JP6320899B2 - 構造物の振動抑制装置 - Google Patents

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本発明は、複数の層を有する構造物の振動を抑制する構造物の振動抑制装置に関する。
従来、この種の構造物の振動抑制装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この振動抑制装置は、高層の建物に適用されたものであり、建物の3階及び4階の各々に設けられた付加振動系と、建物の1階及び2階の各々に設けられた振動遮断機構を備えている。付加振動系は、マスダンパと付加ばねを互いに直列に連結したものであり、このマスダンパの質量及び付加ばねの剛性は、付加振動系の固有振動数が建物の1次固有振動数に同調するように、設定されている。また、上記の振動遮断機構は、マスダンパで構成されており、このマスダンパの質量は、建物の所定の振動モードの振動を遮断することで上側の層に伝達させないように、設定されている。
特許第5316849号
上述したように、従来の振動抑制装置では、付加振動系とは異なる層に振動遮断機構が設けられるとともに、振動遮断機構により建物の所定の振動モードの振動が遮断されるにすぎないので、付加振動系のマスダンパに伝達される建物の1次モードの振動による変位を増大させることができない。その結果、建物の1次モードの振動エネルギを付加振動系で十分に吸収できず、ひいては、建物の振動を適切に抑制することができなくなってしまう。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、第2マスダンパに伝達される構造物の1次モードの振動による層間変位を増大させることによって、構造物の1次モードの振動を付加振動系で十分に吸収でき、ひいては、構造物の振動を適切に抑制することができる構造物の振動抑制装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、複数の層を有する構造物の振動を抑制する構造物の振動抑制装置であって、構造物の2次以上の所定の振動モードの振動を抑制するための第1慣性質量要素を有し、複数の層に設けられ、構造物の振動に伴って第1慣性質量要素が運動する第1マスダンパと、弾性を有し、複数の層のうちの最上位の層及び最下位の層の一方に連結された伝達部材と、構造物の振動を抑制するための第2慣性質量要素及び粘性減衰要素を有し、最上位の層及び最下位の層の他方と伝達部材とに連結され、伝達部材とともに付加振動系を構成するとともに、構造物の振動に伴って第2慣性質量要素が運動する第2マスダンパと、を備え、伝達部材の剛性、第2慣性質量要素の質量及び粘性減衰要素の減衰係数は、付加振動系の固有振動数が構造物の1次固有振動数に同調するように、設定されていることを特徴とする。
この構成によれば、構造物の複数の層に設けられた第1マスダンパが、構造物の2次以上の所定の振動モードの振動を抑制するための第1慣性質量要素を有しており、構造物の振動に伴って第1慣性質量要素が運動する。これにより、構造物の振動時、第1慣性質量要素による慣性質量効果が得られることによって、構造物の所定の振動モードの振動を抑制することができる。
また、第2マスダンパが、構造物の振動を抑制するための第2慣性質量要素及び粘性減衰要素を有しており、複数の層のうちの最上位の層及び最下位の層(以下、それぞれ「最上位層」及び「最下位層」という)の一方に伝達部材を介して連結されるとともに、最上位層及び最下位層の他方に連結されている。また、伝達部材及び第2マスダンパによって付加振動系が構成されており、構造物の振動に伴って第2慣性質量要素が運動する。さらに、伝達部材の剛性、第2慣性質量要素の質量及び粘性減衰要素の減衰係数は、付加振動系の固有振動数が構造物の1次固有振動数に同調するように設定されている。以上の構成により、構造物の振動時、第2慣性質量要素による慣性質量効果及び粘性減衰要素による粘性減衰効果が得られ、構造物の1次モードの振動が付加振動系で吸収される。
この場合、第2マスダンパが最上位層と最下位層に連結されているので、第2マスダンパを1つの層に連結した場合と比較して、第2マスダンパに伝達される構造物の1次モードの振動による層間変位(以下「マスダンパ伝達層間変位」という)を増大させることができる。また、詳細は後述するが、前述した第1マスダンパを複数の層に設けることによって、1次モードの振動による最上位層と最下位層との間の層間変位を増大させ、マスダンパ伝達層間変位をさらに増大させることができる。以上により、第2慣性質量要素によるより大きな慣性質量効果が得られるので、構造物の1次モードの振動を付加振動系で十分に吸収することができる。以上のように、本発明によれば、第1マスダンパ及び付加振動系による制振効果が相乗的に得られるので、構造物の振動を適切に抑制することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構造物の振動抑制装置において、第1マスダンパは、複数のマスダンパで構成され、複数の層の各々に設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、第1マスダンパが複数の層の各々に設けられているので、構造物の振動をより適切に抑制することができる。
