JP6324705B2 - 切削工具及びそのためのブレードホルダ - Google Patents

Description

第１の態様において、本発明は、工具ホルダと、交換可能な切削インサートのための少なくとも１つのインサート座を有するホルダブレードとを有するタイプの切削工具に関するものであって、ホルダブレードは細長い基本形を有すると共に２つの平坦で平行な側面と、対向して互いに平行な２つの長手方向エッジと、対面する２つの端部とを備え、工具ホルダは基本体と支持体を有し、その支持体は基本体から離れる前側に凹設されたスロットを備え、そのスロットは底部と、分離した２つの側方規制面とを備え、そのスロットの中にホルダブレードは着脱可能に取り付けられ、そのホルダブレードは基本体に対し様々な軸方向突出位置に調整かつ固定できるような切削工具に関するものである。

更なる態様において、本発明はまたホルダブレードそれ自体に関するものである。

概略的に上述したタイプの切削工具は、所謂パーティング（溝入れも可能）によって金属チューブを切断する機械に使用される。そのような機械は一方で中央開口部を有する固定フロントフレームを備えており、その内側エッジからは複数の工具がチューブを配する中心に向かって突出している。機械には更に、チューブ片を回転状態にセットするためのロータユニットや、例えばボールローラネジのように切削工具と相互作用して各工具とそれらのホルダブレードをチューブに向けて直線的に送るための多数の送り装置、更にチューブの外皮面に進入してチューブ壁を連続して切削し最終的にはチューブを完全に切断する、ホルダブレードの交換可能な切削インサートが含まれている。しばしば９０°のピッチで４個の工具が装備される。様々な理由から、加工処理時、使用中にあるホルダブレードの各切削インサートは、チューブから厳密に同じ半径方向距離を隔てた位置に保持されることが重要である。即ち、個々の切削インサートは他のインサートよりもより過酷な負荷がかからないこと、及び使用中にある全ての切削インサートが実質的に均等に摩耗することが大事である。そのようにすれば、切削インサートは同時交換が可能なように同じ耐用年数を獲得する。

この種の既知（公開）工具のための工具ホルダは、ホルダブレード取り付けを目的として板の形態なる支持体を備えており、支持体の前側にはホルダブレードを固定できるスロットが設けられ、その裏側にはＶ字断面の外方エッジを有する一体カムが設けられ、そのエッジは基本体にある蟻継ぎスロットの中に適合する。同蟻継ぎスロット内には、支持体の前側からアクセス可能な２個のネジと交互作用する可動クランプくさびも収容され、同ネジにより支持体を蟻継ぎスロットの対向する外方エッジに向けて圧迫することができ、これにより支持体を基本体に対して所望の軸方向位置にくさび留めしている。一方、ホルダブレードは、複数（通常，少なくとも３個）のクランプジョーにより外側スロットの支持体に対して所望の軸方向位置に固定され、クランプジョーはブレードに沿う上方長手方向エッジに対し均等に分配されたクランプ力を与えることで、Ｖ字断面の下方長手方向エッジはスロットの傾斜した下方境界面に押し付けられる。

問題となったこの種の既知切削工具の厄介な欠点は、より正確に言えば、固着状態にあるクランプジョーが係合解除されるや否や支持体に付属するスロット内でホルダブレードが自由に動ける状態になるため、切削インサート及び／又はホルダブレードの交換が複雑で時間がかかることにある。このことは、様々なホルダブレードと切削インサートの、機械加工されるべきチューブからの正確な半径方向距離が、支持体に沿うホルダブレードの軸方向位置の手動測定と微調整によって決定されなければならないことを意味する。切削インサートの位置的精度は０．１ｍｍのオーダーであるために、例えば接線方向に隔てられた４個の工具にホルダブレードをセッティングする作業はおのずと困難で時間のかかるものになる。このため、実際にはインサートの交換や様々なチューブ寸法への機械調整に伴う作業には１〜２時間かかる場合がある。これは、ほとんどの場合１０〜１５分の範囲内となる個々の切削インサートの通常の耐用年数と比較されるべきである。従って、作動運転期間の間の機械のセットアップ時間は過度に長いものであり、膨大なコストを伴う。

本発明は上述したような既知切削工具の欠点を回避し、改善された切削工具を提供することを目的とする。このため、本発明の主たる目的は、そのホルダブレードは繰り返しラインアップしたり軸方向位置を微調整する必要なく取り外したり、再び取り付けることが可能な切削工具を提供することを目的とする。更なる目的は、チューブやワークの寸法により工具を調整する必要が生じたり、別の切削インサート及び／又はホルダブレードを工具に取り付ける必要が生じたりするような状況に関係して、機械の中心に対する切削インサートの正確な位置決めをより効果的にすることにある。

