JP6324242B2 - 導電性高分子溶液およびその製造方法ならびに塗膜 - Google Patents

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Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含有し、その高分子を有機溶剤中に分散可溶化した形態を持つ導電性高分子溶液、およびその製造方法、ならびにその溶液を塗布し硬化させて成る塗膜に関する。
一般的に、主鎖がπ電子を含む共役系で構成されるπ共役系導電性高分子は、電解重合法あるいは化学酸化重合法により合成される。電解重合法では、ドーパントとなる電解質と、π共役系導電性高分子を形成するための前駆体モノマーとの混合溶液を用意し、当該溶液中に電極を配置すると共に予め形成した電極材料などの支持体を浸漬しておき、電極間に電圧を印加することによって、π共役系導電性高分子が当該支持体表面にフィルム状に形成される。このように、電解重合法は、電解重合用の装置を必要とし、かつバッチ生産となることから、大量生産性に劣る。一方、化学酸化重合法では、上記のような制約は無く、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーに酸化剤と酸化重合触媒とを添加し、溶液中で大量のπ共役系導電性高分子を製造することができる。
しかし、化学酸化重合法では、π共役系導電性高分子を構成する主鎖の共役系の成長に伴い、溶媒に対する溶解性が乏しくなるため、π共役系導電性高分子は、溶媒に不溶の固体粉末で得られる。このため、塗布等の手法によって、プラスチック等の各種基材上にπ共役系導電性高分子の膜を均一な厚みにて形成することは難しい。かかる理由から、π共役系導電性高分子に官能基を導入して溶媒に可溶にする方法、バインダ用の樹脂にπ共役系導電性高分子を分散させて溶媒に可溶化する方法、π共役系導電性高分子にアニオン基含有高分子酸を添加して溶媒に可溶化する方法などが試みられている。
例えば、π共役系導電性高分子の水への溶解性を向上させるため、分子量2,000〜500,000のアニオン基含有高分子酸としてのポリスチレンスルホン酸の存在下にて、酸化剤を用いて、3,4−ジアルコキシチオフェンを化学酸化重合し、ポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)水溶液を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、ポリアクリル酸の存在下で、π共役系導電性高分子を形成するための前駆体モノマーを化学酸化重合し、π共役系導電性高分子コロイド水溶液を製造する方法も知られている(例えば、特許文献2を参照)。
一方、有機溶剤に可溶若しくは分散して有機樹脂と混合可能な導電性溶液を製造する方法が提案されている。その一例として、ポリアニリンの有機溶剤溶液およびその製造方法が知られている(例えば、特許文献3を参照)。また、ポリアニオンと真性導電性高分子とを含む水溶液から有機溶剤への転相による溶媒置換法も知られている(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7を参照)。さらに、凍結乾燥後の真性導電性高分子を有機溶剤に溶解させる方法も知られている(例えば、特許文献8を参照)。
特開平7−090060号公報 特開平7−165892号公報 国際公開WO2005/052058 特開2006−249303号公報 特開2007−254730号公報 特開2008−045061号公報 特開2008−045116号公報 特開2011−032382号公報 特開2011−152667号公報
しかし、上述のような水、または水を多量に含む有機溶剤を溶媒として使用する樹脂組成物においては、次のような問題がある。バインダ用の樹脂として、親水性の官能基を持つ水溶性または水分散性の樹脂を選択する必要がある。一般的に、樹脂は有機溶剤にしか溶解しないため、バインダ用の樹脂の選択の幅が狭いという問題がある。同様に、硬化剤についても有機溶剤にしか溶解しないものが多く、その選択の幅が狭い。水溶性ポリエステルなどの水溶性樹脂を構成成分として含む透明導電塗膜層を積層した導電性フィルムが知られているが(例えば、特許文献9を参照)、耐水性が低いフィルムとなってしまうという問題もある。さらには、水は、比較的沸点の高い溶液であることから、高分子を分散可溶化した溶液を硬化させるためには高温乾燥を要し、その結果、エネルギーコストが高くなり、生産効率が低下するという問題もある。
また、水が少量の若しくは実質的に水を含まない溶媒を使用する樹脂組成物においては、上記文献(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7を参照)のように、アミン系化合物を用いると、それに起因して、樹脂と混合した場合の経時的な色調劣化、導電性高分子へのポリアニオンのドープがアミンによって徐々に引き抜かれて導電性が経時的に低下する可能性がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、塗膜形成後に経時的な色調劣化および導電性低下が少なく、かつ低温で速乾性を有する導電性高分子溶液、その製造方法、ならびに当該溶液を塗布して成る塗膜を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは、アミン系化合物を使用することなくオキシラン系あるいはオキセタン系の化合物を使用すると共に、有機溶剤中にて低温反応性に優れる硬化剤を用いることにより本発明の完成に至った。具体的な課題解決手段は、以下のとおりである。
上記目的を達成するための本発明の実施の形態に係る導電性高分子溶液は、(a)π共役系導電性高分子と、(b)上記(a)π共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンと、(c)上記(b)ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物と、(d)イソシアネート基を有する硬化剤と、(e)有機溶剤を主とする溶媒と、を含む。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液は、有機溶剤として、水酸基を持たない溶剤を用いたものである。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液は、さらに結合剤を含む。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液は、結合剤として、イソシアネート基と反応する官能基を有するものを用いたものである。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液は、イソシアネート基と反応する官能基を、水酸基、メルカプト基またはカルボキシル基の内の少なくとも1つとする。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液は、(a)π共役系導電性高分子が、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの内の2以上の共重合体からなる群から選択される少なくとも1種以上の繰り返し単位を有するものである。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液は、(a)π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)またはポリピロールである。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液は、(b)ポリアニオンが、スルホン酸基、リン酸基およびカルボキシル基から選択される1種若しくはそれ以上の混合物である。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液は、(b)ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアクリル酸アルキレンスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)またはそれらの1種以上を共重合構成体とするものである。
また、この実施の形態に係る導電性高分子溶液を製造する方法は、有機溶剤を主とする溶媒中において、π共役系導電性高分子にポリアニオンをドープした導電性高分子粒子と、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物とを存在せしめ、ポリアニオンとオキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物とを反応させる工程と、イソシアネート基を有する硬化剤を添加する工程と、を少なくとも含む。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液の製造方法は、イソシアネート基を有する硬化剤を添加する前若しくは後に結合剤を添加する工程を、さらに含む。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液の製造方法は、結合剤として、イソシアネート基と反応する官能基を有するものを用いる。
別の実施の形態に係る導電性高分子溶液の製造方法は、イソシアネート基と反応する官能基を、水酸基、メルカプト基またはカルボキシル基の内の少なくとも1つとする。
また、この実施の形態に係る塗膜は、上述の導電性高分子溶液から、有機溶剤を主とする溶媒を低減せしめ硬化して成る。
本発明によれば、塗膜形成後に経時的な色調劣化および導電性低下が少なく、かつ低温で速乾性を有する導電性高分子溶液、その製造方法、ならびに当該溶液を塗布して成る塗膜を提供することができる。
以下、本発明に係る導電性高分子溶液およびその製造方法ならびにその導電性高分子溶液を塗布して成る塗膜の各実施の形態について説明する。
<A 導電性高分子溶液およびその製造方法の実施の形態>
1.導電性高分子溶液
本発明の実施の形態に係る導電性高分子溶液は、
(a)π共役系導電性高分子と、
(b)上記(a)π共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンと、
(c)上記(b)ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物と、
(d)イソシアネート基を有する硬化剤と、
(e)有機溶剤を主とする溶媒と、
を含む。
