JP6318478B2 - 有機el装置、有機el装置の製造方法、及び電子機器 - Google Patents

有機el装置、有機el装置の製造方法、及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、有機EL装置、有機EL装置の製造方法、及び電子機器に関する。
有機EL(Electro Luminescence)装置は、陽極と陰極との間に有機発光層が挟持された発光素子を素子基板上に備えている。有機発光層は、例えば、インクジェット法等の液滴吐出法や真空蒸着法を用いて、R,G,Bの発光色毎に形成される。有機EL装置が、例えばヘッドマウントディスプレイ(HMD)等の小型の電子機器の表示装置として利用される場合、有機EL装置には画素の高精細化(微細化)が求められる。画素が高精細化されると、有機発光層をR,G,Bの発光色毎に個別に形成することが困難となるが、カラーフィルターを備えることで白色発光する有機発光層を全面に形成することが可能な有機EL装置の構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の有機EL装置では、素子基板に対向配置される対向基板にR,G,Bのカラーフィルターが配置されている。そして、隣り合う画素同士の間の漏れ光による混色を抑止するため、隣り合うカラーフィルター同士の間には、黒色の色材を含んだ樹脂材料からなる遮光層が設けられている。しかしながら、対向基板にカラーフィルターを備えた有機EL装置の構成では、素子基板と対向基板とを貼り合せる際に相互の位置がずれた場合、各画素とカラーフィルターとの位置ずれが生じるおそれがある。画素が高精細化されると遮光層の幅も狭くなるため、位置ずれが生じた場合その影響がより大きくなるので、漏れ光等を遮光する機能が損なわれるという課題がある。
一方、薄型化を図るため、素子基板の発光素子上にカラーフィルターを備えた有機EL装置の構成が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2に記載の有機EL装置では、隣り合うカラーフィルター同士の間に、黒色の色材を含んだ樹脂材料、又はクロム(Cr)からなる遮光層が設けられている。遮光層は、発光素子上の全面に成膜された後、フォトリソグラフィ法によりパターニングされて形成される。特許文献2に記載の有機EL装置の構成によれば、素子基板と対向基板とを接合する際の位置ずれの影響を排除することができる。
特開2009−259509号公報 特開2010−27265号公報
しかしながら、特許文献2に記載の有機EL装置の構成では、遮光層をクロム等の金属で形成する場合、有機発光層から発せられた光の一部が遮光層で有機発光層側へ反射されて迷光となり、表示品質が損なわれるおそれがあるという課題がある。また、遮光層を樹脂材料で形成する場合、樹脂材料をフォトリソグラフィ法によりパターニングする際に、樹脂材料が表面側からだけでなく側面側からも現像されるため、樹脂材料が底部側から剥れる可能性がある。特に、黒色の色材を含んだ感光性の樹脂材料を用いる場合、樹脂材料を露光する際に光が黒色の色材に吸収されることにより、樹脂材料の底部側に十分感光しない部分ができる場合がある。このような場合、現像の際に十分感光しなかった底部側の部分も一部が除去されてしまい、残留すべき部分が剥れるおそれがある。黒色の色材を含んだ樹脂材料の代わりに、色が異なる複数の着色層を積層して遮光層を形成することも考えられるが、着色層をパターニングする際に着色層が側面側からも現像されるため、積層された着色層同士の界面で剥れが生じるおそれがある。
有機発光層から発せられた光を所定の共振波長で共振させる光共振構造を備えた有機EL装置では、カラーフィルターを不要とすることができる。しかしながら、画素の領域を区画する絶縁層の一部が陽極の周縁部上に配置されており、絶縁層と陽極とが重なる部分で画素の領域と光の共振波長が異なるため、この部分から波長の異なる光が射出されると画素の領域から射出される光の色の純度低下を招くこととなる。したがって、光共振構造を備えカラーフィルターを不要とする場合でも、絶縁層と陽極とが重なる部分から射出される光を遮光するため遮光層を設けることが好ましく、このような遮光層に対して、上述の課題を解決することが求められる。
本発明の態様は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る有機EL装置は、基板と、前記基板上に設けられた、第1の電極と、前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された有機発光層と、を含む発光素子と、前記発光素子上に設けられた透光層と、前記透光層を区画する溝部と、前記溝部を埋めるように樹脂材料で形成された遮光層と、を備えたことを特徴とする。
本適用例の構成によれば、発光素子上に設けられた透光層を区画する溝部を埋めるように遮光層が設けられている。すなわち、遮光層は、溝部の内側に透光層の両側面に接して設けられている。したがって、遮光層を形成する工程において、遮光層の材料は表面側から現像されるが側面側からは現像されないため、透光層が設けられていない場合と比べて、遮光層の剥れを抑えることができる。これにより、画素が高精細化され遮光層の幅が狭い場合でも、良好な遮光性を有する遮光層を形成することができる。また、遮光層が樹脂材料で形成されているので、遮光層が金属材料で形成されている場合と比べて、有機発光層から発せられた光の遮光層での反射を抑止できる。これにより、優れた表示品質を有する有機EL装置を提供できる。
[適用例2]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記遮光層は、積層された少なくとも2つの着色層を含むことが好ましい。
本適用例の構成によれば、遮光層が少なくとも2つの着色層を積層して形成される。そのため、黒色の色材を含有する樹脂材料で遮光層を形成する場合と比べて、各着色層の材料である樹脂材料を露光する際に光が樹脂材料の底部側まで透過し易くなるので、樹脂材料を底部側までより良好に感光させることができる。また、先に形成した1つ目の着色層の上に積層形成した2つ目の着色層の樹脂材料を現像する際に、2つ目の着色層の樹脂材料は側面側からは現像されないため、2つ目の着色層の樹脂材料が1つ目の着色層から剥れることを抑止できる。なお、着色層を積層した遮光層は、透過する光の波長帯域を各着色層で異ならせることで透過する光を低減できるので、遮光層の機能を果たすことができる。
[適用例3]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記遮光層は、黒色の色材を含有する樹脂材料で構成されていてもよい。
本適用例の構成によれば、遮光層を黒色の色材を含有する樹脂材料で形成する場合でも、樹脂材料は表面側から現像されるが側面側からは現像されないため、樹脂材料の底部側に十分露光されなかった部分があった場合でも、樹脂材料の剥れを抑止することができる。
[適用例4]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記遮光層は、透過する光の波長を可視光域以外の波長帯域の光に変換する色変換材料で構成されていてもよい。
本適用例の構成によれば、遮光層が色変換材料で形成される。そのため、黒色の色材を含有する樹脂材料で遮光層を形成する場合と比べて、遮光層の樹脂材料を露光する際に光が樹脂材料の底部側まで透過し易くなるので、樹脂材料を底部側までより良好に感光させることができる。色変換材料で形成された遮光層は、透過する光の波長を可視光域以外の波長帯域の光に変換するので、遮光層の機能を果たすことができる。
[適用例5]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記透光層は、樹脂材料で形成されていることが好ましい。
本適用例の構成によれば、透光層の材料に樹脂材料を用いることで、無機材料を用いる場合と比べて、透光層をより容易に形成することができる。
[適用例6]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記透光層は、無機材料で形成されていることが好ましい。
本適用例の構成によれば、透光層の材料に無機材料を用いることで、樹脂材料を用いる場合と比べて、耐光性や耐熱性により優れた透光層を形成することができる。
[適用例7]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記発光素子上に無機材料で形成された保護層を備え、前記透光層は、前記保護層と一体で設けられていることが好ましい。
本適用例の構成によれば、発光素子上に無機材料で形成された保護層と透光層とを一体とすることで、無機材料の層を形成する工程を低減できる。
