JP2009046918A - 真空圧密による軟弱地盤改良工法 - Google Patents

真空圧密による軟弱地盤改良工法 Download PDF

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Abstract

【課題】気密シートのコストがかからずに気密を確保して真空圧密工法を行うことができ、また、残留沈下が生じないようにした真空圧密による軟弱地盤改良工法を提供する。
【解決手段】この真空圧密による軟弱地盤改良工法は、ドレーン材11を軟弱地盤G中に打設し、ドレーン材内を真空ポンプにより減圧することで軟弱地盤中の水をドレーン材を通じて排水させるものあって、軟弱地盤の改良域の周囲に築堤30を行い、改良域に凹部領域40を形成し、凹部領域の底面を覆うようにして気密シート41を敷設し、気密シート上に水Wを溜めてから真空ポンプにより減圧を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、軟弱地盤を改良するための真空圧密による軟弱地盤改良工法に関する。
従来のシート式真空圧密による軟弱地盤改良工法の概要図を図7に示す。図7のように、改良区域の軟弱地盤G上にサンドマットMを敷設した後、軟弱地盤G内に一定間隔毎に多数の鉛直ドレーン材Dを上部がサンドマットM内に埋め込まれるように打設し、その後、サンドマットMの表面を気密シートSで覆い、気密シートS内を、サンドマットM内に埋め込んだ集水管Jを通して真空ポンプPを使用した減圧手段で減圧させる方法が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。この従来のシート式真空圧密工法は、軟弱地盤G中に挿入したドレーン材D内を減圧することにより大気圧を地盤表面に載荷し圧密及び排水を促進させることで軟弱地盤を改良するものである。このようなシート式真空圧密工法では、改良区域を覆う気密シートとして積層構造の気密シート(例えば、特許文献1では、合成樹脂シートや繊維基材表面に合成樹脂フィルムをラミネートしたもの)を用い、熱融着を利用して接着するなどによって、ほぼ完全な気密状態をつくり出し、充分な負圧による圧密効果を得るようにしている。
また、下記特許文献2のように、透水性の鉛直ドレーン材を改良区域の軟弱地盤中に打設し、鉛直ドレーン材内を減圧手段により減圧することにより軟弱地盤中の水を鉛直ドレーン材を通じて排水させる真空圧密ドレーン工法が公知である。すなわち、図8のように、ドレーン材110は軟弱地盤G中への挿入深さに対応した長さを有し、ドレーン材110の上端に気密性キャップ120を取り付け、ドレーン材110を気密性キャップ120を上側にし気密性キャップ120の深さが上面100から地下水位面200に達するまで軟弱地盤中に挿入する。気密性キャップ120は排水用筒材130及び集水管150を通して減圧手段に通じている。かかる真空圧密ドレーン工法によれば、気密性キャップ120の深さ位置以上の部分を気密シール層として利用でき、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
特許第3270968号公報 特開2006−241872号公報
しかし、図7のシート式真空圧密工法によれば、サンドマットの敷設にコストがかかり、また、ほぼ完全な気密状態をつくるために高価な積層構造の気密シートや熱融着を利用した接着等が必要となり、コストが嵩んでしまう。これに対し、図8の真空圧密ドレーン工法によれば、キャップ付ドレーン材を用い、気密性キャップ120の深さ位置以上の部分に位置する改良対象粘土層の上部(例えば1mほど)を負圧シール層として利用するので、図7のようなサンドマット及び気密シートの敷設が不要となるが、例えば宅地造成などのような陸上の地盤改良においては、図8の気密性キャップ120の深さ位置以上の部分に対応する負圧シール層が未改良となるため、残留沈下が幾分生じるという問題があった。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、気密シートのコストがかからずに気密を確保して真空圧密工法を行うことができ、また、残留沈下が生じないようにした真空圧密による軟弱地盤改良工法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本実施形態による真空圧密による軟弱地盤改良工法は、ドレーン材を軟弱地盤中に打設し、前記ドレーン材内を真空ポンプにより減圧することで前記軟弱地盤中の水を前記ドレーン材を通じて排水させるようにした真空圧密による軟弱地盤改良工法であって、前記軟弱地盤の改良域の周囲に築堤を行い、前記改良域に凹部領域を形成し、前記凹部領域の底面を覆うようにして気密シートを敷設し、前記気密シート上に水を溜めてから前記真空ポンプにより減圧を行うことを特徴とする。
