JP3656217B2 - 軟弱地盤の改良工法及び改良装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば湖沼周囲の埋立造成区域などの軟弱地盤に多量に含まれる水を排出することで、軟弱地盤を硬質地盤へと改良する軟弱地盤の改良工法及び改良装置に関する。詳細には真空圧の伝播経路とは独立した排出経路で改良地盤からの間隙水を排出することで、改良地盤内の真空圧を改良地盤内の隅々まで伝達させて、より効率よく地盤を改良することができる軟弱地盤の改良工法及び改良装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軟弱地盤の改良装置としては、改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した鉛直ドレーン材を通じて改良地盤中に真空圧を負荷することで、前記改良地盤中に改良地盤周辺部と隔離された減圧領域を造り出すようにしたものがある。
【0003】
に示す改良装置は、改良地盤A中に所定の間隔をおいて設置した鉛直ドレーン材1と、この各鉛直ドレーン材1上端部に接触するように配置した水平ドレーン材2と、この水平ドレーン材2に接続した集水管3と、改良地盤A上面を前記鉛直ドレーン材1、水平ドレーン材2及び集水管3とともに被覆する気密シート6と、前記集水管3に真空タンク4を介して接続する真空ポンプ5とを有するものである。
【0004】
に示す装置を用いた改良工法は以下のとおりである。すなわち、真空ポンプ5を稼働させ、この真空ポンプ5からの真空圧で真空タンク4内が所定の減圧度に達すると、減圧逆止弁(図示しない)が開き、これに接続する集水管3が減圧される。次いで、この集水管3に接続する水平ドレーン材2に真空圧が伝播し水平ドレーン材2が減圧される。さらにこの水平ドレーン材2に上端部が接続する鉛直ドレーン材1に真空圧が伝播し、鉛直ドレーン材1内を所定の真空圧(0.4気圧以下)とする。
【0005】
さらに鉛直ドレーン材1内の真空圧は、鉛直ドレーン材1周囲の地盤Aへと伝播し、鉛直ドレーン材1を中心にその周囲の地盤を減圧状態の領域(以下減圧領域という)とする。
【0006】
真空圧は、減圧領域となった鉛直ドレーン材1周りの地盤から、さらに外側周りの地盤へと伝播してゆき、この結果、鉛直ドレーン材1へと向かう地盤加圧(水圧、土圧)が発生する。
【0007】
この地盤加圧に従って、鉛直ドレーン材1周囲の地盤に含まれる間隙水は鉛直ドレーン材1に向かって吸い出され、鉛直ドレーン材1、水平ドレーン材2及び集水管3を排水経路として排水され、これに伴って鉛直ドレーン材1周囲の地盤のさらに外側周りの地盤も減圧領域となる。
【0008】
こうして、鉛直ドレーン材1を中心にしてその周囲の地盤に減圧領域が広がり、やがて改良地盤A全域が減圧領域となり、同時に鉛直ドレーン材1を中心にして圧密、強度増加が進行し、改良地盤A全域の圧密、強度増加が行われることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記改良装置にあっては、真空ポンプ5からの真空圧の伝播経路である、真空ポンプ5、真空タンク4、集水管3、水平ドレーン材2及び鉛直ドレーン材1が、そのまま改良地盤から吸い出された間隙水の排水経路となっている。
【0010】
このため、この改良装置によれば、真空圧を負荷した当初、集水管2内には、鉛直ドレーン材1及び水平ドレーン材2を通じて改良地盤Aからの間隙水が一気に大量に流れ込んで該集水管3内を満たし、真空ポンプ4からの真空圧が鉛直ドレーン材1へ伝わらないか、あるいは伝わりにくくなってしまい、改良効率を著しく阻害していた。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、真空圧の伝播経路とは独立した排水経路で改良地盤からの間隙水を排水することで、改良地盤内の真空圧を改良地盤内の隅々まで伝達させて、より効率よく地盤を改良することができる軟弱地盤の改良工法及び改良装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、改良する軟弱地盤(以下改良地盤という)上面全体を気密シートで被覆して前記改良地盤中に真空圧を負荷することで、前記改良地盤中に改良地盤周辺部と隔離された減圧領域を造り出す軟弱地盤の改良工法において、
