が0.5μm~4.0μmの場合においては観察倍率10000倍~30000倍で観察し、着色層20と基材10の界面が収まり、かつ界面が水平になるようにSEM画像を取得する。倍率が低すぎると着色層20の膜厚が小さいときに着色層20を観察できないため膜厚を特定できず、また、倍率が高すぎると着色層20の膜厚が大きいときに観察領域内に基材と着色層の界面と、基材とは反対側の着色層の界面を捉えることができず、着色層の膜厚を特定できない。上記SEM画像に対して、EDXによるマッピング分析を行うことで、着色層20および基材10の元素分布を視覚的に確認することができる。例えば着色層の構成元素のCでマッピングすると、基材が樹脂基材以外の場合には境界面を明確に定義できる。樹脂基材の場合にはC以外の元素、O、Nでマッピングを行うことや組織観察から境界面を確認できる。この元素分布の異なる境界面を、着色層20および基材10の境界面とする。取得したSEM画像を縦に2分する線を中心として、この線と平行になるように左右に等間隔に2本ずつ線を描画する。SEM画像に描画した合計5本の縦線それぞれが、着色層と基材の境界面、および着色層の基材とは反対側の表面と交差する点を求める。SEM画像内の5本の縦線それぞれが上記2つの交差点により画分される5本の線分それぞれの長さを測定し、5本の線分の長さの平均値を着色層20の膜厚とする。
中間層の構成
本発明の好ましい態様によれば、部材1は、表面層40を有する場合には、着色層20と表面層40との間に中間層を有することができる。中間層30の好ましい例としては、金属原子と酸素原子とを含む層が挙げられる。中間層30において、前記金属原子は酸素原子と結合している。つまり、中間層30には、酸化状態の前記金属元素が含まれる。前記金属原子は、本発明においては、前記金属原子は、Cr、Zr、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(中間層の構成元素の認定)
中間層30における金属原子の存在、および金属原子と酸素原子との結合は、「スパッタ条件1」のXPS測定において確認できる。ジルコニウムはZr3d(177-187eV)、酸素はO1s(524-540eV)、クロムはCr2p3(572-582eV)、ケイ素はSi(98―108eV)のピークの有無で存在を確認できる。
中間層30に含まれる各金属原子と酸素原子との結合状態、つまり、各金属原子の酸化状態は、各金属原子と酸素原子との結合エネルギーの違いによるピークシフトにより確認できる。具体的には金属酸化物由来のO1sは530-532eVにピークが認められ、Cr2p3は576-580eV、Zr3dは182-183eV、Si2pは103-104eVにピークが存在するかでことによって、各金属原子と酸素原子との結合を確認できる。
本発明において、中間層30の厚みは、XPS深さ方向分析により、具体的には、前述の「XPS測定条件」と「スパッタ条件1」を用いたXPS深さ方向分析において、金属元素が検出された時点から、中間層30に含まれる酸素元素(O)の検出量が着色層20に含まれる酸素元素(O)の検出量よりも多い時点までのスパッタ時間を採用する。
本発明における表面層40は、有機分子を含む撥水性の層であり、表面層40より下の基材10や着色層20などの他の層の色味を損なわない程度に透明かつ薄い。表面層40が撥水性の層であることで、ケイ素、カルシウム(水垢の原因物質)を含む水道水に接する衛生設備部材において、水垢の付着が抑制され、また付着した水垢を容易に除去することができる。
本発明において、疎水基Rはアルキル鎖を含むものである。疎水基Rは、アルキル鎖の水素の一部がフッ素により置換されたものを含んでもよいし、アルキル鎖の炭素の一部が他の原子に置換されたものを含んでもよい。例えば、疎水基Rは、炭化水素基、フルオロアルキル基、フルオロ(ポリ)エーテル基、フルオロアルコキシ基、フルオロアシル基、アルコキシ基、アシル基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
