JP6318808B2 - ボールねじ - Google Patents

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Description

本発明は、ボールを戻すボール戻し路の両端部を形成する循環路下穴同士が外部循環部材によって連結されている外部循環方式のボールねじに関する。
この種のボールねじは、ねじ軸とナットと複数のボールを有する。ねじ軸はナットを貫通するように配置されている。ねじ軸とナット相互のねじ溝でボールの転動路が形成され、ナットにボールを戻すボール戻し路の両端部を形成する循環路下穴が形成され、循環路下穴同士を外部循環部材、例えばリターンチューブによって連結することによってボールを転動路の終点から始点に戻すボール戻し路が形成される。そして、転動路とボール戻し路とからなる循環経路内に複数のボールが配置され、循環経路を循環し転動路内で転動(負荷状態で回転しながら移動)するボールを介して、ねじ軸とナットとが相対移動するようになっている。
ところで、この種のボールねじでは、更なる高速化の要求に応じるために、ねじ軸のねじ溝の溝直角断面形状の工夫により、作動性の向上を図ることが行われている。
例えば特許文献1に記載の技術では、ねじ溝の両縁部に所定のR面取りを施すことによって、ボールねじの高速化を実現している。また、同文献では、ねじ軸外径(ランド部)とボールとの衝突に関し、ボールピッチ円直径とねじ軸直径との差をボール直径の10%以下にすることにより、ボールの衝突を防ぎ得るとしている。
ここで、従来のボールねじは、通常、ボール中心が描くらせん軌道上に循環路下穴中心が一致するように循環路下穴を配置している。このように循環路下穴を配置することで、ボールが転動路からボール戻し路に出入りする際、スムーズに循環可能となる。
特許第3325679号公報
しかしながら、(リード/軸径)比の大きいボールねじにおいては、ねじ溝の軌道のねじれが大きくなるため、以下のような問題が発生する。
例えば、特許文献1記載の技術では、ねじ溝の両縁部のR面取りとねじ軸直径との境界にボールが衝突すること(以下、「外径エッジ衝突」とも称する)を避けるために、ボールピッチ円直径とねじ軸直径との差を10%以下に規制するものの、(リード/軸径)比の大きいボールねじにおいては、ねじ溝の軌道のねじれが大きくなるため、リターンチューブからボールが戻るときに、ねじ溝に対して斜め上からボールが侵入する。そのため、外径エッジ衝突が生じてしまうという問題がある。この問題を避けるために、循環路下穴の掬い上げ角度を大きくするという方策もあるものの、(リード/軸径)比の設定には限界がある。また、過度に掬い上げ角度を大きくしすぎると、循環路下穴の掬い上げ部でのボール軌道変化が大きくなるので、ボールの衝突が大きくなってしまい、更なる高速化を達成するには限界があった。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、「外径エッジ衝突」を防止して更なる高速化を達成し得るボールねじを提供することを課題とする。
[第一態様]
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るボールねじは、ねじ軸と、ナットと、複数のボールとを有し、前記ねじ軸は前記ナットを貫通し、前記ねじ軸の外周面に形成された螺旋状のねじ溝と前記ナットの内周面に形成された螺旋状のねじ溝とにより前記ボールが転動する転動路が形成されるとともに、前記転動路の終点から始点に前記ボールを戻すボール戻し路が外部循環部材によって形成され、前記ナットに、前記外部循環部材の端部が連結される循環路下穴が前記転動路に連通するように形成されている外部循環方式のボールねじにおいて、前記ねじ軸は、前記ねじ溝の両縁部に、前記ねじ軸の外径面に滑らかに接続する面取りを