JP2005038682A - 色変換フィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】各色隣接色変換層パターン同士を重ねた場合、生産安定性に欠けることに加え、光学的クロストークの恐れがある。逆に該パターン同士の間隔を広げた場合、絵素開口率が小さくなるためにディスプレイの高輝度化、高精細化等の高性能化の妨げになってしまうのを解消すること。
【解決手段】透明基板上の一部若しくは全面に、少なくとも色変換層を順次形成した構成を有し、照射される光の少なくとも一部を吸収して所定の低エネルギー光に変換し、前記透明基板の外側に放射するための色変換フィルターであって、各色隣接色変換層パターン同士が、空間的に分離配置されて形成されてなることを特徴とする色変換フィルター。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍光色素を含有する光学部材、特に好適には有機ELカラーディスプレイに使用される色変換フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子を用いたカラー表示を行わせる種々の方式の中の一つとして、青色等に発光する有機EL素子と、青→緑、及び青→赤に、それぞれ色変換する色変換層(CCM層)とを組み合わせるCCM方式(例えば、特許文献1参照。)がある。
【0003】
CCM方式によれば、有機EL素子としては、同じ色に発光するもののみ(例えば青色、緑色、赤色の3原色を取り出してフルカラーディスプレイとして用いる場合では、最もエネルギーの大きい青色発光のみ)を使用すればよいので、各色の有機EL素子を準備する必要が無く、また、白色発光の有機EL素子と三原色のカラーフィルターを用いるときのように、発光光の利用率が低い欠点が解消され、しかも、CCM層の変換効率を高めることにより、ディスプレイの輝度を向上させることが可能である利点を有している。
【0004】
CCM方式を用いたフルカラーカラーディスプレイの場合、通常少なくとも赤色変換層、緑色変換層、青色(変換)層を格子パターン状、ストライプパターン状等の微細パターンとして繰り返し形成する。
【0005】
一般的にディスプレイの低消費電力化(同一消費電力下での高輝度化)、高精細化のためには、絵素(ここでは例えば色変換層)の接地面積を許容されるエリア面積に対して極力大きくすることが要求されるが、各色隣接色変換層同士の間隔の存在はその要求に反するものである。一方、隣接色変換層同士を重ねる場合を含めて、隣接色変換層間に間隔を設けない場合は、隣接する別の絵素への光源からの励起光の漏れ(光学的クロストーク)の発生が懸念されるが、コントラスト低下を避ける意味においても、光学的クロストークによる隣接色の発光量は本来の色の発光量に比較して十分小さいことが要求される。
該光学的クロストークの抑制手段として、隣接色変換層間に遮光層を設けることにより該光学的クロストークを抑制することができるが、製造プロセスが複雑になってしまう(例えば、特許文献2参照。)。さらに、微細パターンを安定して形成するために部分的に隣接色変換層同士を重ねる場合、基板面内における不均質な部分的重なりが生じると膜厚ムラを含む基板不良が生じがちである。また、本発明者の試験によると、隣接色変換層同士が丁度重なる場合には、空気を内包してしまい、外観不良、延いては該基板を用いたディスプレイの表示不良を引き起こしてしまうことがわかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−152897号公報
【特許文献2】
特開2000−068069号公報
【0007】
上記不具合を回避するためには、隣接する各色変換層パターンは、空間的隙間を設けた方が好ましい。しかし、前述のようにディスプレイの低消費電力化(同一消費電力下での高輝度化)、高精細化のためには絵素(ここでは例えば色変換層)の接地面積を許容されるエリア面積に対して極力大きくする必要があるために本回避手法は不向きである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
各色隣接色変換層パターン同士を重ねた場合、生産安定性に欠けることに加え、光学的クロストークの恐れがある。逆に該パターン同士の間隔を広げた場合、絵素開口率が小さくなるためにディスプレイの高輝度化、高精細化等の高性能化の妨げになってしまう。
そこで本発明の課題は、この難点を解消することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の課題を解決すべく種々検討の結果、ディスプレイの高性能化を求めて各色隣接色変換層パターン同士の間隔を狭めていく際に、ある色間距離において基板不良が発生することを見出した。そして、該不良が発生しない色間距離の範囲内で加工方法を制御することにより、ディスプレイの高性能化つまり高精細化、高輝度化等を達成できる色変換フィルターに到達し、本発明を完成するに至った。
【0010】
請求項1の発明は、透明基板上の一部若しくは全面に、少なくとも色変換層を順次形成した構成を有し、照射される光の少なくとも一部を吸収して所定の低エネルギー光に変換し、前記透明基板の外側に放射するための色変換フィルターであって、各色隣接色変換層パターン同士が、空間的に分離配置されて形成されてなることを特徴とする色変換フィルターに関するものである。