[適用例8]上記適用例に係る有機EL装置であって、前記透光層は、可視光域の波長範囲において光の90%以上が透過する透光性を有していることが好ましい。
本適用例の構成によれば、透光層が可視光域の全波長範囲において光の90%以上が透過する透光性を有しているので、透光層を透過することによる射出光の輝度低下を小さく抑えることができる。
[適用例9]上記適用例に係る有機EL装置であって、複数の異なる波長帯域の光を共振させる光共振構造を有し、前記第1の電極と前記有機発光層との間に、平面視で前記第1の電極の周縁部と重なるように設けられた透光性を有する絶縁層を備え、前記遮光層は、平面視で前記絶縁層と重なるように配置されていることが好ましい。
本適用例の構成によれば、光共振構造を有する有機EL装置において、遮光層が、第1の電極の周縁部と重なるように設けられた透光性を有する絶縁層と重なるように配置されている。絶縁層と第1の電極とが重なる部分から射出される光の共振波長は、絶縁層と第1の電極とが重ならない画素の領域から射出される光の共振波長と異なる。このような画素の領域から射出される光の共振波長と異なる波長の光が遮光層で遮られるので、射出される光の色の純度低下を抑えることができる。
[適用例10]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする。
本適用例の構成によれば、優れた表示品質を有する有機EL装置を備えているので、電子機器の表示品質を向上させることができる。
[適用例11]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、基板上に、第1の電極と有機発光層と第2の電極とを配置して発光素子を形成する工程と、前記発光素子上に透光層を形成する工程と、前記透光層に溝部を形成する溝部形成工程と、前記溝部に樹脂材料で遮光層を形成する遮光層形成工程と、を備え、前記溝部形成工程では、前記透光層を平面視で前記第1の電極と重なる領域毎に区画するように前記溝部を形成し、前記遮光層形成工程では、前記溝部を埋めるとともに前記透光層を覆うようにスピンコート法により前記樹脂材料を配置した後、配置した前記樹脂材料のうち前記透光層と重なる部分をフォトリソグラフィ法により除去することを特徴とする。
本適用例の製造方法によれば、発光素子上に設けた透光層を区画する溝部を形成し、スピンコート法により溝部を埋めるように遮光層を形成する。すなわち、遮光層は、溝部の内側において透光層の両側面に接するように形成される。したがって、フォトリソグラフィ法によるパターニング工程において、遮光層の材料は表面側から現像されるが側面側からは現像されないため、透光層が設けられていない場合と比べて、遮光層の剥れを抑えることができる。これにより、画素が高精細化され遮光層の幅が狭い場合でも、良好な遮光性を有する遮光層を形成することができる。また、遮光層を樹脂材料で形成するので、遮光層を金属材料で形成する場合と比べて、有機発光層から発せられた光の遮光層での反射を抑止できる。これにより、優れた表示品質を有する有機EL装置を製造できる。
[適用例12]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記樹脂材料として、互いに色の異なる第1の着色層と第2の着色層とを少なくとも含み、前記遮光層形成工程は、スピンコート法により、前記溝部を埋めるとともに前記透光層を覆うように前記第1の着色層を配置した後、フォトリソグラフィ法により、配置した前記第1の着色層のうち前記透光層と重なる部分を除去するとともに、前記溝部に配置された前記第1の着色層の膜厚を薄くする工程と、スピンコート法により、前記溝部を埋めるとともに前記透光層を覆うようにスピンコート法により前記第2の着色層を配置した後、フォトリソグラフィ法により、配置した前記第2の着色層のうち前記透光層と重なる部分を除去するとともに、前記溝部に配置された前記第2の着色層の膜厚を薄くする工程と、を含むことが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、第1の着色層と第2の着色層とを積層して配置することにより遮光層を形成する。そのため、黒色の色材を含有する樹脂材料で遮光層を形成する場合と比べて、各着色層の材料である樹脂材料を露光する際に光が樹脂材料の底部側まで透過し易くなるので、樹脂材料を底部側までより良好に感光させることができる。また、先に形成した1つ目の着色層の上に積層形成した2つ目の着色層の樹脂材料をフォトリソグラフィ法により現像する際に、2つ目の着色層の樹脂材料は側面側からは現像されないため、2つ目の着色層の樹脂材料が1つ目の着色層から剥れることを抑止できる。
[適用例13]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記遮光層形成工程により形成された前記遮光層において、前記第1の着色層の膜厚は、前記第2の着色層の膜厚よりも厚いことが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、第2の着色層よりも膜厚が厚い第1の着色層を先に形成する。第1の着色層及び第2の着色層のそれぞれは、溝部を埋めるとともに透光層を覆うように形成されるので、溝部の底部側に形成される着色層では、その上層に形成される着色層と比べて、膜厚を薄くする際の表面側からの膜の削減量が多くなる。したがって、第2の着色層よりも膜厚が厚い第1の着色層を底部側に形成することで、底部側に形成する着色層の膜の削減量を小さくできる。
[適用例14]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法であって、前記遮光層形成工程において、前記第1の着色層は、フォトリソグラフィ法により前記第2の着色層よりも容易に膜厚が薄くなることが好ましい。
本適用例の製造方法によれば、第2の着色層よりもフォトリソグラフィ法で容易に膜厚を薄くできる第1の着色層を先に形成する。第1の着色層及び第2の着色層のそれぞれは、溝部を埋めるとともに透光層を覆うように形成されるので、溝部の底部側に形成される着色層では、その上層に形成される着色層と比べて、膜厚を薄くする際の表面側からの膜の削減量が多くなる。したがって、第2の着色層よりも容易に膜厚を薄くできる第1の着色層を底部側に形成することで、底部側に形成する着色層の膜厚を容易に所望の膜厚にすることができる。また、膜厚が容易に薄くなる第1の着色層を溝部の底部側に形成することにより、底部側に形成する着色層の膜厚の制御を容易に行うことができる。
第1の実施形態に係る有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の構成を示す模式平面図。 第1の実施形態に係る有機EL装置のサブ画素の構成を示す模式平面図。 図3に示す有機EL装置のA−A’線に沿う模式断面図。 図3に示す有機EL装置のB−B’線に沿う模式断面図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図。 第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図。 第2の実施形態に係る有機EL装置の構成を示す模式断面図。 第2の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図。 第3の実施形態に係る電子機器としてのヘッドマウントディスプレイの構成を示す概略図。 変形例1に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図。 変形例2に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図。 比較例を示す模式図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。また、説明に必要な構成要素以外は図示を省略する場合がある。
なお、以下の形態において、例えば「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
(第1の実施形態)
<有機EL装置>
まず、第1の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。図2は、第1の実施形態に係る有機EL装置の構成を示す模式平面図である。図3は、第1の実施形態に係る有機EL装置のサブ画素の構成を示す模式平面図である。
図1に示すように、有機EL装置1は、スイッチング素子としてトランジスターを用いたアクティブマトリックス型の有機EL装置である。トランジスターは、例えば、薄膜半導体層を用いた薄膜トランジスター(Thin Film Transistor、以下、TFTという)である。
