JP5605423B2 - 接合体の製造方法 - Google Patents
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Description
このパワーモジュール用基板は、例えば、AlN(窒化アルミ)、Al2O3(アルミナ)、Si3N4(窒化ケイ素)などからなるセラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面側に第一の金属板が接合されて構成された回路層と、セラミックス基板の他方の面側に第二の金属板が接合されて構成された金属層と、を備えている。
このようなパワーモジュール基板においては、回路層の上に、はんだ材を介してパワー素子等の半導体素子が搭載される。
また、上述の銅部材接合用ペーストにおいては、Agおよび窒化物形成元素を含む粉末成分を有しているので、銅部材とセラミックス部材との接合部に塗布して加熱した際に、粉末成分中のAgが銅部材側に拡散することによって、CuとAgの反応による溶融金属領域が形成されることになる。そして、この溶融金属領域が凝固することで、銅部材とセラミックス部材とが接合される。
すなわち、Agの銅部材への拡散によって溶融金属領域が形成されることから、接合部において溶融金属領域が必要以上に形成されなくなり、接合後(凝固後)に形成されるAg−Cu共晶組織層の厚さが薄くなるのである。このように、硬いAg−Cu共晶組織層の厚さが薄く形成されることから、セラミックス部材における割れの発生を抑制することができる。
また、Ti、Hf、Zr、Nbといった元素は、窒化物を形成しやすい元素でありセラミックス部材の表面に窒化物層を確実に形成することができる。よって、セラミックス部材と窒化物層とが強固に結合することになり、セラミックス部材と銅部材とを確実に接合することができる。
ここで、前記加熱処理を行う際に、前記銅部材と前記セラミックス部材とを積層方向に1〜35kgf/cm 2 で加圧することが好ましい。
ここで、窒化物形成元素の含有量が0.4質量%未満では、窒化物層を確実に形成することができず、セラミックス基板と銅板とを接合強度が劣化するおそれがある。また、窒化物形成元素の含有量が75質量%を超えると、銅部材へ拡散するAg量が確保できず、セラミックス基板と銅板とを接合できなくなるおそれがある。以上のことから、前記粉末成分において、窒化物形成元素の含有量を0.4質量%以上75質量%以下の範囲内に設定しているのである。
なお、粉末成分は、Ag粉末と窒化物形成元素の粉末を混合したものであってもよいし、Agと窒化物形成元素との合金粉末であってもよい。
この場合、粉末成分の含有量が40質量%以上とされているので、Agを銅部材へと拡散させて確実に溶融金属領域を形成することができ、銅部材とセラミックス部材とを接合することができる。また、セラミックス部材の表面に確実に窒化物層を形成することができる。一方、粉末成分の含有量が90質量%以下とされているので、樹脂及び溶剤の含有量が確保されることになり、銅部材とセラミックス部材との接合部に確実に塗布することができる。
この場合、窒化物形成元素の水素化物の水素が還元剤として作用するので、銅板の表面に形成された酸化膜等を除去でき、Agの拡散及び窒化物層の形成を確実に行うことができる。
この場合、粉末成分を分散させることができ、Agの拡散を均一に行うことができる。また、窒化物層を均一に形成することができる。
この場合、銅部材接合用ペーストの形状を比較的自由に成形することができ、銅部材とセラミックス部材の接合部に確実に塗布することができる。
この場合、還元剤の作用により、粉末成分の表面に形成された酸化皮膜等を除去でき、Agの拡散及び窒化物層の形成を確実に行うことができる。
まず、第一の実施形態について説明する。
本実施形態である銅部材接合用ペーストは、Agおよび窒化物形成元素を含む粉末成分と、樹脂と、溶剤と、分散剤と、可塑剤と、還元剤と、を含有するものである。
ここで、粉末成分の含有量が、銅部材接合用ペースト全体の40質量%以上90質量%以下とされている。
また、本実施形態では、銅部材接合用ペーストの粘度が10Pa・s以上500Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以上300Pa・s以下に調整されている。