本発明によれば、上述した目的は、基本体と支持体との間に配置される組立体によって達成されるが、ここでは組立体は、基本体に対して組立体を軸方向に変位することを目的とするバネ装置によって作動され、そのバネ装置の作用に対して組立体はネジ継手によって基本体に対して所望位置に固定可能であり、更にホルダブレードは、ホルダブレードにある貫通孔を通って延びるネジを備えたストッパ部材により支持体のスロット内の所定の位置に固定されると共に、スロットの底部に開口するネジ穴内に締め付けられる。

一実施形態において、境界エッジ間のスロットの幅は２つの長手方向エッジ間のホルダブレードの幅よりも大きく、以てホルダブレードの側面がスロットの底部に対面するようなホルダブレードの装着・取り外しを可能にする。加えて、ホルダブレードの貫通孔は、一方ではその径がネジの頭部の径よりも大きい円形部分と、他方では円形部分から端面へ延びかつネジ頭部の径よりも小さな幅を持つ細長部分とを備えることによる鍵穴状の輪郭形状を有する。そのようにして、ネジを１回転ほど緩め、更にブレードを、孔の円形部分がネジ頭部と一致した状態で終わるようにブレードを変位させるといったような単純な方策によりホルダブレードの取り外しが可能となり、ブレードがスロットの外へともたらされた際に、最後に述べたネジが孔を通過することができる。逆のやり方で、ホルダブレードはスロット内に再び取り付けることができ、ネジの締め付け後は機械の中心に対してその正確な半径方向位置を再び捕らえることになる。

更なる実施形態においては、ホルダブレードはその２端部にインサート座と切削インサートを備え、鍵穴は共通の円形部分から延びて直径方向に対向する２つの細長部分を備え、その細長部分の各端面は夫々、隣接するインサート座と切削インサートから１つの同一軸方向距離をおいて配置されている。そのようにして、２個の切削インサートの変更は、ロスト状態にある機械中心に対するその正確な位置決めなしに迅速かつ容易に実行することができる。

更なる実施形態においては、ホルダブレードはその２端部にインサート座と切削インサートを備え、ブレードは鍵穴状輪郭を有する２つの分離した貫通孔を有し、夫々の鍵穴状輪郭は円形部分から延びる単一の細長部分を備え、各細長部分の各端面は夫々、隣接するインサート座と切削インサートから同じ軸方向距離をおいて配置される。本実施形態においても、２個の切削インサートの変更は、ロスト状態にある機械中心に対するその正確な位置決めなしに迅速かつ容易に実行することができる。加えて、各細長部分の端面はブレードを弱めることなくブレードの自由端により接近して配置することができる。

別実施形態においては、工具ホルダの組立体は、ワークまでの距離に依存して、基本体に対する取り外されたバネ仕掛けの組立体の軸方向位置を決定するための突出センサを着脱自在に受容する手段を有する。センサは組立体と着脱自在に接続されるため、作業終了後は機械切削作業と干渉しないように、迅速かつ平易にセンサを組立体から除去することができる。

（発明の一般的概念の要約）
本発明は、付属の支持体に対するホルダブレードのラインアップや微調整する必要性を排除し、その代わりに必要なセッティング機能を支持体と基本体の間に配置される組立体に移動するという概念に基づくものであり、基本体に対しては、セッティング作業が実行されるや否や支持体が一定の軸方向位置を担う。

本発明による複数の切削工具を備えたチューブ切削機の概略的前方図である。 切削機に付けられるチューブを分断するための個々の工具の斜視図である。 工具の一部を成し、そこからホルダブレードと付属の支持体を取り除き、さらにセンサ付き可動組立体を追加した本体の類似斜視図ある。 工具部品を成す様々な構成要素を示す分解斜視図であって、さらに詳しく言えば前側からの鳥瞰図である。 同じ構成要素を後ろから見た分解斜視図である。 工具の一部を成す基本体の、図４と同様な拡大斜視図である。 基本体に取り付けられる底板を示す分解斜視図である。 工具の一部を成す組立体とバネ装置と組立体と相互作用するセンサを示す分解斜視図である。 ホルダブレードのための支持体の斜視図である。 ホルダブレードとそれに相互作用する固定ネジを示した分解斜視図である。 ホルダブレードとそれに相互作用する固定ネジの別実施形態を示した分解斜視図である。 後ろから見た工具ホルダの支持体の側面図である。 適合されたホルダブレードを有する支持体前方からの側面図である。 図１２のＸIII −ＸIII に沿う拡大断面図である。 図１０ｂに示したホルダブレードとネジを伴った、図１２のＸIII −ＸIII に沿う拡大断面図である。 基本体に接続された状態での支持体のみを示した図である。 図１４に対応するも、ホルダブレードを支持体に取り付けた図である。 図１５のＸＶＩ−ＸＶＩからの端面図である。 図１５のＸＶＩ−ＸＶＩからの下面図である。