本実施形態による振動抑制装置を、これを適用した建物とともに示すモデル図である。 第1マスダンパや建物の下部を概略的に示す図である。 第2マスダンパや建物の下部を概略的に示す図である。 第1マスダンパを示す断面図である。 第2マスダンパの一部を示す断面図である。 建物の諸元データを示す表である。 第1マスダンパのみが設けられた(付加振動系は設けられていない)建物の1次モードの固有ベクトルを示す表である。 本実施形態による振動抑制装置(第1マスダンパと付加振動系)が設けられた建物の振動数と応答倍率との関係の一例を示す図である。 比較例による振動抑制装置(第1マスダンパのみ)が設けられた建物の振動数と応答倍率との関係の一例を示す図である。 本実施形態による振動抑制装置(第1マスダンパと付加振動系)が設けられていない建物のみの1次モードの固有ベクトルを示す表である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態による振動抑制装置1を、これを適用した建物Bとともに示している。建物Bは、基礎Fに立設された高層のビルであり、図3に示すように、互いに平行に鉛直に延びる左右の柱PL、PRと、互いに平行に左右方向に水平に延びる複数の梁BU、BM1、BM2、BD(図3には4つのみ図示)とを互いに接合した井桁状のラーメン構造を有している。以下、図3に示す4つの梁BU、BM1、BM2及びBDをそれぞれ、「上側梁BU」「第1中間梁BM1」「第2中間梁BM2」及び「下側梁BD」という。
左右の柱PL、PR、上側及び下側の梁BU、BDはいずれも、H形鋼で構成されている。なお、左右の柱PL、PR、上側及び下側の梁BU、BDは、角形鋼管などで構成されていてもよい。また、第1及び第2中間梁BM1、BM2は、本出願人による特許第5314201号に開示されたものと同様、前後方向に互いに対向する一対の梁材などで構成されているので、その詳細な説明については省略する。
図1〜図3に示すように、振動抑制装置1は、建物Bの下部を構成する複数の層(以下「制振制御層」という)の各々に設けられた第1マスダンパ2と、制振制御層に設けられた付加振動系3を備えている。図1〜図3は、この制振制御層として、3層、4層及び5層を用いた場合の例を示しており、左右の柱PL、PR、上側梁BU及び第1中間梁BM1によって5層の空間が画成されており、左右の柱PL、PR、第1中間梁BM1及び第2中間梁BM2によって4層の空間が、左右の柱PL、PR、第2中間梁BM2及び下側梁BDによって3層の空間が画成されている。なお、制振制御層を構成する層の数は、複数であれば、3つに限らず任意であって、他の適当な数を採用可能であり、建物のすべての層を制振制御層として用いてもよい。また、本実施形態では、制振制御層として、建物Bの下部の複数の層を用いているが、建物の上部の複数の層を用いてもよく、あるいは、建物の中央部の複数の層を用いてもよい。
また、各第1マスダンパ2は、本出願人による特許第5314201号の図3などに記載されたマスダンパと同様に構成されているので、以下、その構成及び動作について簡単に説明する。図4に示すように、第1マスダンパ2は、内筒12、ボールねじ13、回転マス14、及び制限機構15を有している。内筒12は、円筒状の鋼材で構成されている。内筒12の一端部は開口しており、他端部は、自在継ぎ手を介して第1フランジ16に取り付けられている。
また、ボールねじ13は、ねじ軸13aと、ねじ軸13aに多数のボール13bを介して回転可能に螺合するナット13cを有している。ねじ軸13aの一端部は、上述した内筒12の開口に収容されており、ねじ軸13aの他端部は、自在継ぎ手を介して第2フランジ17に取り付けられている。また、ナット13cは、軸受け18を介して、内筒12に回転可能に支持されている。
回転マス14は、比重の大きな材料、例えば鉄で構成され、円筒状に形成されている。また、回転マス14は、内筒12及びボールねじ13を覆っており、軸受け19を介して、内筒12に回転可能に支持されている。なお、特許第5314201号の図3などに記載されたマスダンパと異なり、回転マス14と内筒12の間には、粘性体が設けられていない。
以上のように構成された第1マスダンパ2では、内筒12及びねじ軸13aの間に相対変位が発生すると、この相対変位がボールねじ13で回転運動に変換された状態で、制限機構15を介して回転マス14に伝達されることにより、回転マス14が回転する。
制限機構15は、リング状の回転滑り材15aと、複数のねじ15b及びばね15c(それぞれ2つのみ図示)で構成されている。第1マスダンパ2の軸線方向に作用する荷重(以下「軸荷重」という)が、ねじ15bの締付度合に応じて定まる制限荷重に達するまでは、回転マス14は、ナット13cと一体に回転する。一方、第1マスダンパ2の軸荷重が制限荷重に達すると、回転滑り材15aとナット13c又は回転マス14との間に滑りが発生する。
