JP6325735B1 - イージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法 - Google Patents

イージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】摩擦を繰り返してもピリングを生じさせず、繰り返し洗濯しても縮ませず、耐久性に優れ、チクチクする肌刺し感を抑制しさらさらした肌触りで良い着心地を与え、適度な吸放湿性を有しつつ、摩擦や水に対する堅牢性が強く、イージーケアウール生地に適した原料撚糸を製造する方法を提供する。【解決手段】イージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法は、ウールの原糸の繊維表面の毛羽の巻込処理を行いながら紡いだ原糸を、原糸表面が少なくとも一部変性するように毛焼き処理した後、前記原糸を単糸のまま又は複数本を合わせて撚る撚工程で撚糸にしてから、その撚糸表面を摩擦するクリーニング処理を行い原料撚糸にしながら、前記原料撚糸を巻き取るというものである。【選択図】なし

Description

本発明は、ウール製生地の表面の摩擦により毛羽立ったり繊維が絡み合って毛玉を生じたりするピリング現象を防止でき、洗濯しても縮まず、肌刺し感を抑制したイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法に関するものである。
綿製品は、柔らかく肌触りが良く、汗を吸い取り易くて吸水性・吸湿性に優れ、通気性が良いが保湿性・保温性にも優れ、さらに繊維を構成するセルロースに非晶部位を適度に有すことにより染色性が良く、しかも丈夫で、繰返し洗濯が可能である。そのため、綿生地から、肌着、シャツ、パンツ、ジーンズ等の綿製品へ、縫製されて製造される。
綿糸を加撚して紡績糸にするリング紡績で得た仕上げ生地に、大きく片寄った充填が引き起こされ、衣服の洗浄時にねじれ状態が生成されてしまうことを改善するため、特許文献1に、紡績工程→巻付け工程→染色工程→機織工程→毛焼工程→マーセル加工工程→アンモニア除去工程→糊剤付与工程→横糸矯正工程→防縮加工工程→仕上げ検査工程→巻取り工程を含む、環境に優しいデニム生地の製造方法が、開示されている。毛焼工程で綿繊維の毛羽を焼き取って、綿製デニム生地を製造している。
また、被服の毛羽に起因するダストの低減化を図るため、特許文献2に、立体的に加工された被服に直接毛焼き処理またはシャリング処理を行う毛羽除去加工法であって、被服を、被服の全部または一部の立体的形状に近似した被服模型状の輪郭を有していて表面が弾性的に変形する被服模型ユニットに密接状態に装着し、毛焼き用加熱源またはシャリング用カッター部を有する毛羽除去加工具のヘッドを、被服の立体的形状に倣うように制御して被服の表面に沿って相対移動させることにより、被服表面の毛羽除去処理を行う立体加工被服の毛羽除去加工法が、開示されている。被服に直接毛焼き処理しているから生地表面から露出した毛羽を焼き取り、露出していない毛羽は焼き取っていない。
綿製品に対しウール製品は、ウール繊維が伸縮性や弾力性に富むことから、編み製品にすると綿製品よりもかさ高さや保温性に優れている。ウールは、主に羊毛が用いられる。このような羊毛ウールは、羊毛ケラチンであるタンパク質の一種からなり、その表面に鱗状のスケールがあり、また捲縮しているクリンプを有するため、繊維間で引っ掛かり編み目が維持される。そのため、羊毛原糸や羊毛生地から、スーツやセーター等のウール製被服製品へ、製造される。
動物性繊維であるウール製の生地から仕立てた被服は、綿製品に比べ摩擦に極めて弱く、被服布地の表面の摩擦により露出繊維が毛羽立ったり絡み合って毛玉を生じたりするピリング現象を生じてしまう。また、ウール製の被服は、植物性繊維で洗剤や水に強い綿製品の被服よりも、遥かに洗濯でダメージを受け易く、繰り返し洗濯する度に、縮んで皺・よれを生じ、フェルト化してごわごわしてしまう。
