JP6321105B2 - 水中油型乳化化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、水中油型乳化化粧料に関するものである。
日焼け止め化粧料は、太陽光線中の紫外線をカットし、紫外線による悪影響から肌を守ることを目的としており、その基剤としては、乳化タイプ、ローションタイプ、オイルタイプ等が挙げられ、乳化タイプとしては、水性成分を外相(連続相)とする水中油型乳化化粧料と油性成分を外相(連続相)とする油中水型乳化化粧料に大別される。従来より日焼け止め化粧料にはみずみずしい使用感が求められており、水中油型乳化化粧料の中でも、疎水化処理した紫外線散乱剤を乳化させた水中油型乳化化粧料は、べたつきを抑制することができるためみずみずしい使用感を実現することが可能である(例えば特許文献1)。
一方で、皮膚への紫外線照射を遮断して高いSPF(Sun Protection Factor)値を得るために、日焼け止め化粧料には固形紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を高配合する必要がある。固形紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を配合するためには油分を高配合する必要があるが、油分を高配合するとべたつきを抑えることができない。
乳化タイプは異なるが油中水型乳化化粧料では、特許文献2において、油分にデキストリン脂肪酸エステルおよび/またはショ糖脂肪酸エステルを配合することにより、紫外線散乱剤を配合することなく高いSPF値を達成できるとともに、油っぽさやべたつきを少なくすることが可能であることが記載されている。
特開2014−101335号公報 特開2011−126832号公報
みずみずしさや伸びの良さの実現のためには油分を減らす必要があるが、固形紫外線吸収剤の溶解、紫外線散乱剤の配合のためにはエステル油は必須成分として最低限入れなければならない。しかし、そうとすると、全油分量中のエステル油比率が高くなるため、エステル油特有のべたつきが生じてしまう。このように、水中油型乳化化粧料においては使用感に求められるみずみずしさや伸びの良さと、日焼け止め化粧料本来の機能として求められる高いSPF値の実現とは二律背反の関係にある。従来は、水相に使用性を改善する粉末を配合することによりさらさら感を出していたが、皮膚塗布時に粉きしみが生じるという問題があった。また、内相(油相)に疎水化処理された粉末を配合している乳化系では乳化が不安定になる傾向があるため、油相に特許文献2に記載されているような脂肪酸エステルを配合すると乳化粒子が破壊されてしまい、充分に安定な基剤を得ることが困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、所定量の固形油および/または半固形油を配合するとともに、油相の総量を一定以下とすることにより、水中油型乳化化粧料に求められるみずみずしさや伸びの良さの使用感を保持しながら、べたつきを抑えることができ、高いSPF値を達成することが可能な水中油型乳化化粧料を提供することを目的とするものである。
本発明の水中油型乳化化粧料は、固形油および/または半固形油と、粉末と、乳化剤とを含む水中油型乳化化粧料であって、
固形油および/または半固形油が、炭化水素油、シリコーン油およびエステル油の中から選ばれる少なくとも1種で、25℃での粘度が1500mPa・s以下で、かつ配合量が油相全量に対して2〜25質量%であり、
油相が化粧料全量に対して40質量%以下である。
固形油および/または半固形油はショ糖脂肪酸エステルであることが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸は炭素数12〜22の直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
固形油および/または半固形油はアルキルメチルシロキサンワックスであることが好ましい。
乳化剤は両親媒性の高分子重合体であることが好ましい。
乳化剤はアルキル変性された多糖類であることが好ましい。
乳化剤は疎水変性アルキルセルロースであることが好ましい。
固形油および/または半固形油の配合量は化粧料全量に対して0.5〜5質量%であることが好ましい。
固形油および/または半固形油の配合量に対する乳化剤の配合量の割合は0.04〜0.4であることが好ましい。
粉末の配合量は化粧料全量に対して3〜10質量%であることが好ましい。
粉末は疎水性粉末であることが好ましい。
増粘剤をさらに含み、増粘剤が、ポリアクリルアミド化合物、アニオン性高分子および多糖類の中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
増粘剤は、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマー、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体、アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩共重合体、アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩のホモポリマー、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムの中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
油相には紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
本発明の水中油型乳化化粧料は、固形油および/または半固形油と、粉末と、乳化剤とを含む水中油型乳化化粧料であって、固形油および/または半固形油が、炭化水素油、シリコーン油およびエステル油の中から選ばれる少なくとも1種で、25℃での粘度が1500mPa・s以下で、かつ配合量が油相全量に対して2〜25質量%であり、油相が化粧料全量に対して40質量%以下であるので、水中油型乳化化粧料に求められるみずみずしさや伸びの良さの使用感を保持しながら、高いSPF値を実現できる処方としてもべたつきを抑えることができる。
以下、本発明の水中油型乳化化粧料について詳細に説明する。