有し、前記面取りと前記ねじ軸の外径面との境界に接するように前記ボールを位置させたときに、そのボール中心が前記ねじ溝に沿って描くらせん軌跡を「エッジ衝突時ボール中心軌跡」と呼び、このエッジ衝突時ボール中心軌跡を前記循環路下穴に直角な断面に投影した時の軌跡を「エッジ衝突時ボール中心投影軌跡」と呼ぶとき、前記エッジ衝突時ボール中心投影軌跡から前記循環路下穴中心までの距離の最小値をEmin、ボール直径をDw、循環路下穴直径をDtとしたとき、下記(式1)の関係を満たすように、前記ボール中心が前記ねじ溝中心に沿って描くらせん軌道上からずらした位置に前記循環路下穴中心の位置が配置されていることを特徴とする。
Emin−(Dt−Dw)/2>0 (式1)
本発明の第一態様に係るボールねじによれば、(式1)の関係を満たす範囲で、ボール中心が描くらせん軌道上から意図的にずらした位置に循環路下穴中心を配置したことにより、後に詳述するように、ボール中心の取り得る範囲が、R面取りとねじ軸直径との境界よりも常にねじ溝の内側寄りに位置することが可能となる。そのため、「外径エッジ衝突」が防止され、致命的な早期損傷なくボールねじを更に高速化することができる。
[第二態様]
ここで、上記第一態様において、前記面取りがR面取り(凸曲面からなる面取り)であることは好ましい。このような構成であれば、ねじ軸の外径面に滑らかに接続する面取りをR面取りとすることで、その形状が単純であり、生産が容易であるからコストを下げる上で好適である。
[第三態様]
さらに、上記第一態様において、前記面取りが、ねじ溝側に滑らかに接続するR面取りと、このR面取りの外側から前記ねじ軸の外径面に滑らかに接続する直線面取りとから形成されていることは好ましい。
ボールピッチ円直径とねじ軸直径との差が小さい場合において、前記面取りをR面取りのみから構成しようとすると、面取りがねじ軸の外径面に達せず、ねじ溝の形状として成り立たない場合があるところ、このような構成であれば、R面取りの外側を直線面取りとしたことでねじ軸の外径面に達することができ、ねじ溝の形状として成立する。また、ボールピッチ円直径とねじ軸直径との差が小さい場合において、前記面取りをR面取りのみから構成する場合に比べてねじ溝の溝幅が広くなりすぎることを抑えることができ、加工時の取代を小さく抑える上で好適である。
[第四態様]
また、上記第一から第三態様のいずれか一の態様において、前記循環路下穴中心は、前記ボール中心が描くらせん軌道上からボール直径の15%以下の範囲でずらした位置に配置されていることは好ましい。
試作検証した結果によれば、ボール直径の15%以下の範囲のずらし量であれば、ボールがスムーズに循環可能であった。なお、ボール直径の15%を超えて過度にずらすと、すくい上げ点においてボールが循環経路方向に対して横方向に移動する量が増えてしまうため、作動性悪化の懸念が生じる。
上述のように、本発明によれば、「外径エッジ衝突」を防止して更なる高速化を達成し得るボールねじを提供することができる。
本発明の一態様に係るボールねじの一実施形態を示す断面図である。 ねじ軸のねじ溝の溝直角断面(図3(a)でのA−A線断面)形状の一実施形態を示す断面図である。 図1のボールねじに設定する座標系を説明する図であり、同図(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。 図3(a)の要部を拡大して示す図である。 本発明の一態様に係るボールねじの一実施形態を説明する図であり、同図は、ねじ軸のねじ溝の溝直角断面X’Y平面を示している。 ねじ軸直径との境界に接するボール中心が描くらせん軌跡等を説明する図である。 変数Hを変化させたときの、X(H)とE(H)−(Dt−Dw)/2との関係を示すグラフである。 ねじ軸のねじ溝の溝直角断面(図3(a)でのA−A線断面)形状の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の一態様に係るボールねじの他の実施形態を説明する図であり、同図は、ねじ軸のねじ溝の溝直角断面X’Y平面を示している。
