JP6607832B2 - 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6607832B2
JP6607832B2 JP2016155062A JP2016155062A JP6607832B2 JP 6607832 B2 JP6607832 B2 JP 6607832B2 JP 2016155062 A JP2016155062 A JP 2016155062A JP 2016155062 A JP2016155062 A JP 2016155062A JP 6607832 B2 JP6607832 B2 JP 6607832B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive
conductive polymer
group
compound
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016155062A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018021164A (ja
Inventor
総 松林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Polymer Co Ltd filed Critical Shin Etsu Polymer Co Ltd
Priority to JP2016155062A priority Critical patent/JP6607832B2/ja
Publication of JP2018021164A publication Critical patent/JP2018021164A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6607832B2 publication Critical patent/JP6607832B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Description

本発明は、π共役系導電性高分子を含む導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法に関する。
導電層を形成するための塗料として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)にポリスチレンスルホン酸がドープされた導電性高分子の水系分散液を使用することがある。例えば、特許文献1には、導電性高分子分散液にポリビニアルアルコールを含有させ、プラスチックフィルム基材に塗工し、必要に応じて延伸することが可能な、帯電防止フィルムの製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、アミン化合物を含む有機溶媒に導電性高分子を分散させた分散液が開示されており、特許文献3には、オキシラン基又はオキセタン基を有する環状エーテル化合物を用いて、導電性高分子の有機溶媒に対する分散性を向上させた導電性高分子分散液が開示されている。
特開2016−047501号公報 特開2011−032382号公報 国際公開第2014/125827号
しかし、従来の導電性高分子分散液を用いて製造された導電性フィルムの導電性は、製造後に空気に触れた状態で数日経過すると製造直後よりも低下する場合があった。このため、従来の導電性フィルムには経時的な導電性の低下を抑制することが求められていた。
本発明は、導電性が高く、空気中での経時的な導電性低下が抑制された導電性フィルムを容易に製造できる、導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法を提供する。
[1] π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有する、導電性高分子分散液。
[2] アミン化合物をさらに含有し、前記分散媒が有機溶剤を含む、[1]に記載の導電性高分子分散液。
[3] エポキシ化合物をさらに含有し、前記分散媒が有機溶剤を含む、[1]に記載の導電性高分子分散液。
[4] バインダ成分をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
[5] 前記バインダ成分が水分散性樹脂である、[4]に記載の導電性高分子分散液。
[6] 前記バインダ成分が、アクリル化合物である、[4]に記載の導電性高分子分散液。
[7] 前記バインダ成分がポリエステルである、[4]に記載の導電性高分子分散液。
[8] 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
[9] 前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
[10] π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物と、を含有する導電層がフィルム基材の少なくとも一方の面に形成された導電性フィルム。
[11] π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液に、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物を添加するモルホリン系化合物添加工程を有する、導電性高分子分散液の製造方法。
[12] π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液を乾燥させて乾燥体を得る乾燥工程と、前記乾燥体にアミン化合物及び有機系分散媒を添加して導電性混合液を調製する導電性混合液調製工程と、前記導電性混合液に、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物を添加するモルホリン系化合物添加工程とを、有する、導電性高分子分散液の製造方法。
[13] π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液にエポキシ化合物を添加して導電性複合体を析出させて析出物を形成させる析出工程と、前記析出物を回収する回収工程と、回収した前記析出物に有機系分散媒を添加して導電性混合液を調製する導電性混合液調製工程と、前記導電性混合液に、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物を添加するモルホリン系化合物添加工程とを、有する、導電性高分子分散液の製造方法。
[14] 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[11]〜[13]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[15] 前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、[11]〜[14]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[16] フィルム基材の少なくとも一方の面に、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液を塗工する塗工工程を有する、導電性フィルムの製造方法。
Figure 0006607832
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、前記アルキル基における互いに隣接しない1以上のメチレン基(−CH−)はカルボニル基(>C=O)、エーテル基(−O−)、カルボキシル基{‐C=O(−O−)}又はビニレン基(−CH=CH−)に置換されていてもよい。]
本発明の導電性高分子分散液によれば、分散媒が水系又は有機系の何れであっても、導電性が高く且つ空気中での経時的な導電性低下が抑制された導電層を容易に形成できる。
本発明の導電性高分子分散液の製造方法によれば、分散媒中に導電性高分子を容易に分散して、導電性が高く且つ空気中での経時的な導電性の低下が抑制された導電層を容易に形成可能な導電性高分子分散液を容易に製造できる。
本発明の導電性フィルムの製造方法によれば、導電性が高く且つ空気中での経時的な導電性低下が抑制された導電層を備えた導電性フィルムを容易に製造できる。
《導電性高分子分散液》
本発明の第一態様の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有する。
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
前記π共役系導電性高分子は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ポリアニオン)
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
このようなポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
これらポリアニオンのなかでも、導電性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記ポリアニオンは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。
本明細書における質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定し、標準物質をポリスチレンとして求めた値である。
導電性複合体中の、ポリアニオンの含有割合は、π共役系導電性高分子100質量部に対して1質量部以上1000質量部以下の範囲であることが好ましく、10質量部以上700質量部以下の範囲であることがより好ましく、100質量部以上500質量部以下の範囲であることがさらに好ましい。ポリアニオンの含有割合が前記下限値以上であると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が高まる傾向にあり、導電性が向上することがあり、また、導電性高分子分散液における導電性複合体の分散性が高くなる。一方、ポリアニオンの含有量が前記上限値以下であると、π共役系導電性高分子の相対的な含有量が高まり、充分な導電性が得られ易い。
