JP2015115539A - Ag下地層付き金属部材、絶縁回路基板、半導体装置、ヒートシンク付き絶縁回路基板、及び、Ag下地層付き金属部材の製造方法 - Google Patents

Ag下地層付き金属部材、絶縁回路基板、半導体装置、ヒートシンク付き絶縁回路基板、及び、Ag下地層付き金属部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属部材とAg下地層との接合強度に優れ、導電性及び熱伝導性を確保することができるAg下地層付き金属部材、このAg下地層付き金属部材からなる絶縁回路基板、この絶縁回路基板を用いた半導体装置及びヒートシンク付き絶縁回路基板、並びに、Ag下地層付き金属部材の製造方法を提供する。
【解決手段】被接合体と接合される金属部材と、この金属部材の表面に形成されたAg下地層30と、を備えたAg下地層付き金属部材であって、前記金属部材のうち前記被接合体と接合される接合面には、銅又は銅合金からなる銅層が形成され、この銅層の表面には、Ag下地層30が形成されており、Ag下地層30は、複数のAg粒子31が、Ag及びSnを含む金属間化合物32によって結合された構造とされている。
【選択図】図2

Description

この発明は、被接合体と接合される金属部材とこの金属部材の表面に形成されたAg下地層とを備えたAg下地層付き金属部材、このAg下地層付き金属部材を有する絶縁回路基板、この絶縁回路基板を備えた半導体装置、ヒートシンク付き絶縁回路基板、及び、Ag下地層付き金属部材の製造方法に関するものである。
LEDやパワーモジュール等の半導体装置においては、導電材料からなる回路層の上に半導体素子が接合された構造とされている。
風力発電、電気自動車、ハイブリッド自動車等を制御するために用いられる大電力制御用のパワー半導体素子においては、発熱量が多いことから、これを搭載する基板としては、例えばAlN(窒化アルミ)、Al(アルミナ)などのセラミックス基板からなる絶縁層と、この絶縁層の一方の面に導電性の優れた金属を配設して形成した回路層と、を備えた絶縁回路基板が、従来から広く用いられている。なお、絶縁回路基板としては、絶縁層の他方の面に熱伝導性に優れた金属を配設して形成した金属層を備えたものも提供されている。
例えば、特許文献1には、回路層及び金属層を構成する第一の金属板及び第二の金属板を銅板とし、この銅板をDBC法によってセラミックス基板に直接接合した絶縁回路基板が提案されている。このDBC法においては、銅と銅酸化物との共晶反応を利用することにより、銅板とセラミックス基板との界面に液相を生じさせ、銅板とセラミックス基板とを接合している。
この特許文献1に記載された絶縁回路基板においては、回路層の表面に半導体素子等の電子部品が実装され、金属層の表面にヒートシンクベースがはんだ付けされている。そして、半導体素子等の電子部品で発生した熱を、絶縁回路基板側に伝達し、ヒートシンクベースを介して外部へ放散する構成とされている。
最近では、環境保護の観点から、半導体素子等の電子部品と回路層、ヒートシンクベースと金属層と接合する際に用いられるはんだ材としては、例えばSn−Ag系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系等の鉛フリーはんだが主流となっている。
ここで、銅又は銅合金からなる回路層や金属層に直接はんだ接合した場合には、溶融したはんだ材と銅とが反応して回路層や金属層の内部にはんだ材の成分が侵入し、回路層や金属層の特性が劣化するおそれがある。このため、従来は、回路層や金属層の表面にNiめっき膜を形成し、はんだ接合を実施している。
また、最近では、シリコン半導体からSiC又はGaNなど化合物半導体素子の実用化が期待されており、半導体素子自体の耐熱性の向上が見込まれるため、はんだ材よりも耐熱性に優れた接合材が求められている。
そこで、はんだ材の代替として、例えば、特許文献2には、金属粒子と有機物とを有する金属ペーストを用いて半導体素子等の電子部品やヒートシンクベースを接合する技術が提案されている。
また、特許文献3、4には、金属酸化物粒子と有機物からなる還元剤とを含む酸化物ペーストを用いて、半導体素子等の電子部品やヒートシンクベースを接合する技術が提案されている。
しかしながら、特許文献2−4に開示されたように、はんだ材を使用せずに金属ペーストあるいは酸化物ペーストを用いて半導体素子等の電子部品を接合した場合には、これらペーストの焼成体からなる接合層がはんだ材に比べて厚みが薄く形成されるため、熱サイクル負荷時の応力が半導体素子等の電子部品に作用しやすくなり、半導体素子等の電子部品自体が破損してしまうおそれがあった。同様に、金属層とヒートシンクとの間に形成される接合層が薄くなると、絶縁回路基板とヒートシンクとの熱膨張係数の差によって生じる熱ひずみが絶縁回路基板に作用し、絶縁層に亀裂が生じるおそれがあった。
そこで、特許文献5、6には、ガラス含有Agペーストを用いて銅からなる回路層上にAg下地層を形成した後に、はんだ材又はAgペーストを介して回路層と半導体素子を接合する技術が提案されている。この技術では、ガラス含有Agペーストを銅からなる回路層の表面に塗布し、焼成することによって回路層の表面に形成されている酸化被膜をガラスに反応させて除去してAg下地層を形成し、このAg下地層が形成された回路層上に、はんだ材によって半導体素子を接合している。
ここで、Ag下地層は、ガラスが回路層の酸化被膜と反応することにより形成されたガラス層と、このガラス層上に形成されたAg層とを備えている。このガラス層中には導電性粒子が分散しており、この導電性粒子によってガラス層の導通が確保されている。
特開平04−162756号公報 特開2006−202938号公報 特開2008−208442号公報 特開2009−267374号公報 特開2012−109315号公報 特開2013−12706号公報
ところで、特許文献5、6のガラス含有ペーストを用いて回路層の表面にAg下地層を形成し、回路層と半導体素子等の電子部品とを接合した場合、Ag下地層においてガラス層が厚く形成されると電気抵抗値が大きくなることから、回路層と半導体素子等の電子部品との間の導電性を確保できなくなるおそれがあった。
また、特許文献5、6のガラス含有ペーストを用いて金属層の表面にAg下地層を形成し、金属層とヒートシンクとを接合した場合、電気抵抗値が高くなると熱伝導性も劣化することから、金属層からヒートシンクへの熱伝達も阻害され、熱を効率的に放散することができなくなるおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、金属部材とAg下地層との接合強度に優れ、導電性及び熱伝導性を確保することができるAg下地層付き金属部材、このAg下地層付き金属部材からなる絶縁回路基板、この絶縁回路基板を用いた半導体装置及びヒートシンク付き絶縁回路基板、並びに、Ag下地層付き金属部材の製造方法を提供することを目的とする
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明のAg下地層付き金属部材は、被接合体と接合される金属部材と、この金属部材の表面に形成されたAg下地層と、を備えたAg下地層付き金属部材であって、前記金属部材のうち前記被接合体と接合される接合面には、銅又は銅合金からなる銅層が形成され、この銅層の表面には、Ag下地層が形成されており、前記Ag下地層は、複数のAg粒子が、Ag及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされていることを特徴としている。
