以下、本発明の第一実施形態に係るシート付き包装体、及び、それに使用されているシート付き筒状フィルムについて、図1〜図6を参酌しつつ説明する。図1〜図3に示すシート付き包装体は、被包装物としての容器1に他の包材としての筒状フィルム2が装着され、容器1に筒状フィルム2を介してシート3が貼着されたものである。シート3は、容器1の少なくとも左右両側部領域R1,R3(図2及び図6参照)に設けられた貼着部4により筒状フィルム2に貼着されていて、上下方向の軸線まわりに湾曲している。シート3は例えば容器1の正面側あるいは背面側に位置する。図2はシート3が容器1の背面側に位置する場合であって、この場合にはシート3は背面側凸に湾曲する。図6はシート3が容器1の正面側に位置する場合であって、この場合にはシート3は正面側凸に湾曲する。図2及び図6において前後方向を符号Aで示し、左右方向を符号Bで示している。符号Fが正面から見た場合、即ち、正面視であり、符号Rが背面から見た場合、即ち背面視であるが、この正面、背面は説明の都合上区別しているものであって、何れが正面となってもよい。かかるシート付き包装体を例えば店頭等で陳列する場合、何れを正面とするかは任意であって、シート3が貼着されている側を正面としてもよいし、逆に、シート3が貼着されている側を背面としてもよい。従って、陳列状態において、シート3は容器1の正面側に位置していてもよいし、背面側に位置していてもよい。以下の説明では、説明の都合上、シートにおいて被包装物が貼着されている側を正面側(前側)、その反対側を背面側(後側)と区別して説明するが、上述したように、容器1の何れを正面としてもよいし、シート3が正面、背面の何れの面に貼着されていてもよい。
容器1の形状は任意であるが、その一例について説明すると、容器1は、主要部である胴部10と該胴部10の上側に肩部11を介して位置するヘッド部12とを備え、上下方向の軸線を有した縦長の形状であって自立可能なものである。具体的には、胴部10は容器本体であり、ヘッド部12はキャップである。胴部10は、図2や図6に示すように平面視において、あるいは、横断面視において、前後方向の寸法に対して左右方向(幅方向)の寸法が長い横長の楕円形である。尚、図2及び図6において一点鎖線Cは前後方向の中心線であって楕円の長軸を示している。胴部10は前後対称形状であって且つ左右対称形状である。そして、胴部10は上述のように横断面視において横長の楕円形であるため、正面側は前側凸に湾曲して膨出し、背面側も後側凸に湾曲して膨出している。即ち、胴部10は、その正面側も背面側も上下方向の軸線まわりに外側凸に湾曲した形状となっている。ヘッド部12は、胴部10と同軸上に位置し、胴部10に対して左右方向の寸法が小さく即ち幅狭であって且つ前後方向の寸法も小さい。具体的には、ヘッド部12は平面視においてあるいは横断面視において胴部10よりも小径の円形である。
筒状フィルム2は、容器1の周側面の全体を上端から下端まで覆っている。尚、容器1の上面と底面には筒状フィルム2によって覆われていない開口部が残っている。但し、筒状フィルム2を両端開口とせずに一端開口他端閉塞として、容器1の底面のみに開口部を残して容器1の上面全体を筒状フィルム2で覆うようにしてもよい。即ち、筒状フィルム2は少なくとも一端が開口したものであればよい。
筒状フィルム2は、収縮性フィルム(いわゆるシュリンクフィルム)または伸縮性フィルム(いわゆるストレッチフィルム)であり、熱収縮や弾性伸縮することにより、容器1を密着状態で包装する部材である。筒状フィルム2を構成する樹脂フィルムの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、ならびにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビニル等のビニル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもできるし、2種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。これらのうち、収縮性フィルムにおいては、適切な収縮応力と高い透明性を有することから、ポリエステル系、ポリオレフィン系、およびポリスチレン系のフィルムが好ましく、ポリエステル系フィルムが特に好ましい。また、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムを使用できるが、軸方向にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。尚、一軸延伸フィルムとは、実質的に一軸延伸されているフィルムをいい、周方向(いわゆるTD方向)と軸方向(いわゆるMD方向)との収縮率が大きく異なるフィルムのことを意味するのであって、いずれかの方向に全く収縮しない(いわゆる収縮率がゼロである)フィルムのみをいうものではない。具体的には、例えば、90℃、10秒(温水処理)における周方向の熱収縮率が20〜80%、軸方向の熱収縮率が−5〜10%のフィルムが挙げられる。一方、伸縮性フィルムにおいては、高い伸縮性と透明性を有することから、ポリオレフィン系およびビニル系のフィルムが好ましい。