また、図2は、制振制御層のうちの5層に設けられた第1マスダンパ2を示しており、同図に示すように、この第1マスダンパ2の第1フランジ16は、連結鋼管20を介して、上梁BUと右柱PRとの接合部に固定された第1連結部材EN1に取り付けられており、第2フランジ17は、第1中間梁BM1と左柱PLとの接合部に固定された第2連結部材EN2に取り付けられている。これにより、第1マスダンパ2は、上側梁BU及び第1中間梁BM1に、ブレース状に斜めに連結されている。
なお、図示しないものの、制振制御層のうちの4層に設けられた第1マスダンパ2は、第1中間梁BM1及び第2中間梁BM2(図3参照)に、3層に設けられた第1マスダンパ2は、第2中間梁BM2及び下側梁BDに、上述した5層に設けられた第1マスダンパ2と同様にして、ブレース状に斜めにそれぞれ連結されている。
次に、各層の第1マスダンパ2の回転マス14の付加質量md(回転マス14の回転慣性効果により増幅された見かけの質量)の設定方法について、詳細に説明する。まず、各層の第1マスダンパ2で制御する建物Bの振動モード(以下「対象振動モード」という)を設定する。この場合、対象振動モードは、2次以上の所定の振動モードに設定される。具体的には、次数が大きい振動モードほど、その影響度合いが小さいため、2次や3次などの比較的小さい次数の所定の振動モードに設定される。
次いで、建物Bの固有値解析を行うことによって、設定された対象振動モードにおける建物Bの固有円振動数ω(j)を算出する(手順1)。ここで、添え字jは対象振動モードの次数を表し、2以上の整数である。
次に、算出された固有円振動数ω(j)と、対応する層の剛性k(n)を用い、次式(1)によって、回転マス14の付加質量md(n)を算出する(手順2)。ここで、添え字nは層数(階数)を表し、本実施形態では3〜5のいずれかである。
md(n)=k(n)/ω(j)2 ……(1)
設定された複数の対象振動モードの次数が互いに異なるときには、上記の手順2を制振制御層の各々に対して行えばよい。例えば、制振制御層のうちの3層、4層及び5層の対象振動モードを、2次モード、3次モード及び4次モードにそれぞれ設定した場合には、3層の回転マス14の付加質量md(3)は、md(3)=k(3)/ω(2)2となり、4層の回転マス14の付加質量md(4)は、md(4)=k(4)/ω(3)2となる。また、5層の回転マス14の付加質量md(5)は、md(5)=k(5)/ω(4)2となる。
一方、設定された複数の対象振動モードの少なくとも2つの次数が互いに同じであるとき(以下、次数が互いに同じである複数の対象振動モードを「同次数対象振動モード」という)には、まず、次数が互いに異なる複数の対象振動モードに対応する回転マス14の付加質量md(n)を、同次数対象振動モードに対応する複数の回転マス14のうちの任意の1つの付加質量md(n)を含めて、手順2によって算出する。
次いで、算出された複数の付加質量md(n)の第1マスダンパ2が設けられた建物Bの固有値解析を再度、行うことによって、同次数対象振動モードにおける固有円振動数ω(j)を算出する(手順3)。次に、新たに算出された固有円振動数ω(j)を用い、上記の手順2によって、同次数対象振動モードに対応する複数の回転マス14のうちの他の1つの付加質量md(n)を算出する(手順4)。以上の手順3及び4を、同次数対象振動モードに対応する複数の回転マス14の付加質量md(n)がすべて算出されるまで、繰り返す。
以上のように、複数の対象振動モードの少なくとも2つの次数が互いに同じであるときには、第1マスダンパ2による建物Bの固有円振動数ω(j)への影響を考慮して、付加質量md(n)の算出が行われる。
なお、複数の対象振動モードの次数が互いに異なるときにも、手順3及び4と同様に、第1マスダンパ2による建物Bの固有円振動数ω(j)への影響を考慮して、第1マスダンパ2の付加質量md(n)を算出してもよい。
以上の構成により、振動抑制装置1では、建物Bの振動時、振動に伴う各層の層間変位が第1マスダンパ2に伝達されることで、回転マス14が回転し、それにより、回転マス14の慣性質量効果が得られることによって、建物Bの2次以上の所定の対象振動モードの振動が抑制される。
前記付加振動系3は、基本的には、本出願人による特許第5314201号に開示された付加振動系と同様に構成されているので、以下、その構成及び動作について簡単に説明する。図3に示すように、付加振動系3は、左右の伝達部材31L、31R及び第2マスダンパ32L、32Rを有している。左伝達部材31Lは、H形鋼から成る柱材で構成され、その上端部が、左柱PLと上側梁BUとの接合部に、第1連結部材en1を介して連結されている。また、左伝達部材31Lは、第1連結部材en1から下側梁BDに向かって斜めに延びており、第1及び第2中間梁BM1、BM2を上下方向に貫通している。