ここで、粉末成分の組成は、窒化物形成元素(本実施形態ではTi)の含有量が0.4質量%以上75質量%以下とされ、残部がAg及び不可避不純物とされている。本実施形態では、Tiを10質量%含んでおり、残部がAg及び不可避不純物とされている。
なお、この合金粉末の粒径は、例えば、マイクロトラック法を用いることで測定することができる。
溶剤は、前述の粉末成分の溶媒となるものであり、例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、テルピネオール、トルエン、テキサノ−ル、トリエチルシトレート等を適用できる。
可塑剤は、銅部材接合用ペーストの成形性を向上させるものであり、例えば、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジブチル等を適用することができる。
還元剤は、粉末成分の表面に形成された酸化皮膜等を除去するものであり、例えば、ロジン、アビエチン酸等を適用することができる。なお、本実施形態では、アビエチン酸を用いている。
なお、分散剤、可塑剤、還元剤は、必要に応じて添加すればよく、分散剤、可塑剤、還元剤を添加することなく銅部材接合用ペーストを構成してもよい。
まず、前述のように、Agと窒化物形成元素(Ti)とを含有する合金粉末をアトマイズ法によって作製し、これを篩い分けすることによって粒径40μm以下の合金粉末を得る(合金粉末作製工程S01)。
また、溶剤と樹脂とを混合して有機混合物を生成する(有機物混合工程S02)。
そして、合金粉末作製工程S01で得られた合金粉末と、有機物混合工程S02で得られた有機混合物と、分散剤、可塑剤、還元剤等の副添加剤と、をミキサーによって予備混合する(予備混合工程S03)。
次いで、予備混合物を、複数のロールを有するロールミル機を用いて練り込みながら混合する(混錬工程S04)。
混錬工程S04によって得られた混錬物を、ペーストろ過機によってろ過する(ろ過工程S05)。
このようにして、本実施形態である銅部材接合用ペーストが製出されることになる。
図2に、本実施形態である接合体の製造方法によって製造されたパワーモジュール用基板10、及び、このパワーモジュール用基板10を用いて構成されたパワーモジュール1を示す。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性の高いAlN(窒化アルミ)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
本実施形態においては、銅板22(回路層12)は、純度99.99質量%以上の無酸素銅(OFC)の圧延板とされている。
そして、セラミックス基板11と回路層12との接合に、本実施形態である銅部材接合用ペーストが使用されている。
本実施形態においては、アルミニウム板23(金属層13)は、純度が99.99質量%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板とされている。
本実施形態においては、緩衝板41は、純度が99.99質量%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板とされている。
本実施形態においては、ヒートシンク51は、アルミニウム及びアルミニウム合金で構成されており、具体的にはA6063合金の圧延板とされている。また、ヒートシンク51の厚さは1mm以上10mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、5mmに設定されている。
そして、この窒化物層31に積層するようにAg−Cu共晶組織層32が形成されている。ここで、Ag−Cu共晶組織層32の厚さは15μm以下とされている。
まず、図5に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、スクリーン印刷によって、前述の本実施形態である銅部材接合用ペーストを塗布して乾燥させることにより、銅部材接合用ペースト層24を形成する。なお、銅部材接合用ペースト層24の厚さは、乾燥後で20μm以上300μm以下とされている。