前記改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した各鉛直ドレーン材に水平ドレーン材を介して繋がる集水管の集水経路で複数の第1排水タンクと前記改良地盤外へと通じる第2排水タンクとを接続すると共に、前記第1排水タンク間及び前記第1排水タンクと第2排水 タンクとの間を連通管によって連通させて、前記集水管に集水された間隙水を前記各第1排水タンクへと排水し、さらに前記第1排水タンク内の間隙水を連通管を介して第2排水タンクへと排水し、この後、前記第2排水タンク内部に内蔵した排水ポンプによって前記第2排水タンク内の間隙水を改良地盤外へと強制的に排出することを特徴とする軟弱地盤の改良工法をその要旨とし、
請求項2〜6記載の発明は、改良地盤上面全体を気密シートで被覆して前記改良地盤中に真空圧を負荷することで、前記改良地盤中に改良地盤周辺部と隔離された減圧領域を造り出す軟弱地盤の改良装置において、
前記改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した各鉛直ドレーン材に水平ドレーン材を介して繋がる集水管の集水経路に接続された複数の第1排水タンク及び前記改良地盤外へと通じる第2排水タンクと、前記第1排水タンク間及び前記第1排水タンクと第2排水タンクとの間を連通させる連通管とを有していて、前記集水管に集水された間隙水が前記第1排水タンクへと排水され、前記連通管を介して第1排水タンク内の間隙水が第2排水タンクへと排水され、さらに前記第2排水タンク内部に内蔵した排水ポンプによって第2排水タンク内の間隙水が改良地盤外へと強制的に排出されるようにしたことを特徴とする軟弱地盤の改良装置をその要旨とした。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の軟弱地盤の改良工法及び改良装置を図面に示した一形態に従って詳細に説明する。図1〜図4に示す改良装置は、改良地盤A中に真空圧を負荷することで、前記改良地盤A中に改良地盤周辺部Bと隔離された減圧領域を造り出すものであり、真空圧発生手段からの真空圧が改良地盤Aに伝播していく真空圧の伝播経路と、これとは独立した間隙水の排水経路とを有することを特徴とするものである。
【0014】
図1〜図4に示す改良装置における真空圧の伝播経路は、改良地盤A中に所定の間隔をおいて設置した鉛直ドレーン材51と、この各鉛直ドレーン材51に接続した水平ドレーン材52と、水平ドレーン材52に接続した集水管53と、この集水管53に真空タンク14を介して接続する真空ポンプ15とからなる。
【0015】
鉛直ドレーン材51は、地盤加圧の環境でも真空圧(減圧)の伝播、排水経路としての機能を確保でき、目詰まりせず、沈下による圧縮や減圧で潰れることがないものであれば、その構造、素材、大きさなどは任意である。図1に示す鉛直ドレーン材51は、長手方向に一定間隔に立てて並べた長尺な平板状の合成樹脂線材に同じく長尺な平板状の合成樹脂線材を直交方向に所定間隔に立てて並べて、これらの合成樹脂線材を交点で接合した合成樹脂ネットと、これを内包する不織布とからなるものを用いた。この鉛直ドレーン材51にあっては、折れたり曲がったりしても、合成樹脂ネットと不織布とによって形成されている通水経路が確保されており、しかも合成樹脂ネット全体が不織布で覆われていて、目詰まりを生じ難いというメリットがある。この鉛直ドレーン材51を上端部を残して所定間隔に打設することで、改良地盤A中に鉛直排水壁が造成されるようになっている。
【0016】