本発明の水中油型乳化化粧料は、固形油および/または半固形油と、粉末と、乳化剤とを含む水中油型乳化化粧料であって、固形油および/または半固形油が、炭化水素油、シリコーン油およびエステル油の中から選ばれる少なくとも1種で、25℃での粘度が1500mPa・s以下で、かつ配合量が油相全量に対して2〜25質量%であり、油相が化粧料全量に対して40質量%以下である。
以下、各成分について詳細に説明する。
<固形油および/または半固形油>
固形油および/または半固形油は、25℃での粘度が1500mPa・s以下であり、1000mPa・s以下であることがより好ましく、さらには500mPa・s以下であることが望ましい。ここで粘度は、25℃でB型粘度計により測定される値であり、詳細には、VDA型粘度計(芝浦システム株式会社 DIGITAL VISMETRON VDA)、ローターNo.1、ローターNo.2またはローターNo.3を利用でき、回転数12rpm、1分間の条件で測定される値である。
ここで、固形油とは25℃において固体の油を意味し、半固形油とは25℃において半量が固体である油を意味する。
固形油および/または半固形油の融点(m.p.)は44℃〜90℃の範囲であることが好ましい。融点がこの範囲であることにより、塗布後べたつかない使用感とすることができる。
本発明の固形油および/または半固形油は、炭化水素油、シリコーン油およびエステル油の中から選ばれる少なくとも1種である。
炭化水素油としては例えばマイクロクリスタリンワックス、合成炭化水素ワックスなどが挙げられ、使用性、高SPFの観点からはマイクロクリスタリンワックスを好ましく使用することができる。
シリコーン油としては、アルキルメチルシロキサンワックスを用いることができる。
エステル油としては、例えば、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ミリスチン酸ミリスチル(クローダジャパン株式会社)等を好ましく使用することができる。硬化油(加工油脂の一種)としては、魚油、鯨油、菜種油、大豆油などに水素を付加反応させて得られる白色固形の脂肪が挙げられる。市販品としては、例えば「トリファット PS−45H」(日光ケミカルズ(株))等を好ましく挙げることができる。
乳化安定性、汎用性の観点からは特にショ糖脂肪酸エステルや、アルキルメチルシロキサンワックスが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、その脂肪酸が直鎖状あるいは分岐鎖状の、飽和あるいは不飽和の、炭素数12から22のものを好ましく用いることができる。具体的には、ショ糖カプリル酸エステル、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等が例示され、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。例えば、「シュガーワックスA−10E」(ショ糖混合脂肪酸エステル)、「コスメライクSA−10」(酢酸ステアリン酸スクロール)、「コスメライクMX−10」(ショ糖混合脂肪酸エステル)(ここまで第一工業製薬(株)製)、「クロデスタ4−IS」(クローダジャパン(株)製)(テトライソステアリン酸スクロース)等の市販品を本発明において好ましく使用できる。
これらのショ糖脂肪酸エステルは1種または2種以上を用いることができる。
アルキルメチルシロキサンワックスとしては、例えばアルキル(C30−40)メチコンC30−C45オレフィンやアルキル(C30−45)ジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサンが挙げられ、具体的には「AMS−C30 COSMETIC WAX」「SW−8005 C30 Resin Wax」(東レ・ダウコーニング(株))等を好ましく使用することができる。
固形油および/または半固形油の配合量は油相全量に対して2〜25質量%であり、好ましくは2〜20質量%の範囲が望ましい。固形油および/または半固形油の配合量が油相全量に対して2〜25質量%の範囲であることにより、乳化安定性を確保することができるとともに、みずみずしさや伸びの良さの使用感を保持しながら、高いSPF値を実現できる処方としてもべたつきを抑えることができる。
固形油および/または半固形油の配合量は化粧料全量に対し0.5〜5質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。固形油および/または半固形油の配合量を化粧料全量に対し0.5〜5質量%の範囲とすることで、みずみずしさや伸びの良さの使用感を保持しながら、高いSPF値を実現できる処方としてもべたつきを抑えることができる。
<粉末>
本発明で用いる粉末は、未処理のまま使用することもできるが、無機粉末粒子の表面を例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類、デキストリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、金属石鹸、アルキルリン酸エーテル、フッ素化合物、またはスクワラン、パラフィン等の炭化水素類を、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等により疎水化処理した疎水性粉末を用いることが好ましい。
無機粉末としては、化粧料や皮膚外用剤に通常配合可能なものが使用でき、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、雲母チタン、黒酸化鉄、黄酸化鉄、ベンガラ、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム等が挙げられる。日焼け止め化粧料の場合には、平均一次粒子径が100μm未満の微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛などの紫外線散乱剤を用いることが好ましい。
粉末の配合量は目的に応じて設定すればよいが、日焼け止め化粧料等においては水中油型乳化化粧料全量に対して1質量%以上、典型的には3質量%以上配合されることが好ましい。上限は特に限定されないが、配合量が多くなると必然的に分散媒である油相の配合量も多くなり、他の成分の配合が制限されるため、水中油型乳化化粧料全量に対して20質量%以下、典型的には10質量%以下であることが好ましい。
<乳化剤>
