JP2007273327A - 有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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昭彦 岡田
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Abstract

【課題】本発明は、モアレが発生しにくく、視認性に優れる有機EL表示装置を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、透明基板と、上記透明基板上にパターン状に形成された遮光部と、上記透明基板上の上記遮光部の開口部に形成された着色層と、上記遮光部および上記着色層の上にパターン状に形成された透明電極層と、上記透明電極層上にパターン状に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層と、上記有機EL層上に形成された背面電極層と、上記透明電極層および上記背面電極層間にパターン状に形成され、上記遮光部上に配置された絶縁層とを有し、上記遮光部のパターンの幅が上記絶縁層のパターンの幅よりも大きく、上記絶縁層のパターンのエッジが上記遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されていることを特徴とする有機EL表示装置を提供することにより、上記目的を達成するものである。
【選択図】図2

Description

本発明は、カラーフィルタを備える有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略す。)表示装置に関するものである。
有機EL素子は、自己発色により視認性が高いこと、液晶表示装置と異なり全固体ディスプレイであるため耐衝撃性に優れていること、応答速度が速いこと、温度変化による影響が少ないこと、および、視野角が大きいことなどの利点を有しており、表示装置における発光素子としての利用が注目されている。
有機EL素子の構成は、陽極/発光層/陰極の積層構造を基本としている。また、カラー表示が可能な有機EL表示装置として、有機EL素子とカラーフィルタとを組み合わせたものが知られている。
このカラーフィルタを備える有機EL表示装置では、遮光部、着色層、電極層、その他の構成部材が、マトリクス状やストライプ状等の線状に形成される場合が多く、線状の各構成部材のパターンの辺が平行に配置されると、光学干渉によりモアレが発生する可能性が高い。また、非点灯時にスジムラが観察されると、視認性が著しく低下して外観不良となる。しかしながら、モアレの発生を解決できるような提案はなされていないのが現状である。
なお、本発明に関する先行技術文献は、発見されていない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、モアレが発生しにくく、視認性に優れる有機EL表示装置を提供することを主目的とする。
本発明者らは、モアレの発生原因になりうる各構成部材の形成位置について種々検討を行い、モアレの発生には、パターン状に形成された着色層間に配置され、混色を防止してコントラストを高めるために設けられる遮光部と、電極間を絶縁するために設けられる絶縁層との位置関係が大きく影響することを発見し、遮光部および絶縁層のパターンの幅に着目した。そして、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも大きい場合には、モアレ縞を解消することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、透明基板と、上記透明基板上にパターン状に形成された遮光部と、上記透明基板上の上記遮光部の開口部に形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記遮光部上に形成された絶縁層と、上記透明電極上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層と、上記有機EL層上に形成された背面電極層とを有し、上記遮光部のパターンの幅が上記絶縁層のパターンの幅よりも大きく、上記絶縁層のパターンのエッジが上記遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されていることを特徴とする有機EL表示装置を提供する。
本発明によれば、遮光部のパターンの幅を絶縁層のパターンの幅よりも大きくし、さらに絶縁層のパターンのエッジを遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置することにより、モアレの発生を防ぐことが可能である。このモアレ縞の解消には、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されていることにより、有機EL表示装置を透明基板側から観察した場合に、絶縁層のパターンのエッジが表示領域から観察されにくくなることが寄与していると考えられる。
上記発明においては、上記着色層のパターンの長辺側に設けられた上記遮光部のパターンの幅が、上記着色層のパターンの長辺側に設けられた上記絶縁層のパターンの幅よりも大きいことが好ましい。着色層のパターンの長辺側と短辺側とでは、長辺側に設けられた絶縁層のパターンのエッジが観察される場合の方が光学干渉が起こりやすいと考えられるため、上記の構成とすることにより、モアレの発生を効果的に防ぐことができると想起されるからである。
また本発明においては、上記遮光部および上記絶縁層のパターンの幅の差が5μm以上であることが好ましい。フォトリソグラフィー法等の一般的なパターニング技術では、遮光部のパターンと絶縁層のパターンとの重ね合わせの精度は、±2μm程度のバラツキをもつ。これを考慮すると、各パターンの幅が上記範囲であることが好ましいのである。また、上記の各パターンの幅の差が上記範囲であれば、有機EL表示装置を透明基板側から斜めに観察した場合に、絶縁層のパターンのエッジが表示領域から観察されにくくなるので、モアレの発生を効果的に防ぐことができるからである。
さらに本発明においては、上記遮光部が樹脂からなることが好ましい。この場合、遮光部のパターンの幅を絶縁層のパターンの幅よりも大きくすることにより、モアレの発生を効果的に防ぐことができるからである。
本発明においては、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも大きく、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されているので、有機EL表示装置を透明基板側から観察した場合、絶縁層のパターンのエッジが表示領域から観察されにくい。これにより、モアレの発生を防ぎ、視認性を向上させることができるという効果を奏する。
以下、本発明の有機EL表示装置について詳細に説明する。
本発明の有機EL表示装置は、透明基板と、上記透明基板上にパターン状に形成された遮光部と、上記透明基板上の上記遮光部の開口部に形成された着色層と、上記着色層上に形成された透明電極層と、上記遮光部上に形成された絶縁層と、上記透明電極上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層と、上記有機EL層上に形成された背面電極層とを有し、上記遮光部のパターンの幅が上記絶縁層のパターンの幅よりも大きく、上記絶縁層のパターンのエッジが上記遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されていることを特徴とするものである。
本発明の有機EL表示装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の有機EL表示装置の一例を示す平面図であり、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図である。
