JP6325595B2 - 栽培培地及び栽培容器 - Google Patents

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Description

本発明は、農業、園芸等で用いられる栽培培地及び栽培容器に関する。
近時、花つくりや野菜つくりを楽しむ人々が増加している。ところで、例えば、高齢者や女性にとって潜在的な負担となっているのは、花つくりや野菜つくりに用いる栽培培地の扱いである。この負担の要因を列挙してみる。
(1)自重が重い
栽培培地の自重が重く、培地購入時、運搬時、植え付け時、移設時及び処分時のすべてにおいて重労働となる。特に、マンションのベランダにて植物の栽培に利用する場合等において顕著である。
(2)栽培培地の流動性
一般的な栽培培地は細かい粒子状になっており、流動的であるがゆえに拡散してしまい、かき集めたり、移動させたりする際、手間がかかる。
(3)徐々に硬くなる
栽培培地には、必然的に経時変化があり、栽培培地を当初鉢に入れたときや、栽培培地としての畑を耕したときが一番柔らかく、植物の根が空気を取り込みやすい環境である。しかしながら、降雨や水やりの度に団粒構造が崩れ、空隙がふさがれ、硬くなり、根の生育の妨げになってしまうこととなる。
(4)土壌処理がしにくい
連作障害や過剰施肥を対処するには、栽培培地を水にしばらく浸しておいたり、連作障害の対処のみであれば、栽培培地を掘り起こして広げ、日光にあて、線虫等を処理したりする方法もあるが、栽培培地が重いため労力がかかり、広い場所も必要となる。
(5)汚れ、清掃の必要性がある
一般的な栽培培地は見た目が汚いし、扱うと手も汚れ、周囲も汚れてしまい、後始末が難儀となる。
また、植物の根は双子葉類では、まず主根が伸び、そこから側根が出て、さらに細根が発生する。単子葉類では、ひげ根が発生し、さらに細根が発生する。この細根から水分、養分及び酸素を吸収し生育する。しかしながら、細根は培地の深い部位に多く、この部位が目詰まりしていては細根の発育が悪く、よって植物自体の生育が悪化してしまう。
従来、粒径の異なる親水性連続発泡ポリウレタンチップフォームを混在させて、鉢の中に直接充填する栽培培地が提案されている(特許文献1参照)。
また、60cm四方の網目のある袋体の中に1cm角の軽量培地として高い保水性を有するフェノール樹脂を入れ、上部を盛土したものが知られている(特許文献2参照)。
特開2007−97556号公報 特許第4549232号公報
しかしながら、上記特許文献1に示された栽培培地においては、鉢の上部に配置される親水性連続発泡ポリウレタンチップフォームが、強風等の発生時に飛散してしまう問題がある。また、当初は、栽培培地は軽量であると考えられるが、降雨や散水により親水性連続発泡ポリウレタンチップフォームの保水性に起因して重量が増加する課題が生じる。
特許文献2示されたものにおいては、特許文献1と同様に、培地が降雨や散水により重量が増加する課題が生じるとともに、盛土は降雨や散水によりシルトとなって袋体の中に流れ込み、培地の団粒構造が崩れ、やがて袋体に目詰まりが生じる。その結果、空気の流通が妨げられてしまうという問題が発生する。加えて、袋体の中では1cm角の軽量培地が障害となり、主根及び側根が育ちにくい環境となる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、軽量で扱いやすく、特に植物の根への通気に趣きをおき、植物の生育環境の向上を図ることができる栽培培地及び栽培容器を提供することを目的とする。
請求項1に記載の栽培培地は、柔軟性を有し、一端側が開閉可能な網状袋と、この網状袋に収容された発泡樹脂製の細分化された樹脂材料及び少なくとも肥料を含む肥料混合体とを有し、前記一端側から植物が植え付けられる第1の栽培培地用部材と、この第1の栽培培地用部材を中央部材とし、この中央部材の側周面に配設される複数の第2の栽培培地用部材であって、前記第2の栽培培地用部材は、柔軟性を有し、一端側が開閉可能であり、前記第1の栽培培地用部材の網状袋より寸法が小さい網状袋と、この網状袋に収容された発泡樹脂製の細分化された樹脂材料及びこの細分化された樹脂材料に混在されて配設された保水材と、を具備することを特徴とする