乳化剤としてはノニオン性界面活性剤や両親媒性の高分子が使用することができ、両親媒性の高分子重合体がより好ましい。さらに好ましくはアルキル変性された多糖類である。乳化剤に両親媒性の高分子重合体を使用する場合、分子量は100000以上であることが好ましい。さらには400000〜600000とすることが好ましい。より具体的には、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマーや疎水変性アルキルセルロース、例えばステアロキシヒドロキシプロピルセルロースを用いてもよく、その市販品を使用することもできる。例えば、サンジェロース90L(表示名:疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース;大同化成工業(株)製)、Natrosol Plus 330cs(Ashland社製)、Polysurf 67cs(Ashland社製)等が挙げられる。特に好ましくは疎水変性アルキルセルロースである。
乳化剤の配合量は、化粧料全量に対して0.1〜0.5質量%であることが好ましい。乳化剤の配合量を、化粧料全量に対して0.1〜0.5質量%の範囲とすることにより安定な乳化物が得られるとともに、塗布時に軽い感触とすることができる。
また、固形油および/または半固形油の配合量に対する乳化剤の配合量[乳化剤の配合量/(固形油および/または半固形油の配合量)]の割合は0.04〜0.4であることが好ましい。固形油および/または半固形油の配合量に対する乳化剤の配合量の割合をこの範囲とすることで、よりみずみずしい感触を得ることができる。
<増粘剤>
本発明の水中油型乳化化粧料は、増粘剤を含むことが好ましい。増粘剤としては、ポリアクリルアミド化合物、アニオン性高分子および多糖類の中から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。具体的には、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体、アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマー、メチレンビスアクリルアミドでクロスリンクさせたジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のクロスポリマー、ポリアクリルアミドとポリアクリル酸ナトリウムの混合物、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体等のポリアクリルアミド化合物、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリルアミド/アクリル酸アンモニウム共重合体、アクリルアミド/アクリル酸ナトリウム共重合体等のアニオン性高分子、キサンタンガム等の多糖類を好ましく挙げることができる。ただし、これらの例示に限定されるものではない。
上記において、塩としては、アルカリ金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、有機アミン類塩(例えば、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等)などが好適にて挙げられる。これらの増粘剤は、1種または2種以上を用いることができる。
増粘剤は市販品を好適に用いることができる。例えば、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマーとしては、「SU−GEL」(東邦化学株式会社製)、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体としては、「ARISTOFLEX AVC」(Clariant社製)、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体としては、「SIMULGEL EG」(SEPIC社製)、「SIMULGEL EPG」(SEPIC社製)、アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩共重合体としては、「SIMULGEL 600」(SEPIC社製)、アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)としては、「SEPIGEL 305」(SEPIC社製)、「SEPIGEL 501」(SEPIC社製)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩のホモポリマーとしては、「Hostacerin AMPS」(Clariant社製)、「SIMULGEL 800」(SEPIC社製)等が挙げられ、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸としては、「SU−POLYMER G−1」(東邦化学工業(株)社製)等が挙げられる。
増粘剤の配合量は、化粧料全量に対して0.1〜0.5質量%であることが好ましい。増粘剤の配合量を、化粧料全量に対して0.1〜0.5質量%の範囲とすることにより安定な乳化物が得られるとともに、塗布時に軽い感触とすることができる。
<紫外線吸収剤>
本発明の水中油型乳化化粧料は紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、水に不溶性で油に難溶性の紫外線吸収剤から選択することが好ましい。具体的には、紫外線吸収剤としては、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート(パラメトキシ桂皮酸エチルヘキシル)、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、ジモルホリノピリダジノン等が好ましく挙げられる。
また、トリアジンン誘導体、具体的には、2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン(チノソーブS)、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン(ユビナールT150)等が好ましく挙げられる。
さらに、ジベンゾイルメタン誘導体としては、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(例えば「パルソール1789」)等が好ましく挙げられる。
<油相>
