JP2005265675A - マイクロ反応器用チップおよびマイクロ反応器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プラスチック、ガラス、金属などの基材表面に低温で膜を形成することができると共に、基材表面に高密度の−OH基の導入を可能とするようなマイクロ反応器用チップ、およびこうしたマイクロ反応器用チップを応用したマイクロ反応器を提供する。
【解決手段】 本発明のマイクロ反応器用チップは、(−C−O)結合または(−C=O)結合を含む官能基を表面に有し、且つ該表面の酸素濃度が30原子%以上である水素化アモルファスカーボン膜が、基材表面に被覆されたものであり、この水素化アモルファスカーボン膜は、例えば膜中水素濃度が20〜50原子%であり、且つ表面に−CH基、−CH基および−CH基を有する膜を前駆体とするものであって、この前駆体に対して、紫外線を照射することによって前記官能基を導入したものである
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素化アモルファスカーボン膜を基材上に被覆してマイクロ反応器の流路壁面素材として有用なチップ、およびこうしたチップを適用することによって構成されるマイクロ反応器に関するものである。本発明に係るマイクロ反応器用チップは、例えばガラス、金属、プラスチック等からなる基材表面にコーティングされるものであり、μ−TAS(Micro-Total-Analysis)チップ等のマイクロ反応器の流路構成部材として有用である。
例えば、石英ガラスを溶液に浸漬させるとガラス表面の−OH基が作用し、石英ガラス表面全体がマイナスに帯電する。このとき、溶液中にプラスチャージを帯びた分子があれば、ガラス表面と分子との間にクーロン力が作用して電気二重層を形成する。そして、電気二重層内のプラスチャージ分子は、流路方向に加電圧された電界(電気泳動の電界)に沿って移動することになる。こうした「流れ」は、電気浸透流と呼ばれているものである。
溶液が流れる流路断面の幅を1/L(L:整数)に細分化すると、電気浸透流の駆動力F(クーロン力による)は流路壁面の総電荷に比例するため、1/Lとなる。ここで流路内の溶液中のプラスに帯電した分子が、この駆動力Fによってどう駆動されるかを考える。断面積にかかる帯電分子の総質量をMとすると、Mは流路断面積に比例するため、1/Lに比例することになる。これによって加速度a=F/M(ニュ―トンの法則)から求められる加速度は、Lに比例する。流路内の分子の流速U(a×t)は、結局Lに比例することから、微細化によって移動速度がL倍に増すことになる。
また、電気泳動を行うために測定対象をマイナスに帯電させた場合には、流路壁面がマイナスチャージを帯びているときには、クーロン力によって反発するために、壁面への吸着を抑制できるという利点もある。
こうした原理を利用した技術として、例えば特許文献1に示すような電気泳動チップが提案されている。この技術では、マイクロ反応装置としての電気泳動装置で用いる部材(電気泳動チップ)として、ガラス表面の−OH基のバラツキを防止するために、ガラス表面の熱処理条件を制御する方法が示されている。しかしながら、この技術では、ガラス表面の−OH基における素材や製造条件に起因するバラツキを制御するためのものであって、−OH基そのものの高密度化を図ったものではない。
ところで、基材が石英ガラスや通常のガラスであれば、−OH基は表面に自然に生成されることになるが、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックを基材とした場合には、−OH基の安定且つ高密度な生成は困難であるので、電気浸透流を応用したマイクロ反応器の基材としては適用できない。また、電気泳動の場合には、前記生体分子の壁表面への吸着も発生し易いことから、流路下流の検出部には検出対象となる生体分子が到達しないという事態も生じる。
こうしたことから、生体分子の極微量分析のニーズからして、生体分子の壁面への吸着抑制、電気泳動による高速検出などの観点から、壁面の電位制御は非常に重要な要件となる。即ち、PETなどを低コストの基材として使用する上では、石英ガラスなみのマイナス電位を発生させるコーティング膜の形成や官能基置換が必要となってくる。
