JP6323128B2 - 回路基板の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、パワー半導体デバイス等の用途に好適な回路基板及びその製造方法に係り、特に、セラミックス材料からなる絶縁基板とこの絶縁基板に接合されて配線回路が形成される金属板との間の接合強度に優れ、低温から高温までの冷熱サイクルによる反りや剥離等の発生を低減し、絶縁基板と金属板との間の接合信頼性に優れた回路基板製造方法に関する。
パワー半導体デバイスは、例えば高電圧、大電流の条件下での動作が可能なモータ制御系のインバータ等として広く使用されており、一般に、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si3N4)、アルミナ(Al2O3)等のセラミックス材料からなる絶縁基板の片面又は両面に、CuやCu合金、AlやAl合金等の導電性に優れた金属からなる回路パターンや金属板(以下、これらいずれか一方又は両方の回路パターンや金属板を単に「金属板」と称する。)が接合された回路基板として構成されている。
しかしながら、このような絶縁基板の片面又は両面に金属板が接合された回路基板は、デバイス製造時にはこの回路基板をその支持部材にハンダ付け等で接合する接合工程で高温に晒され、また、デバイス使用時にはその動作/休止による周期的な発熱と冷却による温度変化に晒される等、大きな温度変化に晒される機会が多く、この大きな温度変化に晒された際に、絶縁基板を構成するセラミックス材料と金属板との間の大きな熱膨張率の差に起因して、これら絶縁基板と金属板との間に大きな熱応力が作用し、接合強度が低下するほか、回路基板に反りが発生することがあり、また、その絶縁基板と金属板との間に剥離が発生することもある。例えば、絶縁基板として使用される窒化珪素基板の線熱膨張係数(CTE:40〜400℃)が(2.6〜2.8)×10-6/Kであるのに対し、金属板として使用されるCu板の線熱膨張係数(CTE:0〜100℃)が17×10-6/Kであり、これら窒化珪素基板とCu板との間には大きな熱膨張率差が存在する。
そこで、従来においても、このような回路基板における絶縁基板と金属板との間の熱膨張率の差に起因する種々の問題、特に絶縁基板と金属板との間の接合強度や冷熱サイクル特性に関する問題を解消するために、様々な提案がなされている。
例えば、特許文献1には、窒化物系セラミック部材(絶縁基板)と金属部材との間をTi、Zr、及びNbから選ばれた活性金属を含むAg-Cu系ロウ材層で接合する際に、Ag-Cu系ロウ材層中のAg成分とCu成分とが溶け別れた組織を生成するようにし、これによって、熱膨張率の異なるセラミックス部材と金属部材とを接合した後の冷却過程で生じる残留応力や外部から加えられる外部応力に起因し、接合後の冷却過程や使用時の冷熱サイクルの負荷により発生するクラックや破壊等の問題を解消できるとしたセラミックス−金属接合体が提案されている。
また、特許文献2には、絶縁基板と金属板との間に、平均粒径1〜100nmの金属微粒子とTi、Zr、Hf、Nbから選ばれた活性金属とを含む接合剤を介在させ、前記金属微粒子の融点未満の接合温度に加熱し、前記絶縁基板と金属板とを接合することにより、欠陥の発生が少なくて接合信頼性に優れた回路基板を製造する方法が提案されている。
更に、特許文献3には、セラミックス基板と金属板との間に金属ナノ粒子を含有する層を介在させ、200〜300℃で加熱処理して前記金属ナノ粒子が焼結した焼結層を形成し、この焼結層により、前記セラミックス基板とは金属ナノ粒子がセラミックス基板の表面で焼結して発現するアンカー効果で接合し、また、金属板とは金属接合で接合し、これによってセラミックス基板への熱応力を緩和し、また、金属板の板厚を比較的厚くして放熱効果にも優れた半導体モジュール用セラミックス回路基板を製造することが提案されている。
更にまた、特許文献4には、Al又はAl合金等からなる支持部材と、銀又は銀含有複合材等からなる接合層と、窒化物系等の非酸化物系絶縁基板と、前記接合層と、Al又はAl合金等からなる回路配線板とがこの順で積層されていると共に、前記絶縁基板の両面に酸化物層が形成されており、また、前記接合層については金属酸化物粒子及び還元剤からなる接合材を絶縁基板と回路配線版等の間に挟み込んで加熱加圧下に前記金属酸化物粒子を還元させて焼結させる接合技術で形成し、これによって、高温条件での温度サイクルによる反りの発生を低減し、接合信頼性や放熱性に優れた半導体モジュール用回路基板が提案されている。
ところで、近年、環境への意識の高まりに伴って環境対応型の電動自動車の普及が急速に進んでいるが、このような電動自動車においては、高電圧、高電流下での動作が可能なインバータ等としてパワー半導体デバイスが使用されている。そして、このような電動自動車の分野においては、より一層の普及のために、更に小型でかつ低コストであって高効率な電動システムの開発が求められており、これに伴って、インバータシステムについても更なる小型化、低コスト化、高効率化等が求められている。