この真空圧密による軟弱地盤改良工法によれば、軟弱地盤の改良域の周囲に築堤により凹部領域を形成し、凹部領域の底面に敷設した気密シート上に水を溜めてから真空圧密を行うことで負圧が作用するドレーン材に流入する空気を遮断できるので、気密シート下の改良域において気密を確保した真空圧密工法を行うことができる。
すなわち、例えば、気密シートとして簡易なビニールシートを用いた場合、充分な気密効果を得ることができず空気の漏れが生じる可能性があるが、気密シート上に水を溜めておくことで、空気の流入を遮断できる。空気が流入するとドレーン材の負圧が低下するが、少量の水が流入しても負圧を充分に確保できる。このため、気密シートとして、従来のような積層構造のものは不要となり、例えば、厚さ1mm以下の簡易なビニールシートを用いることができ、また、シートの接着も施工現場での接着剤や接着テープで簡易に行うことができるので、気密シートに関し材料コスト及び接着コストがさほどかからない。さらに、気密シート上に溜めた水が地盤面に圧密荷重として作用するので、圧密効果が増す。
上記真空圧密による軟弱地盤改良工法において、前記ドレーン材の上端に気密性キャップを取り付け、前記ドレーン材を前記気密性キャップの位置が地盤面とほぼ同一となるように打設することで、軟弱地盤において未改良部分がなくなり、残留沈下が生じない。
なお、上記真空圧密による軟弱地盤改良工法では、前記気密性キャップに排水ホースを取り付け、前記排水ホースを前記改良域で延在する集水管に取り付け、前記集水管を介して前記真空ポンプが前記ドレーン材に連通するように構成することができる。
また、前記築堤に遮水層を地下水位以下に達するように形成することが好ましい。
また、前記気密シート上に溜めた水の水位は、前記凹部領域の底面全体の不陸をカバーする高さ以上とすることが好ましい。この場合、真空圧密工程の間に不陸の状態が変わっても水位が常に不陸をカバーする高さ以上となるように管理することが好ましい。
本発明の真空圧密による軟弱地盤改良工法によれば、気密シートに関しコストがかからずに気密を確保して真空圧密工法を行うことができ、また、未改良部分がなくなり残留沈下が生じない。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態による軟弱地盤改良工法において軟弱地盤に打設した垂直ドレーン材、軟弱地盤の改良域の周囲の築堤及び気密シート等を概略的に示す地盤垂直方向の要部断面図である。
図2は図1の鉛直ドレーン材の一例を示し、これを一部切り欠いて示す斜視図である。図3は図2の鉛直ドレーン材(端部を切り欠いて示す)と排水ホースとを連結する気密性キャップを示す斜視図である。図4は図1の鉛直ドレーン材と集水管の水平配置例を示す平面図である。図5は図1の築堤を概略的に示す斜視図である。
図1に示すように、透水性を有するドレーン材11は、気密性キャップ12を介して排水ホース13に連結されている。気密性キャップ12を上側にし、ドレーン材11が軟弱地盤Gの地盤面10から軟弱地盤G中に気密性キャップ12が地盤面10とほぼ同一高さとなるように挿入される。軟弱地盤Gの地盤面10から延びた排水ホース13は集水管15に接続され、排水路を構成する。
ドレーン材11は、例えば、図2に示すようなプラスチックボードドレーンから構成され、内部に波型断面の補強材21が収容された薄型角筒状の多孔質材からなる芯材22の外周を不織布等からなる透水性被覆材23にて被覆した構造を有する。なお、ドレーン材11としては、例えば合成樹脂繊維製の多孔質材からなるケミカルドレーンなど、内部に中空若しくは多孔質の通水路が形成され、それ自体に保形性があるドレーン材を使用できる。
図3に示すように、気密性キャップ12は、頂部に排水ホース13が連結され、下端側開口部にドレーン材11の上端が挿入され、例えばテーピングや接着剤塗布によりドレーン材11と気密性キャップ12との間の気密性を確保する。
図4に示すように、図1のドレーン材11は、軟弱地盤改良対象地に多数本が打ち込まれ、気密性キャップ12を介して連結された排水ホース13の先端はそれぞれ集水管15に連結され、集水管15を減圧手段である真空ポンプ20に連通させ、集水管15、排水ホース13を通じてドレーン材11内を減圧し、軟弱地盤Gから水を吸い出し、軟弱地盤Gの地盤面10の外部へと排水するようにして真空圧密による軟弱地盤改良を行う。
