JP6327231B2 - 遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置 - Google Patents

遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、車両等のパワートレインの制御装置に関し、特に、遠心振子ダンパを有するパワートレインの制御装置に関する。
従来、エンジンから自動変速機を介して駆動輪に至る動力伝達経路を構成するパワートレインを搭載した車両において、エンジンの燃費性能向上のために、エンジンの減筒運転、HCCI燃焼又は自動変速機のトルコンレス化の技術を適用することが知られている。
しかし、このような車両の場合、特にエンジンで発生したトルク変動によるねじり振動が動力伝達系の共振によって増幅されて車両各部に振動と騒音を発生させるという課題があった。以下、説明の便宜上、「自動変速機」という用語は、変速比を段階的に切り替える機構を備えた有段の自動変速機のみならず、変速比を連続的に変化させる機構を備えた無段の自動変速機(以下、「CVT」という)も含むものとして説明する。また、自動変速機を構成する変速機構には、トルクコンバータやねじりダンパ機構は含まれないものとする。
上述の課題に対して、例えば、特許文献1に記載されているように、動力伝達軸に遠心振子ダンパを連絡させる技術が知られている。この遠心振子ダンパは、動力伝達軸と共に回転する支持部材と、該支持部材にその軸心から所定半径の円周上の点を中心として揺動可能に支持された質量体である振子と、を備える。トルク変動によって振子が揺動すれば、振子に作用する遠心力を受ける支持部材に周方向の分力が発生し、この分力が支持部材乃至動力伝達軸のトルク変動を抑制する反トルクとして働く。
ここで、始動時等のエンジン低回転域では、動力伝達軸に連絡された遠心振子ダンパも低速で回転し、振子に作用する遠心力が小さくなるので、この遠心力によってトルク変動を抑制する振子の動作が不安定となり、周辺部材と接触して異音が発生することがある。この異音の発生を抑制するために、特許文献1の発明では、動力伝達軸と遠心振子ダンパとの間に、エンジンの低回転域で遠心振子ダンパへの動力伝達を遮断する断接機構が設けられている。
特開2014−228009号公報
ところが、特許文献1に記載の先行技術のように、動力伝達軸と遠心振子ダンパとの間に断接機構を備えた場合、その断接機構の制御が適切に行われないと、例えば、接続が急なためにショックが発生したり、トルク変動の生じやすい運転領域に入ったときに接続が遅れて振動、騒音が発生するなどの不具合が発生するおそれがある。
本発明は、遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置に関する上述のような実情に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、断接機構の制御性を向上させることを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
エンジンの駆動力が、油圧制御式の断接機構を介して遠心振子ダンパが連絡された動力伝達軸と変速機構とを介して駆動輪側に伝達される遠心振子ダンパ付きパワートレインを制御する制御装置であって、
前記断接機構への供給油圧の制御を行う油圧制御弁と、
該油圧制御弁の制御を行う断接制御手段と、
前記断接機構への供給油圧を検出する油圧検出手段と、
前記断接機構の異常時に前記断接機構の油圧を排出する油圧排出手段と、
前記変速機構への供給油圧を生成するための可変容量型のオイルポンプと、を有し、
前記断接制御手段は、前記油圧検出手段の出力に基づいて前記断接機構の断接制御および異常検知を行い、
前記油圧排出手段は、前記オイルポンプの回転数に対する吐出量を下げるための油圧室に供給される油圧を利用して制御される
ことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、前記請求項に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置において、
前記油圧排出手段は、前記断接機構を制御する前記油圧制御弁と独立して設けられる
ことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、
エンジンの駆動力が、油圧制御式の断接機構を介して遠心振子ダンパが連絡された動力伝達軸と変速機構とを介して駆動輪側に伝達される遠心振子ダンパ付きパワートレインを制御する制御装置であって、
前記断接機構への供給油圧の制御を行う油圧制御弁と、
該油圧制御弁の制御を行う断接制御手段と、
前記断接機構への供給油圧を検出する油圧検出手段と、
前記断接機構の異常時に前記断接機構の油圧を排出する油圧排出手段と、
前記変速機構のライン油圧を調整するためのライン圧調整手段と、を有し、
前記断接制御手段は、前記油圧検出手段の出力に基づいて前記断接機構の断接制御および異常検知を行い、
前記油圧排出手段は、前記ライン圧調整手段によって前記ライン油圧を調整する際に排圧される油圧を利用して制御される
ことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、前記請求項1からのいずれか1項に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置において、
前記動力伝達軸の回転数を検出する回転数検出手段を有し、
前記断接制御手段は、前記回転数検出手段及び前記油圧検出手段の出力に基づいて前記断接機構への供給油圧を制御する
ことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、前記請求項に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置において、
前記断接制御手段は、前記回転数検出手段の出力に基づいて前記油圧検出手段の異常を判定する、又は前記油圧検出手段の出力に基づいて前記回転数検出手段の異常を判定するための異常判定手段を有する
ことを特徴とする。
前述の構成により、請求項1に記載の発明によれば、油圧検出手段が断接機構への供給油圧を検出し、断接制御手段が油圧検出手段の出力に基づいて断接機構の断接制御を行うので、断接機構の制御性を向上させることができる。
