JP5800873B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。より詳しくは、流量制御弁を駆動する駆動手段の通電時のデューティー比を制御する内燃機関の制御装置に関する。
従来、過給機のウェストゲートバルブの制御装置としては、ウェストゲートバルブをダイヤフラム式のアクチュエータで開閉制御する(例えば、特許文献1参照)。ダイヤフラム式のアクチュエータは、ダイヤフラム室の圧力を調整する電磁弁を有し、電磁弁の通電時のデューティー比を制御することでダイヤフラム室の圧力を調整し、ウェストゲートバルブを開閉制御する。
特開平4−241736号公報
上記特許文献1の技術では、加速時などの実過給圧と目標過給圧との偏差が大きいときに、電磁弁に最大デューティー比を出力することでウェストゲートバルブが閉弁され、過給圧の立ち上がりを早めている。しかしながら、ウェストゲートバルブの全閉制御時に、電磁弁に最大デューティー比を常時出力し続けると、通電中の電磁弁の温度が高温になり、その熱で電磁弁の内部抵抗が上昇して十分な電流が流れなくなる。そのため、電磁弁に最大デューティー比を出力するために必要な電流が供給できず、ウェストゲートバルブが閉弁状態に維持できずに過給圧の立ち上がりが遅くなり、ドライバビリティが悪化する課題が生じる。
本発明は上記課題を解決するためのものであり、その目的は、流量制御弁を駆動する駆動手段が適切なデューティー比で制御されることで、流量制御弁が安定して駆動でき、ドライバビリティが向上できる内燃機関の制御装置を提供することにある。
本発明の内燃機関(例えば、後述のエンジン1)の制御装置(例えば、後述のECU14)は、内燃機関の吸気または排気を流通させる流路内に設けられる流量制御弁(例えば、後述のタービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24、コンプレッサバイパスバルブ29)と、所定の電圧の通電を継続することで前記流量制御弁を全閉方向へ駆動し、かつ、全閉位置で維持する駆動手段(例えば、後述の第1電磁弁19、第2電磁弁27、第3電磁弁36)と、前記駆動手段の通電時のデューティー比を制御する制御手段(例えば、後述の制御部14f)と、前記流量制御弁の上流圧力および下流圧力に相関のあるパラメータを取得する取得手段(例えば、後述の取得部14a)と、前記流量制御弁の上流圧力および下流圧力に相関のあるパラメータに応じて第1デューティー比を算出する第1デューティー比算出手段(例えば、後述の第1デューティー比算出部14b)と、前記第1デューティー比を制限デューティー比として設定する設定手段(例えば、後述の設定部14e)と、を備え、前記制御手段は、前記駆動手段の通電時のデューティー比を前記設定手段が設定した前記制限デューティー比以下に制限し、前記流量制御弁を全閉位置に維持させることを特徴とする。
本発明によると、駆動手段の通電時のデューティー比を設定手段が設定した制限デューティー比以下に制限し、流量制御弁を全閉位置に維持させる。
ここで、制限デューティー比として設定される第1デューティー比は、第1デューティー比と対比する圧力差を導出する流量制御弁の上流圧力および下流圧力に相関のあるパラメータに応じて算出される。これにより、流量制御弁の上流圧力と下流圧力との圧力差が小さいときに、第1デューティー比が過大な値に算出されない。一方、流量制御弁の上流圧力と下流圧力との圧力差が大きいときに、駆動手段の通電時のデューティー比を最大にする必要があり、第1デューティー比が最大の値に算出される。
そのため、流量制御弁の上流圧力と下流圧力との圧力差が小さいときに、流量制御弁を全閉位置に維持させるための駆動手段の通電時のデューティー比が過剰に大きくならず、通電しても駆動手段の温度が高温にならない。よって、駆動手段は、流量制御弁を全閉位置に維持していても、自身の熱で内部抵抗が上昇せず、十分な電流が流れる。一方、流量制御弁の上流圧力と下流圧力との圧力差が大きいときに、駆動手段に十分な電流が流れることから、流量制御弁を全閉位置に維持させるための駆動手段の通電時のデューティー比が最大にできる。したがって、流量制御弁を駆動する駆動手段が適切なデューティー比で制御されることで、流量制御弁が安定して駆動でき、ドライバビリティが向上できる。
前記内燃機関の運転状態に相関のあるパラメータに応じて第2デューティー比を算出する第2デューティー比算出手段(例えば、後述の第2デューティー比算出部14d)を更に備え、前記第2デューティー比算出手段は、前記内燃機関の運転状態が高負荷運転状態である程前記第2デューティー比を大きく算出し、前記設定手段は、前記第1デューティー比と前記第2デューティー比とのいずれか一方を制限デューティー比として設定することが好ましい。