そして、このような要請に応えるために、これまでインバータシステムのパワー半導体デバイスとして用いられてきたシリコン(Si)基板のデバイス(Siデバイス)に代えて、破壊電界強度や熱伝導度に優れ、Siデバイスの2〜3倍の電流密度での動作や200℃以上、時には250℃以上の高温での動作が可能であって、更なる高出力密度化が期待される炭化珪素(SiC)基板のデバイス(SiCデバイス)の開発が進んでおり、車載用途では耐圧600〜1200V、定格電流100〜400Aの大容量デバイスの開発が期待されている。
このような背景の下で、回路基板についても特に高温でのより一層の接合強度や接合信頼性が強く求められているが、例えば特許文献1や特許文献3においては−40℃⇔125℃の温度範囲の冷熱サイクル試験を実施し、また、特許文献4においては−45℃⇔200℃の温度範囲の冷熱サイクル試験を実施しているに過ぎず、従来においては、必ずしも十分な接合信頼性や耐冷熱サイクル特性が達成されているとは言えない。
特開平05-201,777号公報 特開2006-120,973号公報 特開2006-228,804号公報 特開2012-138,541号公報
そこで、本発明者らは、セラミックス材料からなる絶縁基板とこの絶縁基板に接合されて配線回路が形成される金属板との間の接合強度に優れ、低温から高温までの冷熱サイクルによる反りや剥離等の発生を低減し信頼性を向上させることができる回路基板を開発すべく鋭意検討を行った結果、絶縁基板と金属板との間を接合する接合層を活性金属の金属被膜と所定の厚さのNi焼結層とで構成することにより、絶縁基板と金属板との間の熱膨張率の差に基づく問題を解消し、優れた接合強度及び接合信頼性を有する回路基板が得られることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、絶縁基板とこの絶縁基板に接合されて配線回路が形成される金属板との間の接合強度に優れていると共に、低温から高温までの冷熱サイクルによる反りや剥離等の発生を低減して接合信頼性に優れている回路基板製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、絶縁基板と、前記絶縁基板の片面又は両面に接合される金属板と、これら絶縁基板と金属板との間を接合する接合層とを有し、また、前記接合層が、Niと共晶物形成可能な活性金属からなると共に前記絶縁基板の片面又は両面に形成された金属被膜と、この金属被膜と前記金属板との間に形成され、Ni粒子が焼結し互いに結合したNi焼結層とからなり、更に、前記Ni焼結層は、そのNi粒子がSEM観察で測定された平均粒径15〜150nmのNi微細粒子であると共に、その厚さが10〜200μmである回路基板の製造方法であり、前記絶縁基板の片面又は両面にNiと共晶物形成可能な活性金属の金属被膜を形成し、得られた金属被膜及び/又は前記金属板の表面に分散剤で保護されたNi粒子を含むNi接合剤を塗布し、次いで前記Ni接合剤の塗布層を挟んで前記絶縁基板と金属板とを重ね合わせ、還元性雰囲気下に250℃以上400℃以下の温度で加熱して塗布層を焼結させて厚さ10〜200μmのNi焼結層を形成し、前記絶縁基板の表面に形成された金属被膜と前記Ni焼結層とを接合層として絶縁基板と金属板との間を接合することを特徴とする回路基板の製造方法である。
また、本発明は、前記Ni接合剤中の分散剤で保護されたNi粒子がSEM観察で測定された平均粒径15〜150nmのNi微細粒子とSEM観察で測定された平均粒径0.5〜10μmのNi細粒子との混合物であると共に、これらNi微細粒子の断面積(Sn)とNi細粒子の断面積(Sm)の合計に対するNi微細粒子の断面積(Sn)の割合〔Sn/(Sn+Sm)〕の値が0.2〜0.3であり、また、前記Ni焼結層の厚さが50〜200μmであることを特徴とする回路基板の製造方法である。
また、本発明は、前記Ni焼結層のNi粒子は、Ni微細粒子の粒度分布の標準偏差値が20nm以下であり、また、Ni細粒子の粒度分布の標準偏差値が10μm以下であることを特徴とする回路基板の製造方法である。
本発明において、回路基板を構成する絶縁基板としては、アルミナ、ジルコニア等の酸化物系や、窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物系や、炭化珪素等の炭化物系等のセラミックス材料からなる基板を挙げることができる。特に、回路基板が車載用途等の用途で高い熱伝導性が求められる場合には、好ましくは窒化物系又は炭化物系のセラミックス材料である。
また、本発明において、回路基板を構成する金属板については、導電性、熱伝導性等に優れていて回路基板に使用できるものであれば特に制限はなく、具体的には、CuやCu合金、AlやAl合金、W、及びMo等、好ましくはCuやCu合金からなる金属板を挙げることができ、また、必要により、これらの金属板の表面に無電解メッキ等の手段で所望の厚さのNi/Au(最表面:Au)やNi/Ag(最表面:Ag)等のメッキ層が設けられた金属板(メッキ層の厚さは、通常、Ni層:1〜10μm程度、Au層:0.01〜0.3μm程度、及びAg層:0.01〜0.3μm程度である。)を挙げることができる。この金属板の板厚についても、回路基板に使用できる程度であれば特に制限はなく、通常0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上0.5mm以下であるのがよい。
