JP3927842B2 - 二重管掘り小径杭の構築方法 - Google Patents

二重管掘り小径杭の構築方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、削孔ロッドに自穿孔ボルトを用いた二重管掘り小径杭の構築方法、更に詳しくは、法面補強工事、既設基礎のアンダーピーニングや耐震補強工事、ならびに既設構造物の補強などに多用される高耐力マイクロパイルと呼ばれる小径杭を構築するための構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
既設構造物基礎のアンダーピーニング、法面補強、および新設基礎の下部地盤補強については「ルートパイル」(Pali Radice: 権利化時の伊語) と称して直径がφ150mm程度以下の芯材鉄筋補強型コンクリート製マイクロパイル(Micropali )が1952年にイタリアで権利化され、その後ヨーロッパ各国で普及し、1970年初期には米国でも施工されるようになった。
【0003】
また同分野の適用に加えて、既設基礎の耐震補強対策なども視野に入れたルートパイルより更に高耐力化を指向した「高耐力マイクロパイル」(High-Capacity Micro Piles, 米国連邦道路局1997年7 月発刊;Drilled and Grouted Micropiles: State-of-Practice Review, Publication No.FHWA-RD-96-016 より) と称する芯材鉄筋と鋼管を使った直径略φ150〜φ300mm程度の小径杭が1980年代に入ってから主に米国で普及するようになった。
【0004】
日本においても同様な動きに追随するように工法の導入と開発がなされ、ルートパイルについては代表的な例として「EPルートパイル」と称する工法が多くの実績をあげている。また高耐力を指向した「高耐力マイクロパイル」と称する工法も主に米国での耐震補強などの実績を基に導入され、実績をあげつつある。
【0005】
これらの工法は、何れも各種の削孔機械を利用して中空構造を呈する削孔ロッドの外側に鋼管を用いた外管を配置した二重管にて杭孔を掘削し、所定深さまで到達したら削孔ロッドと先端の削孔ビットの一部あるいは全体を回収した後、固化材を充填してから芯材鉄筋を挿設するか、または芯材鉄筋に注入ホースを沿わせて挿設してから固化材を充填する。
【0006】
その後、固化材が硬化する前に固化材を加圧しながら外管を引き抜いて杭体を構築する手法が採られていた。この内、外管のほぼ全長を引き抜く場合は「ルートパイル」と称し、直径は概略φ80mm〜φ150mmの範囲とされている。
【0007】
一方、更に高い杭耐力が求められる場合は、外管の引き抜き長さを軟弱表層の下に位置する硬質支持地盤内とし、地盤側よりの杭荷重を芯材鉄筋、固化材、および外管の複合断面で硬質支持地盤まで伝達させる手法がとられ「高耐力マイクロパイル」と称し外管直径は略φ150mm〜300mmの範囲とされている。
【0008】
【従来の技術−1:ルートパイルの説明】
イタリアで1952年にFernando Lizzi博士によって発明され権利化された従来のル−トパイルは、図8のような構成より成り、直径が略φ80〜φ150mmの鋼管を伴って小径削孔された長孔に固化材(通常セメントモルタル)が充填され、中央部に芯材として鉄筋が配置された小径杭で、各国での呼び名は異なるものの世界で普及しており、日本でも1980年代より数多くの実績を有し代表的な工法にEPルートパイルがある。従って従来のルートパイル工法は世界各国において公知の手段となっている。
【0009】
このルートパイルと呼ばれる小径杭(マイクロパイル)の従来の技術による打設状況を図6と図7に示す。
【0010】
