JP6949390B1 - 口元補強管付き圧縮型網状鉄筋挿入工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮型網状鉄筋挿入工法に用いるルートパイルの新しい構成部材を提供する。【解決手段】施工延長方向に呼び径φ115mm、φ135mmの7倍以下の小ピッチで、また横断方向にも複列配置となるように、リングビット15付きアウターパイプ16とセンタービット19付きインナーロッド20による2重管削孔により、下向き削孔を実施し、所定の深さに到達したらインナーロッド20とセンタービット19を回収し、複数のフックスペーサ22を配置した鋼棒23に注入ホースを添わせてアウターパイプ16内に挿入し、セメントグラウト27を前記削孔にその下側から上方に向かって充填し、その各鋼棒の頂部には落下防止ナット25が設けられ、片端に落下防止蓋のついた直径φ76.3mm〜φ101.6mm、長さ2〜3mの汎用鋼管の口元補強管29を鋼棒23に挿入し、さらに、アウターパイプ16をセメントグラウト27を加圧充填しながら回収する。【選択図】図4

Description

本発明は、アクセスが困難で大きな機械を持ち込めない狭隘地での施工、及び基礎底面の軟弱地盤に巨礫や玉石などが介在してセメント系固化材による地盤改良ができない地層を改良する圧縮型網状鉄筋挿入工法に関する。
盛土基礎や既設構造物基礎補強工事において、構造物基礎の地盤支持力や斜面に生じる滑り抑止力を改善する目的で、従来から、軟弱地盤のセメント固化材を利用した攪拌混合改良工法や高圧噴射改良工法、加圧浸透注入工法といった比較的安定して経済的に施工できる工法が多用されてきた。
しかしながら、これらの施工機械は大型であり、平場での施工以外では大規模な作業架台の構築が必要な他、専用機の持ち込みが困難であった。また、軟弱地盤に巨礫や玉石が介在すると目標とする改良を達成できない場合があった。
このような場合は、若干経済性が劣るものの確実に施工可能な、小型の汎用アンカーマシンによるロータリーパーカッション削孔での網状鉄筋挿入工法(ルートパイル工法)が多用されてきた。
ルートパイル工法は1980年代初期にヨーロッパから導入され、既に国内でも膨大な採用実績があり、そのパイルの構造は鋼製の異形鉄筋ボルトの周りにセメントグラウトを加圧充填した鋼製ロックボルト群からなり、適用領域を区分すると、斜面の地滑り抑止のみを目的に鉄筋ボルトの引張力により補強する「引張型」と、施工延長方向に打設間隔を滑り土塊がすり抜けない削孔呼び径の7倍以下の小ピッチで±20°内の斜角で、また延長直角方向にも複列配置となるように下向きに打設したロックボルト群で盛土や既設構造物基礎地盤の支持力改善と地滑り抑止とを目的とする「圧縮型」がある。例えば、社団法人地盤工学会冊子、土質基礎工学ライブラリー29、補強土工法(平成13年発行第8版)の3.3章にはルートパイル工法の「圧縮型」と「引張型」についての解説がある。この圧縮型のルートパイル工法は地中疑似擁壁を構築することにより、滑り抑止と基礎荷重支持が可能な工法であって、本願の適用領域はその「圧縮型」のルートパイル工法に関するものである。
例えば、図10は、従来の技術による圧縮型ルートパイル(1B)を用いて軟弱地盤(10)の下の強固な地盤(11)まで貫通させて定着している拡幅盛土の横断図であり、ここでは横断方向にそれぞれ鉛直方向に0°、10°、20°で3列のルートパイル(1B=1B、1B、1B)が打設されており、0°と20°のパイル(1Bと1B)の間のハッチングした軟弱地盤部は「地中疑似擁壁(N)」を形成している。
従来、この複列のルートパイル(1B)によって「地中疑似擁壁(N)」を形成するには、それぞれの列の延長方向への打設ピッチは円弧滑り力(Pr)によって3列いずれの列でもパイル(1B)の間を軟弱地盤(10)の土砂がすり抜けてしまわないように、図11、図12の縦断側面図と縦断平面図に示すように、削孔(h)の呼び径の7倍以内の小ピッチ(S)で各列が千鳥足配置になるように打設されるのが一般であり、圧縮型のルートパイル工法とは、このような密なパイル打設を行って土のすり抜けが生じない「地中疑似擁壁(N)」を構築する工法で「網状鉄筋挿入工法」とも称され、円弧滑り力(Pr)の抑止に加え、上部構造物から生じる基礎反力である鉛直力、水平力、および転倒モーメントもこのルートパイル群と土の「地中疑似擁壁(N)」で支持している。
図13は、従来のルートパイル(1B)で多用され、膨大な国内実績を有するEPルートパイル工法(登録商標)の構成材料を示している。この施工例のルートパイル(1B)には、呼び径φ115mmが採用され、アンカーマシンによる2重管掘りを所定の深さまで実施したのちに、インナーロッドを回収してから、注入ホースを削孔(h)に挿入して、セメントグラウト(27)が空中を落下して分離しないように下側から逐次充填し、口元までセメントグラウト(27)が充填されたならば、ボルト材として充実断面で連続したねじを有するφ29mmのねじ節異形鋼棒(50)を所定の長さになるように接続カップラー(51)で接続し、ボルト材(50)が削孔(h)の中央に配置されるように複数のスペーサー(54)が配置され、また付着効果を発現するための鍔材(53)が略1.0mピッチで設置され、これら全部材を組み込んでから、アウターパイプの中に充填されたセメントグラウト(27)の中に建て込む手法が取られ、その後でアウターパイプ内のセメントグラウト(27)を加圧し、加圧浸透した削孔壁(32)を構築しながら逐次、アウターパイプを回収し、その後で頭部の定着プレート(56)を所定の高さで上下の両側から六角ナット(55)で固定してルートパイル(1B)の構築を終える手法を取っている(図4参照)。