発泡樹脂製の細分化された樹脂材料は、例えば、発泡樹脂の成形品であっても裁断片であってもよい。また、網状袋には、肥料分等の他の材料を加えて収容するようにしてもよい。
保水材としては、繊維状の高分子ポリマーが好適に用いられるが、格別材料が限定されるものではない。また、保水材は、細分化された樹脂材料の略中央部に配設するのが好ましいが、外周部に配設してもよく、配設位置が限定されるものではない。
請求項2に記載の栽培培地は、請求項1に記載の栽培培地において、前記中央部材としての第1の栽培培地用部材の側周面に、前記複数の第2の栽培培地用部材と混在して配設され、柔軟性を有し、一端側が開閉可能な網状袋と、この網状袋に収容された保水材及び/又は肥料分とを有する第3の栽培培地用部材を具備することを特徴とする。
請求項3に記載の栽培容器は、側面側が外気に開放した外囲体と、この外囲体の内側に配設された請求項1又は請求項2に記載の栽培培地と、を具備することを特徴とする。
請求項4に記載の栽培容器は、側面側が透光性を有する外囲体と、この外囲体の内側に配設された請求項1又は請求項2に記載の栽培培地と、を具備することを特徴とする栽培容器。
本発明の実施形態によれば、軽量で扱いやすく、植物の生育環境の向上を図ることができる栽培培地用部材、栽培培地及び栽培容器を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る栽培容器に栽培培地が配設されている状態を示す断面図である。 同第1の栽培培地用部材を示す斜視図である。 同じく、第1の栽培培地用部材を示す斜視図である。 同第2の栽培培地用部材を示す斜視図である。 同じく、第2の栽培培地用部材を示す斜視図である。 同仕切材を示す斜視図である。 同栽培容器の外囲体を一部省略して示す斜視図である。 同栽培培地の構成方法を示す説明図である。 同栽培容器に栽培培地が配設されている状態を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る栽培容器の外囲体を一部省略して示す斜視図である。 同栽培培地の構成方法を示す説明図である。 同栽培容器に栽培培地が配設されている状態を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る畑に栽培培地を適用した状態を示す説明図である。 栽培容器から、いちごを取り出した状態を示す写真である。 栽培容器から、なすを取り出した状態を示す写真である。
以下、本発明の第1の実施形態について図1乃至図9を参照して説明する。図1は、栽培容器に栽培培地が配設されている状態を示す断面図であり、図2及び図3は、第1の栽培培地用部材を示す斜視図であり、図4及び図5は、第2の栽培培地用部材を示す斜視図である。図6は、仕切材を示す斜視図であり、図7は、栽培容器の外囲体を一部省略して示す斜視図であり、図8は、栽培培地の構成方法を示す説明図であり、図9は、栽培容器に栽培培地が配設されている状態を示す斜視図である。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1乃至図7に示すように、栽培容器は、本体としての外囲体1と、第1の栽培培地用部材2と、仕切材3と、第2の栽培培地用部材4と、第3の栽培培地用部材5とを備えている。したがって、栽培培地は、第1の栽培培地用部材2、第2の栽培培地用部材4及び第3の栽培培地用部材5を有して構成されている。
図1、図7及び図8に示すように外囲体1は、略円筒状の外形をなし、断面形状が略逆台形状であり、側面材11と、底面材12と、上面材13とから構成されている。
側面材11は、側面側が外気に開放されるように、線状の素材によって側周が格子状に形成されている。線状の素材は、樹脂、金属、木材、竹及びカーボンファイバー等を用いることができる。格子の形状は、縦方向の間隔が細かく、横方向の間隔が粗く、又は縦方向の間隔が粗く、横方向の間隔が細かくなるように設定できる。また、縦方向及び横方向の間隔をともに細かく、又はともに粗くなるように設定することが可能である。このように格子の形状の間隔を設定することにより、様々なバリエーションを生み出すことができる。
なお、上記のいずれの場合にも格子の形状における間隔は、後述する第2の栽培培地用部材4や第3の栽培培地用部材5が格子からはみ出さない寸法、すなわち、3cm以下とすることが好ましい。また、外囲体1の外形は格別限られるものではなく、円柱状や角柱状であってもよい。