【0011】
請求項2の発明は、各色隣接色変換層パターン間隔(d)が、0<d<0.5W(Wは各色絵素の最小幅)であることを特徴とする、請求項1に記載の色変換フィルターに関するものである。
【0012】
請求項3の発明は、前記色変換層と前記透明基板との間に積層され、隣接する色変換層パターンの境界に位置し、各色隣接色変換層パターン間隔(d)より大きい幅のブラックマトリックス層が形成されてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の色変換フィルターに関するものである。
【0013】
請求項4の発明は、前記色変換層が、紫外光若しくは可視光を含む光を吸収して、該吸収光よりも低エネルギーの光を発する蛍光色素を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の色変換フィルターに関するものである。
【0014】
請求項5の発明は、前記色変換層が、光硬化型フォトレジストから形成されてなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の色変換フィルターに関するものである。
【0015】
請求項6の発明は、前記色変換層が、アルカリ可溶型フォトレジストから形成されてなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の色変換フィルターに関するものである。
【0016】
請求項7の発明は、前記色変換層の上側若しくは下側に、色変換層の励起波長を効果的に遮断しかつ該色変換層からの蛍光波長を効果的に透過する外光遮断層が積層形成されてなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の色変換フィルターに関するものである。
【0017】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の色変換フィルターとEL素子とを組み合わせてなることを特徴とする、カラーディスプレイに関するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の有機ELディスプレイ用色変換フィルターの製造方法の各過程を示す図である。
【0019】
まず透明基板1を準備し(図1(a))、その上面(図中の上面)にブラックマトリックス層(以下、「BM」ということがある。)2を積層する(図1(b))。ブラックマトリックス層2は、遮光性層が各絵素に対応する微細な開口部を有したものである。ブラックマトリックス層2は、Cr等の遮光性素材を蒸着により一面に設けたものをフォトリソグラフィー法によりパターン化することにより、又は遮光性の顔料を含有する樹脂組成物を用いた印刷法により、若しくはその樹脂組成物をフォトリソグラフィー法を用いてパターン化することによって、行うことができる。なお、以降、単に開口部というときは、ブラックマトリックス層2の開口部を指す。ブラックマトリックス層2は、観察側から見たときの外光の反射を軽減し、また、隣接絵素間の混色を回避できるため、画像や映像のコントラストを向上し得るので、形成することが好ましいが、省略することもできる。
【0020】
ブラックマトリックス層2が積層された透明基板1の、ブラックマトリックス層2の開口部には、カラーフィルター(以下、「CF」ということがある。)層3を積層する(図1(c))。このカラーフィルター層3は、後述する色変換層4により色変換された光を、さらに色補正する機能に加え、ここでは外光のうちの色変換層を励起する成分の光線を効果的に遮断する機能を有する外交遮断層でもある。通常、赤色用、緑色用、及び青色用の各色用の区域がブラックマトリックス層2の開口部毎に配置されて設けられている。各色用の外光遮断層は、青色用外光遮断層が、波長が550nm〜700nmの範囲の平均光透過率が10%以下であり、緑色用外光遮断層が、波長が400nm〜450nmの範囲の平均光透過率が10%以下であり、かつ、波長が600nm〜700nmの範囲の平均光透過率が20%以下であり、赤色用外光遮断層が、波長400nm〜550nmの範囲の平均光透過率が10%以下であることが好ましい。外光遮断層であるカラーフィルター層3は、所定の色に着色された塗料組成物若しくはインキ組成物を用いて、フォトリソグラフィー法を用いてパターン化することにより、若しくは印刷法によって行うことができる。なお、色変換層4による色変換によって、好ましい色の光が得られれば、カラーフィルター層3のうち、赤色用、緑色用、及び青色用の各色用のいずれか一種、二種、若しくは三種を省くこともできる。
【0021】
透明基板1上の、ブラックマトリックス層2及びカラーフィルター層3が積層された、さらに上面に、色変換層4を積層する(図1(d))。色変換層4は、原則的には、図の上方の有機EL発光層(図示せず。)からの入射光を、赤色、緑色、及び青色の各色に変換する各色用変換層からなる区域の集まりからなるが、CCM方式においては、有機EL発光層から青色光を発光させ、青色光を赤色光に変換する「青→赤」色変換、及び青色光を緑色光に変換する「青→緑」色変換を行って得られる赤色光及び緑色光と、有機EL発光層からの青色光とで、三原色を構成することが多く、この場合、色変換層4は、実質的に、「青→赤」色変換用の赤色変換層、及び「青→緑」色変換用の緑色変換層の二種類で構成できる。ただし、青色を透過させる区域に何も設けないと、段差を生じるため、透明なダミー層を設けることが多い。
