JP6319050B2 - ターボチャージャ - Google Patents
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Description
タービン羽根車へ排気ガスを導く排気ガス導入路の開度調整を行う流量調整バルブと、タービン羽根車を迂回させるバイパス路の開度調整を行うウエストゲートバルブとを備え、流量調整バルブとウエストゲートバルブの開度調整により過給圧のコントロールを行うターボチャージャが知られている。
特許文献1に開示されるターボチャージャは、アクチュエータにより流量調整バルブを駆動するとともに、アクチュエータの出力をリンク装置によって変換し、リンク装置の出力によってウエストゲートバルブを駆動するものであり、リンク装置は流量調整バルブの開度変化途中でウエストゲートバルブを開弁するように設けられている。
一般的に、流路の開閉を行う開閉バルブは、開き始め直後の流量変化感度が高く、開度が大きくなると流量変化感度が下がる。
このため、アクチュエータの作動角を徐々に増加させた場合、流量調整バルブの開度の増加途中で過給圧の変化がなくなるとともに、その過給圧変化が無くなった流量調整バルブの開度変化途中においてウエストゲートバルブが開き初めることで過給圧が急激に下がる。
これにより、アクチュエータの変化範囲内に上述した過給圧不感帯Zを無くすことができる。このため、アクチュエータを変化させることで、過給圧を連続的に変化させることができ、過給圧の制御性を高めることができる。
図1〜図5を参照して実施例1を説明する。
車両走行用のエンジン1(燃料の燃焼により回転動力を発生する内燃機関:燃料の種類は問わない、またレシプロエンジン、ロータリーエンジン等のエンジン形式を問わない)は、ターボチャージャ2を搭載する。
ターボチャージャ2は、エンジン1から排出される排気ガスのエネルギーによって、エンジン1に吸い込まれる吸気を加圧する過給器であり、エンジン1の排気ガスによって駆動される排気タービン5と、この排気タービン5により駆動されてエンジン1に吸い込まれる吸気を加圧する吸気コンプレッサ6とを備える。
吸気コンプレッサ6は、タービン羽根車5aの回転力により駆動されて吸気通路3内の吸気を加圧するコンプレッサ羽根車6aと、このコンプレッサ羽根車6aを収容する渦巻形状のコンプレッサハウジングとを備えて構成される。
そして、タービン羽根車5aとコンプレッサ羽根車6aはシャフト7を介して結合されるものであり、このシャフト7はセンターハウジングによって高速回転自在に支持される。
具体的に、吸気通路3には、エンジン1に吸い込まれる吸気中に含まれる塵や埃を除去するエアクリーナ11、ターボチャージャ2の吸気コンプレッサ6、この吸気コンプレッサ6により圧縮されて昇温した吸気を強制冷却するインタークーラ12、エンジン1へ吸引される吸気量の調整を行うスロットルバルブ13、サージタンク等に設置されて過給圧を検出する過給圧センサ14などが設けられている。
具体的に、排気通路4には、ターボチャージャ2の排気タービン5、排気タービン5を通過した排気ガスの浄化装置15(具体的には触媒等)、排気音を消音させて排気ガスを大気中に排出するマフラー16などが設けられている。
この流量調整バルブ18は、排気ガス導入路17の開度調整を行なうものであり、流量調整バルブ18の開度調整を行うことにより、第2排気スクロール22からタービン羽根車5aに向かう排気ガス量をコントロールして過給圧を制御する。
このバイパス路19は、ウエストゲートバルブ20によって開閉される。このウエストゲートバルブ20は、バイパス路19の開度調整を行なうものであり、ウエストゲートバルブ20の開度調整を行うことにより、タービン羽根車5aを迂回する排気ガス量をコントロールして過給圧を制御する。
流量調整バルブ18とウエストゲートバルブ20は、1つのアクチュエータ23により開閉駆動される。
アクチュエータ23とウエストゲートバルブ20の間には、アクチュエータ23の出力を変換してウエストゲートバルブ20を駆動するリンク装置24が設けられており、このリンク装置24によって流量調整バルブ18の開度変化途中でウエストゲートバルブ20が開弁する。
電動アクチュエータの具体例は、通電により回転出力を発生する電動モータ(例えば、DCモータ)と、この電動モータの回転出力を減速して出力トルクを増大させる減速装置(例えば歯車減速装置)とを組み合わせたものであり、電動モータに印加される通電量に応じた回転トルクを発生するものである。
