JP6504843B2 - 導電性高分子組成物および剥離フィルム - Google Patents
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Description
1.導電性高分子組成物
(1)硬化性オルガノポリシロキサン組成物
この実施の形態で用いられる硬化性オルガノポリシロキサン組成物としては、以下に例示するものを使用できる。以下の各種硬化性オルガノポリシロキサン組成物の中では、特に、付加硬化性オルガノポリシロキサン組成物が好ましい。
付加硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、例えば、末端にビニル基を有するシリコーンゴム(生ゴムなど)と、Si−H基を有する架橋剤と、付加反応触媒とを含む。架橋剤は、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、直鎖状あるいは分岐状のいずれをも使用できる。付加反応触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とアルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン化合物との反応物、塩化白金酸とビニル基含有シロキサンとの反応物、白金−オレフィン錯体、白金−ビニル基含有シロキサン錯体等の白金系触媒、ロジウム錯体、ルテニウム錯体等の白金族金属系触媒が挙げられる。また、これらのものをイソプロパノール、トルエン等の溶剤や、シリコーンオイルなどに溶解、分散させたものを用いることができる。付加硬化性オルガノポリシロキサン組成物としては、一例としては、分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、分子中に少なくとも3個のヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン、主として白金、パラジウム、ロジウム等の白金族金属変性体若しくは錯体からなるヒドロシリル化触媒を含む。ただし、付加硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含め硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、触媒を含まないものを称しても良い。
縮合硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、例えば、以下の例1〜例3記載のいずれかの化合物から主に構成される。
<例1>
A)分子中に少なくとも2個のシラノール基を有するオルガノポリシロキサン
B)分子中に少なくとも3個の加水分解性基を有するオルガノシラン若しくはオルガノポリシロキサン
C)縮合触媒
<例2>
A)分子中に少なくとも2個のシラノール基を有するオルガノポリシロキサン
B)分子中に少なくとも3個のヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン
C)縮合触媒
<例3>
A)分子中に少なくとも3個の加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン
B)縮合触媒
電離放射線硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、例えば、以下例1〜例6記載のいずれかの化合物を含み、光開始剤を用いて紫外線によって硬化され、あるいは電子線によって硬化される。
<例1>
アクリルアミド基含有オルガノポリシロキサン
このオルガノポリシロキサンは、分子中に、下記の化学式(3)で表されるアクリルアミド官能基を含むオルガノポリシロキサンである。
一分子中に少なくとも2個のメルカプトアルキル基を有するオルガノポリシロキサン
このオルガノポリシロキサンは、一分子中に、下記の化学式(4)で表されるメルカプトアルキル官能基を少なくとも2個含むオルガノポリシロキサンである。
一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンからなる組成物
このオルガノポリシロキサンは、一分子中に、少なくとも2個のアルケニル基(−CnH2n−1(nは、2以上の整数。))を含むオルガノポリシロキサンからなる組成物である。
<例4>
アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
このオルガノポリシロキサンは、分子中にアルケニル基(−CnH2n−1(nは、2以上の整数。))を含むオルガノポリシロキサンである。
<例5>
アクリル基またはメタクリル基含有オルガノポリシロキサン
このオルガノポリシロキサンは、分子中にアクリル基(CH2CHCO−)またはメタクリル基(CH2C(CH3)CO−)を含むオルガノポリシロキサンである。
<例6>
a)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
b)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン
この実施形態に係る導電性高分子組成物は、導電性高分子として、好ましくは、少なくとも、π共役系導電性高分子を含む。また、導電性高分子組成物は、導電性高分子に加え、ポリアニオンを含む。また、導電性高分子組成物は、好ましくは、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物を含み、さらに好ましくはポリアニオンとオキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物を含む。ポリアニオンのアニオン基にオキシラン基若しくはオキセタン基が反応していると、ポリアニオンの親水性が失われ、親油性を呈する。
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば、何らの限定もなく用いることができる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの内の2以上の共重合体を好適に挙げることができる。重合の容易性、空気中における安定性の観点では、特に、ポリピロール類、ポリチオフェン類あるいはポリアニリン類を好適に用いることができる。π共役系導電性高分子は、無置換のままでも、十分に高い導電性およびバインダへの相溶性を示すが、導電性、バインダへの分散性若しくは溶解性をより高めるためには、アルキル基、アルケニル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基などの官能基が導入されても良い。