次に、銅板22をセラミックス基板11の一方の面側に積層する。すなわち、セラミックス基板11と銅板22との間に、銅部材接合用ペースト層24を介在させているのである。
次いで、銅板22、セラミックス基板11を積層方向に加圧(圧力1〜35kgf/cm2)した状態で真空加熱炉内に装入して加熱する。すると、図6に示すように、銅部材接合用ペースト層24のAgが銅板22に向けて拡散する。このとき、銅板22の一部がCuとAgとの反応によって溶融し、銅板22とセラミックス基板11との界面に、溶融金属領域27が形成されることになる。
ここで、本実施形態では、真空加熱炉内の圧力は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内に、加熱温度は790℃以上850℃以下の範囲内に設定している。
次に、溶融金属領域27を凝固させることにより、セラミックス基板11と銅板22とを接合する。なお、凝固工程S14が終了した後では、銅部材接合用ペースト層24のAgが十分に拡散されており、セラミックス基板11と銅板22との接合界面に銅部材接合用ペースト層24が残存することはない。
次に、セラミックス基板11の他方の面側に金属層13となるアルミニウム板23を接合する。本実施形態では、図5に示すように、セラミックス基板11の他方の面側に、金属層13となるアルミニウム板23が厚さ5〜50μm(本実施形態では14μm)のろう材箔25を介して積層される。なお、本実施形態においては、ろう材箔25は、融点降下元素であるSiを含有したAl−Si系のろう材とされている。
次に、セラミックス基板11、アルミニウム板23を積層方向に加圧(圧力1〜35kgf/cm2)した状態で加熱炉内に装入して加熱する。すると、ろう材箔25とアルミニウム板23の一部とが溶融し、アルミニウム板23とセラミックス基板11との界面に溶融金属領域が形成される。ここで、加熱温度は550℃以上650℃以下、加熱時間は30分以上180分以下とされている。
次に、アルミニウム板23とセラミックス基板11との界面に形成された溶融金属領域を凝固させることにより、セラミックス基板11とアルミニウム板23とを接合する。
このようにして、本実施形態であるパワーモジュール用基板10が製出される。
次に、図5に示すように、パワーモジュール用基板10の金属層13の他方の面側(図5において下側)に、緩衝板41と、ヒートシンク51と、を、それぞれろう材箔42,52を介して積層する。
本実施形態では、ろう材箔42,52は、厚さ5〜50μm(本実施形態では14μm)とされ、融点降下元素であるSiを含有したAl−Si系のろう材とされている。
次に、パワーモジュール用基板10、緩衝板41、ヒートシンク51を積層方向に加圧(圧力1〜35kgf/cm2)した状態で加熱炉内に装入して加熱する。すると、金属層13と緩衝板41との界面及び緩衝板41とヒートシンク51との界面に、それぞれ溶融金属領域が形成される。ここで、加熱温度は550℃以上650℃以下、加熱時間は30分以上180分以下とされている。
これにより、ヒートシンク及び緩衝板付パワーモジュール用基板が製出されることになる。
これにより、はんだ層2を介して半導体素子3が回路層12上に接合されたパワーモジュール1が製出されることになる。
さらに、本実施形態では、必要に応じて可塑剤を含有しているので、銅部材接合用ペーストの形状を比較的自由に成形することができ、銅板22とセラミックス基板11の接合部に確実に塗布することができる。
また、本実施形態では、必要に応じて還元剤を含有しているので、還元剤の作用により、粉末成分の表面に形成された酸化皮膜等を除去でき、Agの拡散及び窒化物層31の形成を確実に行うことができる。
次に、第二の実施形態について説明する。
本実施形態である銅部材接合用ペーストは、Ag及び窒化物形成元素を含む粉末成分と、樹脂と、溶剤と、分散剤と、可塑剤と、還元剤と、を含有するものである。
そして、粉末成分は、Ag及び窒化物形成元素以外に、In、Sn、Al、Mn及びZnから選択される1種又は2種以上の添加元素を含有し、Agの含有量が少なくとも25質量%以上であることとされており、本実施形態では、Snを含有している。
また、本実施形態では、銅部材接合用ペーストの粘度が10Pa・s以上500Pa・s以下、より好ましくは50Pa・s以上300Pa・s以下に調整されている。