特開2003−114215号公報 特許請求の範囲等
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、ガラス、金属、プラスチック等の基材表面に低温で膜を形成することができると共に、基材表面に高密度の−OH基の導入を可能とするようなマイクロ反応器用チップ、およびこうしたマイクロ反応器用チップを応用したマイクロ反応器を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明とは、(−C−O)結合または(−C=O)結合を含む官能基を表面に有し、且つ該表面の酸素濃度が30原子%以上である水素化アモルファスカーボン膜が、基材表面に被覆されたものである点に要旨を有するマイクロ反応器用チップである。
本発明のマイクロ反応器用チップにおいて、前記(−C−O)結合または(−C=O)結合を含む官能基としては、水酸基、アルデヒド基またはカルボキシル基が挙げられる。
また本発明のマイクロ反応器用チップにおいて、前記水素化アモルファスカーボン膜は、膜中水素濃度が20〜50原子%であり、且つ表面に−CH基、−CH基および−CH基を有する膜を前駆体とするものであり、こうした前駆体に対して、C−Hの結合エネルギーよりも高い紫外線を照射することによって、膜表面に(−C−O)結合または(−C=O)結合を含む官能基を高密度に導入したものとなる。
本発明のマイクロ反応器用チップは、pHが3〜11である溶液が通過する流路に適用される素材として有用であり、このような溶液がチップの表面と接触することによって、該表面の電位が石英ガラス以上にマイナスに帯電することができ、電気浸透流による流速の高速化と共に、その表面への蛋白質や核酸等の生体分子の吸着を抑制し、電気泳動装置等のマイクロ反応器における高速の検量を可能とする。基材としては、ガラス、金属またはプラスチックのいずれかからなるものが挙げられる。
一方、本発明に係るマイクロ反応器は、マイクロ反応器の溶液流路壁面の全面または一部に適用することによって構成される。また、この反応器で適用される溶液としては、蛋白質または核酸を含有するものが挙げられ、具体的な実施態様太陽形態としては流路内で電気泳動する装置が好ましく、こうした装置構成とすることによって、マイクロ反応器における高速の検量を可能とできる。
本発明のマイクロ反応器用チップでは、(−C−O)結合または(−C=O)結合を含む官能基を表面に高密度に有する水素化アモルファスカーボン膜を形成することができるので、この膜と所定pHの溶液が接触したときに、ガラス等を素材として用いた場合と比べて、負に大きな表面電位を形成できることになる。こうしたチップをマイクロ反応器の流路壁面の全部または一部に適用することによって、有用な電気浸透流マイクロ反応器が実現できることになる。また、壁面電位を利用した試料の吸着抑制にも効果的である。更に、本発明に係るコーティング膜(水素化アモルファスカーボン膜)は、低温での形成が可能であり、しかもPET、PMMA(ポリアクリル酸メチル)等のプラスチックへの表面コーティングも可能であり、コストダウンが図れるという効果も発揮される。
本発明者らは、上記目的を達成する為に様々な角度から検討した。その結果、(−C−O)結合または(−C=O)結合を含む官能基(水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基等)が高密度に導入され、該表面の酸素濃度が30原子%を超えた場合、pH:3〜11の溶液の接触によって石英ガラスよりも小さい(絶対値としては大きい)マイナスの表面電位を形成できることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明の構成を更に詳細に説明する。
本発明の水素化アモルファスカーボン膜の前駆体となる膜は、化学的気相蒸着法(CVD法)によって形成可能である。例えば、CHやCなどの炭化水素系ガスをプラズマによって解離させて生成したCHx(x=1,2,3)成分を、基材上に堆積させることによって、水素化アモルファスカーボンを成膜することができる。