次に、π共役系導電性高分子と複合体を形成するポリアニオンについて説明する。
次に、導電性高分子組成物に好適に含むことのできるオキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物について説明する。
単官能オキシラン基含有化合物としては、プロピレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシテトラデカン、グリシジルメチルエーテル、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、エチルグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシエイコサン、2−(クロロメチル)−1,2−エポキシプロパン、グリシドール、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、ブチルグリシジルエーテル、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシ−9−デカン、2−(クロロメチル)−1,2−エポキシブタン、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,2H,3H,3H−トリフルオロブタン、アリルグリシジルエーテル、テトラシアノエチレンオキサイド、グリシジルブチレート、1,2−エポキシシクロオクタン、グリシジルメタクリレート、1,2−エポキシシクロドデカン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタデカン、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−1H,1H,2H,2H,3H,3H−ヘプタデカフルオロブタン、3,4−エポキシテトラヒドロフラン、グリシジルステアレート、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、エポキシ琥珀酸、グリシジルフェニルエーテル、イソホロンオキサイド、α−ピネンオキサイド、2,3−エポキシノルボルネン、ベンジルグリシジルエーテル、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−(3−グリシジルオキシプロピル)トリシロキサン、9,10−エポキシ−1,5−シクロドデカジエン、4−tert−ブチル安息香酸グリシジル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、2−tert−ブチル−2−[2−(4−クロロフェニル)]エチルオキシラン、スチレンオキサイド、グリシジルトリチルエーテル、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−フェニルプリピレンオキサイド、コレステロール−5α,6α−エポキシド、スチルベンオキサイド、p−トルエンスルホン酸グリシジル、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル、N−プロピル−N−(2,3−エポキシプロピル)ペルフルオロ−n−オクチルスルホンアミド、(2S,3S)−1,2−エポキシ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−フェニルブタン、3−ニトロベンゼンスルホン酸(R)−グリシジル、3−ニトロベンゼンスルホン酸−グリシジル、パルテノリド、N−グリシジルフタルイミド、エンドリン、デイルドリン、4−グリシジルオキシカルバゾール、7,7−ジメチルオクタン酸[オキシラニルメチル]などを例示できる。
単官能オキセタン基含有化合物としては、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(=オキセタンアルコール)、2−エチルヘキシルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メタアクリレートなどを例示できる。
上記化学式(1)、さらには化学式(2)で表されるシラン化合物において、R1、R2およびR3は、水素若しくはそれ以外の任意の基である。任意の基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ビニル基、アリル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、ベンジル基、アシル基、エポキシ基、メルカプト基などが挙げられる。具体的なシラン化合物としては、トリアセトキシメチルシラン、トリアセトキシエチルシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジアセトキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルアセトキシシラン、エチルビニルアセトキシシラン、ブチルビニルアセトキシシラン、ジ−tert−ブトキシジアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどが挙げられる。
この実施の形態に係る導電性高分子組成物は、上記(1)〜(5)の成分に加え、例えば、以下のような成分も含めることができる。
有機溶剤は、この実施の形態に係る導電性高分子組成物に含有せしめ得る成分である。導電性高分子組成物を可溶化若しくは分散させる溶媒に用いられる有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホニウムトリアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル等に代表される極性溶媒; クレゾール、フェノール、キシレノール等に代表されるフェノール類; メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等に代表されるアルコール類; アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等に代表されるケトン類; 酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等に代表されるエステル類; ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等に代表される炭化水素類; ギ酸、酢酸等に代表されるカルボン酸; エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等に代表されるカーボネート化合物; ジオキサン、ジエチルエーテル等に代表されるエーテル化合物; エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等に代表される鎖状エーテル類; 3−メチル−2−オキサゾリジノン等に代表される複素環化合物; アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等に代表されるニトリル化合物などを好適に例示できる。これらの有機溶剤は、単独で用いても良く、あるいは2種以上を混合して用いても良い。