油相には、上記の固形油および/または半固形油以外の炭化水素油、シリコーン油、エステル油、高級脂肪酸、高級アルコール等から選ばれる任意の成分を配合することができ、本発明の効果を損なわない限りにおいて特に限定されない。
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
エステル油としては、25℃での粘度が1500mPa・sよりも高いエステル油を本発明の効果に影響のない範囲で配合してもよい。
シリコーン油としては、25℃での粘度が1500mPa・sよりも高いシリコーン油を本発明の効果に影響のない範囲で配合してもよい。
油相は化粧料全量に対して40質量%以下であり、好ましくは20〜30質量%の範囲が望ましい。油相が化粧料全量に対して40質量%以下であることにより、乳化安定性を確保しながら、べたつきを抑えることが可能である。
本発明の水中油型乳化化粧料には、その効果を損なわない範囲において、通常化粧料に用いられる各種の成分、例えば保湿剤、pH調整剤、中和剤、酸化防止剤、防腐剤、抗菌剤、薬剤、抽出液、香料、色素等を配合できる。
保湿剤としては、グリセリン、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、アミノ酸、核酸、コラーゲン、エラスチン等のタンパク質、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖類等が挙げられる。
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
防腐剤、抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化化粧料の形態は特に限定されず、化粧水、乳液、クリーム、洗顔料、ジェル、エッセンス(美容液)、パック等の基礎化粧品、口紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、ファンデーション、サンスクリーン等のメーキャップ化粧品、口腔化粧品、芳香化粧品、毛髪化粧品、ボディ化粧品等、従来化粧料に用いるものであればいずれの形態でも広く適用可能である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例等における配合量は特に断らない限り質量%を示す。
下記表1および2に掲げた組成を有する水中油型乳化化粧料を常法により調製し、以下の測定並びに評価を行った。
(紫外線防御効果)
紫外線防御効果は、特開平7−167781号公報記載の、高精度のin vitro SPF測定システムを用いて行った。
具体的には、光源に、ソーラーシュミレーター(Solar Ultraviolet Simulator Model 600:Solar Light Co.)を使用した。塗布体として用いたトランスポアテープTM(3M Co.)に、試料を2.0mg/cm2の塗布量で均一に塗布し、15分間乾燥後、紫外線を照射した。そして、その透過紫外線スペクトルの演算処理を行い、SPF値を算出した。
上記方法で算出した実施例および比較例の化粧料のSPF値を、固形油および/または半固形油無配合サンプルのSPF値で規格化を行い、固形油および/または半固形油無配合のものを1とし、値が1以下をB、1以上をAと評価した。
(直後状態の分散性)
得られた化粧料を製造した直後の状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
A:均一に分散している
B:分散されていない部分がわずかに見られる
C:分散されていない部分が見られる
(経時安定性)
得られた化粧料を室温2週間後の状態を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
A:分離がみられない
B:油の分離がわずかに見られる
C:油が一部分離している
また、得られた化粧料の使用感触について、下記の基準で評価を行った。
(みずみずしさ)
女性専門パネル10名により、化粧料を実施に肌に塗布してもらい、塗布時のみずみずしさについて評価してもらった。
A:パネル8名以上が、塗布時にみずみずしさを感じた
B:パネル3〜7名が、塗布時にみずみずしさを感じた
C:パネル2名以下が、塗布時にみずみずしさを感じた
(べたつき感)
女性専門パネル10名により、化粧料を実施に肌に塗布してもらい、塗布後のべたつき感について評価してもらった。
A:パネル8名以上が、塗布後にべたつき感がないと認めた
B:パネル3〜7名が、塗布後にべたつき感がないと認めた
C:パネル2名以下が、塗布後にべたつき感がないと認めた
表1および2に示すように、本発明の水中油型乳化化粧料は、水中油型乳化化粧料に求められるみずみずしさの使用感を保持しながら、高いSPF値を実現できる処方としてもべたつきを抑えることができた。一方、固形油および/または半固形油を含まない比較例1ではみずみずしさはあるものの、べたつき、固形油および/または半固形油を含んでもその配合量が油相全量に対して25質量%より高い比較例2ではべたつきは抑えられるものの、水中油型乳化化粧料に求められるみずみずしさが失われた。また、固形油および/または半固形油の配合量が油相全量に対して2〜25質量%であっても、油相が化粧料全量に対して40質量%を超えると比較例3に示すように乳化破壊が起こった。なお比較例3は乳化破壊が起きたため、SPF値の測定及び官能評価は行わなかった。さらに、比較例4に示すようにパルミチン酸デキストリンの場合には表3に示すように粘度が高いためにべたつきを抑えることができなかった。比較例5はパルミチン酸、比較例6は高級アルコールを用いた例であるが、これらの場合には化粧料として重要な経時安定性が悪かった。
(粘度測定)
セバシン酸ジイソプロピル98%を溶媒として各固形油および/または半固形油、脂肪酸、高級アルコール2%を加温溶解した試料を、1日放置後、25℃でB型粘度計、VDA型粘度計(芝浦システム株式会社 DIGITAL VISMETRON VDA)により、ローターNo.2、回転数12rpm、1分間の条件で測定した。測定結果を表3に示す。
(処方例)
以下に、本発明の水中油型乳化化粧料の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではない。なお、配合量は全て製品全量に対する質量%で表している。
処方例1:サンスクリーンエマルジョン
マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 0.5