また、請求項に記載の発明によれば、断接制御手段が油圧検出手段の出力に基づいて断接機構の異常検知を行うので、例えば、異常検知時に断接機構の油圧を排出したり、変速機構の変速制御を抑制する等の適切な対処を行うことで、遠心振子ダンパが過回転となって信頼性が低下したり、エンジンが低回転時に遠心振子ダンパで異音が発生したり、振動、騒音の抑制ができなくなる等の不具合を防止することができる。
また、請求項に記載の発明によれば、断接機構の異常検知時に油圧排出手段が断接機構の油圧を排出するので、この油圧の排出によって断接機構を接続状態から切断状態へ強制的に切り替えることで、遠心振子ダンパが過回転となって信頼性が低下したり、エンジンが低回転時に遠心振子ダンパで異音が発生する等の不具合を防止することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、可変容量型のオイルポンプによって変速機構への供給油圧を生成し、オイルポンプの回転数に対する吐出量を下げるための油圧室に供給される油圧を利用して油圧排出手段が制御されるので、可変容量型のオイルポンプが変速機構の油圧生成源である場合にも、油圧排出手段を制御して上述のような不具合を防止することができる。
また、請求項に記載の発明によれば、油圧排出手段が断接機構を制御する油圧制御弁と独立して設けられるので、油圧制御弁が故障した際にも油圧排出手段によって確実に断接機構の油圧を排出し、断接機構を強制的に切断状態に切り替えることができる。そのため、上述のような不具合をより確実に防止することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、油圧検出手段が断接機構への供給油圧を検出し、断接制御手段が油圧検出手段の出力に基づいて断接機構の断接制御を行うので、断接機構の制御性を向上させることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、断接制御手段が油圧検出手段の出力に基づいて断接機構の異常検知を行うので、例えば、異常検知時に断接機構の油圧を排出したり、変速機構の変速制御を抑制する等の適切な対処を行うことで、遠心振子ダンパが過回転となって信頼性が低下したり、エンジンが低回転時に遠心振子ダンパで異音が発生したり、振動、騒音の抑制ができなくなる等の不具合を防止することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、断接機構の異常検知時に油圧排出手段が断接機構の油圧を排出するので、この油圧の排出によって断接機構を接続状態から切断状態へ強制的に切り替えることで、遠心振子ダンパが過回転となって信頼性が低下したり、エンジンが低回転時に遠心振子ダンパで異音が発生する等の不具合を防止することができる。
また、請求項に記載の発明によれば、ライン圧調整手段によって変速機構のライン油圧を調整し、ライン油圧の調整のために排圧される油圧を利用して油圧排出手段が制御されるので、エンジンが高速回転時にライン圧調整手段の排圧を有効活用して油圧排出手段を制御することができ、上述のような不具合を防止することができる。
また、請求項に記載の発明によれば、回転数検出手段が動力伝達軸の回転数を検出し、回転数検出手段及び油圧検出手段の出力に基づいて断接機構への供給油圧を制御するので、断接機構の制御性を向上させることができる。
また、請求項に記載の発明によれば、断接制御手段の異常判定手段が、回転数検出手段の出力に基づいて油圧検出手段の異常を判定する、又は油圧検出手段の出力に基づいて回転数検出手段の異常を判定するので、いずれか一方の検出手段が異常であると判定された場合、様々な不具合が生じる前に、例えば、この異常を運転者等に知らせる警報を出したり、断接機構の油圧を強制的に排出する等の適切な対処を行うことができる。特に、油圧検出手段が異常であると判定された場合には、例えば、回転数検出手段のみで断接機構の断接状態を間接的に検知する等の対処を行うことができる。また、回転数検出手段が異常であると判定された場合には、変速機構を適切に制御できなくなるおそれがあるため、変速機構の変速制御を抑制する等の対処を行うことができる。
本発明の第1の実施形態に係る遠心振子ダンパ付きパワートレインを示す骨子図である。 前記パワートレインの油圧制御回路を示す図である。 前記パワートレインの制御システム図である。 前記パワートレインのクラッチ機構を断接する制御マップである。 本発明の第2の実施形態に係る遠心振子ダンパ付きパワートレインの油圧制御回路を示す図である。 前記パワートレインの制御システム図である。 本発明の第3の実施形態に係る遠心振子ダンパ付きパワートレインの油圧制御回路を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る遠心振子ダンパ付きパワートレイン10(以下、単に「パワートレイン10」という。)の構成を示す骨子図である。図1に示すように、このパワートレイン10は、エンジン1と、該エンジン1の駆動力を駆動輪2に伝達する自動変速機3の変速機構3aと、エンジン1の出力軸1aと変速機構3aの入力軸3bとの間を連絡するねじりダンパ機構4と、変速機構3aの入力軸3bに連絡された遠心振子ダンパ機構5と、を備える。
自動変速機3は、複数の摩擦締結要素を選択的に締結することによって変速比を段階的に切り替える変速機構3aを備えた有段変速機である。なお、自動変速機3は、変速比を連続的に変化させる変速機構を備えたCVTであってもよい。また、ねじりダンパ機構4に対して、代替的又は付加的にトルクコンバータが設けられていてもよい。
ねじりダンパ機構4は、出力軸1aに並列に連絡された第1ばね部材4a及び第2ばね部材4bを備える。これにより、出力軸1aの回転がばね部材4a、4bを介して入力軸3b側に伝達されるようになっている。なお、本実施形態の「入力軸3b」は、請求項1における「動力伝達軸」に相当する。
遠心振子ダンパ機構5は、入力軸3bの回転を増速する増速機構である遊星歯車セット12と、該遊星歯車セット12を介して入力軸3bに連絡された遠心振子ダンパ13と、入力軸3bから遊星歯車セット12への動力伝達を断接可能な断接機構であるクラッチ機構14と、を備える。なお、クラッチ機構14は、遊星歯車セット12と遠心振子ダンパ13との間に設けられてもよい。
遊星歯車セット12は、シングルピニオンタイプであり、回転要素として、サンギヤ21と、リングギヤ23と、サンギヤ21及びリングギヤ23に噛み合うピニオン22を支持するピニオンキャリヤ24(以下、単に「キャリヤ24」と略記する。)と、を有する。
