JP6320951B2 - 部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法およびその補強体による既設土構造物の耐震補強工法 - Google Patents
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Description
〔1〕部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、芯材(6) を挿入した削孔用ロッド(1)と、この削孔用ロッド(1)の外側に拡径部(2) と撹拌混合部(3) が構成され、前記拡径部(2) は引抜き側切削部を斜めリブで補強した部分円錐形状とし、前記撹拌混合部(3) は縦リブ(3−1)、横リブ(3−2)、三角形状のプレート(3−3)により構成され、前記拡径部(2) と前記撹拌混合部(3) の回転を制御する機構として、前記縦リブ(3−1) の根元に回転ストッパー(4)と、前記削孔用ロッド(1)上にストッパー受台(5) を設けることによって構成された回転式の拡径撹拌混合機構とを有し、回転を正回転から逆回転することによって直径を拡径することを特徴とする。
(1)一般的な削孔機械を使用して、芯材(6)を挿入した削孔用ロッド(1)と拡径部(2)を任意の深度で正回転から逆回転することにより、削孔径Dから拡幅径2D程度まで拡径することによる周面付着力と、支圧面積の増加による両補強効果が期待できるため、切土および盛土のり面の安定化および補強、既設擁壁および橋台背面の補強工法に有効に利用できる。
(2)任意位置で拡径補強体の造成が可能なため、支圧せん断抵抗力および周面付着力を自在に設定でき、また、口元が狭いことから回転速度、固化材の噴出量等による改良体内部の適切な内圧の設定、改良体の体積減少の防止や圧縮強度の早期発現により、地表面への影響が少なく、営業線下等での施工が可能となる。
(3)単ヒンジ機能をもった撹拌混合部(3)は、円弧形状の縦リブ(3−1)、横リブ(3−2)および三角形状のプレート(3−3)がヒンジ部分によって連結されており、内管のヒンジ根元付近に設けた注入孔(8)より固化材を排出しながら回転することによって、ヒンジ部の目詰まり防止と、円弧形状の縦リブ(3−1)、横リブ(3−2)および三角形状のプレート(3ー3)により、硬化材が円周方向へ沿う流れとして攪拌混合の効率を上げ、高品質の拡径補強体が期待できる。
(4)削孔用ロッド(1)の先端開放ビットの背面を円錐台形状(12)とすることによって、拡径掘削時に確認された礫等を先端開放ビット背面に引っ掛からずに拡径補強体の中へ排出することが可能なため、適用土質の範囲が広い拡径補強体の構築が可能となる。
(5)軟弱な崩壊性地山において、内管である削孔用ロッド(1)と、その外側に単ヒンジ機能をもった外管である拡径部(2)と撹拌混合部(3)に後続して、先端ビットおよび閉合状態の外管の径よりやや大きい鋼管(13) を追従させて地山崩壊を防ぎ、続いて逆回転による拡径補強体の造成後、後続の鋼管を縮径のガイド鋼管として正回転して縮径し、この鋼管(13)を先端まで圧入存置することにより、高剛性の拡径補強体(9)の構築が可能となる。
(1)芯材6を挿入した内管1とこれに接続した外管3を閉合した状態で、所定の深度まで削孔した後に、芯材6を地山側に圧入存置する。
(2)芯材6の圧入存置後、閉合した内管1および外管3を逆回転することによって、外管である拡径部2と撹拌混合部3により、徐々に拡径切削(リーミング切削)を行いながら、円錐台・円柱形状に拡径する。
(3)次に、内管1の注入孔から固化材を混入しながら引抜き削孔することにより、拡径部2および撹拌混合部3の切削土砂との撹拌混合による拡径改良体の造成と、これを連続して引き抜くことにより芯材6と一体化した、拡径補強体9を構築する。
(4)所定の拡径補強体9が造成できたら、拡径部2の背面を円錐形状の地山に押し当てて、この地山をガイドとして、正回転で引き抜きながら固化材を噴出して土砂の流動性を高めて縮径し、既削孔径内より円筒体を引き抜いて、拡径補強体9を構築する。
〔1〕芯材(6)を挿入した削孔用ロッド(1)(内管) と、その外側に単ヒンジ機能をもった拡径部(2)と撹拌混合部(3)(外管) によって構成されている。拡径部(2)は引抜き側切削部を斜めリブで補強した部分円錐形状とし、撹拌混合部(3)は縦リブ(3−1)、横リブ(3−2)、三角形状のプレート(3−3)により構成され、この拡径部(2)と撹拌混合部(3)の回転を制御する機構として、縦リブ(3−1)の根元に回転ストッパー(4)と、内管(1)上にストッパー受台(5)を設けることによって構成された回転式の拡径撹拌混合機構を提供する。