この鉛直ドレーン材51の改良地盤A上面に残る上端部に水平ドレーン材52が接触するように配置されている。水平ドレーン材52としては、水及び空気が当該水平ドレーン材52の長手方向(水平方向)へと移動できる通路としての機能を持つものならば、線状や帯状、面状のものなど何でもよいが、前記鉛直ドレーン材51を介して改良地盤A側から吸い上げられた水及び空気が当該水平ドレーン材52内部へ侵入する口、例えば孔、スリットなどが、地盤中の砂や土砂などによって閉塞してしまい、水及び空気の水平ドレーン材52内部への侵入が困難となったり、同じく改良地盤A中の砂や土砂などによって通路が閉塞して水及び空気が移動できなかったりすることが少ない構造のものが好ましい。図1に示す形態では、前記鉛直ドレーン材51と同じ構造(合成樹脂ネットとその表面を覆う不織布とからなるもの)を持つものを用いた。この場合、水及び空気は、合成樹脂ネ ットを覆う不織布側から侵入し、合成樹脂ネットと不織布との隙間、及び不織布の構成繊維相互間を通して移動するようになる。
【0017】
この水平ドレーン材52の所要箇所に集水管53が接続されている。集水管53は、管周面に多数の孔を設けた有孔管(図示の例では塩ビ管)であり、この集水管53の一端側に真空タンク14を介して真空ポンプ15が接続されている。
【0018】
真空圧を発生させる真空圧発生手段たる真空ポンプ15としては、特に限定されず、改良地盤の規模や要求される真空圧の大きさを考慮して適宜決定すればよい。本実施例では水密式真空ポンプを用いた。
【0019】
尚、真空圧発生手段たる真空ポンプ15として水密式真空ポンプを用いる場合、図2に示すような水封用循環冷却水タンク30を備えたものが望ましい。水密式真空ポンプを用いる場合、同ポンプには水封用冷却水を供給しなければならない。ところが前述の如く、本発明の改良装置によれば、真空圧の負荷に伴って改良地盤A内から吸い出された空気及び間隙水の大部分は前記真空圧の伝播経路とは別の排水経路を通じて改良地盤A(装置)外へ排出されるので、真空圧の伝播経路を通じて真空タンク14内へ排出される空気及び間隙水はほんの一部に過ぎない。
【0020】
このため、地盤改良が進んで間隙水量が減少すると、当然に真空タンク14内に排出される間隙水量も減り、真空ポンプ15へは水封用の間隙水が供給されなくなるので、十分な水密性が確保できなくなり、真空ポンプ15の効率が次第に低下してしまうという不具合が生じる恐れがある。
【0021】
図2に示す真空ポンプ15によれば、水封用循環冷却水タンク30を備えていて、真空ポンプ15へは冷却水循環用パイプ32を通じて水封用循環冷却水が供給されるようになっているので、真空ポンプ15は常に十分な水密性が確保され、真空ポンプ15の効率が次第に低下してしまうこともない。
【0022】
改良地盤A上面は、上記鉛直ドレーン材51上端部、水平ドレーン材52、並びに集水管53とともに気密シート50で被覆されている。このため、上述の真空ポンプ15からの真空圧が、真空タンク14、集水管53、水平ドレーン材52及び鉛直ドレーン材51を介して、確実に改良地盤A上面、並びに改良地盤A内部に伝播するようになっている。尚、図1に示す気密シート50には、不織布や織物などの繊維基材に合成樹脂フィルムをラミネートしてピンホールの発生を防止したものを用いた。
【0023】
図1〜図4に示す改良装置は、改良地盤A中に所定の間隔をおいて設置した各鉛直ドレーン材51に水平ドレーン材52を介して繋がる集水管53の集水経路の所要位置に接続された複数の第1排水タンク54を有している。集水管53は、第1排水タンク54の上部位置に接続されていて、前記集水管53に集水された間隙水が重力に従って前記各第1排水タンク54へと排水されるようになっている。
【0024】
またこの装置は、改良地盤A外へと通じる第2排水タンク55を有しており、この第2排水タンク55と前記第1排水タンク54との間、並びに前記各第1排水タンク54間は、第1排水タンク54及び第2排水タンク55の下部に接続された連通管56によって連通状態に設けられている。
【0025】
各第1排水タンク54へと排水された間隙水は、前記連通管56を介して第2排水タンク55へと排水される。第2排水タンク55内の間隙水は、第2排水タンク55内部に内蔵した排水ポンプ57によって排水管58を通じて強制的に排出されるようになっている 。尚、排水管58には間隙水の逆流を防止するための逆止弁59が取り付けられている。
【0026】
一方、集水管13によって間隙水と共に第2排水タンク55内に運ばれた空気は、改良地盤A外の真空タンク14に繋がる排気管60を通じて排気されるようになっている。
【0027】