筒状フィルム2の厚みとしては、特に限定されないが、収縮性フィルムの場合、8〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは15〜60μmである。筒状フィルム2が伸縮性フィルムの場合、その厚みは、10〜150μmであることが好ましく、より好ましくは15〜120μm、特に好ましくは20〜100μmである。また、筒状フィルム2としては、着色された樹脂筒状フィルム、あるいは商品名やデザイン等を表示するための印刷層が形成された樹脂フィルムを用いることができる。
以下の説明では、一例として筒状フィルム2が収縮性フィルムから構成されている場合について説明する。筒状フィルム2は、上下両端が開口し、熱収縮前において容器1が挿入可能な筒状体である。図1〜図4においては、筒状フィルム2の軸線方向が上下方向に一致しており、周方向が図中水平方向に平行となっている。筒状フィルム2は、容器1と同等の軸線方向の長さを有し、熱収縮により容器1の略全体に密着する。筒状フィルム2は、容器1の上面周縁部及び下面周縁部に回り込む軸線方向の長さを有していることが好ましいが、容器1の上面や下面に回り込まない程度の軸線方向の長さであってもよく、少なくとも容器1が挿入可能であればその軸線方向の長さは特には限定されない。なお、本実施形態においては、筒状フィルム2は、主として周方向に収縮する熱収縮性一軸延伸フィルムである。
このように筒状フィルム2で包装された容器1の背面側にシート3が貼着されて容器1の背面側全体がシート3によって覆われている。シート3は、一枚構造であって、容器1の幅、具体的には胴部10の幅よりも幅広であって容器1の全高よりも背の高い縦長の長方形であり、シート3の左右方向の中央と容器1の左右方向の中央とが略一致している。従って、容器1の胴部10からシート3の両側部30がそれぞれ側方に向けて所定量突出した状態にある。また、シート3の下端36は、容器1の下端と略面一あるいはそれよりも若干上側に位置する。一方、シート3の上端35は容器1の上端よりも所定長さ上方に位置している。即ち、シート3は容器1の上端よりも上方に所定長さ延びた上方延在部31を有しており、該上方延在部31に吊り下げ孔32が形成されている。該吊り下げ孔32はシート3の左右方向の中央に形成されている。
ここで、シート3には種々の材質のものが使用可能であって、例えば、紙材のシートが使用できる。シートが紙材である場合、例えば、紙のみからなる厚紙や、紙製シートに各種樹脂をコーティング又は樹脂製シートや蒸着シートを張り合わせた合成紙等が一例として挙げられ、その厚さは、例えば0.2〜2mm程度、特に0.5〜1.5mm程度が好ましい。特には、紙のみからなる厚紙が好ましい。また、プラスチックシートも使用可能であり、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ポリスチレン系、ポリアミド系等からなるシートが使用でき、特に、ポリエチレンテレフタレート製のシートは比較的剛性が高く、シート厚さを低減しても適度な剛性を確保しやすいという点で好ましい。プラスチックシートの厚さとしては、例えば0.1mm〜1.0mm程度が好ましく、特に0.2mm〜0.6mm程度がより好ましい。シートは透視できる程度の透明性を有するものであってもよいし、不透明なものであってもよい。透視できる程度の透明性を有するものとしてはポリオレフィン系及びポリエステル系のシートが好ましく、透明性に優れたポリプロピレン製のシート及びポリエチレンテレフタレート製のシートがより好ましい。尚、本実施形態においてシート3は、紙材のシートが使用されている。
シート3の表面即ち正面側と裏面即ち背面側の両面あるいは何れか一方の面には印刷部33が形成されている。該印刷部33には、アクリル系やウレタン系等、各種のインキを使用することができ、インキには顔料が含まれていても含まれていなくてもよい。印刷部33をデザイン層とその裏側の白ベタ層とを含む層構造とすることが好ましく、白ベタ層は、二酸化チタン等の白色顔料が配合された白色インキからなる一層あるいは二層以上の層から構成される。但し、デザイン層と白ベタ層の両方を含むものには限られず、デザイン層のみや白ベタ層のみとしてもよく、また三層以上の層構成としてもよい。