本発明において、前記絶縁基板と金属板との間を接合する接合層は金属被膜とNi焼結層とで構成される。
ここで、接合層を構成する金属被膜については、前記Ni焼結層を形成する際にこの金属被膜に接するNi接合剤の塗布層中のNiと共晶物を形成することができる活性金属で形成されたものである必要があり、このような活性金属としては、例えばTi、Zr、Hf及びNb等を挙げることができ、これらはその1種のみを単独で用いることができるほか、2種以上を混合物として用いることもできる。そして、この金属被膜は前記絶縁基板の表面に形成されるものであり、また、絶縁基板の表面に金属被膜を形成する方法としては、絶縁基板の表面に所望の厚さの金属皮膜を形成できればよく、従来公知の方法を採用することができ、具体的には例えば、蒸着法や、スパッタリング法や、圧延加工で形成された前記活性金属の金属箔を載置して被着させる方法等を採用することができる。
また、前記絶縁基板の表面に形成する金属被膜の厚さについては、特に制限はないが、金属板と絶縁基板との間の十分な接合強度と、回路基板の十分な機械的強度を確保するという観点から、好ましくは0.05μm以上1μm以下、より好ましくは0.1μm以上0.9μm以下であるのがよく、0.05μmより薄いとチタン−ニッケル共晶物の絶対量が不足し、用途によっては前記絶縁基板と金属板との間の所望の接合強度を達成できない虞があり、反対に、1μmより厚くなるとチタン−ニッケル共晶物が過剰に生成され、用途によっては所望の機械的強度を有する回路基板が得られない虞がある。
また、前記接合層を構成するNi焼結層は、前記絶縁基板の表面に形成された金属被膜の表面に、及び/又は、前記金属板の表面にNi粒子を含むNi接合剤を塗布し、次いで絶縁基板と金属板とを前記Ni接合剤の塗布層が絶縁基板表面の金属被膜と金属板との間に挟み込まれるように重ね合わせ、この挟み込まれた塗布層を焼結させて形成されるものであり、この焼結時に塗布層中のNi粒子が互いに接触した部分で焼結し、いわゆるネック部を形成して結合し、Ni焼結層を形成する。
ここで、Ni焼結層の厚さについては、絶縁基板と金属板との間の熱膨張率の差(熱膨張率差)が原因で発生する熱応力を小さくして所望の接合強度及び接合信頼性を得るために、通常10μm以上200μm以下、好ましくは10μm以上100μm以下である必要があり、このNi焼結層の厚さが10μmより薄いと、回路基板全体で発生する応力を小さくする効果のあるNiの割合が不足し、金属板と絶縁基板の線膨張係数差がダイレクトに発生して影響し合い、接合強度が低下し、また、接合信頼性が悪くなり、反対に、200μmより厚くなると、Ni接合剤の供給量及び接合工程の工程管理を考慮すると生産性が悪くなってコスト高になり、しかも、Ni焼結層内に空隙やワレといった欠陥が入り易くなる虞がある。
そして、このNi焼結層については、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した際に、そのSEM画像を用いて観察され測定されるNi粒子が平均粒径15nm以上150nm以下、好ましくは80nm以上110nm以下のNi微細粒子であるのがよく、また、より好ましくはこのNi焼結層のNi微細粒子における粒度分布の標準偏差値が20nm以下、好ましくは18nm以下であるのがよい。ここで、このSEM観察で測定される平均粒径が15nm未満であると、凝集し易くなって取扱が難しくなり、また、表面積が増加して必要とする分散剤量も増え、分散剤が焼成後も有機物として残存して焼結を阻害し易くなり、接合強度と接合信頼性が低下する虞があり、反対に、150nmを超えると400℃以下での低温焼成が難しくなる。また、Ni焼結層のNi微細粒子における粒度分布の標準偏差値が20nm以下であることにより、標準偏差が大きいものと比べて、粒径の異なる2つの粒子を混ぜた場合に充填率を高くして接合強度を高くすることができるという利点がある。
また、このNi焼結層において、Ni粒子の充填密度をより高くしてNi粒子間の接触面積を高くすると共にNi粒子間の空隙を小さくし、より一層の接合強度と接合信頼性を得るために、Ni焼結層のNi粒子について、SEM観察で測定された平均粒径15〜150nm、好ましくは平均粒径80〜110nmのNi微細粒子とSEM観察で測定された平均粒径0.5〜10μm、好ましくは平均粒径3〜7μmのNi細粒子とが、これらNi微細粒子の断面積(Sn)とNi細粒子の断面積(Sm)の合計に対するNi微細粒子の断面積(Sn)の割合〔Sn/(Sn+Sm)〕の値が0.2〜0.3となるように存在させてもよく、また、より好ましくはこのNi焼結層のNi微細粒子における粒度分布の標準偏差値が20nm以下、好ましくは18nm以下であり、Ni焼結層のNi細粒子における粒度分布の標準偏差値が10μm以下、好ましくは5μm以下であるのがよい。なお、Ni微細粒子の断面積(Sn)とNi細粒子の断面積(Sm)は、先ず300nm以下の粒子を微細粒子とし、また、1μm以上の粒子を細粒子として分別し、これら微細粒子と細粒子とについて、それぞれ後述する「SEM観察で測定された平均粒径とその標準偏差値」の場合と同様にして算出する。