本発明によると、駆動手段の通電時のデューティー比を、設定手段が設定した流量制御弁の上流圧力および下流圧力に相関のあるパラメータに応じた第1デューティー比と、内燃機関の運転状態に相関のあるパラメータに応じた第2デューティー比と、のいずれか一方である制限デューティー比以下に制限し、流量制御弁を全閉位置に維持させる。
ここで、内燃機関の運転状態が過渡時などで流量制御弁の上流圧力および下流圧力に相関のあるパラメータの精度が低下して第1デューティー比が過剰に大きくなる場合であっても、内燃機関の運転状態に相関のあるパラメータから精度の良い第2デューティー比を算出できる。これにより、内燃機関の運転状態が過渡時などであっても、第2デューティー比が過剰に大きくならず、制限デューティー比が適切に設定できる。
そのため、流量制御弁の上流圧力と下流圧力との圧力差が小さいときに、流量制御弁を全閉位置に維持させるための駆動手段の通電時のデューティー比が過剰に大きくならず、通電しても駆動手段の温度が高温にならない。よって、駆動手段は、流量制御弁を全閉位置に維持していても、自身の熱で内部抵抗が上昇せず、十分な電流が流れる。一方、流量制御弁の上流圧力と下流圧力との圧力差が大きいときに、駆動手段に十分な電流が流れることから、流量制御弁を全閉位置に維持させるための駆動手段の通電時のデューティー比が最大にできる。したがって、流量制御弁を駆動する駆動手段が適切なデューティー比で制御されることで、流量制御弁が安定して駆動でき、ドライバビリティが向上できる。
前記駆動手段は、負圧が供給されることで前記流量制御弁を駆動する負圧アクチュエータ(例えば、後述の第1負圧アクチュエータ17、第2負圧アクチュエータ25、第3負圧アクチュエータ34)と、前記制御手段によって通電時のデューティー比を制御することで前記負圧アクチュエータへの負圧供給量を調整する電磁弁(例えば、後述の第1電磁弁19、第2電磁弁27、第3電磁弁36)と、を有し、前記設定手段は、前記制限デューティー比を、前記負圧アクチュエータに前記流量制御弁を全閉位置に維持させるための必要最低負圧の供給量を供給可能な値に設定することが好ましい。
ここで、流量制御弁を全閉位置に維持させるための必要最低負圧の供給量とは、負圧アクチュエータに必要最低負圧の供給量が供給されることで、流量制御弁が例えば脈動などの瞬間的な流量の上昇も含めて全閉位置に維持できる負圧の供給量である。
本発明によると、電磁弁の通電時のデューティー比を、設定手段が設定した負圧アクチュエータに流量制御弁を全閉位置に維持させるための必要最低負圧の供給量を供給可能な値の制限デューティー比以下に制限し、流量制御弁を全閉位置に維持させる。
これにより、負圧アクチュエータへの必要最低負圧の供給量を確保しつつ電磁弁の通電時のデューティー比が適切に制限できる。
そのため、流量制御弁の上流圧力と下流圧力との圧力差が小さいときに、流量制御弁を全閉位置に維持させるための電磁弁の通電時のデューティー比が過剰に大きくならず、通電しても電磁弁の温度が高温にならない。よって、電磁弁は、流量制御弁を全閉位置に維持していても、自身の熱で内部抵抗が上昇せず、十分な電流が流れる。一方、流量制御弁の上流圧力と下流圧力との圧力差が大きいときに、駆動手段に十分な電流が流れることから、流量制御弁を全閉位置に維持させるための駆動手段の通電時のデューティー比が最大にできる。したがって、流量制御弁を駆動する電磁弁が適切なデューティー比で制御されることで、流量制御弁が安定して駆動され、ドライバビリティが向上できる。
本発明によれば、流量制御弁を駆動する駆動手段が内燃機関の運転状態に応じたデューティー比で適切に制御されることで、流量制御弁が安定して駆動でき、ドライバビリティが向上できる内燃機関の制御装置を提供できる。
本発明の実施形態に係るエンジンの構成を示す図である。 上記実施形態に係る全開加速時の作動チャートを示す図である。 上記実施形態に係る全開加速時のエンジンの回転速度と負荷との関係を示す図である。 上記実施形態に係るタービンバイパスバルブの全閉制御を示す信号図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
先ず、本発明の内燃機関の制御装置を適用した内燃機関(以下、「エンジン」という)1の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るエンジン1の構成を示す図である。
エンジン1は、直列4気筒のディーゼルエンジンであり、車体に対して横置きに配置される。
エンジン1の前側面には、各吸気通路に連続する吸気マニホルド2が連結される。吸気マニホルド2の上流には、各吸気通路3が連続し、その途中にスロットルバルブ4、インタークーラ5、2段式過給装置6およびエアフィルタ7が上流に向けて直列に設けられる。
エンジン1の後側面には、各排気通路9に連続する排気マニホルド8が連結される。排気マニホルド8の下流には、各排気通路9が連続し、その途中に2段式過給装置6が設けられる。2段式過給装置6の下流側の排気通路9には、触媒コンバータ10、DPF11、NOx浄化装置12およびマフラー13が下流に向けて直列に設けられる。