右伝達部材31Rは、左伝達部材31Lと同様にH形鋼から成る柱材で構成され、その上端部が、右柱PRと上側梁BUとの接合部に、第2連結部材en2を介して連結されている。また、右伝達部材31Rは、第2連結部材en2から下側梁BDに向かって斜めに延びており、第1及び第2中間梁BM1、BM2を上下方向に貫通している。また、左右の伝達部材31L、31Rは、その下端部が第1連結部材33を介して互いに連結されており、第1連結部材33から延びる鉛直線を中心として、互いに左右対称にV字状に配置されている。
また、上記の第1連結部材33の下面には、第2連結部材34が取り付けられており、第2連結部材34と下側梁BDの間には、案内機構が設けられている。案内機構の構成については、本出願人による特許第5314201号に記載されているので、その詳細な説明を省略する。
左右の第2マスダンパ32L、32Rの各々は、前述した第1マスダンパ2と基本的に同様に構成され、内筒32a、ボールねじ32b、回転マス32c、制限機構(図示せず)、第1及び第2フランジ32d、32eを有しており、第1マスダンパ2と比較して、図5に示す一対のシール32f、32fと粘性体32gをさらに有する点のみが異なっている。図5に示すように、シール32f、32fは、リング状に形成されており、内筒32aと回転マス32cの間に設けられている。粘性体32gは、シリコンオイルで構成されており、これらの内筒32a、回転マス32c及びシール32f、32fで画成された空間に充填されている。各第2マスダンパ32L(32R)では、内筒32a及びボールねじ32bのねじ軸の間に相対変位が発生すると、この相対変位がボールねじ32bで回転運動に変換された状態で、制限機構を介して回転マス32cに伝達されることによって、回転マス32cが回転する。
左側の第2マスダンパ32Lの第1フランジ32dは、下側梁BDの左端部に一体に設けられた取付具35に取り付けられており、それにより、第2マスダンパ32Lは、下側梁BDに連結されている。また、第2マスダンパ32Lの第2フランジ32eは、第2連結部材34の左側面に取り付けられており、これにより、第2マスダンパ32Lは、左右の伝達部材31L、31Rに連結されている。第2マスダンパ32Lは、第1及び第2フランジ32d、32eの自在継ぎ手により、前後方向に延びる軸線を中心とした第2連結部材34及び取付具35に対する回動のみが許容されている。
右側の第2マスダンパ32Rの第1フランジ32dは、下側梁BDの右端部に一体に設けられた取付具36に取り付けられており、それにより、第2マスダンパ32Rは、下側梁BDに連結されている。また、第2マスダンパ32Rの第2フランジ32eは、第2連結部材34の右側面に取り付けられており、これにより、第2マスダンパ32Rは、左右の伝達部材31L、31Rに連結されている。以上により、左右の第2マスダンパ32L、32Rは、第2連結部材34を中心として、互いに左右対称に設けられている。第2マスダンパ32Rは、第1及び第2フランジ32d、32eの自在継ぎ手により、前後方向に延びる軸線を中心とした第2連結部材34及び取付具36に対する回動のみが許容されている。
以上のように、第2マスダンパ32L、32Rは、伝達部材31L、31Rを介して上側梁BU、すなわち制振制御層のうちの最上位の層(以下「最上位層」という)に連結されるとともに、下側梁BD、すなわち制振制御層のうちの最下位の層(以下「最下位層」という)に連結されている。なお、実施形態では、左右一対の第2マスダンパ32L、32Rを用いているが、両者32L、32Rの一方を省略してもよい。
次に、付加振動系3の諸元、すなわち、左右の伝達部材31L、31Rの剛性(以下「伝達部材剛性」という)kbtや、第2マスダンパ32L、32Rの回転マス32cの付加質量mdt、粘性体32gの減衰係数cdtの設定方法について、詳細に説明する。付加振動系3の諸元は、その固有振動数を、第1マスダンパ2が制振制御層の各々に設けられた建物Bの1次固有振動数に同調させ、最適減衰により応答倍率曲線のピークを最小化するように、設定される。ここでの最適な同調条件については、定点理論に基づいて算出されるものをいう。
まず、第1マスダンパ2が制振制御層の各々に設けられた建物Bの固有値解析を行うことによって、1次固有円振動数ω(1)及び1次モードの固有ベクトル1u(n)を算出する。1次モードの固有ベクトル1u(n)は、建物Bのすべての層について算出する。次いで、算出された1次モードの固有ベクトル1u(n)を用い、次式(2)によって、建物Bの1次モードの広義節点質量(建物Bの1次モードを1質点系解析モデルで表したとしたときの等価な質量。以下「建物の1次モード広義節点質量」という)10を算出する。
Figure 0006320899
ここで、m(n)は、建物Bの各層の質量であり、Lは建物Bの層の総数(質点数)である。
次に、第2マスダンパ32L、32Rの回転マス32cの付加質量mdtを設定する。この場合、付加質量mdtは、後述する質量比μが0.25よりも小さくなるような任意の値に設定され、回転マス32cの大きな慣性質量効果を得る上で、比較的大きな値に設定するのが好ましい。