ここで、粉末成分の組成は、窒化物形成元素(本実施形態ではZr)の含有量が0.4質量%以上75質量%以下とされ、In、Sn、Al、Mn及びZnから選択される1種又は2種以上の添加元素(本実施形態ではSn)の含有量が0質量%以上50質量%以下とされ、残部がAg及び不可避不純物とされている。ただし、Agの含有量は25質量%以上である。本実施形態では、Zr;40質量%、Sn;20質量%を含んでおり、残部がAg及び不可避不純物とされている。
これらのAg粉末、Zr粉末、Sn粉末は、それぞれ粒径を40μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下に設定している。
なお、これらのAg粉末、Zr粉末、Sn粉末の粒径は、例えば、マイクロトラック法を用いることで測定することができる。
また、本実施形態である銅部材接合用ペーストは、第一の実施形態で示した製造方法に準じて製造されている。すなわち、合金粉末の代わりに、Ag粉末、Zr粉末、Sn粉末を用いた以外は、第一の実施形態と同様の手順で製造されているのである。
セラミックス基板111は、回路層112と金属層113との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性の高いSi3N4(窒化珪素)で構成されている。また、セラミックス基板111の厚さは、0.2〜1.5mmの範囲内に設定されており、本実施形態では、0.32mmに設定されている。
本実施形態においては、銅板122(回路層112)は、純度99.99質量%以上の無酸素銅(OFC)の圧延板とされている。
本実施形態においては、銅板123(金属層113)は、純度99.99質量%以上の無酸素銅(OFC)の圧延板とされている。
また、本実施形態では、第一の実施形態で観察されたAg−Cu共晶組織層が明確に観察されない構成とされている。
まず、図10に示すように、セラミックス基板111の一方の面及び他方の面に、スクリーン印刷によって、前述の本実施形態である銅部材接合用ペーストを塗布し、銅部材接合用ペースト層124,125を形成する。なお、銅部材接合用ペースト層124,125の厚さは、乾燥後で20μm以上300μm以下とされている。
次に、銅板122をセラミックス基板111の一方の面側に積層する。また、銅板123をセラミックス基板111の他方の面側に積層する。すなわち、セラミックス基板111と銅板122、セラミックス基板111と銅板123との間に、銅部材接合用ペースト層124,125を介在させているのである。
次いで、銅板122、セラミックス基板111、銅板123を積層方向に加圧(圧力1〜35kgf/cm2)した状態で真空加熱炉内に装入して加熱する。すると、銅部材接合用ペースト層124のAgが銅板122に向けて拡散するとともに、銅部材接合用ペースト層125のAgが銅板123に向けて拡散する。
ここで、本実施形態では、真空加熱炉内の圧力は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内に、加熱温度は790℃以上850℃以下の範囲内に設定している。
次に、溶融金属領域を凝固させることにより、セラミックス基板111と銅板122、123とを接合する。なお、凝固工程S114が終了した後では、銅部材接合用ペースト層124,125のAgが十分に拡散されており、セラミックス基板111と銅板122、123との接合界面に銅部材接合用ペースト層124、125が残存することはない。
このパワーモジュール用基板110には、回路層112の上に半導体素子が搭載されるとともに、金属層113の他方側にヒートシンクが配設されることになる。
そして、本実施形態では、粉末成分として、Ag及び窒化物形成元素(本実施形態ではZr)以外に、In、Sn、Al、Mn及びZnから選択される1種又は2種以上の添加元素(本実施形態ではSn)を含有し、Agの含有量が少なくとも25質量%以上であることとしているので、溶融金属領域をさらに低い温度で形成することができ、形成されるAg−Cu共晶組織層の厚さをさらに薄くすることができる。
例えば、本実施形態の銅部材接合用ペーストは、セラミックス基板と銅板とを接合する際に使用するものとして説明したが、これに限定されることはなく、セラミックス部材と銅部材とを接合する際に、本発明の銅部材接合用ペーストを用いてもよい。