図1〜図3に例示するように、有機EL表示装置1は、透明基板2と、透明基板2上にマトリクス状に形成された遮光部3と、透明基板2上にモザイク状に形成された着色層4と、着色層4上に形成されたオーバーコート層5と、オーバーコート層5上にストライプ状に形成された透明電極層6と、透明電極層6上に、透明電極層6のストライプパターンと交差するようにストライプ状に形成された有機EL層7と、有機EL層7上に、有機EL層7のストライプパターンと同じようにストライプ状に形成された背面電極層8と、遮光部3上であってストライプ状の透明電極層6および背面電極層8の開口部に、遮光部3のマトリクスパターンと同じようにマトリクス状に形成された絶縁層9とを有するものである。この絶縁層9のパターンのエッジは、遮光部3のパターンのエッジよりも内側に配置されている。なお、図1において、破線は絶縁層9が形成されている領域を示すものであり、透明電極層、有機EL層、オーバーコート層および背面電極層は省略されている。
本発明においては、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも大きい。図1〜図3に示す例においては、図1および図2に示すように、着色層4のパターンの長辺側に設けられた遮光部3のパターンの幅d1が、着色層4のパターンの長辺側に設けられた絶縁層9のパターンの幅d2よりも大きくなっている。また、図1および図3に示すように、着色層4のパターンの短辺側に設けられた遮光部3のパターンの幅d3が、着色層4のパターンの短辺側に設けられた絶縁層9のパターンの幅d4よりも大きくなっている。
本発明者らがモアレの発生原因になりうる各構成部材の形成位置について種々検討を行った結果、上記のように遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも大きく、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されている場合には、光学干渉によるモアレの発生を防止することができることがわかった。この理由については、明らかではないが、次のように推測される。
すなわち、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも大きく、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されている場合にモアレの発生が抑制されるのは、有機EL表示装置を透明基板側から観察した場合、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンで覆い隠されているためであると推測される。
図4および図5に、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも小さい有機EL表示装置の一例を示す。図4は有機EL表示装置の平面図であり、図5は図4のC−C線断面図である。
図4および図5に例示するように、有機EL表示装置51は、透明基板52と、透明基板52上にマトリクス状に形成された遮光部53と、透明基板52上にモザイク状に形成された着色層54と、着色層54上に形成されたオーバーコート層55と、オーバーコート層55上にストライプ状に形成された透明電極層56と、透明電極層56上に、透明電極層56のストライプパターンと交差するようにストライプ状に形成された有機EL層57と、有機EL層57上に、有機EL層57のストライプパターンと同じようにストライプ状に形成された背面電極層58と、遮光部53上であってストライプ状の透明電極層56および背面電極層58の開口部に、遮光部53のマトリクスパターンと同じようにマトリクス状に形成された絶縁層59とを有するものである。また、着色層54のパターンの長辺側に設けられた遮光部53のパターンの幅d51が、着色層54のパターンの長辺側に設けられた絶縁層59のパターンの幅d52よりも小さくなっている。なお、図4において、破線は絶縁層59が形成されている領域を示すものであり、透明電極層、有機EL層、オーバーコート層および背面電極層は省略されている。
有機EL表示装置51において、有機EL層57および着色層54が設けられている領域は表示領域61であり、遮光部53が設けられている領域は非表示領域62である。この有機EL表示装置51を透明基板52側から観察した場合、絶縁層59のパターンのエッジが遮光部53のパターンのエッジよりも外側に配置されているので、遮光部53の開口部、すなわち着色層54を介して表示領域61から絶縁層59のパターンのエッジが観察されてしまう。この絶縁層のパターンのエッジは、図4に例示するように規則的な周期で観察される。また、遮光部のパターンは規則的に配置されている。このため、絶縁層のパターンのエッジと、遮光部のパターンとの間で光学干渉が起こる可能性が高くなる。遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも小さい場合にモアレが発生することがあるのは、絶縁層のパターンのエッジと、遮光部のパターンとの間で光学干渉が起こるためであると考えられる。
また、図示しないが、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅と同等である有機EL表示装置においても、上記の場合と同様に、モアレが発生することがある。これは、有機EL表示装置を透明基板側から観察した場合、正面から観察した場合には絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンで覆い隠されていても、斜めから観察した場合には絶縁層のパターンのエッジが表示領域から観察されてしまい、光学干渉が起こるためであると考えられる。
これに対し本発明においては、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも大きく、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されているので、有機EL表示装置を透明基板側から観察した場合、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンで覆い隠されており、斜めから観察した場合であっても絶縁層のパターンのエッジが表示領域から観察されにくい。したがって、モアレの発生を防ぐことができると考えられる。
本発明において、遮光部および絶縁層のパターンの幅がそれぞれ2種類以上ある場合には、少なくとも1種類のパターンの幅について、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも大きく、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されていればよい。例えば図1に示すように遮光部および絶縁層がマトリクス状に形成され、着色層がモザイク状に形成されたものである場合には、着色層のパターンの長辺側に設けられた遮光部および絶縁層のパターンの幅が上記の関係を満たしていれば、着色層のパターンの短辺側に設けられた遮光部および絶縁層のパターンの幅は上記の関係を満たしていてもよく、満たしていなくてもよい。また上記の場合、着色層のパターンの短辺側に設けられた遮光部および絶縁層のパターンの幅が上記の関係を満たしていれば、着色層のパターンの長辺側に設けられた遮光部および絶縁層のパターンの幅は上記の関係を満たしていてもよく、満たしていなくてもよい。