アクチュエータ23にリターンスプリングを内蔵させなくても、流量調整バルブ18およびウエストゲートバルブ20のそれぞれにリターンスプリングを設けることにより、それぞれのリターンスプリングの復元力がリンク装置24を介してアクチュエータ23に伝達されるため、アクチュエータ23の停止時にアクチュエータ23の出力軸を初期位置に戻すことができる。
もちろん、アクチュエータ23に付勢力の小さい補助リターンスプリングを設けて、アクチュエータ23の出力軸を初期位置に戻す力を発生させても良い。
アクチュエータ位置センサ25の具体例は、出力軸の作動角(回転角度)を検出する回転角センサである。なお、回転角センサは、磁気センサ等を用いた非接触型であっても良いし、ポテンショメータなどを用いた接触型であっても良い。そして、アクチュエータ位置センサ25のセンサ出力は、流量調整バルブ18およびウエストゲートバルブ20の開度制御を行なうECU26に出力される。
(i)図4(a)の実線FLに示すように、アクチュエータ23の作動角(具体的には、出力軸の変位角度)が大きくなるに従い流量調整バルブ18の開度を全閉状態から全開方向へ向けて徐々に大きくするとともに、
(ii)図4(a)の実線WGに示すように、アクチュエータ23の作動角が大きくなる途中でウエストゲートバルブ20を開弁させ、開弁以降はアクチュエータ23の作動角が大きくなるに従いウエストゲートバルブ20の開度を全開方向へ向けて徐々に大きくするものである。
・コンプレッサ羽根車6aを駆動するタービン羽根車5aと、
・排気ガス導入路17の開度調整を行う流量調整バルブ18と、
・バイパス路19の開度調整を行うウエストゲートバルブ20と、
・流量調整バルブ18を駆動するアクチュエータ23と、
・このアクチュエータ23の出力を変換して流量調整バルブ18の開度変化途中でウエストゲートバルブ20を開弁させるリンク装置24とを具備する。
そして、アクチュエータ23がECU26により通電制御される構成を採用する。
以下では、
・流量調整バルブ18の最小開度(この実施例では全閉開度)を調整弁最小開度θ0、
・流量調整バルブ18の最大開度を調整弁最大開度θn、
・流量調整バルブ18を調整弁最小開度θ0から調整弁最大開度θnへ変化させた際にタービン修正流量が最大となる流量調整バルブ18の開度範囲を飽和範囲θL、
・この飽和範囲θLのうちで流量調整バルブ18が最小となる開度を飽和最小開度θL0、
・流量調整バルブ18を調整弁最小開度θ0から調整弁最大開度θnへ変化させた際にウエストゲートバルブ20が閉弁から開弁に変化する開度を迂回開始開度θαと称する。
なお、タービン修正流量は、タービンに流入する排気ガスの流量を、排気ガスの圧力と排気ガスの温度で修正したものである。
しかし、流量調整バルブ18の開度とタービン修正流量との関係は、図3(b)に示すように、流量調整バルブ18の開度が飽和最小開度θL0に達すると、タービン修正流量が最大値に達してしまい、飽和範囲θLでは流量調整バルブ18の開度を変化させてもタービンの容量特性が変化しなくなる。
即ち、ウエストゲートバルブ20が開弁を開始するアクチュエータ作動角ηαj(迂回開始開度θαの時のアクチュエータ23の出力角)が、飽和最小開度θL0の時のアクチュエータ作動角ηL0より大きい作動角に設定される場合は、アクチュエータ23の変化範囲内に過給圧不感帯Zが生じてしまう。
具体的に、ECU26は、マイクロコンピュータを搭載するエンジン・コントロール・ユニットであり、エンジン1の運転状態(エンジン1に設けられたエンジン回転数センサ29によって検出されるエンジン回転数や、スロットルバルブ13の開度など)からエンジン1の運転状態に適した目標過給圧を算出する。そして、過給圧センサ14で検出した実過給圧(吸気圧)がECU26が算出した目標過給圧に合致するように、ECU26がアクチュエータ23をフィードバック制御する。なお、フィードバック制御は、PID制御やPI制御などの周知技術を採用するものである。
先ず、図5(a)の上段のタイムチャートの実線Xに示すように、目標過給圧が変化する。
すると、図5(a)の下段のタイムチャートにおける「ウエストゲートバルブ20が開弁を開始するアクチュエータ作動角ηαj」が大きく、破線J1に示すようにアクチュエータ作動角の変化幅が大きくなり、図5(a)の中段のタイムチャートの破線J2に示すようにフィードバック補正量が大きく変動する。