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、本実施形態の例は、上記[課題を解決するための手段]での[第一態様]および[第二態様]に対応する例である。
このボールねじは、ボールを戻すボール戻し路がリターンチューブによって形成されているチューブ式のボールねじであって、図1に示すように、ねじ軸1とナット2と複数のボール3を有する。ねじ軸1はナット2を貫通するように配置されている。ねじ軸1のねじ溝11とナット2のねじ溝21とでボール3の転動路が形成されている。ナット2には、循環部品として略U字状のリターンチューブ4が装着されている。リターンチューブ4の両端は、転動路に連通して形成されたチューブ装着穴31に取り付けられており、ボール3を転動路の終点から始点に戻すボール戻し路41が形成されている。
チューブ装着穴31は、不図示であるが、径方向外側の大径部と、径方向内側の小径部とを同軸に有し、この小径部が上記ボール戻し路41と実質的に同径とされた循環路下穴となっている。複数のボール3は、ねじ溝11,21で形成される転動路と、循環路下穴を含むボール戻し路41とからなる循環経路内に配置される。そして、循環経路を循環し転動路内で転動(負荷状態で回転しながら移動)する複数のボール3を介して、ねじ軸1とナット2とが相対移動するようになっている。
ねじ軸1のねじ溝11の溝直角断面(図3(a)でのA−A線断面)の形状を図2に示す。
同図に示すように、このボールねじは、ねじ溝11の外側(両縁部)に、ねじ軸1の外径面12に滑らかに接続するR面取り7が施されている。そして、このボールねじは、図4に示すように、ボール3の中心Oがねじ溝11の中心に沿って描くらせん軌道SL上から、所定範囲内のずらし量を満足するずらし位置(図4では符号exで示す位置)に循環路下穴41の中心位置が配置されている。
詳しくは、R面取り7とねじ軸1の外径面12との境界Kに接するようにボール3を位置させたときに(図4に符号3Kで示す位置参照)、そのボール中心Oがねじ溝11に沿って描くらせん軌跡を「エッジ衝突時ボール中心軌跡」と呼び、このエッジ衝突時ボール中心軌跡を循環路下穴に直角な断面に投影した時の軌跡を「エッジ衝突時ボール中心投影軌跡」と呼ぶとき、「エッジ衝突時ボール中心投影軌跡」から上記循環路下穴中心までの距離の最小値をEmin[mm]、上記ボール3のボール直径をDw[mm]、上記循環路下穴の循環路下穴直径をDt[mm]としたとき、下記(式1)の関係を満たすように循環路下穴41の中心位置が配置されている。
Emin−(Dt−Dw)/2>0 (式1)
以下、本発明の実施例を例にして、上記(式1)の関係を満たす、「エッジ衝突時ボール中心軌跡」を形成するように循環路下穴41の中心位置をずらして配置する理由について詳しく説明する。
図3に、上記ボールねじに設定する座標系を示す。同図に示すように、ねじ軸1の長手方向をX、循環路下穴の軸方向をZ、循環路下穴の軸に直角な方向をYとし、掬い上げ角度をγとする。このとき、X方向原点は、ねじ線(つまり、ボール3の中心Oがねじ溝11の中心に沿って描くらせん軌道)SLにおいて、掬い上げ角度γ=0°のねじ線位置であり、Y,Z方向の原点はねじ軸1の中心軸上にある。また、ボールピッチ円直径をDm[mm]、ボールねじリードをL[mm]、リード角をβとする。リード角βは下記の(式2)の関係にある。
tan(β)=L/(π×Dm) (式2)
XYZ座標系を、Y軸を軸にリード角βだけ回転させた座標系をX’YZ’座標系とする。すると、ボールピッチ円直径におけるねじ線SLに直角な断面で切断したねじ溝11の溝直角断面形状はX’Y平面において定義される。
