JP6314921B2 - 曲げ加工性に優れた低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

曲げ加工性に優れた低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、建築等の溶接鋼構造物用として好適な、降伏比:80%以下の低降伏比で、引張強さ:590〜740MPaを有する非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法に係り、とくに曲げ加工性の向上に関する。なお、ここでいう「厚鋼板」とは、板厚70mm以上である場合をいうものとする。
建築、橋梁、貯蔵タンク、圧力容器などの鉄鋼構造物の製造に用いられる鋼板は、強度と靭性が優れていることはもちろん、成形時の加工性に優れていることが要求される。しかし、通常、鋼板の強度が上がるほど曲げ加工性は低下する。また非調質で製造された鋼板は、板厚が厚くなるほど、一般的に表層硬さが高くなり、曲げ加工性が低下するという問題がある。
そこで、高強度と優れた加工性とを両立させるために、鋼板表層部のみを軟化させる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、加工性に優れた高張力鋼板の製造方法が記載されている。特許文献1に記載された技術は、スラブを1000〜1350℃に加熱し、製品板厚まで熱間圧延し、引続きAr変態点以上の温度から直接焼入れを行い、平均温度が400℃未満の温度まで冷却を行ったのち、400℃以上Ac変態点以下の温度で焼戻処理を施す、高張力鋼板の製造方法であり、直接焼入れの際、鋼板表面温度が300℃以上の範囲にあるとき、0.3s以上の一時的に水冷されない時間を、1回あるいは2回以上で、合計1.5〜15sとなるように設けることを特徴としている。なお、特許文献1に記載された技術では、鋼板板厚が厚くなると、板厚方向での冷却速度がある程度相違することになり、とくに誘導加熱を用いて、鋼板内部に比べて表面温度が高くなる温度分布を与えることが好ましいとしている。これにより、表面硬さを減じることができ、板厚方向の硬度差を小さくでき、加工性が向上するとしている。
また、特許文献2には、加工性に優れた引張強度628MPa以下の高張力鋼板が提案されている。特許文献2に記載された技術は、質量%で、C:0.005〜0.02%、Si:0.05〜0.50%、Mn:1.0〜2.5%、Al:0.01〜0.08%、Nb:0.010〜0.060%、Ti:0.005〜0.025%、B:0.0010〜0.0040%を含み、鋼板の板厚中心部硬さが(鋼板表面部の硬さ+15HV)未満である加工性に優れた引張強度628MPa以下の高張力鋼板である。特許文献2に記載された技術では、誘導加熱等により、鋼板の表層部をAc変態点以上、内部をAc変態点以下に再加熱することにより、表層部を内部よりも軟らかくすることができ、高い強度と優れた加工性を兼備できるとしている。
また、特許文献3には、鋼板内の材質均一性に優れた高強度鋼板の製造方法が提案されている。特許文献3に記載された技術では、質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%を含有する組成の鋼片を、1000〜1300℃に加熱したのち、熱間圧延し、引続く制御冷却の直前に表面での噴射流の衝突圧が1MPa以上の条件でデスケーリングを行い、その後冷却開始時の鋼板の表面温度:(Ar−10℃)以上、表面冷却速度:200℃/s以下、鋼板平均冷却速度:15℃/s以上及び鋼板平均温度で冷却停止温度:200〜600℃の条件で制御冷却を行うとしている。これにより、鋼組織がベイナイト組織となり、板厚方向の硬さばらつきがΔHVで50以下、板幅方向の硬さばらつきがΔHVで50以下である鋼板内の材質均一性に優れた高強度鋼板が得られるとしている。
また、特許文献4には、非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法が提案されている。特許文献4に記載された技術では、質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.05〜0.45%、Mn:1.2〜1.8%、Al:0.05%以下、Nb:0.005〜0.025%、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0040%以下を含み、Ti/Nが2.5以上となる組成の鋼素材を1050〜1200℃に加熱したのち、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、圧延終了温度が表面温度で900℃〜Ar変態点となる熱間圧延を行い、その後、第一段冷却として表面温度でAr変態点以上の温度から、板厚の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、表面温度が(Ar変態点−100℃)〜550℃となるまで加速冷却し、冷却停止温度後復熱させ、第二段冷却として表面温度が(Ar変態点−20℃)〜600℃、かつ表面温度が極大値をとった時点から、時間t1〜t2に、板厚の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、冷却停止後の復熱で表面温度が600〜400℃になる冷却停止温度まで加速冷却するとしている。