シート3の貼着状態について更に詳述する。図2に示すように、シート3は容器1の背面側に位置しており、シート3は、容器1の胴部10の投影領域RFのうち左右両側部領域R1,R3において貼着される。上述したように、投影領域とは、正面側から見た場合において容器1の胴部10の投影図をなす外形線の内側領域のことをいい、図2では符号RFで示される領域である。また、図2において、左右両側部領域は符号R1,R3で示される領域であって、符号R2で示される領域は中央部領域である。左右両側部領域R1,R3は、例えば投影領域RFを左右方向(図2中、B方向)に三等分したものである。これは、図6においても同様である。
容器1には筒状フィルム2が装着されているので該筒状フィルム2の外面にシート3が貼着されているのであるが、該シート3を貼着するための貼着部4が左右二箇所設けられている(図1,図2参照)。貼着部4は、上下方向に延びる幅の細い帯状であって、投影領域RFのうち左右両側部領域R1,R3に貼着部4がそれぞれ一本ずつ設けられている。貼着部4は、左右両側部領域R1,R3に設けられていればその位置は特に限定されないが、好ましくは左右両側部領域R1,R3のうち左右方向(B方向)外側の縁部から2/3の領域内に設けられていることが好ましく、特に1/2の領域内に設けられていることがより好ましい。本実施形態では、左右両側部領域R1,R3のうち最も外側の縁部近傍(左右方向(B方向)外側の縁部から1/2の領域内)にそれぞれ貼着部4が設けられている。また、それら左右の貼着部4は互いに左右対称且つ平行に配置されており、胴部10の上部から下部まで直線的且つ連続的に形成されている。
図2のように、容器1の投影領域RFのうち左右両側部領域R1,R3に貼着部4が設けられることによりシート3は胴部10の表面形状に沿って上下方向の軸線まわりに背面側凸に湾曲し、シート3の両側部30は斜め前方に向かう。シート3の両側部30の前後方向の位置は任意であるが、例えば図2のように胴部10の前後方向の中心線Cよりも前側であって且つ胴部10よりも前方には突出しない位置となる。
尚、上述の本実施形態では、シート3において被包装物(容器1)が貼着されている側(シート3の表面側)を正面側として説明したが、図6のようにシート3の裏面側を正面側とした場合、容器1の投影領域RFのうち左右両側部領域R1,R3に貼着部4が設けられることによりシート3は胴部10の表面形状に沿って上下方向の軸線まわりに正面側凸に湾曲し、シート3の両側部30は斜め後方に向かう。その場合もシート3の両側部30の前後方向の位置は任意であるが、例えば図6のように胴部10の前後方向の中心線Cよりも後側であって且つ胴部10よりも後方には突出しない位置となる。
貼着部4には、筒状フィルム2との接着強度が強く、被包装物(容器1)の荷重に耐えて、流通過程や陳列過程における長時間の接着状態を維持できる接着剤であれば特に限定されず、各種の接着剤(粘着剤を含む)を使用することができる。具体的には、例えば、エラストマー系接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、およびホットメルト接着剤等の感圧性接着剤や感熱性接着剤等が挙げられ、特に加熱塗工して筒状フィルム2を張り合わせた後、常温に冷却されたときに強い接着強度を発現するホットメルト接着剤が好適であり、湿気反応型ホットメルト接着剤がより好適である。中でもシート3に紙材のシートを用いた場合には、紙への接着性の観点から湿気反応型ホットメルト接着剤が特に好適である。尚、接着強度は、接着剤の種類だけでなく、接着剤の塗布面積や各種添加物等によっても調整することができ、被支持物の重量等に応じて適宜調整できる。但し、接着剤ではなく両面テープ等で貼着してもよい。
以上のように構成されたシート付き包装体は、図4に示すようなシート付き筒状フィルム5(シート付き収縮性フィルム)を用いて包装されている。一枚の平坦なシート3の片面に、両端が開口した筒状フィルム2が、その軸線が上下方向となるようにして貼着されている。該筒状フィルム2は前後方向に扁平に折り畳まれた状態にあり、該扁平状態における両側縁20近傍に貼着部4が設けられている。そして、筒状フィルム2の例えば下端開口部から容器1を挿入する。筒状フィルム2に容器1を挿入することで筒状フィルム2が扁平状態から膨らむが、貼着部4が筒状フィルム2の両側部に位置しているために平坦なシート3は筒状フィルム2の膨張に応じて若干湾曲することとなる。その後、シュリンクトンネル等で筒状フィルム2を熱収縮させて容器1に密着させるのであるが、筒状フィルム2の熱収縮によってシート3には筒状フィルム2から貼着部4を介して湾曲させる力が作用することになり、シート3は自動的に上下方向の軸線まわりに湾曲した状態となる。このように筒状フィルム2が熱収縮することによってシート3が自動的に湾曲するので、シート3を別工程で湾曲させる必要がない。また、容器1を筒状フィルム2に挿入させることでシート3が若干湾曲した状態となっているので、その後の熱収縮工程においてシート3がスムーズに湾曲することになる。