このようなウール製の被服のダメージは、繊維がタンパク質で形成されているウール表面のスケールが痛んだり、一方向に向いて閉じていたスケールが摩擦や水のせいで開いて起き上がり繊維同士で絡んだり毛玉を作ったりして縮絨したり、繊維の芯の部分が捩じれ易くなったり、繊維内部のタンパク質が洗剤や摩擦で変質したりすることにより、不可逆的に惹き起こされるものである。
さらに、ウール製の被服は、ウール繊維撚糸から出た毛羽のせいで木綿製の被服に比べチクチクする肌刺し感がある。
このようなウール製生地や被服布地に、特許文献1や特許文献2のような生地や被服への毛焼き処理を施しても、生地又は被服の布地の露出表面しか改質できないので、生地内部に撚り込まれて露出していない毛羽が殆んど残存しており、その毛羽を起点にして、着衣時や使用時の摩擦によりピリングを生じ易く、また使用後に数度の洗濯で縮み等のダメージを惹き起こし易い。
ウール製繊維等を塩素剤又はオゾンで化学処理若しくは樹脂コーティング処理した防縮ウールが知られているが、このような防縮ウールでさえ、繰り返す摩擦や洗濯でピリングや縮み等を生じてしまう。
そのため、ピリングを生じさせず洗濯で縮ませないナチュラルな肌触りのウール製の生地用の原料撚糸、及びそれを用いた生地が求められていた。
特開2016−128619号公報 特開2013−096046号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、摩擦を繰り返してもピリングを生じさせず、繰り返し洗濯しても縮ませず、耐久性に優れ、チクチクする肌刺し感を抑制しさらさらした肌触りで良い着心地を与え、適度な吸放湿性を有しつつ、摩擦や水に対する堅牢性が強く、イージーケアウール生地に適した原料撚糸を製造する方法を提供することを目的とする。また、その原料撚糸及びそれで織られたイージーケアウール生地を提供する
前記の目的を達成するためになされたイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法は、ウールの原糸の繊維表面の毛羽の巻込処理を行いながら紡いだ原糸を、原糸表面が少なくとも一部変性するように毛焼き処理した後、前記原糸を単糸のまま又は複数本を合わせて撚る撚工程で撚糸にしてから、その撚糸表面を摩擦するクリーニング処理を行い原料撚糸にしながら、前記原料撚糸を巻き取るというものである。
このイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法は、前記巻込処理で、前記繊維表面の毛羽をエアで吹き付けて内部へ巻き込みながら、前記繊維を紡ぎ、収束させて、前記原糸にするというものであってもよい。
このイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法は、前記毛焼き処理が、例えば、毛焼き率5〜7%のガス焼きであるというものである。
このイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法は、前記毛焼き処理が、1200℃±100℃の火炎部位で行われるものであってもよい。
このイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法は、前記毛焼き処理が、例えば、単本のバーナーの内部を経てそれの火炎に、又は水平若しくは斜めに対向する複数のバーナーの火炎同士に、前記原糸を通すことによって、行われる。
このイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法は、前記クリーニング処理が、例えば、天然繊維製生地、合成繊維製生地、人造繊維製生地、若しくは天然繊維、合成繊維及び/又は人造繊維の混紡繊維製生地で、摩擦するというものである。
このイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法は、前記撚工程が、例えば、500〜900回/mのZ撚り、ZZ撚り、S撚り、及び/又はSS撚りをかけるものである。
ージーケアウール生地用の原料撚糸は、ウール製の原料撚糸であって、ウールの原糸の表面の毛羽が巻き込まれており、前記原糸の表面の少なくとも一部が熱変性しており、前記原糸が撚られている撚糸表面がクリーニング表面となっているというものである。