この構成のAg下地層付き金属部材においては、金属部材のうち前記被接合体と接合される接合面に形成された銅層とAg下地層のAg及びSnを含む金属間化合物とが互いに拡散することにより、Ag下地層と銅層とが確実に接合される。そして、複数のAg粒子がAg及びSnを含む金属間化合物によって結合されているので、銅層の表面にAg粒子が積層したAg下地層を形成することができる。したがって、金属部材とAg下地層との接合強度に優れ、導電性及び熱伝導性を確保することが可能なAg下地層付き金属部材を得ることができる。
ここで、本発明の絶縁回路基板は、絶縁層と、この絶縁層の一方の面に配設された回路層と、を備えた絶縁回路基板であって、前記回路層のうち前記絶縁層が配設された面と反対側の面に前記銅層が備えられ、この銅層の表面にAg下地層が形成され、前記回路層及び前記Ag下地層が上述のAg下地層付き金属部材とされており、前記Ag下地層は、複数のAg粒子が、Ag及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされていることを特徴としている。
この構成の絶縁回路基板においては、回路層のうち前記絶縁層が配設された面と反対側の面に形成された銅層とAg下地層のAg及びSnを含む金属間化合物とが互いに拡散することにより、Ag下地層と銅層とが確実に接合される。そして、複数のAg粒子がAg及びSnを含む金属間化合物によって結合されているので、銅層の表面にAg粒子が積層したAg下地層を形成することができる。よって、半導体素子等の電子部品と回路層とを確実に接合することが可能となる。また、Ag及びSnを含む金属間化合物とAgとによってAg下地層が形成されているので、回路層と半導体素子等の電子部品との間の導電性及び熱伝導性を確保することができる。
また、本発明の絶縁回路基板は、絶縁層と、この絶縁層の一方の面に配設された回路層と、前記絶縁層の他方の面に配設された金属層と、を備えた絶縁回路基板であって、前記金属層のうち前記絶縁層が配設された面と反対側の面に前記銅層が備えられ、この銅層の表面に前記Ag下地層が形成され、前記金属層及び前記Ag下地層が上述のAg下地層付き金属部材とされており、前記Ag下地層は、複数のAg粒子が、Ag及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされていることを特徴としている。
この構成の絶縁回路基板においては、金属層のうち前記絶縁層が配設された面と反対側の面に形成された銅層とAg下地層のAg及びSnを含む金属間化合物とが互いに拡散することにより、Ag下地層と銅層とが確実に接合されるとともに、複数のAg粒子がAg及びSnを含む金属間化合物によって結合されているので、銅層の表面にAg粒子が積層したAg下地層を形成することができる。よって、ヒートシンクと金属層とを確実に接合することが可能となる。また、Ag及びSnを含む金属間化合物とAgとによってAg下地層が形成されているので、熱伝導性を確保することができ、絶縁回路基板側の熱をヒートシンク側へ効率的に放散することができる。
また、本発明の半導体装置は、上述の絶縁回路基板と、前記Ag下地層に接合された半導体素子と、を備えた半導体装置であって、前記Ag下地層と前記半導体素子とが、Ag及び酸化銀の一方又は両方と有機物とを含む接合材の焼成体からなる接合層により接合されていることを特徴としている。
この構成の半導体装置によれば、回路層のうち銅又は銅合金からなる銅層の表面に形成されたAg下地層とAg及び酸化銀の一方又は両方と有機物とを含む接合材の焼成体からなる接合層とが同種の金属同士の接合となることから、回路層と半導体素子等の電子部品とを確実に接合することができる。よって、接合信頼性に優れ、かつ、確実に回路層と電子部品とが電気的に接合された半導体装置を提供することができる。
また、本発明のヒートシンク付き絶縁回路基板は、上述の絶縁回路基板と、前記Ag下地層に接合されたヒートシンクと、を備えたヒートシンク付き絶縁回路基板であって、前記Ag下地層と前記ヒートシンクとが、Ag及び酸化銀の一方又は両方と有機物とを含む接合材の焼成体からなる接合層により接合されていることを特徴としている。
この構成の半導体装置によれば、金属層のうち銅又は銅合金からなる銅層の表面に形成されたAg下地層とAg及び酸化銀の一方又は両方と有機物とを含む接合材の焼成体からなる接合層とが同種の金属同士の接合となることから、金属層とヒートシンクとを確実に接合することができる。よって、金属層とヒートシンクとが確実に接合され、絶縁回路基板側の熱をヒートシンク側に効率的に放散することが可能なヒートシンク付き絶縁回路基板を提供することができる。
また、本発明のAg下地層付き金属部材の製造方法は、被接合体と接合される金属部材と、この金属部材の表面に形成されたAg下地層と、を備えたAg下地層付き金属部材の製造方法であって、前記金属部材のうち前記被接合体が接合される接合面に、銅又は銅合金からなる銅層を配設する銅層配設工程と、前記銅層の表面に、Ag粉末とSn又はSn合金の粉末とを含有するAg下地層形成用ペーストを塗布して加熱処理することにより、複数のAg粒子がAg及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされたAg下地層を形成するAg下地層形成工程と、を備えていることを特徴としている。
この構成のAg下地層付き金属部材の製造方法によれば、金属部材のうち前記被接合体が接合される接合面に銅又は銅合金からなる銅層を配設し、この銅層の表面にAg粉末とSn又はSn合金の粉末とを含有するAg下地層形成用ペーストを塗布して加熱処理することによりAg下地層を形成するAg下地層形成工程を備えているので、金属部材(銅層)の接合面に、複数のAg粒子がAg及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造のAg下地層を確実に形成することができる。
本発明によれば、金属部材とAg下地層との接合強度に優れ、導電性及び熱伝導性を確保することができるAg下地層付き金属部材、このAg下地層付き金属部材からなる絶縁回路基板、この絶縁回路基板を用いた半導体装置及びヒートシンク付き絶縁回路基板、並びに、Ag下地層付き金属部材の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態である半導体装置の概略説明図である。 本発明の第1実施形態である絶縁回路基板に設けられたAg下地層の拡大説明図である。 CuとSnの2元状態図である。 AgとSnの2元状態図である。 本発明の第1実施形態において使用されるAg下地層形成用ペーストの製造方法のフロー図である。 本発明の第1実施形態である絶縁回路基板の製造方法及び半導体装置の製造方法のフロー図である。 本発明の第1実施形態である絶縁回路基板の製造方法及び半導体装置の製造方法を示す説明図である。 本発明の第1実施形態においてAg下地層が形成される過程を示す説明図である。 本発明の第2実施形態である半導体装置の概略説明図である。 本発明の第2実施形態である絶縁回路基板の製造方法及び半導体装置の製造方法のフロー図である。 本発明の第2実施形態である絶縁回路基板の製造方法及び半導体装置の製造方法の概略説明図である。 本発明の第3実施形態である半導体装置の概略説明図である。 図10の半導体装置におけるアルミニウム層と銅層との接合界面の概略説明図である。 CuとAlの2元状態図である。 本発明の第3実施形態である絶縁回路基板の製造方法及び半導体装置の製造方法のフロー図である。 本発明の第3実施形態である絶縁回路基板の製造方法及び半導体装置の製造方法の概略説明図である。 本発明の他の実施形態である半導体装置の概略説明図である。 実施例において、Ag下地層の厚さ方向の電気抵抗値の測定方法を示す上面説明図である。 実施例において、Ag下地層の厚さ方向の電気抵抗値の測定方法を示す側面説明図である。