そして、この遊星歯車セット12のキャリヤ24には入力軸3bがクラッチ機構14を介して連絡されると共に、サンギヤ21には遠心振子ダンパ13が連絡されている。また、リングギヤ23には変速機ケース3dが連結されることでその回転が制止されている。
遠心振子ダンパ13は、遊星歯車セット12のサンギヤ21に連結された図示しない支持部材と、該支持部材にその軸心から所定半径の円周上の点を中心として揺動可能に支持された質量体である図示しない振子と、を備えている。遠心振子ダンパ13は、トルク変動によって振子が揺動すれば、振子に作用する遠心力を受ける支持部材に周方向の分力が発生し、この分力が支持部材のトルク変動を抑制する反トルクとして働く結果、入力軸3bのねじり振動を吸収できるように構成されている。
クラッチ機構14は、図示しないクラッチハブ及びクラッチドラムと、該クラッチハブ及びクラッチドラムに交互に係合された図示しない複数の摩擦板と、該摩擦板を押圧する図示しないピストンと、を備えている。クラッチ機構14は、ピストンの背面側に設けられた油圧室に供給する油圧を制御することによって、締結度合いが変化する、すなわち所定の油圧が供給されると接続状態となり、油圧の供給が停止されると切断状態に切り替わるように構成されている。なお、クラッチ機構14が摩擦クラッチである場合、クラッチ機構14の接続とは「締結」を意味し、切断とは「解放」を意味する。
ここで、上述のパワートレイン10の作用について説明する。
まず、エンジン1が駆動されると、その動力はねじりダンパ機構4に伝達され、このとき、エンジン1のトルク変動は、ねじりダンパ機構4によってある程度は吸収される。このねじりダンパ機構4に伝達された動力の一部は、更に変速機構3aの入力軸3bから遠心振子ダンパ機構5に伝達される。遠心振子ダンパ機構5のクラッチ機構14が接続されると、このクラッチ機構14を介して入力軸3bから遊星歯車セット12へ動力が伝達される。このとき、遊星歯車セット12のリングギヤ23の回転が変速機ケース3dによって制止されているので、入力軸3bと連結されたキャリヤ24の回転に伴って、サンギヤ21が回転する。サンギヤ21の回転は、キャリヤ24の回転に対して、サンギヤ21に対するキャリヤ24の歯数比に応じて増速される。遠心振子ダンパ13は、増速されたサンギヤ21の回転数で駆動される。このとき、ねじりダンパ機構4で吸収しきれなかったトルク変動が遠心振子ダンパ13で吸収される。
また、本実施形態おけるパワートレイン10には、エンジン1の出力軸1aの回転数を検出するエンジン回転数センサ101と、変速機構3aの入力軸3bの回転数を検出する変速機構入力軸回転数センサ102(以下、「変速機構入力軸回転数」を単に「入力軸回転数」という。)と、変速機構3aの出力軸3cの回転数を検出する車速センサ103と、がそれぞれ設けられている。これら回転数センサ101〜103として、例えば、ピックアップコイル型、ホール素子型、磁気抵抗素子型等の磁気センサを用いることができる。
更に、上述のように構成されるパワートレイン10には、エンジン1、自動変速機3及び遠心振子ダンパ機構5のクラッチ機構14等、パワートレイン10に関係する構成を総合的に制御するコントロールユニット100(図1には図示しない)が設けられている。なお、コントロールユニット100は、マイクロコンピュータを主要部として構成されている。
(油圧制御回路)
次に、図2を参照しながら、クラッチ機構14へ供給される油圧を制御するための油圧制御回路30について説明する。
図2は、パワートレイン10に設けられ、クラッチ機構14に供給される油圧を制御するための油圧制御回路30を示す図である。図2に示すように、油圧制御回路30は、エンジン1の回転によって駆動されるオイルポンプ31と、該オイルポンプ31の吐出圧を所定油圧のライン圧に調整する調圧弁32と、ライン圧を元圧として変速機構3aを構成する摩擦締結要素に供給する油圧を制御するための各種ソレノイドバルブを含む油圧回路33と、クラッチ機構14に供給される油圧を制御するリニアソレノイドバルブ34(以下、「ソレノイドバルブ」を「SV」と略記する)と、クラッチ機構14に供給される油圧を検知する油圧センサ106と、クラッチ機構14から排圧するためのドレンバルブ35と、を備える。なお、前記調圧弁32は、特許請求の範囲における「ライン圧調整手段」に相当し、リニアSV34は、同じく「油圧制御弁」に相当し、ドレンバルブ35は、同じく「油圧排出手段」に相当する。
前記調圧弁32は、オイルポンプ31からの吐出圧が油路41を介して入力される元圧ポートと、油圧回路33へライン圧が油路42を介して出力される出力ポートと、ドレンバルブ35へ油路45を介して排圧されるドレンポートと、を備えている。
この調圧弁32は、元圧ポートを介して入力された、エンジン1の回転数に応じて変化するオイルポンプ31からの吐出圧を、エンジン1の回転数に依らない所定圧力に調整してライン圧として出力ポートから出力し、余った油圧をドレンポートからドレンバルブ35へ排圧するように構成されている。
前記リニアSV34は、後述するコントロールユニット100の断接制御部400からの制御信号に基づいて、内蔵するスプールバルブの位置を制御して出力圧を調整できるリニアSVである。このリニアSV34は、油圧回路33からの油圧が油路43を介して入力される入力ポートと、クラッチ機構14へ油路44を介して油圧が出力される出力ポートと、クラッチ機構14から排圧するためのドレンポートと、を備えている。
このリニアSV34は、入力ポートと出力ポートを連通されて、入力ポートを介して入力された油圧を所望の油圧に調整して出力ポートに出力し、この油圧をクラッチ機構14へ供給することで接続状態にする、又は、入力ポートと出力ポートを遮断して出力ポートとドレンポートを連通させて、クラッチ機構14から排圧し、クラッチ機構14を切断状態にするように構成されている。なお、リニアSV34は、クラッチ機構14に対する油圧の供給、排出を切り替えるオンオフSVであってもよく、この場合、省電力の観点でノーマリークローズタイプの方が望ましい。
前記油圧センサ106は、リニアSV34とクラッチ機構14との間を結ぶ油路44上に設けられており、クラッチ機構14に供給される油圧を検出し、検出された油圧に応じた信号を出力するように構成されている。