次いで、設定された付加質量mdtと、付加振動系3の制御対象モードである1次モードの固有ベクトル1u(n)を用い、次式(3)によって、付加振動系3の1次モードの広義の回転マス32cの付加質量(以下「付加振動系の1次モード広義付加質量」という)1Mdtを算出する。
1Mdt={1u(x)−1u(y−1)}2mdt ……(3)
ここで、xは、最上位層(制振制御層のうちの最上位の層)の層数(本実施形態では5)であり、yは、最下位層(制振制御層のうちの最下位の層)の層数(本実施形態では3)である。すなわち、1u(x)−1u(y−1)は、本実施形態では、1u(5)−1u(2)となり、1次モードの5層の固有ベクトル1u(5)と1次モードの2層の固有ベクトル1u(2)の差分を表す。これにより、1次モード振動系の地面から5層までの相対変形差である1u(5)から、1次モード振動系の地面から2層までの相対変形差である1u(2)が差し引かれることによって、1次モード振動系の3層から5層にわたった相対変形差が求められる。
次に、算出された建物の1次モード広義節点質量10で付加振動系の1次モード広義付加質量1Mdtを除算する(1Mdt/10)ことによって、質量比μを算出する。
次いで、算出された質量比μを用い、次式(4)によって、最適同調振動数比optγを算出する。この式(4)は、変位応答倍率最適調整条件解のうちの柔ばね解を用いて導出されたものであり、その詳細については、「建築物の変位制御設計 井上範夫/五十子幸樹共著」を参照されたい。
Figure 0006320899
ここで、ωdtは付加振動系3の固有円振動数である。また、ω(1)は、前述したように、第1マスダンパ2が設けられた建物Bの1次固有円振動数であり、このことは、後述する式(6)及び(7)についても同様である。
次に、質量比μを用い、次式(5)によって、粘性体32gの最適減衰定数opthdを算出する。この式(5)も、上記の式(4)と同様に、変位応答倍率最適調整条件解のうちの柔ばね解を用いて導出されたものである。
Figure 0006320899
次いで、算出された最適同調振動数比optγ、建物Bの1次固有円振動数ω(1)、及び付加質量mdtを用い、次式(6)によって、伝達部材剛性kbtを算出する。
kbt=ω(1)2・optγ2・mdt ……(6)
この式(6)は、ωdt2=kbt/mdtと式(4)から導出されたものである。
次に、算出された最適減衰定数opthd、建物Bの1次固有円振動数ω(1)、最適同調振動数比optγ、及び付加質量mdtを用い、次式(7)によって、粘性体32gの減衰係数cdtを算出する。
cdt=2・opthd・ω(1)・optγ・mdt ……(7)
この式(7)は、cdt/mdt=2・opthd・ωdtと式(4)から導出されたものである。
以上の構成により、振動抑制装置1では、建物Bの振動時、振動に伴う最上位層と最下位層の間の層間変位が左右の伝達部材31L、31Rを介して第2マスダンパ32L、32Rに伝達されることで、回転マス32cが回転する。これにより、回転マス32cによる慣性質量効果及び粘性体32gによる粘性減衰効果が得られ、建物Bの1次モードの振動が、伝達部材31L、31R及び第2マスダンパ32L、32Rから成る付加振動系3で吸収される。
次に、図6〜図8を参照しながら、振動抑制装置1の具体的な設計例と、その特性について説明する。図6は、建物Bの諸元データ、具体的には、建物Bの層数、各層の質量m(n):単位ton及び剛性k(n):単位kN/cmを示しており、同図から明らかなように、建物Bは20層(階)建てのビルである。下層に設けられた第1マスダンパ2ほど、その制振効果が高い傾向にある。この点に着目し、制振制御層のうちの下側の層であるほど、その対象振動モードとして、より低い次数の振動モードが設定される。本例では、前述したように制振制御層として3層〜5層を用いるとともに、3層及び4層の対象振動モードを2次モードに設定し、5層の対象振動モードを3次モードに設定した。
この場合、3層及び4層の対象振動モードの次数が互いに同じ(同次数対象振動モード)であり、5層の対象振動モードの次数が、3層及び4層の対象振動モードの次数と異なっている。このため、前述した回転マス32cの付加質量md(n)の算出方法に従い、まず、5層及び4層の回転マス32cの付加質量md(5)、md(4)を算出し、次いで、3層の回転マス32cの付加質量md(3)を算出した。
具体的には、まず、5層及び4層の対象振動モードの次数がそれぞれ3及び2であるため、付加質量md(5)及びmd(4)の算出にそれぞれ用いられる本実施形態による振動抑制装置が設けられていない建物Bのみの3次固有円振動数ω(3)及び2次固有円振動数ω(2)を、固有値解析を行うことによって算出した。その結果、ω(3)=11.07921(rad/s)となり、ω(2)=6.82067(rad/s)となった。
次いで、算出された3次固有円振動数ω(3)及び2次固有円振動数ω(2)、ならびに、図6に示す5層及び4層の剛性k(5)、k(4)を用い、前記式(1)によって、5層及び4層の回転マス32cの付加質量md(5)、md(4)を算出した。その結果、md(5)=(18927.6・100)/(11.07921)2=15420(ton)となり、md(4)=(19497.2・100)/(6.82067)2=41910(ton)となった。