以下に、本発明の実施形態について添付した図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について、図1から図8を参照して説明する。
図1に、本発明の第1実施形態である半導体装置1を示す。この半導体装置1は、絶縁回路基板10と、この絶縁回路基板10の一方の面(図1において上面)に接合層2を介して接合された半導体素子3と、を備えている。
絶縁回路基板10は、絶縁層となるセラミックス基板11と、このセラミックス基板11の一方の面(図1において上面)に配設された回路層12(金属部材)と、を備えている。
セラミックス基板11は、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)、Si(窒化ケイ素)、Al(アルミナ)等で構成されている。本実施形態では、放熱性の優れたAlN(窒化アルミ)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
回路層12は、図7に示すように、セラミックス基板11の一方の面に銅又は銅合金からなる銅板22が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、回路層12を構成する銅板22として、無酸素銅の圧延板が用いられている。この回路層12には、回路パターンが形成されており、その一方の面(図1において上面)が、半導体素子3が搭載される搭載面されている。ここで、回路層12(銅板22)の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.3mmに設定されている。
そして、この回路層12の一方の面には、Ag下地層30が形成されている。本実施形態においては、このAg下地層30と回路層12とがAg下地層付き金属部材となる。
このAg下地層30は、図2に示すように、Ag粒子31と、Ag及びSnを含む金属間化合物32と、を備えており、複数のAg粒子31がAg及びSnを含む金属間化合物32によって結合された構造とされている。なお、このAg下地層30は、後述するAg下地層形成用ペースト50によって形成されている。ここで、Ag及びSnを含む金属間化合物32には、接合信頼性を向上させるために、Ni、Co、Ge、P、Si、In、Bi等が0.2mass%以下添加されていてもよい。
また、本実施形態では、Ag下地層30の厚さが1μm以上15μm以下の範囲内とされている。
さらに、Ag及びSnを含む金属間化合物32と回路層12とは、互いに拡散することによって、CuへのSn固溶相、η相、η´相、ε相といった合金層を形成している(図3参照)。また、Ag及びSnを含む金属間化合物32とAg粒子31とは、互いに拡散することによって、AgへのSn固溶相、ε相、ζ相といった合金層を形成している(図4参照)。
接合層2は、Ag粒子及び酸化銀粒子の少なくとも一方又は両方と有機物とを含む接合材の焼成体とされており、本実施形態においては、酸化銀粒子と有機物からなる還元剤とを含む酸化銀ペーストの焼成体とされている。すなわち、接合層2は、酸化銀が還元されたAgの焼成体とされているのである。ここで、酸化銀を還元することにより生成される粒子は、例えば粒径10nm〜1μmと非常に微細であることから、緻密なAgの焼成層が形成されることになる。
次に、Ag下地層30を形成するAg下地層形成用ペースト50について説明する。
このAg下地層形成用ペースト50は、図8に示すように、Ag粉末51と、Sn又はSn合金の粉末52と、N雰囲気における分解温度が400℃以下のアクリル系樹脂53と、を含有している。なお、必要に応じて、溶剤及び分散剤を添加してもよい。
また、Sn合金としては、Sn−Ag合金、Sn−Cu合金、Sn−Zn−Al合金、Sn−Sb合金等を用いることができる。
また、Ag下地層形成用ペースト50にNi、Co、Ge、P、Si、In、Bi等がSn又はSn合金の粉末重量に対し0.2mass%以下添加されていてもよい。Ni、Co、Ge、P、Si、In、Bi等を添加することでSn又はSn合金の粉末が溶融した際に濡れ性が向上し、回路層との反応が進みやすくなり、接合信頼性が向上する。なお、Ni、Co、Ge、P、Si、In、Bi等を添加する場合、これらの元素とSn又はSn合金との合金(例えば、Sn−Ni合金やSn−Sb−Ni合金)として添加することが望ましい。
ここで、Ag粉末51の含有量が50mass%以上80mass%以下とされ、Sn又はSn合金の粉末52の含有量が15mass%以上35mass%以下、アクリル系樹脂53の含有量が0.1mass%以上2mass%以下、有機溶剤の含有量が0.9mass%以上18mass%以下とされている。
アクリル系樹脂53としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリルサンt−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸アルキル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール等の重合体を用いることができる。
さらに、Ag粉末51の平均粒径(マイクロトラック法で測定した中心粒径d50)が0.1μm以上10μm以下とされ、Sn又はSn合金の粉末52の平均粒径(マイクロトラック法で測定した中心粒径d50)が0.5μm以上15μm以下とされている。
また、有機溶剤としては、アクリル系の樹脂を溶解することができるものを用いることができ、例えば、α−テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレンクリコールジブチルエーテル等を用いることができる。本実施形態においては、α−テルピネオールを用いた。有機溶剤量としては、アクリル系樹脂重量1に対して有機溶剤7〜24倍の有機溶剤にて樹脂を溶解したものを用いた。
さらに、必要に応じて分散剤を添加することができる。分散剤を添加する場合には、上記溶剤に溶解するもので、カルボン酸系やアミン系の分散剤を用いることが望ましい。本実施形態においては、ジアミン系の分散剤を添加し、分散剤量としては、有機溶剤重量1に対して分散剤0.05〜0.50の範囲で添加することが望ましい。
次に、本実施形態で用いられるAg下地層形成用ペースト50の製造方法について、図5に示すフロー図を参照して説明する。
まず、前述したAg粉末51と、Sn又はSn合金の粉末52とを混合する(粉末混合工程S1)。また、アクリル系樹脂53、分散剤、溶剤を混合して有機混合物を生成する(有機物混合工程S2)。
そして、粉末混合工程S1で得られた混合粉末と、有機物混合工程S2で得られた有機混合物とをミキサーによって予備混合する(予備混合工程S3)。
次いで、予備混合物を、複数のロールを有するロールミル機を用いて練り込みながら混合する(混錬工程S4)。
混錬工程S4によって得られた混錬物を、ペーストろ過機によってろ過する(ろ過工程S5)。
このようにして、本実施形態であるAg下地層形成用ペースト50が製出されることになる。
次に、接合層2を形成する酸化銀ペーストについて説明する。
この酸化銀ペーストは、酸化銀粉末(酸化銀粒子)と、還元剤と、樹脂と、溶剤と、を含有しており、本実施形態では、これらに加えて有機金属化合物粉末を含有している。
酸化銀粉末の含有量が酸化銀ペースト全体の60mass%以上92mass%以下とされ、還元剤の含有量が酸化銀ペースト全体の5mass%以上20mass%以下とされ、有機金属化合物粉末の含有量が酸化銀ペースト全体の0mass%以上10mass%以下とされており、残部が溶剤とされている。この酸化銀ペーストにおいては、焼結によって得られる接合層2に未反応の有機物が残存することを抑制するために、分散剤及び樹脂は添加していない。
