JP6319838B2 - 吸水管システム、地下水位低下工法および飽和地盤の締め固め工法 - Google Patents

吸水管システム、地下水位低下工法および飽和地盤の締め固め工法 Download PDF

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Description

本発明は、地盤内に設置可能な吸水管システム、かかる吸水管システムを用いた地下水位低下工法および飽和地盤の締め固め工法に関する。
従来、地盤内に深井戸を掘り揚水して地下水位を低下させてから、衝撃や振動等で地盤を締め固める方法が公知である。たとえば、特許文献1は、埋め立て地盤に砂杭を多数造成して地盤の安定化を図る砂杭造成工程、砂杭造成地盤に揚水井を掘り地下水を汲み上げて地盤の不飽和化を図る地盤不飽和化工程、不飽和化された地盤を更に動圧密工法又は振動締固め工法などの衝撃や振動による締固めにより高密度の地盤を得る地盤締固め工程をこの順序で行う地盤強化複合工法を提案する(要約、図1)。
また、地下水位を低下させる工法として、ウェルポイント工法が知られ、この工法は、吸水管(ウェルポイント)を地中の地下水位面よりも下方に設置し、吸水管に接続した揚水管(ライザーパイプ)に地上から負圧を加えて地下水を吸引するものである。
特開2000-319865号公報
ウェルポイント工法による従来の施工例およびその問題点について図6(a)〜(d)を参照して説明する。
図6(a)のように、先端側にウェルポイントWPを設けたライザーパイプRPを、ウェルポイントWPの先端からジェットポンプJPによるジェット噴流を噴出して掘削をしながら、地面からシルト層G1内へ挿入する。図6(b)のように、ウェルポイントWPが貫入した穴内に砂礫SAを投入しながら掘削を進め、図6(c)のように、ウェルポイントWPの先端が粘性土層(不透水層)G2に達するまで掘削をし、地盤のシルト層G1内の穴内にライザーパイプRPおよびウェルポイントWPを設置する。穴内の砂礫SAにより、ウェルポイントWPとシルト層G1との間にサンドフィルタSFが形成される。
図6(c)の状態で、ライザーパイプRPの端部から負圧を加え、ウェルポイントWPによりシルト層G1内の地下水をサンドフィルタSFを通して吸引するが、吸引が進行するにつれて、図6(d)の拡大概略図に示すように、サンドフィルタSF内の砂礫SAの間隙に地盤のシルト層G1からのシルトSTが泥水状の細粒分となって入り込んでしまい、サンドフィルタSFの透水性が悪化することでウェルポイントWPにおける集水性が低下し、その結果、ウェルポイントWPの吸水性が低下してしまい、地下水位を効果的に低下させることができない。
ここで、水で飽和した地盤を締め固めるには土粒子間の間隙水を排出することが必要である。ところが、事前に地下水位を低下させて地盤を不飽和化した後に締め固めを行う工法は、上述のようにシルト層のような透水性の低い地盤に対して地下水位を効果的に低下させる方法がないため、適用が困難であった。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、シルト質のような透水性の低い地盤に対しても地下水位を効果的に低下可能な吸水管システム、かかる吸水管システムを用いた地下水位低下工法および飽和地盤の締め固め工法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための吸水管システムは、地下水位を低下させるために地盤内に設置可能な吸水管システムであって、先端側に設けられたウェルポイントと、前記ウェルポイントに接続されたライザーパイプと、前記ウェルポイントに向けて排水をするように前記ライザーパイプの外面に取り付けられたドレーン材と、を備える。
この吸水管システムによれば、地盤内に設置されると、ライザーパイプの外面のドレーン材を通して地盤内の地下水がウェルポイントに向けて流れることでウェルポイントにおける集水性が高まり、ライザーパイプの端部側から負圧を作用させることで効率的に排水することができ、このため、透水性の低い地盤であっても地下水位を効果的に低下させることができる。
上記吸水管システムにおいて、前記ドレーン材は、水が流れる通水路と、前記通水路に流れ込む水を透過するフィルタと、を備えることが好ましい。フィルタは細粒分を透過させないので、通水路に流れ込んだ水がウェルポイントに向けて効率的に流れる。