図6において、中空構造を呈する削孔ロッド4の基端部がアンカードリルマシン1などの削岩機2に直接、あるいは送排水機能を具備したスイーベル装置3を介してネジ接続され、また、その削孔ロッド4の下側先端部に削孔用ビット5がネジ接続され、先端部の当該削孔用ビット5の近傍まで削孔ロッド4のほぼ全長に亘って鋼管製外管6が外装され、削孔ロッド4を内包するようにして斜面や水平地盤表面Aより垂直、あるいは斜め下方向に、当該削孔ロッド4と当該外管6を、順次削孔ロッド用カップリング7および外管用カップリングあるいは外管6の両端に具備した雄雌のネジ接合などの接続手段8で継ぎ足しながら、かつ、送水ホース9より削孔水を削孔ロッド4の内孔を通じて先端の削孔用ビット5の部分に供給しながら削孔打設され、打設完了後に削孔ロッド4と削孔用ビット5の一部或いは全部を回収する。尚、削孔時に出る廃土(スライム)は供給された削孔水と共に削孔ロッド4と外管6の隙間を通ってスイーベル装置3へ送られ、排出ホース10より排出される。
【0011】
削孔用ビット5には各種の製品があり、削孔打設時には外管6の外径よりも幾分大きな直径に拡径して作業をすすめ、打設完了後に機械的に外管6の内径を通過できる径まで縮径して削孔ロッド4と削孔用ビット5の全てを回収する一体型のものや、削孔用ビット5の中央部分(センタービット)が削孔ロッド4にネジ接続され、外周部分(リングビット)が外管6の先端に固定されており、打設完了後に削孔ロッド4とセンタービットのみを回収する分割型のものが代表的である。
【0012】
ここでは、分割型の削孔用ビットを使った場合の従来の当該パイル打設方法について、図7を使って説明する。図7で(イ)は当該パイルを打設している状況である。前説の如く、先端の削孔用ビット5は削孔ロッド4にネジ接続されたセンタービット5aと外管6に固定接続されたリングビット5bとから成っている分割型である。
【0013】
所定の深さまでの削孔を完了したら、同図(ロ)の如く、センタービット5aは削孔ロッド4をカップリング7の部分で分解しながら地盤表面A側へ回収される。そのあと同図(ハ)の如く注入ホース11もしくはトレミー管が削孔穴底部まで挿設され、下側より固化材12が充填される。固化材12の充填が完了したならば、同図(ニ)の如く、予め地面で、表面に等間隔の凸状リブを有する芯材鉄筋13に、この芯材鉄筋13を外管6の中心に位置決めする目的のセントライザー14を取り付け、この芯材鉄筋13を鉄筋用カップリング13aなどで継ぎ足しながら削孔穴底部まで挿設する。
【0014】
なお、注入ホース11が芯材鉄筋13に沿わせて配置結束され、芯材鉄筋13と共に挿設を行い、挿設が完了してから固化材を注入ホース11を介して地盤側より注入し、芯材鉄筋13の最下端近傍より排出せしめ、外管6の内側全てに充填する場合もある。
【0015】
次に、図7(ホ)に示す如く、外管6の頂部に固化材12の追加充填と加圧を可能とする注入口を具備した閉蓋15をセットし、固化材12が硬化しない内に外管6を引き抜きつつ逐次固化材12に所定の加圧を行う。これにより固化材12は周辺地盤としっかりと密着浸透し、のちに固結することになる。
【0016】
ルートパイルの工事では外管6は全長に亘って固化材12を加圧しながら引き抜かれ、図8に示すような仕上がり形状となる。なお、固化材12への加圧を行わず、固化材12の自重のみの圧力に期待する場合もある。
【0017】
なお、図8において、打設されたルートパイルには地盤表面Aの境界部に通常、薄肉の捨てコンクリート16が配置され、ルートパイルの芯材鉄筋13の天端には荷重伝達手段として通常鋼製の角座金17と鉄筋用ナット18がセットされる。さらに所定の設計に準じた型枠・配筋工事を行った上で設計荷重をルートパイルに伝達するための鉄筋コンクリート躯体19が打設されている。
【0018】
【従来の技術−2:高耐力マイクロパイルの説明】