図1のドレーン材11は、工場での製造時に、図2,図3のように、予め挿入深さに対応した長さに切断されたドレーン材11の上端に気密性キャップ12を取り付け、気密性キャップ12に排水ホース13を連結したドレーン材として軟弱地盤改良の施工現場に搬入されることが好ましい。これにより、施工現場においてドレーン材11の切断や気密性キャップ12の取り付けや排水ホース13の気密性キャップ12への連結が不要となり、現場作業工数が大幅に減り、現場作業の効率が向上し、効率良く軟弱地盤改良を行うことができる。
図1,図4のように、軟弱地盤Gの改良域には、多数のドレーン材11が所定間隔で打設され、気密性キャップ12を介してドレーン材11に連結された排水ホース13が集水管15に連結され、集水管15が真空ポンプ20に連通している。
図1,図5のように、軟弱地盤Gの改良域の周囲において築堤し、土盛りをして築堤部30を形成している。築堤部30が軟弱地盤Gの改良域を包囲するようにして形成されることで築堤部30の内側に凹部領域40が形成される。
築堤部30の上面30aの幅方向の略中央に鋼板からなる矢板31が打設され、遮水層が形成される。矢板31の下端32は、図2のように、地下水位2よりも深く粘土層の中に達している。
築堤部30の内部の凹部領域40の底面全体を覆うようにして簡易な気密シート41が敷設される。気密シート41は築堤部30の上面30aまで延びており、気密シート41の端部42が矢板31の近傍で築堤部30内に巻き込まれる。ここで、簡易な気密シート41とは、厚さ1mm程度以下の安価なビニールシート等であって、フィルム等をラミネートした積層構造を有しないものである。
軟弱地盤Gの改良域の凹部領域40の底面全体を覆う気密シート41には水Wが溜められてから、図4の真空ポンプ20が作動し真空圧密による軟弱地盤改良が行われる。
次に、本実施の形態の軟弱地盤改良工法による施工例について図6を参照して説明する。図6は、本実施の形態の真空圧密による軟弱地盤改良工法の各工程(S01〜S07)を説明するためフローチャートである。
図2,図3のような気密性キャップ12の付いたドレーン材11を図1のように改良域の軟弱地盤Gに所定間隔例えば1m間隔で打設し(S01)、地盤面10上で図4のように排水ホース13や集水管15等の配管を行い、負圧作用のための準備を行う。このとき、気密性キャップ12は地盤面10とほぼ同一の高さ位置とする。
次に、改良域の周囲で土盛りを行い、例えば1.5m高さの築堤を行い、図1,図5のように築堤部30を形成する(S02)。改良域の周囲に形成した築堤部30により凹部領域40が形成される。
次に、図1,図5のように、築堤部30の上面30aの中央部に遮水層の形成のために鋼板製の矢板31を打設する(S03)。なお、遮水層(矢板31)の下端32の深度は地下水位2よりも深くかつ粘土層の中とする。
次に、図1のように、改良域の凹部領域40の地盤面10全域に簡易な気密シート41を設置する(S04)。なお、簡易な気密シート41は、例えば、0.2mm厚さの安価な(積層構造を有しない)ビニールシートを用い、幅4m、長さ100mのロール状で現地に搬入し、気密シート41の展張を人力で行い、気密シート41は30cm幅を重ねて接着剤で接着する。
次に、築堤部30の矢板31近傍の上面30aを例えば50cm程度掘削し、凹部領域40内の地盤面10全域に設置した簡易な気密シート41の端部42を巻き込み、粘土を充填して密封する(S05)。
次に、図1のように凹部領域40内で気密シート41上に例えば約1mの水を溜める(S06)。このとき、気密シート41上に溜める水の水位は、施工場所の不陸をカバーできる高さ以上とし、地盤面10に凹凸があっても、地盤面10の全域が水で満たされるようにする。
次に、図4の真空ポンプ20を作動させて負圧作用で真空圧密による地盤改良を行う(S07)。なお、この真空圧密工程(S07)の間に気密シート41の下の地盤面10が沈下しても気密シート41上の水の水位は常に不陸をカバーできる高さ以上となるように管理する。
以上のように、本実施の形態によれば、真空圧密による地盤改良工法において、改良域の地盤面10を簡易な気密シート41で覆うとともに気密シート41の上部に水を溜め、真空圧密工法を適用して負圧による圧密地盤改良を行うが、このとき、地盤面10を覆う気密シート41上に水を溜めることで気密シート41下で充分な気密を確保することができる。