また、前記ドレーン材は、プラスチックからなる芯材と、前記芯材の周囲に設けられた不織布等のフィルタと、から構成されることが好ましい。
また、前記ドレーン材は、外周面に多数の孔を形成した多孔管と、前記多孔管の外周面に巻き付けた不織布等のフィルタと、から構成されることが好ましい。
なお、前記ドレーン材は平板状に構成され、一対の前記平板状のドレーン材が前記ライザーパイプを挟むようにして取り付けられるように構成できる。また、前記ドレーン材は、前記ライザーパイプの外周面に巻き付けられるようにして取り付けられるように構成してもよい。
また、前記ドレーン材は、前記ライザーパイプの設置深さよりも上部において少なくとも1m短いことが好ましい。これにより、吸水管システムが地盤内に設置されると地中のドレーン材の上端から地表面までの少なくとも厚さ1mの地盤表層を気密層として利用できるので、負圧効果を高めることができ、ウェルポイントにおける吸水性を高めることができる。
上記目的を達成するための地下水位低下工法は、地盤内の地下水位を低下させる地下水位低下工法であって、上述の吸水管システムを前記ウェルポイントが地盤内の地下水位よりも下方に位置するように地盤内に設置し、前記ライザーパイプの上端側から負圧を作用させて地下水を吸引する。
この地下水位低下工法によれば、上記吸水管システムを地盤内に設置し、ライザーパイプの外面のドレーン材を通して地盤内の地下水がウェルポイントに向けて流れることでウェルポイントにおける集水性が高まり、ライザーパイプの端部側から負圧を作用させることで効率的に排水することができ、このため、透水性の低い地盤であっても地下水位を効果的に低下させることができる。
上記目的を達成するためのもう1つの地下水位低下工法は、地盤内の地下水位を低下させる地下水位低下工法であって、上述のライザーパイプの設置深さよりも上部において少なくとも1m短いドレーン材を備える吸水管システムを前記ウェルポイントが地盤内の地下水位よりも下方に位置するように地盤内に設置し、前記ドレーン材の上端が地表面から少なくとも1m以上深く位置し、前記ライザーパイプの上端側から負圧を作用させて地下水を吸引する。
この地下水位低下工法によれば、上記吸水管システムを地盤内に設置し、ライザーパイプの外面のドレーン材を通して地盤内の地下水がウェルポイントに向けて流れることでウェルポイントにおける集水性が高まり、ライザーパイプの端部側から負圧を作用させることで効率的に排水することができ、このため、透水性の低い地盤であっても地下水位を効果的に低下させることができるとともに、地中のドレーン材の上端から地表面までの少なくとも厚さ1mの地盤表層を気密層として利用できるので、負圧効果を高めることができ、ウェルポイントにおける吸水性を高めることができる。
上記地下水位低下工法において、前記吸水管システムの地盤内への設置のために前記ウェルポイントの先端からジェット水を噴射しながら前記吸水管システムを地盤内に挿入することが好ましい。
また、前記地下水の吸引が終了した後、前記ウェルポイントの先端からジェット水を噴射しながら前記吸水管システムを地盤内から引き上げることが好ましい。これにより、施工後、吸水管システムを効率的に回収することができ、吸水管システムが地盤内に残存しないので、その後の工程を実施する上での障害とならない。
また、前記地下水位を低下させる対象の地盤がシルト質地盤であることで、透水性の低いシルト質地盤内の地下水位を効率的に低下させることができる。
上記目的を達成するための飽和地盤の締め固め工法は、上述の吸水管システムを地盤内に設置して前記地盤内の地下水位を低下させ、または、上述の地下水低下工法により前記地盤内の地下水位を低下させ、次に、前記地盤の締め固めを行う。
この飽和地盤の締め固め工法によれば、吸水管システムが地盤内に設置されると、ライザーパイプの外面のドレーン材を通して地盤内の地下水がウェルポイントに向けて流れることでウェルポイントにおける集水性が高まり、ライザーパイプの端部側から負圧を作用させることで効率的に排水することができ、このため、透水性の低い地盤であっても地下水位を効果的に低下させることができる。したがって、その後、地盤の締め固めを行うことで、飽和地盤を効率的に締め固めることができる。