図5に示すように、溝直角断面X’Y平面において、R面取り7とねじ軸1の外径面12(ねじ軸直径)との境界Kの座標を境界座標(Sk1,Rk1)、境界Kを与える角度をμk1とする。なお、境界Kを与える角度μk1は、境界Kに接するボール3の中心と境界Kとを結ぶ線分とY軸とのなす角である。境界座標(Sk1,Rk1)及び境界Kを与える角度μk1は、ボールねじの溝直角断面(X’Y平面)において形状測定を行った結果から求めてもよく、また、下記の方法によって設計値から算出してもよい。
ここで、ボール直径をDw[mm]、ボール溝11の転走部半径をR[mm]、ボール接触角をα、R面取り開始角度をθa(ボール3の中心軸CLを基準にしてねじ溝11の底を0°とするときに、R面取り開始点Pに接するボール3の中心とR面取り開始点Pとを結ぶ線分が中心軸CL(Y軸)となす角)、R面取り半径をRr[mm]とすると、ねじ溝とR面取りが滑らかに接続するためには、R面取り7の中心座標(Sp,Rp)は、下記の(式3)によって与えられる。なお、(式3)の複合上段がマイナス側の溝を表し、下段がプラス側の溝を表す(以下同様)。
Sp=±{(R−Dw/2)×sin(α)−(R+Rr)×sin(θa)}
Rp=Dm/2+(R−Dw/2)×cos(α)−(R+Rr)×cos(θa)
(式3)
R面取り上の任意の点(Sq1,Rq1)は「μ」を用いて、下記の(式4)によって与えられる。
Sq1=Sp±Rr×sin(μ)
Rq1=Rp+Rr×cos(μ) (式4)
R面取り7とねじ軸1の外径面12(ねじ軸直径)との境界Kにおいては、ねじ軸直径をD[mm]とすると、下記の(式5)を満足する。
{Sq1×sin(β)}+Rq1=(D/2) (式5)
よって、式(5)に式(4)を代入した時の解μがμk1であり、R面取りとねじ軸直径との境界座標(Sk1,Rk1)は下記の(式6)によって与えられる。
Sk1=Sp±Rr×sin(μk1)
Rk1=Rp+Rr×cos(μk1) (式6)
以上のように、R面取りとねじ軸直径との境界座標(Sk1,Rk1)を、形状測定を行った結果または設計値から算出して求め、次にR面取り7とねじ軸1の外径面12との境界KにおいてR面取り7に接するボール3の中心Oが描くらせん軌跡(以下、「エッジ衝突時ボール中心軌跡」とも称する)の循環路下穴41に直角な断面への投影線(以下、「エッジ衝突時ボール中心投影軌跡」とも称する)を求める。
上記溝直角断面X’Y平面において、R面取りとねじ軸直径との境界KにおいてR面取り7に接するボール3の中心座標(Sb1,Rb1)は下記の(式7)によって与えられる。
Sb1=Sk1±(Dw/2)×sin(μk1)
Rb1=Rk1+(Dw/2)×cos(μk1) (式7)
X’YZ’座標系でのボール中心(Sb1,Rb1,0)からXYZ座標系のボール中心(Xb,Yb,Zb)への座標変換は、下記の(式8)によって与えられる。
Xb=Sb1×cos(β)
Yb=Rb1
Zb=−Sb1×sin(β) (式8)
R面取りとねじ軸直径との境界Kは、ねじ軸1のねじ溝11のらせんに沿って存在するから、「外径エッジ衝突」時のボール中心(Xb,Yb,Zb)もねじ軸1のねじ溝11のらせんに従ってらせん軌跡を描く。つまり、「エッジ衝突時ボール中心軌跡」は、変数Hを用いて(式8)を用いて下記の(式9)によって与えられる。
X(H)=Xb+H×L/2/π
=Sb1×cos(β)+H×L/2/π
Y(H)=Yb×cos(H)−Zb×sin(H)
=Rb1×cos(H)+Sb1×sin(β)×sin(H)
Z(H)=Yb×sin(H)+Zb×cos(H)
=Rb1×sin(H)−Sb1×sin(β)×cos(H) (式9)
「エッジ衝突時ボール中心軌跡」の循環路下穴41に直角な断面への投影線は、上記(式9)のX(H)、Y(H)である。