【0022】
なお、カラーフィルター層3を積層する場合、カラーフィルター層3を構成する赤色用の区域と色変換層4を構成する赤色変換層とを対応させ、カラーフィルター層3を構成する緑色用の区域と色変換層4を構成する緑色変換層とを対応させ、さらに、カラーフィルター層3を構成する青色用の区域と色変換層4を構成する層(上記の例では透明ダミー層)とを、図中、上下方向に対応させて積層することが望ましい。
【0023】
色変換層4の各区域は、入射光を所定の色に変換する有機蛍光体を含有する樹脂組成物を用い、フォトリソグラフィー法により、若しくは印刷法により形成し、透明なダミー層の場合は、有機蛍光体を含有しない透明樹脂組成物を用い、フォトリソグラフィー法により、若しくは印刷法により形成することができる。
【0024】
色変換層4が積層された、さらに上面の一面には、好ましくは、オーバーコート層5を積層し、以上により、色変換フィルター10を構成する。オーバーコート層5は、透明な樹脂、好ましくは電離放射線硬化性樹脂であってもよい硬化性樹脂の硬化物からなる。オーバーコート層5の積層により、下層の色変換層4を構成する各区域間の段差をならすことができ、オーバーコート層5の上面に設ける層が不連続になることを防止でき、また、オーバーコート層5の下層の色変換層4等の各層と、上方に配置される有機EL発光層とを遮断して、色変換層4等に含まれ得る溶剤分や水分、酸素等の気体成分、若しくは色変換層から揮発するその他の有機物等が、有機EL発光層の発光機能を抑制することを防止することができる。なお、色変換フィルター10としては、オーバーコート層5上に、さらに、透明バリア層等を積層したものであってもよい。なお、色変換フィルターは、最小限、透明基板1上に色変換層4が積層された積層構造からなる。
【0025】
このような色変換フィルター上には、さらに、有機EL素子を構成する各要素を積層するか、若しくは有機EL素子を配置する等して、有機ELディスプレイを構成することができる。例えば、色変換層4上、オーバーコート層5上、若しくは透明バリア層上に、透明電極層、有機EL発光層、及び背面電極層を順に積層して有機EL素子を形成する。駆動方式としては、パッシブマトリックス、若しくはアクティブマトリックスのいずれのものであってもよい。必要に応じて、さらに封止材、有機ELディスプレイ用色変換フィルターに用いたのとは別の基板を積層してもよい。
【0026】
本発明において、表面の濡れ性の向上のために行う、特定の波長の光線の照射は、図1を引用して説明したような各層の積層の際に、積層に先立って行われるもので、例えば、ブラックマトリックス層2の積層に先立って行われる場合、カラーフィルター層3の積層に先立って行われる場合、色変換層4の積層に先立って行われる場合、若しくはオーバーコート層5の積層に先立って行われる場合等があり得る。これらのうち、カラーフィルター層3の積層に先立って行われる場合、及び色変換層4の積層に先立って行われる場合には、いずれの層も各色に応じた三種類の区域からなっているので、いずれの層の形成の際にも、一種類目の区域の形成に先立って行われる場合、二種類目の区域の形成に先立って行われる場合、及び三種類目の区域の形成に先立って行われる場合とがあり得る。
【0027】
上記の説明中、有機ELディスプレイ用色変換フィルター及び有機ELディスプレイの各層を構成する素材、並びに、それらの積層方法等について、以降に詳しく説明する。
【0028】
透明基板1は、有機ELディスプレイ用色変換フィルターを支える支持体であり、有機ELディスプレイを構成した際には、多くはその観察側に位置させるもので、有機ディスプレイ全体を支える支持体ともなり得るものである。透明基板1の観察側には、必要に応じて、擦傷防止のためのハードコート層、帯電防止層、汚染防止層、反射防止層、防眩層等が直接積層されるか、若しくは透明フィルム上に積層されて適用されていてもよく、あるいは、タッチパネルのような機能が付加されていてもよい。
【0029】
透明基板1は、大別すると、ガラスや石英ガラス等の無機質の板状透明基材、若しくはアクリル樹脂等の有機質の板状透明基材、又は、合成樹脂製の透明フィルム状基材である。厚みのごく薄いガラスも透明フィルム状基材として利用することができる。透明基板1としては、色変換層等を形成する側の表面の平滑性が高い、平均粗さ(Ra)が、0.5nm〜3.0nm(5μm□領域)であるものを用いることが好ましい。
【0030】
透明基板1を構成する合成樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂等のセルロース樹脂、エポキシ樹脂、又は環状オレフィン樹脂若しくは環状オレフィン共重合樹脂等を挙げることができる。
【0031】
ブラックマトリックス層2は、各画素毎に発光する区域を区画すると共に、発光する区域どうしの境界における外光の反射を防止し、画像、映像のコントラストを高めるためのもので、通常は、黒色の細線で構成された、縦横の格子状等、若しくは一方向のみの格子状等の、開口部を有するパターン状に形成されたものである。有機ELディスプレイの発光は、このブラックマトリックス層2の開口部を経由し、観察側に到達する。