前記ドレンバルブ35は、リニアSV34と独立して設けられ、断接制御部400からの制御信号に基づいてオン/オフを切り替えることができるバルブである。このドレンバルブ35は、図示しないスプールを内蔵し、該スプールは一端に装着されたスプリングによって反対側に設けられた制御ポートに向けて付勢されている。また、ドレンバルブ35は、調圧弁32のドレンポートからの排圧が油路45を介して入力される制御ポートと、油路44から分岐する油路46を介してクラッチ機構14からの排圧が入力される入力ポートと、クラッチ機構14から排圧するためのドレンポートと、を備えている。
このドレンバルブ35は、エンジン1が低回転であって制御ポートに所定圧より低い油圧が入力されているときは、スプールがリターンスプリンリングの付勢力によってセット位置に保持され、入力ポートとドレンポート間が遮断されることで、クラッチ機構14に供給されている油圧がドレンバルブ35から排出されないように構成されている。一方で、エンジン1が高回転となり、制御ポートに所定圧以上の油圧が入力されると、スプールがリターンスプリンリングの付勢力に抗して、図2に示すストローク位置に移動し、入力ポートとドレンポートが連通することで、クラッチ機構14に供給されている油圧がドレンバルブ35から排出されるように構成されている。
したがって、上述の油圧制御回路30によれば、リニアSV34が開故障した際、リニアSV34の入力ポートと出力ポートが連通したままとなるが、エンジン1が高回転時には、ドレンバルブ35によってクラッチ機構14の油圧が排出されるので、クラッチ機構14を強制的に切断状態に切り替えることができる。なお、断線等により、リニアSV34が閉故障した際には、出力ポートとドレンポートが連通し、入力ポートと出力ポート間が遮断されたままとなるので、クラッチ機構14が切断状態となる。
(制御システム)
次に、図3を参照しながら、コントロールユニット100によって構成されたパワートレイン10の制御システムについて説明する。
図3は、パワートレイン10の制御システム図である。図3に示すように、コントロールユニット100には、エンジン回転数センサ101、入力軸回転数センサ102、車速センサ103、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ104、シフトレバーの操作位置を検出するレンジセンサ105、クラッチ機構14に供給される油圧を検出する油圧センサ106等からの信号が入力されるように構成されている。
また、コントロールユニット100は、上述の各種センサ等からの入力信号に基づき、エンジン1に対して制御信号を出力するエンジン制御部200と、変速指令に基づいて自動変速機3に変速比を変更する制御信号を出力する変速制御部300と、断接指令に基づいてクラッチ機構14を断接制御する制御信号をリニアSV34に出力する断接制御部400と、を備える。
エンジン制御部200は、エンジン1の燃料噴射制御、点火制御を行うことができる。なお、エンジン制御部200は、気筒数制御等も行ってもよい。
変速制御部300は、車速センサ103、アクセル開度センサ104、レンジセンサ105等からの入力信号に基づいて、変速機構3aの変速段(変速比)を変更する変速制御を行う。すなわち、変速制御部300は、現在の車速、アクセル開度から図示しない変速マップに従って決定された所望の変速段に変更する変速指令を出力し、この変速指令に基づいて自動変速機3の油圧回路33に含まれるソレノイドバルブに制御信号を出力し、所定の摩擦締結要素に選択的に油圧を供給して所望の変速段に変更する制御を行う。
断接制御部400は、エンジン回転数センサ101からの入力信号に基づいて、図4に示された制御マップに従って断接指令を出力し、該断接指令に基づいて、リニアSV34からクラッチ機構14へ供給される油圧を、油圧センサ106からの入力信号に基づいてフィードバック制御することによって、クラッチ機構14を接続状態又は切断状態に切り替える断接制御を行う。
すなわち、断接制御部400は、エンジン回転数がN以下の低速域又はN(N>N)以上の高速域ではクラッチ機構14を切断状態で維持し、エンジン回転数がNからNまでの中速域ではクラッチ機構14を接続状態に維持するようにリニアSV34を制御する。
また、断接制御部400は、エンジン回転数が低速域から中速域まで上昇中に回転数Nに達した時、又は高速域から中速域まで下降中に回転数Nに達した時、クラッチ機構14を切断状態から接続状態に切り替える接続指令をコントロールユニット100内の内部指令として出力し、この接続指令に基づいてクラッチ機構14を切断状態から接続状態に切り替えるようにリニアSV34を制御する。
また、断接制御部400は、エンジン回転数が中速域から低速域まで下降中に回転数Nに達した時、又は中速域から高速域まで上昇中に回転数Nに達した時、クラッチ機構14を接続状態から切断状態に切り替える切断指令をコントロールユニット100内の内部指令として出力し、この切断指令に基づいてクラッチ機構14を接続状態から切断状態に切り替えるようにリニアSV34を制御する。
ここで、エンジン回転数Nには、アイドリング回転よりも高い回転数が設定されている。また、エンジン回転数Nには、オーバレブとなる回転数よりも低く、遊星歯車セット12によって増速された遠心振子ダンパ13が著しく高速回転となってその信頼性に影響を及ぼす懸念のある回転数が設定されている。
なお、変速指令又は断接指令の出力とは、条件成立等によってコントロールユニット100内で変速指令又は断接指令が生成されることを意味し、変速制御部300又は断接制御部400から自動変速機3やリニアSV34等の外部へ出力されるものではない。
更に、本実施形態では、上述の油圧制御回路30によって、エンジン回転数に応じてクラッチ機構14が切断させるように制御される。すなわち、図4に示すように、エンジン回転数が上昇して回転数N’(N’>N)に達すると、オイルポンプ31から調圧弁32に供給される油圧が高くなるのに伴い、調圧弁32のドレンポートから油路45を介してドレンバルブ35の制御ポートへ入力される排圧が所定圧に達する。排圧が所定圧に達すると、ドレンバルブ35のスプールがスプリングの付勢力に抗してストローク位置に移動し、クラッチ機構14の排圧が開始され、その結果、クラッチ機構14が切断される。
(異常検知)
また、断接制御部400は、油圧センサ106の出力に基づいてリニアSV34乃至クラッチ機構14の異常検知を行う断接異常検知部410と、入力軸回転数センサ102の出力に基づいて油圧センサ106の異常を判定するセンサ異常判定部420と、を有している。