ポリアニオンが、π共役系導電性高分子に配位してドープすることによって導電性複合体を形成する。
ただし、本態様におけるポリアニオンにおいては、全てのアニオン基がπ共役系導電性高分子にドープすることはなく、ドープに寄与しない余剰のアニオン基を有するようになっている。
(モルホリン系化合物)
本態様において使用される、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物は、モルホリンの窒素原子に結合する水素原子がR基によって置換されたものである。
Figure 0006607832
式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、前記アルキル基における互いに隣接しない1以上のメチレン基(−CH−)はカルボニル基(>C=O)、エーテル基(−O−)、カルボキシル基{‐C=O(−O−)}又はビニレン基(−CH=CH−)に置換されていてもよい。
前記アルキル基は直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。具体的には、例えば、下記式(1a)〜(1d)で表される、4−ホルミルモルホリン、4−アセチルモルホリン、N−アセトアセチルモルホリン、4−アクリロイルモルホリン等が好ましい。
これらのモルホリン系化合物を前記導電性複合体が含まれる分散液に添加することによって、その分散液を塗工して形成される導電層の製造直後〜数時間のうちに生じる空気中での経時的な導電性の低下を抑制することができる。このメカニズムとしては、詳細は未解明であるが、前記式(1)で表されるモルホリン系化合物が導電性複合体に電気的に配位し大気暴露による導電性の劣化を防いでいるということが推測される。
Figure 0006607832
前記モルホリン系化合物は1種類が単独で含まれていても良いし、2種類以上が組み合わされて含まれていても良い。
本態様の導電性高分子分散液における前記モルホリン系化合物の合計の含有量は、前記導電性複合体100質量部に対して、50質量部以上10000質量部以下が好ましく、100質量部以上5000質量部以下がより好ましく、300質量部以上1000質量部以下がさらに好ましく、400質量部以上800質量部以下が特に好ましい。モルホリン系化合物の含有量が前記下限値以上であると、空気中での経時的な導電性の低下を抑制する効果がより高まり、前記上限値以下であると、π共役系導電性高分子濃度低下による導電性低下を防止できる。
(分散媒)
前記導電性複合体を分散させる分散媒は、水、有機溶剤、又は、水と有機溶剤との混合液であり、分散媒の総質量に対して60質量%以上の水を含む水系分散媒であってもよいし、分散媒の総質量に対して60質量%未満の水を含む又は水を含まない有機系分散媒であってもよい。
前記分散媒が水系分散媒であると、前記導電性複合体の分散性が良く、塗工時の操作性に優れる。水系分散媒100質量%における水の含有量は、前記導電性複合体の分散性を向上させる観点から、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
一方、前記分散媒が有機系分散媒であると、フィルム基材に塗工した導電性高分子分散液の濡れ性がより高くなり、塗工された塗膜の乾燥速度がより速くなり、乾燥後に形成される導電層のフィルム基材に対する密着性がより高くなる。
前記有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤等が挙げられる。有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、アリルアルコール等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
アミド系溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
これらの有機溶剤のうち、メタノール及びイソプロパノール等の前記アルコール系溶剤から選ばれる1種以上が、前記モルホリン系化合物の溶解性がよいので、好ましい。
(塩基性化合物)
本態様の導電性高分子分散液は、無機アルカリ、アミン化合物、四級アンモニウム塩、窒素含有芳香族性環式化合物等の塩基性化合物を含有してもよい。塩基性化合物を含むと、前記導電性複合体の前記有機系分散媒に対する分散性が向上する、という効果が得られる。
ここで「塩基性化合物」とは、プロトンを結合可能な孤立電子対(ローンペア)を有する炭素原子以外の原子(ヘテロ原子)を含む化合物又は水溶液中で解離して水酸化物イオンを発生する化合物をいう。ただし、前記塩基性化合物は前記モルホリン系化合物以外の化合物である。
無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、アニリン、トルイジン、ベンジルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリオクチルアミン等が挙げられる。
四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、テトラベンジルアンモニウム塩、テトラナフチルアンモニウム塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヒドロキシド等が挙げられる。
窒素含有芳香族性環式化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール、ピリジン等が挙げられる。
上記塩基性化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の導電性高分子分散液における前記塩基性化合物の合計の含有量は、前記導電性複合体100質量部に対して、10質量部以上300質量部以下が好ましく、30質量部以上200質量部以下がより好ましく、60質量部以上100質量部以下がさらに好ましい。前記塩基性化合物の含有量が前記下限値以上であると、π共役系導電性高分子の有機系分散媒への分散性が向上し、前記上限値以下であると、π共役系導電性高分子濃度低下による導電性低下を防止できる。
(エポキシ化合物)
本態様の導電性高分子分散液は、エポキシ化合物を含有していてもよい。エポキシ化合物は、エポキシ基を有する分子量10000未満の化合物であり、エポキシ基がポリアニオンのアニオン基と反応して化学結合を形成する。つまり、エポキシ化合物は、ポリアニオンのアニオン基、特にドープに関与しない余剰のアニオン基に配位結合又は共有結合して、導電性複合体を疎水化することができる。疎水化された導電性複合体は有機溶剤に対する分散性が高くなる。この場合、前記分散媒は、エポキシ化合物又はエポキシ化合物と反応したポリアニオンの分散性を向上させる観点から、有機系分散媒であることが好ましい。
エポキシ化合物の具体例としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、脂肪酸変性エポキシ、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトール系ポリグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレンオキシドフェノールグリシジルエーテル、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、アジピン酸グリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート等が挙げられる。
これらエポキシ化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本態様の導電性高分子分散液におけるエポキシ化合物の含有割合は、前記導電性複合体100質量部に対して、10質量部以上5000質量部以下であることが好ましく、500質量部以上2500質量部以下であることがより好ましい。エポキシ化合物の含有割合が前記下限値以上であれば、導電性複合体の有機溶剤に対する分散性がより高くなり、前記上限値以下であれば、導電性の低下を防ぐことができる。
(バインダ成分)
本態様の導電性高分子分散液は、得られる導電層の製膜性を向上させるために、バインダ成分を含有してもよい。
バインダ成分としては、樹脂、熱硬化性化合物、活性エネルギー線硬化性化合物が挙げられる。熱硬化性化合物を使用する場合には、熱重合開始剤も含有することが好ましく、活性エネルギー線硬化性化合物を使用する場合には、光重合開始剤も含有することが好ましい。
また、バインダ成分として、後述するように、付加硬化型シリコーンを用いることができる。バインダ成分として付加硬化型シリコーンを用いた場合には、白金触媒も含有することが好ましい。
バインダ成分として使用できる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、分子量10000以上のエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらのなかでも、低コストである点では、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。特に、導電性フィルムの基材としてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には、基材に対する導電層の密着性がより高くなることから、バインダ成分がポリエステル樹脂であることが好ましい。バインダ成分として、シリコーン樹脂を用いた場合には、導電層に離型性を発揮させることができる。
熱硬化性化合物及び活性エネルギー線硬化性化合物としては、ビニル基を有する化合物、エポキシ基を2つ以上有する化合物(ただし、前記エポキシ化合物を除く。)、オキセタン基を2つ以上有する化合物等が挙げられる。これらは、モノマーでもよいし、オリゴマーでもよい。