【0032】
ブラックマトリックス層2を形成するには、まず、透明基板1を十分に洗浄したのち、CrOx/Cr(xは任意の正数、「/」は積層を表す。)の積層構造からなる2層クロムブラックマトリックス層、あるいはさらに反射率を低減させたCrOx/CrNy/Cr(x、yは任意の正数)の積層構造からなる3層クロムブラックマトリックス層等を、蒸着、イオンプレーティング、若しくはスパッタリング等の各種の方法で必要に応じ金属、金属酸化物、若しくは金属窒化物等の薄膜を形成する。この場合、十分に遮光し得る光学濃度、耐洗浄性及び加工特性等を考慮すると、金属クロムを含有する上記材料からなる積層薄膜が好ましい。形成された金属薄膜からブラックマトリックス層2を形成するためには、通常のフォトリソグラフィー法等を利用することができ、例えば、形成された金属薄膜の表面にフォトレジストを塗布し、パターンマスクで被覆して露光、現像、エッチング、及び洗浄等の各工程を経て、ブラックマトリックス層2を形成することができる。また、ブラックマトリックス層2は、無電界メッキ法、若しくは黒色のインキ組成物を用いた印刷法等を利用しても形成することができる。ブラックマトリックス層2の厚みは、薄膜で形成する場合には、0.2μm〜0.4μm程度であり、印刷法によるときは0.5μm〜2μm程度である。
【0033】
なお、ブラックマトリックス層2を形成する方法の一つとして挙げたフォトリソグラフィー法は、カラーフィルター層の各層の形成や、クリア層を含めた色変換層の各層の形成にも利用でき、各々の層を形成するための形成用組成物を一面に適用して、一旦固化させた後、フォトレジストを適用して行うか、若しくは、各々の層を形成するための形成用組成物を感光性樹脂組成物を用いて調製したものを適用して、直接、行ってもよい。
【0034】
カラーフィルター層3は、ブラックマトリックス層2の開口部に対応して設けられ、各画素に対応して、青色用、緑色用、及び赤色用の三種類が規則的に配列したものである。カラーフィルター層3の各色の部分は、ブラックマトリックス層2の開口部毎に設けたものであってもよいが、便宜的には、図1における手前側から奥側の方向に帯状に設けたものであってよい。CCM方式の有機ELディスプレイにおいては、有機EL素子層から発した青色光が色変換層により変換された緑色光及び赤色光と、有機EL素子層から発した青色光とで三原色が揃うので、カラー画像の再現が可能であるが、これらの光をさらに補正して、所定の帯域内の光にみを透過させ、有機ELディスプレイの演色性を高める意味、及び色変換層の励起光となり得る外光を遮断して表示画像のコントラストを向上させる意味で、カラーフィルター層3を設けることが好ましい。
【0035】
カラーフィルター層3を形成するには、フォトリソグラフィー法によって行うか、若しくは、所定の色に着色したインキ組成物を調製して、各色毎に印刷することによって行ってもよい。カラーフィルター層3の厚みは、1μm〜2μm程度である。
【0036】
色変換層4は、ブラックマトリックス層2の開孔部、及びカラーフィルター層3に対応して設けられるもので、やはり、各画素毎に、青色変換用、緑色変換用、及び赤色変換用の三種類が規則的に配列したものである。このうち、青色変換用については、既に述べたように、有機EL素子が、もともと青色光若しくは青色光及び緑色光を発光する場合には、原則的には色変換を行う必要がないので、原則的には何も設けなくてもよいが、前にも説明したように、他の色用の色変換層と同じ厚みのクリア層をダミー層として形成しておくことが好ましい。
【0037】
色変換層4の各部分は、カラーフィルター層3の各色の部分と同様、ブラックマトリックス層2の開口部のみに設けたものであってもよいが、図1における手前側から奥側の方向に帯状に設けたものであってもよい。そして、ブラックマトリックス層2は、隣接する色変換層パターンの境界に位置し、各色隣接色変換層パターン間隔(d)より大きい幅で形成されることが好ましい。
【0038】
赤色変換層、及び緑色変換層は、それぞれ、青色を赤色に変換する赤色変換蛍光体、及び青色を緑色に変換する緑色変換蛍光体を樹脂中に溶解若しくは分散した組成物で構成される。
【0039】
赤色変換蛍光体としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のシアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート等のピリジン系色素、ローダミンB、若しくはローダミン6G等のローダミン系色素、又はオキサジン系色素等を例示することができる。
【0040】
緑色変換蛍光体としては、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジノ(9,9a,1−gh)クマリン、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、若しくは3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン等のクマリン色素、ベーシックイエロー51等のクマリン色素系染料、又は、ソルベントイエロー11、若しくはソルベントイエロー116等のナフタルイミド系色素等を例示することができる。