還元剤は、還元性を有する有機物とされており、例えば、アルコール、有機酸を用いることができる。
有機金属化合物は、熱分解によって生成する有機酸によって酸化銀の還元反応や有機物の分解反応を促進させる作用を有するものであり、例えば蟻酸Ag、酢酸Ag、プロピオン酸Ag、安息香酸Ag、シュウ酸Agなどのカルボン酸系金属塩等が適用される。
なお、この酸化銀ペーストは、その粘度が10Pa・s以上500Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以上300Pa・s以下に調整されている。
次に、本実施形態である絶縁回路基板10及び半導体装置1の製造方法について、図6から図8を参照して説明する。
まず、Ag及び窒化物形成元素を含む銅部材接合用ペーストを用いてセラミックス基板11の一方の面に銅板22を接合し、回路層12を形成する(回路層形成工程S01)。
ここで、銅部材接合用ペーストは、Ag及び窒化物形成元素を含む粉末成分と、樹脂と、溶剤と、分散剤と、可塑剤と、還元剤と、を含有するものであり、粉末成分は、Ag及び窒化物形成元素以外に、In、Sn、Al、Mn及びZnから選択される1種又は2種以上の添加元素を含有するものとされている。本実施形態では、窒化物形成元素としてTiを用いた。
具体的には、図7に示すように、セラミックス基板11の一方の面にスクリーン印刷によって、銅部材接合用ペーストを塗布して乾燥させることにより、Ag及び窒化物形成元素層24を形成する。このAg及び窒化物形成元素層24の厚さは、乾燥後で60μm以上300μm以下とされている。次に、銅板22をセラミックス基板11の一方の面側に積層する。すなわち、セラミックス基板11と銅板22との間にAg及び窒化物形成元素層24を介在させる。
そして、銅板22、セラミックス基板11を積層方向に加圧(圧力1〜35kgf/cm)した状態で真空加熱炉内に挿入して加熱することにより、セラミックス基板11の一方の面に回路層12を形成する。この加熱時において、Ag及び窒化物形成元素層24のAgが銅板22に向けて拡散する。このとき、銅板22の一部がCuとAgとの共晶反応によって溶融し、銅板22とセラミックス基板11との界面に、溶融金属領域が形成されることになる。そして、溶融金属領域が凝固することにより、セラミックス基板11と銅板22とが接合され、回路層12が形成される。
ここで、本実施形態では、真空加熱炉内の圧力は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内に、加熱温度は790℃以上850℃以下の範囲内に設定している。
なお、凝固が終了した後では、Ag及び窒化物形成元素層24のAgが十分に拡散されており、セラミックス基板11と銅板22との接合界面にAg及び窒化物形成元素層24が残存していない。
次に、回路層12の一方の面にAg下地層30を形成する(Ag下地層形成工程S02)。
このAg下地層形成工程S02においては、図8(a)に示すように、上述したAg下地層形成用ペースト50を回路層12の一方の面に塗布する。
次に、このAg下地層形成用ペースト50を加熱処理する。加熱処理条件は、例えば、窒素雰囲気下で、温度400℃以上600℃以下、保持時間30分以上2時間以下とすることが好ましい。これにより、図8(b)に示すように、Ag下地層形成用ペースト50中のアクリル系樹脂が分解して除去されるとともに、Sn又はSn合金の粉末52が溶融して溶融層52aが形成される。ここで、溶融層52aのSnと回路層12の銅とが互いに拡散して合金化するとともに、Ag粉末51が溶融層52aによって囲まれて、Ag粉末51と溶融層52aのSnとが互いに拡散して合金化する。
そして、図8(c)に示すように、溶融層52aとAg及びCuの相互拡散がさらに進展し、溶融層52aは融点の高いAg及びSnを含む金属間化合物32となり、凝固することによって、複数のAg粒子31がAg及びSnを含む金属間化合物32で結合された構造のAg下地層30が形成される。
なお、Ag及びSnを含む金属間化合物32には、AgとSnの金属間化合物の他に、AgとCuの金属間化合物やCuとSnの金属間化合物が含まれる。さらに、Sn又はSn合金の粉末52としてSn合金を用いた場合、Sn合金に含まれる元素とAg、Cu、Snとの金属間化合物が含まれる。例えば、Sn又はSn合金の粉末52としてSn−Sb合金を用いた場合、Ag及びSnを含む金属間化合物32には、AgとSb、CuとSb、SnとSb等の金属間化合物が含まれる。
このようにして、銅又は銅合金からなる回路層12の表面にAg下地層30が形成された本実施形態である絶縁回路基板10が製造される。
次に、Ag下地層30の表面に、接合層2となる酸化銀ペーストを塗布する(酸化銀ペースト塗布工程S03)。
なお、酸化銀ペーストを塗布する際には、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、感光性プロセス等の種々の手段を採用することができる。本実施形態では、スクリーン印刷法によって酸化銀ペーストを印刷した。
次に、酸化銀ペーストを塗布した状態で乾燥(例えば、室温、大気雰囲気で24時間保管)した後、絶縁回路基板10の酸化銀ペーストの上に半導体素子3を積層する(半導体素子積層工程S04)。
そして、半導体素子3と絶縁回路基板10とを積層した状態で加熱炉内に装入し、酸化銀ペーストの焼成を行う(焼成工程S06)。このとき、半導体素子3と絶縁回路基板10とを積層方向に加圧した状態で加熱することによって、より確実に接合することができる。この場合、加圧圧力は0.5〜10MPaとすることが望ましい。
このようにして、Ag下地層30の上に接合層2が形成され、半導体素子3と回路層12とが接合される。これにより、本実施形態である半導体装置1が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態に係る半導体装置1及び絶縁回路基板10によれば、銅又は銅合金からなる回路層12の表面にAg下地層30が形成されており、このAg下地層30が、複数のAg粒子31がAg及びSnを含む金属間化合物32によって結合された構造とされているので、回路層12とAg及びSnを含む金属間化合物32とが強固に接合され、回路層12とAg下地層12aとの接合強度を十分に高くすることができる。そして、このAg下地層30が形成された回路層12と半導体素子3とが、酸化銀ペーストの焼成体からなる接合層2を介して接合されているので、Ag下地層30と接合層2とが同種の金属(Ag)同士の接合となり、Ag下地層30と接合層2との接合強度が向上し、絶縁回路基板10と半導体素子3との接合信頼性を向上させることが可能となる。また、Ag下地層30の電気抵抗が低く抑えられており、絶縁回路基板10と半導体素子3との間の導電性を確保することができる。
また、本実施形態では、Sn又はSn合金を用いているので、Ag下地層形成工程S02において、400℃以上600℃以下の温度条件で加熱処理することにより、Sn又はSn合金の粉末52を溶融させてAg及びSnを含む金属間化合物32を確実に形成することが可能となる。
さらに、本実施形態では、Ag下地層形成用ペーストが、N雰囲気における分解温度が400℃以下のアクリル系樹脂を含有しているので、Ag下地層形成工程S02において、400℃以上600℃以下の温度条件で加熱処理することにより、アクリル系樹脂が分解して除去されるので、回路層12と半導体素子3との間の電気抵抗を確実に低減することができる。