これにより、少なくとも、表層部において、平均結晶粒径:4.0〜18.0μmのフェライトを面積率で50〜70%で、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの1種または2種以上からなる組織を有し、表層部の硬さ増加が少なく、降伏比75%以下で降伏強さ:385MPa以上、引張強さ:550MPa以上の非調質高張力厚鋼板が得られるとしている。
また、特許文献5には、非調質低降伏比高張力厚鋼板の製造方法が提案されている。特許文献5に記載された技術では、質量%で、C:0.05〜0.16%、Si:0.05〜0.45%、Mn:1.2〜1.8%、Al:0.05%以下、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0040%以下を含み、不純物としてNb:0.004%以下、Mo:0.04%未満に制限し、さらにTi/Nが4.0〜2.0で、Ceqが0.35〜0.48を満足する組成の鋼素材を1050〜1200℃に加熱したのち、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、圧延終了温度が表面温度で900℃〜Ar変態点となる熱間圧延を行い、その後、第一段冷却として表面温度でAr変態点以上の温度から、板厚の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、表面温度が(Ar変態点−100℃)〜550℃となるまで加速冷却し、冷却停止温度後復熱させ、第二段冷却として表面温度が(Ar変態点−20℃)〜600℃、かつ表面温度が極大値をとった時点から、時間t1〜t2に、板厚の1/4位置の平均冷却速度が2℃/s以上で、冷却停止後の復熱で表面温度が600〜400℃になる冷却停止温度まで加速冷却するとしている。これにより、少なくとも、表層部において、平均結晶粒径:4.0〜18.0μmのフェライトを面積率で50〜70%で、パーライト、ベイナイトおよびマルテンサイトの1種または2種以上からなる組織を有し、表層部の平均硬さが225HV以下で、表層部の硬さ増加が少なく、降伏比75%以下で降伏強さ:385MPa以上、引張強さ:550MPa以上の非調質高張力厚鋼板が得られるとしている。
特開2005−298963号公報 特開2011−195961号公報 特開2012−77327号公報 特開2014−31546号公報 特開2014−177669号公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載された技術では、既存の設備に加え、新たな加熱設備を必要とするという問題がある。また、特許文献3に記載された技術では、熱間圧延に引続く制御冷却の直前に、表面での噴射流の衝突圧が1MPa以上の条件でデスケーリングを行うことを必須の要件としており、冷却ゾーンの手前に新たな高圧のデスケーリング設備を必要とするという問題がある。また、特許文献4、特許文献5に記載された技術では、冷却と復熱とを繰り返す加速冷却を複数回行うことを必須の要件としており、冷却と復熱との微妙な調整を正確に行うためには、かなりの困難を伴い、生産性(歩留)が低下するという問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題を解決し、新たな設備の導入を伴うこともなく、簡便に、非調質で、降伏比:80%以下の低降伏比と、引張強さ:590〜740MPaの高強度と、優れた曲げ加工性とを兼備する非調質低降伏比高張力厚鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、曲げ加工性に及ぼす各種要因について、鋭意検討した。その結果、曲げ加工性を向上させるためには、表層の硬い部分をできるだけ薄くすることが重要であることに着目し、熱間圧延後の冷却を、表面温度で80℃/s以上の冷却速度で冷却し、冷却停止温度を(Bs−250℃)〜(Bs−450℃)の範囲の温度とし、冷却停止後、300℃〜Ac変態点の範囲の温度まで復熱させ、その後、さらに500℃以下の温度まで冷却することに思い至った。これにより、表層部の硬さを低減することができるとともに、表層に近接した、表面からt/25位置から内部側の組織を面積率で10%以上のフェライト相を含み、残部がベイナイト相またはパーライト、あるいはそれらの混合相からなる組織とすることができ、優れた曲げ加工性と所望の高強度とを兼ね備えた厚鋼板とすることができることを知見した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)質量%で、C:0.05〜0.10%、Si:0.01〜0.45%、Mn:0.6〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.003%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0040%以下、Mo:0.20〜0.60%、Nb:0.005〜0.030%、V:0.001〜0.070%、Cr:0.15%以下を含み、Ti、Nが次(1)式