本願で用いられるポリアニオンをドーパントとしている真性導電性高分子は、おおよそ数十ナノメータの粒子径を持つ微粒子から形成される。かかる微粒子は、界面活性剤の作用をも持つポリアニオンの存在によって可視光領域において透明であって、溶媒中に微粒子が溶解しているように見える。実際には、当該微粒子は溶媒中に分散しているが、本願では、この状態を「分散可溶化」の状態と称している。ここでいう溶媒は、有機溶剤を主とする溶媒である。有機溶剤は、特に制限なく用いることが可能ではあるが、好ましくは、水酸基を持たない溶剤であり、例えば、ケトン系、エステル系、エーテル系あるいはアミド系の溶剤である。これらの好ましい有機溶剤の内、より好ましい有機溶剤としては、ケトン系の溶剤を、さらには、メチルエチルケトンを例示できる。ここで、「有機溶剤を主とする」とは、溶媒中に占める有機溶剤が50質量%を超えることを意味する。特に、溶媒は、重量比にて、有機溶剤:水=90:10〜100:0の範囲であるのが好ましい。
また、この実施の形態に係る導電性高分子溶液には、さらに結合剤を含めることもできる。結合剤とは、塗膜をより強固にする有機ポリマーまたはモノマー成分である。結合剤は、好ましくは、イソシアネート基と反応する官能基を有する。当該イソシアネート基と反応する官能基は、例えば、水酸基、メルカプト基またはカルボキシル基の内の少なくとも1つである。
1.1 製造方法
この実施の形態に係る導電性高分子溶液の製造方法は、有機溶剤を主とする溶媒中において、π共役系導電性高分子にポリアニオンをドープした導電性高分子粒子と、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物とを存在せしめ、ポリアニオンとオキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物とを反応させる工程(反応工程)と、イソシアネート基を有する硬化剤を添加する工程(硬化剤添加工程)と、を少なくとも含み、一例として、以下の方法によって製造することができる。
(1)導電性高分子/ポリアニオン錯体水分散体の溶液からの製造方法
導電性高分子/ポリアニオン錯体水分散体は、導電性高分子用のモノマーとドーパントとが共存した水溶液または水分散体の状態に、酸化剤の存在下で重合を行う。ただし、このようなモノマーからの重合のみならず、市販の導電性高分子/ドーパント水分散体を用いても良い。市販の導電性高分子/ドーパント水分散体としては、例えば、Heraeus社のPEDOT/PSS水分散体(商品名: Clevios)、アグファ社のPEDOT/PSS水分散体(商品名: Orgacon)などを挙げることができる。
導電性高分子組成物は、上記水分散体に、オキシラン基若しくはオキセタン基含有化合物を有機溶剤と共に添加後、アニオンとオキシラン基若しくはオキセタン基とを反応させ(反応工程)、その後に反応液を濃縮、濾別あるいは乾固して得られる。その後、得られた濃縮物あるいは固体と、イソシアネート基を有する硬化剤と共に有機溶剤を主とする溶媒に溶解若しくは分散させ(硬化剤添加工程)、導電性高分子溶液を作製する。塗膜形成の際には、上記導電性高分子溶液を塗料の形態で使用する。また、上記水分散体に、オキシラン基若しくはオキセタン基含有化合物を有機溶剤と共に添加後、アニオンとオキシラン基若しくはオキセタン基とを反応させている間若しくは反応後に(反応工程)、有機溶剤を加えて、有機相(溶剤相ともいう)に導電性高分子組成物を転相させ、必要に応じて脱水等の工程を経た後に、導電性高分子組成物を有機溶剤を主とする溶媒中に溶解若しくは分散させても良い。イソシアネート基を有する硬化剤は、その後添加される(硬化剤添加工程)。ただし、硬化剤添加工程を、有機相に導電性高分子組成物を転相させる前に行っても良い。イソシアネート基を有する硬化剤は、水と反応しやすいので、好ましくは、溶媒中に水が存在しないか、若しくは水がわずかに存在する状況下で加えられる。
(2)凍結乾燥された導電性高分子/ポリアニオン錯体固形物からの製造方法
既に固体となっているπ共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンの状態の導電性組成物に、オキシラン基若しくはオキセタン基含有化合物が溶解する有機溶剤を適量添加後、アニオンとオキシラン基若しくはオキセタン基とを反応させる(反応工程)。その後、反応液を濃縮、濾別あるいは乾固して、導電性組成物を得る。つづいて、得られた濃縮物あるいは固体を、イソシアネート基を有する硬化剤と共に有機溶剤中に可溶若しくは分散させて(硬化剤添加工程)、塗料の形態で使用する。なお、イソシアネート基を有する硬化剤は、アニオンとオキシラン基若しくはオキセタン基とを反応させた後であって、濃縮、濾別あるいは乾固に先立ち、加えられても良い。ここで、「導電性組成物」は、(a)π共役系導電性高分子と、(b)上記(a)π共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンとを少なくとも含むもの、あるいは、これに加え、(c)上記(b)ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物を含むものをいう。
結合剤を加える場合には、上記(1)および(2)においてイソシアネート基を有する硬化剤の添加の前若しくは後に、結合剤を溶液内に添加することができる。また、上記製造において、水が存在する場合には、アニオンとオキシラン基若しくはオキセタン基とを反応させた後、有機溶剤を加えて、水不溶の溶剤相に導電性組成物を転相させ、必要に応じて脱水などの工程を経た後に、導電性組成物を、有機溶剤を主とする溶媒中に可溶若しくは分散させても良い。上記(2)の方法では、凍結乾燥された導電性組成物の固体を原料として用いているので、特に、濃縮する工程の時間を短縮できる。
1.2 導電性高分子溶液用の原料
(a)π共役系導電性高分子
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば、何らの限定もなく用いることができる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの内の2以上の共重合体から成る群から選択される少なくとも1種以上の繰り返し単位を有するものを好適に挙げることができる。重合の容易性、空気中における安定性の観点では、特に、ポリピロール類、ポリチオフェン類あるいはポリアニリン類を好適に用いることができる。π共役系導電性高分子は、無置換のままでも、十分に高い導電性およびバインダへの相溶性を示すが、導電性、バインダへの分散性若しくは溶解性をより高めるためには、アルキル基、アルケニル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基などの官能基が導入されても良い。
上記のπ共役系導電性高分子の好適な例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
上記のπ共役系導電性高分子の例において、抵抗値あるいは反応性を考慮すると、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選択される1種若しくは2種以上からなる共重合体を、特に好適に用いることができる。高導電性および高耐熱性の面では、さらに、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を好適に用いることができる。また、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)のようなアルキル置換化合物は、有機溶剤を主とする溶媒への溶解性、疎水性樹脂を添加したときの相溶性および分散性を向上させるために、より好適に用いることができる。アルキル基の中でも、メチル基は、導電性に悪影響を与えることが少ないので、より好ましい。
(b)ポリアニオン
ポリアニオンは、アニオン性化合物であれば、特に制約無く用いることができる。アニオン性化合物とは、分子中に、(a)π共役系導電性高分子への化学酸化ドーピングが起こりうるアニオン基を有する化合物である。アニオン基としては、製造の容易さおよび高い安定性の観点から、硫酸エステル基、リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシル基、スルホン酸基(スルホ基、スルホン基ともいう)、などが好ましい。また、(a)π共役系導電性高分子へのドープ効果に優れる理由から、アニオン基としては、スルホ基、硫酸エステル基、カルボキシル基がより好ましい。
ポリアニオンとしては、例えば、アニオン基を有さないポリマーをスルホ化剤によりスルホ化等を行ってポリマー内にアニオン基を導入したポリマーの他、アニオン基含有重合性モノマーを重合して得られたポリマーを挙げることができる。通常、ポリアニオンは、製造の容易さの観点から、好ましくは、アニオン基含有重合性モノマーを重合して得る。かかる製造方法としては、例えば、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤および/または重合触媒の存在下、酸化重合またはラジカル重合させて得る方法を例示できる。より具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保持し、そこに、予め溶媒に所定量の酸化剤および/または重合触媒を溶解しておいた溶液を添加して、所定時間で反応させる。当該反応により得られたポリマーは、触媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させることもできる。アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤および/または酸化触媒、溶媒は、(a)π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