有機EL装置1は、基板としての素子基板10(図2参照)と、素子基板10上に設けられた走査線12と、走査線12に対して交差する方向に延びる信号線13と、信号線13に並列に延びる電源線14とを備えている。信号線13には、シフトレジスター、レベルシフター、ビデオライン、及びアナログスイッチを備えた信号線駆動回路15が接続されている。また、走査線12には、シフトレジスター及びレベルシフターを備えた走査線駆動回路16が接続されている。
走査線12と信号線13とによりサブ画素6(図2参照)の領域が区画されている。サブ画素6は、有機EL装置1の表示の最小単位であり、例えば、走査線12の延在方向と信号線13の延在方向とに沿ってマトリックス状に配列されている。各サブ画素6には、スイッチング用トランジスター21と、駆動用トランジスター23と、保持容量22と、第1の電極としての陽極24と、第2の電極としての陰極25と、有機発光層を含む有機機能層26とが設けられている。
陽極24と、陰極25と、有機機能層26とによって、発光素子(有機EL素子)27が構成される。発光素子27では、陽極24側から注入される正孔と、陰極25側から注入される電子とが有機機能層26の有機発光層で再結合することにより発光が得られる。
有機EL装置1では、走査線12が駆動されてスイッチング用トランジスター21がオン状態になると、信号線13を介して供給される画像信号が保持容量22に保持され、保持容量22の状態に応じて駆動用トランジスター23のソースとドレインとの間の導通状態が決まる。そして、駆動用トランジスター23を介して電源線14に電気的に接続したとき、電源線14から陽極24に電流が流れ、さらに有機機能層26を通じて陰極25に電流が流れる。
この電流は、駆動用トランジスター23のソースとドレインとの間の導通状態に応じたレベルとなる。このとき、駆動用トランジスター23のソースとドレインとの間の導通状態、すなわち、駆動用トランジスター23のチャネルの導通状態は、駆動用トランジスター23のゲートの電位により制御される。そして、有機機能層26の有機発光層は、陽極24と陰極25との間に流れる電流量に応じた輝度で発光する。
換言すれば、発光素子27の発光状態を駆動用トランジスター23により制御するとき、駆動用トランジスター23のソース及びドレインのいずれか一方が電源線14に電気的に接続され、駆動用トランジスター23のソース及びドレインのいずれか他方が発光素子27に電気的に接続される。
図2に示すように、有機EL装置1は、素子基板10上に、略矩形の平面形状を有する発光領域Eを有している。発光領域Eは、有機EL装置1において、実質的に発光に寄与する領域である。発光領域Eには、サブ画素6(発光素子27)が、例えばマトリックス状に配列されている。サブ画素6は、例えば略矩形の平面形状を有している。サブ画素6の略矩形状の4つの角は丸く形成されていてもよい。この場合、サブ画素6の平面形状は、4つの辺と4隅に対応する湾曲部から構成される。
本実施形態に係る有機EL装置1は、赤色(R)を発光するサブ画素6Rと、緑色(G)を発光するサブ画素6Gと、青色(B)を発光するサブ画素6Bと、を有している。また、サブ画素6R,6G,6Bに対応して、発光素子(有機EL素子)27R,27G,27Bが設けられている。以下では、対応する色を区別しない場合には、単にサブ画素6,発光素子27と記す。以下では、赤色、緑色、青色を、それぞれR、G、Bと記す。
発光領域Eの周囲には、2つの走査線駆動回路16(図1参照)と検査回路(図示省略)とが配置されている。検査回路は、有機EL装置1の作動状況を検査するための回路である。素子基板10の外周縁部には、陰極用配線(図示省略)が配置されている。また、素子基板10の一つの辺側には、端子部37が設けられている。有機EL装置1は、端子部37において、例えば、駆動用ICを備えたフレキシブル基板等に接続される。
本実施形態に係る有機EL装置1では、サブ画素6R,6G,6Bにより、画像を形成する際の一つの単位である画素5が構成される。有機EL装置1は、それぞれの画素5においてサブ画素6R,6G,6Bのそれぞれの輝度を適宜変えることで、種々の色の光を射出することができる。これにより、有機EL装置1は、フルカラー表示又はフルカラー発光が可能である。
なお、有機EL装置1は、発光領域Eの外側に、発光素子27が配置された実質的に有機EL装置1の発光には寄与しないダミー領域を備えていてもよい。この場合、ダミー領域に配置される発光素子27は、陽極24を備えていなくてもよい。
次に、図3を参照して、サブ画素6の構成とその平面的な配置について説明する。本実施形態に係る有機EL装置1は、白色発光が得られる有機機能層26(図4参照)を有し、光共振構造(マイクロキャビティ構造)を備えている。
図3に示すように、X方向には、3色の異なる発光が得られるサブ画素6R,6G,6Bが順に配列されている。また、Y方向には、同色の発光が得られるサブ画素6R、サブ画素6G、又はサブ画素6Bのいずれかが一列に配列されている。サブ画素6は、その長手方向がY方向に沿うように配置されている。
サブ画素6R,6G,6Bは、X方向において、例えば、2.5μm〜3μm程度のピッチで配置されている。隣り合うサブ画素6同士のX方向における間隔は、例えば、1.0μm〜1.25μm程度である。各サブ画素6の領域のX方向における幅は、例えば、1.5μm〜1.75μm程度である。
陽極24(24R,24G,24B)は、サブ画素6(6R,6G,6B)に対応して設けられている。以下では、対応する色を区別しない場合には、単に陽極24と記す。陽極24の平面形状は、サブ画素6の平面形状とほぼ同じ略矩形状であるが、コンタクトホールCHと接続される部分を有している。コンタクトホールCHは、陽極24と駆動用トランジスター23(図5参照)のドレイン電極とを電気的に接続するためのものである。コンタクトホールCHと接続される部分は、例えば、陽極24のY方向における一辺側に設けられている。
サブ画素6R,6G,6Bの領域は、絶縁層28により区画されている。すなわち、絶縁層28の開口部29と平面視で重なる領域が、サブ画素6R,6G,6Bの領域である。絶縁層28は、例えば、X方向及びY方向に沿って格子状に設けられている。絶縁層28の開口部29は陽極24よりも小さく、絶縁層28の一部(図3に斜線を付して示す部分)は、平面視で陽極24の周縁部と重なるように配置されている。
各サブ画素6の領域と平面視で重なるように、透光性を有する透光層30が配置されている。透光層30同士の間には、溝部31が設けられている。溝部31は、絶縁層28と平面視で重なるように配置されている。溝部31には、遮光層35が設けられている。遮光層35は、絶縁層28と平面視で重なるように配置されている。遮光層35が配置された領域が、遮光領域Sである。
例えば、サブ画素6のX方向における配置ピッチが2.5μmの場合、絶縁層28の開口部29及び透光層30のX方向における幅は1.5μm程度である。隣り合う開口部29同士の間隔、すなわち絶縁層28及び遮光層35(遮光領域S)の幅は1μm程度である。
次に、図4及び図5を参照して、第1の実施形態に係る有機EL装置の構造を説明する。図4は、図3に示す有機EL装置のA−A’線に沿う模式断面図である。図5は、図3に示す有機EL装置のB−B’線に沿う模式断面図である。
図4及び図5に示すように、有機EL装置1は、素子基板10と、陽極24と、有機機能層26と、陰極25と、保護層20と、透光層30と、遮光層35と、接着層44と、対向基板40とを備えている。有機EL装置1は、有機機能層26から発した光が対向基板40側に射出されるトップエミッション型である。
なお、本明細書では、図4及び図5における有機EL装置1の対向基板40側を上方と呼ぶ。また、本明細書では、有機EL装置1の対向基板40側表面の法線方向から見ることを「平面視」と呼ぶ。図2及び図3は、対向基板40を省略した状態で有機EL装置1を平面視した図である。
素子基板10は、基板本体11と、回路素子層17と、反射層19と、絶縁層18とを備えている。基板本体11は、例えば、ガラス、石英、樹脂、セラミックス等からなる。有機EL装置1がトップエミッション型であるため、基板本体11の材料は透光性を有する材料でなくてもよく、例えばシリコン(Si)であってもよい。対向基板40は、例えば、ガラス、石英、樹脂、セラミックス等の透光性を有する材料からなる。
回路素子層17は、基板本体11上に設けられている。回路素子層17は、駆動用トランジスター23(図5参照)と、図示しない層間絶縁層及び平坦化層を含んでいる。駆動用トランジスター23は、サブ画素6(6R,6G,6B)毎に設けられている。詳細な図示を省略するが、駆動用トランジスター23は、半導体膜とゲート絶縁層とゲート電極とドレイン電極とソース電極とを備えている。
