JP6314661B2 - 印刷装置、及び、印刷装置のヘッドユニットに対する電力伝送方法 - Google Patents

印刷装置、及び、印刷装置のヘッドユニットに対する電力伝送方法 Download PDF

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Description

本発明は、印刷装置、及び、印刷装置のヘッドユニットに対する電力伝送方法に関する。
一般的に、インクジェットプリンター等の印刷装置は、インクを吐出する吐出部を具備する記録ヘッドと、吐出部を駆動するヘッド駆動回路と、を含むヘッドユニットが、印刷装置の筐体に対して移動可能なキャリッジに搭載された構成を有する。このような印刷装置では、キャリッジに搭載されたヘッドユニットに電力を供給するために、印刷装置のキャリッジの外部に設けられた電源と、キャリッジとの間を、物理的な配線により物理的に接続する構成とすることが一般的である。具体的には、FFC(Flexible Flat Cable)をヘッドユニットへの給電用の配線として用いる構成や、または、キャリッジを移動させるためにキャリッジに接続されたタイミングベルトをヘッドユニットへの給電用の配線として用いる構成が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2011−46118号公報
ところで、印刷装置が印刷を実行する場合、筐体に対してキャリッジが移動する。このため、FFCやタイミングベルト等の物理的な配線を用いてキャリッジに電力を供給する場合には、印刷を実行するときに当該物理的な配線も移動する(位置を変化させる)。
印刷装置の筐体の内部で移動する配線が存在する場合、移動している配線が、筐体の内部に設けられた印刷装置の構成要素に接触することがある。このため、筐体の内部で移動する配線が存在する場合、移動している配線と印刷装置の構成要素との接触に起因する故障が発生することがある。また、ヘッドユニットは大きな電力を必要とするため、大きな電力を供給する配線が筐体の内部で移動する場合には、当該配線からノイズが生じ、当該ノイズが印刷装置の各部に伝播することがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、キャリッジの移動に伴って移動する配線を用いることなく、キャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して安定的に電力を供給する技術を提供することである。
以上の課題を解決するために、本発明に係る印刷装置は、筐体と、前記筐体に対して移動可能なキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、液体を吐出する吐出部を備えるヘッドユニットと、供給された電力の少なくとも一部を、非接触電力伝送方式である第1電力伝送方式により前記ヘッドユニットに伝送する第1電力伝送部と、供給された電力の少なくとも一部を、前記第1電力伝送方式とは異なる方式の非接触電力伝送方式である第2電力伝送方式により前記ヘッドユニットに伝送する第2電力伝送部と、前記筐体に設けられ、前記第1電力伝送部及び前記第2電力伝送部に電力を供給可能な電力供給部と、を備える、ことを特徴とする。
この発明によれば、キャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して、非接触電力伝送方式により非接触(ワイヤレス)で電力を伝送する。このため、ヘッドユニットに対して物理的な配線により電力を伝送する場合に生じるような、配線との接触に起因する故障の発生を抑制することができる。また、この発明によれば、ヘッドユニットに対して非接触で電力を伝送するため、キャリッジの移動に伴い移動する物理的な配線を用いて電力を伝送する場合と比較して、電力の伝送に伴い生じるノイズを低減することが可能となる。
ところで、非接触電力伝送方式による電力の伝送においては、物理的な配線を用いた電力を伝送の場合と比較して、電力の伝送効率の変動が大きくなる可能性が高い。これに対して、この発明では、互いに異なる2つの非接触電力伝送方式により電力を伝送するため、電力の伝送効率の変動の程度を小さく抑えることが可能となり、また、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
また、上述した印刷装置において、前記第1電力伝送方式は電界共鳴方式である、ことを特徴としてもよい。
この態様によれば、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
また、上述した印刷装置において、前記第2電力伝送方式は磁界共鳴方式である、ことを特徴としてもよい。
この態様によれば、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
また、上述した印刷装置において、前記第1電力伝送部は、前記筐体に設けられた導電体である第1導電体と、前記キャリッジに搭載された導電体である第2導電体と、を備え、前記第1導電体と前記第2導電体とで形成される結合容量を介して、前記電力供給部から供給された電力を前記ヘッドユニットに伝送し、前記第2電力伝送部は、前記筐体に設けられた導電体である第3導電体と、前記キャリッジに搭載された導電体である第4導電体と、を備え、前記第3導電体と前記第4導電体とによる電磁結合を介して、前記電力供給部から供給された電力を前記ヘッドユニットに伝送する、ことを特徴としてもよい。
この態様によれば、互いに異なる2つの非接触電力伝送方式により電力を伝送するため、電力の伝送効率の変動の程度を小さく抑えることが可能となり、また、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
また、上述した印刷装置は、前記第1導電体と前記第2導電体との距離に基づいて、前記電力供給部が前記第1電力送電部に供給する電力の大きさと、前記電力供給部が前記第2電力送電部に供給する電力の大きさと、を制御する制御部を備える、ことを特徴としてもよい。
結合容量を介して電力を伝送する場合、結合容量を形成する2つの導電体の距離が短くなるにつれて電力の伝送効率が向上する。
この態様によれば、第1電力伝送部が備える結合容量を形成する2つの導電体の距離が短い場合に、第1電力伝送部により伝送する電力を大きくすることができるため、第1電力伝送部及び第2電力伝送部が全体として、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
なお、上述した印刷装置は、例えば、前記電力供給部が前記第1電力伝送部及び前記第2電力伝送部に対して供給する電力の大きさを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1導電体と前記第2導電体との距離が所定距離よりも短い場合、前記電力供給部から前記第1電力送電部に供給される電力が、前記電力供給部から前記第2電力送電部に供給される電力よりも大きくなるように、前記電力供給部が供給する電力の大きさを制御する、ことを特徴としてもよい。
また、上述した印刷装置は、前記筐体の内部の湿度を検出する検出部と、前記検出部が検出した湿度に基づいて、前記電力供給部が前記第1電力送電部に供給する電力の大きさと、前記電力供給部が前記第2電力送電部に供給する電力の大きさと、を制御する制御部と、を備える、ことを特徴としてもよい。
結合容量を介して電力を伝送する場合、結合容量を形成する2つの導電体の間の空間における湿度が高くなるにつれて、当該結合容量の容量値が大きくなり、電力の伝送効率が向上する。