本発明において、表面層40は、疎水基Rおよび金属元素に対し配位性を有する官能基Xを含む層であり、表面層40が単層で形成された単分子層であることが好ましく、後述する非高分子の有機配位子R-Xからなる自己組織化単分子層(self assembled monolayers、SAM)であることがより好ましい。自己組織化単分子層は、分子が緻密に集合した層となるため、撥水性に優れる。
本発明の好ましい態様において、SAMは、有機分子が固体表面に吸着する過程で、当該固体表面上に形成される分子集合体であり、分子同士の相互作用によって集合体構成分子が密に集合する。SAMはアルキル基を含むことが好ましい。これによって、分子同士に疎水性相互作用が働き、分子が密に集合することができるため、汚れの易除去性に優れた衛生設備部材を得ることができる。
本発明の好ましい態様において、非高分子の有機配位子R-Xは、疎水基Rと、着色層20または中間層30に含まれる金属元素に対し配位性を有する官能基Xとを備える。非高分子の有機配位子R-Xは、官能基Xを介して中間層と結合する。ここで、「非高分子」とは、国際純正応用化学連合(IUPAC)高分子命名法委員会による高分子科学の基本的術語の用語集(日本語訳)の定義1.1(すなわち、相対分子質量の大きい分子で、相対分子質量の小さい分子から実質的または概念的に得られる単位の多数回の繰返しで構成された構造をもつもの。http://main.spsj.or.jp/c19/iupac/Recommendations/glossary36.htmlを参照)に該当しない化合物を意味する。SAMは、このような非高分子の有機配位子R-Xを用いて形成される層である。
本発明の好ましい態様において、表面層40は非高分子の有機配位子R-Xを用いて形成される層である。疎水基Rは、前述に記載されたものを用いることができる。疎水基Rは、CとHとからなる炭化水素基を含むことが好ましい。疎水基Rが有する炭化水素基の骨格内の1ないし2個所で炭素以外の原子が置換されていても良い。置換される原子としては、酸素、窒素、硫黄が挙げられる。好ましくは、疎水基Rの片末端(Xとの結合端ではない側の端部)はメチル基である。これによって、部材1の表面が撥水性となり、汚れの易除去性を高めることができる。
本発明において、官能基Xは、ホスホン酸基、リン酸基、ホスフィン酸基、カルボキシル基、シラノール基(あるいは、アルコキシシリル基などのシラノールの前駆体)、βジオール基、アミノ基、水酸基、ヒドロキシアミド基、αまたはβ-ヒドロキシカルボン酸基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
一般式R-Xで表される有機ホスホン酸化合物は、好ましくはオクタデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、デシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ペルフルオロデシルホスホン酸、ペルフルオロヘキシルホスホン酸、ペルフルオロオクチルホスホン酸であり、より好ましくはオクタデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、デシルホスホン酸である。さらに、より好ましくは、オクタデシルホスホン酸である。
本発明において、表面層40の金属原子濃度は、好ましくは1.0at%以上10at%未満である。金属原子濃度をこの範囲とすることで、表面層40は緻密であることを示している。これによって、十分な耐水性を有し、水垢易除去性に優れた衛生設備部材を得ることができる。より好ましくは、金属原子濃度は1.5at%以上10at%未満である。これによって、さらに耐水性、および水垢易除去性を高めることができる。