4.0≧Ti/N≧2.0 ……(1)
(ここで、Ti、N:各元素の含有量(質量%))
を満足し、かつ次(2)式
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Mo/4+V/14 ……(2)
(ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V:各元素の含有量(質量%))
で定義される炭素当量Ceqが0.40〜0.50を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、板厚をt(mm)としたときの、表面から板厚方向にt/25(mm)から板厚中央位置(1/2t位置)の範囲の組織が、面積率で10%以上50%以下のフェライト相と、残部がベイナイト相またはパーライト、あるいはそれらの混合相からなる組織であり、表面から板厚方向に1mmの位置におけるビッカース硬さHVが300HV以下で、引張強さ:590MPa以上740MPa以下、降伏比:80%以下である引張特性を有することを特徴とする曲げ加工性に優れた低降伏比高張力厚鋼板。
(2)鋼素材に、加熱工程と、熱間圧延工程と、冷却工程と、を順次施し厚鋼板とする非調質厚鋼板の製造方法であって、前記鋼素材が、質量%で、C:0.05〜0.10%、Si:0.01〜0.45%、Mn:0.6〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.003%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0040%以下、Mo:0.20〜0.60%、Nb:0.005〜0.030%、V:0.001〜0.070%、Cr:0.15%以下、を含み、Ti、Nが次(1)式
4.0≧Ti/N≧2.0 ……(1)
(ここで、Ti、N:各元素の含有量(質量%))
を満足し、かつ次(2)式
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Mo/4+V/14 ……(2)
(ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V:各元素の含有量(質量%))
で定義される炭素当量Ceqが0.40〜0.50を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材であり、前記加熱工程が、前記鋼素材を加熱温度:1050〜1250℃に加熱する工程であり、前記熱間圧延工程が、前記加熱された鋼素材に、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、圧延終了温度が表面温度で900℃以下Ar変態点以上となる熱間圧延を施し厚鋼板とする工程であり、前記冷却工程が、前記熱間圧延工程を経て得られた前記厚鋼板にAr変態点以上の温度から、表面温度で80℃/s以下の平均冷却速度で、次(3)式
Bs(℃)=830−270×C−90×Mn−37×Ni−70×Cr−83×Mo ……(3)
ここで、C、Mn、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%)
で定義されるBs温度を基準とし(Bs−250℃)以下(Bs−450℃)以上の冷却停止温度まで冷却し、該冷却を停止し、復熱で表面温度が300℃以上Ac変態点以下の温度とする一次冷却と、該一次冷却後、表面温度で500℃以下の冷却停止温度まで冷却する二次冷却と、からなる二段階の加速冷却を施す工程であり、
前記厚鋼板が、表面から板厚方向に1mmの位置におけるビッカース硬さHVが300HV以下で、かつ引張強さ:590MPa以上740MPa以下、降伏比:80%以下である引張特性を有することを特徴とする曲げ加工性に優れた低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
(3)(2)において、前記冷却工程を施したのち、さらに、焼戻温度:400℃以上700℃以下の温度で焼戻処理を行う焼戻工程を施すことを特徴とする低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、新たな設備を導入することなく、既存の加速冷却装置を利用して、非調質で、降伏比:80%以下の低降伏比と、引張強さ:590〜740MPaの高強度と、優れた曲げ加工性とを兼備する、板厚70mm以上の非調質低降伏比高張力厚鋼板を容易にかつ安価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。