センサ異常判定部420は、入力軸回転数センサ102が正常であって、例えば、入力軸回転数センサ102の出力によれば入力軸3bの回転数の変化からクラッチ機構14が接続状態であるとき、油圧センサ106の出力によればクラッチ機構14が油圧の供給が無く切断状態である場合には、油圧センサ106が異常であると判定することができる。ここで、クラッチ機構14が切断状態から接続状態になると、遠心振子ダンパ13によって入力軸3bの慣性モーメントが増えるので、例えば、変速中における入力軸3bの回転数の変化速度が小さくなる。そのため、入力軸3bの回転数の変化速度が小さい場合は、クラッチ機構14が接続状態であり、回転数の変化速度が大きい場合は、クラッチ機構14が切断状態であると判定することができる。
ここで、センサ異常判定部420によって油圧センサ106が正常であると判定されると、断接異常検知部410は、例えば、断接制御部400からリニアSV34に所定の目標圧をクラッチ機構14へ出力するように指令が出力された際、油圧センサ106によって検知された実際の油圧と目標圧との差が許容値以上である場合には、リニアSV34の異常を検知することができる。
断接異常検知部410によってリニアSV34の異常が検知されると、例えば、クラッチ機構14の油圧を排出したり、変速制御部300によって変速機構3aの変速制御を抑制する等の適切な対処を行ってもよい。これによれば、遠心振子ダンパ13が過回転となって信頼性が低下したり、エンジン1が低回転時に遠心振子ダンパ13で異音が発生したり、振動、騒音の抑制ができなくなる等の不具合を防止することができる。
また、センサ異常判定部420によって油圧センサ106が異常であると判定されると、断接制御部400は、リニアSV34の出力ポートとドレンポートが連通するように制御を行い、クラッチ機構14の油圧を強制的に排出させる。なお、断接制御部400は、油圧センサ106の異常を運転者や保守点検者等に知らせるために、例えば、警告灯を点灯させてもよい。また、入力軸3bの回転数の変化からクラッチ機構14の断接状態を間接的に知ることができるので、断接制御部400は、入力軸回転数センサ102のみでクラッチ機構14の断接状態を間接的に検知し、検知されたクラッチ機構14の断接状態に基づいてリニアSV34を制御することでクラッチ機構14の断接制御を行ってもよい。
なお、センサ異常判定部420は、油圧センサ106の出力に基づいて入力軸回転数センサ102の異常を判定してもよい。センサ異常判定部420は、例えば、リニアSV34への断接指令及び油圧センサ106の出力によればクラッチ機構14が油圧の供給によって接続状態であるとき、入力軸回転数センサ102の出力によれば入力軸3bの回転数の変化からクラッチ機構14が切断状態である場合には、入力軸回転数センサ102が異常であると判定することができる。入力軸回転数センサ102が異常であると判定された際には、変速指令に基づいて変速機構3aを適切に制御できなくなるおそれがあるため、変速制御部300によって変速機構3aの変速制御を抑制する等の適切な対処を行ってもよい。
(第2の実施形態)
次に、図5、図6を参照しながら、第2の実施形態に係るパワートレイン10を制御する制御装置について説明する。なお、以下の説明では、上述の第1の実施形態の制御装置と共通する構成については、説明を省略する。
(油圧制御回路)
次に、図5を参照しながら、クラッチ機構14へ供給される油圧を制御するための油圧制御回路130について説明する。
図5は、パワートレイン10に設けられ、クラッチ機構14に供給される油圧を制御するための油圧制御回路130を示す図である。図5に示すように、油圧制御回路130は、吐出圧を変更可能な可変容量ポンプ131と、該可変容量ポンプ131の吐出圧を所定油圧のライン圧に調整する調圧弁132と、ライン圧を元圧として変速機構3aを構成する摩擦締結要素に供給する油圧を制御するための各種ソレノイドバルブを含む油圧回路133と、クラッチ機構14に供給される油圧を制御する第1リニアソレノイドバルブ134(以下、「ソレノイドバルブ」を「SV」と略記する)と、クラッチ機構14に供給される油圧を検知する油圧センサ106と、クラッチ機構14から排圧するためのドレンバルブ135と、オンオフ切替弁137を制御する第2リニアSV136と、ドレンバルブ135と可変容量ポンプ131を制御するオンオフ切替弁137と、を備える。なお、前記調圧弁132は、特許請求の範囲における「ライン圧調整手段」に相当し、第1リニアSV134は、同じく「油圧制御弁」に相当し、ドレンバルブ135は、同じく「油圧排出手段」に相当する。
前記可変容量ポンプ131は、ベーン式の可変容量型オイルポンプであって、ポンプハウジングとカムリングの間に画成された制御油圧室に供給される油圧が所定圧よりも高くなると、カムリングがスプリングによる付勢力に抗して、ロータから偏心する方向へ押圧され、オイルポンプの回転数に対する吐出量が増えるように構成されている。可変容量ポンプ131の制御油圧室には、切替弁137の出力ポートが油路145、150を介して接続されている。
前記調圧弁132は、可変容量ポンプ131からの吐出圧が油路141を介して入力される元圧ポートと、油圧回路133へライン圧が油路142を介して出力される出力ポートと、余った油圧を排圧するためのドレンポートと、を備えている。
この調圧弁132は、元圧ポートを介して入力された可変容量ポンプ131の吐出圧を所定圧力に調整してライン圧として出力ポートから出力し、余った油圧をドレンポートから排出するように構成されている。
前記油圧センサ106は、第1リニアSV134とクラッチ機構14との間を結ぶ油路144上に設けられており、クラッチ機構14に供給される油圧を検出し、検出された油圧に応じた信号を出力するように構成されている。
前記ドレンバルブ135は、オンオフ切替弁137の出力ポートからの油圧が油路145を介して入力される制御ポートと、油路144から分岐する油路146を介してクラッチ機構14からの排圧が入力される入力ポートと、クラッチ機構14から排圧するためのドレンポートと、を備えている。
このドレンバルブ135は、オンオフ切替弁137が閉弁(オフ)されて制御ポートに油圧が供給されていないときは、スプールがリターンスプリンリングの付勢力によってセット位置に保持され、入力ポートとドレンポート間が遮断されることで、クラッチ機構14に供給されている油圧がドレンバルブ135から排出されないように構成されている。一方で、オンオフ切替弁137が開弁(オン)されて制御ポートに所定圧以上の油圧が入力されると、スプールがリターンスプリンリングの付勢力に抗して、図5に示すストローク位置に移動し、入力ポートとドレンポートが連通することで、クラッチ機構14に供給されている油圧がドレンバルブ135から排出されるように構成されている。