従来のルートパイルでは図10に見るように、基礎コンクリート(2)の直下にある軟弱地盤(10)はN値=2の軟弱な土砂地盤であり、設計呼び強度が24(N/mm)の標準強度のセメントミルクを加圧して、加圧浸透した削孔壁(32)が構築され、中央部に1本のねじ節異形鋼棒(50)が配置されたのみの断面であるが、この事例の道路盛土の地震時水平荷重(H)は設計書から90(kN/m)、つまり900(kN/10m当たり)とされており、非常に大きい値で、図13のV−V矢視図断面では水平変位の抑止力が小さくて水平変位の解析も困難で、従来から棒鋼断面がせん断破壊するか否かの確認のみを実施し、変位量の照査はされていなかった。
しかしながら、上部構造物の重要度と要求性能に応じて、構造物の許容水平変位量は許容値内に抑制する必要があり、例えば、下記[発明の効果]の<1>に示したように、道路盛土の場合、道路土工擁壁工指針、平成24年7月版では、大規模地震でも小径杭の許容変位は15mm以内とすることが求められており、この検討ができていない課題があった。
前記N値とは、土質力学の分野で多用される土の強度を示す値であり、試験はシンプルでSPT試験(標準貫入試験:Standard Penetration Test)と称して当初米国で提案された試験で今では世界中で同じであり、63.5kgの重りを国際標準のサンプラー貫入ロッドの頭に75cm上から自然落下させ、各試験地層を30cm貫通するための打撃数(Number of Blow)であり、土質には土砂、粘性土、礫質土(岩石も含む)の3種類があり、それぞれにこのN値を使って長年研究された工学式でそれぞれの土質に応じた土の水平バネ乗数(K)を求めることができ、水平変位量を求める解析ソフトが用意されている。この事例では軟弱な地盤(10)は土砂で前記の通り、N=2で極めて軟弱であり、その下の比較的に強固な地盤(11)は礫質土でN=35である。
従来のルートパイル断面は図13のV-V矢視図に示すように極めて小さな断面剛性である他、曲げが生じると引張側のグラウトには直ぐにクラックが入るので、そのような破壊メカニズムのモデルを考慮して解析しても、当然ながら前記地震時水平力(H)=900(kN/10m当たり)を15mm以内の変位量に収めるには現行の3列配置を大幅に増やさざるを得ず、その目的を達成するには膨大な工費と工期の増加が必要となってしまうので照査されてこなかったと想定される。
また、従来のルートパイル(1B)で用いる設計呼び強度24(N/mm)のセメントグラウトの配合は常に現場で実施しており、通常は普通セメントで水セメント比はW/Cの重量比であり、0.45〜0.55とされ、減水剤などの添加剤を加えて施工できる流動性(コンシステンシー)を得るのが一般で、斜面のロックボルトやアンカーのセメントグラウトでも同様のものが一般に採用されている。
更に、従来のルートパイルでは、ねじ節異形鋼棒の略1m間隔毎に鍔材(53)を配置し、前記グラウトに化学膨張剤も添加剤として加え、鍔材(53)と鍔材(53)の間での膨張効果(前記EPルートパイル(登録商標)のEPとはExpansionの意味)による周面地山との付着の改善を主張しており、複数の添加剤を加えるので配合が面倒で配合比も限定されることから、従来の実施例を見ると、設計呼び強度は最大でも30(N/mm)までであり、それ以上の強度の採用事例については、本発明者は過去に見聞しておらず、ルートパイルの延長方向の配置ピッチは削孔径の7倍以下との制限があるため、本願例のような重量物を支持する場合は横断方向の列数が増える傾向があった。
特許文献1には、同文献図11に従来の圧縮型ルートパイルの構造図が開示され、同文献の請求項3で提案された同文献図7にはセンターロッドを回収せず、残置してルートパイル芯材とする高速施工型の圧縮型ルートパイルの構造図が開示されている。また特許文献2では、同文献図1及至図7に盛土構造物の床版に補強杭(圧縮型ルートパイル)が配置された施工例が開示されている。
特開2003−268767号公報 特開2015−183366号公報
特許文献1及び特許文献2の圧縮型ルートパイルは、いずれも杭体全長に亘って削孔の中央に1本の鋼製ボルトが配置され、その周囲にセメントグラウトを加圧充填した構造であり、例えば特許文献2の盛土構造物はかなりの重量物であり、相当な軸圧縮力が導入されると想定でき、この重量物の背面土圧や地震時慣性力は大きな水平力になると思われるが、パイル断面の曲げ剛性は極めて小さく、また圧縮型ルートパイルは表層が軟弱な地盤に多用されることから、パイル頭部の水平変位はかなり大きくなると思われるが、従来から許容変位量の照査は実施されていなかった。
ところで、軟弱地盤での支持力改善と滑り力抑止とを目的とする圧縮型ルートパイルの圧縮軸力は、パイル断面の鋼製ボルト芯材(鋼棒(50))の圧縮力と周囲セメントグラウト(27)の圧縮力を合計したものとなるが、汎用のセメントグラウト(27)の許容圧縮応力度は鋼製ボルト芯材(50)のそれよりもかなり小さいため、構造物の荷重が大きい場合は常に汎用セメントグラウト(27)の許容圧縮応力度で当該ルートパイルが支持できる圧縮力が決定され、打設本数が多くなり不経済である他、施工期間も長くなる場合があった。