ージーケアウール生地は、前記のイージーケアウール生地用の原料撚糸の編成布又は製織布である。
本発明のイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法によれば、ウールの繊維の表面の毛羽立ちが巻き込まれた原糸から、原糸表面に残存する毛羽を焼き取りつつ、原糸の繊維表面のタンパク質成分を変性させている。そのため、原糸は、摩擦や洗濯によっても原糸表面のウールのスケールが開いていない通常の状態のまま変化しない程の強度を有するようになっている。
さらにその原糸の単糸のまま及び/又は複数本を合わせて撚糸にしてから、その撚糸表面を摩擦するクリーニング処理を行いながら、撚糸を巻き取ると、焼き取られた毛羽の残渣が擦れ落ち、滑らかで清浄な表面となる。
従って、その撚糸の繊維の間隙に浮遊する毛羽が無く、原糸表面が火炎で熱変性した原料撚糸の堅牢性、例えば耐摩擦性、耐洗濯性を発現させている。そのため、この原料撚糸で編成または製織した生地は、染色、整理加工など生地の加工工程が進行しても、またその生地から裁断、縫製などの被服製造工程が進行しても、さらにその被服を着衣するなどして使用しても、表面に毛羽立ちが起こらない。またスケールは、変性して鱗状の形状のまま固化し、摩擦や水又は洗剤や吸放湿に晒されてもその固化構造のまま保持されているから、イージーケアウール生地用の原料撚糸や、それの編成布又は製織布であるイージーケアウール生地は、擦っても洗濯しても、従来のウール製品のような劣化を引き起こさず、当初のまま維持できる恒常性に優れている。イージーケアウール生地は、摩擦や洗濯による問題点が解消されたトラブルフリーである。
しかし、原糸に巻き込まれた毛羽は、毛焼きでは焼き尽くされずに内部で残存しているので、ウールの本質的な特長を失わない。
このイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法によれば、繊維本来の毛羽が表面に露出していないので、摩擦の繰返しによってもピリングを生じず、洗濯の繰返しによっても縮み、皺・よれを生じず、フェルト化を惹き起こさないイージーケアウール生地用の原料撚糸を、簡便かつ効率良く製造することができる。
この製造方法で得られたイージーケアウール生地用の原料撚糸、及びそれの編成布又は製織布であるイージーケアウール生地は、耐摩擦性に優れ、ウールのピリングによる毛玉を生じないというピリングフリー特性を有し、繰り返し洗濯しても高品質のまま維持できるという耐洗濯性に優れ、それらの効果を永続させることができる。しかも、ウール本来の伸縮性、弾力性、保温性、吸放湿性、帯電防止性のような特性を損なわず、むしろ肌触りが向上してさらさらした良い着心地のものとなる。
本発明を適用するイージーケアウール生地用の原料撚糸から作製した生地と本発明を適用外のウール生地用の原料撚糸から作製した生地とのピリング試験前後での写真を示す図である。 本発明を適用するイージーケアウール生地用の原料撚糸から作製した生地と本発明を適用外のウール生地用の原料撚糸から作製した生地との耐洗濯性試験前後でのマイクロスコープによる拡大写真を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明のイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法の好ましい形態の一例は、以下の通りである。
先ず、ウールの原料羊毛を選別し、石鹸・ソーダ水で洗毛してから、繊維をほぐしてスライバーと呼ばれる繊維束にした後、細く引き揃え、必要に応じ染色する。
その繊維束から繊維をさらに前紡・精紡して単糸にして原糸用スピンドルで巻き取る際に、繊維表面の毛羽を巻き込む巻込処理を行いながら、原糸に紡ぐ。この巻込処理は、コンパクトヤーン機を用いて、繊維の表面の表面毛羽をエアで繊維に吹き付けながら、表面毛羽が原糸の内側にねじ込まれて巻き込まれるようにして、紡ぎ、収束させて、コンパクトヤーンである原糸にする。