導電性高分子組成物の製造の際、塗膜の導電性をさらに向上させるべく、下記(6.2.1)〜(6.2.7)の化合物から選ばれる1種以上の導電性向上剤を添加するのが好ましい。
(6.2.1)窒素含有芳香族性環式化合物
(6.2.2)2個以上のヒドロキシ基を有する化合物
(6.2.3)2個以上のカルボキシ基を有する化合物
(6.2.4)1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物
(6.2.5)アミド基を有する化合物
(6.2.6)イミド基を有する化合物
(6.2.7)ラクタム化合物
窒素含有芳香族性環式化合物としては、好適には、一つの窒素原子を含有するピリジン類およびその誘導体、二つの窒素原子を含有するイミダゾール類およびその誘導体、ピリミジン類およびその誘導体、ピラジン類およびその誘導体、三つの窒素原子を含有するトリアジン類およびその誘導体等が挙げられる。溶媒溶解性等の観点からは、ピリジン類およびその誘導体、イミダゾール類およびその誘導体、ピリミジン類およびその誘導体が好ましい。
2個以上のヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、チオジエタノール、グルコース、酒石酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等の多価脂肪族アルコール類; セルロース、多糖、糖アルコール等の高分子アルコール; 1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシ−1−ペンタデシルベンゼン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ヒドロキシキノンカルボン酸およびその塩類、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、1,4−ヒドロキノンスルホン酸およびその塩類、4,5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸およびその塩類、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ジヒドロキシナフタレン−2,5−ジカルボン酸、1,5−ジヒドロキシナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸およびその塩類、1,8−ジヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸およびその塩類、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸およびその塩類、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、5−メチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−エチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−プロピル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾアルデヒド、トリヒドロキシアントラキノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシ−p−ベンゾキノン、テトラヒドロキシアントラキノン、ガーリック酸メチル(没食子酸メチル)、ガーリック酸エチル(没食子酸エチル)等の芳香族化合物、ヒドロキノンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
2個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マロン酸、1,4−ブタンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸、クエン酸等の脂肪族カルボン酸類化合物; フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、5−スルホイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4,4’−オキシジフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の、芳香族性環に少なくとも一つ以上のカルボキシ基が結合している芳香族カルボン酸類化合物; ジグリコール酸、オキシ二酪酸、チオ二酢酸(チオジ酢酸)、チオ二酪酸、イミノ二酢酸、イミノ酪酸等が挙げられる。
1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、酒石酸、グリセリン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等が挙げられる。