これらバインダ成分のなかでも、有機溶剤に分散又は溶解させやすく、硬化が容易であることから、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物が好ましい。活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は、活性エネルギー線(紫外線、電子線、可視光線)の照射によってラジカル重合して硬化するアクリル化合物である。
活性エネルギー線硬化性アクリル化合物としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル等が挙げられる。また、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は、ビニル基を1つのみ有する単官能モノマーでもよいし、ビニル基を2つ以上有する多官能モノマーでもよいし、単官能モノマーと多官能モノマーの併用でもよい。
アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート等が挙げられる。
メタクリレートとしては、例えば、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペリジン等が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリアクリルアクリレート等の、アクリルモノマーと他の化合物とを反応させて得た多官能アクリレートであってもよい。
上記活性エネルギー線硬化性アクリル化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダ成分は、硬化型シリコーンであってもよい。バインダ成分が硬化型シリコーンである場合、硬化型シリコーンを硬化させることにより、導電層に離型性を発現させることができる。
硬化型シリコーンは、付加硬化型シリコーン、縮合硬化型シリコーンのいずれであってもよい。
バインダ成分が付加硬化型シリコーンである場合、共存する化合物(例えばアミン化合物)によっては硬化阻害が生じるので、この硬化阻害を考慮して硬化型シリコーンの適用の可否を検討する。
付加硬化型シリコーンとしては、シロキサン結合を有する直鎖状ポリマーであって、前記直鎖の両方の末端にビニル基を有するポリジメチルシロキサンと、ハイドロジェンシランとを有するものが挙げられる。このような付加硬化型シリコーンは、付加反応によって三次元架橋構造を形成して硬化する。硬化を促進させるために白金系硬化触媒を用いてもよい。
付加硬化型シリコーンの具体例としては、KS−3703T、KS−847T、KM−3951、X−52−151、X−52−6068、X−52−6069(信越化学工業社製)等が挙げられる。
付加硬化型シリコーンは有機溶剤に溶解又は分散しているものが好適に使用される。
バインダ成分の含有割合は、前記導電性複合体100質量部に対して、500質量部以上100000質量部以下であることが好ましく、1000質量部以上50000質量部以下であることがより好ましい。バインダ成分の含有割合が前記下限値以上であれば、得られる導電層の強度及び硬度を充分に向上させることができ、前記上限値以下であれば、充分な導電性を確保できる。
(高導電化剤)
導電性高分子分散液は、導電性をより向上させるために、前記導電性複合体を含む導電層の導電性を向上させる高導電化剤を含んでもよい。
ただし、高導電化剤は、前記ポリアニオン、前記モルホリン系化合物、前記分散媒、前記塩基性化合物、前記エポキシ化合物、及び前記バインダ成分以外の化合物である。
具体的に、高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。前記高導電化剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
窒素含有芳香族性環式化合物としては、例えば、一つの窒素原子を含有するピリジン類及びその誘導体、二つの窒素原子を含有するイミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体、ピラジン類及びその誘導体、三つの窒素原子を含有するトリアジン類及びその誘導体等が挙げられる。溶媒溶解性等の観点からは、ピリジン類及びその誘導体、イミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体が好ましい。
ピリジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、4−エチルピリジン、N−ビニルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3−シアノ−5−メチルピリジン、2−ピリジンカルボン酸、6−メチル−2−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−アミノピリジン、2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4−ヒドロキシピリジン、4−ピリジンメタノール、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ピリジンジメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸メチル、2−ヒドロキシ−5−ピリジンメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸エチル、4−ピリジンメタノール、4−ピリジンエタノール、2−フェニルピリジン、3−メチルキノリン、3−エチルキノリン、キノリノール、2,3−シクロペンテノピリジン、2,3−シクロヘキサノピリジン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)プロパン、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−ピリジンカルボン酸、2−ピリジンカルボニトリル、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3−ピリジンスルホン酸等が挙げられる。
イミダゾール類及びその誘導体の具体的な例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ウンデジルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、N−アリルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(N−ヒドロキシエチルイミダゾール)、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸ジメチル、ベンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール、2−アミノべンズイミダゾール−2−スルホン酸、2−アミノ−1−メチルべンズイミダゾール、2−ヒドロキシべンズイミダゾール、2−(2−ピリジル)べンズイミダゾール等が挙げられる。
ピリミジン類及びその誘導体の具体的な例としては、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−6−クロロ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2−アミノピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−カルボン酸、2,4,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジメトキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4−ピリミジンジオール等が挙げられる。
ピラジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、ピラジンカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、5−メチルピラジンカルボン酸、ピラジンアミド、5−メチルピラジンアミド、2−シアノピラジン、アミノピラジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、2−エチル−3−メチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,3−ジエチルピラジン等が挙げられる。
トリアジン類及びその誘導体の具体的な例としては、1,3,5−トリアジン、2−アミノ−1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリ−2−ピリジン−1,3,5−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ビス(4−フェニルスルホン酸)−1,2,4―トリアジン二ナトリウム、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4―トリアジン−ρ,ρ’−ジスルホン酸二ナトリウム、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
2個以上のヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、チオジエタノール、グルコース、酒石酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等の多価脂肪族アルコール類;
セルロース、多糖、糖アルコール等の高分子アルコール;