底面材12は、樹脂材料によって略円盤状に形成されており、外周縁部には、複数の排水孔12aが形成されている。具体的には、排水孔12aは直径5mm程度の貫通孔である。この底面材12は、側面材11の底面に取り付けられるようになっている。この場合、底面材12は、側面材に固定状態で取り付けられるようになっていても、着脱可能に取り付けられようになっていてもよい。
上面材13は、前記底面材12と同様に、樹脂材料によって略円盤状に形成されており、略中央部に直径7cm程度の円形状の植付開口13aが形成されている。また、この植付開口13aの周囲には、直径5mm程度の複数の給水孔13bが形成されている。これら植付開口13a及び給水孔13bは貫通孔によって形成されている。
上面材13は、側面材11の上面に着脱可能に取り付けられるようになっている。この上面材13が側面材11の上面に取り付けられることにより、側面材11が軽量でそれほど堅固な素材で形成されていない場合であっても、強度的に安定した構造とすることができる。また、外囲体1の内部の保湿及び保温効果も期待できる。さらに、上面材13が着脱可能であることにより、植物の植え付けや撤去作業を容易とすることができる。
図1乃至図3に示すように第1の栽培培地用部材2は、主たる栽培培地用部材であり、中央部材である。第1の栽培培地用部材2は、網状袋21と、この網状袋21に収容された細分化された多数の樹脂材料22及び肥料混合体23とを備えている。
網状袋21は、柔軟性及び伸縮性を有し、直径15〜20cm程度で高さ寸法が20〜30cmの大きさである。また、網目寸法は2〜3mmであり、一端側(上側)が開閉可能となっている。つまり、一端側に袋を閉じるための紐21aが設けられていて、巾着状に構成された中程度の大きさの網袋である。この網状袋21の材質は、耐水性及び耐久性に優れたポリプロピレン等の化学繊維であることが望ましい。
網状袋21の中には、粒状の発泡樹脂である樹脂材料22が多数収容されている。具体的には、樹脂材料22は、発泡樹脂を粒状に成形した成形品であって、直径3〜6mmの大きさであり、約10L分が網状袋21の中に収容されている。この樹脂材料22には、比較的廉価であり、入手しやすい発泡スチロールを用いるのが好ましい。なお、樹脂材料22は、その約98%が空気でできており、また、吸水率が低く5重量%以下である。
また、網状袋21の中には、肥料混合体23が前記樹脂材料22と混合された状態で収容されている。肥料混合体23は、保水材として繊維状の高分子ポリマー、堆肥、米ぬか、有機肥料及び苦土石灰を混合したものを攪拌し少量の水を加えてゼリー状にしたものである。具体的には、例えば、高分子ポリマー1L、堆肥1L、米ぬか1L、有機肥料0.25L及び苦土石灰0.25Lを用いている。
このような第1の栽培培地用部材2には、植物の苗Pを植え付け、網状袋21の紐21aを操作し上側を閉めるように窄める。第1の栽培培地用部材2は、植物の主根P及び側根Pが発育する部分である。隣接する樹脂材料22同士の相互間には隙間が生じており、この隙間には空気、水分及び肥料分があり、その樹脂材料22の粒子が細かいことにより、主根P及び側根Pは抵抗なく成長させることができる。
また、この第1の栽培培地用部材2において、湿気を好む植物や、やや乾燥を好む植物に対しては、保水材としての高分子ポリマーの量を増減して調整することにより植物に応じた良好な生育環境を実現することが可能となる。
さらに、網状袋21の中に通常の培地、例えば、パーライト、バーミキュライト、ピートモス等を混合してもよい。
以上のように構成される第1の栽培培地用部材2は、図6に示すような仕切材3に挿入状態で外囲体1の中央部に配設されるようになっている。仕切材3は、樹脂製であり、線状の素材から粗い格子状に形成されていて、下面側及び上面側が開放するとともに下面側から上面側に従って径が拡大した略円筒状の外形をなしている。
第2の栽培培地用部材4について図4及び図5を参照して説明する。第2の栽培培地用部材4は、中央部材である第1の栽培培地用部材2の周囲に配置される外周部材である。この第2の栽培培地用部材4は、第1の栽培培地用部材2の上部と下部に配置する上部外周部材6及び下部外周部材7、第1の栽培培地用部材2の側周面に配置する側面外周部材8とから構成されている。この第2の栽培培地用部材4は、植物の細根Pの成長を促す部分である。