さらに、本実施形態では、接合層2が、酸化銀粉末と還元剤とを含む酸化銀ペーストの焼成体とされているので、酸化銀ペーストを焼成する際に、酸化銀が還元剤によって還元されて微細なAg粒子となり、接合層2を緻密な構造とすることができる。また、還元剤は、酸化銀を還元する際に分解されるため、接合層2中に残存しにくく、接合層2における導電性及び強度を確保することができる。さらに、酸化銀ペーストは、例えば300℃といった比較的低温条件で焼成することが可能であるため、半導体素子3の接合温度を低く抑えることができ、半導体素子3への熱負荷を低減することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図9から図11を参照して説明する。
図9に、本発明の第2実施形態である半導体装置101を示す。この半導体装置101は、ヒートシンク付き絶縁回路基板140と、このヒートシンク付き絶縁回路基板140の一方の面(図9において上面)側に第1接合層102を介して接合された半導体素子103と、を備えている。
また、ヒートシンク付き絶縁回路基板140は、絶縁回路基板110と、この絶縁回路基板110の他方の面(図9において下面)側に第2接合層105を介して接合されたヒートシンク141と、を備えている。
絶縁回路基板110は、図9に示すように、セラミックス基板111と、このセラミックス基板111の一方の面(図9において上面)に配設された回路層112(金属部材)と、セラミックス基板111の他方の面に配設された金属層113(金属部材)と、を備えている。
セラミックス基板111は、回路層112と金属層113との間の電気的接続を防止するものであって、本実施形態では、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。ここで、セラミックス基板111の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
回路層112は、図11に示すように、セラミックス基板111の一方の面に銅又は銅合金からなる銅板122が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、回路層112を構成する銅板122として、無酸素銅の圧延板が用いられている。この回路層112には、回路パターンが形成されており、その一方の面が、半導体素子103が搭載される搭載面とされている。ここで、回路層112(銅板122)の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.6mmに設定されている。
金属層113は、図11に示すように、セラミックス基板111の他方の面に銅又は銅合金からなる銅板123が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、金属層113を構成する銅板123として、無酸素銅の圧延板が用いられている。ここで、金属層113(銅板123)の厚さは0.5mm以上6mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.6mmに設定されている。
ヒートシンク141は、前述の絶縁回路基板110を冷却するためのものであり、本実施形態では、銅又は銅合金からなる放熱板とされている。
ここで、図11に示すように、回路層112の一方の面には、第1Ag下地層130aが設けられ、金属層113の他方の面には、第2Ag下地層130bが形成されている。
また、図11に示すように、ヒートシンク141のうち金属層113と接合される領域には、第3Ag下地層130cが形成されている。
本実施形態では、回路層112及び第1Ag下地層130a、金属層113及び第2Ag下地層130b、ヒートシンク141及び第3Ag下地層130cが、それぞれAg下地層付き金属部材となる。
これら第1Ag下地層130a、第2Ag下地層130b、第3Ag下地層130cは、Ag粒子と、Ag及びSnを含む金属間化合物と、を備えており、複数のAg粒子がAg及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされている。なお、これら第1Ag下地層130a、第2Ag下地層130b、第3Ag下地層130cは、第1の実施形態で説明したAg下地層形成用ペースト50によって形成されている。
また、本実施形態では、これら第1Ag下地層130a、第2Ag下地層130b、第3Ag下地層130cの厚さが1μm以上15μm以下の範囲内とされている。
第1接合層102及び第2接合層105は、Ag粒子及び酸化銀粒子の少なくとも一方又は両方と有機物とを含む接合材の焼成体とされており、本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、酸化銀粒子と有機物からなる還元剤とを含む酸化銀ペーストの焼成体とされている。
次に、本実施形態である絶縁回路基板110及び半導体装置101の製造方法について、図10及び図11を参照して説明する。
まず、セラミックス基板111の一方の面及び他方の面に、銅板122、123を接合し、回路層112及び金属層113を形成する(回路層及び金属層形成工程S101)。
本実施形態では、Ag−Cu−Ti系ろう材124,125を介して銅板122、123を接合している。
次に、回路層112の一方の面に第1Ag下地層130aを形成するとともに、金属層113の他方面に第2Ag下地層130bを形成する(第1、第2Ag下地層形成工程S102)。
この第1、第2Ag下地層形成工程S102においては、上述したAg下地層形成用ペースト50を回路層112の一方の面及び金属層113の他方の面に塗布し、加熱処理することにより形成される。
このようにして、銅又は銅合金からなる回路層112の表面に第1Ag下地層130aが形成され、銅又は銅合金からなる金属層113の表面に第2Ag下地層130bが形成された本実施形態である絶縁回路基板110が製造される。
また、ヒートシンク141のうち金属層113と接合される接合面に、第3Ag下地層130cを形成する(第3Ag下地層形成工程S103)。
この第3Ag下地層形成工程S103においても、上述したAg下地層形成用ペースト50をヒートシンク141の接合面に塗布し、加熱処理することにより形成される。
次に、第1Ag下地層130aの表面に、第1接合層102となる酸化銀ペーストを塗布するとともに、第2Ag下地層130bの表面に、第2接合層105となる酸化銀ペーストを塗布する(酸化銀ペースト塗布工程S104)。
次に、酸化銀ペーストを塗布した状態で乾燥(例えば、室温、大気雰囲気で24時間保管)した後、回路層112側の酸化銀ペーストに半導体素子103を積層する(半導体素子積層工程S105)。
また、酸化銀ペーストを塗布した状態で乾燥(例えば、室温、大気雰囲気で24時間保管)した後、金属層113側の酸化銀ペーストにヒートシンク141を積層する(ヒートシンク積層工程S106)。
そして、半導体素子103と絶縁回路基板110とヒートシンク141を積層した状態で加熱炉内に装入し、酸化銀ペーストの焼成を行う(焼成工程S107)。このとき、半導体素子103と絶縁回路基板110とヒートシンク141とを積層方向に加圧した状態で加熱することによって、より確実に接合することができる。この場合、加圧圧力は0.5〜10MPaとすることが望ましい。
このようにして、半導体素子103と回路層112とが接合されるとともに、金属層113とヒートシンク141とが接合され、本実施形態である半導体装置101及びヒートシンク付き絶縁回路基板140が製造される。