次に、算出された付加質量md(5)の第1マスダンパ2が5層に、付加質量md(4)の第1マスダンパ2が4層に、それぞれ設けられた建物Bの固有値解析を行うことによって、3層の回転マス32cの付加質量md(3)の算出に用いられる建物Bの2次固有円振動数ω(2)を算出した。その結果、ω(2)=6.21847(rad/s)となった。
以上のように、2次固有円振動数ω(2)は、対象振動モードが2次モードの第1マスダンパ2を設けていない場合(=6.82067)と設けた場合(=6.21847)とでは、互いに異なる値になることが分かる。
次いで、算出された2次固有円振動数ω(2)と図6に示す3層の剛性k(3)を用い、式(1)によって、3層の回転マス32cの付加質量md(3)を算出した。その結果、md(3)=(22265.6・100)/(6.21847)2=57579(ton)となった。
次に、算出された付加質量md(3)〜md(5)の第1マスダンパ2〜2が3層〜5層にそれぞれ設けられた建物Bの固有値解析を行うことによって、建物Bの1次固有円振動数ω(1)と、すべての層の1次モードの固有ベクトル1u(n)を算出した。その結果、ω(1)=2.51418(rad/s)となり、1u(n)は図7に示すようになった。
次いで、算出された1次モードの固有ベクトル1u(n)と図6に示す建物Bの各層の質量m(n)を用い、前記式(2)によって、建物の1次モード広義節点質量10を算出した。その結果、10=12708.6となった。
次に、付加振動系3の回転マス32cの付加質量mdtを、前述した観点に従って、24000(ton)に設定した。また、本例では、制振制御層は3層〜5層である。このため、算出された1次モードの固有ベクトル1u(n)のうちの5層及び2層の1次モードの固有ベクトル1u(5)、1u(2)と、設定された付加質量mdtを用い、前記式(3)によって、付加振動系の1次モード広義付加質量1Mdtを算出した。その結果、1Mdt=(0.2831−0.1047)224000=763.8となった。
次いで、算出された建物の1次モード広義節点質量10で付加振動系の1次モード広義付加質量1Mdtを除算することによって質量比μを算出したところ、μ=763.8/12708.6=0.0601となった。
次に、算出された質量比μを用い、前記式(4)及び(5)によって、最適同調振動数比optγ及び最適減衰定数opthdをそれぞれ算出した。その結果、optγ=1.06864となり、opthd=0.1552となった。
次いで、算出された最適同調振動数比optγ、建物Bの1次固有円振動数ω(1)及び付加質量mdtを用い、前記式(6)によって、伝達部材剛性kbtを算出した。その結果、kbt=2.514182・1.068642・24000=173247(kN/m)となった。
次に、算出された最適減衰定数opthd、最適同調振動数比optγ、建物Bの1次固有円振動数ω(1)及び付加質量mdtを用い、前記式(7)によって、減衰係数cdtを算出した。その結果、cdt=2・0.1552・2.51418・1.06864・24000=20015(kNs/m)となった。
また、本例では、前記式(4)及び(5)の集中制振適用による補正や、ロバスト性を向上させるために、質量比μに応じて伝達部材剛性kbtをより高めに設定した。この場合、質量比μが0.06程度なので、伝達部材剛性kbtを1.25倍し、kbt=173247×1.25=216558(kNs/m)とした。なお、式(6)によって算出された伝達部材剛性kbtをそのまま用いてもよいことは、もちろんである。
図8は、本例による建物Bの振動数(Hz)と絶対座標系の応答倍率との関係を示しており、図9は、比較例による建物Bの振動数と絶対座標系の応答倍率との関係を示している。この比較例は、制振制御層に、付加振動系3を設けずに、第1マスダンパ2のみを設けた場合の例であり、建物Bに関する条件は本例と同じである。また、図8及び図9において、太い実線は5層における建物Bの振動数(Hz)と応答倍率との関係を示しており、一点鎖線、破線及び二点鎖線は、10層、15層及び20層における建物Bの振動数(Hz)と応答倍率との関係をそれぞれ示している。さらに、図8及び図9において、f1は本実施形態による振動抑制装置が設けられていない建物Bのみの1次固有振動数であり、f2及びf3はそれぞれ、本実施形態による振動抑制装置が設けられていない建物Bのみの2次固有振動数及び3次固有振動数である。
図8と図9との比較から明らかなように、本例によれば、比較例と比較して、建物Bの振動を全体的に適切に抑制できることと、1次モードの振動に対する制振効果が際立って優れていることが分かる。