【0041】
赤色変換蛍光体、若しくは緑色変換蛍光体を溶解、若しくは分散させる樹脂としては、ポリメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、若しくはポリアミド樹脂等の透明樹脂を例示することができる。又は、ポリ桂皮酸ビニル系、若しくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する電離放射線硬化性樹脂(実際には、電子線硬化性樹脂若しくは紫外線硬化性樹脂であって、後者であることが多い。)を使用することもできる。
【0042】
色変換層の形成は、フォトリソグラフィー法によって行うほか、上記の赤色変換蛍光体若しくは緑色変換蛍光体、及び樹脂を、必要に応じ、溶剤、反応性モノマー等の希釈剤、光反応開始剤若しくは熱反応開始剤、現像助剤、又は基材(若しくは目的とする層を形成するための下地となる層)との密着性を高める密着性向上剤等の適宜な添加剤と共に混合して、インキ組成物を調製し、印刷することによって行ってもよい。青色変換用の色変換層に替えて設けるクリア層の形成は、上記の方法に準じて行い、ただし、使用するインキ組成物としては、上記のインキ組成物から赤色変換蛍光色素若しくは緑色変換蛍光色素を除いたものを用いて行えばよい。色変換層4における樹脂と蛍光体(=赤色変換蛍光体若しくは緑色変換蛍光体)の割合は、一例として、樹脂/蛍光体=100/0.1〜100/5(質量基準)程度が好ましく、色変換層4の厚みは5μm〜20μm程度であることが好ましい。
【0043】
オーバーコート層5は、その上の各層が積層される対象であると共に、有機EL発光層を、下層の各層、特に有機EL発光層の寿命に悪影響を及ぼしやすい色変換層4から遮断する役割を有する。
【0044】
オーバーコート層5は透明樹脂で構成され、具体的な樹脂としては、色変換層4を構成する樹脂として前記したものと同様な樹脂を使用し、必要に応じ、溶剤、反応性モノマー等の希釈剤、光反応開始剤若しくは熱反応開始剤、現像助剤、又は基材(若しくは目的とする層を形成するための下地となる層)との密着性を高める密着性向上剤等の適宜な添加剤と共に混合して、感光性樹脂組成物とした後、この感光性樹脂組成物を、一様に塗布し、乾燥させた後、電離放射線を照射して硬化させることによるか、若しくは加熱することによって形成することができる。オーバーコート層5の厚みとしては、下層の凹凸状態にもよるが1μm〜5μmであることが好ましく、表面の平坦性、平滑性が高くなるよう形成することが好ましい。
【0045】
オーバーコート層5上には、透明バリア層が積層されていてもよい。透明バリア層は、無機酸化物の薄膜からなることが好ましく、上層に設ける有機EL発光層に下方から水蒸気や酸素、さらには色変換層やオーバーコート層から揮発してくる有機物が透過するのを遮断することができる。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、無機窒化物としては、窒化ケイ素等、又は無機酸化窒化物としては、酸化ケイ素と窒化ケイ素の混合組成物等を使用することが好ましい。透明バリア層の厚みとしては、0.01μm〜3μm程度である。
【0046】
透明電極層は、背面電極層との間にはさんだ有機EL発光層に電圧をかけ、所定の位置で発光を起こさせるためのものである。透明電極層は、例えば、ブラックマトリックス層2の開口部の幅に相当する幅の帯状の形状を有する各電極が図1で言えば、図の左右方向に配置され、図の手前から奥に向かう方向に、間隔をあけて配列したもので、配列のピッチはブラックマトリックス層2の開口部の配列ピッチと同じである。
【0047】
透明電極層は、透明性及び導電性を有する金属酸化物の薄膜で構成され、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、若しくは酸化第2錫等を素材として構成され、これらの素材の一様な薄膜を形成後に、フォトリソグラフィー法により不要部を除去することにより形成することが好ましい。
【0048】
有機EL発光層は、本発明においては、色変換される成分であればよい。青色、緑色、赤色からなるフルカラーディスプレイの場合では、少なくとも青色光を発光すれば良く、例えば青色光と緑色光を発光してもよい。また、青色光と黄色光(若しくは橙色光)成分を含み、白色発光する有機EL層の場合でも、より高エネルギーの青色光が少なくとも低エネルギーの光線に変換されれば色変換寄与の性能向上が予想されるので構わない。このときの取り出される赤色について、光源に含まれている赤色成分に加え、色変換された赤色成分の双方が加味されるので、この場合では他の青色や緑色の性能に比べて相対的に赤色の性能を向上させることが出来る。また、上述の青色、緑色、赤色の全てを含まないエリアカラーディスプレイの場合、例えば緑色を発光する有機EL発光層と赤色変換層とを組み合わせて緑色、赤色、該2色の混合された橙色を発光させること等も可能である。
【0049】
有機EL発光層は、代表的には、(1)発光層単独からなるもの、(2)発光層の透明電極層側に正孔注入層を設けたもの、(3)発光層の背面電極層側に電子注入層を設けたもの、(4)発光層の透明電極層側に正孔注入層を設け、背面電極層側に電子注入層を設けたもの等の種々の構造のものがあり得るが、上記のような青色光等の発光が得られる限り、これら以外の構造のものでも有り得る。