尚、第1排水タンク54、第2排水タンク55の形状や大きさはまったく任意であり、改良地盤の規模や地盤の種類などを考慮して適宜決定すればよい。また、第2排水タンク55に内蔵されている排水ポンプ57の種類も任意であり、改良地盤の規模や地盤の種類、価格などを考慮して適宜決定すればよい。
【0028】
このように構成された図1〜図4の改良装置によれば、真空圧の負荷に伴って改良地盤A内から吸い出された空気及び間隙水の大部分は前記真空圧の伝播経路とは独立した排水経路、すなわち集水管53の集水経路に接続された複数の第1排水タンク54及び改良地盤A外へと通じる第2排水タンク55を通じて改良地盤A外へ排出されるようになっている。
【0029】
一方、改良地盤Aからの空気及び間隙水の一部は、真空圧の伝播経路である鉛直ドレーン材51、水平ドレーン材52及びこれに繋がる集水管53を介して真空タンク14内に排水され、この間隙水は同真空タンク14内に配置した排水ポンプ(図示しない)によって改良地盤A(装置)外へ排水され、空気は真空ポンプ15によって改良地盤A(装置)外へ排気されるようになっている。
【0030】
また本発明の改良装置には、改良地盤及びまたは改良地盤周辺部中に大気または圧縮空気を送り込む通気経路を設けることもできる。
【0031】
図5に示す改良装置の場合、改良地盤A(表層部分や地盤内部)の複数箇所にドレーンパイプ40を配置している。ドレーンパイプ40の一端は地上の集水パイプ43、ブロア41、空気量の制御手段42を介して外気と繋がっていて、このドレーンパイプ40、集水パイプ43、ブロア41、制御手段42を介して改良地盤Aに負荷された真空圧(例えば0.4気圧以下)が維持される範囲に制御された圧縮空気が改良地盤A中に送り込まれるようになっている。
【0032】
これにより、ドレーンパイプ40を配置した改良地盤A(表層部分や地盤内部)における間隙水分が、送り込まれた空気と置換されて真空蒸発し、改良地盤Aの塑性化、不飽和化が促進されることになる。また、空気の導入により、沈下変形の少なくなった改良地盤A中の真空領域での圧力のバランスが崩れて、強制排水も促進されるので、地盤改良効果もより効果的に進むことになる。
【0033】
尚、図5に示す改良装置の場合、改良地盤A中に送り込む圧縮空気は連続的に送り込んでも間欠的に送り込んでもよい。
【0034】
尚、図5に示す例では、ブロア41を具えたドレーンパイプ40を用いて、改良地盤A中に圧縮空気を強制的に送り込んだが、これに限らず単に改良地盤A中にドレーンパイプ40のみを配置してエアーをリークさせるだけでもよい。
【0035】
図6に示す改良装置は、改良地盤周辺部B中に複数箇所にドレーンパイプ40を配置(好ましくは改良地盤Aから数m以内の箇所に0.3〜1m間隔で1列以上)する。また各ドレーンパイプ40を端部にバルブ(図示しない)を具えた集水パイプ43に接続し、このバルブ(図示しない)を開閉操作することで、改良地盤周辺部B内部と外気とが繋がるようになっている。尚、ドレーンパイプ40上端及び集水パイプ43は粘土で埋め戻され ていて、気密性が確保されている。
【0036】
このため、ドレーンパイプ40を配置した改良地盤周辺部Bにおける間隙水分が、バルブ(図示しない)の開閉により各ドレーンパイプ40及び集水パイプ43を介してリークした空気と置換されて蒸発し、改良地盤周辺部Bの地下水が低下して、改良地盤周辺部B、特には表層部の塑性化、不飽和化が促進され硬化が高まるようになる。この結果、改良地盤Aと改良地盤周辺部Bとの間で縁切り効果が生じ、地盤改良による改良地盤周辺部Bへの影響が緩和され、改良地盤Aのみが沈下するようになる。
【0037】
次に、本発明の軟弱地盤の改良工法(以下、改良工法という)について説明する。図1〜図4に示す装置を用いた改良工法は以下のとおりである。まず、鉛直ドレーン材51を改良地盤A中に所定間隔に打設する。鉛直ドレーン材51を打設する間隔は、負荷された真空圧による真空圧伝播の可能な範囲が望ましく、具体的には1m程度である。この鉛直ドレーン材51をマンドレル(図示しない)に内挿した状態で地盤A中に貫入し、鉛直ドレーン材51を改良地盤A内に残したままマンドレル(図示しない)を引き上げることで打設することができる。
【0038】