アニオン基含有重合性モノマーは、分子内にアニオン基と重合可能な官能基を有するモノマーであり、具体的には、ビニルスルホン酸及びその塩類、アリルスルホン酸及びその塩類、メタリルスルホン酸及びその塩類、スチレンスルホン酸及びその塩類、メタリルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩類、アリルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩類、α−メチルスチレンスルホン酸及びその塩類、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸及びその塩類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩類、シクロブテン−3−スルホン酸及びその塩類、イソプレンスルホン酸及びその塩類、1,3−ブタジエン−1−スルホン酸及びその塩類、1−メチル−1,3−ブタジエン−2−スルホン酸及びその塩類、1−メチル−1,3−ブタジエン−4−スルホン酸及びその塩類、アクリル酸エチルスルホン酸(CHCH−COO−(CH−SOH)及びその塩類、アクリル酸プロピルスルホン酸(CHCH−COO−(CH−SOH)及びその塩類、アクリル酸−t−ブチルスルホン酸(CHCH−COO−C(CHCH−SOH)及びその塩類、アクリル酸−n−ブチルスルホン酸(CHCH−COO−(CH−SOH)及びその塩類、アリル酸エチルスルホン酸(CHCHCH−COO−(CH−SOH)及びその塩類、アリル酸−t−ブチルスルホン酸(CHCHCH−COO−C(CHCH−SOH)及びその塩類、4−ペンテン酸エチルスルホン酸(CHCH(CH−COO−(CH−SOH)及びその塩類、4−ペンテン酸プロピルスルホン酸(CHCH(CH−COO−(CH−SOH)及びその塩類、4−ペンテン酸−n−ブチルスルホン酸(CHCH(CH−COO−(CH−SOH)及びその塩類、4−ペンテン酸−t−ブチルスルホン酸(CHCH(CH−COO−C(CHCH−SOH)及びその塩類、4−ペンテン酸フェニレンスルホン酸(CHCH(CH−COO−C−SOH)及びその塩類、4−ペンテン酸ナフタレンスルホン酸(CHCH(CH−COO−C10−SOH)及びその塩類、メタクリル酸エチルスルホン酸(CHC(CH)−COO−(CH−SOH)及びその塩類、メタクリル酸プロピルスルホン酸(CHC(CH)−COO−(CH−SOH)及びその塩類、メタクリル酸−t−ブチルスルホン酸(CHC(CH)−COO−C(CHCH−SOH)及びその塩類、メタクリル酸−n−ブチルスルホン酸(CHC(CH)−COO−(CH−SOH)及びその塩類、メタクリル酸フェニレンスルホン酸(CHC(CH)−COO−C−SOH)及びその塩類、メタクリル酸ナフタレンスルホン酸(CHC(CH)−COO−C10−SOH)及びその塩類等が挙げられる。また、これらを2種以上含む共重合体であってもよい。
アニオン基を有さない重合性モノマーとしては、エチレン、プロぺン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、スチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−メトキシスチレン、α−メチルスチレン、2−ビニルナフタレン、6−メチル−2−ビニルナフタレン、1−ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルアセテート、アクリルアルデヒド、アクリルニトリル、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルイミダゾ−ル、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニルブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸アリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸イソボニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸エチルカルビトール、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリロイルモルホリン、ビニルアミン、N,N−ジメチルビニルアミン、N,N−ジエチルビニルアミン、N,N−ジブチルビニルアミン、N,N−ジ−t−ブチルビニルアミン、N,N−ジフェニルビニルアミン、N−ビニルカルバゾール、ビニルアルコール、塩化ビニル、フッ化ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、2−メチルシクロヘキセン、ビニルフェノール、1,3−ブタジエン、1−メチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,4−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1−オクチル−1,3−ブタジエン、2−オクチル−1,3−ブタジエン、1−フェニル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1−ヒドロキシ−1,3−ブタジエン、2−ヒドロキシ−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
こうして得られるポリアニオンの重合度は、特に限定されるものではないが、通常、モノマーの単位が10〜100,000程度であり、溶媒可溶化、分散性および導電性を良好にする観点から、50〜10,000程度とするのがより好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)を好適に挙げることができる。
得られたアニオン性化合物がアニオン塩である場合には、アニオン酸に変質させるのが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法などを挙げることができる。これらの方法の中でも、作業容易性の観点から、限外ろ過法が好ましい。ただし、金属イオン濃度を低減することを要する場合には、イオン交換法を用いる。
(a)π共役系導電性高分子と(b)ポリアニオンとの組み合わせとしては、(a)および(b)の各グループから選択されたものを使用できるが、化学的安定性、導電性、保存安定性、入手容易性などの観点から、(a)π共役系導電性高分子の一例であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と、(b)ポリアニオンの一例であるポリスチレンスルホン酸との組み合わせが好ましい。ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とは、前述のように、導電性高分子用のモノマーとドーパントが共存した水溶液または水分散体の状態で酸化剤の存在下にて重合を行い、合成しても良い。また、市販の導電性高分子/ドーパント水分散体を使用しても良い。
ポリアニオンの含有量は、好ましくはπ共役系導電性高分子1モルに対して0.1〜10モルの範囲、より好ましくは1〜7モルの範囲である。ポリアニオンの含有量を0.1モル以上とすることにより、π共役系導電性高分子へのドーピング効果を高め、導電性を高めることができる。加えて、溶媒への溶解性が高くなり、均一分散形態の導電性高分子の溶液を得やすくなる。一方、ポリアニオンの含有量を10モル以下にすると、π共役系導電性高分子の含有割合を相対的に多くすることができ、より高い導電性を発揮させることができる。
(c)ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物
ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物は、前述の(a)π共役系導電性高分子、(b)ポリアニオンに、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物を存在せしめ、反応させることにより得られる。
オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物としては、ポリアニオンのアニオン基または電子吸引基に配位あるいは結合するものであれば、特に限定されない。1分子中に1個以下のオキシラン基若しくはオキセタン基を含有する化合物を用いると、凝集やゲル化を低減できる点でより好ましい。オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物の分子量は、有機溶剤への易溶解性を考慮すると、好ましくは50〜2,000の範囲である。
オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物の量は、好ましくは、π共役系導電性高分子のポリアニオン中のアニオン基あるいは電子吸引基に対して、重量比で0.1〜50であり、より好ましくは1.0〜30.0である。オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物の量を上記重量比で0.1以上とすると、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物を、ポリアニオンのアニオン基が有機溶剤に溶解する程度に変性することが出来る。一方、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物の量を上記重量比で50以下とすると、余剰のオキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物が導電性高分子溶液中に析出しにくいので、得られる導電性塗膜の導電率および機械的物性の低下を防止しやすい。
オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物としては、オキシラン基若しくはオキセタン基を分子中に有していればどのような分子構造を持つ化合物でも良い。ただし、極性の低い有機溶剤に可溶化するには、カーボン数の多い化合物が有効である。好適にはカーボン数が10以上の化合物が使用される。また、製造工程中において水を多用する場合には、加水分解や水と反応する官能基を有するアルコキシシリル基を含有する化合物は、なるべく使用しないのが好ましい。一方、凍結乾燥を経由する製造方法の場合には、アルコキシシリル基を含有する化合物もまた、その特徴を維持したまま有機溶剤に分散あるいは可溶するので、使用しても良い。従来から、導電性向上剤或いは架橋剤としてオキシラン基或いはオキセタン基を有する化合物を、導電性ポリマー水溶液に添加されることが行われている。それら公知の技術と本願との差異は、1)導電性高分子のドーパント兼分散剤であるポリアニオンとオキシラン基或いはオキセタン基含有化合物とを反応させた反応物を得ていること、2)ほとんど若しくは全ての水分を除去していること、にある。これら1)および2)の要件を達成することによって、水分をほとんど若しくは完全に含まない状態にて有機溶剤への可溶化が達成され、有機樹脂との混合も可能であるという効果を発現できる。
以下、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物を例示する。
(オキシラン基含有化合物)