本発明においては、着色層のパターンの長辺側に設けられた遮光部および絶縁層のパターンの幅が上記の関係を満たしていることが好ましい。着色層のパターンの長辺側に設けられた絶縁層のパターンのエッジが観察される場合と、着色層のパターンの短辺側に設けられた絶縁層のパターンのエッジが観察される場合とを比較すると、着色層のパターンの長辺側に設けられた絶縁層のパターンのエッジが観察される場合の方が連続して観察されるエッジの長さが長いので、光学干渉が起こりやすいと考えられるためである。したがって、着色層のパターンの長辺側に設けられた遮光部および絶縁層のパターンの幅が上記の関係を満たしていれば、モアレの発生を効果的に防ぐことができると考えられる。
また、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも大きければ、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差としては、特に限定されるものではないが、5μm以上であることが好ましい。フォトリソグラフィー法等の一般的なパターニング技術では、遮光部のパターンと絶縁層のパターンとの重ね合わせの精度は、±2μm程度のバラツキをもつ。これを考慮すると、各パターンの幅の差が上記範囲であることが好ましいのである。また、上記の各パターンの幅の差が上記範囲であれば、有機EL表示装置を透明基板側から斜めに観察した場合に、絶縁層のパターンのエッジを表示領域から観察されにくくすることができ、モアレの発生を効果的に防ぐことができるからである。一方、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差の上限は、各パターンの幅、パターニング精度、有効画素面積、輝度等により決定される。遮光部および絶縁層のパターンの幅の差が過度に大きいと、遮光部のパターンの幅が大きくなりすぎるので、着色層のパターンの幅が小さくなりすぎて有効画素面積が低下したり、絶縁層のパターンの幅が小さくなりすぎて絶縁層のパターニングが困難になったりするおそれがある。
さらに、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差は、各パターンの端部の両側でそれぞれ0.5μm以上であることが好ましい。図6に図2の拡大図を示す。例えば図6において、遮光部3のパターンの幅d1は絶縁層9のパターンの幅d2よりも大きく、遮光部3および絶縁層9のパターンの端部の一方の側で差d5が上記範囲であり、他方の側で差d6も上記範囲であることが好ましい。上記の各パターンの端部の両側での差が上記範囲であれば、上記の場合と同様に、モアレの発生を効果的に防ぐことができるからである。一方、上記の各パターンの端部の両側での差の上限は、各パターンの幅、パターニング精度、有効画素面積、輝度等により決定される。上記の各パターンの端部の両側での差が過度に大きいと、上記の場合と同様に、有効画素面積が低下したり、絶縁層のパターニングが困難になったりするおそれがある。
上記の各パターンの端部の両側での差は、同等であってもよく、異なっていてもよい。
また、本発明の有機EL表示装置を製造する際には、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差を、各パターンの端部の両側でそれぞれ2.5μm以上となるように設計することが好ましい。上述したように、各パターンの重ね合わせの精度は±2μm程度のバラツキをもつため、絶縁層のパターンの幅を遮光部のパターンの幅よりも片側2.5μm以上ずつ細く設計しておくことが好ましいのである。
例えば、上記の各パターンの端部の両側での差をそれぞれ2.5μmとなるように設計すると、実際の有機EL表示装置においては、各パターンの端部の両側での差はそれぞれ0.5μm〜4.5μmの範囲内になる。
なお、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも大きいこと、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されていること、ならびに、遮光部および絶縁層のパターンの幅は、有機EL表示装置の断面の光学顕微鏡観察等により確認することができる。
以下、本発明の有機EL表示装置の各構成について説明する。
1.遮光部
本発明における遮光部は、透明基板上にパターン状に形成され、遮光部のパターンの幅が絶縁層のパターンの幅よりも大きいものである。
遮光部は、画素毎に発光する区域を区画すると共に、発光する区域どうしの境界における外光の反射を防止し、画像や映像のコントラストを高めるために設けられるものである。この遮光部の開口部には、後述する着色層および発光層が配置される。本発明の有機EL表示装置では、発光層からの発光は、この遮光部の開口部を経由し、観察者側に到達する。
遮光部のパターンは、通常、線状であり、マトリクス状またはストライプ状等の開口部を有するパターンが例示される。
この遮光部のパターンの幅は、上述したように絶縁層のパターンの幅よりも大きければ特に限定されるものではないが、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差が所定の範囲であることが好ましい。中でも、有効画素面積、輝度、および絶縁層のパターンの幅との関係等の観点から、遮光部のパターンの幅は、7μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは7μm〜50μmの範囲内、特に好ましくは10μm〜30μmの範囲内である。
本発明に用いられる遮光部の形成材料としては、例えばカーボンブラック等の黒色着色剤を含有する樹脂組成物等が挙げられる。この樹脂組成物に用いられる樹脂としては、例えばアクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する電離放射線硬化性樹脂、特に電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂を使用することができる。また、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、またはポリアミド樹脂等も例示することができる。
また、遮光部の形成材料としては、例えばクロム等の金属または酸化クロム等の金属酸化物が挙げられる。このような遮光部は、例えばCrO膜(xは任意の数)およびCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrO膜(xは任意の数)、CrN膜(yは任意の数)およびCr膜が3層積層されたものであってもよい。
本発明においては、上記の中でも、遮光部が樹脂組成物を用いて形成され、樹脂からなるものであることを好ましい。遮光部が樹脂からなるものである場合、表示領域から絶縁層のパターンの幅のエッジが観察されると光学干渉が起こりやすく、モアレが発生しやすいからである。したがって、遮光部が樹脂からなるものである場合に、遮光部のパターンの幅を絶縁層のパターンの幅よりも大きくすることにより、モアレの発生を効果的に防ぐことができる。
遮光部の形成方法としては、上記樹脂組成物を用いる場合、透明基板上に上記樹脂組成物を塗布して、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が挙げられる。この際、上記樹脂組成物を塗布して塗膜を形成した後に、この塗膜を乾燥してもよい。塗膜の乾燥方法としては、例えばホットプレートを用いた加熱乾燥が挙げられる。加熱乾燥条件としては、60℃〜150℃で1分間〜10分間、加熱することが好ましい。さらに、フォトリソグラフィー法により現像した後に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理条件としては、150℃〜300℃で20分間〜60分間、加熱するのが一般的である。また、上記樹脂組成物を用いる場合、遮光部の形成方法としては、印刷法等を用いることもできる。
また、上記金属または金属酸化物を用いる場合、遮光部の形成方法としては、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法を利用してパターニングする方法を挙げることができる。また、無電界メッキ法等を用いることもできる。