上記のような構成とされた第2実施形態である半導体装置101、ヒートシンク付き絶縁回路基板140及び絶縁回路基板110によれば、第1実施形態の半導体装置1及び絶縁回路基板10と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態では、金属層113の表面に第2Ag下地層130bが形成され、ヒートシンク141の接合面に第3Ag下地層130cが形成されており、これら第2、第3Ag下地層130b、130cの間に酸化銀ペーストの焼成体からなる第2接合層105が形成されているので、金属層113とヒートシンク141とを確実に接合することができる。
そして、第2Ag下地層130b、第3Ag下地層130cが、Ag粒子と、Ag及びSnを含む金属間化合物と、を備えており、複数のAg粒子がAg及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされているので、金属層113と第2Ag下地層130b、ヒートシンク141と第3Ag下地層130cとの間の熱抵抗が小さくなり、絶縁回路基板110側の熱をヒートシンク141側へと効率的に放散することが可能となる。
(第3実施形態)
以下に、本発明の第3の実施形態について、図12から図16を参照して説明する。
図12に、本発明の第3実施形態である半導体装置201を示す。この半導体装置201は、絶縁回路基板210と、この絶縁回路基板210の一方の面(図12において上面)に接合層202を介して接合された半導体素子203と、を備えている。
絶縁回路基板210は、図12に示すように、セラミックス基板211と、このセラミックス基板211の一方の面(図12において上面)に配設された回路層212(金属部材)と、セラミックス基板211の他方の面(図12において下面)に配設された金属層213と、を備えている。
セラミックス基板211は、回路層212と金属層213との間の電気的接続を防止するものであって、本実施形態では、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。ここで、セラミックス基板211の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
回路層212は、図12に示すように、セラミックス基板211の一方の面に形成されたアルミニウム層212Aと、このアルミニウム層212Aの一方の面側に積層された銅層212Bと、を備えている。
この回路層212には、回路パターンが形成されており、その一方の面(図12において上面)が、半導体素子203が搭載される搭載面されている。ここで、回路層212の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.6mmに設定されている。
ここで、アルミニウム層212Aは、図16に示すように、セラミックス基板211の一方の面にアルミニウム板222Aが接合されることにより形成されている。本実施形態においては、アルミニウム層212Aは、純度99.99mass%以上のアルミニウムの圧延板を接合することで形成されている。
また、銅層212Bは、図16に示すように、無酸素銅の圧延板からなる銅板222Bがアルミニウム層212Aに固相拡散接合されることにより形成されている。
そして、これらのアルミニウム層212Aと銅層212Bとの界面には、図13に示すように、拡散層215が形成されている。
拡散層215は、アルミニウム層212AのAl原子と、銅層212BのCu原子とが相互拡散することによって形成されるものである。この拡散層215においては、アルミニウム層212Aから銅層212Bに向かうにしたがい、漸次アルミニウム原子の濃度が低くなり、かつ銅原子の濃度が高くなる濃度勾配を有している。
この拡散層215は、図13に示すように、AlとCuからなる金属間化合物で構成されており、本実施形態では、複数の金属間化合物が接合界面に沿って積層した構造とされている。ここで、この拡散層215の厚さは、1μm以上80μm以下の範囲内、好ましくは、5μm以上80μm以下の範囲内に設定されている。
本実施形態では、図13に示すように、アルミニウム層212A側から銅層212B側に向けて順に、アルミニウム層212Aと銅層212Bとの接合界面に沿って、θ相216、η2相217が積層し、さらにζ2相218a、δ相218b、及びγ2相218cのうち少なくとも一つの相が積層して構成されている(図14の状態図参照)。
また、本実施形態では、銅層212Bと拡散層215との界面に沿って、酸化物219がζ2相218a、δ相218b、又はγ2相218cからなる層の内部に層状に分散している。なお、この酸化物219は、アルミナ(Al)等のアルミニウム酸化物とされている。
金属層213は、図16に示すように、セラミックス基板211の他方の面にアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板223が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、金属層213を構成するアルミニウム板223として、純度99.99mass%以上のアルミニウムの圧延板が用いられている。ここで、金属層213(アルミニウム板223)の厚さは0.5mm以上6mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では1.0mmに設定されている。
ここで、図12に示すように、回路層212のうち銅層212Bの一方の面には、Ag下地層230が設けられている。本実施形態では、銅層212Bを備えた回路層212とAg下地層230とが、Ag下地層付き金属部材となる。
このAg下地層230は、Ag粒子と、Ag及びSnを含む金属間化合物と、を備えており、複数のAg粒子がAg及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされている。なお、このAg下地層230は、第1の実施形態で説明したAg下地層形成用ペースト50によって形成されている。
また、本実施形態では、Ag下地層230の厚さが1μm以上15μm以下の範囲内とされている。
また、接合層202は、Ag粒子及び酸化銀粒子の少なくとも一方又は両方と有機物とを含む接合材の焼成体とされており、本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、酸化銀粒子と有機物からなる還元剤とを含む酸化銀ペーストの焼成体とされている。
以下に、本実施形態である絶縁回路基板210及び半導体装置201の製造方法について、図15及び図16を参照して説明する。
まず、セラミックス基板211の一方の面及び他方の面に、アルミニウム板222A、223を接合し、アルミニウム層212A及び金属層213を形成する(アルミニウム層及び金属層形成工程S201)。
本実施形態では、図16に示すように、セラミックス基板211の一方の面及び他方の面に、ろう材箔224,225を介して、アルミニウム層212A及び金属層213となるアルミニウム板222A、223を積層する。本実施形態においては、ろう材箔224,225は、融点降下元素であるSiを含有したAl−Si系のろう材とされている。そして、アルミニウム板222A、223、及びセラミックス基板211を積層方向に加圧(圧力1〜35kgf/cm)した状態で、加熱炉内に挿入し加熱することにより、アルミニウム板222A、223を接合している。なお、本実施形態では、アルミニウム層及び金属層形成工程S201において、加熱温度は550℃以上650℃以下、加熱時間は30分以上180分以下とされている。
次に、アルミニウム層212Aの一方の面に銅板222Bを接合して銅層212Bを形成する(銅層形成工程S202)。