2段式過給装置6は、高圧段過給装置61と、低圧段過給装置62と、を備え、シーケンシャルターボチャージャシステムを構成する。
高圧段過給装置61は、高圧段シャフト61aによって同軸かつ一体回転するように連結される高圧段タービンブレード61bおよび高圧段コンプレッサブレード61cと、高圧段タービンブレード61bを収容する高圧段タービンハウジング61dと、高圧段コンプレッサブレード61cを収容する高圧段コンプレッサハウジング61eと、高圧段タービンハウジング61dと高圧段コンプレッサハウジング61eとを連結するとともに高圧段シャフト61aを回転可能に支持する高圧段ベアリングハウジング61fと、を備える。
高圧段タービンハウジング61dおよび高圧段コンプレッサハウジング61eは、それぞれ円筒形状であり、それぞれの中心軸が高圧段シャフト61aの軸線と同軸となるように、筒状の高圧段ベアリングハウジング61fの両端に連結される。高圧段タービンハウジング61dは、高圧段コンプレッサハウジング61eに比して径方向に小さく容量が小さい。
高圧段過給装置61は、高圧段タービンブレード61bの開口面積を変化させて排気の流通量を調整する可変ノズル(VNT)63を有する。可変ノズル63は、リンク機構を介してアクチュエータ64に連結され、アクチュエータ64によって開閉駆動される。アクチュエータ64は、高圧段タービンハウジング61dの外部に形成された取付座に取り付けられ、ECU14によって制御される。
低圧段過給装置62は、低圧段シャフト62aによって同軸かつ一体回転するように連結される低圧段タービンブレード62bおよび低圧段コンプレッサブレード62cと、低圧段タービンブレード62bを収容する低圧段タービンハウジング62dと、低圧段コンプレッサブレード62cを収容する低圧段コンプレッサハウジング62eと、低圧段タービンハウジング62dと低圧段コンプレッサハウジング62eとを連結するとともに低圧段シャフト62aを回転可能に支持する低圧段ベアリングハウジング62fと、を備える。
低圧段タービンハウジング62dおよび低圧段コンプレッサハウジング62eは、それぞれ円筒形状であり、それぞれの中心軸が低圧段シャフト62aの軸線と同軸となるように、筒状の低圧段ベアリングハウジング62fの両端に連結される。低圧段タービンハウジング62dは、低圧段コンプレッサハウジング62eに比して径方向に小さく容量が小さい。低圧段タービンハウジング62dは、高圧段タービンハウジング61dよりも径方向に大きい。
高圧段タービンハウジング61dは、その外周縁部に排気マニホルド8から通じる管状の第1排気主通路91の下流端が連結され、その高圧段ベアリングハウジング61f側とは相反する中心部に管状の第2排気主通路92の上流端が連結される。第2排気主通路92の下流端は、低圧段タービンハウジング62dの外周縁部に連結される。
第1排気主通路91と第2排気主通路92との間には、第1排気主通路91と第2排気主通路92とを連結する管状のタービンバイパス通路15が設けられる。
タービンバイパス通路15には、タービンバイパスバルブ(TBV)16が設けられる。タービンバイパスバルブ16は、タービンバイパス通路15に流入する排気量を調整し、高圧段タービンハウジング61dに流入する排気量を調整する。タービンバイパスバルブ16は、リンク機構を介して第1負圧アクチュエータ17に連結され、第1負圧アクチュエータ17に負圧が供給されることで開閉駆動される。第1負圧アクチュエータ17は、高圧段タービンハウジング61dの外部に形成された取付座に取り付けられる。第1負圧アクチュエータ17への負圧供給量は、第1負圧通路18の上流側に位置する第1電磁弁19がECU14の制御部14fによって大気圧センサ20が検知する大気圧に負の相関を有する所定の電圧のデューティー比に制御されることで調整される。
第1負圧通路18は、その下流端を第1負圧アクチュエータ17に接続し、その途中に負圧の供給量の制御可能な第1電磁弁19を有し、その上流端をエンジン1のカムシャフト末端で駆動されるバキュームポンプ22に通じる負圧主通路21に接続される。バキュームポンプ22は、エンジン1のカムシャフトが回転することで負圧を発生させる。
低圧段タービンハウジング62dは、その低圧段ベアリングハウジング62f側とは相反する中心部に管状の第3排気主通路93の上流端が連結される。第3排気主通路93には、触媒コンバータ10、DPF11、NOx浄化装置12およびマフラー13が下流に向けて直列に設けられる。
第2排気主通路92と第3排気主通路93との間には、第2排気主通路92と第3排気主通路93とを連結する管状のウェストゲート通路23が設けられる。