実施例で行った曲げ試験の要領を模式的に示す説明図である。
まず、本発明厚鋼板の組成限定理由について説明する。以下、組成における質量%は、単に%で記す。
本発明厚鋼板は、C:0.05〜0.10%、Si:0.01〜0.45%、Mn:0.6〜1.8%、P:0.020%以下、S:0.003%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.005〜0.020%、N:0.0040%以下、Mo:0.20〜0.60%、Nb:0.005〜0.0030%、V:0.001〜0.070%、Cr:0.15%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する。
C:0.05〜0.10%
Cは、鋼の強度を増加させ、構造用鋼材として必要な強度を確保するのに有用な元素である。また、Cは、硬質相の体積率を増加させ、降伏比を低下させる作用を有する。このような効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とする。一方、0.10%を超える含有は、溶接性と靭性を顕著に低下させる。このため、Cは0.05〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.06〜0.09%である。
Si:0.01〜0.45%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶して鋼材の強度を増加させる元素である。このような効果を得るためには0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.45%を超える含有は、母材の靱性を低下させるとともに、溶接熱影響部(HAZとも言う)靱性を顕著に低下させる。このため、Siは0.01〜0.45%の範囲に限定した。なお、好ましくは、0.02〜0.40%である。
Mn:0.6〜1.8%
Mnは、固溶して鋼の強度を増加させる作用を有する元素である。Mnは安価な元素であり、高価な他の合金元素の含有を最小限に抑えることができるという効果も有する。このようなことから、本発明では、所望の高強度(引張強さ:590MPa以上)を確保するために、0.6%以上の含有を必要とする。一方、1.8%を超える含有は、母材の靱性およびHAZ靱性を著しく低下させる。このため、Mnは0.6〜1.8%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.8〜1.6%である。
P:0.020%以下
Pは、鋼の強度を増加させる作用を有する元素であるが、靱性、とくに溶接部の靱性を低下させる。このため、できるだけ低減することが望ましい。0.020%を超えて含有すると、上記した悪影響が顕著となる。このため、Pは0.020%以下に限定した。
S:0.003%以下
Sは、鋼中ではMnS等の硫化物系介在物として存在し、母材および溶接部の靱性を低下させるとともに、鋳片中央偏析部などに多量に偏在して鋳片等における欠陥を発生しやすくする傾向を有する。このような傾向は0.003%を超える含有で顕著となる。このため、Sは0.003%以下に限定した。なお、過度のS低減は、精錬コストを高騰させ、経済的に不利となるため、Sは0.001%程度以上とすることが望ましい。
Al:0.05%以下
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、高張力鋼の溶鋼脱酸プロセスにおいては、脱酸剤として、もっとも汎用的に使われる元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましいが、0.05%を超える含有は、母材の靱性を下させるとともに、溶接時に溶接金属に混入して溶接金属部靱性を低下させる。このため、Alは0.05%以下に限定した。なお、好ましくは0.010〜0.045%である。
Ti:0.005〜0.020%
Tiは、Nとの親和力が強い元素であり、凝固時にTiNとして析出し、鋼中の固溶Nを減少させ、冷間加工後の歪時効による靭性劣化を低減する作用を有する。また、Tiは、HAZの組織改善を介して、HAZ靭性の向上にも寄与する。このような効果を得るためには、Tiは0.005%以上の含有を必要とする。一方、0.020%を超えて含有すると、TiN粒子が粗大化し、上記した効果が期待できなくなる。このため、Tiは0.005〜0.020%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.007〜0.015%である。
N:0.0040%以下
Nは、鋼中に固溶して、冷間加工後の歪時効を生起させ、靭性を劣化させる元素であり、本発明ではできるだけ低減することが望ましい。0.0040%を超える含有は、靭性の劣化が著しくなる。このため、Nは0.0040%以下に限定した。
Mo:0.20〜0.60%