アルミニウム層212Aの上に銅板222Bを積層し、これらを積層方向に加圧(圧力3〜35kgf/cm)した状態で真空加熱炉内に装入して加熱することにより、アルミニウム層212Aと銅板222Bとを固相拡散接合する。ここで、銅層形成工程S202において、加熱温度は400℃以上548℃以下、加熱時間は15分以上270分以下とされている。なお、アルミニウム層212Aと銅板222Bとの固相拡散接合を行う場合には、加熱温度を、AlとCuの共晶温度(548.8℃)より5℃低い温度から共晶温度未満の温度範囲とすることが好ましい。
この銅層形成工程S202により、セラミックス基板211の一方の面にアルミニウム層212Aと銅層212Bとからなる回路層212が形成される。
次に、回路層212の一方の面(銅層212Bの一方の面)に、Ag下地層230を形成する。(Ag下地層形成工程S203)。
このAg下地層形成工程S203においては、上述したAg下地層形成用ペースト50を銅層212Bの一方の面に塗布して加熱処理することにより、複数のAg粒子がAg及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされたAg下地層230が形成される。
このようにして、回路層212のうち銅又は銅合金からなる銅層212Bの表面にAg下地層230が形成された本実施形態である絶縁回路基板210が製造される。
次に、Ag下地層230の表面に、接合層202となる酸化銀ペーストを塗布する(酸化銀ペースト塗布工程S204)。
なお、酸化銀ペーストを塗布する際には、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、感光性プロセス等の種々の手段を採用することができる。本実施形態では、スクリーン印刷法によって酸化銀ペーストを印刷した。
次に、酸化銀ペーストを塗布した状態で乾燥(例えば、室温、大気雰囲気で24時間保管)した後、酸化銀ペーストの上に半導体素子203を積層する(半導体素子積層工程S205)。
そして、半導体素子203と絶縁回路基板210とを積層した状態で加熱炉内に装入し、酸化銀ペーストの焼成を行う(焼成工程S206)。このとき、半導体素子203と絶縁回路基板110を積層方向に加圧した状態で加熱することによって、より確実に接合することができる。この場合、加圧圧力は0.5〜10MPaとすることが望ましい。
このようにして、半導体素子203と回路層212(銅層212B)とが接合され、本実施形態である半導体装置201が製造される。
上記のような構成とされた第2実施形態である半導体装置201及び絶縁回路基板210によれば、第1実施形態の半導体装置1及び絶縁回路基板10と同様の作用効果を奏することができる。
また、本実施形態では、回路層212が銅層212Bを有しているので、半導体素子203から発生する熱を銅層212Bで面方向に拡げることができ、絶縁回路基板210側へ効率的に熱を伝達することができる。
さらに、セラミックス基板211の一方の面に、比較的変形抵抗の小さいアルミニウム層212Aが形成されているので、ヒートサイクル負荷時に発生する熱応力をこのアルミニウム層212Aによって吸収することができ、セラミックス基板211の割れを抑制することができる。
また、回路層212の一方の面側に比較的変形抵抗の大きい銅又は銅合金からなる銅層212Bが形成されているので、パワーサイクル負荷時に、回路層212の変形を抑制することができ、パワーサイクルに対する高い信頼性を得ることが可能となる。
また、本実施形態においては、アルミニウム層212Aと銅層212Bとが固相拡散接合されており、この固相拡散接合時の温度が400℃以上とされているので、Al原子とCu原子との拡散が促進され、短時間で十分に固相拡散させることができる。また、固相拡散接合する際の温度が548℃以下とされているので、AlとCuとの液相が生じることがなく、アルミニウム層212Aと銅層212Bとの接合界面にコブが生じたり、厚みが変動したりすることを抑制できる。
さらに、上述の固相拡散接合の加熱温度を、AlとCuの共晶温度(548.8℃)より5℃低い温度から共晶温度未満の範囲とした場合には、AlとCuの化合物が必要以上に形成されることを抑制できるとともに、固相拡散接合の際の拡散速度が確保され、比較的短時間で固相拡散接合することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図17に示すように、セラミックス基板311の一方の面に銅又は銅合金からなる回路層312(金属部材)を形成し、セラミックス基板311の他方の面にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属層313を形成し、回路層312の一方の面側にAg下地層330を形成した絶縁回路基板310であってもよい。この絶縁回路基板310の回路層312上に半導体素子303を搭載し、金属層313の他方の面側にヒートシンク341を接合することにより、半導体装置301を構成してもよい。
また、回路層、金属層、銅層等を構成する銅板を、無酸素銅の圧延板として説明したが、これに限定されることはなく、他の銅又は銅合金で構成されたものであってもよい。
同様に、金属層やアルミニウム層を構成するアルミニウム板を、純度99.99mass%の純アルミニウムの圧延板として説明したが、これに限定されることはなく、純度99mass%のアルミニウム(2Nアルミニウム)等、他のアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されたものであってもよい。
また、上記実施形態では、接合層が、酸化銀粉末と還元剤とを含む酸化銀ペーストの焼成体で構成されたものとして説明したが、これに限定されることなく、銀粒子を含むペーストの焼成体とされていてもよいし、Ag粉末を含む導電性接着剤を用いてもよい。
また、第3の実施形態において、アルミニウム層と銅層とが固相拡散接合された構造の回路層を形成するものとして説明したが、これに限定されることはなく、回路層の一方の面側が銅又は銅合金からなる銅層とされていればよい。
さらに、金属層をアルミニウム層と銅層とが固相拡散接合された構造とし、銅層にAg下地層を形成してとヒートシンクとを接合してもよい。
また、ヒートシンクは、本実施形態で例示してものに限定されることはなく、ヒートシンクの構造に特に限定はない。また、第1,第2、第4の実施形態においても、ヒートシンクを配置してもよい。
さらに、ヒートシンクと金属層との間に、緩衝層を設けても良い。緩衝層としては、アルミニウム又はアルミニウム合金若しくはアルミニウムを含む複合材(例えばAlSiC等)からなる板材を用いることができる。
本発明の有効性を確認するために行った確認実験について説明する。
(本発明例1−8)
セラミックス基板の一方の面に回路層となる銅板を活性金属ろう付け法にて接合し、セラミックス基板の他方の面に金属層となるアルミニウム板をろう付け法にて接合し、絶縁回路基板を製作した。ここで、セラミックス基板は、AlNとし、サイズは27mm×17mm×0.6mmとした。回路層となる銅板は、表1に示す材質ものものとし、サイズは25mm×15mm×0.3mmとした。金属層となるアルミニウム板は、純度99.99mass%以上の4Nアルミニウムとし、サイズは25mm×15mm×1.6mmとした。
回路層の表面に、実施形態で説明したAg下地層形成用ペーストを塗布して加熱処理することにより、Ag下地層を形成した。
なお、Ag下地層形成用ペーストとして、Ag粉末:75mass%(平均粒径0.8μm)、表1記載のSn又はSn合金の粉末:15mass%、アクリル系樹脂(メタクリル酸i−ブチルの重合体):1mass%、有機溶剤(α−テルピネオール):9mass%を含むものを使用した。