ここで、ボール3の中心Oが描くらせん軌道SLからの循環路下穴41の中心のX方向ずれ量、及びY方向ずれ量をそれぞれex、eyとすると、XY平面における循環路下穴中心(Xt,Yt)は下記の(式10)によって与えられる。
Xt=γ×L/(2π)+ex
Yt=Dm/2×cos(γ)+ey (式10)
また、「エッジ衝突時ボール中心投影軌跡」と循環路下穴中心との距離をE(H)[mm]とすると、E(H)は下記の(式11)によって与えられる。
E(H)=√{(X(H)−Xt)+(Y(H)−Yt)} (式11)
ここで、具体的な計算例を実施例に基づき説明する。表1に実施例(および比較例)の具体的数値を示す。ここでは、上記[第二態様]の対応例である、表1中の実施例1−1のボールねじを例に説明する。
Figure 0006318808
表1中の実施例1−1のボールねじは、γ=27°、X方向ずれ量ex=0.2とした。上記の(式4)〜(式6)を用いた計算の結果、境界座標(Sk1,Rk1)=(±2.526,12.451)、また、境界Kを与える角度μk1=35.823°、を得ることができた。同結果、並びに他の実施例(および比較例)の結果について表2に示す。
Figure 0006318808
この計算の結果を上記の(式7)、(式9)を用いて、ねじ軸直径との境界Kに接するボール3の中心Oが描くらせん軌跡を描くと図6のようになる。また、図6には(式10)から求めた循環路下穴中心(Xt,Yt)=(3.200,11.694)を中心とした、循環路下穴、ボール3、及び半径が(Dt−Dw)/2=0.269の円をそれぞれ図示している。ここで、循環路下穴直径(あるいは循環路下穴内径)はDt[mm]である。
リターンチューブを含む循環部内ではボール3は循環路下穴の中で動き、前記半径(Dt−Dw)/2の円の中にボール中心を取り得る。つまり、前記半径(Dt−Dw)/2[mm]の円よりも「エッジ衝突時ボール中心投影軌跡」が外側にあれば、リターンチューブを含む循環部からねじ溝11にボール3が侵入する際にボール3がねじ軸直径との境界Kに接触することはない。つまり、言い換えると、「エッジ衝突時ボール中心投影軌跡」と循環路下穴中心との距離E(H)の最小値をEmin[mm]とすると、ボール中心の取り得る範囲が、R面取りとねじ軸直径との境界Kよりも常に内側寄りに位置する条件は、下記に再掲する(式1)によって与えられる。
Emin−(Dt−Dw)/2>0 (式1)
図7には、上記変数Hを変化させたときのE(H)−(Dt−Dw)/2を縦軸に、X(H)を横軸に示している。このときの最小値Emin−(Dt−Dw)/2=0.114(表2参照)であるから、(式1)の条件を満たしている。したがって、本実施形態、並びに実施例1−1のボールねじでは、(式1)の条件を満たすように、ボール3の中心Oがねじ溝11の中心に沿って描くらせん軌道SL上からずらした位置に循環路下穴41の中心の位置が配置されているので、「外径エッジ衝突」が生じない。よって、このボールねじは、致命的な早期損傷なく更に高速化することができる。また、本実施形態、並びに実施例1−1のボールねじでは、滑らかに接続する面取り7を「R面取り」としたことで、その形状が単純であり、生産が容易であるからコストを下げることができる。なお、面取りをR面取り以外、例えば直線部を含む面取りとすることもできるが、滑らかに接続する面取りをR面取りとすれば、形状を単純として生産を容易としコストを下げる上で好適である。
実施例1−2はγ=20°、X方向ずれ量ex=0.476とした例である。γを小さくしたことですくい上げ点でのボール軌跡の変化が小さくなるので、より高速性を向上することができる。これに対し、比較例1−1はγ=27°、ex=0とした例である。リード比が従来と同様にボール中心が描くらせん軌道上に循環路下穴中心が一致しており、Emin−(Dt−Dw)/2=−0.047となり、外径エッジ衝突を生じてしまう。