ここで、このSEM観察で測定されるNi微細粒子の平均粒径が15nm未満であると、凝集し易くなって取扱が難しくなり、また、表面積が増加して必要とする分散剤量も増え、分散剤が焼成後も有機物として残存して焼結を阻害し易くなり、接合強度と接合信頼性が低下する虞があり、反対に、150nmを超えると400℃以下での低温焼成が難しくなり、SEM観察で測定されるNi細粒子の平均粒径が0.5μm未満であると、Ni微細粒子とNi細粒子との粒径の比が1に近づいていき、充填率が下がって接合強度が低下し、空隙率が多くなって接合信頼性が低下する虞があり、反対に、10μmを超えるとNi接合剤の粘度が高くなり、Ni接合剤の塗布が困難になる虞が生じる。また、Ni焼結層のNi微細粒子における粒度分布の標準偏差値が20nm以下であることにより、標準偏差が大きいものと比べて、粒径の異なる2つの粒子を混ぜた場合に充填率が上げ易いという利点があり、また、Ni焼結層のNi細粒子における粒度分布の標準偏差値が10μm以下であることにより、20μm以下の粒子が大半となり、Ni接合剤を印刷により塗布できる程度の粘度を保持できる。更に、Ni微細粒子の割合〔Sn/(Sn+Sm)〕が0.2〜0.3の値の範囲から外れると、いずれの場合もNi粒子の充填率が下がり、Ni微細粒子とNi細粒子とを混合して用いることによる更に向上した接合強度及び/又は接合信頼性を達成し得なくなる。この場合のNi焼結層の厚さについては、通常50μm以上200μm以下、好ましくは80μm以上150μm以下である。
本発明において、回路基板を製造する方法については、前記絶縁基板の片面又は両面にNiと共晶物形成可能な活性金属からなる金属被膜を形成する工程と、この金属被膜及び/又は前記金属板の表面にNi粒子を含むNi接合剤を塗布する工程と、前記絶縁基板と金属板とを前記Ni接合剤の塗布層が挟み込まれるように重ね合わせ、その状態で塗布層を還元性雰囲気下に250℃以上400℃以下の温度で焼結させて厚さ10〜200μmのNi焼結層を形成する工程とを有するものである。
本発明の回路基板の製造方法において、Ni焼結層を形成する工程では、Ni粒子を含む塗布層を還元性雰囲気下に焼結させるものであり、還元性雰囲気とは、Niの酸化膜を還元することができる雰囲気をいい、具体的には、例えば、所定の濃度で水素を有する水素含有不活性ガス雰囲気であるのがよく、安全性を考えると爆発限界以下の水素濃度にする必要があるので、水素濃度が1vol%以上4vol%以下、好ましくは2vol%以上3vol%以下である窒素ガス、アルゴンガス等を例示することができる。また、焼結温度については、250℃以上400℃以下、好ましくは300℃以上400℃以下であり、この焼結温度が400℃を超えると焼成後の冷却過程において発生する熱応力が大きくなり、接合強度が低下したり、反りや剥離が起り易くなる虞がある。なお、このNi焼結層を形成する工程において、絶縁基板の金属被膜と金属板との間に挟み込まれた塗布層を焼結させる際に、この塗布層を絶縁基板と金属板の積層方向に加圧することは必ずしも必要ではないが、必要により加圧してもよく、加圧することにより粒子間距離が縮まり、粒子と粒子の接触面積が増加して焼結性が向上し、また、Ni粒子の充填率も高くなって空隙が減少し、接合強度や接合信頼性がより向上する。
本発明において、前記Ni接合剤に含まれるNi粒子については、Ni接合剤の塗布層の焼結時に250〜400℃の温度で焼結させることができること、及び、この焼結温度でNi粒子間が強固に結合することが必要であることから、SEM観察で測定された平均粒径15nm以上150nm以下、好ましくは平均粒径80nm以上110nm以下の分散剤で保護されたNi微細粒子の存在が不可欠であり、また、Ni粒子の充填密度をより高くしてNi粒子間の接触面積を高くすると共にNi粒子間の空隙を小さくし、より一層の接合強度と接合信頼性を得るために、SEM観察で測定された平均粒径0.5μm以上10μm以下の分散剤で保護されたNi細粒子をこれらNi微細粒子の断面積(Sn)とNi細粒子の断面積(Sm)の合計に対するNi微細粒子の断面積(Sn)の割合〔Sn/(Sn+Sm)〕の値が0.2〜0.3となるように存在させてもよい。このNi接合剤中の分散剤で保護されたNi微細粒子の平均粒径が15nm未満であると、凝集し易くなって取扱が難しくなり、また、表面積が増加して必要とする分散剤量も増え、分散剤が焼成後も有機物として残存して焼結を阻害し易くなり、接合強度と接合信頼性が低下する虞があり、反対に、150nmを超えると400℃以下での低温焼成が難しくなる。また、前記Ni接合剤中の分散剤で保護されたNi細粒子の平均粒径が0.5μm未満であると、Ni微細粒子とNi細粒子との粒径の比が1に近づいていき、充填率が下がって接合強度が低下し、空隙率が多くなって接合信頼性が低下する虞があり、反対に、10μmを超えると、Ni接合剤の粘度が高くなり、Ni接合剤の塗布が困難になる虞が生じ、更に、Ni微細粒子の割合〔Sn/(Sn+Sm)〕の値が0.2〜0.3の値の範囲から外れると、いずれの場合もNi粒子の充填率が下がり、Ni微細粒子とNi細粒子とを混合して用いることによる更に向上した接合強度及び/又は接合信頼性を達成し得なくなる。なお、Ni接合剤において、Ni微細粒子の断面積(Sn)とNi細粒子の断面積(Sm)の合計に対するNi微細粒子の断面積(Sn)の割合〔Sn/(Sn+Sm)〕の値が0.2〜0.3となるように存在させるには、前記断面積の割合〔Sn/(Sn+Sm)〕がNi接合剤中のこれらNi微細粒子とNi細粒子との体積割合に概ね一致するので、これらNi微細粒子とNi細粒子とを体積割合で0.2〜0.3となるように存在させればよい。