高耐力マイクロパイルは、前記のルートパイルの概念をベースに、更に高い支持力の小径杭を指向して開発されたもので、特に米国で近年かなりの実績をあげている工法であり、構築方法は、前説のルートパイルと同じ手法で削孔打設し、外管6にはルートパイルよりもさらに厚肉、あるいは高強度の鋼管を用い、杭径は略φ150mm〜φ300mmが一般であるが、更に小径の、例えばφ100mm強のサイズでの実施も可能である。
【0019】
なお、従来の高耐力マイクロパイルの構築方法については、前説の米国連邦道路局の資料にルートパイルからの発展の歴史と各国での実施例ならびに関連文献のリストが豊富に掲載され、公知の工法となっている。
【0020】
高耐力マイクロパイルの構築方法について説明する。
【0021】
この高耐力マイクロパイルと呼ばれる小径杭の従来の技術による打設状況は、前説のルートパイルと同じく図6のとおりであり、また打設後の工程についても図7の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)について説明した通りである。
【0022】
図9は、杭補強鉄筋20を内設する太径場所打ちコンクリート杭21を具備した既設基礎体22を補強するために、極めて近傍に残置外管6と芯材鉄筋13、および固化材12の断面より形成される高耐力マイクロパイルを打設し、頭部にスティフナー23で補強した角座金(支圧板)17と鉄筋用ナット18を配置し、既設基礎体22に増し打ち鉄筋コンクリート躯体26を打設し、既設基礎体22を補強した状態を示している。
【0023】
高耐力マイクロパイルでは、図9の実施例の如く、削孔打設を常に軟弱地層27を貫通して強固な支持地層28(例として標準貫入試験でN 値が30以上)に所定長打設させた後、図7の作業工程を経てからの外管6の引き抜きは、この支持地層28の最上部までとし、この位置で最後の加圧を固化材12に実施した後で、設計で定めた僅かな寸法(図9中のP寸法)まで再度挿入して杭体の構築を完成する。
【0024】
これにより地盤表面A側より伝達される杭の圧縮荷重の大部分は、外管6(鋼管)、内包設置される芯材鉄筋13、並びにその隙間に充填される固化材12により確実に強固な支持地層28まで伝播され、この支持地層28に加圧充填された固化材12と支持地層28との強固な摩擦力を主力として、周辺地山への荷重伝播を実現できる。
【0025】
引抜き荷重については、その大部分が外管6が引き抜かれた範囲(図9中のQ寸法)において、表面に凸状の連続リブを有する芯材鉄筋13から硬化した固化材12に伝播され、さらに固化材12と周辺支持地層28との強固な摩擦力によって周辺地山へ荷重伝播される。
【0026】
さらに地盤表面A近傍で印荷される横方向荷重については外管6、芯材鉄筋13、および固化材12よりなる高度な剛性を有する複合断面杭体を通じて軟弱地層27の上部の周辺地山に伝播される。
【0027】
このように高耐力マイクロパイルにおいては、ルートパイルと違って、前説の周辺地盤を図9の如く軟弱地層27と支持地層28とに分割して認識し、打設深さと外管6の引き抜き長さを調整して設計施工することにより、更に耐力の高い小径杭を構築できるのである。
【0028】
【従来の技術-3:自穿孔方式の小径杭】
一方、自穿孔ボルトを使用した小径杭の構築方法については、一般の削孔水、または圧搾空気をボルト内孔より供給し、ロストビット部より排出させて外管を伴わずに単管にて削孔し、所定の削孔深さに達したらば当該ボルト内孔より固化材を注入し、ロストビット部より排出させて杭体を構築する手法であり、ヨーロッパで多用され、特に西ドイツ時代の新幹線トンネル建設に多用されたIBOアンカーなどが有名である。
【0029】
本発明者は、自穿孔方式の小径杭については既に海外先例が多いと認識しているが、あえて国内公知資料であれば、例えば「自削孔マイクロパイルを用いた鋼材と注入材との複合支持杭の埋込工法」(特開2001−146743)を挙げることができる。この構築方法はあまりにも公知であり、国内でも競合品が多く存在し、構造も単純なことより特に図示して説明しない。
【0030】