ウール原糸は、羊毛ケラチンであるタンパク質で形成されており、その繊維表面が鱗状のスケールで覆われている。そのスケールを、鱗状の形状のまま固めるように、繊維表面の少なくとも一部、好ましくは繊維表面全体を変性させつつ、毛羽を焼き取る、毛焼き処理を行う。スケールは変性して鱗状の形状のまま固まり、摩擦や洗濯や吸放湿に晒されても、スケールの各スケール片が、剥がれ落ちず、ささくれや捲れ上がりを起こさず、また開いたり萎んだりする開閉を起こさなくなる。その結果、毛焼き処理の熱によって、毛羽が焼き取られることと、スケールが変性することとが相俟って、摩擦を繰り返してもピリングを生じさせず、繰り返し洗濯しても縮ませず、耐久性に優れ、チクチクする肌刺し感を抑制しさらさらした肌触りで良い着心地を与え、適度な吸放湿性を有しつつ、摩擦や水に対する堅牢性が強く、イージーケアウール生地に適した原料撚糸となる。
毛焼き処理は、スピンドルから引っ張られて送り出された原糸を、斜めに対向する複数例えば単本のバーナーの内部を経てプロパンガス又は都市ガス好ましくはプロパンガスでの火炎部位に、通過させることによって行う。その火炎部位の温度は、1200℃±100℃に調整されている。原糸の通過速度、及び原糸の火炎部位の通過箇所は、原糸の毛焼き率即ち重量比での減少率が5〜7%、好ましくは5%を超え7%未満、一層好ましくは5%を超え6%以下となるように、調整される。原糸の毛焼き率が5%を下回ると、繊維表面の変性程度や毛羽の焼き取り程度が少なくなり、摩擦に対するピリング抑制効果や洗濯に対する耐久性効果が不十分となり、摩擦や洗濯でダメージを受けやすくなってしまう。一方、原糸の毛焼き率が7%を超えると繊維が焦げ、ウール原糸が弱くなって引き続く加工工程に耐えられず切れるようになってしまう。原糸の毛焼き率がこの範囲であると、原糸表面のスケールがタンパク変性して、摩擦でも剥がれ難くなって毛玉を生じ難くなり、また洗濯しても固化したスケールの構造の変化を惹き起こさないので縮み、皺・よれを生じず、フェルト化や縮絨化を起こさない。なお、毛焼き処理は、2本のガスバーナーからのプロパンガス又は都市ガスでの外炎同士を互いに斜めに合流させている火炎同士の合流部位に、又は水平に対向する複数のバーナーの火炎同士の合流部位に、原糸を通すものであってもよい。
毛焼き処理された原糸の単数本又は複数本例えば2〜50本好ましくは2〜30本を合わせて撚る撚工程で、500〜900回/mのZ撚り、ZZ撚り、S撚り、及び/又はSS撚りをかけながら、撚糸にする。
一連に、撚糸表面を、綿、ウール等の天然繊維製生地、ナイロン等の合成繊維製生地、レーヨン等の人造繊維製生地、若しくは天然繊維、合成繊維及び/又は人造繊維の混紡繊維製生地であって、ネル生地などの製織生地や不織生地等のクリーニング用布上に、好ましくは半円柱状又は面取りされていてもよい角柱上に付されたクリーニング用布に、当接させ、この撚糸を引張りながら摩擦させるクリーニング処理を行うと、撚糸に付着していた毛羽の焼け残渣や煤が取れ、原料撚糸が得られる。この工程により、原料撚糸は、引っ掛かりが少なくなり、また原糸表面のスケールが変性して固まったまま維持し易くなるので、スケールの剥がれ落ちやささくれ乃至捲れ上がりが無くなり、スケールの開閉を起こさず、縮絨を起こさず、摩擦や洗濯からのダメージを受け難くなる。
得られた原料撚糸は、化学的防縮未処理の原糸の繊維表面の毛羽が巻き込まれており、原糸の表面が熱変性タンパク質成分で少なくとも一部覆われており、原糸が撚られている撚糸表面がクリーニング表面となっているというものである。
ウールとして羊毛製の原料撚糸の例を示したが、モヘア、カシミア、ラクダ毛、アンゴラ兎毛製の原料撚糸にしてもよい。
イージーケアウール生地は、得られた原料撚糸を編立機により、編成した編成布例えば編物、又は製織した織物である。
ウール製のイージーケアウール生地は、ウール本来の伸縮性、弾力性、かさ高さ、保温性、湿気を適度の吸放湿し水をはじく快適性を損なわないで、薄手から厚手までの任意の厚さにすることができ、耐ピリング性、耐洗濯性に優れており、独特の風合いを有し、肌触りが良い。さらに、毛羽の残存が無く、洗濯しても毛羽立ちや毛玉を生じないので、ウール製品特有のチクチクした不快感を生じず、着心地が良い。