また、実施例2−1、実施例2−2、循環路下穴直径Dtが比較的大きい場合を考慮し、Dt=5.5(Dt/Dw=1.15)の場合でも「外径エッジ衝突」が生じないよう、循環路下穴中心は、ボール中心が描くらせん軌道SL上からボール直径の15%以内の範囲でずらした位置に配置することが好ましい。
試作検証した範囲では、上記範囲のずらし量のであればボールがスムーズに循環可能であった。ボール直径の15%の範囲を超えて過度に循環路下穴中心の位置をずらすと、すくい上げ点においてボールが循環経路方向に対して横方向に移動する量が増えてしまうため、作動性悪化の懸念が生じる。
ここで、循環路下穴41の中心位置のずらし方向としては、X方向ex、Y方向eyおよびこれらの合成方向のいずれにも設定できるところ、本実施形態では、表1に示すように、Y方向eyについては、ずらし量を設定しておらず(ey=0)、X方向exに限ってずらし量を設定している。
なお、循環路下穴直径Dtが比較的大きい場合とは、ボールねじの製造における加工誤差を考慮した場合も含まれる。つまり、ボールねじ毎に循環路下穴中心位置や実際の循環路下穴直径にはばらつきがあり、循環路下穴直径Dtは、下記(式12)と同等にふるまう。ここで、(式12)において、循環路下穴直径設計値あるいは循環路下穴直径測定結果:Dt’、循環路下穴直径公差:ΔDt、循環路下穴中心位置度幾何公差:ΦZt、である。
Dt=Dt’+ΔDt+ΦZt (式12)
例えば、循環路下穴直径測定結果Dt’=5.3[mm]であったとしても、製造のばらつきがΔDt+ΦZt=0.2[mm]であった場合には実施例2−1のようにDt=5.5[mm]となる。
次に、上記[第三態様]に対応する例(表1,2中の実施例3−1)、つまり、ねじ溝の両縁部に設けられてねじ軸の外径面に滑らかに接続する面取りが、R面取りと直線面取りとからなる例について説明する。
実施例3−1のボールねじは、図8に示すように、ねじ軸1の外径面12に滑らかに接続する面取りが、ねじ溝11側に滑らかに接続するR面取り7と、このR面取り7の外側からねじ軸1の外径面12に滑らかに接続する直線面取り8とから形成されている点が、上記実施形態ないし実施例で説明した例と異なっている。
このような構成であると、ボールピッチ円直径とねじ軸直径との差が小さい場合において、R面取りのみでは面取りがねじ軸直径に達せず、ねじ溝11が形状として成り立たない場合があるが、R面取り7の外側を直線面取り8としたことでねじ軸直径に達することができ、ねじ溝11が形状として成立する。また、ボールピッチ円直径とねじ軸直径との差が小さい場合において、R面取りのみに比べて溝幅が広くなりすぎることを抑えることができ、加工時の取代を小さく抑えることができる。
ここで、図9に示すように、実施例3−1のボールねじでの溝直角断面X’Y平面において、直線面取り8とねじ軸直径との境界座標を(Sk2,Rk2)とする。この境界座標(Sk2,Rk2)はボールねじの溝直角断面において形状測定を行った結果から求めてもよく、また、下記の方法によって設計値から算出してもよい。
R面取り7の中心座標(Sp,Rp)は上記(式2)によって与えられる。R面取り7と直線面取り8との境界座標(Sc,Rc)は下記の(式13)によって与えられる。
Sc=Sp±Rr×sin(θc)
Rc=Rp+Rr×cos(θc) (式13)
ここで、R面取り範囲:θb、直線面取りの面取り角度:θc、であり、これらは下記の(式14)の関係にある。ただし、R面取り範囲θbは、ねじ溝直角断面視にて、R面取り7の中心に対してR面取りの開始点と直線面取りの開始点を結ぶ二つの線分のなす角度であり、直線面取りの面取り角度θcは、ねじ軸1の外径面12の稜線と直線面取り8の稜線とのなす角度である。