この態様によれば、第1電力伝送部が備える結合容量を形成する2つの導電体の間の空間における湿度が高くなる場合、第1電力伝送部により伝送する電力を大きくすることができるため、第1電力伝送部及び第2電力伝送部が全体として、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
なお、上述した印刷装置は、例えば、前記筐体の内部の湿度を検出する検出部と、前記電力供給部が前記第1電力伝送部及び前記第2電力伝送部に対して供給する電力の大きさを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部が検出した湿度が所定の湿度よりも高い場合、前記電力供給部から前記第1電力送電部に供給される電力が、前記電力供給部から前記第2電力送電部に供給される電力よりも大きくなるように、前記電力供給部が供給する電力の大きさを制御する、ことを特徴としてもよい。
また、本発明に係る電力伝送方法は、筐体と、前記筐体に対して移動可能なキャリッジと、前記キャリッジに搭載され、液体を吐出する吐出部を備えるヘッドユニットと、前記筐体に設けられた電力供給部と、を備える印刷装置の前記ヘッドユニットに対する電力伝送方法であって、前記電力供給部が供給する電力の少なくとも一部を、非接触電力伝送方式である第1電力伝送方式により前記ヘッドユニットに伝送し、前記電力供給部が供給する電力の少なくとも一部を、前記第1電力伝送方式とは異なる方式の非接触電力伝送方式である第2電力伝送方式により前記ヘッドユニットに伝送する、ことを特徴とする。
この発明によれば、キャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して、非接触電力伝送方式により非接触(ワイヤレス)で電力を伝送するため、ヘッドユニットに対して物理的な配線により電力を伝送する場合に生じるような配線との接触に起因する故障の発生を抑制し、また、キャリッジの移動に伴い移動する物理的な配線を用いて電力を伝送する場合と比較して電力の伝送に伴い生じるノイズを低減することが可能となる。
また、この発明では、互いに異なる2つの非接触電力伝送方式により電力を伝送するため、電力の伝送効率の変動の程度を小さく抑えることが可能となり、また、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
本発明の実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成を示すブロック図である。 インクジェットプリンター1の構成の概要を示す斜視図である。 インクジェットプリンター1の概略的な部分断面図である。 記録ヘッド51の概略的な部分断面図である。 記録ヘッド51におけるノズルNの配置を示す平面図である。 送電部の給電経路及び放電経路について説明するための説明図である。 送電部2の等価回路図である。 送電部2の動作を説明するための説明図である。 送電部2の動作を説明するための説明図である。 送電部2の動作を説明するための説明図である。 送電部2の動作を説明するための説明図である。 送電部2の動作を説明するための説明図である。 キャリッジ101の位置と送電部2との関係を説明するための説明図である。 送電部3の等価回路図である。 ヘッドユニット50の構成を示すブロック図である。 原駆動信号ODRV、印刷信号PRT、駆動信号DRVを説明するための説明図である。 供給電力情報テーブルTBLのデータ構造の一例を示す説明図である。 本発明の変形例2に係る送電部を説明するための説明図である。 本発明の変形例2に係る送電部を説明するための説明図である。
本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<1.インクジェットプリンターの構成>
本実施形態では、印刷装置として、インク(「液体」の一例)を吐出して記録媒体Pに画像を形成するインクジェットプリンター1を例示して説明する。
以下、図1乃至図3を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成について説明する。図1は、インクジェットプリンター1の機能を示す機能ブロック図であり、図2は、インクジェットプリンター1の内部構成の概略を示す斜視図であり、図3は、インクジェットプリンター1の内部構成の概略を示す断面図である。
図2及び図3に示すように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各構成要素を収容する筐体100と、筐体100に対して+Y方向及び−Y方向(「主走査方向」の一例)に往復動する移動体5と、を備える。
図2に示すように、移動体5は、キャリッジ101と、キャリッジ101に搭載されたヘッドユニット50と、キャリッジ101に搭載された4個のインクカートリッジ102と、を含む。
4個のインクカートリッジ102は、イエロー(Yl)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、及び、ブラック(Bk)の4つの色と1対1に対応して設けられたものであり、各インクカートリッジ102には、当該インクカートリッジ102に対応する色のインクが充填されている。
図1に示すように、ヘッドユニット50は、4M個の吐出部Dを具備する記録ヘッド51と、4M個の吐出部Dを駆動するための駆動信号DRV(1)、DRV(2)、…、DRV(4M)を生成するヘッド駆動回路52と、を備える(Mは、1以上の自然数)。
なお、ヘッド駆動回路52は、駆動信号DRV(1)、DRV(2)、…、DRV(4M)を、4M個の吐出部Dと1対1に対応して生成する。4M個の吐出部Dのうちm番目の吐出部Dは、駆動信号DRV(1)、DRV(2)、…、DRV(4M)のうち、m番目の吐出部Dに対応する駆動信号DRV(m)により駆動される(mは、1≦m≦4Mを満たす自然数)。
以下において、駆動信号DRV(1)、DRV(2)、…、DRV(4M)の各々を「駆動信号DRV」と総称する場合がある。
4M個の吐出部Dは、M個ずつ4つのグループに分けられている。当該4つのグループは、4個のインクカートリッジ102と1対1に対応する。各吐出部Dは、4個のインクカートリッジ102のうち、当該吐出部Dが属するグループに対応するインクカートリッジ102からインクの供給を受ける。そして、各吐出部Dは、対応するインクカートリッジ102から供給されたインクを内部に充填し、ヘッド駆動回路52から供給される駆動信号DRVに基づいて、充填したインクを当該吐出部DのノズルNから吐出することができる。このため、4M個の吐出部Dから全体として4色のインクを吐出することができ、インクジェットプリンター1によるフルカラー印刷が可能となる。
以下では、インクジェットプリンター1の構成要素のうち、キャリッジ101に搭載された構成要素(つまり、移動体5からキャリッジ101を除いた構成要素)を、「搭載物EB」と総称する場合がある(図1参照)。
また、インクジェットプリンター1の構成要素のうち、移動体5を除く構成要素を、「非搭載物」と総称する場合がある。非搭載物は、キャリッジ101の外側に設けられた構成要素であり、移動体5が往復動する場合であっても筐体100に対して移動しない構成要素である。以下では、インクジェットプリンター1の構成要素について、キャリッジ101の外側に設けられ(非搭載物であり)、且つ、移動体5が往復動する場合であっても筐体100に対して移動しないように設けられることを、「筐体100に設けられる」と表現することがある。