上記遮光部の膜厚としては、樹脂からなる遮光部の場合は0.5μm〜2μm程度であり、金属または金属酸化物からなる遮光部の場合は0.2μm〜0.4μm程度である。
2.絶縁層
本発明における絶縁層は遮光部上に形成されたものであり、絶縁層のパターンのエッジは遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されている。絶縁層は、パターン状に形成された透明電極層間、パターン状に形成された背面電極層間、ならびに、近接する透明電極層および背面電極層間を絶縁するために設けられるものである。通常、絶縁層は、遮光部上であって、パターン状に形成された透明電極層および背面電極層の開口部に形成される。
絶縁層のパターンは、通常、線状であり、例えばマトリクス状またはストライプ状等の開口部を有するパターンが例示される。
この絶縁層のパターンの幅は、上述したように遮光部のパターンの幅よりも小さければ特に限定されるものではないが、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差が所定の範囲であることが好ましい。中でも、材料の製版性、パターニング精度等の観点から、絶縁層のパターンの幅は、2μm〜95μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは5μm〜20μmの範囲内である。
本発明に用いられる絶縁層の形成材料としては、例えば感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂、あるいは無機材料などを用いることができる。
また、絶縁層の形成方法としては、上記材料を塗布して、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が挙げられる。また、印刷法等を用いることもできる。
上記絶縁層の膜厚としては、通常0.5μm〜2μm程度である。
3.着色層
本発明における着色層は、透明基板上の上記遮光部の開口部に形成されたものである。通常、着色層は赤色パターン、緑色パターン、および青色パターンを有するものであり、各着色パターンは、画素に対応して規則的に配列される。
着色パターンの配列としては、各着色パターンが巨視的に見て平均的に配列されていれば特に限定されるものではなく、例えばストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等が挙げられる。
本発明に用いられる着色層は、各色の顔料や染料等の着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものである。
赤色パターンに用いられる着色剤としては、例えばペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑色パターンに用いられる着色剤としては、例えばハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青色パターンに用いられる着色剤としては、例えば銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
また、バインダ樹脂としては、透明な樹脂が用いられる。
着色層の形成方法として印刷法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、着色層の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、通常、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する電離放射線硬化性樹脂が使用される。通常は、電子線硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が用いられる。
紫外線硬化性樹脂を使用する場合には、バインダ樹脂に光重合開始剤が単独または複数組み合わせて使用される。また、紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を用いてもよい。
着色層の膜厚としては、通常1μm〜3μm程度である。
また、着色層の形成方法としては、例えば着色剤をバインダ樹脂に混合、分散または可溶化させて着色層形成用塗工液を調製し、この着色層形成用塗工液を用いてフォトリソグラフィー法によってパターニングする方法、あるいは、着色層形成用塗工液を用いて印刷法によりパターニングする方法が用いられる。
4.有機EL層
本発明における有機EL層は、後述する透明電極上に形成され、少なくとも発光層を含むものである。
本発明に用いられる有機EL層は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機層から構成されるものである。すなわち、有機EL層とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布による湿式法で有機EL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機層で形成される場合が多いが、溶媒への溶解性が異なるように有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
発光層以外に有機EL層内に形成される有機層としては、正孔注入層や電子注入層といった電荷注入層を挙げることができる。さらに、その他の有機層としては、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、発光層に電子を輸送する電子輸送層といった電荷輸送層を挙げることができる。通常、電荷輸送層は上記電荷注入層に電荷輸送の機能を付与することにより、電荷注入層と一体化されて形成される場合が多い。その他、有機EL層内に形成される有機層としては、キャリアブロック層のような正孔あるいは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
以下、このような有機EL層の各構成について説明する。
(1)発光層
本発明に用いられる発光層は、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を有するものである。この発光層としては、白色発光する白色発光層であってもよく、青色発光する青色発光層であってもよく、三原色をそれぞれ発光する発光層であってもよい。
青色発光層は、通常、青色を発光する青色発光体を含有するものである。青色発光体としては、一般的なものを用いることができる。なお、青色発光体については、特開平7−122364号公報、特開平8−134440号公報、特開平8−279394号公報、特開昭63−295695号公報、欧州特許第0319881号明細書、欧州特許第0373582号明細書、特開平2−252793号公報、欧州特許第0388768号明細書、特開平3−231970号公報、特開平5−258862号公報等を参考にすることができる。
白色発光層による白色発光は、複数の発光体からの発光の重ね合わせにより得ることができる。本発明における白色発光層は、所定の蛍光ピーク波長を有する2種類の発光体の二色発光の重ね合わせにより白色発光を得るものであってもよく、また所定の蛍光ピーク波長を有する3種類の発光体の三色発光の重ね合わせにより白色発光を得るものであってもよい。白色発光を得るための2種類の発光体および3種類の発光体としては、一般的なものを用いることができる。なお、このような発光体については、特開平6−207170号公報等を参考にすることができる。
