JP6949390B1 - 口元補強管付き圧縮型網状鉄筋挿入工法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、これらの施工機械は大型であり、平場での施工以外では大規模な作業架台の構築が必要な他、専用機の持ち込みが困難であった。また、軟弱地盤に巨礫や玉石が介在すると目標とする改良を達成できない場合があった。
ルートパイル工法は1980年代初期にヨーロッパから導入され、既に国内でも膨大な採用実績があり、そのパイルの構造は鋼製の異形鉄筋ボルトの周りにセメントグラウトを加圧充填した鋼製ロックボルト群からなり、適用領域を区分すると、斜面の地滑り抑止のみを目的に鉄筋ボルトの引張力により補強する「引張型」と、施工延長方向に打設間隔を滑り土塊がすり抜けない削孔呼び径の7倍以下の小ピッチで±20°内の斜角で、また延長直角方向にも複列配置となるように下向きに打設したロックボルト群で盛土や既設構造物基礎地盤の支持力改善と地滑り抑止とを目的とする「圧縮型」がある。例えば、社団法人地盤工学会冊子、土質基礎工学ライブラリー29、補強土工法(平成13年発行第8版)の3.3章にはルートパイル工法の「圧縮型」と「引張型」についての解説がある。この圧縮型のルートパイル工法は地中疑似擁壁を構築することにより、滑り抑止と基礎荷重支持が可能な工法であって、本願の適用領域はその「圧縮型」のルートパイル工法に関するものである。
しかしながら、上部構造物の重要度と要求性能に応じて、構造物の許容水平変位量は許容値内に抑制する必要があり、例えば、下記[発明の効果]の<1>に示したように、道路盛土の場合、道路土工擁壁工指針、平成24年7月版では、大規模地震でも小径杭の許容変位は15mm以内とすることが求められており、この検討ができていない課題があった。
<2> ルートパイルの表層地盤が比較的良好で、この表層地盤も支持層に加えたい場合でも、新しい鋼製部材の提案により、本発明の機能を損なわないようにする。
<3> 上部構造物からの基礎荷重や滑り力が大きい場合には、パイル打設本数が過大にならないように、汎用のセメントグラウトに代えて超高強度で施工性の良いプレパック型セメントグラウトを採用して打設本数を低減し、打設本数が減少すると1本当りの負担荷重が大きくなることから、従来よりも耐久性のあるセメントグラウトで、無収縮で周辺地山との付着低減が生じず、超高流動性により周辺地山の隅々まで従来よりも緻密に充填されるセメントグラウトを開発・提供する。
軟弱地盤における盛土・擁壁構造物や既設構造物基礎の支持力改善や地滑り抑止をする、圧縮型網状鉄筋挿入工法であって、
施工延長方向に呼び径φ115mm、またはφ135mmの7倍以下の小ピッチで、また横断方向にも複列配置となるように、汎用アンカーマシンを使ってリングビット付きアウターパイプとセンタービット付きインナーロッドを用いた2重管削孔により、所要の斜角で下向き削孔を実施し、
その削孔が所定の深さに到達したらインナーロッドとセンタービットを回収したのちに、付着改善を目的とした複数のフックスペーサを配置した充実断面の鋼棒と注入ホースをアウターパイプ内に挿入し、
又は付着改善を目的とした複数のフックスペーサを配置した中空の鋼棒をアウターパイプ内に挿入し、
前記注入ホース又は中空の鋼棒の内孔を介してセメントグラウトを前記削孔内に下側から上方に向かって充填し、
つぎに、片端に落下防止蓋のついた直径φ76.3mm〜φ101.6mm、長さ2〜3mの汎用鋼管を、前記鋼棒の頂部に落下防止ナットを装着してから片端の落下防止蓋部に吊り下げるように前記削孔内に挿設し、さらに、リングビット付きアウターパイプを内側のセメントグラウトを加圧充填しながら回収する、口元補強管付き圧縮型網状鉄筋挿入工法の構成を採用したのである。
また、前記削孔の斜角は、従来と同様に、適宜に設定すれば良いが、例えば、±20°内のいずれかの斜角を適宜に選択する。
さらに、削孔の深さは、基礎反力と滑り抑止力から設計で得られるルートパイルの軸力(すなわち、パイル中央の鋼製ボルトの圧縮力と周囲に充填されたグラウトの圧縮力の和)を周辺地山に安全に伝達する必要があり、前記各定着地層の土の種類とN値から求まる周辺地山とセメントグラウトの極限周面摩擦力を膨大な実績を有する永久アンカーの極限周面摩擦力推奨表から特定し、それに安全率を加味した当該削孔径に応じた必要なパイル定着長さとする。