ゲート電極は、半導体膜を覆うゲート絶縁層を間に挟んで半導体膜のチャネル領域に平面的に重なるように配置されている。ドレイン電極は、ゲート電極とゲート絶縁層とを覆う層間絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して、半導体膜のドレイン領域に導電接続されている。ソース電極は、同様にコンタクトホールを介して、半導体膜のソース領域に導電接続されている。平坦化層は、ドレイン電極及びソース電極を覆うように設けられており、これらの電極やその他の配線部による表面の凹凸を緩和している。
反射層19は、回路素子層17上に、サブ画素6(6R,6G,6B)毎に設けられている。反射層19は、例えば、アルミニウムや銀、またはアルミニウムや銀を主成分とする合金等の光反射性を有する材料によって形成される。
絶縁層18は、回路素子層17と反射層19とを覆うように設けられている。絶縁層18の上面は、平坦化されている。絶縁層18は、例えば、二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiON)等の無機絶縁膜によって形成されている。絶縁層18は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機樹脂によって形成されてもよい。
陽極24(24R,24G,24B)は、素子基板10上に、サブ画素6(6R,6G,6B)毎に設けられている。陽極24(24R,24G,24B)は、平面視で反射層19と重なるように配置されている。陽極24R,24G,24Bの膜厚は、後述する光共振構造の光学的距離(光路長)を調整するため互いに異なっており、陽極24B,24G,24Rの順に厚くなっている。
陽極24は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等の金属酸化物や合金等で構成される。陽極24は、例えば、平面視で略矩形状に形成されている。陽極24は、絶縁層18に設けられたコンタクトホールCH(図5参照)を介して、駆動用トランジスター23のドレイン電極に電気的に接続されている。
絶縁層28は、絶縁層18上に設けられている。絶縁層28は、開口部29を有している。絶縁層28は、開口部29の周囲に沿って陽極24(24B,24G,24R)の周縁部に所定幅で乗り上げるように配置された部分(図3に斜線で示す部分)を有している。絶縁層28の断面形状は、台形形状で図示しているが、矩形形状であってもよい。絶縁層28は、例えば、二酸化珪素(SiO2)等の無機絶縁材料で形成されている。絶縁層28は、アクリル樹脂等の樹脂で形成されていてもよい。
上述したように、絶縁層28の開口部29は、サブ画素6R,6G,6Bの各領域を区画している。開口部29内、すなわちサブ画素6R,6G,6Bの領域内では、陽極24B,24G,24Rから有機機能層26を通じて陰極25に電流が流れて有機機能層26が発光する。また、陽極24および陰極25から注入される電荷は、横方向にも広がるため、開口部29の周辺(例えば図3に斜線で示す部分)では、絶縁層28と重なる領域であっても有機機能層26は発光する。一方、開口部29から十分離れた領域では、陽極24B,24G,24Rと陰極25との間が絶縁層28で絶縁されているため電流が流れないので有機機能層26は発光しない。
有機機能層26は、陽極24(24B,24G,24R)と絶縁層28とを覆うように設けられている。つまり、有機機能層26は、絶縁層28に跨るように、複数のサブ画素6(発光素子27)に亘って連続して形成されている。有機機能層26は、例えば、正孔輸送層と有機発光層と電子輸送層とで構成される。有機機能層26では、正孔輸送層から注入される正孔と電子輸送層から注入される電子とが有機発光層で再結合することにより、白色の発光が得られる。有機機能層26を構成するこれらの層は、公知の材料を用いて形成することができる。
陰極25は、有機機能層26を覆うように設けられている。したがって、陰極25は、複数のサブ画素6(発光素子27)に亘って連続して形成されている。陰極25は、その表面に達した光の一部を透過するとともに他の一部を反射する性質(すなわち半透過反射性)を持った半透過反射層として機能する。陰極25は、マグネシウム(Mg)や銀(Ag)、またはこれらを主成分とする合金等で形成される。
陽極24(24R,24G,24B)と有機機能層26と陰極25とで、発光素子27(27R,27G,27B)が構成される。つまり、発光素子27R,27G,27Bでは、陽極24R,24G,24Bの層厚がそれぞれ異なっている。発光素子27R,27G,27Bは、サブ画素6R,6G,6Bに対応して配置される。
なお、陰極25上に、上層の保護層20に含まれる有機成分や水分等から陰極25を保護するため、陰極保護層が設けられていてもよい。陰極保護層は、例えば、二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiON)等の無機材料で構成される。
保護層20は、陰極25を覆うように設けられている。保護層20は、図示を省略するが、例えば緩衝層とガスバリア層等で構成される。緩衝層は、素子基板10の反りや体積膨張により発生する応力や外部から加えられる機械的衝撃及び応力を緩和して、上層のガスバリア層や下層の陰極25にクラックや剥れが発生することを防止する機能を有する。また、緩衝層は、下層の構成要素に起因する表面の凹凸を緩和する平坦化層としての機能も有する。緩衝層の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の透光性を有する樹脂材料を用いることができる。
ガスバリア層は、その内側に酸素や水分が浸入するのを防止する機能を有する。これにより、陰極25や有機機能層26への酸素や水分の浸入が抑えられるので、陰極25や有機機能層26の劣化等を抑えることができる。ガスバリア層は、例えば、二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiON)等の無機材料で構成される。
透光層30は、保護層20上に設けられている。透光層30は、平面視で絶縁層28の開口部29と重なるようにマトリックス状に配置されている。すなわち、透光層30は、サブ画素6(6R,6G,6B)の領域に配置されている。透光層30の断面形状は、上底が下底よりも小さい(辺の長さが短い)台形、又は矩形である。透光層30の断面形状は、上底が下底よりも小さい台形である方が、溝部31を埋めるように遮光層35を形成する際に、遮光層35の材料が溝部31の底部側の角部に回り込みやすくなる点で好ましい。
透光層30の高さ(Z方向における長さ)は、例えば、1.0μm〜2.0μm程度である。透光層30は、例えば、アクリル等の透光性を有する感光性樹脂材料をパターニングして形成されている。発光素子27から発せられた光は、透光層30を透過して対向基板40側へ射出される。透光層30は、可視光域の全波長範囲において光の90%以上が透過する透光性を有していることが好ましい。透光層30がこのような透光性を有していると、透光層30を透過することによる射出光の輝度低下を小さく抑えることができる。
隣り合う透光層30同士の間には、溝部31が設けられている。換言すれば、溝部31により、透光層30が区画されている。溝部31は、平面視で絶縁層28と重なるように格子状に配置されている(図3参照)。
遮光層35は、透光層30同士の間に、溝部31を埋めるように設けられている。遮光層35は、透光層30の側面に接して設けられている。したがって、遮光層35の断面形状は、透光層30の断面形状に依存し、上底が下底よりも大きい(辺の長さが長い)台形、又は矩形である。
遮光層35は、平面視で絶縁層28と重なるように、格子状に配置されている(図3参照)。したがって、遮光層35は、絶縁層28が陽極24の周縁部に乗り上げるように配置された部分(図3に斜線で示す部分)と平面視で重なるように配置されている。また、遮光層35は、陽極24の領域のうち、コンタクトホールCHと接続される部分と平面視で重なるように配置されている(図5参照)。陽極24のコンタクトホールCHと接続される部分では、発光素子27から発せられた光が漏れる場合がある。したがって、コンタクトホールCHと重なるように遮光層35を配置することで、この部分からの光漏れを抑えることができる。
本実施形態では、遮光層35の厚さ(Z方向における長さ)は、例えば、透光層30の高さよりも小さい。したがって、遮光層35の上面(上底側の表面)は、透光層30の上面(上底側の表面)よりも低くなっている。なお、遮光層35の厚さは、本実施形態の構成に限定されるものではなく、透光層30の高さと同じであってもよいし、透光層30の高さよりも厚くてもよい(高くてもよい)。