1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシ−1−ペンタデシルベンゼン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ヒドロキシキノンカルボン酸及びその塩類、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、1,4−ヒドロキノンスルホン酸及びその塩類、4,5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸及びその塩類、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ジヒドロキシナフタレン−2,5−ジカルボン酸、1,5−ジヒドロキシナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸及びその塩類、1,8−ジヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸及びその塩類、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸及びその塩類、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、5−メチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−エチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−プロピル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾアルデヒド、トリヒドロキシアントラキノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシ−p−ベンゾキノン、テトラヒドロキシアントラキノン、ガーリック酸メチル(没食子酸メチル)、ガーリック酸エチル(没食子酸エチル)等の芳香族化合物、ヒドロキノンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、酒石酸、グリセリン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等が挙げられる。
アミド基を有する化合物は、−CO−NH−(COの部分は二重結合)で表されるアミド結合を分子中に有する単分子化合物である。すなわち、アミド化合物としては、例えば、上記結合の両末端に官能基を有する化合物、上記結合の一方の末端に環状化合物が結合された化合物、上記両末端の官能基が水素である尿素及び尿素誘導体などが挙げられる。
アミド化合物の具体例としては、アセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2−フルアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、プロピオンアミド、プロピオルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、パルミトアミド、ステアリルアミド、オレアミド、オキサミド、グルタルアミド、アジプアミド、シンナムアミド、グリコールアミド、ラクトアミド、グリセルアミド、タルタルアミド、シトルアミド、グリオキシルアミド、ピルボアミド、アセトアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアミド、アントラニルアミド、エチレンジアミンテトラアセトアミド、ジアセトアミド、トリアセトアミド、ジベンズアミド、トリベンズアミド、ローダニン、尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、ビウレット、ブチル尿素、ジブチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素及びこれらの誘導体等が挙げられる。
また、アミド化合物として、アクリルアミドを使用することもできる。アクリルアミドとしては、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。
アミド化合物の分子量は46以上10,000以下であることが好ましく、46以上5,000以下であることがより好ましく、46以上1,000以下であることが特に好ましい。
アミド化合物としては、導電性がより高くなることから、イミド結合を有する単分子化合物(以下、イミド化合物という。)が好ましい。イミド化合物としては、その骨格より、フタルイミド及びフタルイミド誘導体、スクシンイミド及びスクシンイミド誘導体、ベンズイミド及びベンズイミド誘導体、マレイミド及びマレイミド誘導体、ナフタルイミド及びナフタルイミド誘導体などが挙げられる。
また、イミド化合物は両末端の官能基の種類によって、脂肪族イミド、芳香族イミド等に分類されるが、溶解性の観点からは、脂肪族イミドが好ましい。
さらに、脂肪族イミド化合物は、分子内の炭素間に不飽和結合を有さない飽和脂肪族イミド化合物と、分子内の炭素間に不飽和結合を有する不飽和脂肪族イミド化合物とに分類される。
飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの両方が飽和炭化水素である化合物である。具体的には、シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、アラントイン、ヒダントイン、バルビツル酸、アロキサン、グルタルイミド、スクシンイミド、5−ブチルヒダントイン酸、5,5−ジメチルヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,5,5−トリメチルヒダントイン、5−ヒダントイン酢酸、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、セミカルバジド、α,α−ジメチル−6−メチルスクシンイミド、ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、α−メチル−α−プロピルスクシンイミド、シクロヘキシルイミドなどが挙げられる。
不飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの一方又は両方が1つ以上の不飽和結合である化合物である。具体例は、1,3−ジプロピレン尿素、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、1,4−ビスマレイミドブタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,8−ビスマレイミドオクタン、N−カルボキシヘプチルマレイミドなどが挙げられる。
イミド化合物の分子量は60以上5,000以下であることが好ましく、70以上1,000以下であることがより好ましく、80以上500以下であることが特に好ましい。
ラクタム化合物とは、アミノカルボン酸の分子内環状アミドであり、環の一部が−CO−NR−(Rは水素又は任意の置換基)である化合物である。ただし、環の一個以上の炭素原子が不飽和やヘテロ原子に置き換わっていてもよい。
ラクタム化合物としては、例えば、ペンタノ−4−ラクタム、4−ペンタンラクタム−5−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサノ−6−ラクタム、6−ヘキサンラクタム等が挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル等のグリシジル化合物などが挙げられる。
高導電化剤の含有割合は導電性複合体の合計質量に対して1倍量以上1000倍量以下であることが好ましく、2倍量以上100倍量以下であることがより好ましい。高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
(添加剤)
導電性高分子分散液には、公知の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。
ただし、前記添加剤は、前記ポリアニオン、前記モルホリン系化合物、前記分散媒、前記塩基性化合物、前記エポキシ化合物、前記バインダ成分、及び前記高導電化剤以外の化合物である。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子分散液が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、通常、導電性複合体の固形分100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲内である。
《導電性高分子分散液の製造方法》
本発明の第二態様は、第一態様の導電性高分子分散液を製造する方法である。
本態様で使用する導電性複合体の水系分散液は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含有する導電性複合体が水系分散媒中に分散された分散液である。
前記水系分散液は、例えば、ポリアニオンの水溶液中で、π共役系導電性高分子を形成するモノマーを化学酸化重合することにより得られる。また、前記水系分散液は市販のものを使用しても構わない。
本態様の第一実施形態は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液に、前記式(1)で表されるモルホリン系化合物を添加するモルホリン系化合物添加工程を有する、導電性高分子分散液の製造方法である。
前記導電性複合体、前記水系分散液及び前記モルホリン系化合物の説明は、第一態様における説明と同様であるので省略する。
前記水系分散液に前記モルホリン系化合物を添加する方法は特に限定されず、例えば、秤量した前記モルホリン系化合物を前記水系分散液に添加して、撹拌する方法が挙げられる。その添加量は、第一態様で前述した前記導電性複合体の含有量に応じて適宜調整できる。
バインダ成分、高導電化剤、添加剤等を含有させる場合には、前記水系分散液に対して前記モルホリン系化合物を添加した後に、バインダ成分、高導電化剤、添加剤等を添加することが好ましい。
本態様の第二実施形態は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液を乾燥させて乾燥体を得る乾燥工程と、前記乾燥体にアミン化合物及び有機系分散媒を添加して導電性混合液を調製する導電性混合液調製工程と、前記導電性混合液に、前記式(1)で表されるモルホリン系化合物を添加するモルホリン系化合物添加工程とを、有する、導電性高分子分散液の製造方法である。