【0050】
青色から青緑色の発光を得ることが可能な有機蛍光体として、特開平8−279394号公報に例示されている、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、特開昭63−295695号公報に開示されている金属キレート化オキシノイド化合物、欧州特許第0319881号明細書や欧州特許第0373582号明細書に開示されたスチリルベンゼン系化合物、特開平2−252793号公報に開示されているジスチリルピラジン誘導体、若しくは欧州特許第0388768号明細書や特開平3−231970号公報に開示された芳香族ジメチリディン系化合等物を例示することができる。
【0051】
具体的には、ベンゾチアゾール系としては、2−2’−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等、ベンゾイミダゾール系としては、2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、若しくは2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等、ベンゾオキサゾール系としては、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4’−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、若しくは2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等を例示することができる。
【0052】
金属キレート化オキシノイド化合物としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マグネシウム、ビス(ベンゾ[f]−8−キノリノール)亜鉛等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体、若しくはジリチウムエピントリジオン等、スチリルベンゼン系化合物としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、若しくは1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等を例示することができる。
【0053】
ジスチリルピラジン誘導体としては、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ナフチル))ビニル]ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジン、若しくは2,5−ビス[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジン等、並びに、芳香族ジメチリディン系化合物としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4−フェニレンジメチリディン、2,5−キシレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、9,10−アントラセンジイルジルメチリディン、4,4’−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、若しくはそれらの誘導体を例示することができる。
【0054】
青色発光する発光層を構成する有機蛍光体としては、特開平5−258862号公報等に記載されている一般式(Rs−Q)2−AL−O−Lであらわされる化合物を例示することができる(一般式中、Lはベンゼン環を含む炭素原子6〜24個の炭化水素であり、O−Lはフェニラート配位子であり、Qは置換8−キノリノラート配位子であり、Rsはアルミニウム原子に置換8−キノリノラート配位子が2個以上結合するのを立体的に妨害するように選ばれた8−キノリノラート環置換基を表す。)。具体的には、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラ−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、若しくはビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等を例示することができる。
【0055】
以上に例示したような材料からなる、若しくは含有する有機EL発光層の厚みとしては、特に制限はないが、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
【0056】
正孔注入層を構成する材料としては、従来より非伝導材料の正孔注入材料として使用されているものや、有機EL素子の正孔注入層に使用されている公知の物の中から任意に選択して使用することができ、正孔の注入、若しくは電子の障壁性のいずれかを有するものであって、有機物、若しくは無機物のいずれであってもよい。
【0057】