三原色をそれぞれ発光する発光層は、通常、赤色発光パターン、緑色発光パターンおよび青色発光パターンを有するものである。赤色発光パターンは赤色を発光する赤色発光体を含有するものであり、緑色発光パターンは緑色を発光する緑色発光体を含有するものであり、青色発光パターンは青色を発光する青色発光体を含有するものである。赤色発光体、緑色発光体、および青色発光体としては、一般的なものを用いることができる。なお、赤色発光体、緑色発光体、および青色発光体については、上述の公報等を参考にすることができる。
発光層の膜厚としては、特に限定されるものではないが、通常5nm〜5μm程度である。
通常、発光層は、上記遮光部の開口部に対応させてパターン状に形成される。発光層のパターンは、通常、線状であり、ストライプ状等が例示される。
上記発光層の形成方法としては、例えば蒸着法、印刷法、インクジェット法、またはスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、および自己組織化法(交互吸着法、自己組織化単分子膜法)等を挙げることができる。中でも、蒸着法、スピンコート法、およびインクジェット法を用いることが好ましい。また、発光層をパターニングする際には、マスキング法により塗り分けや蒸着を行ってもよく、または発光層間に隔壁を形成してもよい。
(2)正孔注入層
本発明においては、発光層と陽極(透明電極層もしくは背面電極層)との間に正孔注入層が形成されていてもよい。正孔注入層を設けることにより、白色発光層への正孔の注入が安定化し、発光効率を高めることができるからである。
本発明に用いられる正孔注入層の形成材料としては、一般的に有機EL素子の正孔注入層に使用されている材料を用いることができる。また、正孔注入層の形成材料は、正孔の注入性もしくは電子の障壁性のいずれかを有するものであればよい。
具体的に正孔注入層の形成材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、もしくはチオフェンオリゴマー等の導電性高分子オリゴマー等を例示することができる。さらに、正孔注入層の形成材料としては、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、もしくはスチリルアミン化合物等を例示することができる。
また、正孔注入層の膜厚としては、特に限定されるものではないが、通常5nm〜1μm程度である。
(3)電子注入層
本発明においては、発光層と陰極(透明電極層もしくは背面電極層)との間に電子注入層が形成されていてもよい。電子注入層を設けることにより、白色発光層への電子の注入が安定化し、発光効率を高めることができるからである。
本発明に用いられる電子注入層の形成材料としては、例えばニトロ置換フルオレン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、もしくはオキサジアゾール誘導体のオキサジアゾール環の酸素原子をイオウ原子に置換したチアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有したキノキサリン誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−キノリノール誘導体の金属錯体、フタロシアニン、金属フタロシアニン、もしくはジスチリルピラジン誘導体等を例示することができる。
上記電子注入層の膜厚としては、特に限定されるものではないが、通常5nm〜1μm程度である。
5.透明電極層
本発明における透明電極層は、上記着色層上に形成されたものである。透明電極層および後述する背面電極層は、透明電極層と背面電極層との間に挟まれた有機EL層に電圧をかけ、所定の位置で発光を起こさせるために設けられるものである。通常、透明電極層は、上記遮光部の開口部に対応させてパターン状に形成される。
透明電極層のパターンは、通常、線状であり、ストライプ状等が例示される。例えば図2および図3に示すように透明電極層6がストライプ状に形成されている場合、ストライプ状の透明電極層6のピッチは遮光部3の開口部のピッチと同じである。
本発明に用いられる透明電極層の形成材料としては、例えば透明性および導電性を有する金属酸化物等が挙げられる。このような金属酸化物としては、例えば酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、もしくは酸化第二錫等が挙げられる。
また、透明電極層の膜厚としては、通常100nm〜300nm程度である。
上記透明電極層の形成方法としては、例えば蒸着法もしくはスパッタリング法等によって薄膜を形成した後に、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が好ましく用いられる。
6.背面電極層
本発明における背面電極層は、上記有機EL層上に形成されたものである。背面電極層は、有機EL層を発光させるための他方の電極をなすものであり、上記透明電極層と反対の電荷をもつ電極である。
本発明に用いられる背面電極層の形成材料としては、例えば仕事関数が4eV以下程度と小さい金属、合金、もしくはそれらの混合物等が挙げられる。具体的には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、もしくはリチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等を例示することができる。より好ましくは、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、もしくはリチウム/アルミニウム混合物を挙げることができる。
上記背面電極層は、シート抵抗が数Ω/cm以下であることが好ましい。
また、背面電極層の膜厚としては、通常10nm〜1μm程度である。
上記背面電極層の形成方法としては、例えば蒸着法もしくはスパッタリング法等によって薄膜を形成した後に、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が好ましく用いられる。
7.透明基板
本発明に用いられる透明基板は、有機EL表示装置全体を支える支持体であり、また有機EL表示装置の観察側に配置されるものである。
透明基板としては、例えばガラスや石英ガラス等の無機質の板状透明基板、アクリル樹脂等の有機質(例えば、合成樹脂)の板状透明基板、あるいは、合成樹脂製の透明フィルム状基材を用いることができる。厚みのごく薄いガラスも透明フィルム状基材として利用することができる。
また、透明基板としては、着色層等を形成する側の表面の平滑性が高いものであることが好ましい。具体的には、平均表面粗さ(Ra)が、0.5nm〜3.0nm(5μm□領域)であるものを用いることが好ましい。
上記透明基板を構成する合成樹脂の具体例としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂等のセルロース樹脂、エポキシ樹脂、または環状オレフィン樹脂もしくは環状オレフィン共重合樹脂等を挙げることができる。
また、透明基板の厚みとしては、耐衝撃性、取り扱い性、バリア性、および機械適性等の観点から定められ、板状透明基板の場合は通常200μm〜2mm程度であり、透明フィルム状基材の場合は通常10μm〜700μm程度である。
8.その他の構成部材
本発明の有機EL表示装置は、上記の構成部材のほかに、他の構成部材を有していてもよい。
図7に、本発明の有機EL表示装置の他の例を示す。図7に例示するように、有機EL表示装置1は、透明基板2と、透明基板2上にマトリクス状に形成された遮光部3と、透明基板2上にパターン状に形成された着色層4と、遮光部3および着色層4を覆うように形成されたオーバーコート層5と、オーバーコート層5上に形成されたアンカー層12と、アンカー層12上にストライプ状に形成された透明電極層6と、透明電極層6上に、透明電極層6のストライプパターンと交差するようにストライプ状に形成された有機EL層7と、有機EL層7上に、有機EL層7のストライプパターンと同じようにストライプ状に形成された背面電極層8と、遮光部3上であってストライプ状の透明電極層6および背面電極層8の開口部に、遮光部3のマトリクスパターンと同じようにマトリクス状に形成された絶縁層9と、絶縁層9上に形成された隔壁13とを有するものである。また、隔壁部13上には、ダミーの有機EL層7および背面電極層8が形成されている。