このように製造されたシート付き包装体にあっては、シート3が上下方向の軸線まわりに湾曲しているので、シート3が平坦な場合に比して剛性が高くなり、シート3が曲がったり歪んだりしにくくなってしっかりと安定した姿勢が得られる。そして、シート3が湾曲しているので、シート3が容器1の背面側に位置する場合においてシート付き包装体を正面側から見ると、容器1の後部があたかもケースに収容されているかのように見え、一枚のシート3でありながらも立体感のある包装形態が得られる。また、シート3が容器1の正面側に位置する場合においてシート付き包装体を正面側から見ると、容器1が湾曲したシート3によってあたかもケースに収容されているようにも見え、一枚のシート3でありながらも立体感のある包装形態が得られる。このように、いずれの方向を正面側とした場合であっても、それぞれに従来に比して美観を向上させた包装形態とすることができる。尚、シート3が容器1の正面側に位置する場合であってシート3に厚紙を使用している場合には容器1がシート3によって隠れて正面側からは見えなくなる。
かかるシート付き包装体は、自立させて陳列させることができる。尚、容器1即ち被包装物の形態によっては、それ自体で自立が不可能な底面形状であったり安定して自立させることができない底面形状であったりするが、そのような場合にはシート3の下端36を容器1の底面と略面一あるいは底面よりも下側に位置するようにしておくことが好ましく、湾曲したシート3の下端36によって安定した自立状態が得られることにもなる。また、シート3が平坦ではなく湾曲しているので、前後方向に一列に並べて陳列することが容易になる。即ち、シート3が平坦であると、シート付き包装体が上下方向の軸線まわりに回転して正面から見て左右に傾いた状態になるとその状態が目立ちやすい。これに対してシート3が湾曲していると、シート付き包装体が多少回転してもそれが目立ちにくく、従って、陳列作業が容易になる。また、シート3が平坦である場合に比してシート3の両側縁が隣の商品等に当たりにくくなるので、その意味でも陳列作業が容易になる。
また、シート3の上部に吊り下げ孔32が形成されているので、その吊り下げ孔32を利用して図3に二点鎖線で示すように陳列棚の吊下棒Sにシート付き包装体を吊り下げて陳列することもできる。そして、シート3が上下方向の軸線まわりに湾曲していて剛性が高くなっているので、シート3が反り返るように曲がりにくくなり、安定した吊り下げ姿勢が得られる。
図24に参考例として一般的な台紙付き包装体を示している。収縮性フィルムからなる筒状フィルム102によって包装された被包装物としての容器101は台紙103の前面に貼着されており、台紙103は平坦な状態にある。そして、図25のように吊下棒Sに吊り下げ孔132を介して吊り下げると、平坦な台紙103を使用しているため、台紙103の上部が反り返るように曲がりやすく、安定した吊り下げ姿勢が得られにくい。これを防止するためには台紙103の厚さを増すなどして、台紙103の剛性をアップすることが必要になるが、コストが嵩むことになる。これに対して、本実施形態におけるシート付き包装体にあってはシート3が上下方向の軸線まわりに湾曲しているので、シート3が反り返るように曲がることを防ぐことができ、安定した吊り下げ姿勢が得られる。
また、容器1の形状や大きさ、取付位置によっては、図5のように容器1即ち商品の自重によってモーメントが働いてシート3が斜めに傾いた傾斜姿勢となる。商品が比較的低い位置に陳列される場合、購買者は上方から商品を斜め下方に見下ろすようにして見ることになるが、このような場合においては、シート付き包装体の正面側が斜め上方を向くように吊り下げ陳列することで購買者から商品の正面が見えやすくなり、商品のアピール力が増す。逆に、商品が比較的高い位置に陳列される場合には、購買者は商品を斜め下方から見上げるようになるが、このような場合においては、シート付き包装体の正面側が斜め下方を向いて傾斜するように吊り下げ陳列することで購買者から商品の正面が見えやすくなり、商品のアピール力が増す。本実施形態におけるシート付き包装体にあっては、上述したようにいずれの方向を正面側ともすることができるので、その陳列位置によって適宜配列状態を変えて、適切な陳列態様を取ることができる。