上記飽和地盤の締め固め工法において、前記地盤の締め固めを、前記地盤に対する材料の圧入、振動または衝撃により実施することができる。
本発明によれば、透水性の低い地盤に対しても地下水位を効果的に低下可能な吸水管システム、かかる吸水管システムを用いた地下水位低下工法および飽和地盤の締め固め工法を提供することができる。
本実施形態による吸水管システムの全体を概略的に示す正面図である。 図1の吸水管システムのライザーパイプおよびドレーン材をII-II線方向に切断して見た断面図(a)(b)である。 本実施形態による地下水位低下工法・締め固め工法の工程S01〜S07を説明するためのフローチャートである。 図3の吸水管システムの設置工程S01の主要工程(a)〜(c)を示す概略図である。 図3の吸水管システムによる吸水工程S03を示す概略図である。 ウェルポイント工法による従来の施工例を説明するための概略図(a)〜(d)である。 図6の従来のウェルポイント工法による吸水工程を説明するための概略図である。 本実施形態の吸水管システムによる地下水位低下工法を説明するための概略図(a)、図2(a)に対応する吸水管システムの断面図(b)、図2(b)に対応する別のドレーン材を用いた吸水管システムの断面図(c)、従来のキャップ付プラスチックボードドレーンによる真空圧密工法を説明するための概略図(d)およびドレーンの断面図(e)である。 本実施形態において地盤を締め固める前の土粒子の状態を示す概略図(a)および締め固めた後の土粒子の状態を示す概略図(b)である。 本実施形態による別の吸水管システムの全体を概略的に示す正面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
〈吸水管システム〉
図1は本実施形態による吸水管システムの全体を概略的に示す正面図である。図2は、図1の吸水管システムのライザーパイプおよびドレーン材をII-II線方向に切断して見た断面図(a)(b)である。
図1に示すように、吸水管システム10は、先端側に設けられたたウェルポイント11と、ウェルポイント11に接続されたライザーパイプ12と、ライザーパイプ12の外面に取り付けられたドレーン材13と、を備え、ウェルポイント11を先端(下端)にして地盤内に設置することができる。
ドレーン材13は、下端13aがウェルポイント11とライザーパイプ12との接続部に位置し、上端13bまでの長さがライザーパイプ12よりも短くなっている。すなわち、図1のように、吸水管システム10が地盤内に設置されたとき、地表面Sよりも下側(地中側)に位置するライザーパイプ12の設置深さDに対し、ドレーン材13は地表面Sから上端13bまでの距離dの分だけ短くなるように構成される。距離dは少なくとも1mに設定される。
ドレーン材13は、図2(a)のように、ライザーパイプ12を挟むようにして取り付けられた一対の平板状ドレーン材13c、13dから構成されている。平板状ドレーン材13c、13dは、多数の通水路pが形成されたプラスチックボード14の両面に不織布からなるフィルタ15を貼り付けて構成されている。
また、ドレーン材13は、図2(b)のように、ライザーパイプ12の外周面に巻き付けられるようにして取り付けられた円形状ドレーン材13eから構成してもよい。円形状ドレーン材13eは、多数の通水路pが形成されたプラスチックボード14をライザーパイプ12の外周面に一周分巻き付け、その外周面に不織布からなるフィルタ15を貼り付けて構成することができる。
ドレーン材13は、フィルタ15の不織布が水を透過し細粒分を透過させず、透過した水がプラスチックボード14内の通水路pへと流れ込むようになっている。
なお、平板状ドレーン材13c、13d、円形状ドレーン材13eは、ライザーパイプ12の外面に接着剤や締め付けバンド等を用いて取り付けることができる。また、ドレーン材13c〜ドレーン材13eは、真空圧密による軟弱地盤改良工法に使用されるプラスチックボードドレーンから構成することができる。
また、図1のウェルポイント11は、外周面に設けられた吸水部11aと、先端に設けられたノズル11bと、を有する。吸水部11aは吸水時に金網等からなるフィルタを通して周囲の地下水を吸引する公知の構造から構成され、ノズル11bはジェット噴流を噴出する公知の構造から構成され、吸水部11aにおける吸引時にノズル11bが自動的に閉じるようになっている。