本発明は、以上の点に鑑みて成されたもので、その目的は、圧縮型ルートパイル工法の新しい構成部材を提供することにより、構造物を支持する圧縮型ルートパイルの次の課題<1>〜<3>を達成することを目的とする。
<1> 地震時に発生するルートパイル頭部水平力による水平変位を抑制するとともに上部構造物から求められる要求性能としての許容水平変位量に対し、実際の変位が許容値内にあるかを照査できるようにする。
<2> ルートパイルの表層地盤が比較的良好で、この表層地盤も支持層に加えたい場合でも、新しい鋼製部材の提案により、本発明の機能を損なわないようにする。
<3> 上部構造物からの基礎荷重や滑り力が大きい場合には、パイル打設本数が過大にならないように、汎用のセメントグラウトに代えて超高強度で施工性の良いプレパック型セメントグラウトを採用して打設本数を低減し、打設本数が減少すると1本当りの負担荷重が大きくなることから、従来よりも耐久性のあるセメントグラウトで、無収縮で周辺地山との付着低減が生じず、超高流動性により周辺地山の隅々まで従来よりも緻密に充填されるセメントグラウトを開発・提供する。
上記課題を達成するために、本発明は、
軟弱地盤における盛土・擁壁構造物や既設構造物基礎の支持力改善や地滑り抑止をする、圧縮型網状鉄筋挿入工法であって、
施工延長方向に呼び径φ115mm、またはφ135mmの7倍以下の小ピッチで、また横断方向にも複列配置となるように、汎用アンカーマシンを使ってリングビット付きアウターパイプとセンタービット付きインナーロッドを用いた2重管削孔により、所要の斜角で下向き削孔を実施し、
その削孔が所定の深さに到達したらインナーロッドとセンタービットを回収したのちに、付着改善を目的とした複数のフックスペーサを配置した充実断面の鋼棒と注入ホースをアウターパイプ内に挿入し、
又は付着改善を目的とした複数のフックスペーサを配置した中空の鋼棒をアウターパイプ内に挿入し、
前記注入ホース又は中空の鋼棒の内孔を介してセメントグラウトを前記削孔内に下側から上方に向かって充填し、
つぎに、片端に落下防止蓋のついた直径φ76.3mm〜φ101.6mm、長さ2〜3mの汎用鋼管を、前記鋼棒の頂部に落下防止ナットを装着してから片端の落下防止蓋部に吊り下げるように前記削孔内に挿設し、さらに、リングビット付きアウターパイプを内側のセメントグラウトを加圧充填しながら回収する、口元補強管付き圧縮型網状鉄筋挿入工法の構成を採用したのである。
ここで、複数のフックスペーサを配置した充実断面ボルトと注入ホースをアウターパイプに挿入する手順は、注入ホースは単に充実断面ボルトの場合でも削孔内での自由落下打設によるグラウト材の分離が生じないように下側から逐次充填することが目的であることから、充実断面ボルトと注入ホースをアウターパイプに一緒に(充実断面ボルトに注入ホースを添わせて)挿入したり、充実断面ボルトを挿入し、続けて注入ホースを挿入したり、先に注入ホースのみをアウターパイプ内に挿入して、セメントミルクを削孔下側から充填しながら回収し、その後で充実断面ボルトを挿入したり、する手段も適宜に選択できる。
また、前記削孔の斜角は、従来と同様に、適宜に設定すれば良いが、例えば、±20°内のいずれかの斜角を適宜に選択する。
さらに、削孔の深さは、基礎反力と滑り抑止力から設計で得られるルートパイルの軸力(すなわち、パイル中央の鋼製ボルトの圧縮力と周囲に充填されたグラウトの圧縮力の和)を周辺地山に安全に伝達する必要があり、前記各定着地層の土の種類とN値から求まる周辺地山とセメントグラウトの極限周面摩擦力を膨大な実績を有する永久アンカーの極限周面摩擦力推奨表から特定し、それに安全率を加味した当該削孔径に応じた必要なパイル定着長さとする。
この構成において、上記センタービット付きインナーロッドに代えて、ロストビット付きで付着改善を目的とした複数のフックスペーサを配置した中空断面の鋼製ボルト(鋼棒)を採用することができる。この場合、その鋼棒を回収することなく、上記セメントグラウトを充填して、インナーロッドの回収工程と上記注入ホースを添わせてフックスペーサを配置した充実断面の鋼製ボルト(鋼棒)又は中空断面の鋼製ボルト(鋼棒)のアウターパイプ内への挿入工程を省略することにより、工期の短縮を図ることができる。このとき、両鋼棒はその表面に連続ねじを有するボルトとすることもできる。
上記口元補強管は、汎用の鋼管を採用できるが、内外面状が連続の凹凸を有するディンプル鋼管を用いれば、その内側の鋼棒の圧縮軸力や周面グラウトの圧縮軸力を各部材の付着力を介して確実に外側のセメントグラウトに伝達し、更にグラウト内のせん断応力の伝達で加圧浸透した削孔壁を介して周辺地山に伝達できるようになる。
セメントグラウトは、従来から採用されてきた設計呼び強度24(N/mm)又は30(N/mm)の現場配合型のセメントグラウト等の適宜なものを採用すればよいが、例えば、呼び強度80N/mmの超高強度で、所定の水を加えて攪拌するのみで使用できるプレパック型セメントグラウトを採用すれば、施工横断方向のルートパイルの列数を縮減できて、大幅なパイル本数の低減と施工期間の短縮、及び工費の縮減が可能となる。このプレパック型セメントグラウトは、支持する構造物の荷重が大きい場合において有効である。例えば、商品名:FIXパイルモル(S型)エスティーエンジニアリング株式会社、太平洋マテリアル株式会社製を採用できる。