ウェストゲート通路23には、ウェストゲートバルブ(LP−WG)24が設けられる。ウェストゲートバルブ24は、ウェストゲート通路23に流入する排気量を調整し、低圧段タービンハウジング62dに流入する排気量を調整する。ウェストゲートバルブ24は、リンク機構を介して第2負圧アクチュエータ25に連結され、第2負圧アクチュエータ25に負圧が供給されることで開閉駆動される。第2負圧アクチュエータ25は、低圧段タービンハウジング62dの外部に形成された取付座に取り付けられる。第2負圧アクチュエータ25への負圧供給量は、第2負圧通路26の上流側に位置する第2電磁弁27がECU14の制御部14fによって大気圧センサ20が検知する大気圧に負の相関を有する所定の電圧のデューティー比に制御されることで調整される。
第2負圧通路26は、その下流端を第2負圧アクチュエータ25に接続し、その途中に負圧の供給量の制御可能な第2電磁弁27を有し、その上流端をエンジン1のカムシャフト末端で駆動されるバキュームポンプ22に通じる負圧主通路21に接続される。
管状の第1吸気主通路31は、エアフィルタ7の下流端に連続する。第2吸気主通路32は、低圧段コンプレッサハウジング62eと高圧段コンプレッサハウジング61eとを繋ぐ。第3吸気主通路33は、高圧段コンプレッサハウジング61eと吸気マニホルド2とを繋ぐ。
第2吸気主通路32と第3吸気主通路33との間には、第2吸気主通路32と第3吸気主通路33とを連結する管状のコンプレッサバイパス通路28が設けられる。
コンプレッサバイパス通路28には、コンプレッサバイパスバルブ(CBV)29が設けられる。コンプレッサバイパスバルブ29は、コンプレッサバイパス通路28に流入する吸気量を調整し、高圧段コンプレッサハウジング61eに流入する吸気量を調整する。コンプレッサバイパスバルブ29は、リンク機構を介して第3負圧アクチュエータ34に連結され、第3負圧アクチュエータ34に負圧が供給されることで開閉駆動される。第3負圧アクチュエータ34は、高圧段コンプレッサハウジング61eの外部に形成された取付座に取り付けられる。第3負圧アクチュエータ34への負圧供給量は、第3負圧通路35の上流側に位置する第3電磁弁36がECU14の制御部14fによって大気圧センサ20が検知する大気圧に負の相関を有する所定の電圧のデューティー比に制御されることで調整される。
第3負圧通路35は、その下流端を第3負圧アクチュエータ34に接続し、その途中に負圧の供給量の制御可能な第3電磁弁36を有し、その上流端をエンジン1のカムシャフト末端で駆動されるバキュームポンプ22に通じる負圧主通路21に接続される。
第1吸気主通路31には、エンジン1が吸入する吸気流量を検知するエアフローメータ37が配置される。
エンジン1には、エンジン1の回転速度を検知する回転速度センサ38が配置される。
エンジン1の外部には、運転者要求指令を検知するアクセル開度センサ39が配置される。
エンジン1の外部には、大気圧を検知する大気圧センサ20が配置される。
ECU14は、エンジン1、可変ノズル63のアクチュエータ64、第1電磁弁19、第2電磁弁27および第3電磁弁36を制御する電子制御ユニットであり、CPU、ROM、RAMおよび各種インターフェースなどの電子回路を含んで構成される。
ECU14には、タービンバイパスバルブ16などの上流圧力および下流圧力から前後差圧を取得する取得部14aが構成される。ECU14には、タービンバイパスバルブ16などの前後差圧に応じて第1デューティー比を算出する第1デューティー比算出部14bが構成される。ECU14には、エンジン1の運転状態を判定する判定部14cが構成される。ECU14には、エンジン1の運転状態に応じて第2デューティー比を算出する第2デューティー比算出部14dが構成される。ECU14には、第1デューティー比と第2デューティー比とのいずれか一方を制限デューティー比として設定する設定部14eが構成される。ECU14には、第1電磁弁19、第2電磁弁27および第3電磁弁36の通電時のデューティー比を制御する制御部14fが構成される。
また、ECU14には、エンジン1および排気の状態およびこれらを搭載した車両の状態などを把握するため、上述した各種のセンサなどが接続される。また、ECU14は、エンジン1、可変ノズル63のアクチュエータ64、第1電磁弁19、第2電磁弁27および第3電磁弁36などを制御するため、エンジン1、可変ノズル63のアクチュエータ64、第1電磁弁19、第2電磁弁27および第3電磁弁36などに接続される。
次に、本実施形態に係るタービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24およびコンプレッサバイパスバルブ29の全閉制御について説明する。
第1に、本実施形態に係るタービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24およびコンプレッサバイパスバルブ29の全閉制御の理論について説明する。