ここで、前記Ni接合剤は、分散剤を用いてNi粒子を分散媒中に分散させて得られたNi粒子スラリーやNi粒子ペーストであり、好ましくは高Ni濃度に調製されたNi粒子ペーストである。分散剤は凝集を抑制する役割と、酸化を抑制する役割を担っている。
そして、Ni接合剤を調製するための分散剤としては、焼結温度によって分解若しくは消失する有機物であるのがよく、好ましくは、脂肪酸からなる分散剤、又は、脂肪酸に脂肪族アミンを更に含んだ分散剤を用いるようにするのがよい。このうち、脂肪酸については、飽和又は不飽和のいずれであってもよく、直鎖状又は分岐状のものであってもよく、例えば、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸等の炭素数3〜8の飽和脂肪酸、ブテン酸(クロトン酸等)、ペンテン酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸、ソルビン酸(2,4-ヘキサジエン酸)、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸等を挙げることができる。分散剤には、これらの脂肪酸が1種単独で含まれていても2種以上含まれていてもよい。一方、脂肪族アミンは、飽和又は不飽和のいずれでもよく、1級、2級、3級のいずれのアミンであってもよく、直鎖状又は分岐状のものであってもよい。このような脂肪族アミンとしては、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン等アルキルアミン、アリルアミン等のアルケニルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン等を挙げることができる。分散剤には、これらの脂肪族アミンが1種単独で含まれていても2種以上含まれていてもよい。
また、このようなNi接合剤を調製するための分散媒としては、Ni接合剤の塗布層を焼結させてNi焼結層を形成する際に、少なくともNi粒子の焼結が阻害されないところまで揮発し、あるいは、消失すればよい。このような分散媒としては、例えば、ドデカノール、オクタノール、オレイルアルコール、エチレングリコール,トリエチレングリコール,テトラエチレングリコール、テルピネオール、メタノール,エタノール,プロパノール等のアルコール系溶剤や、ヘキサン、トルエン等の新油性溶剤等の有機溶剤を例示することができる。
そして、Ni接合剤においては、例えば、分散剤で保護されたNi微細粒子あるいはNi微細粒子及びNi細粒子を50〜95質量%、有機溶媒を5〜50質量%の割合で配合されるのがよい。なお、このNi接合剤中には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて消泡剤、可塑剤、界面活性剤、増粘剤、バインダー等を、有機溶媒中に好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下となる範囲で配合することができる。
本発明の方法により得られた回路基板においては、絶縁基板の表面に形成された金属皮膜と、この金属被膜と金属板との間に形成されたNi焼結層とが前記絶縁基板と金属板との間の接合層となり、また、この接合層においては、前記絶縁基板表面の金属被膜とNi焼結層とが、400℃以下の低い焼成温度においてもその接合部分で金属被膜の活性金属とNi焼結層のNiとの共晶物を形成しながら強固に結合して一体に接合し、また、Ni焼結層においては、Ni粒子がいわゆるネック部を形成して互いに強固に結合していると共に、絶縁基板と金属板との間の熱膨張率〔Niの線熱膨張係数(CTE:0〜100℃):13.3×10-6/K〕を有してこれら絶縁基板と金属板との間の大きな熱膨張率差に起因して発生する熱応力に伴う反りや剥離等の問題を解消することができ、これによって、回路基板は優れた接合強度と接合信頼性とを発揮するものである。
〔Ni粒子の平均粒径とその標準偏差値について〕
なお、本発明において、「SEM観察で測定された平均粒径とその標準偏差値」は、以下の方法で測定用試料を調製し、また、走査型電子顕微鏡(FE-SEM)〔株式会社日立ハイテクノロジーズ、S-4800〕を使用し、以下の方法で撮影した測定用試料のSEM画像から求められたものである。
(1) SEM画像の取得