本発明は以上説明したとおりであるから、次の効果<1>〜<5>のうちの少なくとも一つを得ることができる。
<1> 圧縮型ルートパイルの施工において、斜面滑り力と直行する施工延長方向に呼び径φ115mm、またはφ135mmの7倍以下の小ピッチで、また縦断方向にも複列配置となるように、汎用アンカーマシンを使ってリングビット付きアウターパイプとセンタービット付きインナーロッドを用いたロータリーパーカッション方式の2重管削孔により所要斜角(例えば±20°内)で下向き削孔を実施し、所定の深さに到達したらインナーロッドとセンタービットを回収したのちに、付着改善を目的とした複数のフックスペーサを配置した充実断面鋼棒に全長に注入ホースを添わせる等して、もしくは中空断面鋼棒はホースなしで、アウターパイプ内に挿入し、次に注入ホース、もしくは中空鋼棒の内孔を介してセメントグラウトを削孔内にセメントグラウトが分離しないように下側から逐次充填され、更に鋼棒頭部に落下防止ナットを装着してから片端に落下防止蓋のついた直径φ76.3mm〜φ101.6mm、長さ2〜3mの汎用鋼管を挿設し、次にリングビット付きアウターパイプを内側のセメントグラウトを加圧充填しながら回収する、口元補強管付き圧縮型ルートパイル群を構築することで、ルートパイル群の多数の口元補強管によるパイル頭部の曲げ剛性改善により、軟弱地盤でも周囲の土の側圧により、ルートパイル頭部の水平変位を抑制できるとともに、弾性解析もしくは弾塑性解析により水平変位量を計算して、上部構造から求められる許容水平変位量を照査できる。
なお、例えば公共構造物である道路盛土の場合、社団法人日本道路協会、道路土工擁壁工指針、平成24年7月版、5−3−3(1)杭基礎の安定性の照査、2)水平方向の安定性の照査では、小径杭の許容変位は15mm以内とすることが求められている。
<2> 圧縮型ルートパイルにおいて、前記2重管掘りの回収型センタービット付きインナーロッドに替えて、ロストビット付きの付着改善を目的とした複数のフックスペーサを配置した中空ボルトを採用して、インナーロッドの回収工程と鋼製ボルトの後挿入工程を省略した高速の口元補強管付き圧縮型ルートパイルを構築すれば、前記<1>と同様の口元補強管の効果を得ることができると共に、工期短縮も可能となる。
<3> また、設置するルートパイルの表層地盤が比較的に良好な想定地盤で、この表層地盤も支持層に加えたい場合には、汎用鋼管の口元補強管の面状は平滑であり、内側の鋼棒の軸圧縮力や周囲セメントグラウトの軸圧縮力を外側の周辺地山に確実に伝達できないため、汎用鋼管に替えて連続した凹凸面状のディンプル鋼管を口元補強管とすれば、その内側の鋼棒の圧縮軸力や周面グラウトの圧縮軸力を確実に外側のセメントグラウトの加圧浸透した削孔壁を介して周辺地山に伝達できるようになる。
加えて、比較的に良好な想定地盤のみでなく、ディンプル鋼管と汎用鋼管の曲げ剛性はほぼ同等であることから前記軟弱地盤でも周囲の土の側圧により、ルートパイル頭部の水平変位を抑制できるとともに、弾性解析もしくは弾塑性解析により水平変位量を計算して、上部構造から求められる許容水平変位量を照査できる前記目的を達成できる。
<4> 更に、前記いずれかの口元補強管付き圧縮型ルートパイルの構築において、上部構造物の基礎反力が大きい場合には、従来の設計呼び強度24又は30(N/mm)の現場配合型のセメントグラウトに代えて設計呼び強度80(N/mm)の超高強度で施工性の良いプレパック型セメントグラウト「例えば、前記FIXパイルモル(S型)」を採用することにより、施工延長方向には滑り土塊がすり抜けないように所定の小ピッチ(7d以下;d=削孔呼び径)で打設される圧縮型ルートパイルの構築において、施工横断方向のルートパイルの列数を縮減できて、大幅な本数の低減と施工期間の短縮、及び工費の縮減が可能となる。
<5> 加えて、前記FIXパイルモル(S型)は、ルートパイルの打設本数を減少できるうえに、その分、パイル1本当りの負担荷重は大きくなって部材重要度が高くなるが、追加改善機能として硬化後は従来のグラウトよりも小さな水セメント(W/C)比(:重量比)により耐久性とボルトの防食機能が改善され、また無収縮型のため、周辺地山との付着低減が生じず、更に超高流動性で削孔壁周辺地山の隅々まで従来よりも緻密に注入・充填される。
本発明の圧縮型網状鉄筋挿入工法の一実施形態による拡幅盛土の横断面図 同実施形態による拡幅盛土の一部区間を破断した縦断側面図 同実施形態による拡幅盛土の一部区間の基礎コンクリートを破断した縦断平面図 同実施形態の圧縮型ルートパイル構築工程の説明図 同実施形態の圧縮型ルートパイルの部材構成図 同他の実施形態の圧縮型ルートパイルの部材構成図 同実施形態の圧縮型ルートパイルに用いる別形態の口元補強管 同実施形態の圧縮型ルートパイルの頭部水平変位の解析モデル横断面図 同実施形態の圧縮型ルートパイルの頭部水平変位の解析モデル縦断面図 従来技術による拡幅盛土の横断面図 従来技術による拡幅盛土の一部区間を破断した縦断側面図 従来技術による拡幅盛土の一部区間の基礎コンクリートを破断した縦断平面図 従来の圧縮型ルートパイルの部材構成図
次に本発明の実施形態について、詳細に説明する。
図1は、前記の従来技術と全く同じ現場条件、荷重条件における本発明の横断図であり、本発明の圧縮型ルートパイル(1)を用いてN値=2の土砂からなる軟弱な地盤(10)の下の礫質土からなるN値=35の比較的に強固な地盤(11)まで貫通させて定着している既設道路部(7)の道路拡幅部(6)の盛土材(4)の基礎コンクリート(2)に頭部を定着させるように、鉛直方向に0°と20°の斜角で2列のルートパイル(1=1、1)が配置されており、0°と20°のパイルの間のハッチングした軟弱な地盤(10)は「地中疑似擁壁(N)」を形成している。