θc=θa−θb (式14)
直線面取り上の任意の点(Sq2,Rq2)のRq2はSq2を用いて、下記の(式15)によって与えられる。
Rq2=Rc+abs(Sq2−Sc)×tan(θc) (式15)
ここで、abs(Sq2−Sc)は(Sq2−Sc)の絶対値を表す。直線面取り8とねじ軸直径との境界Kにおいては、下記の(式16)を満足する。
{Sq2×sin(β)}+Rq2=(D/2) (式16)
よって、(式16)に(式15)を代入した時の解Sq2がSk2であり、直線面取り8とねじ軸直径との境界座標(Sk2,Rk2)は下記の(式17)によって与えられる。
Sk2=Sq2
Rk2=Rc+abs(Sq2−Sc)×tan(θc) (式17)
以上のように、直線面取り8とねじ軸直径との境界Kを、形状測定を行った結果または設計値から算出して求め、次に直線面取り8とねじ軸直径との境界Kにおいて直線面取りに接するボール3の中心が描くらせん軌跡(「エッジ衝突時ボール中心軌跡」)の循環路下穴に直角な断面への投影線(「エッジ衝突時ボール中心投影軌跡」)を求める。
溝直角断面X’Y平面において、直線面取り8とねじ軸直径との境界Kにおいて直線面取りに接するボール中心の座標(Sb2,Rb2)は下記の(式18)によって与えられる。
Sb2=Sk2±(Dw/2)×sin(θc)
Rb2=Rk2+(Dw/2)×cos(θc) (式18)
以降、「エッジ衝突時ボール中心軌跡」の循環路下穴に直角な断面への投影線X(H)、Y(H)、「エッジ衝突時ボール中心投影軌跡」と循環路下穴中心との距離E(H)、を求めるまでの過程は、上述した(式8)、(式9)、(式10)、(式11)において、Sb1→Sb2,Rb1→Rb2と置き換えたものに同じである。
ここで、具体的な計算例に基づき説明する。
表1,2中の実施例3−1のボールねじは、上記の(式14)〜(式16)及び(式17)を用いた計算の結果、直線面取りとねじ軸直径との境界座標(Sk2,Rk2)=(±2.693,12.444)を得ることができた。また、上記(式10)から求めた循環路下穴中心は、(Xt,Yt)=(3.200,11.583)である。これを(式9)、(式11)、(式18)を用いてE(H)を求め、E(H)の最小値Eminを求めると、Emin−(Dt−Dw)/2=0.114(表2参照)である。これは上記(式1)の条件を満たしており、「外径エッジ衝突」が生じない。よって、致命的な早期損傷なくボールねじを高速化することができる。
以上説明したように、上記実施形態および各実施例に示したチューブ式のボールねじによれば、上記(式1)の条件を満たすように循環路下穴41の中心位置を意図的にずらしたので、「外径エッジ衝突」を防止して更なる高速化を達成することができる。なお、本発明に係るボールねじは、上記実施形態および各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、ねじ溝11の両縁部に、ねじ軸1の外径面12に滑らかに接続する面取りとして、面取りがR面取り7のみである例、および変形例として、面取りが、ねじ溝11側に滑らかに接続するR面取り7と、このR面取り7の外側からねじ軸1の外径面12に滑らかに接続する直線面取り8とから形成されている例を示して説明したが、これに限定されない。例えば、当該箇所の面取りとして、徐々に曲率が変化していく複合円弧の面取りを用いても、Emin−(Dt−Dw)/2>0を満たすように循環路下穴41の中心位置のずらし量を設定すれば「外径エッジ衝突」しないので、同様の効果が期待できる。