〔2〕芯材(6)を挿入した内管(1)と単ヒンジ機能をもった拡径部(2)と撹拌混合部(3)(外管) を、削孔機械により縮径の閉合状態で正回転を行い、所定深さまで削孔した後に、芯材(6)を地山側に圧入存置する。
〔3〕芯材(6)を存置後、内管および外側を逆回転することによって、拡径部(2)および撹拌混合部(3)が徐々に拡径切削(リーミング切削)を行いながら、円錐台および円柱形状に拡径する。
〔4〕逆回転のまま拡径切削地山(7)を連続して切削を行うと同時に、内管(1)に設けた注入孔(8)より固化材を噴出し、撹拌混合部(3)に設けた円弧形状の縦リブ(3−1)、横リブ(3−2)および三角形状のプレート(3−3)が拡径回転することによって撹拌を促進し、円柱形状とした拡径補強体(9)を造成する。
〔5〕これを連続し拡径切削を行いながら引き抜くことにより、芯材(6)と一体化した拡径補強体(9)を構築する。
〔6〕所定の拡径補強体(9)が造成できたら、拡径部(2)の背面を円錐形状の地山に当てて縮径のガイド地山とし、正回転しながら徐々に引き抜き、固化材を噴出して内管(1)と外管(拡径部(2)と撹拌混合部(3)との間の土砂の流動性を高めて縮径し、孔口まで引き抜きながら固化材注入を行って、内管(1)および外管(拡径部(2)と撹拌混合部(3)を回収する。
〔7〕孔壁が軟弱な崩壊性の地山の場合、削孔用ロッド(1)(以下、内管と称す) と、その外側に単ヒンジ機能をもった拡径部(2)と撹拌混合部(3)(外管を総称とする) に後続して、先端ビットおよび外管よりやや大きい内径の鋼管(13)を追従させて地山崩壊を防ぎ、拡径補強体(9)の造成後、鋼管(13)を縮径のガイドとして、内管(1)および外管(拡径部(2)と撹拌混合部(3))を回収する。なお、拡径補強体(9)の剛性を高めるため、鋼管(13)を圧入存置して芯材として利用することも可能である。
〔8〕本拡径補強体に使用する芯材(6)は、先端部の定着力を補強するため、芯材先端付近に円板を設けた、芯材と一体とした構造とする。この円板には固化材噴出用の孔を設けて付着性を高め、また、先端円板形状部分に続く芯材は、接続部をネジ継手として利用することも可能な構造とする。
(先行掘削時)
(1)正回転(閉合状態)にて、所定の深度まで削孔掘削を行う
(2)所定の深度まで削孔完了後、内管の内部に設置した芯材を圧入存置する
(拡径掘削・改良体造成時)
(1)逆回転しながら徐々に拡径掘削を行い、固化材を注入して所定の改良径を確保する
(2)拡径掘削終了後、引き抜きながら手前側へ連続拡径掘削を行い、ヒンジ部根元の注入孔から固化材を噴出し、後方の攪拌部により掘削土と固化材の攪拌混合を行い、改良体を造成する
(縮径・引き抜き時)
(1)所定の拡径補強体造成後、改良体内部で正回転して噴出し、土砂を先端方向に移動しながら、拡径部の背面地山のガイドとして引きながら縮径を行う。
(2)縮径の終了後、孔口まで固化材を注入しながら先端部の拡縮機構全体を回収する。
(崩壊性地山の高剛性拡径補強体)
(1)所定の拡径補強体造成後、改良体内部で正回転して固化材を噴出し、土砂を先端方向に移動しながら、後続の鋼管をガイドとして引きながら縮径を行う。
(2)縮径の終了後、孔口まで固化材を注入しながら先端部の拡縮機構全体を回収する。
(3)回収完了後、鋼管を圧入定着して、高剛性の拡径補強体とする。
(1)既設擁壁の壁面を削孔して掘削面を露出する。
(2)芯材を挿入した縮径状態で、所定の位置にセット後、正回転にて所定の深度まで削孔する。
(3)芯材を圧入存置後、固化材を注入しながら逆回転にて拡径掘削を実施する。
(4)回転トルク上昇により拡径状態を確認後、引き抜き拡径掘削と撹拌混合を連続して行い、必要な拡径改良体を造成する。
(5)固化材の注入と正回転しながら引き抜くことにより、土砂を先方に押し出しながら縮径し、削孔内より拡径機構を引き抜く。
2 拡径部(外管)
3 撹拌混合部(外管)
3−1 縦リブ
3−2 横リブ
3−3 三角形状のプレート
4 回転ストッパー
5 ストッパー受台
6 芯材
7 拡径切削地山
8 注入孔
9 拡径補強体
10 支圧面積
11 縦リブ断面の台形形状
12 円錐台形状
13 鋼管(小径の孔あり)
Claims (13)