このように、本発明の有機EL表示装置は、オーバーコート層、アンカー層、隔壁などの構成部材を有していてもよい。
(1)オーバーコート層
本発明においては、着色層と透明電極層との間に、着色層および遮光部を覆うようにオーバーコート層が形成されていてもよい。オーバーコート層は、着色層を保護すると共に、着色層の表面をならして平坦な面とし、さらにはパターン状に形成された着色層および遮光部の段差を解消して平坦化を図るために設けられるものである。
本発明に用いられるオーバーコート層の形成材料としては、透明樹脂を用いることができる。具体的には、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有する光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂を使用することができる。また、上記透明樹脂として、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等を使用することができる。
また、オーバーコート層の形成方法としては、上述した透明樹脂を含有するオーバーコート層形成用塗工液を、スピンコート、ロールコート、キャストコート等の方法で塗布して成膜し、光硬化型樹脂の場合は紫外線照射後に必要に応じて熱硬化させ、熱硬化型樹脂の場合は成膜後そのまま熱硬化させる方法を挙げることができる。また、上述した透明樹脂がフィルム状に成形されている場合は、直接、あるいは、粘着剤を介して貼着することによりオーバーコート層を形成することができる。
上記オーバーコート層の膜厚は、通常1〜5μm程度である。
(2)アンカー層
本発明においては、上記オーバーコート層と透明電極層との間にアンカー層が形成されていてもよい。アンカー層は、オーバーコート層と透明電極層との密着性を向上させるために設けられるものである。
本発明に用いられるアンカー層の形成材料としては、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素等が挙げられる。
また、アンカー層の形成方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法などの真空蒸着法、レーザーアブレーション法、化学気相成長(CVD)法等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法が好ましく用いられる。
上記アンカー層の膜厚は、通常2nm〜200nm程度であり、好ましくは5nm〜50nm程度である。
(3)バリア層
本発明においては、着色層と透明電極層との間にバリア層が形成されていてもよい。上記オーバーコート層が形成されている場合、バリア層はオーバーコート層と透明電極層との間に形成される。このバリア層は、有機EL層へ水蒸気や酸素が到達するのを遮断するために設けられるものである。
本発明においては、アンカー層に替えてバリア層が形成されていてもよく、アンカー層およびバリア層の両方が形成されていてもよい。
本発明に用いられるバリア層としては、水蒸気や酸素に対してバリア性を発現することができれば特に限定されるものではなく、例えば透明無機膜、透明樹脂膜、あるいは有機−無機ハイブリッド膜等が用いられる。中でも、バリア性が高い点から、透明無機膜が好ましい。
上記透明無機膜の形成材料としては、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム等の酸化物;窒化ケイ素等の窒化物;窒化酸化ケイ素等の窒化酸化物;などが用いられる。中でも、ピンホールや突起が生じにくくガスバリア性が高いことから、窒化酸化ケイ素が好適である。
また、バリア層は、単層であってもよく多層であってもよい。例えば、バリア層が複数の窒化酸化ケイ素膜が積層された多層である場合は、バリア性をさらに高めることができる。また、バリア層が多層である場合は、各層にそれぞれ異なる材料を用いてもよい。
バリア層の膜厚としては、特に限定されるものではなく、用いる透明基板やバリア層の形成材料の種類、あるいはバリア層が単層であるか多層であるかによって異なるものであり一概に規定できないが、通常、バリア層全体で5nm〜5μm程度である。バリア層の厚みが薄すぎるとバリア性が不十分となる可能性があり、またバリア層の厚みが厚すぎると薄膜の膜応力によるクラック等の現象が生じ易いからである。
上記バリア層が透明無機膜である場合、この透明無機膜の形成方法としては、真空状態で形成できる膜の形成方法であれば特に限定されるものではなく、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法等の真空蒸着法、原子層エピタキシ(ALE)法、レーザーアブレーション法、化学気相成長(CVD)法等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法が好ましく用いられる。
(4)隔壁
本発明においては、上記絶縁層上に隔壁(カソードセパレータともいう。)が形成されていてもよい。隔壁は、発光層等を含む有機EL層や背面電極層をパターン状に形成する際のマスクの役割を果たすものである。
隔壁の形成材料としては、例えば感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂、あるいは無機材料などを用いることができる。
また、有機EL層や背面電極層等をパターニングするために、隔壁の表面エネルギー(濡れ性)を変化させる処理を行ってもよい。
(5)色変換層
本発明においては、着色層と透明電極層との間に色変換層が形成されていてもよい。色変換層は、発光層からの光を吸収し、可視光領域蛍光を発光する蛍光材料を含有する層であり、発光層からの光を青色、赤色、または緑色とするものである。
色変換層は、例えば青色の蛍光を発光する青色変換パターン、赤色の蛍光を発光する赤色変換パターン、および緑色の蛍光を発光する緑色変換パターンの3色の色変換パターンを有するものである。また、青色発光層を用いた場合は、青色変換パターンの代わりに発光層からの光をそのまま透過する透過パターンが形成されていてもよい。
色変換層は、通常、発光層からの光を吸収し、蛍光を発光する蛍光色素とマトリクス樹脂とを含有するものである。
蛍光色素は、発光層から発せられる近紫外領域または可視領域の光、特に青色または青緑色領域の光を吸収して異なる波長の可視光を蛍光として発光するものである。上記発光層が青色発光層である場合は、蛍光色素としては、例えば赤色領域の蛍光を発する蛍光色素および緑色領域の蛍光を発する蛍光色素が用いられる。
発光層から発する青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えばローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウム パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
また、発光層から発する青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素としては、例えば3−(2´−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2´−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2´−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、あるいはクマリン色素系染料であるベーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などが挙げられる。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も蛍光性があれば使用することができる。