また、回路基板を調製する際に用いたNi接合剤中のNi粒子の平均粒径とその標準偏差値を測定するための試料については、いわゆる「分散法」でSEM観察用サンプルを作製し、得られたSEM観察用サンプルをSEMにより10万倍で観察し、SEM画像を取得する。すなわち、Ni接合剤中に添加するNi粒子粉末の小さじ1杯程度を10mlのスクリュー管に入れ、約9mlのエタノールを添加し、超音波洗浄を5分間行った後に十分に静置し、次いでスクリュー管の底に発生した沈殿物を取らないように液の上澄み液だけを回収する。次にこの回収した上澄み液を別のスクリュー管に入れて合計9mlになるようにエタノールを追加し、上記と同様の超音波洗浄、静置、及び上澄み液の回収の操作を2回繰り返す。その後、回収された上澄み液をカーボン支持膜に滴下し乾燥させてSEM観察用サンプルを調製する。このようにして調製されたSEM観察用サンプルについて、Ni微細粒子の場合にはSEMにより10万倍で観察し、また、Ni細粒子の場合にはSEMにより1.5千倍で観察し、それぞれSEM画像を取得する。このようにして得られたNi微細粒子のSEM画像の一例(実施例1で用いられたNi微細粒子ペースト中のNi微細粒子)を図1(A)に示す。
回路基板のNi焼結層におけるNi粒子の平均粒径とその標準偏差値を測定するための試料については、先ず回路基板を硬化性エポキシ樹脂中に埋め込み、樹脂を硬化させた後に砥石切断機を用いてSEM試料台に納まる大きさに切り出し、次いで切断面を研磨してSEM観察用断面に仕上げて調製する。このようにして調製された測定用試料のSEM観察用断面をSEMにより10万倍で観察し、Ni微細粒子のSEM画像を取得する。このようにして得られたNi焼結層中のNi微細粒子のSEM画像の一例(実施例1の回路基板)を図1(B)に示す。
(2) Ni粒子の平均粒径とその標準偏差値の算出
次いで、得られたSEM画像を画像処理が可能なソフト〔Microsoft(登録商標) Office PowerPoint(登録商標)等〕に読み込ませ、最表面に並ぶ粒子を目視にて判断し、最表面の一次粒子のエッヂ部分をなぞり書きし、粒子を1つずつ塗り潰し、併せて基準となるスケールバーを直線で書き足した。
次に、上記の画像をtif形式に書き出し、画像解析ツールImageJ 1.47V(Wayne Rasband, National Institutes of Health, USA. ImageJ is in the public domain.)に読み込ませた。そして、スケールバー付きの読み込んだ画像をグレースケール化(8bit)した上で、画像中のスケールバーの長さを測定し、測定したスケールバーの長さから、読み込んだ画像の1ピクセル当りの長さを登録した。次に、スケールバー以外の部分を選択して粒子のみの画像にし、当該粒子画像を二値化するために閾値を決めた。その際、粒子が重なっている部分(焼結後のネック部)については、幾何学処理(Watershed処理)により互いに分離して二値化した。
このようにして得られた二値化像は、既に各粒子が識別されたものであることから、フェレット(Feret)径〔粒子内の二点間で最も長い距離〕を読み取り、算術平均フェレット径を算出した。このときのフェレット径は、粒子が真球の場合は直径に相当する。
上記のようにして、視野角1270nm×950nmのSEM画像(10万倍)を任意に選び出し、SEM画像内の凡そ70〜100個のNi粒子について、算術平均フェレット径を算出して平均粒径とし、全てのフェレット径からエクセルにてSTDEV式を用いてその標準偏差値を算出した。
なお、Ni接合剤に含まれるNi粒子は、その焼結温度が250〜400℃であるので、焼結された後のNi焼結層中においても、互いに接触した部分で焼結して、いわゆるネック部を形成して結合した状態で存在し、Ni接合剤中のNi粒子の粒径は焼結後のNi焼結層中においても測定可能な程度に実質的に維持される。
すなわち、一般に、粒子の焼結プロセスにおいては、(イ)粒子の鋭角接触、(ロ)ネック部の生成・成長、開気孔の生成、(ハ)ネック部・粒界の肥大化、開気孔の連続性(ネットワーク形成)、及び(ニ)気孔の切断・孤立、消滅の順で進行し、例えばAgナノ粒子やAuナノ粒子では、これらのプロセスが進行し易く、最終的には(ニ)のように連続孔がほとんど閉孔して隙間がなくなる(例えば、『焼結材料工学』石田恒雄著、森北出版株式会社の78頁参照)。これに対して、本発明においては、図2に示したように、(イ)Ni微細粒子の凝集による鋭角接触aから(ロ)ネック部bの成長・生成まで程度の焼結に留まり、気孔(連続孔c)が残った状態となり、焼結後のNi焼結層中においてもNi接合剤中のNi粒子の粒径が実質的に維持される。
本発明によれば、絶縁基板とこの絶縁基板に接合されて配線回路等が形成される金属板との間の接合強度に優れ、また、低温から高温までの接合信頼性に優れており、デバイスの製造時や使用時における反りや剥離等の発生を低減し得る回路基板を提供することができ、また、このように接合強度及び接合信頼性に優れた回路基板を工業的に容易に製造することができる。
図1において、(A)は実施例1で用いられたNi微細粒子ペースト中のNi微細粒子を撮影したSEM画像の一例であり、また、(B)は、実施例1で得られた回路基板におけるNi焼結層中のNi微細粒子を撮影したSEM画像の一例である。 図2は、本発明におけるNi微細粒子の焼結状態を模式的に示す説明図である。 図3は、第1の実施形態に係る回路基板を模式的に説明する説明図である。 図4は、第2の実施形態に係る回路基板を模式的に説明する説明図である。
以下、添付図面に示す実施例及び比較例に基づいて、本発明の回路基板製造方法を具体的に説明する。