また、本例に関し、本実施形態による振動抑制装置が設けられていない状態で、建物Bのみの固有値解析を行ったところ、1次モードの固有ベクトル1u’(n)は、図10に示すようになった。同図に示すように、5層の1次モードの固有ベクトル1u’(5)は0.26624であり、2層の1次モードの固有ベクトル1u’(2)は0.10631である。これに対して、前述した図7に示すように、第1マスダンパ2が制振制御層に設けられた建物Bの5層及び2層の1次モードの固有ベクトル1u(5)、1u(2)はそれぞれ、0.2831及び0.1047である。
以上から明らかなように、5層の1次モードの固有ベクトル1u(5)と2層の1次モードの固有ベクトル1u(2)の差は、第1マスダンパ2が制振制御層に設けられている場合のほうが、設けられていない場合よりも、大きくなる。ここで、モーダルアナリシスより、建物Bの応答である{Y(t)}と、各次の固有ベクトル{su}との間には、次式(8)が成立する。
Figure 0006320899
ここで、添え字sはモードの次数であり、添え字(t)は時間である。また、sβは、刺激係数であり、地震加速度の分布ベクトルを固有モードに展開したときの係数に相当する。さらに、s0(t)は、建物Bの各次の固有振動であり、建物Bの各次の固有周期及び各次の減衰定数によって定まる。この式(8)の詳細については、「最新 耐震構造解析 柴田明徳著」を参照されたい。
式(8)に示すように、建物Bのs次の固有ベクトル{su}及び刺激係数sβが大きいほど、応答である{Y(t)}へのs次モードの影響はより大きいという関係が成立する。この関係から明らかなように、5層の1次モードの固有ベクトル1u(5)と2層の1次モードの固有ベクトル1u(2)の差がより大きくなっているということは、建物Bの1次モードの振動による5層と3層の間の層間変位がより大きくなっていることを表している(柔層効果)。このことは、制振制御層として他の任意の層を用いた場合にも、同様に当てはまる。したがって、制振制御層に第1マスダンパ2を設けることによって、建物Bの1次モードの振動による最上位層と最下位層の間の層間変位を増大させることができる。
以上のように、本実施形態によれば、建物Bの複数の層から成る制振制御層に設けられた第1マスダンパ2が、建物Bの2次以上の所定の対象振動モードの振動を抑制するための回転マス14を有しており、建物Bの振動に伴って回転マス14が回転する。これにより、建物Bの振動時、回転マス14による慣性質量効果が得られることによって、建物Bの対象振動モードの振動を抑制することができる。
また、第2マスダンパ32L、32Rが、建物Bの振動を抑制するための回転マス32c及び粘性体32gを有しており、最上位層(制振制御層のうちの最上位の層)に左右の伝達部材31L、31Rを介して連結されるとともに、最下位層(制振制御層のうちの最下位の層)に連結されている。また、伝達部材31L、31R及び第2マスダンパ32L、32Rによって付加振動系3が構成されており、建物Bの振動に伴って回転マス32cが回転する。伝達部材剛性(伝達部材31L、31Rの剛性)kbt、回転マス32cの付加質量mdt及び粘性体32gの減衰係数cdtは、付加振動系3の固有振動数が建物Bの1次固有振動数に同調するように設定されている。以上の構成により、建物Bの振動時、第2マスダンパ32L、32Rの回転マス32cによる慣性質量効果及び粘性体32gによる粘性減衰効果が得られ、建物Bの1次モードの振動が付加振動系3で吸収される。
この場合、第2マスダンパ32L、32Rが最上位層と最下位層に連結されているので、第2マスダンパ32L、32Rを1つの層に連結した場合と比較して、第2マスダンパ32L、32Rに伝達される建物Bの1次モードの振動による層間変位(以下「マスダンパ伝達層間変位」という)を増大させることができる。また、前述したように、第1マスダンパ2を制振制御層に設けることによって、1次モードの振動による最上位層と最下位層との間の層間変位を増大させ、マスダンパ伝達層間変位をさらに増大させることができる。以上により、第2マスダンパ32L、32Rの回転マス32cによるより大きな慣性質量効果が得られるので、建物Bの1次モードの振動を付加振動系3で十分に吸収することができる。以上のように、本実施形態によれば、第1マスダンパ2及び付加振動系3による制振効果が相乗的に得られるので、建物Bの振動を適切に抑制することができる。
また、第1マスダンパ2が複数の層から成る制振制御層の各層に設けられているので、建物Bの振動をより適切に抑制することができる。
さらに、前述したように、従来の振動抑制装置では、建物の振動を適切に抑制できないことから、そのような不具合を解消するために、建物の全体に付加振動系を設けることが考えられる。しかし、その場合には、振動抑制装置の大型化及び製造コストの増大を招いてしまう。これに対して、本実施形態によれば、上述したように第1マスダンパ2及び付加振動系3による制振効果が相乗的に得られるので、第1マスダンパ2を、建物Bのすべての層に設けなくても、建物Bに部分的に設けるだけで、建物Bの振動を適切に抑制することができる。したがって、振動抑制装置1全体としての小型化及び製造コストの削減を図ることが可能になる。