この自穿孔方式の小径杭は、打設時に周辺地山の削孔壁が崩れて部分的にボルトと接触する部分が形成されることより、特に酸性土や塩分を含む土壌での適応については、確実な充填材による被り厚さの確保が難しい点が従来より指摘されていた。
【0031】
これを改善する手法として、自穿式パイプを使って削孔と同時に固化材を排出させて削孔を進め、作業が完了した時点で注入作業を完了させるといった「補強土杭の施工法」(特開平2−8413)や「アースアンカーの施工方法」(特開平5−58084)も開発され、商品化に成功しているようであるが、この手法も外管を伴わない単管削孔であり、固化材が削孔時に生じる廃土(スライム)を巻き込んでしまうことや、斜め方向への長尺杭の形成において、芯材の自重による懸垂効果や回転打設時の孔壁への振動影響などもあり、本特許発明者の考えでは、従来の自穿孔ボルトを用いた場合と同様な問題提起がなされるべきと思われる。
【0032】
一方今日まで、本発明で実施する自穿孔ボルトを削孔ロッドとし、外管を伴って二重管掘りを実施する高耐力マイクロパイルの構築工法については未だ紹介された事実はない。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】
従来のルートパイルあるいは高耐力マイクロパイルといった小径杭の施工においては、前段で説明したように、硬岩から軟岩まで何百メートルもの掘削にも対応可能な非常に高価な削孔用ビットおよび高品質の削孔ロッドを同高品質のカップリングにて接続し、部品の消耗が確認されるまで繰り返し使っていた。
【0034】
従って、杭孔の削孔と外管の挿設が完了したのちに、削孔ロッドと先端の削孔用ビットの全部あるいは主要部分を基端部側より引き抜きつつ逐次カップリング部で分解しながら回収していた。その後、再度、固化材を充填した後で削孔ロッドの配置されていた場所に、芯材鉄筋を鉄筋用カップリングで繋ぎながら挿設する手法がとられ、多大な労力と時間ならびに高価なボーリングマシンなどの手待ちを生じていた。
【0035】
また、これらの作業時間の経過に伴い、削孔時には周辺地山と縁が切れて大きな摩擦を生じずにいた外管が、特に地下水位が高くゆるいコンシステンシーのシルトや砂質地層が介在する場合などにおいて、砂が外管表面に流着安定し、芯材鉄筋の挿設を完了させてから外管を回転および打撃しつつ引き抜こうとしても抜けなくなることもあった。
【0036】
そこで、この発明では、従来の高耐力マイクロパイルの要求性能ならびに技術目的を害することなく、二重掘り削孔ロッドに自穿孔ボルトを用いた独自の技術にて工事速度を飛躍的に改善させると共に、経済的に目的を達成できる工法を提供することを課題としている。
【0037】
【発明が解決しようとする手段】
上記のような課題を解決するため、この発明は、中空構造の削孔ロッドの先端にネジ接続されたセンタービットと、この削孔ロッドと同時打設される外管の先端部に固定接続されるリングビッにより、分割された二重管掘りの分割ビットを形成し、センタービットと外管先端のリングビットが削孔の進行において略近傍に相対位置を保つようにして、外管とその内部の削孔ロッドを所定の深さまで打設して削孔を形成し、この削孔に固化材を充填した後、固化材を加圧しながら外管を軟弱地盤の下にある支持地層内の所定深さまで引き抜いて小径杭を構築する二重管掘り小径杭の構築方法において、前記削孔ロッドに、中空構造で外面に固化材との付着を良くした転造ネジを有する自穿孔ボルトを用い、外管と略同じ長さに接続される自穿孔ボルトの接続カップラの下端にセントライザーを配置して所定の深さまで二重管掘りした後、自穿孔ボルトの内孔より固化材を注入して先端のセンタービット排出孔から充填し、自穿孔ボルトとセンタービットを残置させた状態で、固化材を加圧しながら外管をその先端部が所定の寸法だけ支持地層に残る深さまで引き抜いて小径杭を構築する構成を採用したものである。
【0038】
【0039】
【0040】