アミド基を有する化合物は、−CO−NH−(COの部分は二重結合)で表されるアミド結合を分子中に有する単分子化合物である。すなわち、アミド化合物としては、例えば、上記結合の両末端に官能基を有する化合物、上記結合の一方の末端に環状化合物が結合された化合物、上記両末端の官能基が水素である尿素および尿素誘導体などが挙げられる。アミド化合物の具体例としては、アセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2−フルアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、プロピオンアミド、プロピオルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、メタクリルアミド、パルミトアミド、ステアリルアミド、オレアミド、オキサミド、グルタルアミド、アジプアミド、シンナムアミド、グリコールアミド、ラクトアミド、グリセルアミド、タルタルアミド、シトルアミド、グリオキシルアミド、ピルボアミド、アセトアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアミド、アントラニルアミド、エチレンジアミンテトラアセトアミド、ジアセトアミド、トリアセトアミド、ジベンズアミド、トリベンズアミド、ローダニン、尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、ビウレット、ブチル尿素、ジブチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素およびこれらの誘導体等が挙げられる。
イミド化合物としては、その骨格より、フタルイミドおよびフタルイミド誘導体、スクシンイミドおよびスクシンイミド誘導体、ベンズイミドおよびベンズイミド誘導体、マレイミドおよびマレイミド誘導体、ナフタルイミドおよびナフタルイミド誘導体などが挙げられる。
ラクタム化合物とは、アミノカルボン酸の分子内環状アミドであり、環の一部が−CO−NR12−(R12は水素または任意の置換基)である化合物である。ただし、環の一個以上の炭素原子が不飽和やヘテロ原子に置き換わっていてもよい。ラクタム化合物としては、例えば、ペンタノ−4−ラクタム、4−ペンタンラクタム−5−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサノ−6−ラクタム、6−ヘキサンラクタム等が挙げられる。
この実施の形態に係る導電性高分子組成物は、硬化性オルガノポリシロキサン組成物と、導電性高分子と、化学式(1)若しくは化学式(2)で表されるシラン化合物とを混合して製造することができる。製造に際して、有機溶剤を、硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびシラン化合物の内の少なくともいずれか一方と予め混合しておく方が好ましい。
(1)導電性高分子/ポリアニオン錯体水分散体の溶液からの製造方法
導電性高分子/ポリアニオン錯体水分散体は、導電性高分子用のモノマーとドーパントとが共存した水溶液または水分散体の状態に、酸化剤の存在下で重合を行う。ただし、このようなモノマーからの重合のみならず、市販の導電性高分子/ドーパント水分散体を用いても良い。市販の導電性高分子/ドーパント水分散体としては、例えば、Heraeus社のPEDOT/PSS水分散体(商品名: Clevios)、アグファ社のPEDOT/PSS水分散体(商品名: Orgacon)などを挙げることができる。
既に固体となっているπ共役系導電性高分子にドープしたポリアニオンの状態の導電性組成物に、水および/またはオキシラン基若しくはオキセタン基含有化合物が溶解する溶剤を適量添加後、好ましくはアニオンとオキシラン基若しくはオキセタン基とを反応させる。その後、反応液を濃縮、濾別あるいは乾固する。その後、好適には、得られた濃縮物あるいは固体を、硬化性オルガノポリシロキサン組成物および化学式(1)若しくは化学式(2)で表されるシラン化合物を含む有機溶剤を主とする溶媒中に可溶若しくは分散させて、塗料の形態で使用する。また、上記製造において、アニオンとオキシラン基若しくはオキセタン基とを反応させた後、水に不溶の有機溶剤を加えて、水不溶の溶剤相に導電性高分子を転相させ、必要に応じて脱水などの工程を経た後に、導電性高分子を、硬化性オルガノポリシロキサン組成物および化学式(1)若しくは化学式(2)で表されるシラン化合物を含む有機溶剤を主とする溶媒中に、可溶若しくは分散させても良い。(2)の方法では、凍結乾燥された導電性組成物を原料として用いているので、特に、濃縮する工程の時間を短縮できる。
本発明の実施の形態に係る剥離フィルムは、上述の導電性高分子組成物を基体上に塗工し、硬化させて成る。剥離フィルムは、導電性高分子組成物によって形成される塗膜と、基体との積層体である。塗膜と基体との間に第三層が介在していても良い。導電性高分子組成物が固形の場合には、それを、有機溶剤を主とする溶媒中に可溶若しくは分散させ、さらに硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含め、剥離フィルム作製用の塗料を用意する。また、導電性高分子組成物が既に有機溶剤を主とする溶媒中に可溶若しくは分散させた状態の溶液である場合にはそのまま若しくは有機溶剤でさらに希釈し、そこに硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含め、剥離フィルム作製用の塗料を用意する。塗料は、紙、プラスチック、鉄、セラミックス、ガラスに代表される基体上に供給される。供給方法としては、刷毛やバーコーターを使う塗布法、塗料中に基体を浸漬するディップ法、塗料を基体上に滴下して基体を回転させて塗料を拡げるスピンコート法などの種々の手法を例示できる。基体上の塗料の硬化法は、加熱により有機溶剤を除去する方法の他、紫外線などの光や電子線を照射して硬化する方法などを例示できる。
(製造例1)・・・ポリスチレンスルホン酸の製造
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃にて攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、その溶液を12時間攪拌した。得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形物を得た。得られたポリスチレンスルホン酸についてGPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)カラムを用いたHPLC(高速液体クロマトグラフィー)システムを用いて、昭和電工株式会社製のプルランを標準物質として重量平均分子量を測定した結果、分子量は30万であった。