なお、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、4色のインクに対応する4個のインクカートリッジ102を備えるが、これは一例に過ぎず、1色以上のインクに対応する1個以上のインクカートリッジ102を備えるものであればよい。この場合、記録ヘッド51は、1個以上のインクカートリッジ102に1対1に対応する1個以上のグループに区分された複数の吐出部Dを備えればよい。
また、本実施形態において、各インクカートリッジ102は、キャリッジ101に搭載される搭載物EBであるが、キャリッジ101の外部に設けられる非搭載物であってもよい。
また、図1及び図2に示すように、インクジェットプリンター1は、移動体5を、+Y方向及び−Y方向に移動(往復動)させる移動機構4を備える。
移動機構4は、移動体5を往復動させる駆動源となるキャリッジモーター41と、両端が筐体100に固定されたキャリッジガイド軸44と、キャリッジガイド軸44と平行に延在してキャリッジモーター41により駆動されるタイミングベルト42と、キャリッジモーター41を駆動するためのキャリッジモータードライバー43と、を有している。
図2に示すように、移動体5のキャリッジ101は、移動機構4のキャリッジガイド軸44に往復動自在に支持されている。また、キャリッジ101に固定された固定具101a(図6参照)は、タイミングベルト42の所定箇所(例えば、図6に示すように、タイミングベルト42の端部)に固定されている。
図1(または、後述する図6)に示すように、タイミングベルト42は、キャリッジモーター41により回転駆動されるプーリー421と、回転自在なプーリー422とに掛けられ(掛け渡され)ている。そして、キャリッジモーター41がプーリー421を回転駆動すると、プーリー421の回転に連動してタイミングベルト42が正逆走行する。具体的には、プーリー421が回転駆動されると、タイミングベルト42のうちプーリー421及び422よりも上側(+Z方向)の部分が、+Y方向及び−Y方向のうち一方に移動し、タイミングベルト42のうちプーリー421及び422よりも下側(−Z方向)の部分が、+Y方向及び−Y方向のうち他方に移動する。このため、キャリッジモーター41がプーリー421を回転駆動することで、タイミングベルト42の端部(タイミングベルト42のうちキャリッジ101の固定具101aに固定された部分)が+Y方向または−Y方向に移動し、これに伴い、キャリッジ101が、キャリッジガイド軸44に案内されて、+Y方向及び−Y方向に往復動する。
図1乃至図3に示すように、インクジェットプリンター1は、記録媒体Pを供給・排出するための給紙機構7を備える。
給紙機構7は、その駆動源となる給紙モーター71と、給紙モーター71を駆動するための給紙モータードライバー73と、記録媒体Pを設置するトレイ77と、記録媒体Pを排出する排紙口(図示省略)と、記録ヘッド51の下側(−Z側)に設けられるプラテン74と、給紙モーター71の作動により回転して記録媒体Pを1枚ずつプラテン74上に給紙するための給紙ローラ72及び75と、給紙モーター71の作動により回転してプラテン74上の記録媒体Pを排紙口へと搬送する排紙ローラ76と、を備える。
給紙機構7は、記録媒体Pを図において+X方向に搬送することができる。以下、給紙機構7により記録媒体Pが搬送される経路を、「搬送経路」と称する
インクジェットプリンター1は、給紙機構7により記録媒体Pをプラテン74上に搬送したタイミングで、吐出部Dから当該記録媒体Pに対してインクを吐出させることで、記録媒体P上に画像を形成する印刷を行うことができる。
図1に示すように、インクジェットプリンター1は、位置検出器83を備える。位置検出器83は、キャリッジ101のY軸方向の位置を検出するためのリニアエンコーダと、記録媒体PのX軸方向の位置を検出するためのロータリーエンコーダと、を含む。
リニアエンコーダは、筐体100に固定され、主走査方向において所定の間隔でストライプ状の模様が印刷されたスケール831(図2参照)と、キャリッジ101においてスケールに向かい合う位置に配置された一対の発光素子及び受光素子からなるフォトインタラプタ(図示省略)と、を含む。リニアエンコーダは、キャリッジ101のY軸方向における移動量を検出し、検出結果を出力する。
ロータリーエンコーダは、図3に示すように、給紙ローラ72及び排紙ローラ76の回転方向において所定の角度でストライプ状の模様が印刷されたスケール832と、スケールに向かい合う位置に配置された一対の発光素子及び受光素子からなるフォトインタラプタ833と、を含む。ロータリーエンコーダは、給紙ローラ及び排紙ローラの回転量を検出し、検出結果を出力する。
図1に示すように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御する制御部6と、各種情報を記憶する記憶部62と、インクジェットプリンター1の各部に電力を供給する電源ユニット10(「電力供給部」の一例)と、電源ユニット10から供給された電力をヘッドユニット50に伝送するための送電部2及び送電部3と、筐体100の内部の湿度Hを検出する湿度計85(「検出部」の一例)と、筐体100の内部の温度を検出する温度計86と、エラーメッセージ等を表示する表示部や各種スイッチ等で構成される操作部等からなる操作パネル84と、を備える。
送電部2は、非接触電力伝送方式である第1電力伝送方式により電力を伝送する第1電力伝送部の一例であり、送電部3は、第1電力伝送方式とは異なる非接触電力伝送方式である第2電力伝送方式により電力を伝送する第2電力伝送部の一例である。以下では、送電部2及び送電部3を、「送電部」と総称し、また、第1電力伝送部及び第2電力伝送部を「電力伝送部」と総称する場合がある。
なお、本実施形態において、湿度計85が検出する湿度Hは相対湿度である。つまり、湿度Hは、筐体100内部の温度において大気が含むことのできる水蒸気の最大量である飽和水蒸気量に対する、筐体100内部に実際に存在する水蒸気量の比率(%)である。
第1電力供給方式、及び、第2電力供給方式については後述する。
記憶部62は、ホストコンピューター9から図示省略したインタフェース部を介して供給される画像データImgをデータ格納領域に一時的に格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)と、印刷処理等の各種処理を実行する際に必要なデータを一時的に格納し、あるいは印刷処理等の各種処理を実行するための制御プログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)と、インクジェットプリンター1の各部を制御するための制御プログラムや、後述する供給電力情報テーブルTBL等を格納する、不揮発性半導体メモリーの一種であるPROMと、を備える。
制御部6は、パーソナルコンピューターやデジタルカメラ等のホストコンピューター9から図示省略したインタフェース部を介して供給される画像データImgを、記憶部62に記憶させる。そして、制御部6は、記憶部62に記憶させた画像データImgに基づいて、ヘッドユニット50、移動機構4、及び、給紙機構7等の動作を制御することにより、記録媒体Pに画像データImgに応じた画像を形成する印刷処理を実行する。
具体的には、制御部6は、画像データImgに基づいて、ヘッド駆動回路52の動作を制御して各吐出部Dを駆動させるための制御信号CtrHを生成する。そして、制御部6は、キャリッジ101の外側に設けられた非搭載物である無線インタフェース81と、キャリッジ101に搭載された搭載物EBである無線インタフェース82との間の無線通信により、制御信号CtrHをヘッドユニット50に供給する。これにより、制御部6は、ヘッド駆動回路52の動作の制御を介して、各吐出部Dからのインクの吐出の有無と、インクを吐出する場合におけるインクの吐出量及び吐出タイミングと、を制御する。