ここで、高耐力マイクロパイルと呼ばれる小径杭の構築において、これらの小径杭の実長は最大でもそれぞれ15mあるいは30m程であることより、削孔ロッドに自穿孔ボルトを用い、この自穿孔ボルトを介して基端部の削岩機より直接あるいは間接的に回転と打撃を先端のセンタービットに伝達し、同時にスライム除去を目的とした注水を自穿孔ボルトの内孔より同時実施する手段を採るようにする。
【0041】
削孔方式は従来と同じく外管を伴う二重管掘り方式とし、先端のセンタービットには削孔用ロストビットを用い、これを自穿孔ボルトの先端にネジ接続にて取付け、自穿孔ボルトに外管が挿設された状態で、自穿孔ボルトと外管を、センタービットと、外管先端部に固定接続されたリングビットでの掘削により所定の深さまで削孔打設された後、固化材を自穿孔ボルトの内孔を通じてセンタービット排出口より充填し、自穿孔ボルトとセンタービットを残置させる状態で、固化材を加圧しながら外管をその先端側が支持地盤に残る 長さだけ引き抜いて高耐力マイクロパイルと呼ばれる小径杭を構築する手段を採る。
【0042】
【0043】
この発明の主旨は、直径90mm〜300mm程度の外管と、削孔ロッドによる二重管掘りで実施される高耐力マイクロパイルといった小径杭の構築にあたり、センタービットに掘進深さ略15m〜30m程度までの掘削に十分対応できるような安価な自穿孔式ロストビットを用い、削孔ロッドに自穿孔ボルトを用いて外管を略同時並行して接続しながら打設し、打設完了後はこの自穿孔ボルトを介して固化材を充填し、さらに、当該ボルトをセンタービットと共に回収せずに芯材鉄筋として用いることにより、外管の引き抜き作業着手までの工程を大幅に簡略化ならびに高速化させ、従来顕在したいくつかの施工上の問題点をも改善するものである。
【0044】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態を図1及至図5の例と共に説明する。なお、図6及至図9に示した従来技術と同一部分については同一符号を付して説明する。
【0045】
図1はこの発明による高耐力マイクロパイルといった小径杭の打設状況を示す。
【0046】
図1乃至図5において、中空構造で外面に連続した転造ネジを呈する自穿孔ボルト31の基端部がアンカードリルマシン1などの削岩機2に、送排水機能を具備したスイーベル装置3を介してネジ接続され、またその自穿孔ボルト31の下側先端部が削孔用ロストビットを用いたセンタービット32がネジで取付けられ、先端部の当該センタービット32の近傍まで自穿孔ボルト31のほぼ全長に亘って外管6が外装される。
【0047】
外管6で自穿孔ボルト31を内包するようにして、斜面や水平地盤表面Aより垂直、あるいは斜め下方向に当該自穿孔ボルト31と当該外管6を、順次当該ボルト用接続カップラ33および外管用カップリングあるいは外管本体の両端に具備した雄雌のネジ接合などの接続手段8で継ぎ足しながら、送水ホース9より削孔水を自穿孔ボルト31の内孔を通じて先端のセンタービット32に供給しながら削孔打設される。尚、削孔時に発生する廃土(スライム)は供給された削孔水とともに自穿孔ボルト31と外管6の隙間を通ってスイーベル装置3へ送られ、排出ホース10より排出される。
【0048】
自穿孔ボルト31には接続カップラ33の下端に当該ボルト31を位置決めする目的で、スライムと混合した排水土が先端部からスイーベル装置3へ排出されるのを妨げない構造の特殊セントライザー34が予め配置されている。
【0049】
この発明の削孔用ビットは、例えば、図2の如き断面構造であり、その底面図を図3に示す
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
分割型のロストビットは、外管6の先端に例えば溶接にて固定されたリングビット32aと、自穿孔ボルト31にネジ接続されたセンタービット32に分割されている。リングビット32の外径は後続して同時打設される外管6の直径よりも若干大きく設計されている。削孔打設時にセンタービット32の芯が定まるように当該ビット32の後部には外管6の内径より幾分小さい位置に短尺のガイドプレート40(この例では3方向配置)が配置されている。