その結果、図5(a)の上段のタイムチャートの破線J3に示すように、実過給圧の変動が大きくなってドライバビリティの悪化を招くとともに、実過給圧が目標過給圧に収束するのに時間がかかってしまう。即ち、アクチュエータ23の変化範囲内に過給圧不感帯Zが存在することで、ドライバビリティの悪化と過給圧制御性の悪化を招いてしまう。
具体的には、アクチュエータ23の作動角に対する過給圧の変化特性を、従来技術の「明確な階段状の過給圧特性」に比較して、図4(b)の実線P1に示すように「連続的な過給圧特性」に近づけることができる。
なお、図4(b)の破線Pflは、流量調整バルブ18のみによる過給圧特性を示すものであり、図4(b)の破線Pwgは、ウエストゲートバルブ20のみによる過給圧特性を示すものである。
この実施例1では、上記構成を採用することで、アクチュエータ23の変化範囲内に過給圧不感帯Zが存在しない。この場合で、目標過給圧が変化した場合の作動例を図5(a)を参照して説明する。
先ず、図5(a)の上段のタイムチャートの実線Xに示すように、目標過給圧が変化する。
すると、図5(a)の下段のタイムチャートにおける「ウエストゲートバルブ20が開弁を開始するアクチュエータ作動角ηα1」が従来技術(作動角ηαj参照)より小さい側に設定される。このため、実線H1に示すようにアクチュエータ作動角の変化幅を小さくでき、図5(a)の中段のタイムチャートの実線H2に示すようにフィードバック補正量を小さくできる。
その結果、図5(a)の上段のタイムチャートの実線H3に示すように、実過給圧の変動を抑えることができるとともに、実過給圧が目標過給圧に収束する時間を従来技術(破線J3参照)より短縮できる。
実施例1のターボチャージャ2は、上述したように、ウエストゲートバルブ20が開き始める迂回開始開度θαを、飽和最小開度θL0より調整弁最小開度θ0側に設定したものである。即ち、「ウエストゲートバルブ20が開弁を開始するアクチュエータ作動角ηα1」を、「飽和最小開度θL0の時のアクチュエータ作動角ηL0より小さい作動角」に設定したものである。
これにより、アクチュエータ23の変化範囲内に上述した過給圧不感帯Zを無くすことができるため、アクチュエータ23を変化させることで、過給圧を途切れなく連続的に変化させることができる。その結果、目標過給圧が変化した際に、実過給圧の変動を抑ることができるとともに、実過給圧を目標過給圧に収束する時間を短縮することができる。即ち、本発明を採用することにより、ドライバビリティの向上と過給圧制御性の向上を図ることができる。
図5、図6を参照して実施例2を説明する。なお、以下の実施例において上記実施例1と同一符合は同一機能物を示すものである。
上記の実施例1では、ウエストゲートバルブ20が開き始める迂回開始開度θαの上限値(即ち、ウエストゲートバルブ20が開弁を開始するアクチュエータ作動角ηα1の上限値)の設定技術を開示した。
これに対し、この実施例は、ウエストゲートバルブ20が開き始める迂回開始開度θαのより好ましい設定技術(即ち、ウエストゲートバルブ20が開弁を開始するアクチュエータ作動角ηα2の好ましい設定技術)を示すものである。
そして、ECU26によるアクチュエータ23の制御分解能は、アクチュエータ位置センサ25の検出分解能により決定される。即ち、迂回開始開度θα付近におけるアクチュエータ23の制御分解能は、アクチュエータ位置センサ25の最小検出角度で決定される最小制御開度Δである。
即ち、ウエストゲートバルブ20が開弁を開始するアクチュエータ作動角ηα2から最小制御開度Δだけ作動角を大きくする側にアクチュエータ23を駆動した際における過給圧感度の変化幅の絶対値を開弁側変化幅Aとする。
即ち、ウエストゲートバルブ20が開弁を開始するアクチュエータ作動角ηα2から最小制御開度Δだけ作動角を小さくする側にアクチュエータ23を駆動した際における過給圧感度の変化幅の絶対値を閉弁側変化幅Bとする。
そこで、この実施例では、開弁側変化幅Aを閉弁側変化幅Bの所定値倍以内に設定する構成を採用する。具体的に、過給圧の変化特性の連続性を確保するために、開弁側変化幅Aを閉弁側変化幅Bの3倍以内に設定することが望ましい。さらに好ましい形態は、過給圧の変化特性が滑らかにする目的で、開弁側変化幅Aを閉弁側変化幅Bの1倍以内に設定するものである。
なお、図6(c)の実線Kは、アクチュエータ作動角に対する過給圧感度特性(アクチュエータ23を変化させた際における過給圧の変化量の絶対値の変化特性)を示すものであり、図6(c)の破線Kflは、流量調整バルブ18のみによる過給圧感度特性を示すものであり、図6(c)の破線Kwgは、ウエストゲートバルブ20のみによる過給圧感度特性を示すものである。