こうして鉛直ドレーン材51を改良地盤A中に所定の間隔をおいて打設することで、改良地盤A中には所定の間隔をおいて鉛直状の排水柱が造成されることになり、各排水柱間の改良地盤A中に含まれる水及び空気がこの鉛直ドレーン材51を排水経路として吸い上げられるようになっている。
【0039】
この鉛直ドレーン材51には水平ドレーン材52が接続されている。鉛直ドレーン材51は、その上端部分が改良地盤Aの上面に突出するように打ち込まれており、この突出部分に水平ドレーン材52を接触するように平行状に配置する。
【0040】
この水平ドレーン材52の所要箇所に集水管53を接続する。集水管53は、管周面に多数の孔を設けた有孔管であり、この集水管53の一端側には真空タンク14を介して真空ポンプ15が接続されている。そして、真空ポンプ15からの真空圧が真空タンク14を介して集水管53へと伝達され、さらにはこの集水管53に繋がる水平ドレーン材52及び鉛直ドレーン材51を介して改良地盤Aへの真空圧が伝播するようになっている。
【0041】
尚、本発明の改良工法にあっては、鉛直ドレーン材51の打設、水平ドレーン材52の配置、集水管53の接続の後、改良地盤A上面を鉛直ドレーン材51上端部、水平ドレーン材52及び集水管53とともに気密シート50で被覆して、真空ポンプ15からの真空圧が確実に改良地盤A上面及び改良地盤内部に伝播するようにした。
【0042】
このように、図1〜図4に示す改良装置を用いた改良工法にあっては、真空ポンプ15からの真空圧が、真空タンク14、集水管53、水平ドレーン材52、及び鉛直ドレーン材51へと伝播し、鉛直ドレーン材51内を所定の真空圧(0.4気圧以下)とするようになっている。
【0043】
さらに鉛直ドレーン材51内の真空圧は、鉛直ドレーン材51周囲の地盤Aへと伝播し、鉛直ドレーン材51を中心にその周囲の地盤Aを減圧状態の領域(以下減圧領域という)とする。
【0044】
真空圧は、減圧領域となった鉛直ドレーン材51周りの地盤Aから、さらにその周囲の地盤Aへと伝播してゆき、鉛直ドレーン材51周りの地盤Aへと向かう地盤加圧(水圧、土圧)が発生する。
【0045】
この地盤加圧に従って、鉛直ドレーン材51周囲の地盤Aに含まれる間隙水が鉛直ドレーン材51に向かって吸い出され、鉛直ドレーン材51、水平ドレーン材52及び集水管53を通って排水され、これに伴って鉛直ドレーン材51周囲の地盤Aの外側も減圧領域となる。
【0046】
こうして、鉛直ドレーン材51を中心にしてその周囲の地盤Aに減圧領域が広がり、やがて改良地盤A全域が減圧領域となり、同時に鉛直ドレーン材51を中心にして圧密、強度増加が進行し、改良地盤A全域の圧密、強度増加が行われることになる。
【0047】
一方、改良地盤Aから吸い出された間隙水は、以下の排水経路を通って排水されるようになっている。すなわち、鉛直ドレーン材51及び水平ドレーン材52を通じて吸い出された改良地盤Aからの間隙水は、一旦集水管53内に入り込む。
【0048】
集水管の集水経路の所要位置には複数の第1排水タンクが接続されている。図1〜図4に示すように、集水管53は、第1排水タンク54の上部位置に接続されていて、前記集水管53に集水された間隙水が重力に従って前記各第1排水タンク54へと排水されるようになっている。
【0049】
また、前記各第1排水タンク54間と第2排水タンク55とは連通管56によって連通状態となっている。このため、各第1排水タンク54へと排水された間隙水は、前記連通管56を介して第2排水タンク55へと排水されるようになっている。第2排水タンク55内に排水された間隙水は、第2排水タンク55内部に内蔵した排水ポンプ57によって排水管58を通じて改良地盤A外へ強制的に排出されるようになっている。尚、排水管58には間隙水の逆流を防止するための逆止弁59が取り付けられている。
【0050】
改良地盤A中の間隙水の排水に伴い、地盤Aは圧密沈下を生じる。地盤Aが沈下すると、地表に設置している真空タンク14と地盤A中に設置している第2排水タンク55との間には高低差が生じる。この高低差が10mを越えると、前述の真空圧を利用した排水方法では地盤A中の間隙水を排水できなくなる。というのは1気圧の下での真空揚水力は10mが限界であるからである。このため、地盤Aの沈下が進めば進むほど、真空揚水力は低くなり、排水効率は低下することになる。