本発明において、表面層40が炭化水素基を含む場合、表面層40の炭素原子濃度は、好ましくは35at%以上であり、より好ましくは40at%以上であり、さらに好ましくは43at%以上であり、最も好ましくは45at%以上である。また、炭素原子濃度は、好ましくは70at%未満であり、より好ましくは65at%以下であり、さらに好ましくは60at%以下である。炭素原子濃度の好適な範囲はこれらの上限値と下限値とを適宜組み合わせることができる。炭素原子濃度をこのような範囲とすることにより、水垢易除去性を高めることができる。
本発明において、表面層40は、XPS深さ方向分析で得られるプロファイルにおいて、スパッタ開始から、中間層30に含まれる金属原子が検出され始める時点までのスパッタ時間が5分以内であることが好ましい。ここで、「XPS深さ方向分析で得られるプロファイル」とは、前述の「XPS測定条件」と「スパッタ条件2」を用いたXPS深さ方向分析により得られるプロファイルを指す。このプロファイルにおいて、所定の測定点における金属原子濃度と当該測定点の1点前の測定点における金属原子濃度との差の絶対値が1.0at%以下となった点を表面層40の終点とし、スパッタ開始から終点までのスパッタ時間が5分以内であることが好ましく、3分以内であることがより好ましい。またスパッタ時間の下限値は0.5分超であることが好ましく、1分以上であることがより好ましい。好適な範囲はこれらの上限値と下限値とを適宜組み合わせることが出来る。このように表面層は視認できない薄い層であり、基材の色味を維持したまま部材に機能付与することが出来る。XPS測定は、まず表面層の撥水性を確認し、撥水性の表面層が形成されていることを確認する。この撥水性の表面層40に対し、無作為の3点を選んで測定を行い、これら3点の平均値を表面層40の厚さと認定することが好ましい。
本発明において、測定前に部材1の表面を洗浄し、表面に付着した汚れを十分に除去する。例えば、測定前に部材1の表面をエタノールによる拭取り洗浄、および中性洗剤によるスポンジ摺動洗浄の後、超純水にて十分にすすぎ洗いを行う。また、部材1が、表面にヘアライン加工やショットブラスト加工などが施された、表面粗さが大きな衛生設備部材の場合は、測定する部位として、できるだけ平滑性の高い平面の部分を選んで測定する。平滑性の高い部分とは、例えば、粗い部分に比べて光を拡散するため、分光測色計等を用いて色差測定した場合に正反射成分を含まないSCE方式によるL*が5未満の点のことを指す。
まず、測定対象の衛生設備部材に用いられている基材のみ(基材表面に表面層等が形成されていないもの)を参照として測定する。なお、ここで、衛生設備部材に用いられている基材の代用として、測定対象の基材と同一の材料で構成された板材等を用いても良い。その後、切り出した衛生設備部材1を測定することでIRスペクトルを得る。IRスペクトルは、横軸は、波数(cm-1)、縦軸は透過率又は吸光度である。
本発明において、表面層40が、疎水基Rおよび金属元素に対し結合性を有する官能基Xを含む層であり、さらに単層で形成された単分子層である場合、表面層40がRおよびXを含む層であることは下記の方法により特定することができる。
飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS)装置には、例えば、TOF-SIMS5(ION-TOF社製)を用いる。測定条件は、照射する1次イオン:209Bi3++、1次イオン加速電圧25kV、パルス幅10.5or7.8ns、バンチングあり、帯電中和なし、後段加速9.5kV、測定範囲(面積):約500×500μm2、検出する2次イオン:Positive、Negative、Cycle Time:110μs、スキャン数16とする。測定結果として、RおよびXに由来する2次イオンマススペクトル(m/z)を得る。2次イオンマススペクトルは、横軸は質量電荷比(m/z)、縦軸は検出されたイオンの強度(カウント)として表される。