Moは、靭性の向上と強度の増加に寄与する有効な元素である。このような効果を得て、引張強さ:590MPa以上の高強度を安定して確保するためには、0.20%以上のMo含有を必要とする。一方、0.60%を超えて多量に含有すると、溶接性や耐HIC性が低下する。このため、Moは0.20〜0.60%に限定した。なお、好ましくは0.50%以下である。
Nb:0.005〜0.030%
Nbは、焼入れ性を向上させ、強度を増加させる元素である。このような効果を得るためには、0.005%以上の含有を必要とする。一方、0.030%を超えて含有すると、HAZ靭性および母材靭性が低下する。このため、Nbは0.005〜0.030%の範囲に限定した。なお、好ましくはNb:0.01〜0.02%である。
V:0.001〜0.070%
Vは、析出強化を介して、強度を増加させる有効な元素である。このような効果を得るためには、0.001%以上の含有を必要とする。一方、0.070%を超えて含有すると、HAZ靭性および母材靭性が低下する。このため、Vは0.001〜0.070%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.005〜0.060%である。
Cr:0.15%以下
Crは、焼入性向上を介し、母材の強度を増加させる元素であり、厚鋼板の高強度化に有用な元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上含有することが望ましいが、0.15%を超える含有は、合金コストの増加を招く。このため、含有する場合には、Crは0.15%以下の範囲に限定した。
なお、Ti、Nは上記した含有量の範囲内で、かつ次(1)式を満足するように含有する。
4.0≧Ti/N≧2.0 ……(1)
本発明では、Tiは、N含有量(質量%)に見合う量を含有させ、固溶NをTiNとして固定する。このため、Ti含有量(質量%)とN含有量(質量%)との比、Ti/Nが2.0以上を満足するように、Ti含有量(質量%)、N含有量(質量%)を調整する。Ti/Nが2.0未満では、N含有量に比べてTi含有量が少なすぎるため、多くのNが固溶Nとして残存する。そのため、HAZ靭性が低下し、溶接部からの脆性破壊発生により部材変形性能が低下する場合がある。一方、Ti/Nが4.0を超えて大きくなると、TiN粒子が粗大化して、所望の効果を確保できなくなる。このため、Ti/Nは2.0〜4.0の範囲に限定した。なお、好ましくは、2.5〜3.5の範囲である。
また、本発明では、上記した各合金元素は、上記した含有量の範囲内でかつ、炭素当量Ceqで0.40〜0.50を満足するように含有する。
Ceq:0.40〜0.50
炭素当量Ceqは、次(2)式
Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Mo/4+V/14 ……(2)
(ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V:各元素の含有量(質量%))
で定義される。なお、炭素当量Ceqを算出する際に、(2)式に記載された元素で含有しないものは、零として計算するものとする。
炭素当量Ceqが、0.40未満では、所望の母材強度を確保できないうえ、溶接熱影響部の軟化を所望の許容限度内に抑えることができない。一方、Ceqが、0.50を超えて高くなると、溶接性が低下するとともに、母材靭性、HAZ靭性が低下する。このため、Ceqは0.40〜0.50の範囲に限定した。
なお、上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
本発明厚鋼板は、表面から板厚方向に板厚t/25(mm)から板厚中央位置(1/2t位置)の範囲の組織が、面積率で10%以上50%以下のフェライト相と、残部がベイナイト相またはパーライト、あるいはそれらの混合相からなる組織を有する。
表面から板厚方向に板厚t/25(mm)から板厚中央位置(1/2t位置)の範囲にフェライト相を10%以上析出させ、軟化させることにより、曲げ加工性が顕著に向上する。フェライト相が10%未満では、所望の曲げ加工性の向上が期待できない。一方、フェライト相が50%を超えて多量になると、所望の高強度を維持することが難しくなる。このため、フェライト相は10%以上50%以下に限定した。なお、好ましくは15〜35%である。
なお、板厚t/25(mm)位置から板厚中央位置(1/2t位置)の範囲におけるフェライト相以外の残部は、ベイナイト相またはパーライト、あるいはそれらの混合相である。フェライト相以外の残部をベイナイト相またはパーライトとすることにより、所望の高強度と優れた曲げ加工性とを兼備させることができる。
なお、本発明では、表面から板厚t/25(mm)位置の範囲の組織の種類は、とくに限定する必要はないが、表面から板厚方向に1mmの位置におけるビッカース硬さHVが300HV以下となる組織とする。表面から板厚方向に1mmの位置におけるビッカース硬さHVが300HVを超えて高くなると、所望の優れた曲げ加工性を確保できない。このため、表面から板厚方向に1mmの位置におけるビッカース硬さHVは300HV以下に限定した。