前記導電性複合体、前記水系分散液、前記アミン化合物、前記有機系分散媒、及び前記モルホリン系化合物の説明は、第一態様における説明と同様であるので省略する。
前記乾燥工程における乾燥方法としては、風乾、温風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥等の公知方法が適用できる。
前記導電性混合液調製工程において、前記乾燥体に前記アミン化合物及び前記有機系分散媒を添加する方法は特に限定されず、例えば、前記有機系分散媒に前記乾燥体を添加して撹拌し、さらに前記アミン化合物を添加して撹拌する方法が挙げられる。また、予め前記アミン化合物を溶解した有機系分散媒に前記乾燥体を添加して撹拌する方法でもよい。
前記有機系分散媒に添加する乾燥体の添加量は、前記有機系分散媒に分散可能な量であれば特に限定されず、例えば、前記有機系分散媒1000質量部に対して1質量部以上20質量部以下が挙げられる。乾燥体の添加量に応じて、前記アミン化合物の添加量を第一態様で前述した含有量に応じて適宜調整すればよい。
前記モルホリン系化合物添加工程において、前記導電性混合液に前記モルホリン系化合物を添加する方法は特に限定されず、例えば、秤量した前記モルホリン系化合物を前記導電性混合液に添加して、撹拌する方法が挙げられる。その添加量は、第一態様で前述した前記導電性複合体の含有量に応じて適宜調整できる。
バインダ成分、高導電化剤、添加剤等を含有させる場合には、前記導電性混合液に対して前記モルホリン系化合物を添加した後に、バインダ成分、高導電化剤、添加剤等を添加することが好ましい。
本態様の第三実施形態は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液にエポキシ化合物を添加して導電性複合体を析出させて析出物を形成させる析出工程と、前記析出物を回収する回収工程と、回収した前記析出物に有機系分散媒を添加して導電性混合液を調製する導電性混合液調製工程と、前記導電性混合液に、前記式(1)で表されるモルホリン系化合物を添加するモルホリン系化合物添加工程とを、有する、導電性高分子分散液の製造方法である。
前記導電性複合体、前記水系分散液、前記エポキシ化合物、前記有機系分散媒、及び前記モルホリン系化合物の説明は、第一態様における説明と同様であるので省略する。
前記析出工程において、前記水系分散液に前記エポキシ化合物を添加すると、エポキシ化合物のエポキシ基の少なくとも一部が、ポリアニオンのアニオン基と反応する。これにより、導電性複合体は疎水性になるため、水系分散液中での疎水性相互作用により、前記導電性複合体が析出した析出物が形成される。前記反応における前記水分散液の温度及び反応時間としては、例えば、40〜80℃で1〜10時間が挙げられる。
前記回収工程において、前記析出物を回収する方法は特に限定されず、例えば、公知の濾過方法により、前記水系分散液から前記析出物を回収する方法が挙げられる。
回収された析出物に含まれる水分量はできるだけ少ないことが好ましく、水分を全く含まないことが最も好ましい。実用の観点からは、回収した析出物の総質量に対して水分を10質量%以下の範囲で含んでも構わない。前記水分量を少なくする方法としては、例えば、有機溶剤で析出物を洗い流す方法、析出物を乾燥する方法等が挙げられる。
前記導電性混合液調製工程において、前記析出物に前記有機系分散媒を添加する方法は特に限定されず、例えば、前記析出物に前記有機系分散媒を添加して撹拌する方法が挙げられる。撹拌方法としては、例えば、スターラー等を用いた弱い剪断力で攪拌する方法、ホモジナイザー等を用いた強い剪断力で攪拌する方法等が挙げられる。
前記有機系分散媒に添加する前記析出物の添加量は、前記有機系分散媒に分散可能な量であれば特に限定されず、例えば、前記有機系分散媒1000質量部に対して1質量部以上20質量部以下が挙げられる。
前記モルホリン系化合物添加工程において、前記導電性混合液に前記モルホリン系化合物を添加する方法は特に限定されず、例えば、秤量した前記モルホリン系化合物を前記導電性混合液に添加して、撹拌する方法が挙げられる。その添加量は、第一態様で前述した前記導電性複合体の含有量に応じて適宜調整できる。
バインダ成分、高導電化剤、添加剤等を含有させる場合には、前記導電性混合液に対して前記モルホリン系化合物を添加した後に、バインダ成分、高導電化剤、添加剤等を添加することが好ましい。
第三実施形態の製造方法で得た導電性高分子分散液では、ポリアニオンのアニオン基がエポキシ化合物によって非親水化されているため、前記導電性複合体を前記有機系分散媒中に高い分散性で分散させることができる。
また、前記エポキシ化合物によって前記導電性複合体の前記有機系分散媒に対する分散性を向上できるので、その分散性を高めることができるアミン化合物は配合されていなくてもよい。したがって、アミン化合物が存在すると硬化阻害が生じる付加硬化型シリコーンをバインダ成分として添加することができる。
<作用効果>
以上で説明した本発明の第一態様の導電性高分子分散液、及び第二態様の製造方法によって得られた導電性高分子分散液が前記モルホリン系化合物を含有することによって、理由は明らかではないが、その導電性高分子分散液から形成された導電層の導電性が高くなる傾向があり、しかも、導電層の空気中での経時的な導電性低下を抑制できる。
《導電性フィルムの製造方法》
本発明の第三態様は、フィルム基材の少なくとも一方の面に、第一態様の導電性高分子分散液を塗工する塗工工程を有する、導電性フィルムの製造方法である。
前記製造方法は、前記塗工工程において塗工した導電性高分子分散液からなる塗膜(導電層)を乾燥させる乾燥工程を有することが好ましい。
前記導電性高分子分散液が活性エネルギー線硬化性のバインダ成分を含有する場合には、前記乾燥工程後に、乾燥した導電性高分子の塗膜に活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射工程をさらに有してもよい。活性エネルギー線照射工程を有すると、導電層の形成速度を速くでき、導電性フィルムの生産性が向上する。
本態様の製造方法により得られる導電性フィルムは、フィルム基材と、前記フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された導電層とを備え、導電層が、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、前記モルホリン系化合物とを含有する。
前記導電層の平均厚さとしては、10nm以上20000nm以下であることが好ましく、20nm以上10000nm以下であることがより好ましく、30nm以上5000nm以下であることがさらに好ましい。導電層の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層を容易に形成できる。
前記フィルム基材としては、例えばプラスチックフィルムが挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのフィルム基材用樹脂のなかでも、安価で機械的強度に優れる点から、ポリエチレンテレフタレート、セルローストリアセテートが好ましい。
前記フィルム基材用樹脂は、非晶性でもよいし、結晶性でもよい。
また、フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよい。
また、フィルム基材には、導電性高分子分散液から形成される導電層の密着性を向上させるために、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理が施されてもよい。
前記フィルム基材の平均厚みとしては、10μm以上500μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましい。フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
本明細書における部材の厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
前記塗工工程において導電性高分子分散液を塗工する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた噴霧方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
上記のうち、簡便に塗工できることから、バーコーターを用いることがある。バーコーターにおいては、種類によって塗工厚が異なり、市販のバーコーターでは、種類ごとに番号が付されており、その番号が大きい程、厚く塗工できるものとなっている。
前記導電性高分子分散液のフィルム基材への塗工量は特に制限されないが、固形分として、0.1g/m以上10.0g/m以下の範囲であることが好ましい。
前記乾燥工程において乾燥する方法としては、例えば、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は、50℃以上150℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
活性エネルギー線照射工程を有する場合、使用される活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線等が挙げられる。紫外線の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源を用いることができる。
紫外線照射における照度は100mW/cm以上が好ましい。照度が100mW/cm未満であると、活性エネルギー線硬化性のバインダ成分が充分に硬化しないことがある。また、積算光量は50mJ/cm以上が好ましい。積算光量が50mJ/cm未満であると、充分に架橋しないことがある。なお、本明細書における照度、積算光量は、トプコン社製UVR−T1(工業用UVチェッカー、受光器;UD−T36、測定波長範囲;300nm以上390nm以下、ピーク感度波長;約355nm)を用いて測定した値である。