次に、本発明に係る第二実施形態について説明する。第二実施形態におけるシート付き包装体は、シート3に視認部が設けられ、該視認部を介して、被包装物としての容器1の少なくとも一部が視認可能に構成されたものである。ここで、該視認部は、シート3の裏面側から被包装物(容器1)を視認できる構成であれば特に限定されず、例えばシートに透明部分を設けたり切欠部や孔を設けたりすることが挙げられる。その一つの具体例としてシート3が透明なプラスチックシートから構成されたものを図7〜図10に示している。尚、上記第一実施形態と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。この第二実施形態の場合においても上述したようにシート3は容器1の正面側に位置していても背面側に位置していてもよいが、一例として正面側に位置する場合について説明する。シート3は、容器1の投影領域RFのうち少なくとも左右両側部領域R1,R3に貼着され、シート3は上下方向の軸線まわりに正面側凸に湾曲している(図6参照)。
筒状フィルム2で包装された容器1の正面側にシート3が貼着されて容器1の正面側全体がシート3によって覆われており、該シート3は透明なプラスチックシートから構成されている。該シート3の裏面即ち背面側には印刷部33が部分的に形成され、該印刷部33が形成されていない残部は透明なままの透明部34となっている。印刷部33には、アクリル系やウレタン系等、各種のインキを使用することができ、インキには顔料が含まれていても含まれていなくてもよい。印刷部33をデザイン層とその裏側の白ベタ層とを含む層構造とすることが好ましく、白ベタ層は、二酸化チタン等の白色顔料が配合された白色インキからなる一層あるいは二層以上の層から構成される。但し、デザイン層と白ベタ層の両方を含むものには限られず、デザイン層のみや白ベタ層のみとしてもよく、また三層以上の層構成としてもよい。透明部34は、シート3を介して容器1を視認するための視認部であり、容器1の正面側に対峙して形成されている。従って、透明部34を介して容器1が部分的あるいは全体的に視認可能である。詳細には、透明部34は、容器1の大部分を視認できる程度の大きさを有しており、胴部10の左右方向両端部とヘッド部12の上端部を除いて視認できる。透明部34はシート3の下端36まで達しており、該透明部34の左右両側と上側の三方を門型に囲むようにして印刷部33が形成されている。尚、印刷部33はシート3の両面のうちの何れの面に形成してもよく、両面双方に形成してもよい。
シート3の貼着状態については上述したのと同様である。但し、シート3には透明部34が設けられているので、該透明部34の左右両側に貼着部4が位置していることが好ましい。即ち、印刷部33に貼着部4が設けられている。
以上のように構成されたシート付き包装体は、図9及び図10に示すようなシート付き筒状フィルム5を用いて包装されている。一枚の平坦なシート3の裏面(背面側)に、両端が開口した筒状フィルム2が、その軸線が上下方向となるようにして貼着されている。シート3の左右方向中央部には透明部34が設けられているが、該透明部34と扁平状態の筒状フィルム2の側縁20との間に貼着部4が位置している。
第二実施形態におけるシート付き包装体においても、シート3が湾曲しているので、正面側から見ると容器1があたかもケースに収容されているかのように見え、一枚のシート3でありながらも立体感のある包装形態が得られる。しかも、シート3に透明部34を設けて該透明部34を介して容器1を正面側から視認できるので、シート3が容器1の前側に位置していてもシート付き包装体を前後反転させることなく、シート3が容器1の前側に位置する陳列状態のままで、容器1の存在を正面側から容易に確認することができる。また、シート付き包装体を開封することなく、容器1の胴部10の正面側に表示された文字等もシート3の透明部34から視認することができる。このように透明部34を設けることで、容器1を背面側のみならず正面側からも視認できる。しかも、透明部34の周りには印刷部33が設けられているので、印刷部33を容器1の中身の説明やパッケージデザインとして利用することができる。また、シート3に透明なプラスチックシートを使用した場合は、そこに印刷部33を設けることでその残部として透明部34を形成させることができ、不透明な材質のシートを用いると共に透明部34として別途の透明シートや透明フィルムを接合するという必要もない。シート3を容器1の背面側に位置させる場合も同様であって、シート3に視認部としての透明部34を設けることで、容器1を正面側のみならず背面側からも視認できる。