ここでは、超高強度のプレパック型セメントグラウト「FIXパイルモル(S型)」を採用した為、本発明に係る実施形態のルートパイル(1)の横断方向の列数は2列と、従来技術のルートパイル(1B)の3列よりも縮減されているが、おのおののルートパイル(1)の負担する荷重は打設本数の縮減により大きくなっており、必要とする周辺地山との付着力を確保する必要から打設長さは幾分長くなっている。
複列のルートパイル(1、1)によって「地中疑似擁壁(N)」を形成するには、それぞれの列の延長方向への打設ピッチは円弧滑り力(Pr)によって2列いずれの列でもパイルの間を軟弱な地盤(10)の土砂がすり抜けてしまわないように、図2、図3の縦断側面図と縦断平面図に示すように削孔呼び径の7倍以内の小ピッチ(S)で各列が千鳥配置になるように打設されており、圧縮型のルートパイル工法とは、このような密なパイル打設を行って土のすり抜けが生じない「地中疑似擁壁(N)」を構築する工法で、従来技術と同様に、パイルの間に拘束されている「地中疑似擁壁(N)」内のルートパイル材と拘束した土も活用して、円弧滑り力(Pr)の抑止に加えて、上部構造物から生じる基礎反力である鉛直力、水平力、および転倒モーメントを支持している。
図4は、本発明の請求項1の中で、外周に連続するねじを有する中空ボルトを採用した圧縮型ルートパイル(1)の構築方法を示しており、
(イ)において従来技術と同じ削孔呼び径φ115mmが採用され、アンカーマシンによるロータリーパーカッション方式の2重管掘りを所定の深さ、すなわち基礎反力と滑り抑止力から設計で得られるルートパイルの軸力(つまり、パイル中央の中空ボルトの圧縮力と周囲に充填されたグラウトの圧縮力の和)を周辺地山に安全に伝達する必要から、前記各定着地層の土の種類とN値から求まる周辺地山とセメントグラウトの極限周面摩擦力を膨大な実績を有する永久アンカーの極限周面摩擦力推奨表から特定し、それに安全率を加味した当該削孔径に応じた必要なパイル定着深さまでの削孔を実施したのちに、
(ロ)インナーロッド(20)とセンタービット(19)を、インナーロッド接続部(21)を解除しながら回収し、
(ハ)次に、中空ボルト(23)を所定の長さに接続カップラー(24)で接続し、中空ボルト(23)が削孔の中央に配置される目的と多段フック効果で周面地山への付着力改善の目的とを兼ねた鋼製フックスペーサ(22)を所定の位置にねじ嵌合にて複数配置し、口元側近傍の所定の位置に、本発明の口元補強管の落下防止ナット(25)をねじ嵌合して配置した芯材をアウターパイプ(16)の内側に挿入し、
(ニ)次に、ボルトのコンクリート基礎の地表面(18)側の中空ボルト(23)の端部にセメントグラウト(27)の注入口(26)を設置して注入し、セメントグラウト(27)を削孔の下側から逐次充填(27)してアウターパイプ(16)の口元からオーバーフロー(28)することを確認し、
(ホ)次に、ここでは外径φ76.3mm、厚さ4.2mm、長さ2.0mで片側に落下防止蓋(36)が付いた汎用鋼管の口元補強管(29)を、中空ボルト(23)を内包するように嵌装させ、口元補強管の落下防止ナット(25)にて吊り下げた状態にし、
(へ)次に、アンカーマシンを使ってアウターパイプ(16)の引抜(矢印33)を実施しながら、複数回、アウターパイプ(16)の口元部に加圧ホースを有するアウターパイプのグラウト加圧蓋(30)を装着して加圧し、セメントグラウト(27)が加圧浸透した削孔壁(32)を構築しながらすべてのアウターパイプ(16)とリングビット(15)を回収し、
(ト)最後に、後工程で構築される基礎コンクリート(2)から本発明の圧縮型ルートパイル(1)に圧縮力、水平力、及びモーメントの基礎反力を伝達するための支圧プレート(34)を設置し、再度その上から支圧プレート(34)と口元補強管(29)を固定する目的で固定ナット(35)をねじ嵌合で締め込んで、一本の圧縮型ルートパイル(1)の構築を完了する。
図5は、前記実施形態の外周に連続するねじを有する中空ボルト(23)を採用した圧縮型ルートパイル(1)の他の構成部材を詳細に示しており、既に図4を使って主な部材の構成は説明したので、新たな部材の詳細のみを説明する。
そのA−A矢視図はルートパイルの口元部の断面であり、セメントグラウト(27)を加圧浸透した削孔壁(32)の内側には、基礎コンクリート(2)に支圧プレート(34)と落下防止ナット(25)及び固定ナット(35)でしっかりと固定された状態の汎用鋼管の口元補強管(29)が配置され、その中央部には連続ねじを有する中空ボルト(23)が連通され、すべての隙間にはくまなくセメントグラウト(27)が充填されており、断面曲げ剛性は口元補強管(29)の配置により従来技術よりも格段に改善していて、基礎コンクリート(2)から伝達される大きな水平力はこの口元補強管(29)がせん断パイプの機能を呈して、周辺地山が軟弱でもルートパイル(1)は前記説明のように所定の密なピッチで相当な本数が打設されることから、無理なく周辺地山に分散されると共に、口元の断面剛性を改善したので変位量も大きく抑制される。