ここで、「Ni焼結層中のNi粒子の平均粒径」は上述したNi粒子の平均粒径の求め方に従って測定した。なお、回路基板の調製に用いられたNi接合剤に含まれるNi粒子の粒径は、焼結温度400℃以下での焼結後のNi焼結層中においても、実質的に維持されるので、以下の実施例及び比較例においてはその記載を省略する。
また、「金属被膜の厚さ」及び「Ni焼結層の厚さ」については、回路基板のNi焼結層におけるNi粒子の平均粒径を測定するために調製された測定用試料を用い、この測定用試料のSEM観察用断面をSEMにより1万倍〜10万倍で観察し、スケールバーを用いて求めた。
更に、絶縁基板と金属板との間の「接合強度」については、ボンドテスター(DAGE社製万能型ボンドテスター:シリーズ4000)を用い,金属板のシェア強度をダイ・シェアモードで測定して求めた。
〔第1の実施形態〕
図3に、本発明の第1の実施形態に係る回路基板Aが模式的に記載されている。この第1の実施形態の回路基板Aは、絶縁基板1と、金属板2と、金属被膜3aと、Ni焼結層3bと、金属板2とが順に接合された積層構造になっており、前記金属被膜3aは絶縁基板1の表面に活性金属を蒸着させて形成されており、また、前記Ni焼結層3bは金属被膜3aの表面にNi粒子を含むNi接合剤を塗布し、得られた塗布層の上に金属板2を重ね合わせ、前記Ni接合剤の塗布層を焼結させて形成されており、前記絶縁基板1と金属板2とが前記金属被膜3aとNi焼結層3bとを接合層として互いに接合されている。
〔実施例1〜12及び比較例1〜5〕
オレイン酸且つオレイルアミンで被覆された平均粒径115nmのNi微細粒子、平均粒径150nmのNi微細粒子、又は平均粒径3000nmのNi細粒子と、分散媒として沸点198℃の1-オクタノール、バインダーとしてアセタール樹脂をそれぞれ85質量%、10質量%、5質量%に相当する割合で混練して、Ni接合剤としてNi微細粒子ペーストを調製した。なお、Ni粒子の平均粒径は、上述した方法によりSEM観察で測定された値である。
次に、上記の第1の実施形態に係る回路基板Aの調製に際しては、先ず、絶縁基板1として用いられた15mm×15mm×0.6mmの大きさの窒化珪素基板の片面に表1に示す活性金属の蒸着を行い、金属被膜3aとして表1に示す金属種及び厚さの金属蒸着膜を形成した。次に、この形成された金属被膜3aの上に上記のNi接合剤を印刷により塗布し、次いでこのNi接合剤の塗布層の上に縦10mm×横10mmの大きさを有すると共に表1に示す金属種及び厚さの金属板2を載置し、この金属板2の上面から常温下に5MPa、10秒間の条件で加圧して塗布層と金属板2との間を平均化した。その後、水素濃度3vol%の窒素ガス雰囲気下に、表1に示す温度で塗布層を焼結させて表1に示す厚さのNi焼結層3bを形成し、上記の金属被膜3a及びNi焼結層3bを接合層として絶縁基板1と金属板2との間を接合した。
以上のようにして調製された各実施例及び比較例の回路基板について、接合強度については、ボンドテスター(DAGE社製万能型ボンドテスター:シリーズ4000)を用い、金属板のシェア強度を測定して求めた。また、接合信頼性については、気相式冷熱衝撃試験装置(ESPEC社製TSA-72ES-W)を使用し、−40℃30分の冷却と250℃30分の加熱とを1サイクルとして100サイクルの冷熱サイクルを繰り返す冷熱サイクル試験を実施し、試験後の試験片を観察し、金属板が絶縁基板から剥離しているか否かと、回路基板を定盤上に載置した際にその端部若しくは中央部での反りや浮き上がりを目視で観察し、以下の基準で評価した。
接合信頼性◎:金属板が絶縁基板から剥離しておらず、冷熱サイクル試験前後において反りや浮き上がりが認められない。
接合信頼性○:金属板が絶縁基板から剥離していないが、冷熱サイクル試験後後に1mm以下の反りや浮き上りが認められる。
接合信頼性△:金属板が絶縁基板から剥離していないが、試験後の接合強度が1kgf/mm2以下である。
接合信頼性×:金属板が絶縁基板から剥離している。
結果を表1に示す。
表1に示す結果から明らかなように、第1の実施形態の回路基板Aにおいて、実施例1〜12の場合には、冷熱サイクル試験の前後において共に接合強度が1kgf/mm2以上であり、また、金属板が絶縁基板から剥離しておらず、また、絶縁基板の反りや浮きが1mm以内であって、接合強度及び接合信頼性が共に優れていた。
これに対して、比較例1〜5の場合には、冷熱サイクル試験前又は冷熱サイクル試験後の接合強度が1kgf/mm2より低いか、冷熱サイクル試験後において金属板が剥離し易い、接合強度が1kgf/mm2より低い等の評価になった。なお、接合温度が200℃である比較例3の場合には、Ni粒子として用いたNi微細粒子が焼結せず、Ni焼結層が形成されなかった。また、接合温度が450℃である比較例4の場合には、冷熱サイクル試験前の接合強度が低く、また、冷熱サイクル試験後に剥離が発生したが、これは、接合温度から室温まで冷却する際の温度差が大きく、絶縁基板と金属板との間の熱膨張差に起因する熱応力が大きく、接合層に欠陥が生じたものと推察される。
〔第2の実施形態:実施例13〜25及び比較例6〜11〕