次にシート3の他の形態とそれを使用したシート付き包装体について図11〜図15を参酌しつつ説明する。尚、上記実施形態と同様の構成についてはその詳細な説明を省略する。図11のように、シート3は、その下部を下方に延設して外方且つ上方に折り返して二重となるように重ね合わせた構成とすることができる。該シート付き包装体に使用されているシート付き筒状フィルム5を図13(b)に示し、それに使用されているシート3の展開状態を図12に示し、またシート3の折り畳み状態を図13(a)に示している。尚、筒状フィルム2には図13(b)のように横ミシン目21と縦ミシン目22が形成されていてもよい。但し、図11及び図14、図15においては筒状フィルム2の横ミシン目21と縦ミシン目22の図示を省略している。
図12に展開形状を示しているように、シート3は上下方向に長い形状であって、その長手方向(上下方向)中間部に折り返し線40がミシン目として横断するように形成され、該折り返し線40よりも下側の領域を図12の紙面裏側且つ上方に折り返して重合貼着部41によって上側の領域に重ね合わせることで二重構造とする。図12において展開状態のシート3の上半分の領域は容器1側に位置する部分であってこれを内側シート片42と称することとする。展開状態のシート3の下半分の領域は容器1とは反対側に位置し、内側シート片42に対してその外側に重なり合う部分であってこれを外側シート片43と称することとする。従って、この実施形態ではシート3は、下端部の折り返し線40によって二つ折り状態とされて互いに内外に重なり合った内側シート片42と外側シート片43とから構成され、重合貼着部41によって両シート片42,43の折り返し線40とは反対側の端部同士が貼着された形態となっている。
内側シート片42には、筒状フィルム2を貼着するための貼着部4が左右一対設けられる。該左右一対の貼着部4は図13(b)のように筒状フィルム2の左右両側部に位置する。また、内側シート片42の上部領域には切り離し線44がミシン目として形成されている。該切り離し線44は内側シート片42を横断するように形成され、該切り離し線44によって内側シート片42は上下二つの部分に区画される。内側シート片42の下側の部分である主要部42bは容器1側に残る残部であり、その表面には上述の貼着部4が設けられる。また、内側シート片42の上側の部分である切離部42aは主要部42bから切り離される部分であってその裏面には上述した重合貼着部41が設けられる。尚、切り離し線44の中央部には切離部42a側に向けて三角形状に突出する凸状切り込み線45が形成されており、また、切り離し線44の両端にはそれぞれノッチ46が形成されている。
一方、外側シート片43には、折り返し線40とは反対側の端部近傍に吊り下げ孔32が形成されている。該吊り下げ孔32は例えば三角形状であって、図13のように外側シート片43が内側シート片42に重ねられた際に、その開口縁部の一部が内側シート片42の凸状切り込み線45に合致する。
かかるシート3を折り返し線40で二つ折りに折り畳むと図13(a)のようになり、更に内側シート片42の前面(表面)に貼着部4によって筒状フィルム2を貼着してシート付き筒状フィルム5となる。そして、シート付き筒状フィルム5における筒状フィルム2に容器1を挿入して筒状フィルム2を熱収縮させて容器1に密着させる。容器1としては例えば薬剤点滴用として使用されるバイアル瓶などとすることができる。筒状フィルム2が熱収縮すると内側シート片42は自動的に容器1に沿って上下方向の軸線まわりに湾曲する。一方、外側シート片43も内側シート片42に追従して湾曲するが、外側シート片43は重合貼着部41によって内側シート片42に貼着されているのみであるから、内側シート片42の湾曲変形に完全には追従せず、内側シート片42よりも緩やか且つ部分的に湾曲した状態となる。このように本発明においてシート3は少なくとも容器1(被包装物)に貼着されている部分が湾曲していればよく、本発明における「シートが上下方向の軸線まわりに湾曲している」ことには、このようにシート3の全体のうち少なくとも容器1(被包装物)に貼着されている部分が湾曲している態様も含まれる。