なお、蛍光色素を、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などに予め練り込んで顔料化して、蛍光顔料としてもよい。また、これらの蛍光色素や蛍光顔料(以下、上記2つを合わせて蛍光色素と総称する。)は単独で用いてもよく、蛍光の色相を調整するために2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記蛍光色素の含有量は、色変換層に対して、その色変換層の重量を基準として0.01〜5重量%程度である。蛍光色素の含有量が少なすぎると十分な波長変換を行うことができず、一方、蛍光色素の含有量が多すぎると、濃度消光等の効果により色変換効率が低下する可能性があるからである。
また、マトリクス樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の樹脂を挙げることができる。
また、色変換層のパターニングをフォトリソグラフィー法により行なう場合には、マトリクス樹脂として感光性樹脂を用いることができる。この感光性樹脂としては、例えばアクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型の感光性樹脂が挙げられる。
さらに、色変換層の形成方法として印刷法を用いる場合には、マトリクス樹脂を含有するインキが用いられる。この場合に用いられるマトリクス樹脂としては、例えばメラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂のモノマー、オリゴマーまたはポリマー、あるいは、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の樹脂を挙げることができる。
色変換層の形成方法としては、蛍光色素およびマトリクス樹脂を混合、分散または可溶化させて色変換層形成用塗工液を調製し、この色変換層形成用塗工液をスピンコート、ロールコート等の一般的な塗布方法で塗布し、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法、あるいは、上記色変換層形成用塗工液を用いてスクリーン印刷等によりパターニングする方法が用いられる。また、色変換層の形成方法としては、所定のフォトマスクを介して真空蒸着法またはスパッタリング法等で成膜する方法を用いることもできる。
上記色変換層の膜厚としては、発光層からの光を十分に吸収して蛍光を発することができる厚みであれば特に限定されるものではない。具体的には、使用する蛍光色素、蛍光色素の濃度等を考慮して適宜設定することができ、例えば5〜15μm程度とすることができる。
9.有機EL表示装置
本発明の有機EL表示装置の駆動方式としては、パッシブマトリクス、もしくはアクティブマトリクスのいずれであってもよいが、パッシブマトリクスであることが好ましい。パッシブマトリクス駆動の場合はモアレが発生しやすいが、遮光部のパターンの幅を絶縁層のパターンの幅よりも大きくすることにより、モアレの発生を効果的に防ぐことができるからである。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[比較例1]
(遮光部の形成)
透明基板として、370mm×470mm、厚み0.7mmのソーダガラス(セントラル硝子社製)を準備した。この透明基板上に、スパッタリング法により酸化窒化複合クロム薄膜(厚み0.2μm)を形成した。この複合クロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、および複合クロム薄膜のエッチングを順次行って、80μm×280μmの長方形状の開口部を有し、幅16μmのマトリクス状の遮光部を形成した。
(着色層の形成)
赤色、緑色、および青色の各着色パターン形成用塗工液を調製した。赤色着色剤としては縮合アゾ系顔料(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、クロモフタルレッドBRN)、緑色着色剤としてはフタロシアニン系緑色顔料(東洋インキ製造社製、リオノールグリーン2Y−301)、および青色着色剤としてはアンスラキノン系顔料(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、クロモフタルブルーA3R)をそれぞれ用いた。また、バインダ樹脂としてはアクリル系UV硬化性樹脂組成物(アクリル系UV硬化性樹脂20%・アクリル系UV硬化性樹脂モノマー20%・添加剤5%・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)55%)を用いた。アクリル系UV硬化性樹脂組成物10部に対し、各着色剤を1部(部数はいずれも質量基準。)の割合で配合して、十分に混合分散させ、各着色パターン形成用塗工液を得た。
上記の各着色パターン形成用塗工液を順次用いて各パターンを形成した。すなわち、遮光部が形成された透明基板上に、赤色パターン形成用塗工液をスピンコート法により塗布し、120℃で2分間のプリベイクを行った。その後、フォトマスクを用いて露光(積算露光量300mJ/cm)し、現像液(0.05%KOH水溶液)にて現像を行った。次いで、230℃で60分間のポストベイクを行い、遮光部のパターンに同調させ、幅85μm、厚み1.5μmのストライプ状の赤色パターンを、その幅方向が遮光部の開口部の短辺方向になるよう形成した。以降、緑色パターン形成用塗工液および青色パターン形成用塗工液を順次用い、緑色パターンおよび青色パターンを形成し、三色の各着色パターンが幅方向に繰り返し配列した着色層を形成した。
(オーバーコート層の形成)
アクリレート系光硬化性樹脂(新日鐵化学社製、商品名:「V−259PA/PH5」)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈して、オーバーコート層形成用塗工液を調製した。このオーバーコート層形成用塗工液を、着色層上に、スピンコート法により塗布し、120℃で5分間のプリベイクを行った。次いで、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行った後、200℃で60分間のポストベイクを行って、厚み5μmで着色層全体を覆う透明なオーバーコート層を形成した。
(アンカー層の形成)
上記オーバーコート層上に、RFスパッタ法で真空成膜により膜厚100nmのSiO膜を形成した。
(透明電極層の形成)
アンカー層上にイオンプレーティング法により膜厚150nmのITO膜を形成し、このITO膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、ITO膜のエッチングを行って、透明電極層を形成した。
次に、上記の透明電極層を覆うようにアンカー層上の全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み0.2μm)を形成し、このクロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、クロム薄膜のエッチングを行って、補助電極を形成した。この補助電極は、透明基板上から着色層上に乗り上げるように透明電極層上に形成されたストライプ状のパターンであった。
(絶縁層の形成)