本発明に係る水素化アモルファスカーボン膜の成膜方法は、大気圧近傍の圧力下においてグロー放電プラズマを発生させ、CおよびHを含む原料ガスを分解させるものである。このようにして形成される水素化アモルファスカーボン膜の構造は、膜を構成するクラスターが数nm程度であり、膜中の水素濃度は20〜50原子%程度となる。これによって、高分子的な膜構成をとるとの理由から、可視光から紫外線に亘って極めて広い透過率を示すことになる。
こうした膜を構成するクラスターは、赤外線分光分析(FTIR)の結果、表面に−CH基、−CH基および−CH基を有しており、膜表面においてもこれらの基が遊離した状態となっている。尚これらの基は、メチレン(=CH)やメチン(≡CH)のような二重結合や三重結合を含まないものである。即ち、前駆体となる水素化アモルファスカーボン膜は、水素被覆率の高い表面を有しており、疎水性の高い表面が得られることになる。
CVD法による成膜は、一般に成膜成分粒子の拡散によるものであり、優れた段差被覆特性を発揮するものとなる。マイクロ反応器やμ−TASなどのミクロンスケールにおけるコーティングにおいても、その形状に順応して優れた段差被覆が実現できる。
こうした水素化アモルファスカーボン膜を、例えばガラス基板にコーティングし、水素化アモルファスカーボン膜表面に紫外線(例えば、波長254nm)を照射すれば、紫外線のエネルギーは(C−H)結合よりも高いので、この結合が切断され、大気中の酸素や水等との表面反応によって、水酸(−OH)基、アルデヒド(−CHO)基若しくはカルボキシル(−COOH)基に置換することが可能である。
上記置換方法では紫外線を使用するものであるので、光学用ステンシルマスクを使用すれば、表面コーティング膜の任意の領域にアルデヒド基やカルボキシル基を置換することができる。
但し、前駆体膜の表面に存在する−CH基、−CH基および−CH基を、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基に変える手段については、上記置換方法に限らず、例えば酸素雰囲気中の電子線照射や酸素雰囲気中のプラズマ照射、溶液中での置換操作する方法等も採用できる。
上記のような水素化アモルファスカーボン膜を基材表面に形成したチップを、マイクロ反応器の溶液流路壁面に適用することによって、希望する特性のマイクロ反応器が実現できるのであるが、このチップの適用領域は、溶液流全面に限らずその一部、例えば単純な流路でなく、溶液の一部を溜める場所であっても、対象分子の吸着を抑制できることからその効果が発揮される。要は、各マイクロ反応器の機能や対象分子の吸着促成の必要性に応じて、その適用範囲を決定すればよい。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
実施例1
水素化アモルファスカーボン膜の成膜には、プラズマCVD法を適用した。このとき使用したガスは、HeおよびC混合ガス(混合比;He 69:C 1)ある。またプラズマCVD装置は、狭ギャップ平行平板タイプのものであって、RF(13.56MHz)が印加されるカソード電極が設置されているものである。また両電極(グランド電極とカソード電極)の表面には、アルミナ(Al)が溶射コーティングされており、両電極間は2mmに設定されている。カソード電極の面積は、20×150(mm)である。
グランド電極は対向のカソード電極に対して、平行に設置されており、またグランド電極は平行方向に移動できるように構成されており、グランド電極にガラスやPET等の基材を載置し、両電極間で発生するプラズマ領域中(ほぼカソード電極面積と同じ)をグランド電極上のガラス基板を平行に移動することによって、ガラス基板上に均一に水素化アモルファスカーボン膜を成膜することができる。
基材として、無アルカリガラス(コーニング社製「1737」)を用い、サイズは150mm角、厚さ:0.7mmとした。成膜の前の洗浄処理は、エタノールおよび超純水による超音波洗浄とした。洗浄後、ガラス基板をCVD装置内のグランド電極上に載置した。