高分解能質量分析装置として飛行時間型タンデム質量分析装置(Q-TOF-MS)、例えば、Triple TOF 4600(SCIEX社製)を用いる。測定には、例えば、切り出した基材をエタノールに浸漬させ、表面層40を形成するために用いた成分(RおよびX)を抽出し、不要成分をフィルターろ過後、バイアル瓶(1mL程度)に移した後に測定する。測定条件は、例えば、イオン原:ESI/Duo Spray Ion Source、イオンモード(Positive/Negative)、IS電圧(-4500V)、ソース温度(600℃)、DP(100V)、CE(40V)でのMS/MS測定を行う。測定結果として、MS/MSスペクトルを得る。MS/MSスペクトルは、横軸は質量電荷比(m/z)、縦軸は検出されたイオンの強度(カウント)として表される。
本発明の好ましい態様によれば、部材1の表面について、分光測色計により求められる明度L*が50未満とされ、より好ましくは45未満とされる。明度がこの範囲とされることで、色が暗くなり、黒色度が高い部材が実現できる。また、本発明の好ましい態様によれば、部材1の表面について、分光測色計により求められる色度a*の絶対値が5未満であり、4未満とするのがさらに好ましい。また、本発明の好ましい態様によれば、部材1の表面について、分光測色計により求められるb*の絶対値が5未満であり、4未満とするのがさらに好ましい。ここで、a*およびb*は色味を表す指標である。a*はプラス側に大きくなると赤みを帯び、マイナス側に大きくなると緑みを帯びる。b*はプラス側に大きくなると黄みを帯び、マイナス側に大きくなると青みを帯びる。a*およびb*を上記範囲とすることで、黒色度が高い部材が実現できる。また、着色層20を持つ部材1において部材表面の色が一定以上異なると色ムラがあると感じてしまう。そこで、本発明の一つの好ましい態様によれば、任意の測定点を原点とし、原点を通る任意の線をXとし、Xと垂直で原点を通る線をYとしたときに、原点と、原点からX方向に10±5mmの点と、原点からY方向に10±5mmの点と、原点からX方向に10±5mmY方向に10±5mmの点、上記4点におけるL*、a*およびb*の各最大値と最小値の差ΔL、Δa、Δbの和が2.0以内であれば、その表面は「色の安定性が高い」とし、2.0以上であれば「色の安定性が低い」とする。
装置:分光測色計CM-2600D(コニカミノルタ製)
バージョン:1.42
測定パラメータ:SCI/SCE
表色系:L*a*b*、ΔE*
UV設定:UV0%
光源:D65
観察視野角:10°
測定径:φ3mm
測定波長間隔:10nm
測定回数:3回
測定前待ち時間:0秒
校正:ゼロ校正後、白色校正(ゼロ校正:遠方の空間で校正、白色校正:校正用の白色板で校正)
(ナノインデンター硬度の測定)
ナノインデンター硬度はナノインデンター(ENT-2100、エリオニクス)により求められる。部材1の平坦な表面を切り出し、押し込み荷重を0.2mNとして、400±100μm2の領域において任意の9点を測定し、中央5点の平均値を部材1の表面の硬度とすることができる。
本発明において、部材1は、基材10を用意し、当該基材上に着色層20を形成し、場合により中間層30を形成し、さらに表面層40を形成することで製造される。着色層20の形成は、例えば物理蒸着法(PVD)を用いることができる。また、表面層40を形成する前に、着色層20の表面を前処理することが好ましい。表面の汚れを除去する為の前処理として、中性洗剤洗浄、UVオゾン処理、アルカリ処理などが挙げられる。
実施例1、2、4、6、7および比較例1~3は、下記に記載の基材の表面に着色層を形成し、各部材を作製した。実施例3および5は、下記に記載の基材の表面に着色層を形成した後、中間層および表面層をさらに形成し、各部材を作製した。
(基材)
基材として、黄銅にニッケルクロムメッキした平板および立体物(TOTO株式会社製、混合水栓、品番:TLG02302J)を用いた。
予め表面を洗浄した基材に物理蒸着法(PVD)によって黒色の表面を備えた着色層を形成した。
(実施例3、実施例5)
着色層を形成した後、着色層の成膜方法と同様にして、スパッタリングの出力とアルゴン/酸素のガス流量を調節することで組成が異なる複数種の中間層を作製した。
(実施例3、実施例5)