遮光層35は、発光素子27から発せられた光のうち、遮光領域Sから射出される光を遮光又は減光する機能を有する。遮光層35により、隣り合うサブ画素6同士の間の遮光領域Sにおける光の漏れが抑制されるので、各サブ画素6の色純度の低下を抑えることができる。
なお、透光層30を上底が下底よりも小さい台形形状とし、遮光層35を上底が下底よりも大きい台形形状とすることで、遮光層35のX方向及びY方向における面積は、上方に向けて、すなわちZ方向に沿って下底側から上底側に向けて広がるように大きくなる。発光素子27から発せられた光は上方に向かって放射状に広がるため、遮光層35をこのような台形形状とすることで、隣り合うサブ画素6同士の間での光の漏れをより効果的に抑制することができる。
遮光層35は、保護層20上に順に積層された第1の着色層32と第2の着色層33と第3の着色層34とで構成されている。第1の着色層32、第2の着色層33、及び第3の着色層34は、例えば、顔料等が分散されたアクリル等の透光性を有する感光性樹脂材料をパターニングして形成されている。第1の着色層32、第2の着色層33、及び第3の着色層34の各層の層厚は、例えば略同一である。
本実施形態では、第1の着色層32には、赤色光に相当する波長範囲の光、すなわち波長が610nm〜750nm程度の範囲内の光を透過させ、それ以外の波長範囲の光を吸収する材料が分散されている。第2の着色層33には、緑色光に相当する波長範囲の光、すなわち波長が500nm〜560nm程度の範囲内の光を透過させ、それ以外の波長範囲の光を吸収する材料が分散されている。第3の着色層34には、青色光に相当する波長範囲の光、すなわち波長が435nm〜480nm程度の範囲内の光を透過させ、それ以外の波長範囲の光を吸収する材料が分散されている。
なお、第1の着色層32、第2の着色層33、及び第3の着色層34の構成は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、積層される順が上述と異なっていてもよいし、透過又は吸収する光の波長範囲が上述とは異なる構成であってもよい。また、第1の着色層32、第2の着色層33、及び第3の着色層34の各層の層厚は、本実施形態のように略同一でなくてもよく、それぞれの所定波長範囲の光を透過又は吸収する特性等に応じて適宜設定されたものであってもよい。さらに、遮光層35を構成する着色層の数は、複数であれば3層に限定されるものではない。
透光層30及び遮光層35までが形成された素子基板10は、接着層44を介して対向基板40と貼り合わされている。接着層44は、透光性の樹脂材料、例えば、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂からなる。
なお、有機EL装置1がダミー領域を備えている場合、ダミー領域にも発光領域Eと同様に、透光層30、溝部31、及び遮光層35を備えていてもよい。
<光共振構造>
次に、本実施形態に係る有機EL装置1が有する光共振構造を説明する。有機EL装置1では、反射層19と陰極25との間に、有機機能層26で発せられた光を共振させる光共振器が形成されている。
有機機能層26で発せられた光の少なくとも一部は、光共振器により共振して光共振器の光学的距離(光路長)に対応した共振波長の光が増強される。光共振器による共振は、反射層19と陰極25との間で光が往復して行われる。共振器で共振した光は、陰極25を透過して上方に射出される。このため、有機EL装置1から射出されるR,G,Bのそれぞれの波長帯域の光について、輝度を高めることができるとともに、半値幅が狭いスペクトルを有する光を取り出すことができる。
光共振器における共振波長は、反射層19と陰極25との間の光学的距離を変えることによって調整が可能である。反射層19と陰極25との間の光学的距離をLとし、有機機能層26で発せられた光のうち取り出したい光のスペクトルのピーク波長をλとすると、次のような関係式が成り立つ。Φ(ラジアン)は、有機機能層26で発せられた光が光共振器の両端(例えば、反射層19と陰極25と)で反射する際に生じる位相シフトを表す。
(2L)/λ+Φ/(2π)=m(mは整数)
本実施形態に係る有機EL装置1では、サブ画素6R,6G,6Bが射出するR,G,Bの光に対応させて、それぞれにおける光共振器の共振波長が所定の波長λとなるように、陽極24R,24G,24Bの層厚を適宜設定することにより光学的距離Lを最適化する構成となっている。このような構成により、有機機能層26で発せられた白色光のうち、サブ画素6RではR光が強められ、サブ画素6GではG光が強められ、サブ画素6BではB光が強められる。
そのため、有機EL装置1は、カラーフィルターを備えなくても、サブ画素6R,6G,6Bにおいて、R,G,Bの光を射出することができる。したがって、有機EL装置1では、カラーフィルターを備えている場合と比べて、カラーフィルターを透過させる場合に生じる輝度の低下が回避されるので、より高輝度の表示が得られる。
なお、本実施形態では、サブ画素6R,6G,6Bに対応して陽極24の層厚を異ならせることで、光共振器の光学的距離を最適化する構成としているが、光共振器の構成はこのような形態に限定されない。サブ画素6R,6G,6Bに対応して、反射層19と陽極24との間に光路調整層を備えた構成としてもよい。また、反射層19と陰極25との間に配置された絶縁層等の層厚を異ならせることや、複数の絶縁層または導電層を積層することで光共振器の光学的距離を最適化する構成としてもよい。
ところで、有機EL装置1では、上述したように、絶縁層28が陽極24の周縁部と重なるように設けられている。絶縁層28と陽極24とが重なる部分(図3に斜線で示す部分)と、絶縁層28と陽極24とが重ならない開口部29内の部分とでは、反射層19と陰極25との間の光学的距離Lが異なる。そのため、絶縁層28と陽極24とが重なる部分では、共振波長が所定の波長からずれることにより、サブ画素6R,6G,6Bの所定の色とは異なる色の光が発せられる。このような光がそのまま上方に射出されると、発光色の純度が低下して、有機EL装置1の表示品質の低下を招くこととなる。
これに対して、本実施形態に係る有機EL装置1では、遮光層35が平面視で絶縁層28と重なるように配置されている。そのため、絶縁層28と陽極24とが重なる部分から射出される共振波長が所定の波長からずれた光は、遮光層35により遮光される。このようなサブ画素6の領域から射出される光の共振波長と異なる波長の光が遮光層35で遮られるので、射出される光の色の純度低下を抑えることができる。
そして、有機EL装置1では、遮光層35が素子基板10上に設けられている。そのため、遮光層35が対向基板40上に設けられている場合と比べて、素子基板10と対向基板40とを貼り合わせる際の位置ずれによる影響を排除できるので、共振波長が所定の波長からずれた光を、より確実に遮光することができる。
なお、本実施形態に係る有機EL装置1では、遮光層35が金属材料ではなく樹脂材料で構成されている。このような構成による効果を、遮光層が金属材料で構成されている場合と比較して説明する。図15(a)に、比較例として、金属材料からなる遮光層38を備えた有機EL装置3の模式図を示す。有機EL装置3は、保護層20上に、例えばクロム等の金属材料で形成された遮光層38を備えている。
図15(a)に示すように、発光素子27Gから射出された光のうち斜め方向に射出された一部の光Lmは、遮光層38により遮光されるのでそのまま対向基板40側には射出されない。しかしながら、一部の光Lmは、遮光層38で素子基板10側へ反射されると、隣の発光素子27Rの反射層19で再び反射されて対向基板40側に射出されてしまう。
このように、金属材料からなる遮光層38を備えている場合、有機機能層26から発せられた光の一部の光Lmが遮光層38で反射されて迷光となり、有機EL装置3の表示品質が損なわれるおそれがある。本実施形態に係る有機EL装置1では、遮光層35が樹脂材料で形成されているので、発光素子27から斜め方向に射出された一部の光Lmは、遮光層35で反射されることなく遮光される。
本実施形態に係る有機EL装置1の上述のような構成によれば、サブ画素6R,6G,6Bにおける発光色の純度が高く、表示品質に優れた有機EL装置1を提供することができる。
<有機EL装置の製造方法>
次に、第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を図6、図7、図8、及び図9を参照して説明する。図6、図7、図8、及び図9は、第1の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図である。なお、図6、図7、図8、及び図9の各図は、図3のA−A’線に沿った模式断面図に相当する。