本発明厚鋼板は、上記した組成、上記した組織を有し、降伏比:80%以下の低降伏比と、引張強さ:590〜740MPaの高強度を有する非調質低降伏比高張力厚鋼板である。
つぎに、本発明厚鋼板の好ましい製造方法について説明する。
本発明厚鋼板の製造方法は、鋼素材に、加熱工程と、熱間圧延工程と、冷却工程と、を順次施す非調質厚鋼板の製造方法である。
なお、鋼素材の製造方法については、とくに限定する必要はないが、上記した組成の溶鋼を転炉、電気炉等の常用の溶製方法で溶製し、連続鋳造法等の常用の鋳造方法で所定寸法の鋳片(鋼素材)とすることが好ましい。なお、鋳片にさらに熱間圧延を施して、所望の寸法形状の鋼片としてもよい。また、造塊−分塊圧延法により鋼片(鋼素材)としてもよいことはいうまでもない。
上記した組成の鋼素材に、加熱工程を施す。加熱工程では、鋼素材を加熱温度:1050〜1250℃に加熱する。
加熱温度:1050〜1250℃
加熱温度が1050℃未満では、焼入性が低下し、所望の高強度を確保することができない。一方、1250℃を超えて高温となると、結晶粒が粗大化し、靭性の低下を招く。このため、鋼素材の加熱温度は1050〜1250℃の範囲の温度に限定した。なお、好ましくは1080〜1150℃である。
ついで、加熱された鋼素材に、熱間圧延工程を施す。
熱間圧延工程は、加熱された鋼素材に、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、圧延終了温度が表面温度で900℃以下Ar変態点以上となる熱間圧延を施し厚鋼板とする工程とする。
熱間圧延の累積圧下量が、表面温度で950℃以下の温度域で30%未満では、圧下量が不足し、靭性が低下する。このため、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量は30%以上に限定した。なお、好ましくは35〜45%である。
また、圧延終了温度が、表面温度で900℃を超えると、圧延終了温度が高すぎて、組織が粗大化し、靭性が低下する。一方、圧延終了温度が、Ar変態点未満では、圧延中にフェライトが生成し、所望の高強度を確保できなくなる。
ついで、熱間圧延工程を経た厚鋼板に、冷却工程を施す。
冷却工程では、得られた厚鋼板にAr変態点以上の温度から、一次冷却と二次冷却からなる二段階の加速冷却を施す工程とする。
一次冷却では、表面温度でAr変態点以上の温度から、表面温度で80℃/s以下の平均冷却速度で、(Bs−250℃)以下(Bs−450℃)以上の冷却停止温度まで冷却する。Bs温度は、次(3)式
Bs(℃)=830−270×C−90×Mn−37×Ni−70×Cr−83×Mo ……(3)
ここで、C、Mn、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%)
で定義される。なお、(3)式によりBs温度を計算する際には、(3)式に記載の合金元素を含有しない場合には、当該合金元素の含有量を零として算出するものとする。また、Ar変態点は、次式
Ar変態点=900−322×C+6×Si−77×Mn+18×Cr+68×Mo
(ここで、C、Mn、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%))
で算出するものとする。
一次冷却の平均冷却速度が、表面温度で80℃/s以下とすることにより、鋼板表層から内部にかけての冷却速度が低減され、鋼板表面から板厚方向にt/25mmから板厚中央位置までの領域において、軟質相であるフェライト相を面積率で10%以上生成することが可能となり、曲げ加工性が向上する。一方、一次冷却の平均冷却速度が、表面温度で80℃/sを超えると、冷却速度が速くなりすぎて、とくに表層近傍でマルテンサイト相が形成されやすく、所望の組織の形成が困難となり、曲げ加工性が低下する。このため、一次冷却の平均冷却速度は表面温度で、80℃/s以下に限定した。なお、好ましくは10℃/s以上、より好ましくは20〜70℃/sである。
また、一次冷却の冷却停止温度を、表面温度で(Bs−250℃)〜(Bs−450℃)の範囲の温度とすることにより、表面から板厚方向に1mmの位置におけるマルテンサイト相の生成を抑制でき、表面から板厚方向に1mmの位置のビッカース硬さをHV300以下とすることができる。また、一次冷却の冷却停止温度を、表面温度で(Bs−250℃)〜(Bs−450℃)の範囲の温度とすることにより、さらに表面から板厚方向にt/25mmから板厚中央位置(t/2mm)の範囲の組織を面積率で10%以上のフェライト相と、残部ベイナイト相またはパーライトからなる組織に調整することが可能となり、高強度と優れた曲げ加工性を兼備した厚鋼板とすることができる。一次冷却の冷却停止温度が、表面温度で(Bs−250℃)を超えて高温となると、その後の冷却により、表面から板厚方向に1mmの位置の未変態オーステナイト相がマルテンサイトに変態するため、その位置(表面から板厚方向に1mmの位置)の硬さをHV300以下とすることができなくなる。一方、一次冷却の冷却停止温度が、表面温度で(Bs−450℃)未満となると、表面から板厚方向にt/25mmから内側の領域の組織が硬質化し、面積率で10%以上のフェライト相を含む組織とすることができなくなる。このため、一次冷却の冷却停止温度は表面温度で(Bs−250℃)〜(Bs−450℃)の範囲の温度に限定した。なお、好ましくは(Bs−300℃)〜(Bs−400℃)℃である。