また、制振制御層の最上位層及び最下位層に連結された第2マスダンパ32L、32Rが粘性体32gを有するため、制振制御層の全体に粘性減衰効果を作用させることができるので、本実施形態では、第1マスダンパ2に、粘性減衰要素が設けられていない。したがって、その分、振動抑制装置1の製造コストの削減をさらに図ることができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、第1マスダンパ2を、制振制御層の各々に設けているが、制振制御層の少なくとも1つに設けてもよい。この場合、第1マスダンパ2を、制振制御層の一部を構成する連続した複数の層の各々に設けたり、n層(n≧1)おきに設けたりしてもよい。この場合にも、実施形態と同様、1次モードの振動による最上位層と最下位層との間の層間変位を増大させることができる。
また、実施形態では、第1マスダンパ2を、対応する梁BU、BM1、BM2、BDにブレース状に斜めに連結しているが、本出願人による特許第5023129号の図2などに記載されているように、左右方向に互いに間隔を存した状態で上下方向に延びる一対の伝達部材を介して連結し、水平に延びるように設けてもよい。あるいは、第2マスダンパ32L、32Rと同様に、各第1マスダンパ2を2つのマスダンパで構成するとともに、これらの2つのマスダンパを、V字状(又は逆V字状)に配置された一対の伝達部材を介して、上下の梁に連結してもよい。
さらに、実施形態では、伝達部材31L、31Rを、H形鋼から成る柱材で構成しているが、弾性を有する他の適当な部材、例えば、角形鋼管や、鋼線から成るケーブルなどで構成してもよい。また、実施形態では、左右の伝達部材31L、31Rを、V字状に配置しているが、本出願人による特許第5314201号の図1に記載されているように、逆V字状に配置してもよく、あるいは、本出願人による特許第5023129号の図2などに記載されているように、左右方向に互いに間隔を存した状態で鉛直方向に延びるように配置してもよい。ちなみに、伝達部材を逆V字状に配置した場合には、第2マスダンパは、下側梁ではなく、上側梁に連結される。さらに、実施形態では、第1及び第2マスダンパ2、32L、32Rを、左右方向に延びる梁BU、BM1、BM2、BDに連結しているが、前後方向に延びる梁に連結してもよい。
また、実施形態では、第1及び第2マスダンパ2、32L、32Rとして、回転マスを有するタイプのマスダンパを用いているが、本出願人による特許第5161395号や、特許第5191579号などに開示されたシリンダ、ピストン及び作動流体を有するタイプのマスダンパを用いてもよい。さらに、実施形態では、本発明における第2マスダンパの粘性減衰要素として、シリコンオイルで構成された粘性体32gを用いているが、他の適当な粘性体、例えばポリイソブチレンなどの合成樹脂から成る粘性体を用いてもよい。
また、実施形態では、第1マスダンパ2に、粘性減衰要素が設けられていないが、これを設けてもよい。この場合、粘性減衰要素として、例えばシリコンオイル用いてもよく、あるいは、ポリイソブチレンなどの合成樹脂から成る粘性体を用いてもよい。さらに、実施形態では、第1及び第2マスダンパ2、32L、32Rに、制限機構15が設けられているが、第1及び第2マスダンパ2、32L、32Rの少なくとも一方の制限機構15を省略してもよい。以上の実施形態に関するバリエーションを適宜、組み合わせて適用してもよいことは、もちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
B 建物(構造物)
1 振動抑制装置
2 第1マスダンパ
3 付加振動系
14 回転マス(第1慣性質量要素)
31L 左伝達部材(伝達部材)
31R 右伝達部材(伝達部材)
32L 第2マスダンパ
32R 第2マスダンパ
32c 回転マス(第2慣性質量要素)
32g 粘性体(粘性減衰要素)

Claims (2)

  1. 複数の層を有する構造物の振動を抑制する構造物の振動抑制装置であって、
    前記構造物の2次以上の所定の振動モードの振動を抑制するための第1慣性質量要素を有し、前記複数の層に設けられ、前記構造物の振動に伴って前記第1慣性質量要素が運動する第1マスダンパと、
    弾性を有し、前記複数の層のうちの最上位の層及び最下位の層の一方に連結された伝達部材と、
    前記構造物の振動を抑制するための第2慣性質量要素及び粘性減衰要素を有し、前記最上位の層及び前記最下位の層の他方と前記伝達部材とに連結され、当該伝達部材とともに付加振動系を構成するとともに、前記構造物の振動に伴って前記第2慣性質量要素が運動する第2マスダンパと、を備え、
    前記伝達部材の剛性、前記第2慣性質量要素の質量及び前記粘性減衰要素の減衰係数は、前記付加振動系の固有振動数が前記構造物の1次固有振動数に同調するように、設定されていることを特徴とする構造物の振動抑制装置。
  2. 前記第1マスダンパは、複数のマスダンパで構成され、前記複数の層の各々に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の構造物の振動抑制装置。
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