【0054】
削孔時には削岩機2の回転と打撃がスイーベル装置3を介して自穿孔ボルト31と外管6を同時回転、打撃しそれぞれセンタービット32とリングビット32を駆動させて削孔を行う。削孔方向の地山より発生する廃土(スライム)は、自穿孔ボルト31の内孔37を通ってセンタ−ビット32の排出孔41より供給される送水により洗掘し、通孔42を通って排出され、当該ボルト31と外管6の隙間、基端部のスイーベル装置3を通って排出ホース10から排出される構造である。
【0055】
に、この発明の施工方法を図4を用いて説明する。前説の如く、この発明では、図1の要領で小径杭の削孔打設を進める。図(イ)は所定の深さまでの打設を完了し、削岩機2及びスイーベル装置3を取り外した状態図である。この後直ちに自穿孔ボルト31の地盤表面A側の端部に一次充填ホース43を取り付け、固化材12を注入する。固化材12は一次充填ホース43より当該ボルト31の内孔37を通過して先端のセンタービット32に配置された排出孔38より排出され、構築された小径杭の底側より順次充填される。
【0056】
固化材12が外管6の内部に全て充填され、図4(ロ)の如くオーバーフロー44を確認したらば、固化材12が残土や削孔水の残りなどとの混合により品質劣化しているものでないことを確認できるまで注入とオーバーフロー44を継続する。
【0057】
オーバーフロー44する固化材12の品質が注入側と略同一となったらば、図4(ハ)の如く、外管6をその接続長さ毎に引き抜き、その後外管6の頂部に固化材12を追加充填・加圧するための孔を具備した閉蓋45を取り付け、所定圧力まで加圧する。そのあと、更に外管6を接続長さ毎に所定の長さだけ引き抜き、固化材12を充填する工程を繰り返す。この工程を外管6の先端側が支持地層28に位置するように、所定の深さまでしか引き抜かないようにし、これによって構築された小径杭が高耐力マイクロパイルとなる
【0058】
図5は、この発明の方法により構築された高耐力マイクロパイルの躯体埋め込み図である。比較的厚肉の外管6は地盤表面Aに近い軟弱地層27の下に位置する強固な支持地層28に所定深さ(図5中のP寸法)を残す状態で完成されているのが特徴である。打設時に使ったセンタービット32並びに自穿孔ボルト31と接続カップラ33、および特殊セントライザー34はそのまま残置されており、外管6の地盤表面A側の頂部には鉄筋コンクリート躯体26より伝達される高いレベルの荷重に角座金17が耐えられるようにスティフナー23が設けられ、更に自穿孔ボルト31の頭部には専用ナット24を配置してある。
【0059】
【0060】
【0061】
上部構造物より伝達された基礎反力は鉄筋コンクリート躯体26よりこれら高耐力マイクロパイルの頭部構造を通じて杭体に伝播し、その内、圧縮または引き抜き荷重の大部分が上部軟弱地層27の下に位置する支持地層28に伝播されるのである。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、上記のような構成であるので、以下に示す効果がある。
【0063】
1 、高耐力マイクロパイルと称されるような削孔ロッドと外管を伴う二重管掘りを必要とする小径杭の構築において、掘削対象が比較的軟弱な地盤や風化地盤であり、たまに発生する玉石や礫土層の破砕と軟弱層の下に位置する硬質支持地盤の所定深さまでと比較的限定的であり、また、その打設深さもそれぞれ概略15mから30m程度までと余り深くないことより、当該地層の掘削に十分耐えうる品質で安価なロスト型のセンタービットを使い、削孔ロッドに自穿孔ボルトおよび同ボルト用接続カップラを使い、従来と同様に外管を伴って削孔したあとで、センタービット、自穿孔ボルトおよび接続カップラを回収せずに残置させ、これらを従来の芯材鉄筋の代わりとして利用することにより、従来の高価なビット、削孔ロッド、及び高価なカップリングを使って打設し、それらを回収した後でほぼ同位置に芯材鉄筋を挿設する手法に比べて、工程の大幅な短縮と省力化、高速化と経済性の実現が同時に可能となる。