一次冷却を停止したのち、表面温度が300℃以上Ac変態点以下の温度となるまで、復熱させる。復熱で表面温度がAc変態点を超えると、復熱により再度、オーステナイト相が生成し、その後の冷却で硬質なマルテンサイト相が生成し、とりわけ鋼板表面下1mmの位置のビッカース硬さが上昇し、曲げ加工性が低下する。一方、復熱時の表面温度が300℃未満では、鋼板表面下1mmのビッカース硬さをHV300以下とすることができにくくなる。このため、一次冷却停止後に、表面温度で300℃以上Ac変態点以下の温度となるように復熱させることとした。なお、Ac変態点は次式
Ac変態点=750.8−26.6×C+17.6×Si−11.6×Mn+24.1×Cr+22.5×Mo−39.7×V−5.7×Ti+232.4×Nb−169.4×Al
(ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V、Ti、Nb、Al:各元素の含有量(質量%))
で算出するものとする。
復熱で、表面温度が300℃以上Ac変態点以下の温度となったのち、ついで二次冷却を施す。
二次冷却では、平均冷却速度はとくに限定する必要はないが、表面温度で500℃以下の冷却停止温度まで冷却する。二次冷却の冷却停止温度が表面温度で500℃を超えて高温となると、所望の高強度を確保できにくくなる。このため、二次冷却の冷却停止温度は500℃以下の温度に限定した。なお、好ましくは450℃以下である。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
表1に示す組成の鋼素材を、表2に示す加熱温度に加熱する加熱工程と、表2に示す条件の熱間圧延を施す熱間圧延工程と、表2に示す条件の加速冷却を施す冷却工程と、を順次施し、表2に示す板厚の非調質厚鋼板とした。
得られた各厚鋼板から、試験片を採取し、組織観察、引張試験、曲げ試験、硬さ試験を実施した。試験方法は次のとおりである。
(1)組織観察
得られた厚鋼板から、観察面が圧延方向に垂直な断面(板厚方向断面)となるように組織観察用試験片を採取し、鏡面となるまで研磨した後、腐食液(硝酸メタノール溶液)で腐食し、光学顕微鏡(倍率:400倍)を用いて、鋼板表面から板厚方向に板厚中央位置まで観察し、画面が連続するように撮像した。得られた組織写真を用い、画像解析により、相の同定、および組織分率を算出した。なお、代表組織として、板厚t/25位置および板厚中央位置における組織を示す。
(2)引張特性
得られた厚鋼板の板厚1/4t位置から、引張方向が圧延方向に対して90°方向(C方向)となるように、JIS 4号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠してクロスヘッド速度10mm/minで引張試験をおこない、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS)を測定した。なお、引張特性から、降伏比YR(=YS/TS×100%)を算出した。
(3)曲げ試験
得られた厚鋼板から、曲げ試験片(大きさ:幅50mm×長さ500mm)を採取し、図1に示す要領で90°曲げ試験を実施し、必要とした荷重Pe(kN)を求めた。得られた荷重Peと、厚鋼板の引張強さTS(実測値)から、次式
Pc=1.6×鋼板TS(MPa)×W×t2×1/L×1/1000
(ここで、W:曲げ試験片幅(=50mm)、t:板厚(mm)、L:支点距離(=400mm))
を用いて算出した90°曲げに必要な必要荷重Pc(kN)を求め、Pe/Pcで曲げ加工性を評価した。なお、Pe/Pcが0.9以下である場合を曲げ加工性に優れると評価した。
(4)硬さ試験
得られた厚鋼板から、硬さ試験片を採取し、表面から板厚方向に1mmの位置で、ビッカース硬度計(荷重:98.07N)を用いて、ビッカース硬さHVを測定した。なお、硬さ測定は、1mm間隔で5点以上測定した。
得られた結果を表3に示す。
Figure 0006314921
Figure 0006314921
Figure 0006314921
本発明例はいずれも、所望の組織を有し、鋼板表層の硬さが低く、80%以下の低降伏比で、所望の高強度(TS:590〜740MPa)を有し、かつ鋼板表層の硬さが300HV以下と低く、Pe/Pcが0.9以下で曲げ加工性に優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板となっている。一方、本発明の範囲から外れる比較例は、所望の高強度が得られていないか、表層の硬さが高いため、あるいは所望の組織が得られていないため、曲げ加工性が低下している。
1 曲げ試験片
2 押金具
3 支持金具