着色層および中間層が形成された基材を水酸化ナトリウム水溶液に所定時間浸漬したのち、イオン交換水にて十分にすすぎ洗いを行った。
上記のとおり作製した部材に対し、以下の分析・評価を行った。
平板部材の分析・評価においては、平板の中央部分3cm角の範囲を評価面とした。また、立体部材の分析・評価においては、設置したときに目につく部分かつ可能な限り平滑な面を評価面とした。具体的には、取り付け時に地面と平行になるスパウト部の上面から、中央付近3cm角を切断し、評価面とした。
着色層の組成は、上述の「XPS測定条件」と「スパッタ条件1」を用いたXPS深さ方向分析により得られたプロファイルにおいて、Crが1at%超検出されてから8分後の深さ領域における組成を着色層の組成とした。測定前に、各部材を中性洗剤を用いてウレタンスポンジで擦り洗いをした後、超純水にて十分にすすぎ洗いを行った。
各部材の着色層の膜厚は、下記方法により求めた。まず、着色層を含む部材における、意匠面(製品として設置したときに、目に触れる部分を指し、陰となり見えない部分を除く)上の任意の点を着色層20と垂直方向(図1のZ方向)に切断し、♯400の研磨紙で研磨した後に♯1500の研磨紙で研磨した。さらにイオンミリング装置を用いて切断面ミリングを行い、平滑な切断面を得た。この切断面に対して、走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(SEM/EDX)を用いて観察を行い、うことで、着色層および基材を識別した。観察倍率は低倍から始め25000倍で観察し、着色層と基材の界面が収まり、かつ界面が水平となるようにSEM画像を取得した。上記SEM画像に対して、EDXによるマッピング分析を行うことで、着色層に含まれる元素Cと基材に含まれるCrから元素分布の異なる境界面を確認した。この境界面を、着色層および基材の界面と認定した。取得したSEM画像を縦に2分する線を中心として、この線と平行になるように左右に等間隔に2本ずつ線を描画する。SEM画像に描画した合計5本の縦線それぞれが、着色層と基材の境界面、および着色層の基材とは反対側の表面と交差する点を求めた。SEM画像内の5本の縦線それぞれが上記2つの交差点により画分される5本の線分それぞれの長さを測定し、5本の線分の長さの平均値を着色層20の膜厚とした。
中間層における酸化物の存在は、前述の「XPS測定条件」と「スパッタ条件1」とを用いたXPS深さ方向分析により確認した。XPS深さ方向分析により得られたプロファイルにおいて、金属酸化物由来のO1sは530-532eVにピークが認められ、Cr2p3は576-580eV、Zr3dは182-183eV、Si2pは103-104eVにピークが存在するかによって、金属原子と酸素原子との結合を確認した。
中間層のスパッタ時間は、前述の「XPS測定条件」と「スパッタ条件1」とを用いたXPS深さ方向分析により得られたプロファイルにおいて、金属元素が検出された時点から、中間層に含まれる酸素元素の検出量が着色層に含まれる酸素元素の検出量よりも多い時点までのスパッタ時間を採用した。
表面層のスパッタ時間は、前述の「XPS測定条件」と「スパッタ条件2」とを用いたXPS深さ方向分析により得られたプロファイルにおいて、中間層に含まれる金属原子が検出され始めた点を表面層の終点とし、スパッタ開始からその終点までのスパッタ時間を採用した。
各部材の表面のナノインデンター硬度を、ナノインデンター(ENT-2100、エリオニクス)により求めた。各部材の平坦な表面を切り出し、押し込み荷重を0.2mNとして、400±100μm2の領域において任意の9点を測定し、中央5点の平均値を部材の表面の硬度とした。
各部材の色味を、分光測色計(CM-2600D、コニカミノルタ)を用いて測定した。測定前に校正板を用いて白色校正を行った。その後、各部材に対し目視でも明らかな傷や汚れを避けて3箇所ずつ色味の測定を行い、測定パラメータL*、a*、b*の平均値を算出した。
装置:分光測色計CM-2600D(コニカミノルタ製)
バージョン:1.42
測定パラメータ:SCI/SCE