図2は、本実施形態に係る全開加速時の作動チャートを示す図である。図3は、本実施形態に係る全開加速時のエンジン1の回転速度と負荷との関係を示す図である。
2段式過給装置6は、エンジン1の全開加速時の最初に、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24およびコンプレッサバイパスバルブ29を全閉とし、可変ノズル63を全閉とし、高圧段タービンハウジング61dに排気を通過させるとともに、高圧段タービンハウジング61dによって回転する高圧段コンプレッサブレード61cを収容する高圧段コンプレッサハウジング61eに吸気を通過させる。このとき、低圧段タービンハウジング62dに排気を通過させるとともに、低圧段コンプレッサハウジング62eに吸気を通過させるが、排気流量が比較的少ないため、高圧段過給装置61が主に作動する。
そして、実過給圧P2が上昇して実過給圧P2と目標過給圧O2との差圧が所定圧以下になると、可変ノズル63のアクチュエータ64を制御して可変ノズル63を全閉から全開に徐々に移行する。このとき、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24およびコンプレッサバイパスバルブ29を全閉に維持する。これにより、排気流量の増大に合わせて高圧段過給装置61の仕事量を維持するとともに、低圧段過給装置62の仕事量を徐々に増加させる。そのため、低圧段コンプレッサハウジング62eの下流の過給圧P4も上昇する。この状態が図3の(1)領域である。(1)領域では、可変ノズル63をエンジン1の運転状態に応じてフィードバック(FB)制御する。
実過給圧P2が目標過給圧O2に到達すると、タービンバイパスバルブ16を全閉から全開に徐々に移行する。このとき、可変ノズル63を全開に維持し、ウェストゲートバルブ24およびコンプレッサバイパスバルブ29を全閉に維持する。これにより、排気流量の増大に合わせて高圧段過給装置61の仕事量を減少させるとともに、低圧段過給装置62の仕事量を増加させる。そのため、低圧段コンプレッサハウジング62eの下流の過給圧P4が上昇する。この状態が図3の(2)領域である。(2)領域では、タービンバイパスバルブ16の開度をエンジン1の運転状態に応じてフィードバック(FB)制御する。
タービンバイパスバルブ16が全開に移行すると、ウェストゲートバルブ24を全閉からフィードバック(FB)制御するとともに、コンプレッサバイパスバルブ29を全閉から全開に一瞬で切り替える。このとき、可変ノズル63およびタービンバイパスバルブ16を全開に維持する。これにより、増大した排気流量に合わせてフィードバック(FB)制御により低圧段過給装置62の仕事量を維持する。そのため、低圧段コンプレッサハウジング62eの下流の過給圧P4が維持される。この状態が図3の(3)領域である。(3)領域では、ウェストゲートバルブ24の開度をエンジン1の運転状態に応じてフィードバック(FB)制御する。
以上のような全開加速時には、排気流量または吸気流量にかかわらず、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29を、全閉方向へ駆動し、かつ、全閉位置で維持する(以下、全閉に維持するという)状態が生じる。
タービンバイパスバルブ16は、図3の(1)領域で全閉に維持する。ウェストゲートバルブ24は、図3の(1)領域および(2)領域で全閉に維持する。コンプレッサバイパスバルブ29は、図3の(1)領域および(2)領域で全閉に維持する。
これらタービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29を全閉に維持するためには、第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36に、所定の電圧の通電を継続するように大気圧センサ20が検知する大気圧に負の相関を有する十分なデューティー比を出力する必要がある。
しかしながら、これら電磁弁19,27,36に大気圧センサ20が検知する大気圧に負の相関を有する十分なデューティー比を常時出力し続けると、通電中の電磁弁19,27,36の温度が高温になり、その熱で電磁弁19,27,36の内部抵抗が上昇して十分な電流が流れなくなる。そのため、電磁弁19,27,36に大気圧センサ20が検知する大気圧に負の相関を有する十分なデューティー比を出力するために必要な電流が供給できず、これらタービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29が閉弁状態に維持できずに過給圧の立ち上がりが遅くなり、ドライバビリティが悪化する課題が生じる。