まず、図4及び図5に示す側面外周部材8について説明する。側面外周部材8は、網状袋81と、この網状袋81に収容された細分化された複数の樹脂材料82及び保水材として繊維状の高分子ポリマー83とを備えている。
網状袋81は、柔軟性及び伸縮性を有し、一端側(上側)が開閉可能となっている。例えば、網状袋81の上側を結んで閉じることが可能となっている。直径6cm程度で高さ寸法が15cmの大きさである。また、網目寸法が1〜2mmの小さい網袋である。この網状袋81の材質は、耐水性及び耐久性に優れたポリエステル、ポリウレタン等の化学繊維であることが望ましい。
図4に示すように、この網状袋81の中に発泡樹脂の裁断片であるブロック状の樹脂材料82を入れる。この樹脂材料82は、裁断片のため形状が一定の形状とならず様々な形状となっているが、その大きさは、平均して1〜2cm程度である。この樹脂材料82は、網状袋81の中に20個〜30個入れられる。
樹脂材料82には、比較的廉価であり、入手しやすい発泡スチロール、発泡ポリスチレンフォームを用いるのが好ましい。なお、樹脂材料82は、第1の栽培培地用部材2の樹脂材料22と同様に、その約98%が空気でできており、また、吸水率が低く5重量%以下である。
また、網状袋81の中には、保水材として繊維状の高分子ポリマー83の3cm程度の塊が樹脂材料82の裁断片の中に混在されて配設されている。具体的には、高分子ポリマー83は、樹脂材料82の裁断片の略中央部に位置するように挿入する。
次いで、図5において、樹脂材料82が網状袋81の下側に集約するように、網状袋81の中間部を絞り、結ぶことが可能な長さを残して、中間部の適宜の箇所で切断Cutする。その後、切断された網状袋81の上側を結びTe、網状袋81を閉じて直径6cm程度の略球形状の形態とする。この状態においては、網状袋81は縮む方向で緊張状態であり、略球形状の形態が保たれていて、樹脂材料82を押圧するような力が作用している。このような側面外周部材8における隣接する樹脂材料82同士の相互間には隙間が生じており、空気が良好に流通するようになっている。
上部外周部材6及び下部外周部材7は、前記側面外周部材8と略同様な構成であり、図4及び図5を代用し参照して説明する。上部外周部材6及び下部外周部材7における網状袋81には、複数の樹脂材料82が収容されている。つまり、異なるのは、上部外周部材6及び下部外周部材7においては、網状袋81には、複数の樹脂材料82のみが収容されており、繊維状の高分子ポリマー83は収容されていない点である。
続いて、第3の栽培培地用部材5について説明する。第3の栽培培地用部材5は、補足材である。補足材は、外周部材である第2の栽培培地用部材4群の中に適宜数配置される部材である。図示は省略するが、基本的な構成は第2の栽培培地用部材4と同様である。
図4及び図5を参考として代用して示すように第3の栽培培地用部材5としては、網状袋81の中に、保水材として繊維状の高分子ポリマー83のみを入れたもの、例えば、固形粒状の肥料分のみを入れたもの、その双方を入れたものの3種類を用意している。これらは、網状袋81を閉じて直径4cm程度の略球形状の形態に形成されている。
網状袋81の中に繊維状の高分子ポリマー83と肥料分との双方を入れた補足材については、肥料分を繊維状の高分子ポリマー83で包むようにして、網状袋81に挿入することで、肥料分が水分を含みゼリー状になり、周囲に水溶液となり染み出して肥料分を供給するようになる。
以上のような第2の栽培培地用部材4及び第3の栽培培地用部材5において、網状袋81を閉じた状態では、網状袋81の中に入れた樹脂材料82等が移動するのを抑制でき、初期の状態を保つことができ、また、例えば、肥料分等の混合したものの分離を防ぐことができる。
なお、上記第1の栽培培地用部材2、第2の栽培培地用部材4及び第3の栽培培地用部材5において用いられる保水材としての繊維状の高分子ポリマーは、吸水性が高く、その給水能力は、自重の数百倍〜千倍程度となっている。また、保水能力は、高分子ポリマーがゲル状に変化し、多少の圧力を加えても離水しない状態を保持する。