単官能オキシラン基含有化合物としては、プロピレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシテトラデカン、グリシジルメチルエーテル、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、エチルグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシエイコサン、2−(クロロメチル)−1,2−エポキシプロパン、グリシドール、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシ−9−デカン、2−(クロロメチル)−1,2−エポキシブタン、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,2H,3H,3H−トリフルオロブタン、アリルグリシジルエーテル、テトラシアノエチレンオキサイド、グリシジルブチレート、1,2−エポキシシクロオクタン、グリシジルメタクリレート、1,2−エポキシシクロドデカン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタデカン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,2H,3H,3H−ヘプタデカフルオロブタン、3,4−エポキシテトラヒドロフラン、グリシジルステアレート、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシ琥珀酸、グリシジルフェニルエーテル、イソホロンオキサイド、α−ピネンオキサイド、2,3−エポキシノルボルネン、ベンジルグリシジルエーテル、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−(3−グリシジルオキシプロピル)トリシロキサン、9,10−エポキシ−1,5−シクロドデカジエン、4−tert−ブチル安息香酸グリシジル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、2−tert−ブチル−2−[2−(4−クロロフェニル)]エチルオキシラン、スチレンオキサイド、グリシジルトリチルエーテル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−フェニルプリピレンオキサイド、コレステロール−5α,6α−エポキシド、スチルベンオキサイド、p−トルエンスルホン酸グリシジル、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル、N−プロピル−N−(2,3−エポキシプロピル)ペルフルオロ−n−オクチルスルホンアミド、(2S,3S)−1,2−エポキシ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フェニルブタン、3−ニトロベンゼンスルホン酸(R)−グリシジル、3−ニトロベンゼンスルホン酸−グリシジル、パルテノリド、N−グリシジルフタルイミド、エンドリン、デイルドリン、4−グリシジルオキシカルバゾール、7,7−ジメチルオクタン酸[オキシラニルメチル]などを例示できる。
多官能オキシラン基含有化合物としては、1,7−オクタジエンジエポキシド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2:3,4−ジエポキシブタン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、イソシアヌル酸トリグリシジルネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,2:3,4−ジエポキシブタン、ポリエチレングリコール#200ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどを例示できる。
(オキセタン基含有化合物)
単官能オキセタン基含有化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(=オキセタンアルコール)、2−エチルヘキシルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メタアクリレートなどを例示できる。
多官能オキセタン基含有化合物としては、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン、1,4−ベンゼンジカルボン酸,ビス{[3−エチル−3−オキセタニル]メチル}エステルなどを例示できる。
以上のような導電性高分子溶液において、ポリアニオンのアニオン基にオキシラン基若しくはオキセタン基が反応しているため、ポリアニオンの親水性が失われ、親油性を呈する。したがって、溶液中の固形成分(すなわち、導電性組成物)は、有機溶剤を主とする溶媒に高濃度に可溶化あるいは分散可能である。
(d)イソシアネート基を有する硬化剤
この実施の形態で使用可能なイソシアネート基を有する硬化剤としては、モノイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
モノイソシアネート化合物の具体例としては、一例として、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−テトラデシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、オクタデシルモノイソシアネート、n−クロロエチルモノイソシアネート、クロロフェニルモノイソシアネート、3,5−ジクロロフェニルモノイソシアネート、p−フルオロフェニルモノイソシアネート、2,4−ジフルオロフェニルモノイソシアネート、o−トリフルオロメチルフェニルモノイソシアネート、p−ニトロフェニルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルモノイソシアネート、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート、p−ベンジルオキシフェニルモノイソシアネート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを挙げることができる。上記モノイソシアネート化合物は、単独で用いてもあるいは2種以上併用しても良い。
ポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環族ジイソシアネート類などのポリイソシアネートを挙げることができ、また、これらのポリイソシアネートの単独又は混合物から誘導されるイソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型イソシアネート、及びこれらのジイソシアネートとエチレングリコール、ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、カプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、イソシアネート基と反応する官能基を有する低分子量のポリエステル樹脂(油変性タイプを含む)やアクリル系共重合体等とのランダム型付加物、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネート等モル付加物、イソシアネートエチル(メタ)クリレート等のイソシアネート基と共重合性不飽和基を有するビニル系モノマーを必須成分として得られたイソシアネート基を有する共重合体などが挙げられる。さらには、これらのポリイソシアネートに対して、ブロック剤でイソシアネート基を安定化させたブロックドポリイソシアネートも挙げることができる。硬化反応性の観点から、ポリイソシアネート化合物の1分子中に少なくとも2個以上の、より好ましくは2〜3個のイソシアネート基及び/又はブロックドイソシアネート基を有するものが好ましい。具体的には、2官能以上のポリオール等と前記ポリイソシアネートとの反応で得られるアダクト体、イソシアヌレート等のジイソシアネート誘導体、前記イソシアネートのビウレット体、アロファネート、及びウレチジンジオンが好ましい。市販品としては、旭化成ケミカルズ社製のデュラネートシリーズ、住化バイエルウレタン社製のスミジュールシリーズやディスモジュールシリーズが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、一例として、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート(1,3−シクロペンテンジイソシアネート)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを挙げることができる。上記ポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもあるいは2種以上併用しても良い。
ポリイソシアネート化合物の添加量は、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基(NCO)のモル数とこれと反応する結合剤等の樹脂中にある官能基のモル数に対する比率(NCO/官能基)が0.5〜2.0になるように調整するのが好ましい。より好ましい比率は、0.7〜1.3である。当該比率が0.5以上の場合には、塗膜の硬化性や塗膜と基体との密着性を高めることができる。また、当該比率が2.0以下の場合には、塗膜の透明性を確保できる。
(e)有機溶剤を主とする溶媒
有機溶剤を主とする溶媒は、溶媒中に占める有機溶剤が50質量%を超え、好ましくは90質量%を超え、さらに好ましくは100質量%の溶媒である。溶媒は、有機溶剤以外に水を含み得るが、有機溶剤より少ない質量分を占める。
有機溶剤として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホニウムトリアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル等に代表される極性溶媒; クレゾール、フェノール、キシレノール等に代表されるフェノール類; メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等に代表されるアルコール類; アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等に代表されるケトン類; 酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等に代表されるエステル類; ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等に代表される炭化水素類; ギ酸、酢酸等に代表されるカルボン酸; エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等に代表されるカーボネート化合物; ジオキサン、ジエチルエーテル等に代表されるエーテル化合物; エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等に代表される鎖状エーテル類; 3−メチル−2−オキサゾリジノン等に代表される複素環化合物; アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等に代表されるニトリル化合物などを例示できる。これらの有機溶剤は、単独で用いても良く、あるいは2種以上を混合して用いても良い。これらの有機溶剤の内、イソシアネート基を有する硬化剤との反応性の低いケトン類、エーテル類、エステル類、炭化水素類をより好適に用いることができる。導電性高分子溶液を用いて塗膜を形成する場合、固形の導電性組成物を有機溶剤を主とする溶媒に分散可溶化させた形態の導電性高分子溶液を作製後、塗料を製造し、それを基材に塗布して溶媒の一部若しくは全部を除去する。したがって、有機溶剤としては、沸点の低いものを好適に選択する。これにより、塗膜形成時の乾燥温度を低くでき、かつ乾燥時間を短縮でき、もって塗膜の生産性を高めることができる。