また、図1の吸水管システム10のウェルポイント11は、たとえば、内径50mm、長さ0.7〜1.0mとし、ライザーパイプ12は内径40mmとし、平板状ドレーン材13c、13dは、幅100mm、厚さ3mmとし、円形状ドレーン材13eは厚さ3mmとすることができるが、これらの寸法は、一例であって、適宜変更可能である。
〈飽和地盤の地下水位低下工法および締め固め工法〉
次に、図1,図2の吸水管システムを用いた飽和地盤の地下水位低下工法および締め固め工法について図3〜図9を参照して説明する。図3は本実施形態による地下水位低下工法・締め固め工法の工程S01〜S07を説明するためのフローチャートである。図4は図3の吸水管システムの設置工程S01の主要工程(a)〜(c)を示す概略図である。図5は図3の吸水管システムによる吸水工程S03を示す概略図である。
図3,図4(a)〜(c)のように、水で飽和したシルト地盤G1とその下部の粘性土層(不透水層)G2とからなる地盤Gにおいてシルト地盤G1内の地下水位を低下させるために、図1,図2の吸水管システム10をシルト地盤G1に設置する(S01)。
まず、図4(a)のように、ジェットポンプJPからホースHS,ライザーパイプ12の内部を通してジェット噴流を吸水管システム10のウェルポイント11のノズル11bから噴出させることで、地表面Sからシルト地盤G1を切削しシルト地盤G1の掘削を始めるとともに、吸水管システム10をノズル11bからシルト地盤G1内へと下方向aに挿入する。この掘削とともに掘削土砂が地表面Sに溢れ出す。
図4(b)のように、ジェット噴流の噴出を行いながら吸水管システム10のシルト地盤G1内への挿入を続ける。この間、従来のような掘削穴内への砂の投入は行わない。
次に、図4(c)のように、吸水管システム10のウェルポイント11の先端にあるノズル11bが粘性土層(不透水層)G2に達すると、ジェットポンプJPを停止しジェット噴流の噴出を止め、吸水管システム10のシルト地盤G1内への挿入を停止する。このようにして吸水管システム10をシルト地盤G1内に設置する。このとき、図4(c)に示すように、地表面Sからドレーン材13の上端13bまでの距離dは少なくとも1mである。
上述のように吸水管システム10のシルト地盤G1への設置が完了すると、次に、図1,図5に示すように、ライザーパイプ12の地上側の端部12aを、スイングジョイント17を介してヘッダーパイプ18に接続する(S02)。ヘッダーパイプ18には、他の位置に同様にして設置された他の吸水管システムのライザーパイプがスイングジョイントを介して接続される一方、真空ポンプ等からなる負圧源(図示省略)が接続されている。
次に、負圧源(図示省略)を作動させて吸水管システム10のウェルポイント11の吸水部11aから吸水を開始し、地下水を吸引し外部に排出する(S03)。これにより、図5のように、シルト地盤G1内の地下水位Hは、自然地下水位H0から低下し、ウェルポイント11による井戸内では水位H1まで低下する。浸潤線は、吸水管システム10からから離れるにしたがって緩やかに自然地下水位H0に漸近する。
吸水工程S03をシルト地盤G1内の地下水位Hが所定の水位に低下するまで続ける(S04)。これにより、飽和したシルト地盤G1を不飽和化することができる。
次に、地下水位Hが所定の水位に低下すると、ドライワークによる掘削や締め固め等の目的の作業を実施する(S05)。
すなわち、不飽和化した地盤G1に対し砂等の粒状材料を圧入し、地盤を締め固める。かかる粒状材料の圧入は、公知のサンドコンパクションパイル(SCP)施工機械を用いてたとえば直径40〜50cm程度のケーシングパイプを振動させながら地盤に打ち込むようにしたSCP工法の打ち戻し締め固め方式により実施することができる。また、必要に応じて掘削工等を行う。
次に、目的の作業工程S05が完了すると、負圧源を停止する(S06)。このように、目的の作業工程S05の完了まで吸水工程S03を連続して行う。
次に、ライザーパイプ12の地上側の端部12aにおいて図1,図5のスイングジョイント17を取り外し、ジェットポンプJPのホースHSを取り付けてから、ジェットポンプJPからジェット噴流を吸水管システム10のウェルポイント11のノズル11bから噴出させて地盤を緩めながら吸水管システム10を上方へと引き抜いて撤去する(S07)。