そして、使用に際しては、まず、図14のように、切り離し線44を切断して外側シート片43を折り返し線40を支点として内側シート片42から外側に離すように回動させていく。切り離し線44を切断する際、切り離し線44に凸状切り込み線45を設けているので、その凸状切り込み線45を開封起点として容易に切り離し線44を切断することができる。また、切り離し線44を切断すると、外側シート片43と重合貼着部41により貼着されている内側シート片42の切離部42aは、内側シート片42の主要部42bから分離して外側シート片43と共に外側に離れていく。その一方、内側シート片42の主要部42bは貼着部4によって筒状フィルム2に貼着されたままであり、容器1側にそのまま残る。従って、内側シート片42の主要部42bは依然として湾曲した状態に維持される。
その後、図15のように、引き伸ばした外側シート片43が上になるようにして吊り下げ孔32を吊下棒Sに引っ掛けて、容器1を天地逆の状態に吊り下げて使用することができる。そのように吊り下げた状態では、内側シート片42の主要部42bが容器1に沿って湾曲していてその湾曲変形が外側シート片43まで伝達されて外側シート片43も部分的に湾曲した状態となるので、容器1をほぼ垂直の状態に吊り下げることができ、安定した吊り下げ状態が得られる。また、吊り下げた際において吊り下げ孔32の上側には、内側シート片42の主要部42bから分離した内側シート片42の切離部42aが存在していて、その内側シート片42の切離部42aと外側シート片43とが重なり合って二重の状態となっているので、薄いシート3を使用してもしっかりと安定して吊り下げることができる。特に、吊り下げ孔32の開口縁部と凸状切り込み線45とが重なり合っていて吊り下げ孔32の開口縁部の上部領域においてはシート3が二枚重ねの状態となっているので、安定した吊り下げ状態が得られる。しかも、吊り下げ孔32の直ぐ上側には重合貼着部41が位置しているので、吊り下げ孔32の上側におけるシート3の変形が重合貼着部41によって抑制され、安定した吊り下げ状態が得られる。
尚、図11〜図15に示した形態では内側シート片42に切り離し線44を設けていたが、逆に外側シート片43に切り離し線44を設けてもよい。図16〜図18に外側シート片43に切り離し線44を設ける構成の一例を示している。尚、図16〜図18は何れもシート3のみを図示している。この形態では、図16にシート3の展開状態を示しているように、外側シート片43に主要部43aと周縁部43bとを区画するようにコの字状の切り離し線44を設けている。コの字状の切り離し線44の両端は折り返し線40あるいはその近傍まで達している。そして、切り離し線44の内側の領域である主要部43aに吊り下げ孔32が形成されている。尚、切り離し線44には主要部43aから周縁部43bに向けて突出する凸状切り込み線45を設けることが好ましい。また、外側シート片43の両側部にはそれぞれ折り返し線48を介して糊代部47を設けることが好ましい。
図17(a)に二つ折りに折り畳まれたシート3を表側(内側シート片42側)から見た状態を示しており、図17(b)には同じく裏側(外側シート片43側)から見た状態を示しているが、外側シート片43の糊代部47を折り返して内側シート片42の表側に重ね合わせて貼着することで、その部分においてシート3は三枚重ねの状態となる。尚、糊代部47は外側シート片43ではなく内側シート片42に設けてもよい。
そして、吊り下げ使用する際には、図18のように外側シート片43の切り離し線44を切断しつつ外側シート片43の主要部43aを周縁部43bから分離する。この形態では、吊り下げ孔32の周囲はシート3が一枚の仕様であるが、容器1側に残っている内側シート片42の両側部においてはシート3が三枚重ねの仕様となっており、その三枚重ねの部分がリブないし柱部として機能して、より安定した湾曲状態が得られる。
尚、上記実施形態では、上下方向に延びる帯状の貼着部4としたが、貼着部4の形状や配置については種々の態様が可能である。例えば、第二実施形態のように透明部34を設けている場合にはその透明部34の左右両側に上下二箇所ずつ合計四箇所にスポット状の貼着部4を設けるようにしてもよい。この場合、更に下側の二箇所の貼着部4や上側の二箇所の貼着部4の何れかを省略することもでき、また、胴部10の上下方向略中央部に左右一箇所ずつスポット状の貼着部4を設けてもよい。かかる点は、透明部34を設けていない場合も同様である。