- 芯材(6) を挿入した削孔用ロッド(1)と、該削孔用ロッド(1)の外側に拡径部(2) と撹拌混合部(3) が構成され、前記拡径部(2) は引抜き側切削部を斜めリブで補強した部分円錐形状とし、前記撹拌混合部(3) は縦リブ(3−1)、横リブ(3−2)、三角形状のプレート(3−3)により構成され、前記拡径部(2) と前記撹拌混合部(3) の回転を制御する機構として、前記縦リブ(3−1) の根元に回転ストッパー(4)と前記削孔用ロッド(1)上にストッパー受台(5) を設けることによって構成された回転式の拡径撹拌混合機構とを有し、回転を正回転から逆回転することによって直径を拡径することを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、前記拡径部(2) の引抜き側切削部を斜めリブで補強した部分円錐体を逆回転しながら拡径切削地山(7) から連続的に引き抜くことにより、円錐台・円柱体の造成を可能とすることを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、前記拡径部(2)の斜めリブで補強した部分円錐体を逆回転しながら拡径切削することにより、円錐台を形成して支圧面積(10) を増加させることを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、前記拡径部(2)の引抜き側切削部を斜めリブで補強した部分円錐体の拡径切削面において、前記拡径部(2)の背面を円錐形状の地山に当ててガイド地山とし、固化材を噴出して前記削孔用ロッド(1)と前記拡径部(2) と前記撹拌混合部(3) との間の土砂の流動性を高め、正回転して縮径・引き抜くことにより、直径2D程度からDまで縮径することを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、前記撹拌混合部(3)に、前記縦リブ(3−1) 、前記横リブ(3−2) 、前記三角形状のプレート(3−3) を配置することによって、攪拌混合効率を向上させることを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、前記撹拌混合部(3)に、前記縦リブ(3−1)の根元両側に回転ストッパー(4)と、前記削孔用ロッド(1)上にストッパー受台(5)を設け、両者が接面することにより回転を制御することを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、前記撹拌混合部(3)に、前記縦リブ(3−1)と前記三角形状のプレート(3−3)を設け、前記削孔用ロッド(1)のヒンジ根元付近に注入孔(8)を配置することによって、前記削孔用ロッド(1)内から噴出する固化材を、三角形状のプレート(3−3)の円周方向に沿った流れとして攪拌混合効率を高めることによりヒンジ回転部分への土砂の混入を防止することを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、前記撹拌混合部(3)に設けた前記縦リブ(3−1)の断面を台形形状(11)として、撹拌混合改良体との付着防止と台形側面による流動性を高めることを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、先端開放ビットの背面を円錐台形状(12)とすることにより、拡径掘削時に確認された礫等が背面で止められることがなく、前方の拡径補強体(9)の中へスムーズに移動することを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、孔壁が軟弱な崩壊性の地山において、前記削孔用ロッド(1)と、該削孔用ロッド(1)の外側に前記拡径部(2)と前記撹拌混合部(3)に後続して、先端ビットおよび閉合状態の外管径よりやや大きい内径の鋼管(13)を追従させて孔壁の崩壊を防止しながら削孔を行い、続いて逆回転による拡径補強体の造成後、後続の鋼管を縮径のガイド鋼管として正回転しながら引き抜いて縮径し、前記削孔用ロッド(1)および、前記拡径部(2)と前記撹拌混合部(3)を回収することを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、前記芯材(6)の先端部の定着力を補強するため、前記芯材(6)先端付近に固化材噴出用の孔を設けた円板を設けて芯材と一体構造とし、先端円板形状部分に続く本体後続部をネジ継手として利用することも可能にすることを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法において、先端ビットおよび閉合状態の外管径よりやや大きい内径の鋼管(13)の外周面に、小円形の孔を多数あけ、噴出した固化材によって、拡径補強体および地山と鋼管(13)の付着性を向上させることを特徴とする部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法。
- 請求項1〜12の何れか一項記載の部分円筒体を用いた自在拡径補強体の構築方法によって、前記自在拡径補強体による既設土構造物の耐震補強を行うことを特徴する補強体による既設土構造物の耐震補強工法。
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