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C :0.05〜0.10%、 Si:0.01〜0.45%
    Mn:0.6〜1.8%、 P :0.020%以下
    S :0.003%以下、 Al:0.05%以下
    Ti:0.005〜0.020%、 N :0.0040%以下
    Mo:0.20〜0.60%、 Nb:0.005〜0.030%、
    V :0.001〜0.070%、 Cr:0.15%以下
    を含み、Ti、Nが下記(1)式を満足し、かつ下記(2)式で定義される炭素当量Ceqが0.40〜0.50を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
    板厚をt(mm)としたときの、表面から板厚方向にt/25(mm)から板厚中央位置(1/2t位置)の範囲の組織が、面積率が10%以上50%以下のフェライト相と、残部がベイナイト相またはパーライト、あるいはそれらの混合相からなる組織であり、
    表面から板厚方向に1mmの位置におけるビッカース硬さHVが300HV以下で、
    引張強さ:590MPa以上740MPa以下、降伏比:80%以下である引張特性を有することを特徴とする曲げ加工性に優れた低降伏比高張力厚鋼板。

    4.0≧Ti/N≧2.0 ……(1)
    ここで、Ti、N:各元素の含有量(質量%)
    Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Mo/4+V/14 ……(2)
    ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V:各元素の含有量(質量%)
  2. 鋼素材に、加熱工程と、熱間圧延工程と、冷却工程と、を順次施し厚鋼板とする非調質厚鋼板の製造方法であって、前記鋼素材が、質量%で、
    C :0.05〜0.10%、 Si:0.01〜0.45%
    Mn:0.6〜1.8%、 P :0.020%以下
    S :0.003%以下、 Al:0.05%以下
    Ti:0.005〜0.020%、 N :0.0040%以下
    Mo:0.20〜0.60%、 Nb:0.005〜0.030%、
    V :0.001〜0.070%、 Cr:0.15%以下
    を含み、Ti、Nが下記(1)式を満足し、かつ下記(2)式で定義される炭素当量Ceqが0.40〜0.50を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する鋼素材であり、
    前記加熱工程が、前記鋼素材を加熱温度:1050〜1250℃に加熱する工程であり、
    前記熱間圧延工程が、前記加熱された鋼素材に、表面温度で950℃以下の温度域での累積圧下量が30%以上で、圧延終了温度が表面温度で900℃以下Ar変態点以上となる熱間圧延を施し厚鋼板とする工程であり、
    前記冷却工程が、前記熱間圧延工程を経て得られた前記厚鋼板にAr変態点以上の温度から、表面温度で80℃/s以下の平均冷却速度で、下記(3)式で定義されるBs温度を基準とし(Bs−250℃)以下(Bs−450℃)以上の冷却停止温度まで冷却し、該冷却を停止し、復熱で表面温度が300℃以上Ac変態点以下の温度とする一次冷却と、該一次冷却後、表面温度で500℃以下の冷却停止温度まで冷却する二次冷却と、からなる二段階の加速冷却を施す工程であり、
    前記厚鋼板が、板厚をt(mm)としたときの、表面から板厚方向にt/25(mm)から板厚中央位置(1/2t位置)の範囲の組織が、面積率が10%以上50%以下のフェライト相と、残部がベイナイト相またはパーライト、あるいはそれらの混合相からなる組織を有し、かつ表面から板厚方向に1mmの位置におけるビッカース硬さHVが300HV以下で、かつ引張強さ:590MPa以上740MPa以下、降伏比:80%以下である引張特性を有することを特徴とする曲げ加工性に優れた低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。

    4.0≧Ti/N≧2.0 ……(1)
    ここで、Ti、N:各元素の含有量(質量%)
    Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Mo/4+V/14 ……(2)
    ここで、C、Si、Mn、Cr、Mo、V:各元素の含有量(質量%)
    Bs(℃)=830−270×C−90×Mn−37×Ni−70×Cr−83×Mo ……(3)
    ここで、C、Mn、Ni、Cr、Mo:各元素の含有量(質量%)
  3. 前記冷却工程を施したのち、さらに、焼戻温度:400℃以上700℃以下の温度で焼戻処理を行う焼戻工程を施すことを特徴とする請求項2に記載の低降伏比高張力厚鋼板の製造方法。
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