そこで、本実施形態では、これらタービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29の全閉制御時に、第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36の通電時のデューティー比を所定の制限デューティー比に制限し、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29を全閉位置に維持させる。
以下では、タービンバイパスバルブ16を例に挙げて説明する。ウェストゲートバルブ24およびコンプレッサバイパスバルブ29も、タービンバイパスバルブ16と同様に制御できる。
図4は、本実施形態に係るタービンバイパスバルブ16の全閉制御を示す信号図である。
図4に示すように、まず、ECU14の取得部14aは、タービンバイパスバルブ16の全閉制御時であると判定すると、次の処理を実施する。
ECU14の取得部14aは、エアフローメータ37が検出する吸気流量とECU14によって設定されるエンジン1での燃料消費量とに基づき排気流量を算出し、算出した排気流量によって上流圧力テーブル41を検索することで上流圧力を導出する。上流圧力テーブル41は、排気流量とタービンバイパスバルブ16の上流圧力との正の相関を示す相関データを記憶している。
また、ECU14の取得部14aは、エアフローメータ37が検出する吸気流量とECU14によって設定されるエンジン1での燃料消費量とに基づき排気流量を算出し、高圧段過給装置61の可変ノズル63の開度と算出した排気流量とによって下流圧力テーブル42を検索することで下流圧力を導出する。下流圧力テーブル42は、可変ノズル63の開度および排気流量と下流圧力との正の相関を示す相関データを記憶している。
そして、ECU14の取得部14aは、タービンバイパスバルブ16の上流圧力と下流圧力との差を算出してタービンバイパスバルブ16の前後差圧を算出する。
次に、ECU14の第1デューティー比算出部14bは、取得部14aが算出したタービンバイパスバルブ16の前後差圧によって第1デューティー比演算テーブル43を検索することで第1デューティー比D1を導出する。第1デューティー比演算テーブル43は、タービンバイパスバルブ16の前後差圧と第1デューティー比D1との正の相関を示す相関データあるいは相関関数を記憶している。
一方、ECU14の判定部14cは、ECU14によって設定されるエンジン1での燃料消費量と回転速度センサ38が検知する機関回転速度とに基づいてエンジン1の運転状態を高負荷状態または低負荷状態のいずれか1つに判定する。エンジン1の運転状態は、燃料消費量から定まる機関負荷と機関回転速度との2次元座標が所定の制限ライン以上になると高負荷状態と判定され、それ以下を低負荷状態と判定される。
次に、ECU14の第2デューティー比算出部14dは、判定部14cが判定したエンジン1の運転状態に応じて用意された2値の第2デューティー比D2のいずれか1つを選択することで第2デューティー比D2を導出する。2値の第2デューティー比は、エンジン1の運転状態が高負荷状態のときに最高値を選択し、エンジン1の運転状態が低負荷状態のときに最低値を選択する。ここで、2値の第2デューティー比D2のうち最低値は、第1電磁弁19に出力されると、少なくとも第1負圧アクチュエータ17においてタービンバイパスバルブ16を全閉位置に維持させるための必要最低負圧の供給量を供給する値である。ここで、必要最低負圧の供給量とは、第1負圧アクチュエータ17に必要最低負圧の供給量が供給されることで、タービンバイパスバルブ16が例えば脈動などの瞬間的な排気流量の上昇も含めて全閉位置に維持できる負圧の供給量である。
ECU14の設定部14eは、第1デューティー比算出部14bが算出した第1デューティー比D1と第2デューティー比算出部14dが算出した第2デューティー比D2とのいずれか大きい値を制限デューティー比D3として設定する。
ECU14の制御部14fは、タービンバイパスバルブ16の全閉制御として、第1電磁弁19に所定の電圧の通電を維持するように、第1電磁弁19の通電時のデューティー比を、設定部14eが設定した制限デューティー比D3に制御する。
なお、タービンバイパスバルブ16の全閉制御が終了すると、ECU14の制御部14fは、第1電磁弁19を大気圧センサ20が検知する大気圧に負の相関を有する所定の電圧のデューティー比に制御する状態に切り替わる。