なお、ここでいう乾燥温度は120℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下であり、乾燥時間については、乾燥温度および塗膜の膜厚などの諸条件により異なってくるが100μm以下の膜厚の場合において好ましくは2分以下、より好ましくは1分以下であるのが好ましい。
(f)結合剤
結合剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ酪酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸アミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸アミド、ポリアクリロニトリル、これらの共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などの有機ポリマーや、後述するポリオール化合物、ポリチオール化合物、ポリカルボン酸化合物などが挙げられる。
上記ポリマーのうち、分子中に水酸基や、カルボキシル基を有するポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂などはイソシアネート基と反応して強固な膜を形成できることから望ましい。イソシアネート基と反応する水酸基を有する結合剤の具体例としてのポリオール化合物は、一分子中に少なくとも2個以上の水酸基を有する化合物で、特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオール、および、これらの混合ポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトールのような多価アルコールの1種または2種以上に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドのようなアルキレンオキシドの1種または2種以上を付加して得られるポリエーテルポリオール;テトラヒドロフラン等の開環重合によって得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
具体的なポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、テトラヒドロフランの開環重合によって得られるポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパンのような低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸のような低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンのようなラクトンの開環重合体が挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチルアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、β−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種から得られうるアクリルポリオールが挙げられる。
イソシアネート基と反応するメルカプト基を有する結合剤の具体例としてのポリチオール化合物は、一分子中に少なくとも2個以上のチオール基を有する化合物で、特に制限はないが、具体的には、例えば、メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラキス(メルカプトメチル)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物; 1,2−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,2−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、2,5−トルエンジチオール、3,4−トルエンジチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール; 1,2−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチルチオ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチルチオ)ベンゼン等、及びこれらの核アルキル化物等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する芳香族ポリチオール化合物; ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−メルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、ビス(1,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する脂肪族ポリチオール化合物、及びこれらのチオグリコール酸及びメルカプトプロピオン酸のエステル; ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等のその他のメルカプト基以外に硫黄原子とエステル結合を含有する脂肪族ポリチオール化合物; 3,4−チオフェンジチオール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等のメルカプト基以外に硫黄原子を含有する複素環化合物、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、3,4−ジメルカプト−2−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン等のメルカプト基以外にヒドロキシ基を含有する化合物; 1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2−テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアシクロヘキサン、1,1,5,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−3−チアペンタン、1,1,6,6−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−3,4−ジチアヘキサン、2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタンチオール、2−(4,5−ジメルカプト−2−チアペンチル)−1,3−ジチアシクロペンタン、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−ジチアシクロペンタン、2,5−ビス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)−1,4−ジチアン、2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−プロパンジチオール、3−メルカプトメチルチオ−1,7−ジメルカプト−2,6−ジチアヘプタン、3,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,9−ジメルカプト−2,5,8−トリチアノナン、3−メルカプトメチルチオ−1,6−ジメルカプト−2,5−ジチアヘキサン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン、1,1,9,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−5−(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−1−チアプロピル)3,7−ジチアノナン、トリス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、トリス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)メタン、テトラキス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)メタン、テトラキス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアブチル)メタン、3,5,9,11−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,13−ジメルカプト−2,6,8,12−テトラチアトリデカン、3,5,9,11,15,17−ヘキサキス(メルカプトメチルチオ)−1,19−ジメルカプト−2,6,8,12,14,18−ヘキサチアノナデカン、9−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−3,5,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,6,8,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,11−ジメルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデカン、3,4,8,9,13,14−ヘキサキス(メルカプトメチルチオ)−1,16−ジメルカプト−2,5,7,10,12,15−ヘキサチアヘキサデカン、8−{ビス(メルカプトメチルチオ)メチル}−3,4,12,13−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,15−ジメルカプト−2,5,7,9,11,14−ヘキサチアペンタデカン、4,6−ビス{3,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−7−メルカプト−2,6−ジチアヘプチルチオ}−1,3−ジチアン、4−{3,5−ビス(メルカプトメチルチオ)−7−メルカプト−2,6−ジチアヘプチルチオ}−6−メルカプトメチルチオ−