また、R面取りの開始角度を60°に設定した実施例に関して述べたが、R面取りの開始角度は60°以上であってもよい。この場合、R面取りの半径を小さく設定することや、ボールピッチ円直径とねじ軸直径との差を大きく設定することでEmin−(Dt−Dw)/2>0を満たすように循環路下穴41の中心位置のずらし量を設定すれば、比較的大リードのボールねじでも「外径エッジ衝突」しない。しかし、過度にR面取りの半径を小さくすると高速回転において支障がでることから、R面取りの半径は、およそボール直径の0.2倍以上に設定することが望ましい。
また、ボール直径Dw[mm]やねじ軸直径D[mm]の寸法についても、表1に例示した実施例以外を採用してもよく、Y/Dw、Rr/Dw、が本発明の各態様に規定する範囲内であれば同様の効果が期待できる。なお、Dt/Dwは本発明に係る実施例に示すように、Dt/Dw=1.11〜1.15付近が望ましい。また、上記実施例の説明中にも述べたように、L/Dwが比較的大きい場合に「外径エッジ衝突」は生じやすいものの、Emin−(Dt−Dw)/2>0を満たせばL/Dwが0.8未満の場合であっても同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態および各実施例に示した例では、外部循環部材としてリターンチューブを用いたチューブ式ボールねじに関して述べたが、外部循環部材はリターンチューブに限定されない。循環経路の軌跡が同等、つまり、掬い上げ点において掬い上げ角度を有し、ねじ軸と直角の方向に掬い上げる循環方式であれば、同様の効果が期待できる。例えば、外部循環方式のボールねじの他の例として、外部循環部材を樹脂成形してナット径方向から挿入するキャップタイプであっても本発明が適用可能である。
1 ねじ軸
2 ナット
3 ボール
4 リターンチューブ
7 R面取り
8 直線面取り
11 ねじ軸のねじ溝
12 ねじ軸の外径面
21 ナットのねじ溝
31 チューブ装着穴
41 ボール戻し路、循環路下穴

Claims (4)

  1. ねじ軸と、ナットと、複数のボールとを有し、前記ねじ軸は前記ナットを貫通し、前記ねじ軸の外周面に形成された螺旋状のねじ溝と前記ナットの内周面に形成された螺旋状のねじ溝とにより前記ボールが転動する転動路が形成されるとともに、前記転動路の終点から始点に前記ボールを戻すボール戻し路が外部循環部材によって形成され、前記ナットに、前記外部循環部材の端部が連結される循環路下穴が前記転動路に連通するように形成されている外部循環方式のボールねじにおいて、
    前記ねじ軸は、前記ねじ溝の両縁部に、前記ねじ軸の外径面に滑らかに接続する面取りを有し、
    前記面取りと前記ねじ軸の外径面との境界に接するように前記ボールを位置させたときに、そのボール中心が前記ねじ溝に沿って描くらせん軌跡を「エッジ衝突時ボール中心軌跡」と呼び、このエッジ衝突時ボール中心軌跡を前記循環路下穴に直角な断面に投影した時の軌跡を「エッジ衝突時ボール中心投影軌跡」と呼ぶとき、
    前記エッジ衝突時ボール中心投影軌跡から前記循環路下穴中心までの距離の最小値をEmin、ボール直径をDw、循環路下穴直径をDtとしたとき、下記(式1)の関係を満たすように、前記ボール中心が前記ねじ溝中心に沿って描くらせん軌道上からずらした位置に前記循環路下穴中心の位置が配置されていることを特徴とするボールねじ。
    Emin−(Dt−Dw)/2>0 (式1)
  2. 前記面取りがR面取りである請求項1に記載のボールねじ。
  3. 前記面取りが、ねじ溝側に滑らかに接続するR面取りと、このR面取りの外側から前記ねじ軸の外径面に滑らかに接続する直線面取りとから形成されている請求項1に記載のボールねじ。
  4. 前記循環路下穴中心は、前記ボール中心が描くらせん軌道上からボール直径の15%以下の範囲でずらした位置に配置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のボールねじ。
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