次に、酸化銀ペーストとして、市販の酸化銀粉末(和光純薬工業株式会社製)と、還元剤としてミリスチルアルコールと、溶剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ(2−メチルプロパノエート)と、を用いて、酸化銀粉末;80質量%、還元剤(ミリスチルアルコール);10質量%、溶剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ(2−メチルプロパノエート));残部、の割合で混合したものを準備した。
そして、Ag下地層上に上述の酸化銀ペーストを塗布(塗布厚さ:10μm)し、接合面にAu膜を形成した半導体素子を配置し、酸化銀ペーストを焼成することで接合層を形成して、本発明例1−8の半導体装置を作製した。
ここで、酸化銀ペーストの焼成条件は、窒素雰囲気、焼成温度300℃、焼成時間10分、加圧圧力5MPaとした。
(従来例1)
銅板からなる回路層の表面にAg下地層を形成せずに、酸化銀ペーストを焼成した接合層によって回路層と半導体素子とを接合し、従来例1の半導体装置を作製した。なお、それ以外の条件は、本発明例1−8と同様とした。
(従来例2)
銅板からなる回路層の表面に、ガラス含有Agペーストを用いてAg下地層を形成し、酸化銀ペーストを焼成した接合層によって回路層と半導体素子とを接合し、従来例2の半導体装置を作製した。なお、それ以外の条件は、本発明例1−8と同様とした。
回路層上にガラス含有Agペーストを塗布した後に加熱炉内に装入して、600℃で焼成することによって、回路層上にAg下地層を形成した。ここで使用したガラス含有Agペーストは、セルロース系樹脂と、Bi−ZnO−B系無鉛ガラスフリット、溶剤としてα−テルピネオール及びAgを含有するガラス含有Agペーストとした。
得られた各種半導体装置について、シェア強度、熱抵抗及び電気抵抗を以下の手順により評価した。評価結果を表1に示す。
(シェア強度)
2.5mm×2.5mm×0.200mmの半導体素子を接合した半導体装置に対し、せん断強度評価試験機を用いてシェア強度を測定した。測定は、半導体装置の回路層を水平に固定し、回路層表面から50μm上方の位置をシェアツールで横から水平に押して、半導体素子が破断されたときの強度を測定した。シェアツールの移動速度は0.1mm/secとした。一条件に付き3回強度試験を行い、それらの算術平均値を測定値とした。せん断強度評価試験機として株式会社レスカ製ボンディングテスタ(Model:PTR−1101)を用いた。
(熱抵抗)
半導体素子としてヒータチップ(13mm×10mm×0.25mm)を用いて、半導体装置を作製し、これらの半導体装置を冷却器にろう付け接合した。次に、ヒータチップを100Wの電力で加熱し、熱電対を用いてヒータチップの温度を実測した。また、冷却器を流通する冷却媒体(エチレングリコール:水=9:1)の温度を実測した。そして、ヒータチップの温度と冷却媒体の温度差を電力で割った値を熱抵抗とした。なお、Ag下地層を形成しなかった従来例1を基準として1とし、この従来例1との比率で評価した。
(電気抵抗)
Ag下地層を形成した絶縁回路基板について、図18及び図19に記載された方法により、テスタ(KEITHLEY社製:2010MULTIMETER)を用いて、Ag下地層の厚さ方向の電気抵抗値を測定した。電気抵抗の測定は、Ag下地層の上面中央点と、Ag下地層の上面中央点からAg下地層端部までの距離Hとした場合に、Ag下地層端部からHだけ離れた回路層上の点と、の間で行った。
Figure 2015115539
回路層の表面にAg下地層を形成しなかった従来例1では、シェア強度、熱抵抗及び電気抵抗が本発明例に比べて高かった。
回路層の表面にガラス含有AgペーストにてAg下地層を形成した従来例2では、電気抵抗が本発明例に比べて高かった。
これに対して、回路層の表面にAg下地層形成用ペーストを用いてAg下地層を形成した本発明例1−8においては、シェア強度が高く、熱抵抗及び電気抵抗が低い半導体装置を得ることが出来た。
1、101、201、301 半導体装置
10、110、210、310 パワーモジュール用基板
11、111、211、311 セラミックス基板
12、112、212,312 回路層
113、213、313 金属層
22、122、123 銅板
30、130、230、330 Ag下地層
31 Ag粒子
32 Ag及びSnを含む金属間化合物
50 Ag下地層形成用ペースト
51 Ag粉末
52 Sn又はSn合金の粉末
53 アクリル系樹脂

Claims (6)

  1. 被接合体と接合される金属部材と、この金属部材の表面に形成されたAg下地層と、を備えたAg下地層付き金属部材であって、
    前記金属部材のうち前記被接合体と接合される接合面には、銅又は銅合金からなる銅層が形成され、この銅層の表面に前記Ag下地層が形成されており、
    前記Ag下地層は、複数のAg粒子が、Ag及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされていることを特徴とするAg下地層付き金属部材。
  2. 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に配設された回路層と、を備えた絶縁回路基板であって、
    前記回路層のうち前記絶縁層が配設された面と反対側の面に銅層が備えられ、この銅層の表面にAg下地層が形成され、前記回路層及び前記Ag下地層が請求項1に記載のAg下地層付き金属部材とされており、
    前記Ag下地層は、複数のAg粒子が、Ag及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされていることを特徴とする絶縁回路基板。
  3. 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に配設された回路層と、前記絶縁層の他方の面に配設された金属層と、を備えた絶縁回路基板であって、
    前記金属層のうち前記絶縁層が配設された面と反対側の面に銅層が備えられ、この銅層の表面に前記Ag下地層が形成され、前記金属層及び前記Ag下地層が請求項1に記載のAg下地層付き金属部材とされており、
    前記Ag下地層は、複数のAg粒子が、Ag及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされていることを特徴とする絶縁回路基板。
  4. 請求項2に記載の絶縁回路基板と、前記回路層の前記Ag下地層に接合された半導体素子と、を備えた半導体装置であって、
    前記Ag下地層と前記半導体素子とが、Ag及び酸化銀の一方又は両方と有機物とを含む接合材の焼成体からなる接合層により接合されていることを特徴とする半導体装置。
  5. 請求項3に記載の絶縁回路基板と、前記金属層の前記Ag下地層に接合されたヒートシンクと、を備えたヒートシンク付き絶縁回路基板であって、
    前記Ag下地層と前記ヒートシンクとが、Ag及び酸化銀の一方又は両方と有機物とを含む接合材の焼成体からなる接合層により接合されていることを特徴とするヒートシンク付き絶縁回路基板。
  6. 被接合体と接合される金属部材と、この金属部材の表面に形成されたAg下地層と、を備えたAg下地層付き金属部材の製造方法であって、
    前記金属部材のうち前記被接合体が接合される接合面に、銅又は銅合金からなる銅層を配設する銅層配設工程と、
    前記銅層の表面に、Ag粉末とSn又はSn合金の粉末とを含有するAg下地層形成用ペーストを塗布して加熱処理することにより、複数のAg粒子がAg及びSnを含む金属間化合物によって結合された構造とされたAg下地層を形成するAg下地層形成工程と、
    を備えていることを特徴とするAg下地層付き金属部材の製造方法。
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