<1> 圧縮型ルートパイルの施工において、斜面滑り力と直行する施工延長方向に呼び径φ115mm、またはφ135mmの7倍以下の小ピッチで、また縦断方向にも複列配置となるように、汎用アンカーマシンを使ってリングビット付きアウターパイプとセンタービット付きインナーロッドを用いたロータリーパーカッション方式の2重管削孔により所要斜角(例えば±20°内)で下向き削孔を実施し、所定の深さに到達したらインナーロッドとセンタービットを回収したのちに、付着改善を目的とした複数のフックスペーサを配置した充実断面鋼棒に全長に注入ホースを添わせる等して、もしくは中空断面鋼棒はホースなしで、アウターパイプ内に挿入し、次に注入ホース、もしくは中空鋼棒の内孔を介してセメントグラウトを削孔内にセメントグラウトが分離しないように下側から逐次充填され、更に鋼棒頭部に落下防止ナットを装着してから片端に落下防止蓋のついた直径φ76.3mm〜φ101.6mm、長さ2〜3mの汎用鋼管を挿設し、次にリングビット付きアウターパイプを内側のセメントグラウトを加圧充填しながら回収する、口元補強管付き圧縮型ルートパイル群を構築することで、ルートパイル群の多数の口元補強管によるパイル頭部の曲げ剛性改善により、軟弱地盤でも周囲の土の側圧により、ルートパイル頭部の水平変位を抑制できるとともに、弾性解析もしくは弾塑性解析により水平変位量を計算して、上部構造から求められる許容水平変位量を照査できる。
なお、例えば公共構造物である道路盛土の場合、社団法人日本道路協会、道路土工擁壁工指針、平成24年7月版、5−3−3(1)杭基礎の安定性の照査、2)水平方向の安定性の照査では、小径杭の許容変位は15mm以内とすることが求められている。
加えて、比較的に良好な想定地盤のみでなく、ディンプル鋼管と汎用鋼管の曲げ剛性はほぼ同等であることから前記軟弱地盤でも周囲の土の側圧により、ルートパイル頭部の水平変位を抑制できるとともに、弾性解析もしくは弾塑性解析により水平変位量を計算して、上部構造から求められる許容水平変位量を照査できる前記目的を達成できる。
そのA−A矢視図はルートパイルの口元部の断面であり、セメントグラウト(27)を加圧浸透した削孔壁(32)の内側には、基礎コンクリート(2)に支圧プレート(34)と落下防止ナット(25)及び固定ナット(35)でしっかりと固定された状態の汎用鋼管の口元補強管(29)が配置され、その中央部には連続ねじを有する中空ボルト(23)が連通され、すべての隙間にはくまなくセメントグラウト(27)が充填されており、断面曲げ剛性は口元補強管(29)の配置により従来技術よりも格段に改善していて、基礎コンクリート(2)から伝達される大きな水平力はこの口元補強管(29)がせん断パイプの機能を呈して、周辺地山が軟弱でもルートパイル(1)は前記説明のように所定の密なピッチで相当な本数が打設されることから、無理なく周辺地山に分散されると共に、口元の断面剛性を改善したので変位量も大きく抑制される。
前記の如く外径φ76.3mmで内面突起の内径はφ63.9mmのディンプル鋼管(29’)の面状は図7のL部詳細図において延長方向の窪み開始部幅(O)が35mm、窪み底幅(P)が18mm、窪み深さ(R)が2mmであり、直角方向の窪み開始幅(図示なし)は20mmであり、表面が2mm窪んでいる分、鋼管内面も内側に同量の連続突起が配置されており、高炉メーカーの研究報告から付着力の改善は汎用鋼管の12倍以上であることが報告されており、また内包する中空ボルト(23)が外径φ32mmで内径15mmであることからしてディンプル鋼管の内外径もかなり大きいため、ボルト圧縮軸力はボルト(23)の付着力により、またセメントグラウト(27)の圧縮軸力はせん断応力の伝播により、確実にディンプル鋼管(29’)の内面に伝わり、更にその外周面の凹凸面状を介して周囲のセメントグラウト(27)のせん断応力の伝播により、加圧浸透した削孔壁(32)から周辺地山に確実な伝達が出来るため、ディンプル鋼管(29’)を配置したルートパイル(1)の区間も含め、全長に亘って高い付着力を期待できるようになることから、表層部の地盤でも支持したい場合はこの手段を提案する。