なお、有機EL装置1は、例えば、有機EL装置1(素子基板10)を複数枚取りできる大型のマザー基板の状態で加工が行われる。そして、最終的にそのマザー基板から有機EL装置1(素子基板10)を切り出して個片化することにより、複数の有機EL装置1が得られる。図6、図7、図8、及び図9では、個別の素子基板10の状態を示している。
まず、図6(a)に示すように、公知の技術を用いて、反射層19を形成した素子基板10上に発光素子27(27R,27G,27B)を形成する。そして、公知の技術を用いて、発光素子27を覆うように保護層20を形成する。保護層20の表面は略平坦に形成される。
次に、図6(b)に示すように、保護層20上に透光樹脂層30aを形成する。透光樹脂層30aは、例えば、アクリル等の透光性を有するポジ型の感光性樹脂材料を、スピンコート法等を用いて保護層20を覆うように素子基板10上の全面に亘って塗布することにより形成される。
次に、図6(c)に示すように、マスク60を介して透光樹脂層30aを露光する。マスク60は、透光部61と遮光部62とを有している。透光部61は、平面視で絶縁層28(遮光領域S)と重なるように配置されている。遮光部62は、平面視で絶縁層28の開口部29と重なるように配置されている。透光樹脂層30aのうち、透光部61と重なる部分が感光する。
次に、透光樹脂層30aを現像することにより感光した部分を除去する。これにより、図7(a)に示すように、平面視で絶縁層28(遮光領域S)と重なる部分が除去されて、溝部31が形成される(溝部形成工程)。また、この結果、平面視で絶縁層28の開口部29と重なる部分が、溝部31に区画された状態で残留する。この残留した部分を熱処理して硬化させることにより、透光層30が形成される。なお、形成された透光層30の表面に、HMDS(Hexamethyldisilazane)等の表面処理を施してもよい。
次に、図7(b)に示すように、透光層30上に第1の着色材料層32aを形成する。第1の着色材料層32aは、例えば、赤色光に相当する波長範囲内の光を透過させるネガ型の感光性樹脂材料を、スピンコート法等を用いて保護層20と透光層30とを覆うように素子基板10上の全面に亘って塗布することにより形成される。これにより、溝部31は、第1の着色材料層32aにより埋められる。
次に、第1の着色材料層32aのうち透光層30と重なる部分を、フォトリソグラフィ法を用いて除去する。まず、図7(c)に示すように、マスク60を介して第1の着色材料層32aを露光する。第1の着色材料層32aのうち、透光部61と重なる部分が感光する。
続いて、図8(a)に示すように、第1の着色材料層32aを現像することにより、観光されなかった部分を除去する。これにより、第1の着色材料層32aのうち、透光層30上の部分が除去され、平面視で絶縁層28(遮光領域S)と重なる部分が残留する。
この図8(a)に示す状態から、さらに現像を続けることにより、残留した第1の着色材料層32aの膜厚を薄くする。そして、図8(b)に示すように、第1の着色材料層32aの膜厚が所望の膜厚になったところで現像を停止し、熱処理して硬化させることにより、溝部31の内側に第1の着色層32が形成される。
次に、図8(c)に示すように、第1の着色層32及び透光層30上に第2の着色材料層33aを形成する。第2の着色材料層33aは、例えば、緑色光に相当する波長範囲内の光を透過させるネガ型の感光性樹脂材料を、スピンコート法等を用いて第1の着色層32と透光層30とを覆うように素子基板10上の全面に亘って塗布することにより形成される。これにより、第1の着色層32が形成された溝部31は、第2の着色材料層33aにより埋められる。
次に、図9(a)に示すように、第1の着色層32を形成する工程と同様に、フォトリソグラフィ法を用いて、第2の着色材料層33aのうち透光層30と重なる部分を除去するとともに、残留した第2の着色材料層33aの膜厚を所望の膜厚になるまで薄くし、熱処理して硬化させる。これにより、溝部31の内側に、第1の着色層32に積層された第2の着色層33が形成される。
次に、図9(b)に示すように、第2の着色層33及び透光層30上に第3の着色材料層34aを形成する。第3の着色材料層34aは、例えば、青色光に相当する波長範囲内の光を透過させるネガ型の感光性樹脂材料を、スピンコート法等を用いて第2の着色層33と透光層30とを覆うように素子基板10上の全面に亘って塗布することにより形成される。これにより、第2の着色層33までが形成された溝部31は、第3の着色材料層34aにより埋められる。
次に、図9(c)に示すように、第1の着色層32を形成する工程と同様に、フォトリソグラフィ法を用いて、第3の着色材料層34aのうち透光層30と重なる部分を除去するとともに、残留した第3の着色材料層34aの膜厚を所望の膜厚になるまで薄くし、熱処理して硬化させる。これにより、溝部31の内側に、第2の着色層33に積層された第3の着色層34が形成される。以上の工程(遮光層形成工程)により、積層された第1の着色層32と第2の着色層33と第3の着色層34とで構成される遮光層35が形成される。
ここで、有機EL装置1が透光層30を備えていることによる遮光層形成工程における効果を、透光層30を備えていない場合と比較して説明する。図15(b)に、比較例として、透光層30を備えていない場合の遮光層形成工程の模式図を示す。図15(b)は、第1の着色層32及び第2の着色層33を形成した後、第3の着色材料層34aを形成し露光して現像する際の状態を説明する図である。
図15(b)に示すように、第3の着色材料層34aを現像する際、第3の着色材料層34aのうち感光しなかった部分を除去していくと、残留する感光した部分の上面側及び側面側が現像液に晒される。そうすると、例えば、第3の着色材料層34aと第2の着色層33との界面に現像液が入り込む場合がある。このような場合、第3の着色材料層34aが第2の着色層33から剥れてしまうおそれがある。
本実施形態に係る有機EL装置1は、透光層30を備えているので、図9(c)に示すように、第3の着色材料層34aは、溝部31の内側において透光層30の両側面に接して配置される。したがって、第3の着色材料層34aのうち残留する部分は側面側からは現像されないため、第3の着色材料層34aの第2の着色層33からの剥れを抑止できる。
なお、本実施形態では、遮光層形成工程において最上層に形成される第3の着色層34の上面が透光層30の上面よりも低くなるまで膜厚を薄くする例を図9(c)に示しているが、第3の着色層34の上面が透光層30の上面と同じ高さであってもよいし、第3の着色層34の上面が透光層30の上面よりも高くてもよい。
第3の着色層34の上面を透光層30の上面よりも高く形成する場合、第3の着色層34の一部が透光層30の上面に乗り上げるように形成することとしてもよい。そうすれば、露光の際のマスク60の透光部61の形状によって第3の着色層34の平面形状を制御できる。したがって、第3の着色層34の上面を透光層30の上面よりも低くする場合に、溝部31の内側で第3の着色層34の平面形状が膜厚を薄くする度合いにより変化するのと比べて、第3の着色層34の平面形状をより精度よく形成することができる。
第1の着色層32、第2の着色層33、及び第3の着色層34の各着色層の層厚は所定波長範囲の光を透過又は吸収する特性等に応じて設定することができるが、これら各着色層の層厚が異なる場合は、層厚が最も厚い着色層を溝部31の底部側に形成することが好ましい。溝部31の底部側に形成される着色層では、その上層に形成される着色層と比べて、膜厚を薄くする際の表面側からの膜の削減量が多くなる。したがって、最も層厚が厚い着色層を底部側に形成することで、溝部31の底部側に形成する着色層の膜の削減量を小さくできる。
また、これら3つの着色層のうち最も容易に膜厚が薄くなる(膜厚が薄くなる速度が速い)着色層を、溝部31の底部側に形成することが好ましい。溝部31の底部側に形成される着色層では表面側からの膜の削減量が多くなるため、溝部31の底部側に形成する着色層の膜厚を容易に所望の膜厚にすることができる。
遮光層形成工程の後、公知の技術を用いて、素子基板10と対向基板40とを接着層44を介して貼り合せて接着固定する。以上により、図4及び図5に示す有機EL装置1を製造することができる。
(第2の実施形態)
<有機EL装置>
次に、第2の実施形態に係る有機EL装置の構成について図を参照して説明する。図10は、第2の実施形態に係る有機EL装置の構成を示す模式断面図である。なお、図10は、図2のA−A’線に沿った断面図に相当する。