本態様の導電性フィルムの製造方法により形成される導電層は、空気中での経時的な導電性低下が抑制されている。
本態様の第二実施形態及び第三実施形態においては、フィルム基材に塗工する導電性高分子分散液の分散媒が有機系分散媒である。フィルム基材の塗工面に対する親和性は、前記塗工面に親水処理が施されていない場合には、有機系分散媒の方が水系分散媒よりも高い。このため、第二実施形態及び第三実施形態の製造方法によって形成した導電層はフィルム基材に対する密着性が向上している。
《導電性フィルム》
本発明の第四態様は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、前記式(1)で表されるモルホリン系化合物と、を含有する導電層がフィルム基材の少なくとも一方の面に形成された導電性フィルムである。
前記導電性複合体及び前記モルホリン系化合物の説明は、第一態様における説明と同じであるため省略する。
前記フィルム基材としては、例えば、第三態様で例示したプラスチックフィルムが挙げられる。
前記導電層の平均厚さとしては、10nm以上20000nm以下であることが好ましく、20nm以上10000nm以下であることがより好ましく、30nm以上5000nm以下であることがさらに好ましい。導電層の平均厚さが前記下限値以上であれば、充分に高い導電性を発揮でき、前記上限値以下であれば、導電層を容易に形成できる。
前記導電層に含まれる前記モルホリン系化合物の合計の量は、導電層の総質量に対して、例えば、1質量%以上30質量%以下が好ましい。前記モルホリン系化合物の含有量が上記範囲の下限値以上であると、空気中での経時的な導電性低下が抑制されるとともに、導電性が良好となる傾向がある。
上記含有量は、前記モルホリン系化合物が塗料の乾燥時に揮発する場合には、導電層に含まれる窒素量を公知の元素分析により測定して求めることができる。また、上記含有量は、前記モルホリン系化合物が塗料の乾燥時に揮発しない場合には、上記の測定で求めてもよいし、塗料(導電性高分子分散液)の製造時における前記モルホリン系化合物の配合量に基づいて計算から求めてもよい。
(製造例1)
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法によりポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。
この限外ろ過操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸を得た。
(製造例2)
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合させた。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、1.2質量%のポリスチレンスルホン酸ドープポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)水分散液(PEDOT−PSS水分散液)を得た。ここで得たPEDOT−PSSは導電性複合体である。
(製造例3)
上記PEDOT−PSS水分散液1000gを凍結乾燥して、12gの凍結乾燥体を得た。
(製造例4)
イソプロパノール1000gに、製造例3で得た4.0gの凍結乾燥体と、3.5gのトリオクチルアミンを添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散して、導電性混合液を得た。
(製造例5)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液100gにメタノール300g及びエポキシ化合物(共栄社化学株式会社製エポライトM−1230、C12,C13混合高級アルコールグリシジルエーテル)25gを添加し、60℃で4時間加熱攪拌した。このとき、エポキシ化合物がPSSのスルホン酸基に反応するため、スルホン酸基が消失し、PEDOT−PSSの水分散性が低下してPEDOT−PSSが析出した。これにより形成した析出物を濾過により回収した。この析出物1.575gを315gのメチルエチルケトンに添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散して導電性混合液を得た。
(実施例1)
製造例2で得たPEDOT−PSS水分散液20gに、メタノール70gと、バインダ成分(互応化学工業株式会社製プラスコートRZ−105、水分散ポリエステル、固形分濃度25質量%の水溶液)10gと、ホルミルモルホリン0.5g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して417質量部)を添加して、導電性高分子分散液を得た。
次いで、導電性高分子分散液を、No.2のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)に塗布して、塗布膜を形成した。その塗布膜を、乾燥温度120℃、乾燥時間1分で加熱乾燥し、分散媒を除去して、導電性フィルムを得た。
(実施例2)
実施例1においてホルミルモルホリンを0.25g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して208質量部)にしたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1においてホルミルモルホリンをアセチルモルホリン0.5g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して417質量部)にしたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例4)
実施例1においてホルミルモルホリンをアセチルモルホリン0.25g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して208質量部)にしたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例5)
実施例1においてホルミルモルホリンをアセトアセチルモルホリン0.5g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して417質量部)にしたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例6)
実施例1においてホルミルモルホリンをアセトアセチルモルホリン0.25g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して208質量部)にしたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例7)
実施例1においてホルミルモルホリンをアクリロイルモルホリン0.5g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して417質量部)にしたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例8)
実施例1においてホルミルモルホリンをアクリロイルモルホリン0.25g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して208質量部)にしたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1においてホルミルモルホリンを添加しなかったこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
<評価>
作製した導電性フィルムについて、作製後1時間以内に測定した表面抵抗値(初期表面抵抗値)R0と、温度25℃且つ湿度50%に調整された大気下で4日間放置した後の表面抵抗値(4日間経過後表面抵抗値)R1と、をそれぞれ測定した。その測定の際、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製ハイレスタ)を用い、印加電圧を10Vとした。測定結果を表1に示す。
Figure 0006607832
各測定結果における表面抵抗値が小さい程、導電性が高いことを示す。また、R1/R0で表される表面抵抗値の比の値が小さい程、製造後の経時的な導電性低下を抑制できたことを示している。実施例1〜8の導電性フィルムでは、製造直後〜4日間の経時的な導電性低下が抑制されていたが、比較例1では抑制されていなかった。
(実施例9)
製造例4で得た導電性混合液81.25gに、ウレタンアクリレート(根上工業株式会社製アートレジンUN−904M、固形分濃度80質量%のメチルエチルケトン溶液) 3.75gと、ジアセトンアルコール15gと、光重合開始剤(BASF製イルガキュア127)0.075gと、ホルミルモルホリン1.2g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して369.2質量部)を添加して、導電性高分子分散液を得た。
次いで、導電性高分子分散液を、No.16のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)に塗布して、塗布膜を形成した。その塗布膜を、乾燥温度120℃、乾燥時間1分で加熱乾燥し、分散媒を除去し、400mJの紫外線を照射して導電性フィルムを得た。
(実施例10)
実施例9においてホルミルモルホリン1.2gを0.6g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して184.6質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例11)
実施例9においてホルミルモルホリンをアセチルモルホリン1.2g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して369.2質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例12)