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、製造例1で得た36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。これにより得られた混合溶液を20℃に保ち攪拌を行いながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくりと添加し、3時間攪拌して反応させた。得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。次に、得られた溶液に、200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.2質量%の青色のPEDOT−PSSの水溶液を得た。
100gのメタノールと25gのC12、C13混合高級アルコールグリシジルエーテル(共栄社化学エポライト1230)とを混合した。次に、その混合液に、製造例2で得られた100gのPEDOT−PSSの水溶液を加え、室温で攪拌して紺色の析出物を得た。この析出物を濾過回収し、メチルエチルケトンに分散させ、約0.5質量%のPEDOT−PSS分散のメチルエチルケトン溶液を得た。
(実施例1)
製造例3で製造した溶液8.9955gと、トリアセトキシメチルシラン0.0045gと、メチルエチルケトン58.5gと、トルエン21gと、KS−3703T(付加硬化性シリコーン:信越化学工業株式会社製)1.5gと、CAT−PL−50T(白金触媒:信越化学工業株式会社製)0.03gと、を混合して溶液を作製した。
(実施例2)
製造例3で製造した溶液を8.991gに変更し、トリアセトキシメチルシランを0.009gに変更した以外を、実施例1と同条件として溶液を作製した。
(実施例3)
製造例3で製造した溶液を8.9775gに変更し、トリアセトキシメチルシランを0.0225gに変更した以外を、実施例1と同条件として溶液を作製した。
(実施例4)
製造例3で製造した溶液を8.9775gに変更し、トリアセトキシメチルシランを0.045gに変更した以外を、実施例1と同条件として溶液を作製した。
(実施例5)
製造例3で製造した溶液を8.91gに変更し、トリアセトキシメチルシランを0.09gに変更した以外を、実施例1と同条件として溶液を作製した。
(実施例6)
製造例3で製造した溶液を8.865gに変更し、トリアセトキシメチルシランを0.135gに変更した以外を、実施例1と同条件として溶液を作製した。
(実施例7)
製造例3で製造した溶液を8.865gに変更し、トリアセトキシメチルシランに代えてメチルトリイソプロペノキシシラン0.045gを用いた以外を、実施例1と同条件として溶液を作製した。
(実施例8)
製造例3で製造した溶液を8.865gに変更し、トリアセトキシメチルシランに代えてビニルトリアセトキシシラン0.045gを用いた以外を、実施例1と同条件として溶液を作製した。
(実施例9)
製造例3で製造した溶液を8.865gに変更し、ビニルトリアセトキシシランを3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.045gに変更した以外を、実施例8と同条件として溶液を作製した。
(比較例1)
製造例3で製造した溶液9gと、メチルエチルケトン58.5gと、トルエン21gと、KS−3703T(付加硬化性シリコーン:信越化学工業株式会社製)と、CAT−PL−50T(白金触媒:信越化学工業株式会社製)と、を混合して溶液を作製した。
表1に示した各種溶液を未処理のフィルムに#8のバーコーター(溶液塗布量: 18.32μm)で塗布し、150℃で1分間の乾燥に供した。硬化性の評価は、指で10回擦って曇りが出たものを「×」、薄く曇りが生じたものを「△」、曇りが生じないものを「○」とした。剥離力は、作製したフィルムを20時間、袋に入れ保管し、25mm幅のNitto No.31B(日東電工株式会社製)を貼り合せ、20時間放置した後、引張試験機オートグラフAGS−X(株式会社島図製作所製)により300mm/minの引張速度で測定した。密着性は、塗工してから20時間、袋の中で放置した後、ガーゼをあてた50gf/cm2の荷重で10往復擦り、剥離力を測定することで評価した。その際、剥離力の上昇値として、ラブオフ値を次式から算出した。
表2に、評価結果を示す。
Claims (8)
- 硬化性オルガノポリシロキサン組成物と、
導電性高分子と、
ポリアニオンと、
下記の化学式(2)で表されるシラン化合物と、
を含む導電性高分子組成物であって、
前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物が、前記導電性高分子とポリアニオンとの合計量100質量%に対して100〜20000質量%含まれ、
前記ポリアニオンが、前記導電性高分子100質量%に対して50〜500質量%含まれ、
前記シラン化合物が、前記導電性高分子とポリアニオンとの合計量100質量%に対して50〜300質量%含まることを特徴とする導電性高分子組成物。
- 前記シラン化合物は、R 2およびR3の少なくともいずれか一つを、置換基を含んでも良い炭化水素基若しくはアルコキシ基、水素またはメルカプト基とする化合物である請求項1に記載の導電性高分子組成物。
- 前記導電性高分子をπ共役系導電性高分子とし、
さらに、オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物を含む請求項1または請求項2に記載の導電性高分子組成物。 - 前記ポリアニオンと前記オキシラン基および/またはオキセタン基含有有機化合物との反応生成物を含む請求項3に記載の導電性高分子組成物。
- 前記π共役系導電性高分子はポリエチレンジオキシチオフェンであり、
前記ポリアニオンはポリスチレンスルホン酸である請求項3または請求項4に記載の導電性高分子組成物。 - 前記シラン化合物は、トリアセトキシメチルシラン、トリアセトキシエチルシラン、ビニルトリアセトキシシランから選択される1種または2種以上である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の導電性高分子組成物。
- 前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物を付加反応型シリコーン組成物とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の導電性高分子組成物。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の導電性高分子組成物を基体上に塗工して硬化させてなる剥離フィルム。
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