平均分子量が約100,000であるノルボルネン系樹脂(JSR社製、ARTON)をトルエンで希釈して、絶縁層形成用塗工液を調製した。この絶縁層形成用塗工液をスピンコート法により透明電極層上に塗布した後、ベーク(100℃、30分)を行って絶縁膜(厚み1μm)を形成した。次に、この絶縁膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、絶縁膜のエッチングを行って絶縁層を形成した。このとき、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差を、各パターンの端部の両側でそれぞれ0.5μmとなるように設計した。この絶縁層は、遮光部と同じマトリクス状のパターンで、幅が15μmであり、遮光部上に位置するものであったが、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも外側に配置されていた。
(隔壁の形成)
隔壁形成用塗工液(日本ゼオン社製、フォトレジスト、ZPN1100)をスピンコート法により絶縁層上に塗布し、プリベーク(70℃、30分間)を行った。その後、所定のフォトマスクを用いて露光し、現像液(日本ゼオン社製、ZTMA−100)にて現像を行い、次いで、ポストベーク(100℃、30分間)を行った。これにより、絶縁層上に隔壁を形成した。この隔壁は、高さ5μm、下部(絶縁層側)の幅20μm、上部の幅30μmで逆テーパーの形状を有するものであった。
(有機EL層の形成)
次いで、上記隔壁をマスクとして、真空蒸着法により正孔注入層、白色発光層、電子注入層からなる有機EL層を形成した。
まず4,4´,4´´−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミンを、表示領域に相当する開口部を備えたフォトマスクを介して200nmまで蒸着して成膜し、その後4,4´−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルを20nm厚まで蒸着して成膜することによって、隔壁がマスクとなり、隔壁間のみを正孔注入層の形成材料が通過して透明電極層上に正孔注入層を形成した。
同様にして、4,4´−ビス(2,2´−ジフェニルビニル)ビフェニルを40nmまで蒸着して成膜した。このとき、同時にルブレン(アルドリッチ(株)製)を少量含有させた。これにより白色発光層を形成した。
その後、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを20nm厚まで蒸着して成膜することにより電子注入層を形成した。このようにして形成された有機EL層は、隔壁間に存在するものであり、幅280μmのストライプ状のパターンであった。
(背面電極層の形成)
次に、表示領域よりも広い所定の開口部を備えたフォトマスクを介して、真空蒸着法によりマグネシウムと銀とを同時に蒸着(マグネシウムの蒸着速度=1.3〜1.4nm/秒、銀の蒸着速度=0.1nm/秒)して成膜した。これにより、隔壁がマスクとなって、マグネシウム/銀化合物からなる厚み200nmの背面電極層を有機EL層上に形成した。この背面電極層は、有機EL層上に存在するものであり、幅280μmのストライプ状のパターンであった。また、隔壁部の上部表面にもダミーの背面電極層を形成した。
[比較例2]
比較例1において、遮光部の幅が18μmであり、絶縁層を形成する際に、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差を、各パターンの端部の両側でそれぞれ1.5μmとなるように設計した以外は、比較例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。絶縁層は、遮光部上に位置するものであったが、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも外側に配置されていた。
[実施例1]
比較例1において、遮光部の幅が20μmであり、絶縁層を形成する際に、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差を、各パターンの端部の両側でそれぞれ2.5μmとなるように設計した以外は、比較例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。絶縁層は、遮光部上に位置するものであり、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されていた。
[実施例2]
比較例1において、遮光部の幅が22μmであり、絶縁層を形成する際に、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差を、各パターンの端部の両側でそれぞれ3.5μmとなるように設計した以外は、比較例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。絶縁層は、遮光部上に位置するものであり、絶縁層のパターンのエッジが遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されていた。
[比較例3]
比較例1において、遮光部の幅が16μmであり、絶縁層を形成する際に、遮光部および絶縁層のパターンの幅の差を、各パターンの端部の両側でそれぞれ0μmとなるように設計した以外は、比較例1と同様にして有機EL表示装置を作製した。絶縁層は、遮光部上に位置するものであったが、絶縁層のパターンのエッジと遮光部のパターンのエッジとが略同一に配置されていた。
[評価]
実施例1,2および比較例1〜3の有機EL表示装置について、非点灯時での外観を観察した。比較例1,3の有機EL表示装置では、モアレが発生した。また、比較例2の有機EL表示装置では、うすくモアレ縞が観察された。一方、実施例1,2では、モアレ縞が全く観察されなかった。
本発明の有機EL表示装置の一例を示す概略平面図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のB−B線断面図である。 従来の有機EL表示装置の一例を示す概略平面図である。 図4のC−C線断面図である。 図2の拡大図である。 本発明の有機EL表示装置の他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 … 有機EL表示装置
2 … 透明基板
3 … 遮光部
4 … 着色層
5 … オーバーコート層
6 … 透明電極層
7 … 有機EL層
8 … 背面電極層
9 … 絶縁層
12 … アンカー層
13 … 隔壁

Claims (4)

  1. 透明基板と、前記透明基板上にパターン状に形成された遮光部と、前記透明基板上の前記遮光部の開口部に形成された着色層と、前記着色層上に形成された透明電極層と、前記遮光部上に形成された絶縁層と、前記透明電極上に形成され、少なくとも発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層と、前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成された背面電極層とを有し、
    前記遮光部のパターンの幅が前記絶縁層のパターンの幅よりも大きく、前記絶縁層のパターンのエッジが前記遮光部のパターンのエッジよりも内側に配置されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  2. 前記着色層のパターンの長辺側に設けられた前記遮光部のパターンの幅が、前記着色層のパターンの長辺側に設けられた前記絶縁層のパターンの幅よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  3. 前記遮光部および前記絶縁層のパターンの幅の差が5μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  4. 前記遮光部が樹脂からなることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
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