【0051】
図1〜図4に示す第2排水タンク55の場合、排水ポンプ57が内蔵されていて、第2排水タンク55内の間隙水が強制的に排出されるようになっているため、地盤Aの沈下の進度に関係なく排水が可能であり、地盤深部の改良も効率的、かつ確実に行うことができる。
【0052】
また、第2排水タンク55の場合、排水ポンプ57を内蔵していて地盤Aの沈下の進度に関係なく排水が可能であることから、真空圧により地盤A中に減圧領域を造り出した後も、真空圧の負荷を継続したならば、改良地盤、特には地盤表層部(地表から1〜2m)に含まれる水分が蒸発し、地盤は不飽和な土となる。
【0053】
尚、不飽和な土とは、盛土などの上載荷重による過剰間隙水圧の発生がなく、飽和な土よりも強い材質をいう。このため、減圧領域の造出後も真空圧の負荷を継続することによる地盤、特には地盤表層部の不飽和化は、地盤改良中、あるいは地盤改良後に盛土する場合、盛土崩壊の危険を大幅に少なくするといった効果をもたらす。
【0054】
また、第2排水タンク55の場合、排水ポンプ57を内蔵していて、地盤の改良度合いに無関係に真空圧の負荷ができるので、地盤の不飽和化の後も、真空圧の負荷を継続したならば、地盤中の水分はさらに取り除かれて、地盤は不飽和な状態からきわめて堅く、そ して安定な塑性化された状態となる。
【0055】
尚、図面に示す形態では、真空ポンプ15からの真空圧を鉛直ドレーン材11内部が0.4気圧以下となるように負荷するようにしたが、これに限らず、改良地盤の軟弱の程度、例えば地盤の含水率などを考慮して適宜決定すればよい。
【0056】
尚、上記実施の形態に示した例は、単なる説明例に過ぎず、例えば地盤中に負荷する真空圧を、改良当初は高くし、その後は低い状態に維持したり、高い状態と低い状態とを交互に繰り返したりするなど、特許請求の範囲の欄に記載された範囲内で自由に変更することができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の改良工法にあっては、改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した各鉛直ドレーン材に水平ドレーン材を介して繋がる集水管の集水経路で複数の第1排水タンクと前記改良地盤外へと通じる第2排水タンクとを接続すると共に、前記第1排水タンク間及び前記第1排水タンクと第2排水タンクとの間を連通管によって連通させて、前記集水管に集水された間隙水を前記各第1排水タンクへと排水し、さらに前記第1排水タンク内の間隙水を連通管を介して第2排水タンクへと排水し、この後、前記第2排水タンク内部に内蔵した排水ポンプによって前記第2排水タンク内の間隙水を改良地盤外へと強制的に排出するようにしたので、より効率よく地盤を改良することができる。
【0058】
特に、第2排水タンク内には排水ポンプを内蔵させて、前記第2排水タンク内の間隙水を改良地盤外へ強制的に排出するようにしたので、地盤の沈下の進度に関係なく排水ができ、真空圧により地盤中に減圧領域を造り出した後も、真空圧の負荷を継続したならば、改良地盤、特には地盤表層部(地表から1〜2m)に含まれる水分が蒸発し、地盤は不飽和な土となる。
【0059】
またさらに真空圧の負荷を継続したならば、地盤中の水分はさらに取り除かれて、不飽和な状態からきわめて堅く、そして安定な塑性化された地盤へと改良することができる。
【0060】
また本発明の本装置にあっては、改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した各鉛直ドレーン材に水平ドレーン材を介して繋がる集水管の集水経路に接続された複数の第1排水タンク及び前記改良地盤外へと通じる第2排水タンクと、前記第1排水タンク間及び前記第1排水タンクと第2排水タンクとの間を連通させる連通管とを有していて、前記集水管に集水された間隙水が前記第1排水タンクへと排水され、前記連通管を介して第1排水タンク内の間隙水が第2排水タンクへと排水され、さらに前記第2排水タンク内部に内蔵した排水ポンプによって第2排水タンク内の間隙水が改良地盤外へと強制的に排出されるようにしたので、より効率よく地盤を改良することができる。