実施例9においてホルミルモルホリンをアセチルモルホリン0.6g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して184.6質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例13)
実施例9においてホルミルモルホリンをアセトアセチルモルホリン1.2g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して369.2質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例14)
実施例9においてホルミルモルホリンをアセトアセチルモルホリン0.6g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して184.6質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例15)
実施例9においてホルミルモルホリンをアクリロイルモルホリン1.2g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して369.2質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例16)
実施例9においてホルミルモルホリンをアクリロイルモルホリン0.6g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して184.6質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(比較例2)
実施例9においてホルミルモルホリンを添加しなかったこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
<評価>
作製した導電性フィルムについて、作製後1時間以内に測定した表面抵抗値(初期表面抵抗値)R0と、温度25℃且つ湿度50%に調整された大気下で7日間放置した後の表面抵抗値(7日間経過後表面抵抗値)R1と、をそれぞれ測定した。その測定の際、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製ハイレスタ)を用い、印加電圧を10Vとした。測定結果を表2に示す。
Figure 0006607832
各測定結果における表面抵抗値が小さい程、導電性が高いことを示す。また、R1/R0で表される表面抵抗値の比の値が小さい程、製造後の経時的な導電性低下を抑制できたことを示している。実施例9〜16の導電性フィルムでは、製造直後〜7日間の経時的な導電性低下が抑制されていたが、比較例2では抑制されていなかった。
(実施例17)
製造例5で得た導電性混合液85gに、ポリエステル(東洋紡株式会社バイロン240、固形分濃度20質量%のメチルエチルケトン溶液)15gと、ホルミルモルホリン0.6g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して141.2質量部)を添加して、導電性高分子分散液を得た。
次いで、導電性高分子分散液を、No.2のバーコーターを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラーT60)に塗布して、塗布膜を形成した。その塗布膜を、乾燥温度120℃、乾燥時間1分で加熱乾燥し、分散媒を除去して、導電性フィルムを得た。
(実施例18)
実施例17においてホルミルモルホリン1.2gを0.6g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して70.6質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例19)
実施例17においてホルミルモルホリン1.2gをアセチルモルホリン1.2g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して141.2質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例20)
実施例17においてホルミルモルホリン1.2gをアセチルモルホリン0.6g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して70.6質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例21)
実施例17においてホルミルモルホリン1.2gをアセトアセチルモルホリン1.2g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して141.2質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例22)
実施例17においてホルミルモルホリン1.2gをアセトアセチルモルホリン0.6g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して70.6質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例23)
実施例17においてホルミルモルホリン1.2gをアクリロイルモルホリン1.2g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して141.2質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(実施例24)
実施例17においてホルミルモルホリン1.2gをアクリロイルモルホリン0.6g(PEDOT−PSS固形分100質量部に対して70.6質量部)に変えたこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
(比較例3)
実施例17においてホルミルモルホリンを添加しなかったこと以外は同様にして導電性フィルムを得た。
<評価>
作製した導電性フィルムについて、作製後1時間以内に測定した表面抵抗値(初期表面抵抗値)R0と、温度25℃且つ湿度50%に調整された大気下で5日間放置した後の表面抵抗値(5日間経過後表面抵抗値)R1と、をそれぞれ測定した。その測定の際、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製ハイレスタ)を用い、印加電圧を10Vとした。測定結果を表3に示す。
Figure 0006607832
各測定結果における表面抵抗値が小さい程、導電性が高いことを示す。また、R1/R0で表される表面抵抗値の比の値が小さい程、製造後の経時的な導電性低下を抑制できたことを示している。実施例17〜24の導電性フィルムでは、製造直後〜5日間の経時的な導電性低下が抑制されていたが、比較例3では抑制されていなかった。

Claims (11)

  1. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有し、
    アミン化合物をさらに含有し、前記分散媒が有機溶剤を含む、導電性高分子分散液。
    Figure 0006607832
    [式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、前記アルキル基における互いに隣接しない1以上のメチレン基は、カルボニル基、エーテル基、カルボキシル基又はビニレン基に置換されていてもよい。]
  2. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有し、
    エポキシ化合物が前記ポリアニオンのドープに関与しない余剰のアニオン基に結合しており、前記分散媒が有機溶剤を含む、導電性高分子分散液。
    Figure 0006607832
    [式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、前記アルキル基における互いに隣接しない1以上のメチレン基は、カルボニル基、エーテル基、カルボキシル基又はビニレン基に置換されていてもよい。]
  3. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物と、前記導電性複合体を分散させる分散媒とを含有し、
    バインダ成分をさらに含有し、前記バインダ成分が水分散性樹脂である、導電性高分子分散液。
    Figure 0006607832
    [式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、前記アルキル基における互いに隣接しない1以上のメチレン基は、カルボニル基、エーテル基、カルボキシル基又はビニレン基に置換されていてもよい。]
  4. 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  5. 前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液の塗膜が乾燥又は硬化してなる導電層がフィルム基材の少なくとも一方の面に備えられた導電性フィルム。
  7. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液を乾燥させて乾燥体を得る乾燥工程と、前記乾燥体にアミン化合物及び有機系分散媒を添加して導電性混合液を調製する導電性混合液調製工程と、前記導電性混合液に、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物を添加するモルホリン系化合物添加工程とを、有する、導電性高分子分散液の製造方法。
    Figure 0006607832
    [式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、前記アルキル基における互いに隣接しない1以上のメチレン基は、カルボニル基、エーテル基、カルボキシル基又はビニレン基に置換されていてもよい。]