上述のようにして、本実施形態の吸水管システム10によれば、ドレーン材13が排水路を構成し、シルト地盤G1内の地下水がドレーン材13の中の通水路p(図2)を下向きに流れてウェルポイント11の吸水部11aの周囲に集まるので、効率的に排水を行うことができ、シルト層のような透水性の低い地盤であっても地下水位を効果的に低下させることができる。また、図5のように、地中のドレーン材13の上端13bから地表面Sまでの距離dが少なくとも1mであり、この少なくとも厚さ1mのシルト層を気密層SLとして利用することができるので、負圧効果を高めることができ、ウェルポイントにおける吸水性を高めることができる。
以上のように、吸水管システム10によれば、ライザーパイプ12の周りにドレーン材13を設けることでウェルポイント11への確実な排水路を構築するとともに地表面の気密を確実にして負圧作用の効果を高めることで、地下水をより効率的に排出し、地下水位を効率的に低下できる。
図7に図6の従来のウェルポイント工法による吸水工程を説明するための概略図を示すが、図6(a)〜(c)の従来例の吸水工程によれば、図7のように、砂の充填された井戸内の水位H2がウェルポイントWPの上端近傍まで低下するが、かかる井戸内の水位低下によってのみ周辺の地下水を排出するだけである。また、地下水排出のための負圧源による負圧は、井戸内の砂によるサンドフィルタSFの上端面S1が大気に開放されているので、シルト層に効率的に加わらず、地下水位を低下させるための吸引力が低い。これに対し、本実施形態によれば、井戸内の水位低下に加えて、図5のように少なくとも厚さ1mのシルト層を気密層SLとして利用でき、シルト地盤G1の全体に負圧を作用させることができるので、地下水をより効率的に排出することができる。
また、図6(a)〜(c)の従来のウェルポイント工法によれば、井戸内の砂礫によるサンドフィルタSFは、排水層を構築し、周囲のシルト層からの地下水をウェルポイントWPへと流すが、かかる排水が進行するにつれて、シルト層からのシルトが泥水状の細粒分となってサンドフィルタSFへ入り込んでしまい(図6(d))、サンドフィルタSFの透水性が低下し、サンドフィルタSFは排水層としての機能が低下してしまう。これに対し、本実施形態によれば、ドレーン材13内の多数の通水路p(図2)を通して地下水をウェルポイント11へと効率的に流すことができ、ドレーン材13が排水層として確実に機能するとともに、ドレーン材13では、フィルタ15がシルトのような細粒分を透過しないので、排水が進行しても目詰まりを起こしにくく、排水層の機能を効率的に維持できる。
図5と図7とを比較すると、破線で示す地下水位Hを表す浸潤線は、図5の本実施形態の方が図7の従来例よりも低下しているが、これは目詰まりを起こしにくいドレーン材の使用と気密層SLの存在による効果と考えられる。
ここで、本実施形態の吸水管システム10による地下水位低下工法と従来のキャップ付プラスチックボードドレーンによる真空圧密工法との相違について図8(a)〜(e)を参照して説明する。図8は、本実施形態の吸水管システムによる地下水位低下工法を説明するための概略図(a)、図2(a)に対応する吸水管システムの断面図(b)、図2(b)に対応する別のドレーン材を用いた吸水管システムの断面図(c)、従来のキャップ付プラスチックボードドレーンによる真空圧密工法を説明するための概略図(d)およびドレーンの断面図(e)である。
キャップ付プラスチックボードドレーンによる真空圧密工法は、図8(d)のように、地盤G内に打設されたプラスチックボードドレーン(ドレーン材)PBDの上端に不透水性のキャップ部CPを介して接続された排水管DPに負圧を加えることで、負圧に起因する大気圧を地盤に加え地盤内から水を排出することで地盤改良を行う。このようなキャップ付プラスチックボードドレーンの具体例は、たとえば特開2006-241872号公報に記載されている。ドレーン材PBDの断面積は、図8(e)のように、通常、幅100mm×厚さ3mm程度であり、図8(a)の吸水管システム10のライザーパイプ12の内径をたとえば図8(b)(c)のように40mmとすると、ライザーパイプ12の1/4程度であり通水能が小さく、通水抵抗が大きい。粘土よりも透水係数の大きいシルト地盤の場合、吸水量が多くなるとエネルギーロスが問題となる。また、シルトは粘土と比べて水分を保持する力が小さいため、吸水とともに地盤は不飽和化しながら地下水位が下がる。地盤が上部から不飽和化すると、接しているドレーンの内部に空気が流入する。このため、上部の空気と下部から吸引されてくる水とがドレーンの通水路内で干渉し、通水抵抗が生じることから揚水能力が低下してしまう。