図１において、参照番号１は、金属チューブ２又は他の細長い円筒ワークピースを切断、より正確には所謂パーティング作業によって切断することができる機械を大凡示している。機械の一部を成すフロントフレーム３では、本発明による複数の切削工具４が周状に分離された状態で据え付けられている。この例では機械は４個の切削工具を備え、それらは９０°のピッチで配置されている。各工具は、例えばボールローラネジなどの送り装置（図示せず）に接続され、それにより工具に対し、矢印Ｐの方向、即ち機械の中心軸Ｃに向かう方向（及び、同軸から離れる方向）に直線的送り動作を付与することが可能となっている。フロントフレーム３では、円周状の穴エッジ面６によって境界を定めた中央開口部５が設けられ、それに対して工具に含まれる所謂ホルダブレードが中心軸Ｃに向かう内側の方向において半径方向に突出可能になっている。ここでは見ることはできないがロータユニットにより、各工具は回転状態、より詳しくは矢印Ｒ方向にセットすることができる。

図２を参照する。同図では個々の工具４はホルダブレード７に加えて、その全体が参照番号９で示された工具ホルダを備えており、同ホルダは３個の異なる主要部品、即ち基本体１０、支持体１１と組立体１２とから構成されている。各体１０、１１、１２は平らな平行６面体の基本形を有しており、従ってこれより以降は板と呼ぶことにする。ホルダブレード７も又、同じ基本形を有しているが、上記板よりは薄い。

工具の各部を構成する各構成要素を前側と後側から見た図４及び図５を参照する。構成要素はまた、図６〜１０にそれぞれ別個に拡大した状態で示されており、選択された各々は図４に示すものと同じである。

図６と組み合わせ、図４及び図５に示すように、基板１０は２つの平端面１５、１６の間に延びる２つの平坦平行面１３、１４を備えており、その内の１つの面１３は前側を成し、他の１面１４は後側を成している。加えて、基板１０は互いに平行な２つの上・下長手方向エッジ１７、１８によって境界付けられ、それらは工具の往復送り動作に連携して、機械フレームの一部分を成すガイドに対して基板を直線的にガイドするために断面的にＶ字状になっている。これらの長手方向エッジ１７、１８はまた、基板１０や工具ホルダ９全体の軸方向延長部を規定する仮想軸Ａに対しても平行である。端面１５に隣接し、前側１３には、平坦底部２０に加えて端壁２１と２つの平行な側壁２２によって区切られたキャビティ１９が設けられる。底部２０には４個のネジ穴２３が開口する。端壁２１には多数の円筒座部２４がさらに開口する。図５に示されるように、基板の裏側１４にもキャビティ２５が凹設される。このキャビティは、工具に送り動作を与える送り装置に対して基板を連結させるカプラー（図示せず）を受容するためのものである。

さらに図６及び図７から明らかなように、底板２６が永久的にキャビティ１９内に据え付けられ、さらに正確に言えば、頭部２８に加えて相互作用穴２３内での締め付けのための雄ネジ２９と雌ネジ（不可視）を備えた４個のチューブネジ２７を用いて底部２０に圧迫保持することにより据え付けられる。底板２６の前側は、ストレート形の長く狭い稜線と溝からなるタイプの所謂鋸歯面３０となっている。チューブネジがネジ穴２３内に締め付けられた際には頭部２８は鋸歯面３０に対して皿頭状に沈んだ形となる。

組立板（組立体）１２（図４及び図５と組み合わせて図８を参照）は４つの細長い穴３１を備えており、それらは板の前側３２と裏側３３の間ずっと延びている。穴３１はネジ３４を固定するためのものであり、その雄ネジはチューブネジ２７の雌ネジに締め付け可能になっている。これらの固定ネジ３４には頭部３５が設けられており、その頭部は穴３１の凹んだ肩面３６に対して圧迫可能になっている。対向する２つの平端面３７の一方には着脱自在に取り付けられるセンサ３７の受容するための円筒座部３８が開口する。センサの機能については後述する。組立板１２（図５参照）の裏側３３は、底板２６の鋸歯面３０と共働するような鋸面の形態となっている。一鋸歯面の稜線が他方の溝と係合することにより、組立板が基板に対して軸方向に変位されなければならない時、組立板の明確な直線誘導が獲得される。組立板１２の前側には、その軸方向に走るようにして稜線部４０が形成され、その長さは適当な組立板１２の長さよりも大きいかもしれない。稜線部４０の頂面４１には、円錐状の自由端４４を有するピン４３のための座部４２が開口する。さらに、２組の貫通ネジ穴４５が組立板の前側と裏側との間に延びる。その組立板１２に対しては、バネ装置が、スラット４６と、そのスラットに対して作用する複数の圧縮バネ４７の形態で相互作用する。より正確に言うならば、４本の螺旋バネが配置され、キャビティ１９の端面２１に開口する座部２４に据え付けられる。バネ装置は常に組立板１２を基板１０の端面１５に向けて変位させようと狙うものである。