第2の実施形態に係る有機EL装置2は、第1の実施形態に係る有機EL装置1に対して、遮光層36が黒色の色材を含有する樹脂材料で構成されている点が異なるが、他の構成はほぼ同じである。第1の実施形態に係る有機EL装置1と共通する構成要素については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図10に示すように、第2の実施形態に係る有機EL装置2は、素子基板10と、陽極24と、有機機能層26と、陰極25と、保護層20と、透光層30と、遮光層36と、接着層44と、対向基板40とを備えている。
遮光層36は、カーボンブラック等の黒色の色材が分散されたアクリル等の感光性樹脂材料をパターニングして形成されている。遮光層36は、黒色の色材を含んでいることにより、第1の実施形態に係る遮光層35と比べて、より高い遮光特性を有することが可能となる。
なお、第2の実施形態に係る有機EL装置2では、遮光層36の上面が透光層30の上面よりも高く形成された例を示している。このような構成によれば、上述した通り、遮光層36の平面形状を露光の際のマスク60の透光部61の形状によって制御できるので、遮光層36の平面形状をより精度よく形成することができる。なお、遮光層36の上面が透光層30の上面と同じ高さであってもよいし、遮光層36の上面が透光層30の上面よりも低くてもよい。
<有機EL装置の製造方法>
次に、第2の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を図11を参照して説明する。図11は、第2の実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図である。詳しくは、図11は、第2の実施形態に係る遮光層36の製造方法を説明する模式図である。なお、図11の各図は、図3のA−A’線に沿った概略断面図に相当する。
まず、図11(a)に示すように、透光層30上に遮光材料層36aを形成する。遮光材料層36aは、例えば、スピンコート法等を用いて保護層20と透光層30とを覆うように素子基板10上の全面に亘って塗布することにより形成される。これにより、溝部31は、遮光材料層36aにより埋められる。
次に、図11(b)に示すように、マスク60を介して遮光材料層36aを露光する。遮光材料層36aのうち、透光部61と重なる部分が感光する。続いて、図11(c)に示すように、遮光材料層36aを現像して残留した部分を熱処理して硬化させることにより、溝部31の内側に遮光層36が形成される。
第2の実施形態に係る有機EL装置の製造方法によれば、1層の遮光材料層36aで遮光層36を形成するので、第1の実施形態に係る遮光層35のように複数の着色層を積層して形成する構成と比べて、遮光層形成工程における工程数を削減することができる。
ここで、第2の実施形態において、有機EL装置2が透光層30を備えていることによる遮光層形成工程における効果を、透光層30を備えていない場合と比較して説明する。図15(c)に、比較例として、透光層30を備えていない場合の遮光層形成工程の模式図を示す。図15(c)は、遮光材料層36aを形成し露光した後現像する際の状態を説明する図である。
図11(b)と同様にして遮光材料層36aを露光する際、黒色の色材が分散された遮光材料層36aでは、露光するための光が黒色の色材に吸収されることにより、遮光材料層36aの底部側に十分感光しない部分ができる場合がある。十分感光しない部分ができると、図15(c)に示す現像の際に、遮光材料層36aのうち残留する部分の上面側及び側面側が現像液に晒されるので、不要部分が除去されるだけでなく、十分感光しなかった底部側の部分も一部が除去されることとなる。その結果、現像の際に残留すべき遮光層36となる部分が剥れてしまうおそれがある。また、上述の理由から、特にサブ画素6の配置ピッチが狭く遮光層36(遮光領域S)の幅が狭い場合は、フォトリソグラフィ法を用いて遮光層36を形成することは困難である。
本実施形態に係る有機EL装置2は、透光層30を備えているので、図11(a)に示すように、遮光材料層36aは、溝部31の内側において透光層30の両側面に接して配置される。したがって、遮光材料層36aは側面側からは現像されないため、万が一遮光材料層36aの底部側に十分感光しなかった部分ができていた場合でも、遮光材料層36aの剥れを抑止することができる。また、遮光層36の幅は、溝部31の幅、すなわち隣り合う透光層30同士の間隔で制御できるので、サブ画素6の配置ピッチが狭く遮光層36(遮光領域S)の幅が狭い場合でも、フォトリソグラフィ法を用いて遮光層36を形成することができる。
(第3の実施形態)
<電子機器>
次に、第3の実施形態に係る電子機器について図12を参照して説明する。図12は、第3の実施形態に係る電子機器としてのヘッドマウントディスプレイの構成を示す概略図である。
図12に示すように、第3の実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD)100は、左右の目に対応して設けられた2つの表示部101を備えている。観察者Mはヘッドマウントディスプレイ100を眼鏡のように頭部に装着することにより、表示部101に表示された文字や画像などを見ることができる。例えば、左右の表示部101に視差を考慮した画像を表示すれば、立体的な映像を見て楽しむこともできる。
表示部101には、第1の実施形態に係る有機EL装置1、又は、第2の実施形態に係る有機EL装置2が搭載されている。したがって、高輝度で色純度が高く優れた表示品質を有するとともに、小型で軽量のヘッドマウントディスプレイ100を提供することができ、特にシースルータイプのヘッドマウントディスプレイ100に好適である。
ヘッドマウントディスプレイ100は、2つの表示部101を有する構成に限定されず、左右のいずれかに対応させた1つの表示部101を備える構成としてもよい。
なお、第1の実施形態に係る有機EL装置1、又は、第2の実施形態に係る有機EL装置2が搭載される電子機器は、ヘッドマウントディスプレイ100に限定されない。有機EL装置1が搭載される電子機器としては、例えば、パーソナルコンピューターや携帯型情報端末、ナビゲーター、ビューワー、ヘッドアップディスプレイなどの表示部を有する電子機器が挙げられる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形及び応用が可能である。変形例としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(変形例1)
上記実施形態に係る有機EL装置1,2では、透光層30が樹脂材料で形成された構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。透光層は、無機材料で構成されていてもよい。図13は、変形例1に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図である。詳しくは、図13は、変形例1に係る透光層50の製造方法を説明する模式図である。なお、図13の各図は、図3のA−A’線に沿った概略断面図に相当する。
まず、図13(a)に示すように、保護層上に透光材料層50aを形成する。透光材料層50aは、二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiON)等の無機材料で構成される。透光材料層50aは、例えば、ECRスパッタ法やイオンプレーティング法等の高密度プラズマ成膜法を用いて形成することができる。
次に、図13(b)に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて透光材料層50aをパターニングする。より具体的には、透光材料層50a上にレジスト71を形成する。レジスト71は、平面視で絶縁層28の開口部29と重なる領域に配置される。
レジスト71を介して、例えば、異方性エッチングを施すことにより、透光材料層50aをパターニングする。透光材料層50aのうちレジスト71が配置された部分は残留し、その他の部分は除去される。そして、レジスト71を剥離することにより、図13(c)に示すように、溝部51が形成され、溝部51によって区画された透光層50が形成される。
変形例1の構成によれば、透光層50の材料に無機材料を用いることで、上記実施形態のように樹脂材料を用いる場合と比べて、耐光性や耐熱性により優れた透光層50を形成することができる。
(変形例2)
変形例1では、保護層20上に無機材料で形成された透光層50を備えた構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。保護層と透光層とを一体で形成してもよい。図14は、変形例2に係る有機EL装置の製造方法を説明する模式図である。詳しくは、図14は、変形例2に係る保護層52の製造方法を説明する模式図である。なお、図14の各図は、図3のA−A’線に沿った概略断面図に相当する。