1,3−ジチアン、1,1−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル}−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、1−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、1,5−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−2,4−ジチアペンタン、4,6−ビス[3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−5−メルカプト−2,4−ジチアペンチルチオ]−1,3−ジチアン、4,6−ビス{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−1,3−ジチアン、4−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−6−{4−(6−メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアニルチオ}−1,3−ジチアン、3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,11−ジメルカプト−2,4,6,10−テトラチアウンデカン、9−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−3,5,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,6,8,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3−{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−7,9,13,15−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−1,17−ジメルカプト−2,4,6,10,12,16−ヘキサチアヘプタデカン、3,7−ビス{2−(1,3−ジチエタニル)}メチル−1,9−ジメルカプト−2,4,6,8−テトラチアノナン、4−{3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−11−メルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデシル}−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、4,5−ビス{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}−1,3−ジチオラン、4−{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、4−{3−ビス(メルカプトメチルチオ)メチル−5,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−8−メルカプト−2,4,7−トリチアオクチル}−5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラン、2−[ビス{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}メチル]−1,3−ジチエタン、2−{3,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−6−メルカプト−2,5−ジチアヘキシルチオ}メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、2−{3,4,8,9−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−11−メルカプト−2,5,7,10−テトラチアウンデシルチオ}メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、2−{3−ビス(メルカプトメチルチオ)メチル−5,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−8−メルカプト−2,4,7−トリチアオクチル}メルカプトメチルチオメチル−1,3−ジチエタン、4,5−ビス[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−1,3−ジチオラン、4−[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−5−{1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−4−メルカプト−3−チアブチルチオ}−1,3−ジチオラン、2−[ビス{4−(5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラニル)チオ}]メチル−1、3−ジチエタン、4−{4−(5−メルカプトメチルチオ−1,3−ジチオラニル)チオ}−5−[1−{2−(1,3−ジチエタニル)}−3−メルカプト−2−チアプロピルチオ]−1,3−ジチオラン、更にこれらのオリゴマー等のジチオアセタールもしくはジチオケタール骨格を有する化合物; トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン、1,1,5,5−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−2,4−ジチアペンタン、ビス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアブチル)(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアブチル)メタン、2,4,6−トリス(メルカプトメチルチオ)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、2,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロパン、ビス(メルカプトメチル)メチルチオ−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、トリス((4−メルカプトメチル−2,5−ジチアシクロヘキシル−1−イル)メチルチオ)メタン、2,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、2−メルカプトエチルチオ−4−メルカプトメチル−1,3−ジチアシクロペンタン、2−(2,3−ジメルカプトプロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、4−メルカプトメチル−2−(2,3−ジメルカプトプロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、4−メルカプトメチル−2−(1,3−ジメルカプト−2−プロピルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、トリス(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)−1−チアエチル)メタン、トリス(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル)メタン、トリス(4,4−ビス(メルカプトメチルチオ)−3−チアブチル)メタン、2,4,6−トリス(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル)−1,3,5−トリチアシクロヘキサン、テトラキス(3,3−ビス(メルカプトメチルチオ)−2−チアプロピル)メタン等、さらにこれらのオリゴマー等のオルトトリチオ蟻酸エステル骨格を有する化合物; 3,3’−ジ(メルカプトメチルチオ)−1,5−ジメルカプト−2,4−ジチアペンタン、2,2’−ジ(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアシクロペンタン、2,7−ジ(メルカプトメチル)−1,4,5,9−テトラチアスピロ[4,4]ノナン、3,9−ジメルカプト−1,5,7,11−テトラチアスピロ[5,5]ウンデカン、更にこれらのオリゴマー等オルトテトラチオ炭酸エステル骨格を有する化合物等が挙げられるが、これらの例示化合物のみに限定されるものではない。
これら例示の化合物は、単独でも2種類以上混合して使用しても良い。さらに好ましい化合物は、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3−テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパンであり、その中でも特に好ましい化合物は、1,2−ビス[(2−メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−1,11−ウンデカンジチオールである。
イソシアネート基と反応する水酸基を有する結合剤の具体例としてのポリカルボン酸化合物は、一分子中に少なくとも2個以上のカルボキシル基を有する化合物で、特に制限はないが、具体的には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメミン酸、ヘミメリット酸、1,2,5−ナフタリントリカルボン酸、2,3,6−ナフタリントリカルボン酸、1,8,4−ナフタリントリカルボン酸、3,4,4’−ジフェニールトリカルボン酸、3,4,4’−ジフェニールメタントリカルボン酸、3,4,4’−ジフェニールエーテルトリカルボン酸、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸或はそれらの酸無水物等が挙げられ、特に有用なものはトリメリット酸又はその酸無水物である。ピロメリット酸、メロファニ酸、2,3,6,7−ナフタリンテトラカルボン酸、1,8,4,5−ナフタリンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタリンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニールテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニールエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニールメタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びそれらの酸無水物等が挙げられる。
(g)その他
(導電性向上剤)