図４及び図５と組み合わせた状態での図９において、平行６面体の支持板１１は２つの平坦平行面４８、４９を備え、その内、前者は前側を成し、後者は裏側を成す。その他の点では、支持板は上・下エッジ面５０、５１（図１３ａ及び図１３ｂも参照）と、対向する２つの平端面５２、５３とによって区切られる。

支持板１１の裏側４９には軸方向に走るシュート５４が形成され、ここには組立板１２の稜線部４０が係合でき、２板間にガイドを形成する。図１１から分かるように、シュート５４の底部には、軸方向に隔てられた複数（本例では５個）の座部が球状の浅い窪み５５の形で形成される。ピン４３は任意の窪み５５に係合可能になっている。

支持板１１の前側４８には、ホルダブレード７を受容するためのスロット５６が形成される。このスロット５６は平坦な底面５７と、互いに対して平行に走る２つのエッジ面５８、５９とに画成され、これらエッジ面の内、下方の面５８は底面５７に対し鋭角に傾斜している（図１３ａ及び図１３ｂ参照）。図９からはよく分かるように、ネジ穴６０がスロットの底面５７に開口する。より正確に言えば、同穴は雌ネジ６１を有するが、その位置に関しては雌ネジ６１よりも大きな内径を有するネジ無し円筒面６２を介在させた形で底面の平面からは隔てられた位置に凹設される。

支持板１１には更に、それぞれ円筒形の頭部６５を有する固定ネジ６４のペアのため、３組の貫通孔６１ａ／６１ｂ、６２ａ／６２ｂ及び６３ａ／６３ｂが設けられる。上記孔の夫々には、ネジの頭部が凹んだ状態で締め付けることが可能なようにリング状の肩面（線６６で輪郭付け）がある。

本発明の実施形態によるホルダブレード７のデザインを示した図１０ａを参照する。伝統的にはこのホルダブレードは細長い長方形の基本形を有し、２つの平坦平行側面６７と、互いに平行に向かい合う長手方向エッジ６８と、平坦面の形で向かい合う２つの端部６９とから構成される。個々の長手方向エッジ６８と端面６９の間のコーナー域には、交換可能な切削インサート７１（通常は超硬合金）を装着することができる座部７０が形成される。図示した例では、ホルダブレードには、２枚の切削インサートを受容するように対角線上向かい合った２つの座部７０が形成され、ホルダブレードを回転することにより一方の切削インサートから他方の切削インサートへと作動的に交換できるようになっている。２つの長手方向エッジ６８は、互いに対し鈍角をなして配置された２つの側面を含むことでＶ字断面を有し、その一方の面はエッジ面５８に対して当てることができる（図１３ａ参照）。

ホルダブレード７では、その全体を参照番号７２で示した穴が２つの側面６７間を貫くようにして設けられる。前記穴７２は円形の中間部分７３と２つの細長部分７４ａ、７４ｂとを含んだ、鍵穴のような輪郭形状を有している。前記部分７４ａ、７４ｂの夫々は、真っ直ぐでかつ互いに平行な２つのホールエッジ面７５によって画成され、それらの面は共に、半円筒状の端面７６に収束する。２つの端面７６は隣接する座部７０（或いは、同座部に隣接する端面６９）から等しい距離を以て隔てられる。

図示例では、スロット５６内にホルダブレード７を固定するために、他のネジと同様に円筒状の頭部７８を備えた、まさしく１本のネジ７７が使用される。このネジは、番号７９で示したブッシュ７９を介して入れても良く、同ブッシュは底面５７に直近の穴６０の円筒面６２に当たる。取り付けた状態においてブッシュ７９は、支持板１１に対する方向、即ち工具ホルダの後方へのホルダブレードの軸方向の変位を回避するストッパ部材を構成する。

ネジ頭部７８は穴７２中央の円形部分７３よりも若干小さな直径を有している。他方、その直径はストレート部分７４の幅よりも若干大きくなっている（幅自体はネジの雄ネジ部分の径よりは大きい）。