また、制御部6は、位置検出器83のリニアエンコーダが検出するキャリッジ101の主走査方向の移動量に基づいて、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycを算出し、位置検出器83のロータリーエンコーダが検出する給紙ローラ72等の回転量に基づいて、搬送系路上における記録媒体PのX軸方向における位置を算出する。そして、制御部6は、算出したキャリッジ101のY軸方向の位置Yc、及び、記録媒体PのX軸方向の位置等に基づいて、キャリッジモータードライバー43の動作を制御するための制御信号、及び、給紙モータードライバー73の動作を制御するための制御信号を生成し、これら生成した各種制御信号を出力する。これにより、制御部6は、キャリッジモータードライバー43の動作の制御を介して、記録媒体Pを一枚ずつ副走査方向(+X方向)に間欠送りするようにキャリッジモーター41を駆動させ、また、給紙モータードライバー73の動作の制御を介して、キャリッジ101を主走査方向(+Y方向及び−Y方向)に往復動させるように給紙モーター71を駆動させる。
このように、制御部6は、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御することにより、記録媒体Pを搬送しつつ、記録媒体P上に吐出されたインクにより形成されるドットサイズ及びドット配置を調整して、画像データImgに対応する画像を記録媒体Pに形成する印刷処理を実行する。
電源ユニット10は、キャリッジ101の外側に設けられた非搭載物であり、送電部2及び送電部3の少なくとも一方を介して、ヘッドユニット50等の搭載物EBに対して電力を供給する。
電力は電圧と電流との積で算出されるところ、負荷に対して電力を伝送するには、電力を発生する電力源から負荷に向かって電流を流し込む給電経路と、負荷から電力源へ戻りの電流が流れる放電経路と、が必要となる。即ち、一般的に、電力源は、給電経路及び放電経路を介して負荷に電気的に接続され、給電経路及び放電経路の間に電源電圧を印加する。
本実施形態に係る電源ユニット10は、電気コード等を介して家庭用ACコンセント等に接続され、交流電圧を発生する。そして、電源ユニット10は、送電部2及び送電部3のそれぞれの給電経路に給電用の電源信号を供給し、送電部2及び送電部3のそれぞれの放電経路に放電用の電源信号を供給することで、送電部2及び送電部3のそれぞれの給電経路及び放電経路の間に、給電用の電源信号と放電用の電源信号の電位差として与えられる電源電圧を印加する。
より具体的には、電源ユニット10は、送電部2の給電経路及び放電経路の間に電源電圧VsCを印加し(図7参照)、送電部3の給電経路及び放電経路の間に電源電圧VsLを印加する(図14参照)。
なお、本実施形態において、「電力を供給する」には、給電経路及び放電経路の少なくとも一方に電源信号を供給することで、給電経路及び放電経路の間に電源電圧を印加することを含む。
詳細は後述するが、電源ユニット10が出力する給電用の電源信号の電位及び放電用の電源信号の電位、つまり、電源ユニット10が印加する電源電圧の大きさは、制御部6から供給される制御信号CtrPに基づいて決定される。
なお、インクジェットプリンター1は、電源ユニット10の他に、家庭用ACコンセント等に接続されたDC電源(図示省略)を備える。非搭載物に対しては、当該DC電源から電力が供給される。
図1に示すように、送電部2は、非搭載物としてキャリッジ101の外側に設けられた送電回路21と、搭載物EBとしてキャリッジ101に搭載された受電回路22と、ワイヤレス伝送部20と、を備える。
ワイヤレス伝送部20は、非搭載物としてキャリッジ101の外側に設けられた平板PL1及び平板PL3と、搭載物EBとしてキャリッジ101に搭載された平板PL2及び平板PL4と、を含む。平板PL1〜PL4は、金属その他の導電性材料により形成されている。
本実施形態では、図3に示すように、平板PL1は、プラテン74等の搬送経路を挟んで平板PL2の反対側に設けられ、平板PL3は、搬送経路を挟んで平板PL4の反対側に設けられる。また、本実施形態では、平板PL1〜PL4は、上側(+Z方向)から見たときに、平板PL1の少なくとも一部と平板PL2の少なくとも一部とが重なり合い、平板PL3の少なくとも一部と平板PL4の少なくとも一部とが重なり合うように、配置される。
ここで、平板PL1及び平板PL3の各々は、「第1導電体」の一例であり、平板PL2及び平板PL4の各々は、「第2導電体」の一例である。送電部2の詳細については後述する。
図1に示すように、送電部3は、非搭載物としてキャリッジ101の外側に設けられた送電回路31と、搭載物EBとしてキャリッジ101に搭載された受電回路32と、を備える。送電回路31は、コイルL1を含み、受電回路32は、コイルL2を含む。
本実施形態では、コイルL1及びL2は、+X方向または−X方向から見たときに、コイルL1の少なくとも一部とコイルL2の全部とが重なり合うように配置される。より具体的には、本実施形態では、図3に示すように、コイルL1は、筐体100のうち、キャリッジ101から見て−X方向の位置に設けられ、コイルL2は、キャリッジ101のうち、コイルL1から見て+X方向の位置に設けられる。ここで、コイルL1は「第3導電体」の一例であり、コイルL2は「第4導電体」の一例である。送電部3の詳細については後述する。
制御部6は、印刷処理の他に、電源ユニット10が供給する電力の大きさ(印加する電圧の大きさ)を制御するための供給電力調整処理を実行する。
具体的には、制御部6は、湿度計85が検出するキャリッジ101内の湿度Hと、温度計86が検出するキャリッジ101内の温度と、位置検出器83の検出結果に基づいて算出したキャリッジ101の主走査方向の位置Ycと、に基づいて、送電部2の給電経路及び放電経路の間に印加する電源電圧VsCの大きさ(または、電源ユニット10が送電部2に対して供給する電力の大きさ)と、送電部3の給電経路及び放電経路の間に印加する電源電圧VsLの大きさ(または、電源ユニット10が送電部3に対して供給する電力の大きさ)と、を決定する。そして、制御部6は、当該決定結果に基づいて、電源電圧VsCの大きさと、電源電圧VsLの大きさと、を指定する制御信号CtrPを生成し、生成した制御信号CtrPを電源ユニット10に対して供給する。
電源ユニット10は、制御信号CtrPが供給されると、制御信号CtrPの指定する大きさの電源電圧VsCを、送電部2の給電経路及び放電経路の間に印加し、制御信号CtrPの指定する大きさの電源電圧VsLを、送電部3の給電経路及び放電経路の間に印加する。
なお、供給電力調整処理の詳細については後述する。
<2.記録ヘッドについて>
次に、図4及び図5を参照しつつ、記録ヘッド51と、記録ヘッド51に設けられる吐出部Dと、について説明する。
図4は、記録ヘッド51の概略的な一部断面図の一例である。なお、この図では、図示の都合上、記録ヘッド51のうち、4M個の吐出部Dの中の一の吐出部Dと、当該一の吐出部Dにインク供給口507を介して通連するリザーバ511と、インクカートリッジ102からリザーバ511にインクを供給するためのインク取り入れ口512と、を示している。
図4に示すように、吐出部Dは、圧電素子500と、内部にインクが充填されたキャビティ505(圧力室)と、キャビティ505に通連するノズルNと、振動板504と、を備える。吐出部Dは、圧電素子500が駆動信号DRVにより駆動されることにより、キャビティ505内のインクをノズルNから吐出させる。
吐出部Dのキャビティ505は、凹部を有するような所定の形状に成形されたキャビティプレート506と、ノズルNが形成されたノズルプレート513と、振動板504と、により区画される空間である。キャビティ505は、インク供給口507を介してリザーバ511と連通している。リザーバ511は、インク取り入れ口512を介してインクカートリッジ102と連通している。