セバシン酸ジイソプロピル 10
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 7.5
ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 3
ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa クロスポリマー
0.5
トリエタノールアミン 1.8
疎水化処理酸化チタン 4
濃グリセリン 4
ポリエチレングリコール300 8
エタノール 10
フェノキシエタノール 0.3
イオン交換水 残余
処方例2:サンスクリーンエマルジョン
ワセリン 1
セバシン酸ジイソプロピル 10
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 7.5
2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5-トリアジン
1.5
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
疎水化処理酸化チタン 4
濃グリセリン 4
ポリエチレングリコール300 8
エタノール 10
イオン交換水 残余
処方例3:サンスクリーンエマルジョン
ワセリン 1
セバシン酸ジイソプロピル 10
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 1.5
2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5-トリアジン
1.5
オキシベンゾン 1
ポリシリコーン−15 2.0
オクトクリレン 2.0
チレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール 2.0
2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル
1.0
ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
キサンタンガム 0.1
トラネキサム酸 2.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
4−メトキシサリチル酸カリウム塩 2.0
疎水化処理酸化チタン 4
濃グリセリン 4
ポリエチレングリコール300 8
エタノール 10
イオン交換水 残余
処方例4:サンスクリーンエマルジョン
ショ糖ステアリン酸エステル 1
セバシン酸ジイソプロピル 10
コハク酸2−エチルヘキシル 5
メチルポリシロキサン 1
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 7.5
ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム 3
ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa クロスポリマー
0.5
トリエタノールアミン 1.8
疎水化処理酸化チタン 4
濃グリセリン 4
ポリエチレングリコール300 8
エタノール 10
フェノキシエタノール 0.3
イオン交換水 残余

Claims (10)

  1. 固形油および/または半固形油と、粉末と、乳化剤とを含む水中油型乳化化粧料であって、
    前記固形油および/または半固形油の配合量に対する前記乳化剤の配合量の割合が0.04〜0.4であり、
    前記固形油および/または半固形油がショ糖脂肪酸エステルであり、25℃での粘度が1500mPa・s以下で、かつ配合量が油相全量に対して2〜25質量%で、化粧料全量に対して0.5〜5質量%であり、
    前記油相が化粧料全量に対して40質量%以下である水中油型乳化化粧料。
  2. 前記ショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸が炭素数12〜22の直鎖状または分岐鎖状である請求項1記載の水中油型乳化化粧料。
  3. 前記乳化剤が両親媒性の高分子重合体である請求項1または2記載の水中油型乳化化粧料 。
  4. 前記乳化剤がアルキル変性された多糖類である請求項1〜3いずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
  5. 前記乳化剤が疎水変性アルキルセルロースである請求項4記載の水中油型乳化化粧料。
  6. 前記粉末の配合量が化粧料全量に対して3〜10質量%である請求項1〜5いずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
  7. 前記粉末が疎水性粉末である請求項1〜6いずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
  8. 増粘剤をさらに含み、該増粘剤が、ポリアクリルアミド化合物、アニオン性高分子および多糖類の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7いずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
  9. 前記増粘剤が、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマー、ビニルピロリドン/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体、アクリル酸ナトリウム/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)共重合体、アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩共重合体、アクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩のホモポリマー、ジメチルアクリルアミド/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムの中から選ばれる少なくとも1種である請求項8記載の水中油型乳化化粧料。
  10. 前記油相に紫外線吸収剤を含む請求項1〜9いずれか1項記載の水中油型乳化化粧料。
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