明白な事実として、ホルダブレード７は、自身の中間部分７３を介してネジ頭部を通すことによりネジの頭部７８を通すことができるということである。ホルダブレードの着脱の際には、ネジ７７は、その頭部７８をスロットの底面５７から浮かせた状態で、穴６０内に一時的にねじ込まれた状態に保持することができる。ネジ頭部を通過させ、ホルダブレードがスロット底面５７に押し付けられた状態で、同ホルダブレードはストレート部分の端面７６がブッシュ７９に当たるまで（図９／図１０の左方に向かって）軸方向に変位される。このような状態おいてネジを最終的に締め付けることができ、支持板１１に対するホルダブレードの正確な位置がブッシュ７９とネジ７７の組み合わせによって決定される。

消耗した切削インサートを未使用のものと交換する場合、ホルダブレード７を回転すれば良い。この回転操作は、唯一あるネジ７７を若干緩め、ネジ頭部７８が穴の中間部分７３に対して右に位置するようにホルダブレードを変位させ、未使用の切削インサートが使用済インサートと同じ位置にくるようにホルダブレードを回転させ、次いで前述した方法で固定するといったような単純な作業によって、迅速かつ効率良く実行することができる。実際、これらの作業は時間ロスを最小にした状態で実行可能である。どの様にホルダブレードを回転したとしても、穴７２の２端面７６が座部７０とその切削インサート７１から大きな距離を以て均等に配置されていることの結果として、切削インサートは支持板１１に対して１つの同じ正確な位置に配置されることになる。図１０ｂはその別実施形態を示すものであり、ここではブッシュ７９とネジ７７に代わって肩付きネジ７７’が使用されている。肩付きネジ７７’は３つの部分、即ち頭部７８’と肩部７９’とネジ部を有する（肩部の一端がネジ頭部に接続し、他方端がネジ部に接続するのを示した図１３ｂも参照）。本実施形態では、ブレード７’はストレート部分の端面７６’がブッシュ７９の代わりとなる肩付きネジ７７’の肩部７９’に当たるまで軸方向に変位することができる。その他あらゆる面では、ホルダブレード７’の据え付けは図１０ａに関係して説明したのと同様な方法でなされる。このため、ホルダブレード７’は円形部分７３’を介してネジ頭部を通すことにより肩付きねじ７７’の頭部７８’を通過させることができる。ホルダブレードの着脱の際には、ネジ７７’は、その頭部７８’をスロットの底面５７から浮かせた状態で、穴６０内に一時的にねじ込まれた状態に保持することができる。ネジ頭部７８’を通過させ、ホルダブレード７’がスロット５６の底面５７に押し付けられた状態で、同ホルダブレードはストレート部分の端面７６’が肩付きネジ７７’の肩部７９’に当たるまで軸方向に変位される。このようにして肩付きネジ７７’の肩部７９’がストッパ部材を構成する。このような状態おいて肩付きネジ７７’を最終的に締め付けることができ、支持板１１に対するホルダブレード７’の正確な位置が肩付きネジ７７’によって決定される。

図に示すように、図１０ｂに示した切削ブレード７’も又、図１０ａに示した切削ブレード７と異なる。より正確に言えば、ホルダブレード７’は鍵穴のような輪郭を持った２つの分離した貫通孔７２’を有し、夫々の鍵穴状輪郭は円形部分７３’から延びる単一の細長部分７４ａ’；７４ｂ’を備え、各細長部分の端面７６’は夫々、隣接する座部と切削インサートから同じ軸方向距離をおいて配置されている。本実施形態においても、２つの切削インサートの変更は、ロスト状態にあるマシンセンタに対して切削インサートを正確に位置決めすることなく迅速かつ容易に実行することができる。

当然ながら、肩付きネジは又、図１０ａの切削ブレードに関連して使用できることや、ネジとブッシュを図１０ｂの切削ブレードに関連して使用できることは明白である。

各組の孔６１ａ／６１ｂ、６２ａ／６２ｂ、６３ａ／６３ｂにより支持板１１は組立体１２に対して３つの異なる軸方向セッティングで固定することができる。加えて、組立体１２が軸方向に分かれた２組のネジ穴４５を含むことにより、セッティング選択肢を変える可能性は倍になる。一方で支持板１１の３つの貫通孔のいずれかを選択し、他方で組立板１２の２組のネジ穴の内の一方又は他方を選択することにより、組立板１２に対して支持体を６種類のセッティングをすることができる。組立板に対して支持板、以てホルダブレードの半径方向セッティングを変更されられなければならないとした理由は、様々なチューブ及び／又は様々なホルダブレードにより工具ホルダに対して長さの異なる突出量を必要とするからかもしれない。