以下、本発明を適用してイージーケアウール生地用の原料撚糸を製造した実施例と、本発明を適用外の比較例とを、示す。
(実施例1)
17.5μmのニュジーランドウールである原糸原料を、コンパクトヤーン機(リーター社製)でウールの繊維表面の毛羽の巻き込みながら紡いで1/60番手の原糸にして、原糸用スピンドルに巻き取った。この原糸を、原糸用スピンドルから繰り出し、引っ張って糸送りしながら、1本のガスバーナーからのプロパンガスでの火炎部位を通過させて約1200±100℃で炙り、毛焼き率5〜7%(単位重量100g当たりの平均毛焼き率で約6%)となるように毛焼き処理を施し、原糸表面を変性させ、特にスケールを固めた。毛焼き処理した1本の原糸を700回/mでZ撚りして、撚糸にした。さらにその撚糸表面を、ネル生地にだけ擦り付けながら通過させた。すると、撚りと摩擦とにより撚糸表面に残存する毛羽の焼け残渣や煤が、取り除かれ、イージーケアウール生地用の原料撚糸が得られた。原料撚糸を、原料撚糸用スピンドルに巻き取った。巻き取った原料撚糸を、真空チャンバーに入れ減圧にしてから蒸気で充満させ、熱と水蒸気とで安定化させる、スチームセット処理を施した。この原料撚糸を用いて、丸編み機にて天竺編みに編成し、ナチュラルのイージーケアウール生地を得た。
(比較例1)
未加工処理ウールの原料撚糸として、市販の未加工処理ウールを通常のヤーン機で紡いだ原糸をZ撚りして、1/60番手の原料撚糸にした。原料撚糸を用いて丸編み機にて天竺編みに編成し、未加工処理ウール生地を得た。
(比較例2)
防縮処理ウールの原料撚糸として、ウールを塩素剤により化学処理し通常のヤーン機で紡いだ原糸をZ撚りして、1/60番手の原料撚糸にした。原料撚糸を用いて丸編み機にて天竺編みに編成し、防縮処理ウール生地を得た。
得られた生地について、以下の観察、及び性能評価試験を行った。
(観察:撚糸の各繊維の拡大観察)
実施例1で作製したイージーケアウール生地用の原料撚糸より得たイージーケアウール生地、並びに比較例1及び2で作製した原料撚糸より得た生地を一般家庭洗濯機による中性洗剤での10回の洗濯前後に解して、夫々、繊維を採取し、拡大観察した。本発明を適用する実施例1のイージーケアウール生地から解した繊維と、本発明を適用外の比較例1の未加工処理ウール生地から解した繊維及び比較例2の防縮処理ウール生地から解した繊維とは、洗濯前に一見同等に観察される閉じたスケールが存することが分かった。しかし、洗濯直後での濡れた状態では、実施例1での繊維はスケールが閉じたままであり洗濯前と変わらなかったのに対し、比較例1での繊維はスケールが相当開いており、比較例2での繊維はスケールがかなり開いていた。このことから、実施例1の原料撚糸は、洗濯前後でスケールが閉じた状態のまま安定に維持できていることが分かった。
(性能評価試験1:ピリング試験A〜C)
〔A〕ISO−12945−2に準じ、マーチンデール機で3000回擦った。その表面を観察したとき、ISO−12945−2の評価基準に従い、擦る前と変わらないものを5等級、表面に僅かな毛羽立ちや部分的な毛玉が認められるものを4等級、表面に中程度で不明瞭な毛羽立ちやピリングがあり毛玉が散在して認められるものを3等級、明瞭な毛羽立ちやピリングが表面の大部分に認められるものを2等級、密集した毛羽立ちや甚だしいピリングが表面の全体を覆って認められるものを1等級とし、0.5等級刻みで評価した。
〔B〕ISO−12945−1に準じ、実施例1のイージーケアウール生地と、比較例1の未加工処理ウール生地とを、夫々巻いたものを、ボックスの中に入れ、18000回回転させた後、ISO−12945−1の評価基準に従い、〔A〕と同様に5〜1等級の0.5等級刻みで評価した。
なお、3等級以上が製品として適しており、5等級であれば、非常に優れていることを示す。その結果を表1に示す。
〔C〕実施例1のイージーケアウール生地と比較例2の防縮処理ウール生地生地とのピリング試験のISO−12945−2に準じたピリング試験前後での観察結果の写真を図1に示す。
(性能評価試験2:耐洗濯性試験A〜C)