CVD装置内の全圧を0.092MPa(700Torr)[うちHe分圧:0.091MPa(690Torr)、C分圧:0.0013MPa(10Torr)]とした。このときの基材の温度は、室温である。また、カソード電極へのRF印加電力を500W、グランド電極の移動速度を0.04m/minとしたとき、ガラス基材上に成膜される水素化アモルファスカーボン膜の膜厚は2μmであった。
得られた水素化アモルファスカーボン膜の膜中の水素濃度を、弾性反跳粒子検出法(ERDA)によって測定した。その結果を図1に示すが、水素化アモルファスカーボン膜における膜中水素濃度は30〜40原子%程度であることが分かる。比較のために、スパッタによるDLC膜(ダイヤモンド・ライク・カーボン膜)の水素濃度を測定した結果を図1に併記するが、DLC膜の水素濃度は10〜20原子%程度であることが分かる。
ERDA(反射粒子測定法)の測定結果からして、水素化アモルファスカーボン膜の構造は、数nm程度のカーボンクラスターからなるものと考えられ、表面を含めて−CH基、−CH基および−CH基が大量に存在していると判断できた。
次に、上記水素化アモルファスカーボン膜に紫外線(波長:254nm)を照射したときの照射時間(UV照射時間)が表面水接触角に与える影響について調査した。このときの照射強度は、0.6mW/cmである。尚、上記「表面水接触角」は、水滴を落とし接触角を測定するJIS規格に準拠して測定したものであり、表面が疎水性になっているかどうかを判断する指標となるものであり、疎水性が低く(接触角が低く)なるにつれて表面の−CH基、−CH基および−CH基等が親水性である(−COOH)基に置換されていることを意味する。
その結果(UV照射時間と表面水接触角の関係)を図2に示すが、UV照射時間とともに接触角度が下がっていることが分かる。
紫外線照射の前後における表面の全反射型FTIRによるスペクトル分析結果を、図3に示す。尚、図3(a)は紫外線照射前におけるFTIRのスペクトルであり、図3(b)は紫外線照射後におけるFTIRのスペクトルである。
図3から明らかなように、紫外線照射を行った該水素化アモルファスカーボン膜の表面には、波数:1710cm−1付近に見られるC=O結合と、波数:3500cm−1付近に見られる−OHの増加と共に、2966cm−1付近に見られる(−C−H)結合の減少が確認できる。
また、XPS(光電子分光法)によって、表面のカーボン(C)と酸素(水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基の含有酸素の意味)の組成量におけるUV照射時間依存のグラフを図4に示す。更に、カーボンの組成を100原子%としたときの、カーボンの結合状態を分離した結果を図5に示す。
図4の結果から、UV照射時間が3時間を超えるあたりから酸素量は30原子%を超えることが分かる。また図5の結果からも、UV照射時間が3時間を超えるあたりから飽和し、水酸(−C−OH)基が約20原子%、アルデヒド基が約10原子%、カルボキシル基が約10原子%導入されていることが分かる。
これらのことから、CVD成膜直後の表面に存在する−CH基、−CH基および−CH基が、カルボキシル(−COOH)基に置換されていることが分かる。こうした現象が生じる原因としては、波長:254nmの紫外線照射によって、表面に存在する(−C−H)結合が切断され、大気中の水素若しくは水と表面とが反応(酸化反応)することによって、水酸基、アルデヒド基、カルボキシ基が導入されたものと考えることができた。また、前記図2と図5の結果からして、表面のカルボキシル基密度はUV照射時間が8時間程度で最大になるものと考えられる。
次に、UV照射を行った水素化アモルファスカーボン膜を、pH3〜11の溶液に浸漬させ、溶液内に含有させた電荷微粒子の電気浸透流による移動速度から定量されるゼータ電位[壁面表面電荷の電場のない中性領域を基準電位とし、壁面にクーロン力によって固着した荷電分子が外部電界によって移動できる面(すべり面)の電位]を測定した。
その結果を、図6に示す。水酸基やアルデヒド基、カルボキシル基がUV照射によって導入されるに従い、その表面のゼータ電位が下がる(絶対値は大きくなる)ことが分かる。通常のガラスのゼータ電位を測定した結果、−60mV程度であったことから、UV照射時間が2時間以上であると、ガラスのゼータ電位よりも低い電位が得られることが分かる。