上記のように側面材11を格子状に形成する場合、植物を植え付ける季節や植物の種類によっては空気の流通が過度になり培地自体が乾燥しすぎることもあり得る。そこで、図1及び図8に示すように、側面材11の内側に側面保護材9を設けて、側面を覆い、内部の水分の過剰な蒸散を防ぐことも必要である。側面保護材9としては、透明な樹脂板又は半透明な布や目の細かい網等が適用できる。また、側面保護材9は、側面材11の外側に設けてもよい。さらに、側面保護材9を設ける場合には、側面材11の上面及び下面に対して、それぞれ2cm程の間隙が形成されるように配置するのが好ましい。これにより所定の通気性を保ちながらも保湿性及び保温性を向上することができる。
次に、上記のような栽培容器に植物の苗Pを植え付ける場合について説明する。まず、図7に示すように側面材11に底面材12を取り付けた状態において、高さ寸法が5cm程度のビニール袋14に下部外周部材7を4〜5個程入れたものを底部に配設する。このようにビニール袋14を用いることにより栽培培地の水分を確保することができる。また、下部外周部材7が入れられたビニール袋14の周囲にも下部外周部材7を配設する。因みに、側面材11には、直径25cm、高さ寸法30cm程度の大きさのものが用いられている。
次いで、上記下部外周部材7が配設された上に、図1、図6及び図8に示すように仕切材3を設置する。そして、この仕切材3に第1の栽培培地用部材2を挿入して配設する。仕切材3は第1の栽培培地用部材2と側面外周部材8の出し入れを容易にするためのものである。
仕切材3と側面材11の内側面との間隔(側面材11の内側に側面保護材9を設ける場合には、仕切材3と側面保護材9との間隔)は、側面外周部材8の直径より5mm程度大きく設定する。また、仕切材3の内径寸法は、第1の栽培培地用部材2の外径寸法と同等程度であることが好ましい。第1の栽培培地用部材2は、網状袋21内の材料がある程度自由に移動、変形できるため、第1の栽培培地用部材2を仕切材3に挿入するときに、第1の栽培培地用部材2を滑り込ませるようにした方が、より第1の栽培培地用部材2が側面外周部材8に密着できるからである。
そして、仕切材3の外周面に側面外周部材8を1段ずつ積み上げていく。この場合、1段積み上げた状態で、その上部に肥料混合体23を5mm程度の厚さで側面外周部材8を覆うように配設し、さらにその上に側面外周部材8と肥料混合体23を第1の栽培培地用部材2の高さまで交互に積み重ねていく。
また、側面外周部材8を積み上げていく場合、栽培する植物の種類に応じて、補足材である第3の栽培培地用部材5を適宣、側面外周部材8群の中に混在するように配置する。
例えば、湿気を好む植物の栽培においては、保水材タイプ、すなわち、網状袋81の中に繊維状の高分子ポリマー83を入れた補足材を側面外周部材8の10個に対し1〜2個ずつ設置する。肥料分を多く必要とする植物の栽培においては、肥料分タイプ、すなわち、網状袋81の中に肥料分を入れた補足材を側面外周部材8の10個に対し1〜2個ずつ設置し、湿気を好み肥料分も多く必要とする植物の栽培においては、保水材と肥料分を混合したタイプの補足材を側面外周部材8の10個に対し1〜2個ずつ設置する。
次いで、第1の栽培培地用部材2の中央部に植物の苗Pを植え付け、網状袋21を紐21aによって上側を閉めるように窄める。その後、第1の栽培培地用部材2の上部が覆われる程度の大きさのビニールシート15を被せ、その上に所定個数の上部外周部材6を配置する。さらに、側面材11の上面に上面材13を取り付け、植物の苗Pの植え付けが完了する。なお、上部外周部材6上に軽く土を被せるようにしてもよい。
以上の植物の苗Pの植え付け作業において、ほとんど手が汚れることなく、しかも、重さに対するストレスを感じることがなく作業を行うことができる。
上記のような植物の植え付けにおける栽培において、降雨や散水時の水は、第1の栽培培地用部材2の上部に被せたビニールシート15のため、第1の栽培培地用部材2の上方から伝わるのではなく、上部外周部材6や側面外周部材8から横方向に浸み込んで第1の栽培培地用部材2に伝わるため、水による肥料混合体23中の肥料分の流出を防ぐことができる。
このようにして肥料と適度の水分と側面外周部材8から取り入れられる空気によって、第1の栽培培地用部材2の中を植物の主根P及び側根Pが順調に育っていく。そして、側面外周部材8の中央の保水材である繊維状の高分子ポリマー83に蓄えられた水分を察知して主根P及び側根Pから細根Pが引き寄せられるように側面外周部材8の周りを覆いつくし、表面の網状袋81の網目から内部に入り込み、中央の高分子ポリマー83の水分を吸収する。側面外周部材8は、特に空気の流通に優れており、定期的に施される追肥である液肥と相俟って肥料分、水分及び酸素のすべてが整った環境となり、花や実の形成に好結果をもたらすようになる。