更に、図19のように容器1の胴部10が幅一定ではない場合、例えば容器1の胴部10の上部が幅広で下部がそれよりも幅狭であるテーパ状の容器1の場合、容器1の最大幅の位置である胴部10の上部にシート3を貼着することが好ましい。図19では、胴部10の上部に対応したシート3の位置に左右一対のスポット状の貼着部4を設けているが、それと共に胴部10の下部に対応したシート3の位置にもスポット状の貼着部4を左右一対設けるようにすることもでき、少なくとも胴部10の上部に対応したシート3の位置に左右一対のスポット状の貼着部4を設けることが好ましい。このように容器1の胴部10が幅一定ではない場合には、胴部10の最大幅の位置に少なくとも貼着部4を設けることが好ましく、特に、その最大幅の位置のみに貼着部4を設けることが好ましい。この点についても透明部34の有無によらないが、透明部34を設ける構成とする場合には透明部34の両側に貼着部4を設けるようにする。
更には、図20のように胴部10の上端部と下端部にそれぞれ左右方向に延びる帯状の貼着部4を設けてもよい。この場合、上下両貼着部4は透明部34の上下にそれぞれ位置している。尚、この場合も下端部の貼着部4や上端部の貼着部4の何れか一方を省略することもできる。この点についても透明部34があってもなくても同様である。
更に、図21のように透明部34を設けずに胴部10の投影領域の大部分を占める貼着部4としてもよい。このように貼着部4の形状や大きさ、個数、配置は種々の態様が可能であって、何れにしても胴部10の投影領域のうち少なくとも左右両側部領域に貼着部4が形成されていればよい。
また、透明部34を設ける場合には透明部34の位置や形状、個数についても任意であって、透明部34を点在させてシート3のデザインの一部として利用するような形態としてもよい。更に、不透明な材質のシート3、例えば紙製のシート3を用いてそこに切欠部や孔、開口部等を形成し、そこに別途の透明シートや透明フィルムを接合して透明部34を形成してもよい。また更に、視認部として透明部34を設けるのではなく、上述のようなシート3の切欠部等をそのまま視認部としてもよい。
尚、容器1についても種々のものが包装可能であって、例えばヘッド部12にスプレーガン部を備えているものであってもよい。ヘッド部12の前後方向の寸法が胴部10のそれよりも小さい場合、その胴部10よりも幅広且つ背の高いシート3を貼着するとシート3とヘッド部12との間に空間ができる。そして、シート3に上方延在部31と吊り下げ孔32を設けると、吊り下げ時にシート3が反り返りやすくなる。そのためヘッド部12の前後方向の寸法が胴部10のそれよりも小さい場合には、シート3を上下方向の軸線まわりに湾曲させることによる効果が特に大きい。但し、ヘッド部12が胴部10と同一径であるような形状等、上下方向に横断面積一定の形状である容器1であってもよい。
また、シート3の幅方向(左右方向)の中央部に容器1が位置しているものに限られず、左右何れかに偏心して位置していてもよく、その場合には吊り下げ孔32も容器1の位置に合わせて左右に偏心した位置に形成することが好ましい。
更に、シート3が容器1の正面側全体あるいは背面側全体を覆うものには限定されず、例えば図22のように胴部10よりも幅広且つ背の高いシート3によって胴部10の全体を覆う一方、ヘッド部12の全体あるいは一部がシート3から外側にはみ出る構成としてもよい。このようにヘッド部12を設ける場合には少なくとも胴部10の全体をシート3でカバーするようにすることが好ましい。但し、容器1の下端がシート3から下方にはみ出す形態であってもよい。
尚、上記説明では、予めシート3に筒状フィルム2を貼着しておいてそのシート付き筒状フィルム5における筒状フィルム2に容器1を挿入するようにしたが、筒状フィルム2に容器1を挿入した後に、それをシート3に貼着してその後に筒状フィルム2を熱収縮させたり、あるいは、筒状フィルム2に容器1を挿入して熱収縮させた後にそれをシート3に貼着したりしてもよい。貼着部4はシート3に設けておくことが好ましいが、逆に、筒状フィルム2に設けておいてもよい。
また、上記実施形態では筒状フィルム2が収縮性フィルムや伸縮性フィルムから構成されたものであったが、その他の各種の包材(包材フィルム)を使用しても構わない。また、包材を介さずにシート3を容器1に直接貼着してもよい。
また、被包装物についても容器1には限定されず任意の物品であってよく、その形状も上述したような横断面視楕円形のものの他、円形であってもよく、また楕円形や円形以外の形状であってもよいが、少なくとも正面側あるいは背面側に膨出した形状であることが好ましい。但し、横断面視矩形や多角形等の角部を有する被包装物であってもよく、その場合、例えば図23のように左右の貼着部4間において被包装物50あるいはそれを覆っている筒状フィルム2とシート3との間に隙間51が形成されるように、シート3が被包装物50あるいは筒状フィルム2に左右の貼着部4により貼着されていてもよい。即ち、シート3は被包装物50の表面形状に沿って湾曲していなくてもよい。