また、従来のルートパイルとして膨大な実績を有する、前記EPルートパイル工法(登録商標)における別の国道の新設盛土工事の事例では、パイル斜角0°、5°、10°、13°、16°、20°の6列配置だったルートパイル補強に対して、この発明においてはパイルの斜角:0°、7°、15°、20°の4列にして、同様な作用効果を得て、2列を縮減することができた。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 基礎コンクリート
3 擁壁の壁面
4 盛土材
5 路面
6 道路拡幅部
7 既設道路部
8 円弧滑り面
9 地層境界線
10 軟弱な地盤
11 強固な地盤
12 盛土背面の掘削線
13 巨礫や玉石
14 調整コンクリート
15 リングビット
16 アウターパイプ
17 アウターパイプ接続部
18 コンクリート基礎底面の地表面
19 センタービット
20 インナーロッド
21 インナーロッド接続部
22 フックスペーサ
23 鋼棒(中空ボルト)
24 接続カップラー
25 口元補強管の落下防止ナット
26 セメントグラウトの注入口
27 セメントグラウト
28 オーバーフロー
29 汎用鋼管の口元補強管
29’ ディンプル鋼管の口元補強管
30 アウターパイプのグラウト加圧蓋
31 加圧ホース
32 加圧浸透した削孔壁
33 アウターパイプ引抜方向
34 支圧プレート
35 固定ナット
36 落下防止蓋
37 ボルト通過孔
38 追加注入用の横穴
39 ロスト型センタービット
H0 水平力
K0 水平方向の地盤バネ乗数
δf 計算水平変位量
δa 許容水平変位量
50 ねじ節異形棒鋼
51 接続カップラー
52 ロックナット
53 鍔材
54 スペーサ
55 六角ナット
56 定着プレート
Pr 円弧滑り力
S ルートパイルの円弧滑り力に直角な縦断方向の削孔径の7倍以下の打設ピッチ
N 地中疑似擁壁
1B、1B1、1B2、1B3 従来のルートパイル
Claims (4)
- 軟弱地盤における盛土・擁壁構造物や既設構造物基礎の支持力改善や地滑り抑止をする、圧縮型網状鉄筋挿入工法であって、
施工延長方向に呼び径φ115mm、又はφ135mmの7倍以下の小ピッチで、また横断方向にも複数列配置となるように、汎用アンカーマシンを使ってリングビット(15)付きアウターパイプ(16)とセンタービット(19)付きインナーロッド(20)を用いた2重管削孔により、所定の斜角で下向き削孔を実施し、その削孔(h)が所定の深さに到達したらインナーロッド(20)とセンタービット(19)を回収した後に、
付着改善を目的とした複数のフックスペーサ(22)を配置した充実断面の鋼棒(23)と注入ホースをアウターパイプ(16)内に挿入し、
又は付着改善を目的とした複数のフックスペーサ(22)を配置した中空の鋼棒(23)をアウターパイプ(16)内に挿入し、
前記注入ホース又は中空の鋼棒(23)の内孔を介してセメントグラウト(27)を前記削孔内にその下側から上方に向かって充填し、
つぎに、片端に落下防止蓋(36)のついた直径φ76.3mm〜φ101.6mm、長さ2〜3mの汎用鋼管(29)を、前記削孔上部の前記鋼棒(23)の頂部に落下防止ナット(25)を装着してから前記削孔(h)に挿設し、
さらに、リングビット(15)付きアウターパイプ(16)を内側のセメントグラウト(27)を加圧充填しながら回収する、口元補強管(29)付き圧縮型網状鉄筋挿入工法。 - 上記センタービット(19)付きインナーロッド(20)に代えて、ロストビット(39)付きで付着改善を目的とした複数のフックスペーサ(22)を配置した中空断面の鋼棒(23)を採用し、その鋼棒(23)を回収することなく、上記セメントグラウト(27)を充填して、インナーロッド(20)の回収工程と上記注入ホースの挿入工程と前記フックスペーサ(22)を配置した充実断面の鋼棒又は中空断面の鋼棒のアウターパイプ内への挿入工程を省略した請求項1に記載の口元補強管付き圧縮型網状鉄筋挿入工法。
- 上記口元補強管に、面状が凹凸で内外面のセメントグラウトとの付着改善を目的としたディンプル鋼管(29’)を用いた請求項1又は2に記載の口元補強管付き圧縮型網状鉄筋挿入工法。
- セメントグラウトに設計呼び強度80N/mm2の超高強度で、所定の水を加えて攪拌するのみで使用できるプレパック型セメントグラウト(27)を採用した請求項1〜3のいずれか一つに記載の口元補強管付き圧縮型網状鉄筋挿入工法。
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