図８では、どうしてセンサ３９が、座部３８に嵌るスタッドをその後端部に備えたロッドであるかが示されている。センサはまた、その前端部に、機械加工されるべきチューブ２の外皮面に対して転動可能なプーリーを備えている。

形式上、本明細書で使用している、例えば「方の」、「下方の」、「前方の」及び「後方の」といったような空間定義属性語は図中の様々な構成要素の配置に関するものであって、機械に取り付けられた際の状況を表すものではないことを指摘しておかねばならない。

（本発明の機能及び利点）
図１に示された機械を稼働可能状態にするためには主として２つの対策が施される。即ちそれは、４つの工具４のための全ての切削インサート７１が機械の中心Ｃに置かれたチューブ２から正確に同じ半径方向距離を隔てて置かれること、及び工具ホルダ９からのホルダブレード７の突き出しが、チューブの直径や肉厚だけでなく選択されたホルダブレードの性質に関して最適なものであることを共に確実にすることである。最初に述べた対策については、支持板１１が組立板１２から取り外され、それに加えセンサ３９（図３参照）が組立板の座部３８に当てられた状態において実行される。工具とそのプーリーをチューブ２に対して設定した後、組立板１２の固定ネジ３４を基板１０から若干緩めると、組立板が可動状態になり、結果としてバネ装置４６はセンサがプーリーを介してチューブの外皮面に当接するほどに同板を変位できるようになる。この状態において、組立板１２は、４個の固定ネジ３４を締め付けることで基板１０に対し固定される。

組立板１２のこのような位置設定は、機械１に備わった４個の切削工具４の各々ごとに繰り返される。

次のステップでは個々の支持板１１がプリセットされた組立板１２に接続される。これは以下のようにして達成される。支持板１１の下側（図１７参照）には基板１０に対するホルダブレード７の突出長さをマーキングする目盛がある。この目盛には６つの寸法指標が含まれ、それらの間に５つの間隔がある。作業者はこの目盛により所望の突出長さを選択することにより手動で支持板１１を、２個のネジ６４が締め付けられる位置へと変位させることができる。選択された位置はスロット５４の底部にある５つのピット５５のいずれかに対するピン４３の位置に対応する。触感を用い、作業者は前記位置を明確に設定し、１組のネジ６４を組立板１２にある１組の協働孔４５に締め付けることができる。

４個全ての工具４の支持板１１が締め付けられると、支持板に支持されたホルダブレード７は機械の中心Ｃに対して１つの同じ半径方向位置をとることになる。換言すれば、４個全ての作動状態にある切削インサート７１は前記中心から等距離をおいて隔てられる。この事実によってもたらされる望ましい結果は、４個全ての切削インサートが実質上均等に消耗されるだろうということと、消耗した全ての切削インサートを同時に交換できるということである。

インサートの交換は、既存のホルダブレードの個々の切削インサートを交換するか、或いはホルダブレードを回転することによって実行するようにしても良い。回転は、ネジ７７を若干緩めてホルダブレードを変位させ、より正確には円形の穴部分７３を通ってネジ頭部７８が通過できるような位置まで変位させることにより可能となる。ホルダブレードを１８０°回転した後は、同ホルダブレードはネジ頭部７８を通過させ、穴の端面７６がストッパ部材として作用するブッシュ７９に突き当たるように変位することにより再び取り付けられる。最終的にはネジ７７の頭部７８はホルダブレードに対して再び締め付けられることで前方にインデックス付けられた未使用の切削インサートが、基板１０に対する組立板１２の軸方向位置によって決まる半径方向機械位置に固定される。

本発明の利点は、時間を消費したり、マニュアルをラインアップしたり、同ホルダブレードを微調整したりする必要なく、異なるホルダブレード間で均一かつ正確な半径方向セッティングが実行可能であるということである。これにより、適用されたセンサを介して基板と支持板の間に配置されたバネ仕掛けの組立板により、位置の均一性や正確性を迅速かつ円滑に達成される。組立板、ひいては支持板の機械内空間位置が確立された上での他の利点は、ホルダブレードの交換及び／又は回転は、実質上、１個のネジを緩めたり、同ネジを再び締め付けたりする簡単なハンドグリップによって実行することができるということである。このことでもたらされる有効な結果は、加工時間に比べ機械のためのセットアップ時間が最小限まで減少するということである。