まず、図14(a)に示すように、発光素子27までが形成された素子基板10上に透光材料層52aを形成する。透光材料層52aは、二酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(SiN)、酸化窒化珪素(SiON)等の無機材料で構成される。なお、図14(a)では図示を省略しているが、発光素子27上に緩衝層を形成する場合は、緩衝層の上に透光材料層52aを形成する。この場合、透光材料層52aは、ガスバリア層の機能を兼ねることとなる。
次に、図14(b)に示すように、透光材料層52a上にレジスト71を形成する。レジスト71は、平面視で絶縁層28の開口部29と重なる領域に配置される。レジスト71を介して、例えば、異方性エッチングを施すことにより、透光材料層52aに溝部53を形成する。これにより、透光材料層52aに、溝部53で区画された凸状部54が形成される。この結果、発光素子27上に保護層52が形成される。
保護層52の溝部53は、上記実施形態の溝部31に相当するものである。また、保護層52の凸状部54は、上記実施形態の透光層30に相当するものである。そして、保護層52のうち溝部53及び凸状部54よりも下方側の部分は、上記実施形態の保護層20に相当するものである。これらを一体で保護層52を形成することで、無機材料で層を形成する工程を低減することができる。
(変形例3)
第1の実施形態では遮光層35が可視光域のうち特定波長範囲の光を透過する着色層を積層して構成され、第2の実施形態では遮光層36が黒色の色材を含有する樹脂材料で構成された構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。遮光層は、透過する光の波長を可視光域以外の波長帯域の光に変換する色変換材料で構成されていてもよい。このような構成によれば、黒色の色材を含有する樹脂材料で遮光層を形成する場合と比べて、遮光層の樹脂材料を露光する際に光が樹脂材料の底部側まで透過するので、樹脂材料の底部側までより良好に感光させることができる。なお、色変換材料で形成された遮光層は、透過する光の波長を可視光域以外の波長帯域の光に変換するので、遮光層の機能を果たすことができる。
(変形例4)
上記実施形態では遮光層35,36が平面視でX方向及びY方向に格子状に配置された構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。陽極24のコンタクトホールCHと接続される部分が陽極24の角部、すなわち、格子状の絶縁層28の交点部分に配置されている場合は、遮光層35,36は、Y方向に沿ってストライプ状に配置されていてもよい。遮光層35,36がこのような構成であっても、隣り合うサブ画素6同士の間の遮光領域Sにおける光の漏れを抑制しつつ、陽極24のコンタクトホールCHと接続される部分からの光漏れを抑えることができる。
(変形例5)
上記実施形態では有機EL装置1,2が光共振構造を有し有機機能層26が白色で発光する構成であったが、本発明はこのような形態に限定されない。有機EL装置1,2が光共振構造を有していない構成としてもよく、有機機能層26がR,G,Bの各色で発光する材料で形成された構成としてもよい。
1,2,3…有機EL装置、5…画素、6(6R,6G,6B)…サブ画素、10…素子基板(基板)、20,52…保護層、24(24R,24G,24B)…陽極(第1の電極)、25…陰極(第2の電極)、26…有機機能層(有機発光層)、28…絶縁層、30,50…透光層、31…溝部、35,36…遮光層、32…第1の着色層(着色層)、33…第2の着色層(着色層)、34…第3の着色層(着色層)、100…ヘッドマウントディスプレイ(電子機器)。

Claims (15)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた、第1の電極と、前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された有機発光層と、を含む発光素子と、
    前記発光素子上に設けられた透光層と、
    前記透光層を区画する溝部と、
    前記溝部の有機発光層側の底部を埋めるように樹脂材料で形成された遮光層と、
    を備えたことを特徴とする有機EL装置。
  2. 前記遮光層は、積層された少なくとも2つの着色層を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
  3. 前記遮光層は、黒色の色材を含有する樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
  4. 前記遮光層は、透過する光の波長を可視光域以外の波長帯域の光に変換する色変換材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
  5. 前記透光層は、樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の有機EL装置。
  6. 前記透光層は、無機材料で形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の有機EL装置。
  7. 前記発光素子上に無機材料で形成された保護層を備え、
    前記透光層は、前記保護層と一体で設けられていることを特徴とする請求項に記載の有機EL装置。
  8. 前記透光層は、可視光域の波長範囲において光の90%以上が透過する透光性を有していることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の有機EL装置。
  9. 複数の異なる波長帯域の光を共振させる光共振構造を有し、
    前記第1の電極と前記有機発光層との間に、平面視で前記第1の電極の周縁部と重なるように設けられた透光性を有する絶縁層を備え、
    前記遮光層は、平面視で前記絶縁層と重なるように配置されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  10. 前記透光層の有機発光層側において、前記透光層と前記遮光層は同じ面に形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機EL装置。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
  12. 基板上に、第1の電極と有機発光層と第2の電極とを配置して発光素子を形成する工程と、
    前記発光素子上に透光層を形成する工程と、
    前記透光層に溝部を形成する溝部形成工程と、
    前記溝部に樹脂材料で遮光層を形成する遮光層形成工程と、を備え、
    前記溝部形成工程では、前記透光層を平面視で前記第1の電極と重なる領域毎に区画するように前記溝部を形成し、
    前記遮光層形成工程では、
    前記溝部を埋めるとともに前記透光層を覆うようにスピンコート法により前記樹脂材料を配置した後、配置した前記樹脂材料のうち前記透光層と重なる部分をフォトリソグラフィ法により除去することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  13. 前記樹脂材料として、互いに色の異なる第1の着色層と第2の着色層とを少なくとも含み、
    前記遮光層形成工程は、
    スピンコート法により、前記溝部を埋めるとともに前記透光層を覆うように前記第1の着色層を配置した後、フォトリソグラフィ法により、配置した前記第1の着色層のうち前記透光層と重なる部分を除去するとともに、前記溝部に配置された前記第1の着色層の膜厚を薄くする工程と、
    スピンコート法により、前記溝部を埋めるとともに前記透光層を覆うようにスピンコート法により前記第2の着色層を配置した後、フォトリソグラフィ法により、配置した前記第2の着色層のうち前記透光層と重なる部分を除去するとともに、前記溝部に配置された前記第2の着色層の膜厚を薄くする工程と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の有機EL装置の製造方法。
  14. 前記遮光層形成工程により形成された前記遮光層において、前記第1の着色層の膜厚は、前記第2の着色層の膜厚よりも厚いことを特徴とする請求項13に記載の有機EL装置の製造方法。
  15. 前記遮光層形成工程において、前記第1の着色層は、フォトリソグラフィ法により前記第2の着色層よりも容易に膜厚が薄くなることを特徴とする請求項13に記載の有機EL装置の製造方法。
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