本実施形態では、圧電素子500として、図4に示すようなユニモルフ(モノモルフ)型を採用する。圧電素子500は、下部電極501と、上部電極502と、下部電極501及び上部電極502の間に設けられた圧電体503と、を有する。そして、下部電極501に後述する基準電位VSSが供給され、上部電極502に駆動信号DRVが供給されることで、下部電極501及び上部電極502の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子500が図において上下方向に撓み、その結果、圧電素子500が振動する。
キャビティプレート506の上面開口部には、振動板504が設置され、この振動板504には、下部電極501が接合されている。このため、圧電素子500が駆動信号DRVにより振動すると、振動板504も振動する。そして、振動板504の振動によりキャビティ505の容積(キャビティ505内の圧力)が変化し、キャビティ505内に充填されたインクがノズルNより吐出される。
インクの吐出によりキャビティ505内のインクが減少した場合、リザーバ511からインクが供給される。また、リザーバ511へは、インクカートリッジ102からインク取り入れ口512を介してインクが供給される。
図5は、キャリッジ101を+Z方向または−Z方向から見たときの、記録ヘッド51が備える4M個のノズルNの配置と、平板PL2及び平板PL4の配置と、を説明するための説明図である。
4M個のノズルNは、キャリッジ101に設けられた記録ヘッド51において、4列のノズル列に整列された態様で配置されている。より具体的には、図5に示すように、記録ヘッド51には、ブラックのインクを吐出するM個の吐出部Dにそれぞれ対応するM個のノズルNからなるノズル列LBKと、シアンのインクを吐出するM個の吐出部Dにそれぞれ対応するM個のノズルNからなるノズル列LCyと、マゼンタのインクを吐出するM個の吐出部Dにそれぞれ対応するM個のノズルNからなるノズル列LMgと、イエローのインクを吐出するM個の吐出部Dにそれぞれ対応するM個のノズルNからなるノズル列LYlと、が設けられている。なお、各ノズル列において、ノズルN間のピッチPxは、印刷解像度(dpi:dot per inch)に応じて適宜設定され得る。
また、キャリッジ101において、記録ヘッド51の+X方向には、平板PL2がY軸方向に延在するように設けられ、記録ヘッド51の−X方向には、平板PL4がY軸方向に延在するように設けられている。
なお、本実施形態において、各ノズル列は、図5に示すように、複数のノズルNをX軸方向に一列に整列したものであるが、本発明はこのような態様のノズル列に限定するものではなく、例えば、各ノズル列を構成する複数のノズルNのうち偶数番目のノズルNと奇数番目のノズルNとのY軸方向の位置が異なる、所謂千鳥状に配列されたノズル列を有するものであってもよい。
<3.電力伝送部について>
次に、図6乃至図14を参照しつつ、第1電力伝送部の一例である送電部2、及び、第2電力伝送部の一例である送電部3について説明する。
<3.1.電力伝送部の概要>
図6は、送電部(送電部2、送電部3)の概要を示す説明図である。
図6に示すように、電源ユニット10は、給電経路211を介して送電回路21に電気的に接続されるとともに、放電経路221を介して送電回路21に電気的に接続される。そして、電源ユニット10は、制御信号CtrPに基づいて、給電経路211に給電用の電源信号を供給し、放電経路221に放電用の電源信号を供給することで、送電回路21に対して電源電圧VsCを印加する。
また、電源ユニット10は、給電経路311を介して送電回路31に電気的に接続されるとともに、放電経路321を介して送電回路31に電気的に接続される。そして、電源ユニット10は、制御信号CtrPに基づいて、給電経路311に給電用の電源信号を供給し、放電経路321に放電用の電源信号を供給することで、送電回路31に対して電源電圧VsLを印加する。
図6に示すように、送電回路21は、給電経路212を介して平板PL1に電気的に接続され、放電経路222を介して平板PL3に電気的に接続される。
平板PL1は、キャリッジ101が往復動した場合であっても+Z方向または−Z方向から見て平板PL1の少なくとも一部と平板PL2の少なくとも一部とが重なるように、且つ、平板PL2の下側(−Z方向)に位置するように設けられる。このため、平板PL1及び平板PL2は電界結合して結合容量CM1を形成する。
当該結合容量CM1は、送電部2の給電経路の一部を構成する。また、結合容量CM1の容量値は、キャリッジ101のY軸方向の位置Yc(平板PL2のY軸方向位置)により変化する。
平板PL3は、キャリッジ101が往復動した場合であっても+Z方向または−Z方向から見て平板PL3の少なくとも一部と平板PL4の少なくとも一部とが重なるように、且つ、平板PL4の下側(−Z方向)に位置するように設けられる。このため、平板PL3及び平板PL4は電界結合して結合容量CM2を形成する。
当該結合容量CM2は、送電部2の放電経路の一部を構成する。また、結合容量CM2の容量値は、キャリッジ101のY軸方向の位置Yc(平板PL4のY軸方向位置)により変化する。
なお、平板PL2及びPL4の位置と、結合容量CM1及びCM2の容量値との関係については、後述する。
平板PL2は、給電経路213を介して受電回路22に電気的に接続され、平板PL4は、放電経路223を介して受電回路22に電気的に接続される。
受電回路22は、給電経路214を介してヘッドユニット50に電気的に接続されるとともに、放電経路224を介してヘッドユニット50に電気的に接続される(図7参照)。
図6に示すように、本実施形態において、送電回路31のコイルL1は、キャリッジ101が往復動した場合であっても+X方向または−X方向から見てコイルL1の少なくとも一部とコイルL2の全部とが重なるように、コイルL2の−X方向に設けられる。コイルL1及びL2は、電磁的に結合することができる。送電部3は、当該コイルL1及びL2の電磁結合MIにより、コイルL1を具備する送電回路31からコイルL2を具備する受電回路32へと、電力を伝送する。
受電回路32は、給電経路312を介してヘッドユニット50に電気的に接続されるとともに、放電経路322を介してヘッドユニット50に電気的に接続される(図14参照)。
このように、本実施形態において、送電部2は、給電経路211〜214及び結合容量CM1により形成される給電経路と、放電経路221〜224及び結合容量CM2により形成される放電経路と、を含む。すなわち、送電部2は、給電経路の一部が結合容量CM1により構成され、放電経路の一部が結合容量CM2により構成される。また、送電部3は、給電経路311及び312並びにコイルL1及びL2の電磁結合MIにより形成される給電経路と、放電経路321及び322並びにコイルL1及びL2の電磁結合MIにより形成される放電経路と、を含む。すなわち、送電部3は、給電経路の一部が電磁結合MIにより構成され、放電経路の一部が電磁結合MIにより構成される。
このため、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、筐体100に設けられた非搭載物である電源ユニット10から、キャリッジ101に搭載された搭載物EBであるヘッドユニット50に対して、非接触(ワイヤレス)で電力を伝送することができる。換言すれば、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、電源ユニット10から、ヘッドユニット50に対して、FFC等のキャリッジ101の往復動に連動してその位置を変化させる物理的な配線を用いることなく電力を伝送することができる。