切削工具の一部を成し、かつ通常、鋼から製造されるホルダブレードは、通常超硬合金から製造され、かつ、ワークとの直接接触のために短時間で摩耗してしまう切削インサートよりも耐用年数は長いが、同ホルダブレードは全ブレードにもかかわらず工具ホルダに比較して耐用年数が限られている。このため、ホルダブレードはそれぞれ独立した状態、即ち組み付けられた工具それ全体と直接の関連なく市場で売買可能な構成部品又は製品である。このような理由から、ホルダブレードそれ自体は特別な請求項、即ち請求項９〜１２の主題である。

（本発明の実施可能な変更例）
本発明は、以上説明し、図面で示した切削工具及びホルダブレード、夫々の実施形態にだけに限定されるものではない。従って、ホルダブレードに１個だけの切削インサートを装備させることが実行可能であり、その場合、鍵穴のような穴は円形部分に加えて１つ以上のストレート部分を含む必要はない。一方向へのホルダブレードの変位する際のストッパとして作用するブッシュや肩付きネジは、ホルダブレードを支持体のスロット内に配置するという課題に対して単純かつ安価な解決策ではあるが、他の解決策も又可能である。即ち、ホルダブレードをスロットの一端から軸方向内部に挿入することが可能であろうし、そのような場合にはさらに、ストッパとなる肩部がスロットの反対側の端部に形成される。このような場合、ネジに必要なホルダブレードの貫通孔は鍵穴のような輪郭形状を持つ必要はないだろう。組立板に着脱可能に取り付けることができるセンサも又、回転可能なプーリーを有するロッドの形態である必要はない。このために、例えばピンは先細の前端を有して使用できるかもしれない。又、組立装置を自動変位させるためのバネ装置についても、複数の螺旋コイルバネによって作動する前述した種類のスラットの形態とは別の形で形成されるようにしても良い。組立板を、共働する２つの鋸面を介して軸方向にガイドする必要がある場合においては、基本体の鋸歯面を、図に例示したような別個の底板上に形成するタイプではなく、その代わりとしてキャビティの底部に直接形成することも可能である。

７，７’ ホルダブレード
９ 工具ホルダ
１０ 基本体（基板）
１１ 支持体（支持板）
１２ 組立体（組立板）
３４ ネジ継手
５６ スロット
５７ 底部
５８，５９ 境界エッジ
６７，６７’ 側面
６８，６８’ 長手方向エッジ
６９，６９’ 端部
７０，７０’ インサート座
７１，７１’ 切削インサート
７７，７７’ ネジ
７９，７９’ ストッパ部材

Claims (10)