図5、C−C矢視図にはセメントグラウト(27)を加圧浸透した削孔壁(32)の中央部に連続ねじを有する中空ボルト(23)が配置され、そのねじに外装嵌合するように円周方向に複数方向(この実施形態では3方向)に伸びた剛性の大きなフックスペーサ(22)が削孔壁内面近くまで伸びており、中空ボルト(23)を断面中心に配置するスペーサの機能を呈し、強アルカリ性のセメントグラウト(27)で確実に防食するのに加え、剛性の高いアーム先端から中空ボルト(23)の軸力を、硬化したセメントグラウト(27)を介して加圧浸透した削孔壁(32)から周辺地山に伝達できて中空ボルト(23)の付着力の改善が期待できる。
また、図5、D−D矢視図には汎用鋼管の口元補強管(29)の片端に溶接などで取り付けられた落下防止蓋(36)の詳細が示されており、ボルト通過孔(37)は中空ボルト(23)と接続カップラー(24)は通過するが、口元補強管(29)の落下防止ナット(25)は通過できない直径になっており、セメントグラウト(27)が硬化するまでに地中に更に沁み込んで削孔内の硬化したセメントグラウト上面が沈下する事象や口元補強管(29)はコンクリート基礎底面の地表面(18)より幾分上側に突出するように配置されることから、口元補強管(29)内面に追加でセメントグラウト(27)を後注入できるように、追加注入用の横穴(38)が設けられている。
図6は、本発明の他の実施形態の説明図であり、中空ボルト(23)の先端にロストセンタービット(39)が配置されている以外は、前記図5の実施形態と同一であり、このロストセンタービット(39)とフックスペーサ(22)及び接続カップラー(24)を図4で説明した汎用のセンタービット(19)、汎用のインナーロッド(20)、及び汎用のインナーロッド接続部(21)に置き換えて施工を実施すれば、図4の(イ)及至(ト)の7つの工程から(ロ)インナーロッドの回収工程と、(ハ)中空ボルト(23)の挿入工程の2工程を省略出来て、高速施工の口元補強管付き圧縮型ルートパイル(1)を構築できる。
図7は、本発明のさらに他の実施形態を示し、この実施形態の口元補強管(29’)はディンプル鋼管とし、鋼管の面状が連続する凹凸状を有しており、本実施例では外径φ76.3mm、厚さ4.2mm、長さ2.0mとサイズは前記各実施形態の汎用鋼管の口元補強管(29)と同じで曲げ剛性はほぼ同じである。
図1の施工事例では土砂層でN値(標準貫入試験値)=2の軟弱な地盤(10)の下に砂礫層でN値=35の比較的強固な地盤(11)が存在しており、このような場合のルートパイル軸力の定着は基本的に比較的強固な地盤部(11)となるが、別の現場の地質事例として、表層側の軟弱な地盤(10)が比較的強固な地盤(11)と同等な強度(例えば礫質土でN値=35)など、各種の地層の組合わせが現実にはある。
このように、設置するルートパイル(1)の表層地盤が比較的に良好で、この表層地盤も支持層に加えたい場合には、汎用鋼管の口元補強管(29)の面状は平滑であり、内側のボルトの圧縮力やセメントグラウトの圧縮力を口元補強管の付着力を介して外側のセメントグラウト(27)から加圧浸透した削孔壁(32)、更には周辺地山へと伝達できないため、汎用鋼管の口元補強管(29)の長さ分は従来よりも長いルートパイル(1)としなければならなくなり、経済性や施工速度が悪くなる。
この実施形態はこの欠点を解決するために提案されたものであり、口元補強管(29)の設置部分も含めてルートパイル(1)の全長に亘って中空ボルト(23)と口元補強管(29’)内面、更に口元補強管外面とその周りのセメントグラウト(27)が加圧浸透した削孔壁(32)を通して周辺地山に確実にボルトとセメントグラウト(27)の圧縮軸力が伝わるように、すなわち図6で説明すると、E−E矢視図部でもF−F矢視図部と同じようにルートパイル(1)の軸力が周辺地山に伝達できるように改善する目的で提案したものである。
図7のディンプル鋼管の口元補強管(29’)は、前記の如く汎用鋼管の口元補強管(29)と全く同様に施工ができるので施工時の扱い方は省略するが、同図で示す鋼管(29’)の面状を各部詳細図で説明する。
前記の如く外径φ76.3mmで内面突起の内径はφ63.9mmのディンプル鋼管(29’)の面状は図7のL部詳細図において延長方向の窪み開始部幅(O)が35mm、窪み底幅(P)が18mm、窪み深さ(R)が2mmであり、直角方向の窪み開始幅(図示なし)は20mmであり、表面が2mm窪んでいる分、鋼管内面も内側に同量の連続突起が配置されており、高炉メーカーの研究報告から付着力の改善は汎用鋼管の12倍以上であることが報告されており、また内包する中空ボルト(23)が外径φ32mmで内径15mmであることからしてディンプル鋼管の内外径もかなり大きいため、ボルト圧縮軸力はボルト(23)の付着力により、またセメントグラウト(27)の圧縮軸力はせん断応力の伝播により、確実にディンプル鋼管(29’)の内面に伝わり、更にその外周面の凹凸面状を介して周囲のセメントグラウト(27)のせん断応力の伝播により、加圧浸透した削孔壁(32)から周辺地山に確実な伝達が出来るため、ディンプル鋼管(29’)を配置したルートパイル(1)の区間も含め、全長に亘って高い付着力を期待できるようになることから、表層部の地盤でも支持したい場合はこの手段を提案する。