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、ECU14の第1デューティー比算出部14bが、ECU14の取得部14aが取得したタービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29の上流圧力および下流圧力の前後差圧に応じて第1デューティー比D1を算出する。ECU14の第2デューティー比算出部14dが、エンジン1の運転状態に応じ、かつ、第1負圧アクチュエータ17、第2負圧アクチュエータ25または第3負圧アクチュエータ34にタービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29を全閉位置に維持させるための必要最低負圧の供給量を供給可能な値である第2デューティー比D2を算出する。そして、ECU14の設定部14eが、第1デューティー比D1と第2デューティー比D2とのいずれか大きい値を制限デューティー比D3に設定する。ECU14の制御部14fが、第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36の通電時のデューティー比を、制限デューティー比D3に制限し、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29を全閉位置に維持させる。
ここで、制限デューティー比D3として設定される第1デューティー比D1は、第1デューティー比D1と対比する圧力差を導出するタービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29の上流圧力および下流圧力で算出される。これにより、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29の前後差圧が小さいときに、第1デューティー比D1が過大な値に算出されない。一方、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29の前後差圧が大きいときに、第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36の通電時のデューティー比を最大にする必要があり、第1デューティー比D1が最大の値に算出される。
また、エンジン1の運転状態が過渡時などでタービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29の上流圧力および下流圧力の精度が低下して第1デューティー比D1が過剰に大きくなる場合であっても、エンジン1の運転状態から精度の良い第2デューティー比D2を算出できる。これにより、エンジン1の運転状態が過渡時などであっても、第2デューティー比D2が過剰に大きくならず、制限デューティー比D3が適切に設定できる。
また、第1負圧アクチュエータ17、第2負圧アクチュエータ25または第3負圧アクチュエータ34への必要最低負圧の供給量を確保しつつ第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36の通電時のデューティー比が適切に制限できる。
そのため、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29の前後差圧が小さいときに、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29を全閉位置に維持させるための第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36の通電時のデューティー比が過剰に大きくならず、通電しても第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36の温度が高温にならない。よって、第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36は、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29を全閉位置に維持していても、自身の熱で内部抵抗が上昇せず、十分な電流が流れる。一方、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29の前後差圧が大きいときに、第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36に十分な電流が流れることから、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29を全閉位置に維持させるための第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36の通電時のデューティー比が最大にできる。したがって、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29を駆動する第1電磁弁19、第2電磁弁27または第3電磁弁36が適切なデューティー比で制御されることで、タービンバイパスバルブ16、ウェストゲートバルブ24またはコンプレッサバイパスバルブ29が安定して駆動でき、ドライバビリティが向上できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