1. 工具ホルダ（９）と、交換可能な切削インサート（７１；７１’）のための少なくとも１つのインサート座（７０，７０’）を有するホルダブレード（７；７’）と、を有する切削工具であって、
   ホルダブレードは細長い基本形を有すると共に２つの平坦で平行な側面（６７，６７’）と、向かい合って互いに平行な２つの長手方向エッジ（６８；６８’）と、対向する２つの端部（６９；６９’）と、を有し、
   工具ホルダは、基本体（１０）と、基本体から離れた前側（４８）に凹んだスロット（５６）を備える支持体（１１）と、を有し、
   スロットは、底部（５７）と、互いに平行な２つの境界エッジ（５８，５９）とによって区切られ、そのスロット内にホルダブレード（７；７’）が着脱可能に取り付けられ、ホルダブレードは基本体（１０）に対し異なる軸方向突出位置に調整可能かつ固定可能であるような切削工具であって、
   基本体（１０）と支持体（１１）との間には組立体（１２）が配置され、組立体は、基本体に対して組立体を軸方向に変位することを目的とするバネ装置（４６）によって作動され、バネ装置の作用に対して組立体（１２）はネジ継手（３４）によって基本体（１０）に対して所望位置に固定可能であり、
   支持体（１１）は、組立体（１２）に対して軸方向に変位可能であり、支持体（１１）は、組立体（１２）に対して複数ある軸方向位置の１つに固定でき、
   さらにホルダブレード（７；７’）は、ホルダブレードを介し貫通孔（７２；７２’）を通って延びるネジ（７７；７７’）を備えたストッパ部材（７９；７９’）により、支持体（１１）のスロット（５６）内の所定の軸方向位置に固定されると共に、スロット（５６）の底部（５７）に開口するネジ穴（６０）内に締め付けられることを特徴とする切削工具。
2. 境界エッジ（５８；５９）間のスロット（５６）の幅は長手方向エッジ（６８；６８’）間のホルダブレード（７；７’）の幅よりも大きく、前記スロットの底部（５７）に対面する前記ホルダブレードの側面（６７；６７’）によって、ホルダブレードの装着及び取り外しを可能にし、ホルダブレード（７；７’）の貫通孔（７２；７２’）は、一方ではその径がネジ（７７；７７’）の頭部（７８；７８’）の径よりも大きい円形部分（７３；７３’）と、他方では円形部分（７３；７３’）から端面（７６；７６’）へ延びかつネジ頭部（７８；７８’）の径よりも小さな幅を持つ細長部分（７４）とを備えることによる鍵穴状の輪郭形状を有することを特徴とする請求項１に記載の切削工具。
3. ホルダブレード（７）は長手方向エッジ（６８）とホルダブレードの端部（６９）との間にあるコーナー部に配置された２つのインサート座（７０）を備え、孔（７２）は共通の円形部分（７３）から延びる２つの細長部分（７４ａ，７４ｂ）を備え、細長部分の各端面（７６）は隣接するインサート座（７０）から夫々等しい大きな軸方向距離を以て配置されることを特徴とする請求項２に記載の切削工具。
4. ホルダブレード（７’）は、長手方向エッジ（６８’）とホルダブレードの端部（６９’）との間にあるコーナー部に配置された２つのインサート座（７０’）を備え、ホルダブレードは鍵穴状輪郭を有する２つの分離した貫通孔（７２’）を有し、夫々の鍵穴状輪郭は円形部分（７３’）から延びる単一の細長部分（７４ａ’，７４ｂ’）を備え、各細長部分（７４ａ’，７４ｂ’）の各端面（７６’）は隣接するインサート座（７０’）から同じ軸方向距離を以て配置されることを特徴とする請求項２に記載の切削工具。
5. 組立体（１２）は、ワーク（２）までの距離に依存して、基本体（１０）に対する取り外されたバネ仕掛けの組立体の軸方向位置を決定するための突出センサ（３９）を着脱自在に受容する手段（３８）を有することを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載の切削工具。
6. 支持体（１１）は、真っ直ぐな溝（５４）とこれに係合する雄部材（４０）の形態のガイドを介し、組立体（１２）に対して軸方向に変位可能であることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載の切削工具。
7. 支持体を通る複数の軸方向に分割された複数の孔（６１，６２，６３）を通って延び、かつ組立体のネジ穴（４５）に締め付けられる少なくとも１個の固定ネジ（６４）により、支持体（１１）は、組立体（１２）に対して複数ある軸方向位置の１つに固定できることを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項に記載の切削工具。
8. 組立体（１２）には、軸方向に分割された複数のネジ穴（４５）が含まれることを特徴とする請求項７に記載の切削工具。
9. 切削工具のためのホルダブレードであって、
   交換可能な切削インサート（７１；７１’）のためのインサート座（７０；７０’）を有し、２つの平坦で平行な側面（６７；６７’）と、対向して互いに平行な２つの長手方向エッジ（６８；６８’）と、対向する２つの端部（６９；６９’）とを備えることによる細長い基本形状を有し、インサート座は長手方向エッジと端部の間のコーナー域に形成され、
   ホルダブレードは固定ネジのための貫通孔（７２；７２’）を備え、
   孔（７２；７２’）は、一方では円形部分（７３；７３’）と、他方では円形部分から端面（７６；７６’）へ延びかつ円形部分の径よりも小さな幅を持つ細長部分（７４）とを備え、
   ホルダブレードは、２つのインサート座（７０）を備え、孔（７２）は共通の円形部分（７３）から延びる２つの細長部分（７４）を備え、各細長部分の各端面（７６）は隣接するインサート座（７０）から夫々等しい大きな軸方向距離を以て配置される、ホルダブレード。
10. 切削工具のためのホルダブレードであって、
    交換可能な切削インサート（７１；７１’）のためのインサート座（７０；７０’）を有し、２つの平坦で平行な側面（６７；６７’）と、対向して互いに平行な２つの長手方向エッジ（６８；６８’）と、対向する２つの端部（６９；６９’）とを備えることによる細長い基本形状を有し、インサート座は長手方向エッジと端部の間のコーナー域に形成され、
    ホルダブレードは固定ネジのための貫通孔（７２；７２’）を備え、
    孔（７２；７２’）は、一方では円形部分（７３；７３’）と、他方では円形部分から端面（７６；７６’）へ延びかつ円形部分の径よりも小さな幅を持つ細長部分（７４）とを備え、
    ホルダブレードは、２つのインサート座（７０’）を備えると共に、鍵穴状輪郭を有する２つの分離した孔（７２’）を有し、夫々の鍵穴状輪郭は円形部分（７３’）から延びる単一の細長部分（７４ａ’，７４ｂ’）を備え、各細長部分（７４ａ’，７４ｂ’）の各端面（７６’）は隣接するインサート座（７０’）から同じ軸方向距離を以て配置される、ホルダブレード。

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