図8は、本発明による圧縮型ルートパイル(1)の水平変位量(δf)を計算する目的で、汎用の杭基礎解析ソフトに土砂でN値=2の軟弱な地盤(10)と、地層境界線(9)より下に礫質土でN値=35の比較的強固な地盤(11)、及び基礎コンクリート(2)に水平力(H)がかかり、本発明のルートパイル(1)が鉛直方向に0°と20°斜角の2列配置され、削孔径φ115mmの口元に外径φ76.3mm、厚さ4.2mm、長さ2.0mの口元補強管(29、もしくは29’)が配置され、更にその下側には外形φ32mmで内径φ15mmの中空ボルト(23)が配置された入力を行い、道路橋示方書にある土の種類とそのN値から土の水平バネ乗数(K)を算出して水平変位量(δf)を計算している状態を示す。
図9、下記表1に示すように、計算に用いる水平力(H)は延長方向に10m分の水平力として上部盛土構造物の設計書から得た90(kN/m)×10m=900(kN/10m)を入力して、下記表1に示す水平力による基礎底面の水平変位量の計算結果を得た。
Figure 0006949390
また、表1で、延長10m当りのモデルに入力した水平力(H)=900(kN/m)であり、鉛直力(V)とモーメント(M)は、既に別途に照査してあるため0.00値として水平変位のみ照査するようにしたところ、結果として本実施形態の道路盛土の場合、道路土工擁壁工指針、平成24年7月版で求められる小径杭の許容水平変位量(δa)=15mm以内に対して、実際の水平変位量(δf)=13.95mmを得ることができ、許容値以内であることが判明した。
構造物の基礎反力や滑り力(Pr)が大きい場合に限って経済効果と圧縮型ルートパイル(1)の品質改善を獲得できる手段として、超高強度で低水セメント比のために耐久性の良いセメントグラウト(27)を得ることができ、超低粘性/超高流動性で加圧浸透した削孔壁(32)にしっかりと浸透するとともに不分離で余剰水が発生せずに無収縮性であることから、確実な周辺地山との付着力が確保でき、工場でプレパックして現場では水を所定量混ぜて攪拌するだけで品質を確保できる、普通ポルトランドセメントに主要成分としてメラミン系高性能減水剤、セルロース系増粘剤、無機系分離抑制剤、及び特殊混和剤を所定量で配合した前記「FIXパイルモル(S型)」を開発して提供した。
下記表2にこの発明で提供する超高強度プレパックグラウトであるFIXパイルモル(S型)の規格値と試験成績(性能一覧)を示すが、「水材料比」とは水とセメントの添加重量比であり、本発明のセメントグラウト(27)は水の添加量が36%(W/C=0.36)と極めて低くても高い流動性が得られ、従来の設計呼び強度24N/mmや30N/mmのグラウト配合で提案されているW/C=0.45〜0.55に比べて格段に密実なセメントグラウトを得ることができ、耐久性に優れた強アルカリ性のグラウトでボルトの防食を格段に改善できる。参考として、社団法人 日本アンカー協会発行、グラウンドアンカー施工のための手引書、平成15年4月版では、P151の表−7.14でセメントグラウトの配合例として、W/C=45%〜55%と記載している。
Figure 0006949390
表2で「コンシステンシー」とはJSCE(日本土木学会)で定めた漏斗の流下時間を示しており、いくつかの種類の中からJSCE―F−5311999に規定されたJP漏斗の試験流下時間で、4.5秒で落ちる超低粘性の範疇に位置する前記高流動型セメントグラウトであり、加圧により削孔壁(32)には緻密に浸透し、従来技術の付着以上に確実にルートパイル軸力を周辺地山に伝達することができる。
因みに、公益社団法人プレストレストコンクリート工学会発行の「PCグラウトの設計施工指針、平成24年12月版」の解説表3.3.3JP漏斗試験によるPCグラウトの流動性区分として、高粘性型グラウトは14秒以上、低粘性型グラウトは6〜14秒、超低粘性型グラウトは3.5〜6秒と記載されており、実施形態で使用したFIXパイルモル(S型)は超低粘性型グラウトに相当する。
表2で「ブリーディング率」はゼロであり、余剰水が発生しないために体積収縮がなく、また「膨張率」は24時間経過して硬化した後で−0.4%の試験結果であるが公差は±0.5%であり、この範囲内なら無収縮グラウトに該当し、体積の収縮によって加圧浸透した削孔壁(32)とグラウトの極限周面摩擦の低下は生じない。
一方、(株)高速道路総合技術研究所発行の「土工施工管理要領、平成23年7月版」では、P.125、表3−5−1品質管理の種類(1)で切土補強土のグラウトの配合試験では、日本土木学会のJSCE F522の試験法に準拠したブリーディング率は3%以下と規定しており、従来のグラウトはブリーディング(硬化後の余剰水)の発生を許容している分、従来の技術で用いるセメントグラウトの体積収縮はたとえ化学膨張剤を添加して収縮を改善してもブリーディング収縮量の方が大きかったと思われ、一方、本発明で提供した前記セメントグラウト(FIXパイルモル(S型))はブリーディング率がゼロであることから、極限周面摩擦力の低下は改善されたとも言える。
表2で「圧縮強度」で材令28日目の圧縮強度は100.4(N/mm)と80(N/mm)を超えており、実施形態で示した拡幅道路(6)の盛土材(4)の基礎コンクリート(2)支持にFIXパイルモル(S型)を採用したことで、従来のルートパイルの横断列数を3列から2列に縮減できて、打設本数を2/3倍に縮減出来、グラウト材はプレパック型で通常グラウトよりも高価であるものの、施工日数も縮減できて全体的な工事費は低減できた。