表色系:L*a*b*、ΔE*
UV設定:UV0%
光源:D65
観察視野角:10°
測定径:φ3mm
測定波長間隔:10nm
測定回数:3回
測定前待ち時間:0秒
校正:ゼロ校正後、白色校正(ゼロ校正:遠方の空間で校正、白色校正:校正用の白色板で校正)
上記のL*が50未満のものを『○』とし、その表面は「黒色度が高い」と評価した。一方、L*が50未満のものを『×』とし、その表面は「黒色度が低い」と評価した。
任意の測定点を原点とし、原点を通る任意の線をXとし、Xと垂直で原点を通る線をYとした。このときに、原点と、原点からX方向に10±5mmの点と、原点からY方向に10±5mmの点と、原点からX方向に10±5mmY方向に10±5mmの点、上記4点におけるL*、a*およびb*の各最大値と最小値の差ΔL、Δa、Δbの和が2.0以内であれば、その表面は「色の安定性が高い」として『〇』、2.0以上であれば、その表面は「色の安定性が低い」として『×』とした。
測定前に、アルカリ性洗剤を用いて各部材をウレタンスポンジで擦り洗いし、超純水で十分にすすぎを行った。各部材の水滴接触角測定には、接触角計(型番:SDMs-401、協和界面科学株式会社製)を用いた。測定用の水は超純水を用い、滴下する水滴サイズは2μlとした。接触角は、いわゆる静的接触角であり、水を滴下してから1秒後の値とし、異なる5か所を測定した平均値を求めた。ただし、5カ所の中に異常値が現れた場合は、異常値を除いて平均値を算出した。ただし、5か所中4か所の平均値±20°以上乖離する値を異常値と見なし、5か所の中に異常値を示す測定点が現れた場合は、異常値を除いて平均値を算出した。
Claims (6)
- 基材と、当該基材上にある着色層とを少なくとも備えてなる部材であって、
前記基材が、支持材と、当該支持材の前記着色層側の面に備えられる領域とを含み、
前記領域が金属を含み、
前記着色層が、
XPS深さ方向分析で得られるプロファイルにおいて、スパッタ開始からCrが1at%超検出されてから8分後の深さ領域において、
C、Cr、N、およびOの合計を100at%として、
47at%超97at%未満のC、
1at%超30at%未満のCr、
1at%超14at%未満のN、および
1at%超9at%未満のOを含み
(ここで、前記XPS深さ方向分析は、下記のXPS測定条件を用いたXPS測定と、下記のスパッタ条件1を用いたArイオンを使用したスパッタリングの併用によるものである:
XPS測定条件
X線条件:単色化AlKα線(出力25W)
光電子取出角:45°
分析領域:100μmφ
分析元素(エネルギー範囲):Zr3d(177-187eV)、C1s(281-296eV)、N1s(394-406eV)、O1s(524-540eV)、Cr2p3(572-582eV)、Si2p(98―108eV)
スパッタ条件1
不活性ガス種:Ar
スパッタ電圧:4KV
スパッタ範囲:2mm×2mm
スパッタサイクル:10秒。)、かつ
その厚さが0.5μm以上4μm以下である、部材。 - 前記着色層が、
54at%超97at%未満のC、
1at%超28at%未満のCr、
1at%超14at%未満のN、および
1at%超4at%未満のOを含む、請求項1に記載の部材。 - 前記着色層の上に表面層をさらに含んでなる、請求項1に記載の部材。
- 前記表面層が、
アルキル基を含み、かつ
部材が前記着色層と前記表面層との間に中間層をさらに含む場合において、XPS深さ方向分析で得られるプロファイルにおいて、スパッタ開始から、前記中間層に含まれる金属原子が検出され始める時点までのスパッタ時間が5分以内である、請求項3に記載の部材。 - 前記表面層が、撥水性の層である、請求項3または4に記載の部材。
- 水栓、トイレを構成する部材、または浴室を構成する部材として用いられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の部材。
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