【0064】
2 、削孔打設完了後直ちに固化材の注入をスタートできる為、外管の引き抜き作業スタートまでの経過時間が著しく短縮化される。このため打設時に縁が切れていた外管と周辺地山との隙間に周辺の砂質土流着などによる付着力が発生しない短時間の内に引き抜き作業を開始でき、従来時折生じていた外管の引き抜きが不可能になることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による高耐力マイクロパイルといった小径杭の打設状況を示す縦断側面図
【図2】同上の分割型のセンタービットとリングビットの構造を示す縦断側面図
【図3】同上の底面図
【図4】(イ)乃至(ハ)は、この発明による高耐力マイクロパイルの打設工程を順番に示す工程図
【図5】この発明の方法により構築された高耐力マイクロパイルの躯体埋め込み状態を示す縦断側面図
【図6】従来のルートパイル、あるいは高耐力マイクロパイルといった小径杭の打設状況を示す縦断側面図
【図7】(イ)乃至(ホ)は、従来の小径杭の打設工程を順番に示す工程図
【図8】従来の構築されたルートパイルの躯体埋め込み状態を示す縦断側面図
【図9】従来の構築された高耐力マイクロパイルの躯体埋め込み状態を示す縦断側面図
【符号の説明】
1 アンカードリルマシン
2 削岩機
3 スイーベル装置
4 削孔ロッド
5 削孔用ビット
5a センタービット
5b リングビット
6 外管
7 削孔ロッド用カップリング
8 接続手段
9 送水ホース
10 排出ホース
11 注入ホース
12 固化材
13 芯材鉄筋
13a 鉄筋用カップリング
14 セントライザー
15 閉蓋
16 捨てコンクリート
17 角座金
18 鉄筋用ナット
19 鉄筋コンクリート躯体
20 杭補強鉄筋
21 太径場所打ちコンクリート杭
22 既設基礎体
23 スティフナー
24 専用ナット
26 増し打ち鉄筋コンクリート躯体
27 軟弱地層
28 支持地層
31 自穿孔ボルト
32 センタービット
32a リングビット
33 接続カップラ
34 特殊セントライザー
35 止め輪
36 短尺のガイド
37 内孔
38 排出孔
39 通孔
40 ガイドプレート
41 排出孔
42 通孔
43 一次充填ホース
44 オーバーフロー
45 閉蓋
A 地盤表面

Claims (1)

  1. 中空構造の削孔ロッドの先端にネジ接続されたセンタービットと、この削孔ロッドと同時打設される外管の先端部に固定接続されるリングビットにより、分割された二重管掘りの分割型ビットを形成し、センタービットと外管先端のリングビットが削孔の進行において略近傍に相対位置を保つようにして、外管とその内部の削孔ロッドを所定の深さまで打設して削孔を形成し、この削孔に固化材を充填した後、固化材を加圧しながら外管を軟弱地盤の下にある支持地層内の所定の深さまで引き抜いて小径杭を構築する二重管掘り小径杭の構築方法において、
    前記削孔ロッドに、中空構造で外面に固化材との付着を良くした転造ネジを有する自穿孔ボルトを用い、外管と略同じ長さに接続される自穿孔ボルトの接続カップラの下端にセントライザーを配置して所定の深さまで二重管掘りした後、自穿孔ボルトの内孔より固化材を注入して先端のセンタービット排出孔から充填し、自穿孔ボルトとセンタービットを残置させた状態で、固化材を加圧しながら外管をその先端部が所定の寸法だけ支持地層に残る深さまで引き抜いて小径杭を構築することを特徴とする自穿孔ボルトを用いた二重管掘り小径杭の構築方法。
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