また、従来のルートパイルとして膨大な実績を有する、前記EPルートパイル工法(登録商標)における別の国道の新設盛土工事の事例では、パイル斜角0°、5°、10°、13°、16°、20°の6列配置だったルートパイル補強に対して、この発明においてはパイルの斜角:0°、7°、15°、20°の4列にして、同様な作用効果を得て、2列を縮減することができた。
なお、前記各実施形態は、中空の鋼棒(23)の内孔を介して削孔(h)にセメントミルク(27)を充填したが、削孔に注入ホース(図示せず)を挿入し、その注入ホースを介してセメントミルク(27)を削孔に充填することもできる。このとき、中空の鋼棒(23)は充実断面の鋼棒(ボルト)とし、注入ホースは単に充実断面ボルトの場合でも削孔下側への落下打設によるグラウト材の分離が生じないように下側から逐次充填することが目的であることから、その鋼棒と注入ホースをアウターパイプ(16)内に一緒に(鋼棒に沿わせて)挿入したり、充実断面鋼棒を挿入し、続けて注入ホースを挿入したり、先に注入ホースのみをアウターパイプ(16)内に挿入してセメントミルク(27)を充填し、その後に鋼棒を挿入したり、することができる。注入ホースはセメントミルク(27)を削孔(h)下側から充填しながら上方にあげて回収する。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1、1、1 本発明に係る実施形態のルートパイル
2 基礎コンクリート
3 擁壁の壁面
4 盛土材
5 路面
6 道路拡幅部
7 既設道路部
8 円弧滑り面
9 地層境界線
10 軟弱な地盤
11 強固な地盤
12 盛土背面の掘削線
13 巨礫や玉石
14 調整コンクリート
15 リングビット
16 アウターパイプ
17 アウターパイプ接続部
18 コンクリート基礎底面の地表面
19 センタービット
20 インナーロッド
21 インナーロッド接続部
22 フックスペーサ
23 鋼棒(中空ボルト)
24 接続カップラー
25 口元補強管の落下防止ナット
26 セメントグラウトの注入口
27 セメントグラウト
28 オーバーフロー
29 汎用鋼管の口元補強管
29’ ディンプル鋼管の口元補強管
30 アウターパイプのグラウト加圧蓋
31 加圧ホース
32 加圧浸透した削孔壁
33 アウターパイプ引抜方向
34 支圧プレート
35 固定ナット
36 落下防止蓋
37 ボルト通過孔
38 追加注入用の横穴
39 ロスト型センタービット
水平力
水平方向の地盤バネ乗数
δf 計算水平変位量
δa 許容水平変位量
50 ねじ節異形棒鋼
51 接続カップラー
52 ロックナット
53 鍔材
54 スペーサ
55 六角ナット
56 定着プレート
Pr 円弧滑り力
S ルートパイルの円弧滑り力に直角な縦断方向の削孔径の7倍以下の打設ピッチ
N 地中疑似擁壁
1B、1B、1B、1B 従来のルートパイル

Claims (4)

  1. 軟弱地盤における盛土・擁壁構造物や既設構造物基礎の支持力改善や地滑り抑止をする、圧縮型網状鉄筋挿入工法であって、
    施工延長方向に呼び径φ115mm、又はφ135mmの7倍以下の小ピッチで、また横断方向にも複数列配置となるように、汎用アンカーマシンを使ってリングビット(15)付きアウターパイプ(16)とセンタービット(19)付きインナーロッド(20)を用いた2重管削孔により、所定の斜角で下向き削孔を実施し、その削孔(h)が所定の深さに到達したらインナーロッド(20)とセンタービット(19)を回収した後に、
    付着改善を目的とした複数のフックスペーサ(22)を配置した充実断面の鋼棒(23)と注入ホースをアウターパイプ(16)内に挿入し、
    又は付着改善を目的とした複数のフックスペーサ(22)を配置した中空の鋼棒(23)をアウターパイプ(16)内に挿入し、
    前記注入ホース又は中空の鋼棒(23)の内孔を介してセメントグラウト(27)を前記削孔内にその下側から上方に向かって充填し、
    つぎに、片端に落下防止蓋(36)のついた直径φ76.3mm〜φ101.6mm、長さ2〜3mの汎用鋼管(29)を、前記削孔上部の前記鋼棒(23)の頂部に落下防止ナット(25)を装着してから前記削孔(h)に挿設し、
    さらに、リングビット(15)付きアウターパイプ(16)を内側のセメントグラウト(27)を加圧充填しながら回収する、口元補強管(29)付き圧縮型網状鉄筋挿入工法。
  2. 上記センタービット(19)付きインナーロッド(20)に代えて、ロストビット(39)付きで付着改善を目的とした複数のフックスペーサ(22)を配置した中空断面の鋼棒(23)を採用し、その鋼棒(23)を回収することなく、上記セメントグラウト(27)を充填して、インナーロッド(20)の回収工程と上記注入ホースの挿入工程と前記フックスペーサ(22)を配置した充実断面の鋼棒又は中空断面の鋼棒のアウターパイプ内への挿入工程を省略した請求項1に記載の口元補強管付き圧縮型網状鉄筋挿入工法。
  3. 上記口元補強管に、面状が凹凸で内外面のセメントグラウトとの付着改善を目的としたディンプル鋼管(29’)を用いた請求項1又は2に記載の口元補強管付き圧縮型網状鉄筋挿入工法。
  4. セメントグラウトに設計呼び強度80N/mmの超高強度で、所定の水を加えて攪拌するのみで使用できるプレパック型セメントグラウト(27)を採用した請求項1〜3のいずれか一つに記載の口元補強管付き圧縮型網状鉄筋挿入工法。
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