ゼータ電位を下げるには、表面電位(この場合、カーボン膜表面)を下げることが重要であるが、これが水酸基によるものか、アルデヒド基によるものか、カルボキシル基によるものかは分かっていない。
次に、9時間のUV照射を行った水素化アモルファスカーボン膜を、pH3〜11の溶液に浸漬させ、同様にゼータ電位を測定した結果を図7に示す。尚、図7には、比較のために、(1)無アルカリガラス(コーニング社製「1737」)だけのもの(膜を形成していないもの)、(2)紫外線照射を行っていない水素化アモルファス膜、等についての結果も同時に示した。
これらの結果から明らかなように、紫外線照射を行った水素化アモルファスカーボン膜は無アルカリガラスと比較して、10〜30%程度ゼータ電位が低くなっており、電気浸透流による移動速度が10〜30%向上することが分かる。
実施例2
本発明に係る電気泳動用マイクロ反応器の構成について説明する。使用したガラス基材は、無アルカリのスライドガラスで、75mm×25mm×1.0mm(厚さ)のものである。このスライドガラスを用いて、図8に示すようにまず基材1上に、幅:10μm、深さ:10μmの断面半円形状溝を加工し、電気泳動流路2とこれに直交した試料導入流路3を形成した。また各流路の両終点には、深さ;10μm、直径:3mmの穴4の加工(4箇所)を施した。
次に、該マイクロ反応器の流路断面におけるマイクロスケール凹凸箇所への水素化アモルファスカーボン膜の段差被覆特性について評価した。このときの成膜条件は、実施例1と同様であり、基材のスキャン速度を0.016m/minとし、溝上部での膜厚を800nmに設定した。
走査型電子顕微鏡(SEM)によって溝断面を観察した結果を、図9に示す。このうち、図9(a)は溝上部、図9(b)は溝側面、図9(c)は溝底部を夫々示している。図9に示すように、溝上部での膜厚が800μm、溝側面における膜厚が400μm、溝底部での膜厚が550μmであり、十分な段差被覆特性が得られていることが分かる。こうしたことから、マイクロ反応器やμ−TASなどのマイクロスケールでの流路などの壁面コーティングも可能であると判断できた。
上記水素化アモルファスカーボン膜をコーティングしたガラス基材1に、紫外線照射を行った。このときの照射強度は、0.1W/cm、照射時間は8時間とした。一方、図10に示すように、直径:3mmの貫通穴6a〜6dを開けた同サイズの平板ガラスに水素化アモルファスカーボン膜を成膜した。これに紫外線照射を行ったものを上蓋5として、前記ガラス基材1(溝形成基材)と上蓋5を接着して(紫外線照射した面を対向させて)、図11、12に示すようなマイクロ反応器7を作製した。尚、図11はマイクロ反応器の平面図であり、図12は図11におけるA−A線矢視断面である。
図11に示したマイクロ反応器の穴6dから、ポリアクリルアミド系ゲルを注入し、その後4つの穴6a〜6dからゲルバッファを充填させた状態とした。このとき測定に使用した試料は牛血清アルブミン(BSA)であり、これをDabsyl Chlorideで標準化させた。Dabsyl Chlorideの吸光ピークは、630nm程度である。また、吸光度計にて検量した結果は、3.5×10−5Mであった。これを更に2メルカプトエタノールによって一本鎖にさせ、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)をBSAの側鎖に付帯させ、SDS表面の親水基にマイナスチャージを付帯させた。そして、この試料を穴6aから注入した。
試料注入後、夫々の穴6a,6b,6c,6dに直径1mmの電極棒8a〜8dを挿入した(図11.12参照)。穴6aの電極8aをグランドとし、穴6bの電極8bに400Vの電圧を印加し、流路2と流路3の交点付近まで泳動させた。その後、穴6cの電極8cをグランドとし、穴6aの電極8aと穴6bの電極8bを200V、穴6dの電極8dを500Vとして電気泳動を開始した。このとき、試料は穴6dの電極8dに向って泳動を始めることになる。今回、流路2と流路3の交点と穴6dの間に光熱交換を利用した吸光検出器9(前記図11参照)を設置して定量測定を行った。