  8. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の水系分散液にエポキシ化合物を添加して導電性複合体を析出させて析出物を形成させる析出工程と、前記析出物を回収する回収工程と、回収した前記析出物に有機系分散媒を添加して導電性混合液を調製する導電性混合液調製工程と、前記導電性混合液に、下記式(1)で表されるモルホリン系化合物を添加するモルホリン系化合物添加工程とを、有する、導電性高分子分散液の製造方法。
    Figure 0006607832
    [式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、前記アルキル基における互いに隣接しない1以上のメチレン基は、カルボニル基、エーテル基、カルボキシル基又はビニレン基に置換されていてもよい。]
  9. 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項7又は8に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
  10. 前記ポリアニオンが、ポリスチレンスルホン酸である、請求項のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
  11. フィルム基材の少なくとも一方の面に、請求項1〜のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液を塗工する塗工工程を有する、導電性フィルムの製造方法。
JP2016155062A 2016-08-05 2016-08-05 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法 Active JP6607832B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016155062A JP6607832B2 (ja) 2016-08-05 2016-08-05 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016155062A JP6607832B2 (ja) 2016-08-05 2016-08-05 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018021164A JP2018021164A (ja) 2018-02-08
JP6607832B2 true JP6607832B2 (ja) 2019-11-20

Family

ID=61165291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016155062A Active JP6607832B2 (ja) 2016-08-05 2016-08-05 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6607832B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7241473B2 (ja) * 2018-06-06 2023-03-17 信越ポリマー株式会社 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法
JP7204349B2 (ja) * 2018-06-11 2023-01-16 信越ポリマー株式会社 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法
JP2020100689A (ja) * 2018-12-20 2020-07-02 信越ポリマー株式会社 導電性高分子含有液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法
JP7253464B2 (ja) * 2019-07-02 2023-04-06 信越ポリマー株式会社 高導電性複合体の製造方法、高導電性複合体の水系分散液の製造方法、高導電性複合体の有機溶剤分散液の製造方法、導電性フィルムの製造方法
JP7341029B2 (ja) * 2019-07-02 2023-09-08 信越ポリマー株式会社 導電性離型フィルム及びその製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009196202A (ja) * 2008-02-21 2009-09-03 Konica Minolta Opto Inc ハードコートフィルム、これを用いた反射防止フィルム、偏光板、及び表示装置
JP2013147707A (ja) * 2012-01-19 2013-08-01 Sunarrow Ltd 電解メッキ用プライマー組成物、メッキ物の製造方法及びメッキ物
TWI664232B (zh) * 2013-11-13 2019-07-01 日商長瀨化成股份有限公司 Conductive resin composition and transparent conductive laminate

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018021164A (ja) 2018-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10854357B2 (en) Coating material for forming conductive release layer, method for producing same, conductive release film, and method for producing same
KR100950407B1 (ko) 터치 패널용 투명 도전 시트 및 그 제조 방법, 및 터치패널
JP6607832B2 (ja) 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法
CN107001801B (zh) 加成硬化性防静电有机聚硅氧烷组合物及防静电硅酮皮膜
JP6655484B2 (ja) 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法
JP5888700B2 (ja) 透明導電ガラス基板
US10640627B2 (en) Method of producing amine adduct of conductive composite, method of producing amine adduct liquid of conductive composite, and method of producing conductive film
JP6817825B2 (ja) 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法
JP5978397B2 (ja) 導電性高分子分散液及び導電性塗膜
JP6372918B2 (ja) 導電性組成物、導電性組成物の製造方法、帯電防止樹脂組成物ならびに帯電防止樹脂皮膜
JP6010390B2 (ja) フィルムの製造方法
JP6639047B2 (ja) 帯電防止フィルムの製造方法
JP6842928B2 (ja) 導電性高分子分散液の製造方法、及び導電性フィルムの製造方法
JP2018110073A (ja) 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに帯電防止フィルム及びその製造方法
JP6628412B2 (ja) 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法
JP2014040549A (ja) 導電性高分子およびそれを含む導電性組成物、ならびにそれらを含む塗膜を有するフィルム
JP6932627B2 (ja) 導電性高分子分散液の製造方法、及び導電性フィルムの製造方法
JP6010388B2 (ja) 導電性高分子の製造方法、導電性組成物の製造方法、およびフィルムの製造方法
JP2018145305A (ja) 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに帯電防止フィルム及びその製造方法
JP2018111738A (ja) 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルム及びその製造方法
JP2018009051A (ja) 帯電防止フィルムの製造方法
JP2018095728A (ja) 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに帯電防止フィルム及びその製造方法
JP2018123186A (ja) 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに帯電防止フィルム及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181009

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181019

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190717

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190730

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190815

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190924

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191021

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6607832

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250