これに対し、図8(a)〜(c)の吸水管システム10のようなドレーン材付ウェルポイントは下部に集めた水をライザーパイプ12(たとえば内径40mm)で揚水するため揚水能力を充分に確保することができる。砂層のような透水性の高い地盤で吸水量が増えてもエネルギーロスが少ない。ドレーン材13に集まった地下水はウェルポイント11の吸水部11aからライザーパイプ12を通して排水される。ウェルポイント11により最下部で揚水するため、ドレーン材13の上部が不飽和となっても揚水能力は低下しない。
本実施形態による締め固め工法は、上述のように、水で飽和した透水性の低いシルト質地盤を対象にして効果的に地下水位を低下させた後に締め固める工法であるが、この効果について図9を参照して説明する。図9は、地盤を締め固める前の土粒子の状態を示す概略図(a)および締め固めた後の土粒子の状態を示す概略図(b)である。
すなわち、図9(a)のように、地盤内の土粒子D,D間の間隙Pが大きく地盤が緩い状態で、かつ、飽和地盤のため間隙Pが間隙水で飽和している場合、地盤を締めても、間隙Pから間隙水を速やかに排出することができないため、土粒子D,D間の間隙Pを小さくできず、地盤を締め固めるのが難しい。これに対し、本実施形態の飽和地盤の締め固め工法によれば、地盤を締める前に、飽和地盤の地下水位を低下させ、不飽和化することで、図9(a)の間隙Pから間隙水を排出し、しかる後に、粒状材料の圧入により地盤を締めることで、図9(b)のように、シルトのような細粒分が多く透水性が低い地盤であっても、土粒子D,D間の間隙水のない間隙Pを効率よく小さくすることができ、地盤を効率的に締め固めることができる。
また、図3の吸水管システム設置工程S01および撤去工程S07では、吸水管システム10を設置し、その後、引き抜き撤去するが、いずれの工程もジェット噴流を噴出しながら実施するので、設置・撤去を簡単かつ迅速に行うことができ、施工の効率性が向上する。
また、図8(d)のように、ドレーン打設機によってプラスチックボードドレーンPBDを打設する真空圧密工法では、ドレーンの撤去にはかなりの困難が伴うのに対し、本実施形態では吸水管システム10の撤去は容易かつ迅速に行うことが可能である。
また、本実施形態において地下水位を低下させ締め固める対象とする地盤は、粒径がシルト〜細砂であるシルト質地盤が好ましく、かかるシルト質地盤は、一般に透水性が低いが、粘土に比べると透水性が高い地盤である。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。たとえば、ライザーパイプに取り付けるドレーン材として、本実施形態ではプラスチックボードドレーンを用いたが、本発明はこれに限定されず、たとえば、ドレーン材を、外周面に多数の孔を形成した多孔管と、水を透過し細粒分を透過させないように多孔管の外周面に巻き付けた不織布等からなるフィルタと、から構成してもよい。かかるドレーン材を、ライザーパイプの外周面に配置して二重管構造の吸水管システムとすることができる。
たとえば、図10に示すように、吸水管システム10Aは、外周面に多数の孔19aを形成した多孔管19と、多孔管19の外周面に巻き付けられた不織布からなるフィルタ20(図10の破線で示す)とを有するドレーン材を備え、先端側にウェルポイント11を有するライザーパイプ12に多孔管19を挿入し部分的に固定することで構成される。吸水管システム10Aが地盤内に設置されたとき、ドレーン材の多孔管19は、ライザーパイプ12の設置深さDよりも上部において少なくとも1m短く、多孔管19の上端13bから地表面Sまでの距離dは少なくとも1mである。
多孔管19の内面とライザーパイプ12の外面との間に形成される隙間が通水路pとなって、吸水管システム10Aが地盤内に設置されると、この通水路pが排水路を構築し、排水路を通してウェルポイント11へと排水される。