塗膜の導電性をさらに向上するための添加剤であって、導電性組成物を可溶あるいは分散させた有機溶剤を主とする溶媒への任意の添加剤として、例えば、導電性向上剤を挙げることができる。導電性向上剤としては、グリシジル化合物、極性溶媒、多価脂肪族アルコール、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、2個以上のカルボキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基と1個以上のカルボキシ基を有する化合物、ラクタム化合物等が挙げられる。これらのなかでも、剥離性成分の硬化を阻害しにくいものが好ましい。剥離性成分の硬化を阻害しにくければ、該帯電防止性剥離剤から得た剥離剤層に、粘着シートの粘着剤層を重ねた後、粘着剤層に剥離剤が転写することを防ぐことができる。剥離性成分の硬化を阻害しにくい導電性向上剤としては、グリシジル化合物、極性溶媒、多価脂肪族アルコールが挙げられる。イソシアネート基を有する硬化剤との反応を低減したい場合には、水酸基のない若しくは少ない導電性向上剤を用いるのが好ましく、好適な導電性向上剤の一例として、グリシジル化合物、極性溶媒、窒素含有芳香族性環式化合物などを挙げることができる。導電性向上剤は、25℃で液状であることが好ましい。液状であれば、該帯電防止性剥離剤から形成した剥離剤層の透明性を向上させることができ、剥離剤層に貼り合わされる粘着剤層への異物の転写を防ぐことができる。
グリシジル化合物の具体例としては、エチルグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル等が挙げられる。極性溶媒の具体例としては、N−メチルホルムアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル等が挙げられる。多価脂肪族アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、チオジエタノール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。窒素含有芳香族性環式化合物の具体例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、4−エチルピリジン、N−ビニルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3−シアノ−5−メチルピリジン、2−ピリジンカルボン酸、6−メチル−2−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−アミノピリジン、2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4−ヒドロキシピリジン、4−ピリジンメタノール、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ピリジンジメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸メチル、2−ヒドロキシ−5−ピリジンメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸エチル、4−ピリジンメタノール、4−ピリジンエタノール、2−フェニルピリジン、3−メチルキノリン、3−エチルキノリン、キノリノール、2,3−シクロペンテノピリジン、2,3−シクロヘキサノピリジン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)プロパン、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−ピリジンカルボン酸、2−ピリジンカルボニトリル、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3−ピリジンスルホン酸、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ウンデジルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、N−アリルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(N−ヒドロキシエチルイミダゾール)、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸ジメチル、ベンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール−2−スルホン酸、2−アミノ−1−メチルべンズイミダゾール、2−ヒドロキシべンズイミダゾール、2−(2−ピリジル)べンズイミダゾール、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−6−クロロ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2−アミノピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−カルボン酸、2,4,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジメトキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4−ピリミジンジオール、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、ピラジンカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、5−メチルピラジンカルボン酸、ピラジンアミド、5−メチルピラジンアミド、2−シアノピラジン、アミノピラジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、2−エチル−3−メチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,3−ジエチルピラジン、1,3,5−トリアジン、2−アミノ−1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリ−2−ピリジン−1,3,5−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ビス(4−フェニルスルホン酸)−1,2,4―トリアジン二ナトリウム、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4―トリアジン−ρ,ρ’−ジスルホン酸二ナトリウム、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
導電性向上剤の含有量は、導電性成分100質量部に対して10〜10000質量部であることが好ましく、30〜5000質量部であることがより好ましい。導電性向上剤の含有量が前記下限値以上であれば、帯電防止性をより向上させることができる。一方、前記上限値以下であれば、難剥離性をより向上できる。
<B 塗膜の実施の形態>
本発明の実施の形態に係る塗膜は、上述の導電性高分子溶液から、(e)有機溶剤を主とする溶媒を低減若しくは除去して硬化させて成る膜である。
本発明の実施の形態に係る塗膜は、上述の導電性高分子溶液を塗料の形態で基体上に供給されて形成される。塗料は、紙、プラスチック、鉄、セラミックス、ガラスに代表される基体上に供給される。供給方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた噴霧方式、ディップ等の浸漬法、塗料を基体上に滴下して基体を回転させて塗料を拡げるスピンコート法、刷毛で塗料を拡げる刷毛法などの種々の手法を適用できる。基体上の塗料の硬化法は、加熱により有機溶剤を主とする溶媒を除去する方法の他、紫外線などの光や電子線を照射して硬化する方法などを例示できる。
塗膜の厚みは、好ましくは10nm〜1000nmの範囲である。当該範囲の塗膜を形成すると、塗膜性能とコストの両面で優れるからである。(a)π共役系導電性高分子、(b)ポリアニオン、(c)ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンとオキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物とからなる導電性高分子組成物の含有率は、塗膜全体の重量を100質量%とした際の0.05〜20.0質量%であるのが好ましく、0.5〜15.0質量%であるのがより好ましい。導電性高分子組成物の含有率が0.05質量%以上の場合には、十分な導電性を担保できるからである。また、導電性高分子組成物の含有率が20.0質量%以下の場合には、場所による導電性をより均一とする塗膜を形成しやすいからである。
この実施の形態に係る塗膜は、ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物を含むため、種々な有機溶剤を主とする溶媒中に分散、可溶なものである。また、上述の導電性高分子組成物は、種々の有機樹脂あるいは有機樹脂組成物溶液にも可溶であり、それぞれの組成物において抵抗値を減ずるあるいは通電できるという利点を有する。また、導電性高分子組成物は、従来から知られているアミン系化合物、相間移動触媒を用いた導電性高分子水分散液におけるポリアニオン残渣との反応によって溶剤置換する方法に比べて、保存安定性、電気抵抗値の安定性に優れると共に、アミンなどが反応の障害になる分野にも適用可能である。さらに、塗膜の原料中にイソシアネート基を有する硬化剤を含むので、塗膜形成に際して低温速乾性を発揮できる。
次に、本発明の製造例および実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<製造例>
(製造例1)・・・ポリスチレンスルホン酸の製造
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃にて攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、その溶液を12時間攪拌した。得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形物を得た。得られたポリスチレンスルホン酸についてGPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)カラムを用いたHPLC(高速液体クロマトグラフィー)システムを用いて、昭和電工製プルランを標準物質として重量平均分子量を測定した結果、分子量は30万であった。
(製造例2)・・・PEDOT−PSS水溶液の製造
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、製造例1で得た36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。これにより得られた混合溶液を20℃に保ち攪拌を行いながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくりと添加し、3時間攪拌して反応させた。得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。次に、得られた溶液に、200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.2質量%の青色のPEDOT−PSSの水溶液を得た。