具体的に正孔注入層を構成する材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、若しくはチオフェンオリゴマー等の導電性高分子オリゴマー等を例示することができる。さらに正孔注入層の材料としては、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、若しくはスチリルアミン化合物等を例示することができる。
【0058】
具体的には、ポルフィリン化合物としては、ポルフィン、1,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、アルミニウムフタロシアニンクロリド、若しくは銅オクタメチルフタロシアニン等、芳香族第三級アミン化合物としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル、若しくは4,4’,4”−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン等、を例示することができる。
【0059】
以上に例示したような材料からなる正孔注入層の厚みとしては、特に制限はないが、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
【0060】
電子注入層を構成する材料としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、若しくはオキサジアゾール誘導体のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、若しくはジスチリルピラジン誘導体等を例示することができる。
【0061】
以上に例示したような材料からなる電子注入層の厚みとしては、特に制限はないが、例えば、5nm〜5μm程度とすることができる。
【0062】
背面電極層は、有機EL発光層を発光させるための他方の電極をなすものである。背面電極層は、仕事関数が4eV以下程度と小さい金属、合金、若しくはそれらの混合物から構成される。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、若しくはリチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等を例示することができ、より好ましくは、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、若しくはリチウム/アルミニウム混合物を挙げることができる。
【0063】
このような背面電極層は、シート抵抗が数百Ω/cm以下であることが好ましく、厚みとしては、10nm〜1μm程度が好ましく、より好ましくは、50〜200nm程度である。
【0064】
有機EL素子は、以上のほか、透明電極層上に、ブラックマトリックス層2に対応して、絶縁層を有していてもよい。また、絶縁層上には、有機EL発光層及び背面電極層を蒸着法等の気相法で形成する際のマスクの役割を果たす隔壁を有していてもよい。
【0065】
【実施例】
以下、本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(サンプル基板の作成)
厚み;0.7mm、縦;300mm×横;400mmのガラス基板(セントラル硝子社製、錫面研磨ソーダライムガラス基板)を用い、その片側全面にスパッタリング法により酸化窒化複合クロム薄膜(厚さ0.2μm)を形成し、この複合クロム薄膜状に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、複合クロム薄膜のエッチングを行って、40μm×140μmの長方形状の開口部を、上記の40μm開口辺方向に50μmピッチ、140μm開口辺方向に150μmピッチでマトリックス状に備えたブラックマトリックス層を形成した。
【0066】
ブラックマトリックス層が形成された上記基材全面に、アクリル酸エステル系光硬化型レジスト(新日本製鉄化学社製、商品名;「V−259PA/PH5」、固形分濃度;50%)をバインダーとし、クマリン6、ローダミン6G、及びローダミンBの各々が、全固形分中で、順に、0.03mol/Kg、1%、及び1%になるよう混合し、溶媒としてポリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて、固形分が45%になるよう調製したものからなる赤色変換蛍光層形成用組成物をスピンコートした後、ガラス基板側を80℃に加熱したホットプレート上に接触させ、5分間のプリベークを行った。
【0067】
赤色変換蛍光層形成用組成物の塗膜をプリベークした後、塗膜上から、超高圧水銀灯を備えた紫外線露光機を用い、ライン幅/スペース幅=40μm/100μmの石英ガラス基材製のクロム製フォトマスクを介して、露光量300mJ/cm(365nmにおける積算値)となるようにパターン露光(第1形成層部分の露光)を行い、続いて基板を40μm開口辺方向に+50μm移動した位置にて同様に露光(第2形成層部分を露光)した。0.5%水酸化カリウム水溶液中に浸漬し、室温にて1分間揺動現像し、現像後、温度;180℃のクリーンオーブン中で30分間焼成(=ポストベーク)を行うことにより、ガラス基板/赤色変換蛍光層の積層構造を有する色変換フィルターを得た。この色変換フィルター上の赤色変換蛍光層の膜厚は、接触式膜厚計により計測したところ、約10μmであった。
【0068】