図10の吸水管システム10Aによれば、ライザーパイプ12に被せるようにして多孔管19によるドレーン材を設けることでウェルポイント11への確実な排水路を構築するとともに多孔管19を上端で短くして地表面の気密を確実にし負圧作用の効果を高めることで、地下水をより効率的に排出し、地下水位を効率的に低下できる。
また、図3の目的の作業工程S05における材料圧入工程は、振動や衝撃を地盤に与える工程に代えてもよく、同様の地盤の締め固め効果を得ることができる。
本発明によれば、シルト質のような透水性の低い地盤に対しても地下水位を効果的に低下可能であるので、地下水位の低下後の締め固めにより飽和地盤を効率的に締め固めることができる。
10,10A 吸水管システム
11 ウェルポイント
11a 吸水部
11b ノズル
12 ライザーパイプ
13 ドレーン材
13b 上端
14 プラスチックボード
15 フィルタ
19 多孔管
20 フィルタ
G 地盤
G1 シルト地盤
H 地下水位
JP ジェットポンプ
SL 気密層
d 距離
p 通水路

Claims (12)

  1. 地下水位を低下させるために地盤内に設置可能な吸水管システムであって、
    先端側に設けられたウェルポイントと、
    前記ウェルポイントに接続されたライザーパイプと、
    前記ウェルポイントに向けて排水をするように前記ライザーパイプの外面に取り付けられたドレーン材と、を備える吸水管システム。
  2. 前記ドレーン材は、水が流れる通水路と、前記通水路に流れ込む水を透過するフィルタと、を備える請求項1に記載の吸水管システム。
  3. 前記ドレーン材は、プラスチックからなる芯材と、前記芯材の周囲に設けられたフィルタと、から構成される請求項1または2に記載の吸水管システム。
  4. 前記ドレーン材は、外周面に多数の孔を形成した多孔管と、前記多孔管の外周面に巻き付けたフィルタと、から構成される請求項1または2に記載の吸水管システム。
  5. 前記ドレーン材は、前記ライザーパイプの設置深さよりも上部において少なくとも1m短い請求項1乃至4のいずれか1項に記載の吸水管システム。
  6. 地盤内の地下水位を低下させる地下水位低下工法であって、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の吸水管システムを前記ウェルポイントが地盤内の地下水位よりも下方に位置するように地盤内に設置し、
    前記ライザーパイプの上端側から負圧を作用させて地下水を吸引する地下水位低下工法。
  7. 地盤内の地下水位を低下させる地下水位低下工法であって、
    請求項5に記載の吸水管システムを前記ウェルポイントが地盤内の地下水位よりも下方に位置するように地盤内に設置し、前記ドレーン材の上端が地表面から少なくとも1m以上深く位置し、
    前記ライザーパイプの上端側から負圧を作用させて地下水を吸引する地下水位低下工法。
  8. 前記吸水管システムの地盤内への設置のために前記ウェルポイントの先端からジェット水を噴射しながら前記吸水管システムを地盤内に挿入する請求項6または7に記載の地下水位低下工法。
  9. 前記地下水の吸引が終了した後、前記ウェルポイントの先端からジェット水を噴射しながら前記吸水管システムを地盤内から引き上げる請求項6乃至8のいずれか1項に記載の地下水位低下工法。
  10. 前記地下水位を低下させる対象の地盤は、シルト質地盤である請求項6乃至9のいずれか1項に記載の地下水位低下工法。
  11. 飽和地盤の締め固め工法であって、
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の吸水管システムを地盤内に設置して前記地盤内の地下水位を低下させ、または、請求項6乃至10のいずれか1項の地下水低下工法により前記地盤内の地下水位を低下させ、次に、前記地盤の締め固めを行う飽和地盤の締め固め工法。
  12. 前記地盤の締め固めを、前記地盤に対する材料の圧入、振動または衝撃により実施する請求項11に記載の飽和地盤の締め固め工法。
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