品質評価試験機関による一般家庭洗濯機を用いた中性洗剤で洗濯する方法により、実施例1及び比較例2で得た生地を1回、10回、20回洗濯、乾燥を繰り返した。〔A〕凹凸の発生の程度を目視で観察した。また、〔B〕縦・横・斜行の寸法変化率を測定した。それらの結果を表1に示す。さらに〔C〕生地の10回の耐洗濯性試験前後でのマイクロスコープによる拡大写真の観察結果を図2に示す。
表1から明らかな通り、本発明を適用する実施例1のイージーケアウール生地用の原料撚糸で作製した生地は、ピリング試験で毛羽立ちや毛玉の発生が認められず、洗濯によっても変退色や縮み・皺・よれが認められず、寸法もほとんど変化しなかった。それに対し、本発明を適用外の比較例1の防縮ウール製の生地は、ピリング試験で毛羽立ちや毛玉の発生が激しく認められ、洗濯によって変退色はしないものの縮み・皺・よれが著しく認められず、縦・横・斜行が最大で40%も縮んだ。
また図1に示す通り、実施例1のイージーケアウール生地でのピリング試験前後の観察結果から明らかな通り、ピリング試験前後で毛羽立ちや毛玉は認められず、ほとんど生地表面の変化が認められなかった。さらに図2に示す通り、実施例1のイージーケアウール生地での耐洗濯性試験前後の拡大写真から明らかな通り、耐洗濯性試験前後で毛羽立ちや毛玉は認められず、ほとんど生地表面の変化が観察できなかったが、比較例2の生地での耐洗濯性試験前後の拡大写真から明らかな通り、耐洗濯性試験前後で毛玉となる毛羽立ちが認められ、生地表面の大きな変化が観察された。
本発明のイージーケアウール生地用の原料撚糸は、表面の摩擦により毛羽立ったり繊維が絡み合って毛玉を生じたりすることがない生地の原材料として、用いられる。この原料撚糸から作製した生地は、裁断・縫製して各種の被服にすることができる。

Claims (7)

  1. ウールの原糸の繊維表面の毛羽の巻込処理を行いながら紡いだ原糸を、原糸表面が少なくとも一部変性するように毛焼き処理した後、前記原糸を単糸のまま又は複数本を合わせて撚る撚工程で撚糸にしてから、その撚糸表面を摩擦するクリーニング処理を行い原料撚糸にしながら、前記原料撚糸を巻き取ることを特徴とするイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法。
  2. 前記巻込処理で、前記繊維表面の毛羽をエアで吹き付けて内部へ巻き込みながら、前記繊維を紡ぎ、収束させて、前記原糸にすることを特徴とする請求項1に記載のイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法。
  3. 前記毛焼き処理が、毛焼き率5〜7%のガス焼きであることを特徴とする請求項1に記載のイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法。
  4. 前記毛焼き処理が、1200℃±100℃の火炎部位で行われることを特徴とする請求項1に記載のイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法。
  5. 前記毛焼き処理が、単本のバーナーの内部を経てそれの火炎に、又は水平若しくは斜めに対向する複数のバーナーの火炎同士に、前記原糸を通すことによって、行われること特徴とする請求項1に記載のイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法。
  6. 前記クリーニング処理が、前記撚糸表面を、天然繊維製生地、合成繊維製生地、人造繊維製生地、若しくは天然繊維、合成繊維及び/又は人造繊維の混紡繊維製生地で、摩擦することを特徴とする請求項1に記載のイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法。
  7. 前記撚工程が、500〜900回/mのZ撚り、ZZ撚り、S撚り、及び/又はSS撚りをかけるものであることを特徴とする請求項1に記載のイージーケアウール生地用の原料撚糸の製造方法。
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