また、銅部材接合用ペーストに含まれる粉末成分がTiH2、ZrH2等の窒化物形成元素の水素化物を含んでいてもよい。この場合、窒化物形成元素の水素化物の水素が還元剤として作用するので、銅板の表面に形成された酸化膜等を除去でき、Agの拡散及び窒化物層の形成を確実に行うことができる。
また、第二の実施形態において、添加元素としてSnを添加したものとして説明したが、これに限定されることはなく、In、Sn、Al、Mn及びZnから選択される1種又は2種以上の添加元素を添加してもよい。
また、分散剤、可塑剤、還元剤を含むものとして説明したが、これに限定されることはなく、これらを含んでいなくてもよい。これら分散剤、可塑剤、還元剤は、必要に応じて添加すればよい。
また、分散剤としてアニオン性界面活性剤を、可塑剤としてアジピン酸ジブチルを、還元剤としてアビエチン酸を用いた。
粉末成分以外の樹脂、溶剤、分散剤、可塑剤、還元剤の混合比率は、質量比で、樹脂:溶剤:分散剤:可塑剤:還元剤=7:70:3:5:15とした。
また、セラミックス基板の他方の面に、アルミニウム板をろう材を介して接合して金属層を形成した。なお、アルミニウム板として純度99.99質量%以上の4Nアルミを使用し、ろう材としてAl−7.5質量%Si、厚さ20μmのろう材箔を用いた。
さらに、金属層の他方の面側に、ヒートシンクとしてA6063からなるアルミニウム板を、ろう材を介してパワーモジュール用基板の金属層側に接合した。なお、ろう材としてAl−7.5質量%Si、厚さ70μmのろう材箔を用いた。
また、セラミックス基板の他方の面に、アルミニウム板をろう材を介して接合して金属層を形成した。なお、アルミニウム板として純度99.99質量%以上の4Nアルミニウムを使用し、ろう材としてAl−7.5質量%Si、厚さ14μmのろう材箔を用いた。
さらに、金属層の他方の面に、緩衝板として4Nアルミニウムからなるアルミニウム板をろう材を介して接合した。なお、ろう材としてAl−7.5質量%Si、厚さ100μmのろう材箔を用いた。
また、緩衝板の他方の面側に、ヒートシンクとしてA6063からなるアルミニウム板を、ろう材を介してパワーモジュール用基板の金属層側に接合した。なお、ろう材としてAl−7.5質量%Si、厚さ100μmのろう材箔を用いた。
また、セラミックス基板とアルミニウム板、アルミニウム板同士をろう付けする際の接合条件は、真空雰囲気、加圧圧力12kgf/cm2、加熱温度650℃、加熱時間30分とした。さらに、アルミニウム板同士をろう付けする際の接合条件は、 真空雰囲気、加圧圧力6kgf/cm2、加熱温度610℃、加熱時間30分とした。
銅板のサイズは、37mm×37mm×0.3mmとした。
金属層となるアルミニウム板のサイズは、ヒートシンク付パワーモジュール用基板の場合は37mm×37mm×2.1mmとし、ヒートシンク及び緩衝板付パワーモジュール用基板の場合は37mm×37mm×0.6mmとした。
ヒートシンクとなるアルミニウム板のサイズは、50mm×60mm×5mmとした。
緩衝板となるアルミニウム板のサイズは、40mm×40mm×0.9mmとした。
構造「DBC」が図10に示すパワーモジュール用基板、
構造「H−1」が図11に示すヒートシンク付パワーモジュール用基板、
構造「H−2」が図12に示すヒートシンク付パワーモジュール用基板、
構造「B−1」が図13に示すヒートシンク及び緩衝板付パワーモジュール用基板、
構造「B−2」が図5に示すヒートシンク及び緩衝板付パワーモジュール用基板、である。
まず、セラミックス基板と銅板との界面に、表1、表2、表3に示す各種ペーストを塗布して乾燥した。乾燥された各種ペーストにおける各元素の膜厚換算量(換算平均膜厚)を測定した。
膜厚は、蛍光X線膜厚計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製STF9400)を用いて、塗布した各種ペーストに対し、図14に示す箇所(9点)を各3回測定した平均値とした。なお、予め膜厚が既知のサンプルを測定して蛍光X線強度と濃度の関係を求めておき、その結果を基準として、各試料において測定された蛍光X線強度から各元素の膜厚換算量を決定した。