このとき、比較のために、ガラスそのままの状態(水素化アモルファスカーボン膜をコーティングしていない)でのマイクロ反応器を用い、同試料、同条件での電気泳動を行った。
その結果、ガラスそのままの状態での検出器9における出力強度を「1」とすると、この実施例(水素化アモルファスカーボン膜を形成したもの)での出力強度は「1.2」となっていた。これらのことから、本発明のマイクロ反応器では流路壁面での吸着による試料の損失を抑制することができ、壁面電位の効果が示されていることが分かる。
実施例3
実施例2で使用したマイクロ反応器の基材をPMMA基材に変え、全く同様の実験を行った。実施例1で示したように、室温成膜が可能であることから、PMMA基材上にも水素化アモルファスカーボン膜のコーティングと紫外線照射による(−COOH)基の導入が可能であった。
その結果、電気泳動での試料の検出強度は、実施例2と同様の相対強度「1.2」が得られ、基材に依存しない良好な結果が得られていることが確認できた。
水素化アモルファスカーボン膜中の水素濃度分布をERDAで測定した結果を示すグラフである。 UV照射時間と接触角の関係を示すグラフである。 紫外線照射を行った表面の反射FTIRによるスペクトル分析結果を示すグラフである。 表面のカーボン(C)と酸素の組成量におけるUV照射時間依存のグラフである。 カーボンの組成を100原子%としたときの、カーボンの結合状態を分離した結果を示すグラフである。 UV照射を行った水素化アモルファスカーボン膜を、pH3〜11の溶液に浸漬させたときのゼータ電位の測定結果を示すグラフである。 UV照射を行った水素化アモルファスカーボン膜を、pH3〜11の溶液に9時間浸漬させたときのゼータ電位の測定結果を示すグラフである。 本発明に係るマイクロ反応器の溝形成基材の説明図である。 溝を形成したガラス基材上に成膜した水素化アモルファスカーボン膜をSEMによって観察した図面代用顕微鏡写真である。 実施例に係るマイクロ反応器の上蓋5に関する概略説明図である。 実施例に係るマイクロ反応器の平面図である。 図8におけるA−A矢野断面図である。
符号の説明
1 基材
2 電気泳動流路
3 試料導入流路
4 穴
5 上蓋
6a〜6d 穴
8a〜8d 電極

Claims (9)

  1. (−C−O)結合または(−C=O)結合を含む官能基を表面に有し、且つ該表面の酸素濃度が30原子%以上である水素化アモルファスカーボン膜が、基材表面に被覆されたものであることを特徴とするマイクロ反応器用チップ。
  2. 前記(−C−O)結合または(−C=O)結合を含む官能基は、水酸基、アルデヒド基またはカルボキシル基である請求項1に記載のマイクロ反応器用チップ。
  3. 前記水素化アモルファスカーボン膜は、膜中水素濃度が20〜50原子%であり、且つ表面に−CH基、−CH基および−CH基を有する膜を前駆体とするものである請求項1または2に記載のマイクロ反応器用チップ。
  4. 請求項3に記載の前駆体に対して、C−Hの結合エネルギーよりも高い紫外線を照射することによって、膜表面に(−C−O)結合または(−C=O)結合を含む官能基を導入したものである請求項1または2に記載のマイクロ反応器用チップ。
  5. pHが3〜11である溶液が通過する流路に適用されるものである請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロ反応器用チップ。
  6. 前記基材はガラス、金属またはプラスチックのいずれかからなるものである請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロ反応器用チップ。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のチップを、マイクロ反応器の溶液流路壁面の全面または一部に適用したものであることを特徴とするマイクロ反応器。
  8. 前記溶液は、蛋白質または核酸を含有するものである請求項7に記載のマイクロ反応器。
  9. 流路内で電気泳動するように構成されたものである請求項8に記載のマイクロ反応器。
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