また、これら外周部材である第2の栽培培地用部材4は、外囲体1内部の保温及び保湿効果を有するばかりではなく、上部外周部材6は防草の効果をも有している。
一般的な栽培では、ビニールマルチといわれるビニールシートで培地を覆い、作物の根系の保温や保湿、そして防草としている。しかしながら、ビニールマルチは風にたなびきやすく扱いにくく、再利用の際も損傷しやすく、保管もしにくいし追肥もしにくい。
また、ビニールマルチは、植物の発芽前に施さなければならず、穴あきのビニールマルチで穴あきの部分に種を撒いたり、苗を植え付けたりする場合はよいが、芋類を植え付ける場合には、必ずしも穴あきの部分から発芽するとも限らず、その場合は再度発芽した別のところに穴をあける必要があり、手間がかかってしまうこととなる。
本実施形態においては、発芽後に上部外周材6を配置することができるため、簡単に防草ができるうえ、追肥及び散水もできる。さらに、空気の流通、保温及び保湿にも優れている。加えて、下部外周材7は、排水性に優れており、これら上部外周材6及び下部外周材7は畑での栽培において単体でも利用可能である。
一方、植物の栽培が終了した後の後始末について説明する。第1の栽培培地用部材2の網状袋21の上側を窄めた状態で、植物の茎を掴んで軽く持ち上げると、第1の栽培培地用部材2、外周部材である第2の栽培培地用部材4及び補足材である第3の栽培培地用部材5は、ともに引き抜ける。したがって、これを例えば、大きなビニール袋に入れ、第1の栽培培地用部材2より第2の栽培培地用部材4及び第3の栽培培地用部材5を引っ張れば分離し、まとわり付いていた細根Pは容易に引き抜くことができる。
また、第1の栽培培地用部材2の中で成長した主根P及び側根Pは、第1の栽培培地用部材2の網状袋21をもみほぐすようにすることにより、大部分の根を分離することができ、このため植物を網状袋21から取り出し処分を容易に行うことできる。
栽培が終了した植物の処分を行った後は、第1の栽培培地用部材2及び第2の栽培培地用部材4は、次の栽培として再利用できる。再利用の際は、連作対策として土壌処理が必要となる。この場合、大きな網袋(以降「大網袋」という。)を用意して、この大網袋の中に第1の栽培培地用部材2及び第2の栽培培地用部材4を入れ、水を入れたポリバケツに大網袋を浸け込み、重しをし、1〜2週間おけば、いわば線虫処理としての水攻めと、過剰施肥に対する洗浄になる。また、その後、その大網袋を吊るして十分乾燥させれば、さらに完全な線虫処理もできる。さらにまた、液肥を入れたポリバケツにこの大網袋を浸け込めば次の栽培時の元肥にもなる。このように植物の栽培が終了した後の後処理を容易かつ有効的に行うことができる。
なお、第2の栽培培地用部材4において、樹脂材料82として白色以外の水色や黄色に着色されたものを使用するか又は白色の樹脂材料82に着色を施すことにより、水色や黄色に着色されたものを使用することによって、栽培培地が見栄え良く、美しく演出できる効果が期待できる。
以上のように本実施形態によれば、栽培培地用部材として発泡樹脂材料を用いているため、軽量で扱いやすく、湿潤時での重量が従来の軽量培地の約1/3と軽量化され、利用者の重さに対するストレスを解消することができる。さらに、栽培培地用部材2、4は、網状袋21、81の中に細分化された樹脂材料22、82が収容されているので、網状袋21、81が閉じられることにより、樹脂材料22、82は、圧縮、分離、沈下や軽量であるにもかかわらず風等による飛散を抑制することができ、不変性が保たれ恒久的な団粒構造を得ることができる。
また、発泡樹脂の有する圧縮に強い性質のため形状が変形せず、排水性がよく、通気も良好であるという特性をも最大限活かすことができる。さらにまた、第1の栽培培地用部材2における隣接する樹脂材料22及び第2の栽培培地用部材4における隣接する樹脂材料82同士の相互間には隙間が生じており、その間隙により、空気層を保持し続けることができる。