冷熱サイクル負荷後の接合率は、冷熱サイクル(−45℃←→125℃)を4000回繰り返した後のパワーモジュール用基板を用いて、以下の式で算出した。
接合率 = (初期接合面積−剥離面積)/初期接合面積
Ag−Cu共晶組織層の厚さは、銅板/セラミックス基板界面のEPMA(電子線マイクロアナライザー)による反射電子像から、倍率2000倍の視野(縦45μm;横60μm)において接合界面に連続的に形成されたAg−Cu共晶組織層の面積を測定し、測定視野の幅の寸法で除して求め、5視野の平均をAg−Cu共晶組織層の厚さとした。なお、銅板とセラミックス基板との接合部に形成されたAg−Cu共晶組織層のうち、接合界面から厚さ方向に連続的に形成されていない領域を含めずに、Ag−Cu共晶組織層の面積を測定した。
また、従来例1では、共晶組織厚さが15μmを超えてしまい、少ないサイクル数でセラミックス基板にクラックが発生した。従来例51では、十分な窒化物層が形成されなかったため、接合率が67.2%と悪い結果となった。
一方、窒化物形成元素が0.4質量%以上75質量%未満である本発明例1−22、51−72、81−90においては、セラミックス基板におけるクラックの発生が抑制されていることが確認される。また、4000サイクル後の接合率も93%以上と高かった。
以上の結果から、本発明例によれば、銅部材とセラミックス部材とを接合した場合であっても、セラミックス部材における割れの発生を抑制でき、かつ、確実に銅部材とセラミックス部材とを接合することができる銅部材接合用ペーストを提供できることが確認された。
3 半導体素子(電子部品)
10、110、210、310、410 パワーモジュール用基板
11、111、211、311、411 セラミックス基板(セラミックス部材)
12、112、212、312、412 回路層
13、113、213、313、413 金属層
22、122、123、222、322、422 銅板(銅部材)
23、223、323、423 アルミニウム板
31、131 窒化物層
32 Ag−Cu共晶組織層
41、441 緩衝板
51、251、351、451 ヒートシンク
Claims (6)
- 銅または銅合金からなる銅部材とAlNまたはSi 3 N 4 からなるセラミックス部材とが接合されてなる接合体の製造方法であって、
前記銅部材と前記セラミックス部材との間に、Agおよび窒化物形成元素を含む粉末成分と、樹脂と、溶剤と、を含み、前記粉末成分の組成は、窒化物形成元素であるTi、Hf、Zr、Nbから選択される1種又は2種以上の元素の含有量が0.4質量%以上75質量%以下とされ、残部がAg及び不可避不純物とされた銅部材接合用ペーストを、蛍光X線膜厚計で測定した前記窒化物形成元素の換算平均膜厚が0.03μm以上6.15μm以下となるように介在させた状態で、前記銅部材と前記セラミックス部材とを積層方向に1〜35kgf/cm 2 で加圧して加熱処理を行い、前記銅部材と前記セラミックス部材とを接合することを特徴とする接合体の製造方法。 - 前記銅部材接合用ペーストは、前記粉末成分を構成する粉末の粒径が40μm以下とされ、前記粉末成分の含有量が40質量%以上90質量%以下とされていることを特徴とする請求項1に記載の接合体の製造方法。
- 前記銅部材接合用ペーストは、前記粉末成分が前記窒化物形成元素の水素化物を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接合体の製造方法。
- 前記銅部材接合用ペーストは、前記粉末成分、前記樹脂及び前記溶剤に加えて、分散剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
- 前記銅部材接合用ペーストは、前記粉末成分、前記樹脂及び前記溶剤に加えて、可塑剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
- 前記銅部材接合用ペーストは、前記粉末成分、前記樹脂及び前記溶剤に加えて、還元剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
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