従来のインクジェットプリンターでは、キャリッジの外部に設けられた非搭載物である電源から、キャリッジの搭載物であるヘッドユニットに対して、FFC等の物理的配線を用いて電力を伝送していた。この場合、キャリッジが主走査方向に往復動する場合においてFFCが物理的障害となることがあり、更には、当該FFCの存在に起因してインクジェットプリンターの故障の原因となることがあった。
また、従来のインクジェットプリンターにおいては、キャリッジの往復動に伴ってFFCが動くことに伴い発生するノイズが、ヘッドユニットに対して送信される制御信号に伝播することがあった。この場合、インクジェットプリンターが印刷する画像の画質の劣化の原因となることがあった。
これに対して、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、FFC等のキャリッジ101の往復動に連動してその位置を変化させる物理的な配線を用いることなく、キャリッジ101の搭載物EBに対してワイヤレスで電力を伝送する。このため、本実施形態に係るインクジェットプリンター1では、FFC等の物理的な配線の存在に起因するインクジェットプリンターの故障や、FFC等の物理的な配線の動きに起因して生じるノイズの制御信号への伝播を防止することができる。すなわち、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、FFCを用いてヘッドユニットに電力を伝送する従来のインクジェットプリンターと比較して、印刷の品位を高めることが可能となり、または、インクジェットプリンター1の故障頻度を低減させることが可能となる。
<3.2.第1電力伝送部について>
次に、図7乃至図13を参照しつつ、送電部2の構成と、送電部2における電力の伝送効率について説明する。
図7は、送電部2の等価回路図の一例である。
この図に示すように、電源ユニット10は、端子TE01から給電経路211に対して給電用の電源信号VsC1を出力し、端子TE02から放電経路221に対して放電用の電源信号VsC2を出力することで、送電回路11の端子TE11と端子TE12との間に、電源信号VsC1の電位と電源信号VsC2の電位との電位差である電源電圧VsCを印加する。
図7に示すように、送電回路21は、端子TE11と端子TE12との間に設けられた容量C11と、容量C11に並列に接続されたコイルL11と、端子TE13と端子TE14との間に設けられた容量C12と、容量C12に並列に接続されたコイルL12と、を備える。コイルL11及びコイルL12は、電磁的に結合しており、コイルL11に流れる電流の大きさが変化すると、相互誘導によりコイルL12に誘導起電力を生じる。つまり、コイルL11及びコイルL12は、変圧器として機能する。
図7に示すように、送電回路21の端子TE13は、給電経路212を介して、結合容量CM1の一方の電極である平板PL1に電気的に接続される。また、送電回路21の端子TE14は、放電経路222を介して、結合容量CM2の一方の電極である平板PL3に電気的に接続される。
結合容量CM1の他方の電極である平板PL2は、給電経路213を介して、受電回路22の端子TE21に電気的に接続される。また、結合容量CM2の他方の電極である平板PL4は、放電経路223を介して、受電回路22の端子TE22に電気的に接続される。
図7に示すように、受電回路22は、端子TE21と端子TE22との間に設けられた容量C21と、容量C21に並列に接続されたコイルL21と、端子TE23と端子TE24との間に設けられた容量C22と、容量C22に並列に接続されたコイルL22と、を備える。コイルL21及びコイルL22は、電磁的に結合しており、コイルL21に流れる電流の大きさが変化すると、相互誘導によりコイルL22に誘導起電力を生じる。つまり、コイルL21及びコイルL22は、変圧器として機能する。
受電回路22は、端子TE23から給電経路214に対して出力信号VoutC1を出力し、端子TE24から放電経路224に対して出力信号VoutC2を出力することで、ヘッドユニット50の端子TE51と端子TE52との間に、出力信号VoutC1の電位と出力信号VoutC2の電位との電位差である出力電圧VoutCを印加する。
本実施形態において、送電部2は、非接触電力伝送方式である電界結合共鳴方式(「第1電力伝送方式」の一例。以下、単に「電界共鳴方式」と称する。)により電力を伝送する。このため、送電部2は、高い伝送効率で電力を伝送することができる。
より具体的には、本実施形態では、送電部2が電界共鳴方式による電力の伝送を可能とするために、コイルL12及びコイルL21のそれぞれのインダクタンスと、容量C12及び容量C21のそれぞれの容量値と、が以下の条件1〜3を充足するように定められている。
(条件1)
コイルL12及び容量C12により構成されるLC回路においてLC共振が生じる。
(条件2)
コイルL21及び容量C21により構成されるLC回路においてLC共振が生じる。
(条件3)
コイルL12及び容量C12により構成されるLC回路の共振周波数と、コイルL21及び容量C21により構成されるLC回路の共振周波数と、が略同一の値となる。
なお、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、上述した条件1〜3の全ての条件を充足するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、条件1〜3のうちの一部の条件を充足するものであってもよいし、条件1〜3を充足しないものであってもよい。
また、本明細書において「略同一」とは、完全一致の場合のほか、製造誤差、ノイズによる誤差、その他の誤差が存在する場合をも含む概念である。
換言すれば、設計上同一であることを、「略同一」と称する。
次に、図8乃至図12を参照しつつ、送電部2による電力の伝送効率について説明する。
なお、図8では、図7に示す電源ユニット10の内部抵抗を抵抗RSで表し、ヘッドユニット50の端子TE51及び端子TE52の間の電気抵抗を抵抗RLで表し、電源電圧VsCを電源電圧VSで表している。また、図8では、送電回路21を、インダクタンスLAのコイルと容量値CAの容量とを有する、送電回路21と等価な回路21Aで表し、受電回路22を、インダクタンスLBのコイルと容量値CBの容量とを有する、受電回路22と等価な回路22Aで表している。さらに、図8では、図7に示す結合容量CM1及びCM2の容量値が互いに等しいと仮定して、結合容量CM1及びCM2のインピーダンスを、インピーダンスZCMで表している。
図9は、計算を容易にするために、図8に示す回路を、電源ユニット10の発生する給電用の電源信号VsC1の電位と放電用の電源信号VsC2の電位との中心電位VCを基準として、上側と下側の2つの回路に分割した回路である。
ここで計算の便宜上、図9に示す回路における各種値を下記のように置き換える。
RS/2=RL/2=z0 ……式(1)
LA/2=LB/2=L ……式(2)
2CA=2CB=C ……式(3)
ZCM=R ……式(4)
この場合、図9に示す回路は、これと等価な図10に示す回路で表すことができる。
図10において、回路10Sは、電源ユニット10を、中心電位VCを基準として分割した2つの回路のうちの一方に相当し、回路(二端子対回路)2Sは、送電部2のうち、給電経路または放電経路のうちの一方に相当し、回路50Sは、ヘッドユニット50の端子TE51及び端子TE52の間の抵抗RLを、中心電位VCを基準として分割した2つの抵抗のうちの一方に相当する。