前記第2リニアSV136は、第1リニアSV134と同様に、コントロールユニット100の断接制御部400からの制御信号に基づいて、内蔵するスプールバルブの位置を制御して出力圧を調整できるリニアSVである。この第2リニアSV136は、可変容量ポンプ131からの吐出圧が油路147、148を介して入力される入力ポートと、オンオフ切替弁137へ油路149を介して油圧が出力される出力ポートと、を備えている。
この第2リニアSV136は、入力ポートと出力ポートを連通させて、入力ポートを介して入力された油圧を所望の油圧に調整して出力ポートから出力し、この油圧をオンオフ切替弁137の制御ポートへ供給することでオンオフ切替弁137を開弁する、又は、入力ポートと出力ポートを遮断することでオンオフ切替弁137を閉弁するように構成されている。
前記オンオフ切替弁137は、第2リニアSV136からの油圧が油路149を介して入力される制御ポートと、油路141から分岐する油路147を介して可変容量ポンプ131の吐出圧が入力される入力ポートと、可変容量ポンプ131の制御油圧室とドレンバルブ135の制御ポートに油路145を介して油圧がそれぞれ出力される出力ポートと、を備えている。
このオンオフ切替弁137は、制御ポートに第2リニアSV136からの油圧が供給されていないときは、スプールがリターンスプリンリングの付勢力によってセット位置に保持され、入力ポートと出力ポート間が遮断されることで、可変容量ポンプ131の吐出圧がオンオフ切替弁137から出力されないように構成されている。一方で、第2リニアSV136から制御ポートに所定圧以上の油圧が入力されると、スプールがリターンスプリンリングの付勢力に抗してストローク位置に移動し、入力ポートと出力ポートが連通することで、可変容量ポンプ131の吐出圧がオンオフ切替弁137から可変容量ポンプ131の制御油圧室とドレンバルブ135の制御ポートに出力されるように構成されている。
したがって、上述の油圧制御回路130によれば、第1リニアSV134が開故障した際にも、第2リニアSV136を制御してオンオフ切替弁137を開くことによって可変容量ポンプ131からの吐出圧がオンオフ切替弁137を介してドレンバルブ135の制御ポートに入力されると、ドレンバルブ135によってクラッチ機構14の油圧が排出されるので、クラッチ機構14を第2リニアSV136の制御によって切断状態に切り替えることができる。
図6に示すように、コントロールユニット100は、第1の実施形態と同様に、エンジン制御部200、変速制御部300及び断接制御部400を備える。断接制御部400は、エンジン回転数センサ101と油圧センサ106からの入力信号に基づいて、図4に示された制御マップに従って断接指令を出力し、第1リニアSV134と第2リニアSV136を制御することによって、クラッチ機構14へ供給される油圧を調整し、クラッチ機構14を接続状態又は切断状態に切り替える断接制御を行う。
更に、本実施形態では、上述の油圧制御回路130によって、エンジン回転数に応じてクラッチ機構14が切断させるように制御される。すなわち、図4に示すように、エンジン回転数が上昇して回転数N’(N’>N)に達すると、可変容量ポンプ131からの吐出圧が高くなるのに伴い、第2リニアSV136を開弁することで、オンオフ切替弁137の制御ポートに油圧を供給し、オンオフ切替弁137を開弁する。これによって、可変容量ポンプ131からの吐出圧がオンオフ切替弁137の出力ポートから油路145を介してドレンバルブ135の制御ポートへ入力され、ドレンバルブ135のスプールがスプリングの付勢力に抗してストローク位置に移動し、クラッチ機構14の排圧が開始され、その結果、クラッチ機構14が切断される。
(異常検知)
また、断接制御部400は、第1の実施形態と同様に、油圧センサ106の出力に基づいて第1リニアSV134乃至クラッチ機構14の異常検知を行う断接異常検知部410と、入力軸回転数センサ102の出力に基づいて油圧センサ106の異常を判定するセンサ異常判定部420と、を有している。
センサ異常判定部420は、入力軸回転数センサ102が正常であって、例えば、入力軸回転数センサ102の出力によれば入力軸3bの回転数の変化からクラッチ機構14が接続状態であるとき、油圧センサ106の出力によればクラッチ機構14が油圧の供給が無く切断状態である場合には、油圧センサ106が異常であると判定することができる。
ここで、センサ異常判定部420によって油圧センサ106が正常であると判定されると、断接異常検知部410は、例えば、断接制御部400から第1リニアSV134に所定の目標圧をクラッチ機構14へ出力するように指令が出力された際、油圧センサ106によって検知された実際の油圧と目標圧との差が許容値以上である場合には、第1リニアSV134の異常を検知することができる。
断接異常検知部410によって第1リニアSV134の異常が検知されると、断接制御部400は、第2リニアSV136を制御してオンオフ切替弁137を開弁することで、ドレンバルブ135からクラッチ機構14の油圧を排出させる。
また、センサ異常判定部420によって油圧センサ106が異常であると判定されると、断接制御部400は、第1リニアSV134の出力ポートとドレンポートが連通するように制御を行い、クラッチ機構14の油圧を強制的に排出させる。
(第3の実施形態)
次に、図7を参照しながら、第3の実施形態に係るパワートレイン10を制御する制御装置について説明する。なお、以下の説明では、上述の第2の実施形態の制御装置と共通する構成については、説明を省略する。
(油圧制御回路)
次に、図7を参照しながら、クラッチ機構14へ供給される油圧を制御するための油圧制御回路130’について説明する。
図7は、パワートレイン10に設けられ、クラッチ機構14に供給される油圧を制御するための油圧制御回路130’を示す図である。図7に示すように、油圧制御回路130’は、図5に示した油圧制御回路130と同様に、可変容量ポンプ131と、調圧弁132と、油圧回路133と、第1リニアSV134と、油圧センサ106と、ドレンバルブ135と、第2リニアSV136と、を備えており、切替弁137を備えていない点で異なる。
前記可変容量ポンプ131の制御油圧室には、第2リニアSV136の出力ポートが油路145、152を介して接続されている。