【0061】
特に排水ポンプ内蔵の第2排水タンクを用いて、前記第2排水タンク内の間隙水を改良地盤外へ強制的に排出するようにしたので、地盤の沈下の進度に関係なく排水が可能となり、真空圧により地盤中に減圧領域を造り出した後も、真空圧の負荷を継続したならば、改良地盤、特には地盤表層部(地表から1〜2m)に含まれる水分が蒸発し、地盤は不飽和な土となる。
【0062】
またさらに真空圧の負荷を継続したならば、地盤中の水分はさらに取り除かれて、不飽和な状態からきわめて堅く、そして安定な塑性化された地盤へと改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の改良装置を示した模式図。
【図2】本発明の改良装置における水封用循環冷却水タンクを示した拡大模式図。
【図3】図1に示す形態における第1排水タンクを示した拡大斜視図。
【図4】図1に示す形態における第2排水タンクを示した拡大斜視図。
【図5】本発明の改良装置の別の形態を示した模式図。
【図6】本発明の改良装置のさらに別の形態を示した模式図。
【図7】従来の改良装置を示した模式図。
【符号の説明】
14・・・真空タンク
15・・・真空ポンプ
50・・・気密シート
51・・・鉛直ドレーン材
52・・・水平ドレーン材
53・・・集水管
54・・・第1排水タンク
55・・・第2排水タンク
56・・・連通管
57・・・排水ポンプ
58・・・排水管
59・・・逆止弁
40・・・ドレーンパイプ
41・・・ブロア
43・・・集水パイプ
A・・・改良地盤

Claims (6)

  1. 改良する軟弱地盤(以下改良地盤という)上面全体を気密シートで被覆して前記改良地盤中に真空圧を負荷することで、前記改良地盤中に改良地盤周辺部と隔離された減圧領域を造り出す軟弱地盤の改良工法において、
    前記改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した各鉛直ドレーン材に水平ドレーン材を介して繋がる集水管の集水経路で複数の第1排水タンクと前記改良地盤外へと通じる第2排水タンクとを接続すると共に、前記第1排水タンク間及び前記第1排水タンクと第2排水タンクとの間を連通管によって連通させて、前記集水管に集水された間隙水を前記各第1排水タンクへと排水し、さらに前記第1排水タンク内の間隙水を連通管を介して第2排水タンクへと排水し、この後、前記第2排水タンク内部に内蔵した排水ポンプによって前記第2排水タンク内の間隙水を改良地盤外へと強制的に排出することを特徴とする軟弱地盤の改良工法。
  2. 改良地盤上面全体を気密シートで被覆して前記改良地盤中に真空圧を負荷することで、前記改良地盤中に改良地盤周辺部と隔離された減圧領域を造り出す軟弱地盤の改良装置において、
    前記改良地盤中に所定の間隔をおいて設置した各鉛直ドレーン材に水平ドレーン材を介して繋がる集水管の集水経路に接続された複数の第1排水タンク及び前記改良地盤外へと通じる第2排水タンクと、前記第1排水タンク間及び前記第1排水タンクと第2排水タンクとの間を連通させる連通管とを有していて、前記集水管に集水された間隙水が前記第1排水タンクへと排水され、前記連通管を介して第1排水タンク内の間隙水が第2排水タンクへと排水され、さらに前記第2排水タンク内部に内蔵した排水ポンプによって第2排水タンク内の間隙水が改良地盤外へと強制的に排出されるようにしたことを特徴とする軟弱地盤の改良装置。
  3. 真空圧発生手段が水封用循環冷却水タンクを備えた水密式真空ポンプであることを特徴とする請求項記載の軟弱地盤の改良装置。
  4. 改良地盤及びまたは改良地盤周辺部中に大気または圧縮空気を送り込む通気経路を設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の軟弱地盤の改良装置。
  5. 通気経路がドレーンパイプであることを特徴とする請求項記載の軟弱地盤の改良装置。
  6. 通気経路がブロアを具えたドレーンパイプであることを特徴とする請求項記載の軟弱地盤の改良装置。
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