図5(a)の上段のタイムチャートの実線Xに示すように、目標過給圧が変化する。
すると、図5(a)の下段のタイムチャートにおける「ウエストゲートバルブ20が開弁を開始するアクチュエータ作動角ηα2」が上記実施例1(作動角ηα1参照)より小さい側に設定される。これにより、破線I1に示すようにアクチュエータ作動角の変化幅を小さくでき、図5(a)の中段のタイムチャートの破線I2に示すようにフィードバック補正量を小さくできる。
即ち、この実施例2を採用することにより、目標過給圧が変化した際の実過給圧の変動を抑ることができるとともに、実過給圧を目標過給圧に収束する時間を短縮することができる。
6a コンプレッサ羽根車
17 排気ガス導入路
18 流量調整バルブ
19 バイパス路
20 ウエストゲートバルブ
23 アクチュエータ
24 リンク装置
Claims (5)
- 吸気圧縮用のコンプレッサ羽根車(6a)を駆動するタービン羽根車(5a)と、
このタービン羽根車(5a)へ排気ガスを導く排気ガス導入路(17)の開度調整を行う流量調整バルブ(18)と、
前記タービン羽根車(5a)を迂回させて排気ガスを排気下流側へ導くバイパス路(19)の開度調整を行うウエストゲートバルブ(20)と、
前記流量調整バルブ(18)を直接または間接的に駆動する通電制御可能なアクチュエータ(23)と、
このアクチュエータ(23)の出力を変換して前記ウエストゲートバルブ(20)を駆動するものであり、前記流量調整バルブ(18)の開度変化途中で前記ウエストゲートバルブ(20)を開弁させるリンク装置(24)と、
を具備するターボチャージャ(2)において、
前記流量調整バルブ(18)の最小開度を調整弁最小開度θ0、
前記流量調整バルブ(18)の最大開度を調整弁最大開度θn、
前記流量調整バルブ(18)を調整弁最小開度θ0から調整弁最大開度θnへ変化させた際にタービン修正流量が最大となる前記流量調整バルブ(18)の開度範囲を飽和範囲θL、
この飽和範囲θLのうちで前記流量調整バルブ(18)が最小となる開度を飽和最小開度θL0、
前記流量調整バルブ(18)を調整弁最小開度θ0から調整弁最大開度θnへ変化させた際に前記ウエストゲートバルブ(20)が閉弁から開弁に変化する開度を迂回開始開度θαとした場合、
前記迂回開始開度θαを、前記飽和最小開度θL0より前記調整弁最小開度θ0側に設定したことを特徴とするターボチャージャ(2)。 - 請求項1に記載のターボチャージャ(2)において、
前記迂回開始開度θαにおける前記アクチュエータ(23)の制御分解能を最小制御開度Δ、
前記迂回開始開度θαから最小制御開度Δだけ前記調整弁最大開度θn側に前記アクチュエータ(23)を駆動した際における過給圧感度の変化幅の絶対値を開弁側変化幅A、
前記迂回開始開度θαから最小制御開度Δだけ前記調整弁最小開度θ0側に前記アクチュエータ(23)を駆動した際における過給圧感度の変化幅の絶対値を閉弁側変化幅Bとした場合、
前記開弁側変化幅Aは、前記閉弁側変化幅Bの所定値倍以内に設定されることを特徴とするターボチャージャ(2)。 - 請求項2に記載のターボチャージャ(2)において、
前記開弁側変化幅Aは、前記閉弁側変化幅Bの3倍以内に設定されることを特徴とするターボチャージャ(2)。 - 請求項2または請求項3に記載のターボチャージャ(2)において、
前記アクチュエータ(23)は、当該アクチュエータ(23)の出力変位を検出するアクチュエータ位置センサ(25)を備えるものであり、
前記アクチュエータ(23)の制御分解能は、前記アクチュエータ位置センサ(25)における検出分解能であることを特徴とするターボチャージャ(2)。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のターボチャージャ(2)において、
このターボチャージャ(2)は、エンジン(1)から排出された排気ガスを旋回させて前記タービン羽根車(5a)へ吹き付ける独立した第1、第2排気スクロール(21、22)を有するタービンハウジング(5b)を備え、
前記流量調整バルブ(18)により開度調整される前記排気ガス導入路(17)は、前記第2排気スクロール(22)へ排気ガスを導く連通穴であることを特徴とするターボチャージャ(2)。
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