以下、二端子対回路2Sによる電力の伝送効率を示す値として、二端子対回路2Sの電圧透過係数と電力透過係数とを求める。
ここで、電圧透過係数とは、二端子対回路の入力端に印加された電圧に対する、出力端から出力される電圧の比率(電圧利得)を表す値である。また、電力透過係数とは、二端子対回路の入力端に供給される電力に対する、出力端から出力される電力の比率(電力利得)を表す値である。
一般的に、二端子対回路の電圧透過係数は、当該二端子対回路の伝達特性を示す2行2列の散乱行列(scattering matrix)のうち、第2行第1列の成分によって表される。また、一般的に、二端子対回路の電力透過係数は、散乱行列の第2行第1列の成分の絶対値の二乗として表される。これら、電圧透過係数や電力透過係数を求めるために必要となる、二端子対回路の散乱行列は、二端子対回路のインピーダンス行列(impedance matrix)から求めることができる。
そこで、以下では、二端子対回路2Sのインピーダンス行列ZMを算出し、次に二端子対回路2Sの散乱行列SMを算出することで、二端子対回路2Sの電圧透過係数及び電力透過係数を求める。
図10に示す二端子対回路2Sは、二端子対回路TN1と二端子対回路TN2とからなる。具体的には、二端子対回路2Sは、図11に示すように、二端子対回路TN1と二端子対回路TN2とを直列に接続したものである。
そして、二端子対回路TN1のインピーダンス行列をZM1とし、二端子対回路TN2のインピーダンス行列をZM2とすると、二端子対回路2Sのインピーダンス行列ZMは、以下の式(5)に基づいて定めることができる。
ZM=ZM1+ZM2 ……式(5)
図11に示す二端子対回路TN1のインピーダンス行列ZM1は、インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bにより、以下の式(6)で表される。
Figure 0006314661
図11に示す二端子対回路TN1のインピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bは、それぞれ、図10に示す二端子対回路TN1のインダクタンスLに係るインピーダンスである。よって、インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bは、虚数単位j、電源電圧VSの角周波数ωを用いて、以下の式(7)で表される。
Z1A=Z1B=jωL ……式(7)
すなわち、式(6)に式(7)を代入することで、二端子対回路TN1のインピーダンス行列ZM1を、以下の式(8)で表すことができる。
Figure 0006314661
次に、二端子対回路TN2のインピーダンス行列ZM2を、二端子対回路TN2のアドミタンス行列YM2の逆行列として求める。
図12に示す、アドミタンスYMA、YMB、YMCを備える二端子対回路のアドミタンス行列YMは、以下の式(9)で表される。
Figure 0006314661
図12に示す二端子対回路のアドミタンスYMA及びYMCは、図10に示す二端子対回路TN2の要素である容量Cのアドミタンスに対応し、以下の式(10)で表される。
YMA=YMC=jωC ……式(10)
同様に、図12に示す二端子対回路のアドミタンスYMBは、図10に示す二端子対回路TN2の要素である抵抗Rのアドミタンスに対応し、以下の式(11)で表される。
YMB=1/R ……式(11)
よって、図10に示す二端子対回路TN2のアドミタンス行列YM2は、式(9)に対して式(10)及び式(11)を代入した、式(12)として表される。
Figure 0006314661
二端子対回路TN2のインピーダンス行列ZM2は、式(12)に示すアドミタンス行列YM2の逆行列として求めることができる。このため、二端子対回路2Sのインピーダンス行列ZMは、上述した式(5)に、式(8)及び式(12)を適用することにより、以下の式(13)として求められる。
Figure 0006314661
散乱行列SMは、一般的に、インピーダンス行列ZMと2行2列の単位行列Iとを用いて、以下の式(14)で表される。
Figure 0006314661
また、本実施形態では、上述したようにLC共振現象を利用して高効率で電力伝送を行うため、式(2)に示すインダクタンスLと、式(3)に示す容量値Cとは、以下の式(15)に示す共振条件を満たすように定められる。
ωLC=1 ……式(15)
よって、式(12)〜式(15)から、以下の式(16)で表される散乱行列SMの各成分のうち第2行第1列の成分s21を求めることができる。この成分s21は、二端子対回路2Sの電圧透過係数を表す値であり、以下の式(17)で表される。
Figure 0006314661
上述のとおり、二端子対回路2Sの電力透過係数は成分s21の絶対値の二乗|s21|であり、以下の式(18)で表される。
Figure 0006314661
本実施形態では、電圧透過係数及び電力透過係数を大きくするために、以下の式(19)が成立するように、電源ユニット10、送電部2、及び、ヘッドユニット50の各構成要素を設計する。
z0<<R<<ωL ……式(19)
式(19)が成立することを前提とした場合、式(18)に示す値|s21|は、以下の式(20)に示す値に近似される。この場合、電力透過係数の値|s21|は、ほぼ「1」に近い値となり、送電部2は高い伝送効率を有することになる。
Figure 0006314661
以下、上述した式(19)を充足するために必要となる条件を検討する。
まず、式(19)のうち、「z0<<R」について検討する。
一般的に、インピーダンスz0に対応する電源ユニット10の抵抗RSは、小さい値に設定することが可能である。また、一般的に、結合容量(CM1、CM2)に係るインピーダンスZCMは、大きな値となる。よって、一般的に、「z0<<R」という条件は充足される。
次に、式(19)のうち、「R<<ωL」について検討する。
結合容量CM1及びCM2の容量値をCMとした場合、インピーダンスR(インピーダンスZCM)は、容量値CMを用いることで以下の式(21)で表される。
Figure 0006314661
式(15)及び式(21)より、以下の式(22)が得られる。また、式(20)及び式(22)より、以下の式(23)が得られる。
Figure 0006314661
式(22)から明らかなように、「R<<ωL」という条件を充足するためには、結合容量CM1及びCM2の容量値CMを、送電回路21の有する容量の容量値CA、及び、受電回路12の有する容量の容量値CBよりも十分に大きくなるように定めればよい。
この場合には、式(23)に示すように、電力透過係数の値|s21|は、ほぼ「1」に近い値となる。
次に、図13を参照しつつ、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycと、結合容量CM1及びCM2の容量値との関係について説明する。
図13は、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycと、平板PL1〜PL4の位置との関係を説明するための説明図である。より具体的には、図13は、+X方向または−X方向から見たときの、キャリッジ101と、平板PL1〜PL4との位置関係を表している。
図13に示すように、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycは、「Ymin≦Yc≦Ymax」の範囲で変化可能である。換言すれば、キャリッジ101の走査範囲は、「Ymin≦Yc≦Ymax」なる範囲である。