上記実施形態では、第1デューティー比を導出するために、タービンバイパスバルブなどの上流圧力と下流圧力との差を算出してタービンバイパスバルブなどの前後差圧を算出する。しかしこれに限られない。第1デューティー比を導出するために、例えば前後圧力比などといった、タービンバイパスバルブなどの上流圧力と下流圧力に関するパラメータを算出するものでもよい。また、前後差圧や前後圧力比などの算出は、流量モデルでの算出でなく、エンジンの排気通路に配置されたセンサを用いて算出してもよい。
上記実施形態では、第2デューティー比が予め定められた2値のデューティー比であった。しかしこれに限られない。第2デューティー比は、エンジンの運転状態が高負荷運転状態である程大きく算出される予め定められた複数の値あるいは相関式より導出される値のデューティー比であってもよい。
上記実施形態では、第1デューティー比と第2デューティー比とのいずれか大きい値を制限デューティー比として設定した。しかしこれに限られない。第1デューティー比および第2デューティー比を制御安全側の値とし、第1デューティー比と第2デューティー比とのいずれか小さい値を制限デューティー比として設定してもよい。
上記実施形態では、タービンバイパスバルブなどの全閉制御として、電磁弁の通電時のデューティー比を制限デューティー比に制御した。しかしこれに限られない。電磁弁の通電時のデューティー比を制限デューティー比以下に制御するものであってもよい。
上記実施形態では、本発明を、負圧アクチュエータを駆動する電磁弁の全閉制御に用いた。しかしこれに限られない。例えば電動式タービンバイパスバルブなどの電動式バルブの全閉制御に用いてもよい。
上記実施形態では、本発明をタービンバイパスバルブなどの全閉制御に用いた。しかしこれに限られない。例えばタービンの可変ノズルやEGRバイパスバルブなどの他のバルブや機構などの全閉制御あるいは全開制御などに用いてもよい。
1…エンジン(内燃機関)
14…ECU(制御装置)
14a…取得部(取得手段)
14b…第1デューティー比算出部(第1デューティー比算出手段)
14d…第2デューティー比算出部(第2デューティー比算出手段)
14e…設定部(設定手段)
14f…制御部(制御手段)
16…タービンバイパスバルブ(流量制御弁)
17…第1負圧アクチュエータ(負圧アクチュエータ)
19…第1電磁弁(駆動手段、電磁弁)
24…ウェストゲートバルブ(流量制御弁)
25…第2負圧アクチュエータ(負圧アクチュエータ)
27…第2電磁弁(駆動手段、電磁弁)
29…コンプレッサバイパスバルブ(流量制御弁)
34…第3負圧アクチュエータ(負圧アクチュエータ)
36…第3電磁弁(駆動手段、電磁弁)

Claims (3)

  1. 内燃機関の吸気または排気を流通させる流路内に設けられる流量制御弁と、
    所定の電圧の通電を継続することで前記流量制御弁を全閉方向へ駆動し、かつ、全閉位置で維持する駆動手段と、
    前記駆動手段の通電時のデューティー比を制御する制御手段と、
    前記流量制御弁の上流圧力および下流圧力に相関のあるパラメータを取得する取得手段と、
    前記流量制御弁の上流圧力および下流圧力に相関のあるパラメータに応じて第1デューティー比を算出する第1デューティー比算出手段と、
    前記第1デューティー比を制限デューティー比として設定する設定手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記駆動手段の通電時のデューティー比を前記設定手段が設定した前記制限デューティー比以下に制限し、前記流量制御弁を全閉位置に維持させることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記内燃機関の運転状態に相関のあるパラメータに応じて第2デューティー比を算出する第2デューティー比算出手段を更に備え、
    前記第2デューティー比算出手段は、前記内燃機関の運転状態が高負荷運転状態である程前記第2デューティー比を大きく算出し、
    前記設定手段は、前記第1デューティー比と前記第2デューティー比とのいずれか一方を制限デューティー比として設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記駆動手段は、負圧が供給されることで前記流量制御弁を駆動する負圧アクチュエータと、前記制御手段によって通電時のデューティー比を制御することで前記負圧アクチュエータへの負圧供給量を調整する電磁弁と、を有し、
    前記設定手段は、前記制限デューティー比を、前記負圧アクチュエータに前記流量制御弁を全閉位置に維持させるための必要最低負圧の供給量を供給可能な値に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。


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