したがって、通気は、底面側及び側面側の全周方向から、これら空気層を介して行われて植物の根に供給される。このため、植物の根は、複数の第2の栽培培地用部材4の表面の網状袋81の網目に亘って連続して全方向に伸長するようになる。
植物の苗Pの植え付け作業においては、手が汚れず作業でき、栽培培地用部材が袋状又は略球形状になっていて、扱いやすく様々な形態の栽培容器にも対応できる。
また、土壌処理も楽にできる。使用しない場合の保管時もその軽さゆえ、高く積み上げても不都合は生じない。加えて、構成物のすべてを可燃性の材料で構成でき、この場合、ごみとして処分可能となる。
なお、既述のように第1の栽培培地用部材2、第2の栽培培地用部材4及び第3の栽培培地用部材5において用いられる保水材としての繊維状の高分子ポリマーは、高い吸水性を有している。このため、この繊維状の高分子ポリマーを樹脂材料22、82の中に混在させたり、第2の栽培培地用部材4の網状袋81の外側に近接して配設したりすることにより、樹脂材料22、82同士の相互間の隙間や樹脂材料22、82の周囲の過湿となった水分を繊維状の高分子ポリマーに吸水させ保水させることができる。
したがって、樹脂材料22、82同士の相互間の隙間による空気層を確保して、ひいては通気性を確保することが可能となり、植物への水分及び通気のバランスが良好な生育環境を実現することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について図10乃至図12を参照して説明する。図10は、栽培容器の外囲体を一部省略して示す斜視図であり、図11は、栽培培地の構成方法を示す説明図であり、図12は、栽培容器に栽培培地が配設されている状態を示す斜視図である。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態は、基本的な構成は第1の実施形態と同様である。外囲体1は、第1の実施形態と同様に、略円筒状の外形をなし、断面形状が略逆台形状である。
本実施形態と第1の実施形態とは、外囲体1における側面材11aの構成が異なっている。側面側である側面材11aの素材は、透光性を有する透明の樹脂製の板が用いられている。
また、この側面材11aの上面側及び底面側の周囲には、複数の貫通孔11bが形成されている。具体的には、この貫通孔11bは直径2cm程度の大きさであり、空気の流通を促進する機能を有している。つまり、貫通孔11bを側面材11aの上面側及び底面側に形成することにより、側面材11aの内部に温度差による自然対流が生まれ、一層空気の流通性を向上させることができる。
なお、第2の栽培培地用部材4において、第1の実施形態と同様に、樹脂材料82に着色されたものを用いてもよく、また、外囲体1の外形は格別限られるものではなく、円柱状や角柱状であってもよい。
以上のように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
次に、本発明の第3の実施形態について図13を参照して説明する。図13は、畑に栽培培地を適用した状態を示す説明図である。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図13において、例えば、畑や庭の地盤面Fに第1の実施形態と同様な栽培培地を形成する場合を示している。すなわち、栽培培地は、第1の栽培培地用部材2、第2の栽培培地用部材4及び第3の栽培培地用部材5を有して構成されている。また、角柱状の外囲体1が複数個連続的に並べられて設置されている。本実施形態によっても第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
なお、図14は、第1の実施形態において、いちごを栽培し、栽培容器からいちごを取り出した状態を示している。また、図15は、同様に、第1の実施形態において、なすを栽培し、栽培容器からなすを取り出した状態を示している。双方ともに、側面外周部材8に細根Pがまとわり付いて付着している様子が分る。
次に、栽培培地の重量を測定して比較した結果について説明する。本実施形態の栽培培地と比較例の栽培培地とにおいて、乾燥状態及び湿潤状態での重量の比較を行ったものである。
比較例の栽培培地は、一般的な軽量土であり、ピートモス50%、パーライト50%の混合土である。また、直径25cm、高さ寸法30cm、容量14.7Lの容器を用いてその容器の中に各栽培培地を入れて測定した。さらに、湿潤時の重量の測定は、満水後、水抜きをして、1時間経過後という条件での測定ある。