前記ドレンバルブ135は、第2リニアSV136の出力ポートからの油圧が油路145、152を介して入力される制御ポートと、油路144から分岐する油路146を介してクラッチ機構14からの排圧が入力される入力ポートと、クラッチ機構14から排圧するためのドレンポートと、を備えている。
前記第2リニアSV136は、可変容量ポンプ131からの吐出圧が油路141、151を介して入力される入力ポートと、可変容量ポンプ131の制御油圧室とドレンバルブ135へ油路145、152を介して油圧が出力される出力ポートと、ドレンバルブ135の制御ポートから排圧するためのドレンポートと、を備えている。
この第2リニアSV136は、入力ポートと出力ポートを連通させて、入力ポートを介して入力された油圧を所望の油圧に調整して出力ポートから出力し、この油圧をドレンバルブ135の制御ポートへ供給することでドレンバルブ135を開弁する、又は、入力ポートと出力ポートを遮断することでドレンバルブ135を閉弁するように構成されている。
このドレンバルブ135は、第2リニアSV136の入力ポートと出力ポート間が遮断されているときは、スプールがリターンスプリンリングの付勢力によってセット位置に保持され、入力ポートとドレンポート間が遮断されることで、クラッチ機構14に供給されている油圧がドレンバルブ135から排出されないように構成されている。一方で、第2リニアSV136の入力ポートと出力ポートが連通されて制御ポートに所定圧以上の油圧が入力されると、スプールがリターンスプリンリングの付勢力に抗して、図7に示すストローク位置に移動し、入力ポートとドレンポートが連通することで、クラッチ機構14に供給されている油圧がドレンバルブ135から排出されるように構成されている。
したがって、上述の油圧制御回路130’によれば、第2の実施形態の油圧制御回路130と同様に、第1リニアSV134が開故障した際にも、第2リニアSV136を制御することで、可変容量ポンプ131からの吐出圧が第2リニアSV136を介してドレンバルブ135の制御ポートに入力されるようにすると、ドレンバルブ135によってクラッチ機構14の油圧が排出されるので、クラッチ機構14を第2リニアSV136の制御によって切断状態に切り替えることができる。
第3の実施形態は、図6に示すような、第2の実施形態と同様の構成のコントロールユニット100を備えており、該コントロールユニット100によれば、第2の実施形態と同様に、油圧センサ106の出力に基づいて第1リニアSV134乃至クラッチ機構14の異常検知を行い、入力軸回転数センサ102の出力に基づいて油圧センサ106の異常を判定することができる。
以上の構成により、第1乃至第3の実施形態によれば、油圧センサ106がクラッチ機構14への供給油圧を検出し、断接制御部400が油圧センサ106の出力に基づいてクラッチ機構14の断接制御を行うので、クラッチ機構14自体が故障したり、油圧制御回路30、130が故障する等の断接制御に関わる異常を、簡素な構成で確実に検知することができる。そして、異常検知時に適切な対処を行うことで、例えば、クラッチ機構14が接続されたままでエンジン1が高回転域に入ったときに、遠心振子ダンパ13が過回転となって信頼性が低下したり、同じくクラッチ機構14が接続されたままでエンジン1が低回転域に入ったときに、振子の動作が不安定になって遠心振子ダンパ13で異音が発生したり、更には、クラッチ機構14が切断されたままで自動変速機3が変速されてエンジン1がトルク変動の生じやすい運転領域に入ったときに、このトルク変動に起因する振動、騒音を抑制できなくなる等の不具合を防止することができる。
また、第1乃至第3の実施形態によれば、油圧センサ106の出力に基づいてクラッチ機構14へ供給される油圧をフィードバック制御することで、クラッチ機構14の制御性を向上させることができる。そのため、例えば、接続が急なためにショックが発生したり、トルク変動の生じやすい運転領域に入ったときに接続が遅くれて振動、騒音が発生するなどの不具合を防止することができる。
また、第1乃至第3の実施形態によれば、断接制御部400が油圧センサ106の出力に基づいてクラッチ機構14の異常検知を行うので、例えば、異常検知時にクラッチ機構14の油圧を排出したり、変速機構3aの変速制御を抑制する等の適切な対処を行うことで、遠心振子ダンパ13が過回転となって信頼性が低下したり、エンジン1が低回転時に遠心振子ダンパ13で異音が発生したり、振動、騒音の抑制ができなくなる等の不具合を防止することができる。
また、第1乃至第3の実施形態によれば、異常検知時にドレンバルブ35がクラッチ機構14の油圧を排出するので、この油圧の排出によってクラッチ機構14を接続状態から切断状態へ強制的に切り替えることで、遠心振子ダンパ13が過回転となって信頼性が低下したり、エンジン1が低回転時に遠心振子ダンパ13で異音が発生する等の不具合を防止することができる。
また、第1乃至第3の実施形態によれば、ドレンバルブ35がクラッチ機構14を制御するリニアSV34、134と独立して設けられるので、リニアSV34、134が故障した際にもドレンバルブ35、135によって確実にクラッチ機構14の油圧を排出し、クラッチ機構14を強制的に切断状態に切り替えることができる。そのため、上述のような不具合をより確実に防止することができる。
また、第2及び第3の実施形態によれば、可変容量型のオイルポンプ131によって変速機構3aへの供給油圧を生成し、オイルポンプ131の回転数に対する吐出量を下げるための油圧室に供給される油圧を利用してドレンバルブ135が制御されるので、可変容量型のオイルポンプ131が変速機構3aの油圧生成源である場合にも、ドレンバルブ135を制御して上述のような不具合を防止することができる。
また、第1の実施形態によれば、調圧弁32によって変速機構3aのライン油圧を調整し、ライン油圧の調整のために排圧される油圧を利用してドレンバルブ35が制御されるので、エンジン1が高速回転時に調圧弁32の排圧を有効活用してドレンバルブ35を制御することができ、上述のような不具合を防止することができる。
また、第1乃至第3の実施形態によれば、入力軸回転数センサ102が入力軸3bの回転数を検出し、入力軸回転数センサ102及び油圧センサ106の出力に基づいてクラッチ機構14への供給油圧を制御するので、クラッチ機構14への供給油圧をフィードバック制御しつつ、入力軸3bの回転数に応じて制御することができる。したがって、例えば、入力軸3bが高回転となる際にクラッチ機構14を切断状態に切り替えることで遠心振子ダンパ13の信頼性低下を防止したり、入力軸3bが低回転となる際にクラッチ機構14を切断状態に切り替えることで遠心振子ダンパ13での異音の発生を防止することができる。