続いて同様な工程を、40μm開口辺方向に+50+n(n=0、2、4、6、8)μm移動した位置にて同様に露光することにより、各種色変換層間隔を有する評価基板(それぞれサンプル基板1、2、3、4、5とする)を得た。
【0069】
(評価)
上記のようにして得られた基板中のパターン位置を横切るように切断し、その断面を光学顕微鏡(共栄計測社製MHL−110S)、ならびに走査型電子顕微鏡(日本電子データム社製JSM5800LV)を用いて観察した。
【0070】
(結果)
隣接色変換層との間隔が存在する基板に関しては、良好な断面形状を有していた。一方、隣接色変換層同士が完全に重なっている場合は、光学的クロストークが生じる可能性があり問題があった。また、隣接色変換層同士が丁度重なった場合では空洞層が内包されており、基板上面の観察結果から不均質な欠陥領域が存在した。
【0071】
図2は、各種色変換層間隔を有する評価基板の、評価を表す断面像と、結果を表す上面像とを示す。
【0072】
よって、空洞層欠陥を回避するためには少なくとも色変換層間隔が存在する必要があり、一方で不必要な隙間は必要に応じてその後形成する平坦化層による平坦化が困難になるため好ましくない。これにより、製造マージンを考慮して該隙間を最小絵素幅の半分程度に制御することにより、開口率の比較的大きい安定した基板製造を行うことが可能となる。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば色変換層に適度な隙間を設けることにより、光学的クロストーク及び基板不具合を抑制できるため、これによりコントラストの高い高品質の画像表示が可能な色変換フィルターが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】色変換フィルターの製造過程を示す。
【図2】各種色変換層間隔を有する評価基板の、評価を表す断面像と、結果を表す上面像とを示す。
【符号の説明】
1 透明基板
2 ブラックマトリックス層
3 カラーフィルター層
4 色変換層
5 オーバーコート層
10 色変換フィルター

Claims (8)

  1. 透明基板上の一部若しくは全面に、少なくとも色変換層を順次形成した構成を有し、照射される光の少なくとも一部を吸収して所定の低エネルギー光に変換し、前記透明基板の外側に放射するための色変換フィルターであって、各色隣接色変換層パターン同士が、空間的に分離配置されて形成されてなることを特徴とする色変換フィルター。
  2. 各色隣接色変換層パターン間隔(d)が、0<d<0.5W(Wは各色絵素の最小幅)であることを特徴とする、請求項1に記載の色変換フィルター。
  3. 前記色変換層と前記透明基板との間に配置され、隣接する色変換層パターンの境界に位置し、各色隣接色変換層パターン間隔(d)より大きい幅のブラックマトリックス層が形成されてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の色変換フィルター。
  4. 前記色変換層が、紫外光若しくは可視光を含む光を吸収して、該吸収光よりも低エネルギーの光を発する蛍光色素を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の色変換フィルター。
  5. 前記色変換層が、光硬化型フォトレジストから形成されてなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の色変換フィルター。
  6. 前記色変換層が、アルカリ可溶型フォトレジストから形成されてなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の色変換フィルター。
  7. 前記色変換層の上側若しくは下側に、色変換層の励起波長を効果的に遮断しかつ該色変換層からの蛍光波長を効果的に透過する外光遮断層が積層形成されてなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の色変換フィルター。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の色変換フィルターと有機EL素子とを組み合わせてなることを特徴とする、カラーディスプレイ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006077808A1 (ja) * 2005-01-18 2006-07-27 Dai Nippon Printing Co., Ltd. 有機エレクトロルミネッセンス素子用カラーフィルタ基板
KR101301823B1 (ko) * 2011-11-28 2013-08-29 금호전기주식회사 엘이디 칩과 유무기 색필터를 이용하는 조명장치
JP2015005423A (ja) * 2013-06-21 2015-01-08 セイコーエプソン株式会社 有機el装置、有機el装置の製造方法、及び電子機器
JP2016071360A (ja) * 2014-09-26 2016-05-09 東友ファインケム株式会社Dongwoo Fine−Chem Co., Ltd. 自発光感光性樹脂組成物、それにより製造された色変換層を含む表示装置

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