(製造例3)・・・PEDOT−PSSの分散した有機溶剤の製造
150gのメタノールと、7.06gのC10、C12混合高級アルコールグリシジルエーテルとを混合した。次に、その溶液内に、製造例2で得られた50gのPEDOT−PSSの水溶液を室温で混合して撹拌することにより、紺色の析出物を得た。この析出物を濾過回収し、メチルエチルケトンに分散させ、メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)を得た。
(製造例4)・・・PEDOT−PSSの分散した有機溶剤の製造
製造例3のC10、C12混合高級アルコールグリシジルエーテルを12.5gに変えた以外、製造例3と同条件にて、メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)を得た。
(製造例5)・・・PEDOT−PSSの分散した有機溶剤の製造
製造例3のC10、C12混合高級アルコールグリシジルエーテルを、C12、C13混合高級アルコールグリシジルエーテルに変えた以外、製造例3と同条件にて、メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)を得た。
(製造例6)・・・PEDOT−PSSの分散した有機溶剤の製造
製造例5のC12、C13混合高級アルコールグリシジルエーテルを12.5gに変えた以外、製造例5と同条件にて、メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)を得た。
(製造例7)・・・PEDOT−PSSの分散した有機溶剤の製造
製造例3のC10、C12混合高級アルコールグリシジルエーテルを、C12、C14混合高級アルコールグリシジルエーテルに変えた以外、製造例3と同条件にて、メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)を得た。
(製造例8)・・・PEDOT−PSSの分散した有機溶剤の製造
製造例7のC12、C14混合高級アルコールグリシジルエーテルを12.5gに変えた以外、製造例7と同条件にて、メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)を得た。
<導電性高分子溶液の製造>
(実施例1)
製造例3で得られた「メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)」800質量部に対して、下記の硬化剤10.13質量部と、下記の結合剤100質量部とを添加して、導電性高分子溶液を作製した。
[硬化剤]
商品名: デュラネート24A−100(ヘキサメチレンジイソシアネート型ビウレット型)
メーカー: 旭化成ケミカルズ社
固形分濃度: 100質量%
NCO含量: 23.5質量%
[結合剤]
商品名: バイロン200
メーカー: 東洋紡株式会社
固形分濃度: 上記バイロン200(ペレット状固体)をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して固形分濃度10%に調整した。
(実施例2)
実施例1で用いた「メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)」を、製造例4で得られたものに変えた以外、実施例1と同一条件で導電性高分子溶液を作製した。
(実施例3)
実施例1で用いた「メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)」を、製造例5で得られたものに変えた以外、実施例1と同一条件で導電性高分子溶液を作製した。
(実施例4)
実施例1で用いた「メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)」を、製造例6で得られたものに変えた以外、実施例1と同一条件で導電性高分子溶液を作製した。
(実施例5)
実施例1で用いた「メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)」を、製造例7で得られたものに変えた以外、実施例1と同一条件で導電性高分子溶液を作製した。
(実施例6)
実施例1で用いた「メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)」を、製造例8で得られたものに変えた以外、実施例1と同一条件で導電性高分子溶液を作製した。
(実施例7)
実施例1で用いた結合剤を添加しなかった以外、実施例1と同一条件で導電性高分子溶液を作製した。
(比較例1)
実施例1で用いた「メチルエチルケトンに分散したPEDOT−PSSの分散液(濃度: 約0.5質量%)」を、製造例2で得られたものに変えた以外、実施例1と同一条件で導電性高分子溶液を作製した。しかし、PEDOT−PSSの凝集や分離が起き、分散状態が極めて悪い溶液しか得られなかった。このため、後述の塗膜の形成が不可能であった。
(比較例2)
実施例1において使用した硬化剤と結合剤とを添加しなかった以外、実施例1と同一条件で導電性高分子溶液を作製した。
<塗膜の製造>
上記各実施例および比較例で作成した導電性高分子溶液を、厚さ100ミクロンの二軸延伸PETフィルム(製品名: E5100、東洋紡社製)上に、#4バーコーターを用いて塗布し、100℃×1分で乾燥し、80℃で24時間エージングして塗膜を形成した。各実施例の塗膜を100℃×1分の乾燥条件で形成できることは、低温速乾性に優れることを示す。
<塗膜の評価方法>
(1)塗膜硬化特性
塗膜硬化特性の試験は、水で湿らせた脱脂綿を導電性塗膜上に、250g/cmの荷重をかけながら200往復させ、それにより生じた抵抗値変化を測定した。前抵抗は、成形塗膜の表面抵抗率(Ω/□)を意味し、後抵抗は、前記200往復施行後の表面抵抗率を意味する。これらの試験で十分な硬化膜が得られていなければ、それぞれの抵抗値変化が大きくなる。
(2)表面抵抗率
三菱化学アナリテック社製のハイレスタMCP−HT450(品名)を用いて、プローブMCP−HTP12、印加電圧10Vの条件で測定した。
(3)透過率
表面抵抗値の測定に用いたフィルムの透過率を、ヘイズメーターNDH5000(日本電色社製)を用いて測定した。
(4)外観
塗膜を目視観察し、塗膜に凝集物や異物がないものを「○」、凝集物や異物があるものを「×」と評価した。
<評価結果>
表1に、各実施例および各比較例にて得られた溶液およびそれを用いて形成した塗膜の評価を示す。表中、「Over」は、装置測定上限範囲外を意味し、「−」は、測定不可を意味する。
Figure 0006324242
表1から明らかなように、各実施例で得られた塗膜は、外観および透明性に優れ、かつ低温速乾性にも優れていた。
本発明は、例えば、剥離紙、帯電防止フィルム、導電性塗料、タッチスクリーン、有機EL、導電性高分子繊維などに有効に利用できる。

Claims (12)

  1. (a)π共役系導電性高分子と、
    (b)前記(a)π共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンと、
    (c)前記(b)ポリアニオン中のドープに要した以外のアニオンと、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物と、
    (d)イソシアネート基を有する硬化剤と、
    (e)有機溶剤を主とする溶媒と、
    結合剤と、
    を含む導電性高分子溶液。
  2. 前記有機溶剤は水酸基を持たない溶剤である請求項1に記載の導電性高分子溶液。
  3. 前記結合剤はイソシアネート基と反応する官能基を有する請求項1または2に記載の導電性高分子溶液。
  4. 前記イソシアネート基と反応する官能基は、水酸基、メルカプト基またはカルボキシル基の内の少なくとも1つである請求項に記載の導電性高分子溶液。
  5. 前記(a)π共役系導電性高分子が、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの内の2以上の共重合体からなる群から選択される少なくとも1種以上の繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  6. 前記(a)π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)またはポリピロールであることを特徴とする請求項に記載の導電性高分子溶液。
  7. 前記(b)ポリアニオンが、スルホン酸基、リン酸基およびカルボキシル基から選択される1種若しくはそれ以上の混合物であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  8. 前記(b)ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアクリル酸アルキレンスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)またはそれらの1種以上を共重合構成体として含むものであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の導電性高分子溶液。
  9. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の導電性高分子溶液を製造する方法であって、
    有機溶剤を主とする溶媒中において、π共役系導電性高分子にポリアニオンをドープした導電性高分子粒子と、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物とを存在せしめ、前記ポリアニオンと前記オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物とを反応させる工程と、
    イソシアネート基を有する硬化剤を添加する工程と、
    前記イソシアネート基を有する硬化剤を添加する前若しくは後に結合剤を添加する工程と、
    を少なくとも含む導電性高分子溶液の製造方法。
  10. 前記結合剤はイソシアネート基と反応する官能基を有する請求項に記載の導電性高分子溶液の製造方法。
  11. 前記イソシアネート基と反応する官能基は、水酸基、メルカプト基またはカルボキシル基の内の少なくとも1つである請求項10に記載の導電性高分子溶液の製造方法。
  12. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の導電性高分子溶液から、有機溶剤を主とする溶媒を低減せしめ硬化して成る塗膜。
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