図4に、本発明の第2の実施形態に係る回路基板Bが模式的に記載されている。この第2の実施形態の回路基板Bは、第1の実施形態の回路基板Aの場合とは異なり、接合層のNi焼結層3bを形成するためのNi接合剤として、表2に示すオレイン酸且つオレイルアミンで被覆された平均粒径115nmのNi微細粒子Sn、平均粒径150nmのNi微細粒子Sn、平均粒径1μmのNi細粒子Sm、及び平均粒径3μmのNi細粒子Smを用い、これらNi微細粒子Sn(Ni粒子)とNi細粒子Sm(Ni粒子)とを表2に示すNi微細粒子の割合〔Sn/(Sn+Sm)〕で添加されているものを用いた。なお、Ni粒子の平均粒径は、上述した方法によりSEM観察で測定された値である。
上記以外の点については第1の実施形態Aの場合と同様であり、また、接合強度の測定及び冷熱サイクル試験も同様にして行った。
結果を表2に示す。
この表2に示す結果から明らかなように、第2の実施形態の回路基板Bにおいて、実施例12〜25の場合には、冷熱サイクル試験の前後において共に接合強度が1kgf/mm2以上であり、また、金属板が絶縁基板から剥離しておらず、また、実施例23及び24の場合を除いて絶縁基板の反りや浮きが1mm以内であって、接合強度及び接合信頼性が共に優れていた。
これに対して、比較例6〜11の場合には、冷熱サイクル試験前又は冷熱サイクル試験後の接合強度が1kgf/mm2より低いか、冷熱サイクル試験後において金属板が剥離し易い、接合強度が1kgf/mm2より低い等の評価になった。なお、接合温度が200℃である比較例8の場合には、Ni粒子として用いたNi微細粒子が焼結せず、Ni焼結層が形成されなかった。また、接合温度が450℃である比較例9の場合には、冷熱サイクル試験前の接合強度が低く、また、冷熱サイクル試験後に剥離が発生したが、これは、接合温度から室温まで冷却する際の温度差が大きく、絶縁基板と金属板との間の熱膨張差に起因する熱応力が大きく、接合層に欠陥が生じたものと推察される。更に、Ni微細粒子の割合〔Sn/(Sn+Sm)〕が0.1又は0.8の比較例10及び11の場合には、冷熱サイクル試験前の接合強度及び接合信頼性が共に低いが、これは、Ni細粒子Smを添加してかえってNi粒子の充填率が低くなったこととNi粒子間の接触面積が小さくなって接合強度が低下したことに起因するものと推察される。
a…粒子の鋭角接触、b…ネック部、c…気孔(連続孔)、A,B…回路基板、1…絶縁基板、2…金属板、3a…金属被膜、3b…Ni焼結層、Sn…Ni微細粒子、Sm…Ni細粒子。

Claims (7)

  1. 絶縁基板と、前記絶縁基板の片面又は両面に接合される金属板と、これら絶縁基板と金属板との間を接合する接合層とを有し、また、前記接合層が、Niと共晶物形成可能な活性金属からなると共に前記絶縁基板の片面又は両面に形成された金属被膜と、この金属被膜と前記金属板との間に形成され、Ni粒子が焼結し互いに結合したNi焼結層とからなり、更に、前記Ni焼結層は、そのNi粒子がSEM観察で測定された平均粒径15〜150nmのNi微細粒子であると共に、その厚さが10〜200μmである回路基板の製造方法であり、
    前記絶縁基板の片面又は両面にNiと共晶物形成可能な活性金属の金属被膜を形成し、
    得られた金属被膜及び/又は前記金属板の表面に分散剤で保護されたNi粒子を含むNi接合剤を塗布し、
    次いで前記Ni接合剤の塗布層を挟んで前記絶縁基板と金属板とを重ね合わせ、還元性雰囲気下に250℃以上400℃以下の温度で加熱して塗布層を焼結させて厚さ10〜200μmのNi焼結層を形成し、 前記絶縁基板の表面に形成された金属被膜と前記Ni焼結層とを接合層として絶縁基板と金属板との間を接合することを特徴とする回路基板の製造方法。
  2. 前記Ni接合剤中の分散剤で保護されたNi粒子がSEM観察で測定された平均粒径15〜150nmのNi微細粒子であり、また、前記Ni焼結層の厚さが50〜100μmである請求項1に記載の回路基板の製造方法。
  3. 前記Ni接合剤中の分散剤で保護されたNi微細粒子は、粒度分布の標準偏差値が20nm以下である請求項2に記載の回路基板の製造方法。
  4. 前記Ni接合剤中の分散剤で保護されたNi粒子が、SEM観察で測定された平均粒径15〜150nmのNi微細粒子とSEM観察で測定された平均粒径0.5〜10μmのNi細粒子との混合物であると共に、これらNi微細粒子の断面積(Sn)とNi細粒子の断面積(Sm)の合計に対するNi微細粒子の断面積(Sn)の割合〔Sn/(Sn+Sm)〕の値が0.2〜0.3であり、また、前記Ni焼結層の厚さが50〜200μmである請求項1に記載の回路基板の製造方法。
  5. 前記Ni焼結層のNi粒子は、Ni微細粒子の粒度分布の標準偏差値が20nm以下であり、また、Ni細粒子の粒度分布の標準偏差値が10μm以下である請求項4に記載の回路基板の製造方法。
  6. 前記絶縁基板が窒化物系又は炭化物系のセラミックス材料からなる請求項1〜5のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
  7. 前記金属被膜がTi被膜である請求項1〜6のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
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