本実施形態の栽培培地と比較例の栽培培地との重量を、14.4Lの容量で比較した結果は、下表のとおりである。
表1に示すように本実施形態では、比較例に対し乾燥状態においては約1/10、湿潤状態においては約1/3の重量であり、軽量化が明確に認識できる。この測定では本実施形態においては、補足材は使用していないが、補足材を使用することにより、含水量及び含水率を上げることもできる。
また、水分量の経時的変化を計測して比較した結果について説明する。本実施形態の栽培培地と比較例の栽培培地とにおいて、水分量の変化の比較を行ったものである。
比較例の栽培培地は、一般的な軽量土であり、ピートモス50%、パーライト50%の混合土である。経時的な水分保水率を水分張力pF値としてテンションメーター(株式会社竹村電機製作所製)にて、10cmの深さで計測したものである。また、計測開始後は散水せず、雨水がかかることがないように室内での測定とし、平均室温23℃の条件で計測している。なお、pF値は1.5〜2.2が植物の育成に好ましい数値である。結果は、下表のとおりである。
表2に示すように本実施形態では、給水実施から5日後で適正水分量となるが、比較例では25日経過後ようやく適正水分量に達する。これにより本実施形態がいかに適正な水分量を早期に整え、そして継続でき、植物の生育環境を改善しているかが分る。
本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記各実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、ある程度根の深さの必要な植物の栽培の場合は、第1の栽培培地用部材としての中央部材を上下に複数重ねるようにしてもよい。この場合、苗を植え付ける最上部の中央部材以外は、上側の紐は窄めないで、上下に位置する中央部材同士の密着性が高まるようにするのが望ましい。
1・・・・・・・・外囲体
2・・・・・・・・第1の栽培培地用部材(中央部材)
3・・・・・・・・仕切材
4・・・・・・・・第2の栽培培地用部材(外周部材)
5・・・・・・・・第3の栽培培地用部材(補足材)
6・・・・・・・・上部外周部材
7・・・・・・・・下部外周部材
8・・・・・・・・側面外周部材
9・・・・・・・・側面保護材
11、11a・・・側面材
12・・・・・・・底面材
13・・・・・・・上面材
21・・・・・・・第1の栽培培地用部材の網状袋
22、82・・・・樹脂材料
23・・・・・・・肥料混合体
81・・・・・・・第2の栽培培地用部材の網状袋
83・・・・・・・保水材(高分子ポリマー)
P・・・・・・・・苗
P1・・・・・・・主根
P2・・・・・・・側根
P3・・・・・・・細根

Claims (4)

  1. 柔軟性を有し、一端側が開閉可能な網状袋と、この網状袋に収容された発泡樹脂製の細分化された樹脂材料及び少なくとも肥料を含む肥料混合体とを有し、前記一端側から植物が植え付けられる第1の栽培培地用部材と、
    この第1の栽培培地用部材を中央部材とし、この中央部材の側周面に配設される複数の第2の栽培培地用部材であって、前記第2の栽培培地用部材は、柔軟性を有し、一端側が開閉可能であり、前記第1の栽培培地用部材の網状袋より寸法が小さい網状袋と、この網状袋に収容された発泡樹脂製の細分化された樹脂材料及びこの細分化された樹脂材料に混在されて配設された保水材と、
    を具備することを特徴とする栽培培地。
  2. 前記中央部材としての第1の栽培培地用部材の側周面に、前記複数の第2の栽培培地用部材と混在して配設され、柔軟性を有し、一端側が開閉可能な網状袋と、この網状袋に収容された保水材及び/又は肥料分とを有する第3の栽培培地用部材を具備することを特徴とする請求項1に記載の栽培培地。
  3. 側面側が外気に開放した外囲体と、
    この外囲体の内側に配設された請求項1又は請求項2に記載の栽培培地と、
    を具備することを特徴とする栽培容器。
  4. 側面側が透光性を有する外囲体と、
    この外囲体の内側に配設された請求項1又は請求項2に記載の栽培培地と、
    を具備することを特徴とする栽培容器。
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