本実施の形態では、負圧による充分な地盤改良効果を得るために簡易な気密シートと水とを併用している。すなわち、簡易な気密シートとは厚さ1mm程度以下の安価なビニールシートなどであり、現場での接着は接着剤や接着テープ(ガムテープ)などで行うことができ、簡易な気密シートを用いることで、材料にも接着施工にもコストがかからない。しかし、こうした簡易な気密シートでは充分な気密効果を得ることができず、空気の漏れが生じる可能性がある。そこで、気密シートの上部に水を溜めることで、負圧が作用している気密性キャップ付きのドレーン材(地盤内に打設)に入る空気を遮断することができる。
ドレーン材に空気が流入すると負圧が低下するが、少量の水が流入しても充分な負圧を確保することができる。このように負圧が確保できる理由(1)〜(3)は次のとおりである。
(1)真空ポンプの容量は少量の水が入っても、充分な負圧が確保できるように設計されていること。
(2)土の透水係数は10-3〜10-4cm/s程度と小さく、簡易な気密シートからの漏水量は比較的少ないこと。
(3)負圧により空気は膨張するが、水は膨張しないことから漏水量は変化しないため。
また、気密シートの上部に溜めた水は、改良域の地盤面への圧密荷重としても作用するので、改良効果が増加するという利点もある。
これまで地盤改良に真空圧密工法を適用する際には、少量の水の漏れ(吸引)を許容しながら地盤改良を行うという考え方はなかったのに対し、本実施の形態では、真空圧密工法における気密確保に水を利用することで、簡易な気密シートを用いることができ、このため、従来の真空圧密工法に比べて、コストダウンを達成できる。
また、ドレーン材11の上端の気密性キャップ12が地盤面10とほぼ同一の高さ位置であるので、地盤面10直下から真空圧密を行うことができる。このため、未改良部分がなくなり、残留沈下をなくすことができる。
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、気密性キャップ12を付けたドレーン材11を軟弱地盤に打設し、気密性キャップ12に排水ホース13を連結し、排水ホース13を集水管に接続したが、本発明はかかる工法に限定されず、シートで改良域の地盤面を覆うようにした真空圧密工法や図10のようなサンドマット式真空圧密工法のような他の工法であってもよいことはもちろんである。
本実施の形態による軟弱地盤改良工法において軟弱地盤に打設した垂直ドレーン材、軟弱地盤の改良域の周囲の築堤及び気密シート等を概略的に示す地盤垂直方向の要部断面図である。 図1の鉛直ドレーン材の一例を示し、これを一部切り欠いて示す斜視図である。 図2の鉛直ドレーン材(端部を切り欠いて示す)と排水ホースとを連結する気密性キャップを示す斜視図である。 図1の鉛直ドレーン材と集水管の水平配置例を示す平面図である。 図1の築堤を概略的に示す斜視図である。 本実施の形態の真空圧密による軟弱地盤改良工法の各工程(S01〜S07)を説明するためフローチャートである。 従来のシート式真空圧密による軟弱地盤改良工法の概要を説明するための図である。 従来の真空圧密ドレーン工法の概要を説明するための図である。
符号の説明
2 地下水位
10 地盤面
11 ドレーン材
12 気密性キャップ
13 排水ホース
15 集水管
20 真空ポンプ
30 築堤部
31 矢板
40 凹部領域
41 気密シート
G 軟弱地盤
W 水

Claims (5)

  1. ドレーン材を軟弱地盤中に打設し、前記ドレーン材内を真空ポンプにより減圧することで前記軟弱地盤中の水を前記ドレーン材を通じて排水させるようにした真空圧密による軟弱地盤改良工法であって、
    前記軟弱地盤の改良域の周囲に築堤を行い、前記改良域に凹部領域を形成し、
    前記凹部領域の底面を覆うようにして気密シートを敷設し、
    前記気密シート上に水を溜めてから前記真空ポンプにより減圧を行うことを特徴とする真空圧密による軟弱地盤改良工法。
  2. 前記ドレーン材の上端に気密性キャップを取り付け、前記ドレーン材を前記気密性キャップの位置が地盤面とほぼ同一となるように打設する請求項1に記載の真空圧密による軟弱地盤改良工法。
  3. 前記築堤に遮水層を地下水位以下に達するように形成する請求項1または2に記載の真空圧密による軟弱地盤改良工法。
  4. 前記気密シート上に溜めた水の水位は、前記凹部領域の底面全体の不陸をカバーする高さ以上とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の真空圧密による軟弱地盤改良工法。
  5. 前記気密シートとして厚さ1mm以下の簡易なビニールシートを用いる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の真空圧密による軟弱地盤改良工法。
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