また、第1乃至第3の実施形態によれば、断接制御部400の異常判定手段が、入力軸回転数センサ102の出力に基づいて油圧センサ106の異常を判定する、又は油圧センサ106の出力に基づいて入力軸回転数センサ102の異常を判定するので、いずれか一方のセンサが異常であると判定された場合、様々な不具合が生じる前に、例えば、この異常を運転者等に知らせる警報を出したり、クラッチ機構14の油圧を強制的に排出する等の適切な対処を行うことができる。特に、油圧センサ106が異常であると判定された場合には、例えば、入力軸回転数センサ102のみでクラッチ機構14の断接状態を間接的に検知する等の対処を行うことができる。また、入力軸回転数センサ102が異常であると判定された場合には、変速機構3aを適切に制御できなくなるおそれがあるため、変速機構3aの変速制御を抑制する等の対処を行うことができる。
また、第1乃至第3の実施形態によれば、リニアSV34、134がクラッチ機構14にオイルポンプ31、131からの制御油圧を供給し、油圧センサ106がこの制御油圧を検知するので、油圧センサ106によって検知された制御油圧に応じた出力に基づいて、クラッチ機構14の異常を検知することで上述のような不具合を防止することができ、また、制御油圧をフィードバック制御することでクラッチ機構14の制御性を向上させることができる。
本発明は、例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、断接機構としてクラッチ機構14を用いた例について記載したが、これに限定されず、例えば、遊星歯車セット12のリングギヤ23と変速機ケース3d間にブレーキ機構を断接機構として設けてもよい。
また、本実施形態では、駆動源として内燃機関からなるエンジン1を用いた例について記載したが、これに限定されず、例えば、エンジンに発電機を付設し、この発電機によって発電を行うと共に、加速時に発電機をモータとして利用してエンジンをアシストするように構成された所謂ハイブリッドエンジンを用いてもよい。
また、本実施形態では、トルコンレスの自動変速機3を搭載したパワートレインについて記載したが、これに限定されず、トルクコンバータを備えた自動変速機を搭載したものであってもよい。
以上のように本発明によれば、簡素な構成で、断接制御に関わる異常を確実に検知可能とすると共に、断接機構の制御性を向上させることができるので、この種の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置又はこれが搭載される車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
1 エンジン
2 駆動輪
3a 変速機構
3b 入力軸(動力伝達軸)
10 パワートレイン
13 遠心振子ダンパ
14 クラッチ機構(断接機構)
31 オイルポンプ(油圧生成源)
32 調圧弁(ライン圧調整手段)
34 リニアソレノイドバルブ(油圧制御弁、油圧供給手段)
35 ドレンバルブ(油圧排出手段)
100 コントローラユニット(制御装置)
106 油圧センサ(油圧検出手段)
131 可変容量ポンプ(油圧生成源)
134 第1リニアソレノイドバルブ(油圧供給手段)
400 断接制御部(断接制御手段)

Claims (5)

  1. エンジンの駆動力が、油圧制御式の断接機構を介して遠心振子ダンパが連絡された動力伝達軸と変速機構とを介して駆動輪側に伝達される遠心振子ダンパ付きパワートレインを制御する制御装置であって、
    前記断接機構への供給油圧の制御を行う油圧制御弁と、
    該油圧制御弁の制御を行う断接制御手段と、
    前記断接機構への供給油圧を検出する油圧検出手段と、
    前記断接機構の異常時に前記断接機構の油圧を排出する油圧排出手段と、
    前記変速機構への供給油圧を生成するための可変容量型のオイルポンプと、を有し、
    前記断接制御手段は、前記油圧検出手段の出力に基づいて前記断接機構の断接制御および異常検知を行い、
    前記油圧排出手段は、前記オイルポンプの回転数に対する吐出量を下げるための油圧室に供給される油圧を利用して制御される
    ことを特徴とする遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置。
  2. 前記油圧排出手段は、前記断接機構を制御する油圧制御弁と独立して設けられる
    ことを特徴とする請求項に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置。
  3. エンジンの駆動力が、油圧制御式の断接機構を介して遠心振子ダンパが連絡された動力伝達軸と変速機構とを介して駆動輪側に伝達される遠心振子ダンパ付きパワートレインを制御する制御装置であって、
    前記断接機構への供給油圧の制御を行う油圧制御弁と、
    該油圧制御弁の制御を行う断接制御手段と、
    前記断接機構への供給油圧を検出する油圧検出手段と、
    前記断接機構の異常時に前記断接機構の油圧を排出する油圧排出手段と、
    前記変速機構のライン油圧を調整するためのライン圧調整手段と、を有し、
    前記断接制御手段は、前記油圧検出手段の出力に基づいて前記断接機構の断接制御および異常検知を行い、
    前記油圧排出手段は、前記ライン圧調整手段によって前記ライン油圧を調整する際に排圧される油圧を利用して制御される
    ことを特徴とする心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置。
  4. 前記動力伝達軸の回転数を検出する回転数検出手段を有し、
    前記断接制御手段は、前記回転数検出手段及び前記油圧検出手段の出力に基づいて前記断接機構への供給油圧を制御する
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置。
  5. 前記断接制御手段は、前記回転数検出手段の出力に基づいて前記油圧検出手段の異常を判定する、又は前記油圧検出手段の出力に基づいて前記回転数検出手段の異常を判定するための異常判定手段を有する
    ことを特徴とする請求項に記載の遠心振子ダンパ付きパワートレインの制御装置。
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