図13に示すように、「Ymin<YL<YR<Ymax」を満たす位置YL及び位置YRに対して、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが、「YL≦Yc≦YR」を満たす領域を中央部と称し、「Ymin≦Yc<YL」を満たす領域を−Y側の端部と称し、「YR<Yc≦Ymax」を満たす領域を+Y側の端部と称する。
本実施形態では、図13(A)に示すように、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが中央部にある場合に、+Z方向または−Z方向から見て、平板PL2の全部が平板PL1と重なり、且つ、平板PL4の全部が平板PL3と重なるように、平板PL1〜PL4が設けられている。また、本実施形態では、図13(B)に示すように、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが−Y側または+Y側の端部にある場合に、+Z方向または−Z方向から見て、平板PL2の一部のみが平板PL1と重なり、且つ、平板PL4の一部のみが平板PL3と重なるように、平板PL1〜PL4が設けられている。
換言すれば、本実施形態では、平板PL1がY軸方向に延在する範囲は、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL2のY軸方向の移動範囲よりも狭く、且つ、平板PL3がY軸方向に延在する範囲は、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL4のY軸方向の移動範囲よりも狭い。
よって、キャリッジ101が中央部を移動する場合、平板PL1は平板PL2の全部とZ軸方向に向かい合った状態を維持し、平板PL3は平板PL4の全部とZ軸方向に向かい合った状態を維持する。このため、キャリッジ101が中央部を移動する場合、結合容量CM1の容量値は、略一定の値に保たれ、結合容量CM2の容量値は、略一定の値に保たれる。
また、キャリッジ101が−Y側または+Y側の端部を移動する場合、+Z方向または−Z方向から見て、平板PL1及びPL2が重なり合う面積は変化し、平板PL3及びPL4が重なり合う面積は変化する。このため、キャリッジ101が−Y側または+Y側の端部を移動する場合、結合容量CM1の容量値は変化し、結合容量CM2の容量値も変化する。
結合容量CM1の容量値は、+Z方向または−Z方向から見て平板PL1及びPL2が重なり合う面積の大きさに比例し、結合容量CM2の容量値は、+Z方向または−Z方向から見て平板PL3及びPL4が重なり合う面積の大きさに比例する。つまり、キャリッジ101の位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくほど、結合容量CM1及びCM2の容量値は小さくなり、送電部2の電圧透過係数及び電力透過係数は低くなる(伝送効率が低下する)。
<3.3.第2電力伝送部について>
次に、図14を参照しつつ、送電部3について説明する。
図14は、送電部3の等価回路図の一例である。この図に示すように、電源ユニット10は、端子TE03から給電経路311に対して給電用の電源信号VsL1を出力し、端子TE04から放電経路321に対して放電用の電源信号VsL2を出力することで、送電回路31の端子TE31と端子TE32との間に、電源信号VsL1の電位と電源信号VsL2の電位との電位差である電源電圧VsLを印加する。
送電回路31は、端子TE31及び端子TE32の間に直列に設けられた容量C1及びコイルL1を備える。なお、本実施形態では、容量C1及びコイルL1は直列に接続されているが、容量C1及びコイルL1は並列に接続されるものであってもよい。また、容量C1として、コイルL1の寄生容量を利用するものであってもよい。
受電回路32は、端子TE33及び端子TE34の間に直列に設けられた容量C2及びコイルL2を備える。なお、本実施形態では、容量C2及びコイルL2は直列に接続されているが、容量C2及びコイルL2は並列に接続されるものであってもよい。また、容量C2として、コイルL2の寄生容量を利用するものであってもよい。
受電回路32は、端子TE33から給電経路312に対して出力信号VoutL1を出力し、端子TE34から放電経路322に対して出力信号VoutL2を出力することで、ヘッドユニット50の端子TE53と端子TE54との間に、出力信号VoutL1の電位と出力信号VoutL2の電位との電位差である出力電圧VoutLを印加する。
上述のとおり、送電部3は、電源ユニット10から供給された電力を、コイルL1及びL2の電磁結合MIを介して送電する。より具体的には、送電部3は、非接触電力伝送方式である磁界結合共鳴方式(「第2電力伝送方式」の一例。以下、単に「磁界共鳴方式」と称する。)により電力を伝送する。このため、送電部3は、高い伝送効率で電力を伝送することができる。
本実施形態では、送電部3が磁界共鳴方式による電力の伝送を可能とするために、コイルL1及びコイルL2のそれぞれのインダクタンスと、容量C1及び容量C2のそれぞれの容量値と、が以下の条件4〜7を充足するように定められている。
(条件4)
コイルL1及び容量C1により構成されるLC回路においてLC共振が生じる。
(条件5)
コイルL2及び容量C2により構成されるLC回路においてLC共振が生じる。
(条件6)
コイルL1及び容量C1により構成されるLC回路の共振周波数と、コイルL2及び容量C2により構成されるLC回路の共振周波数と、が略同一となる。
(条件7)
コイルL1のQ値を、「100」以上、好ましくは「1000」以上とする。
なお、コイルL1のQ値とは、コイルL1のインダクタンスをL1で表し、コイルL1に係る抵抗(コイルL1自身が有する抵抗や遠方放射に寄与する抵抗成分等)をR1で表し、コイルL1及び容量C1により構成されるLC回路の共振周波数をω1で表した場合、以下の式(24)により表される無次元量である。
Q=ω1*L1/R1 ……式(24)
ここで、コイルL1及び容量C1により構成されるLC回路の共振周波数をω1は、電源ユニット10が出力する電源電圧VsLの角周波数ωである。
このように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、上述した条件4〜7の全ての条件を充足するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、条件4〜7のうちの一部の条件を充足するものであってもよいし、条件4〜7を充足しないものであってもよい。
また、本実施形態に係る送電部3は、磁界共鳴方式により電力を伝送するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、電磁誘導方式、つまり、コイルL1及びコイルL2の間の相互誘導により電力を伝送するものであってもよい。
<4.ヘッドユニットについて>
次に、図15及び図16を参照しつつ、ヘッドユニット50の構成及び動作について説明する。
図15は、ヘッドユニット50の等価回路図の一例である。この図に示すように、ヘッドユニット50は、記録ヘッド51と、ヘッド駆動回路52と、整流部53と、合成回路54と、を備える。
図15に示すように、整流部53は、整流回路53Aと、整流回路53Bとを含む。整流回路53A及び整流回路53Bの各々は、例えばAC−DCコンバーターである。
整流回路53Aは、送電部2から供給される交流電圧である出力電圧VoutCを、直流電圧に変換する。具体的には、整流回路53Aは、給電経路である電源線531の電位を高電位側の一定の電位VCHに設定し、放電経路である電源線532の電位を電位VCHよりも低電位の電位VCLに設定する。
整流回路53Bは、送電部3から供給される交流電圧である出力電圧VoutLを、直流電圧に変換する。具体的には、整流回路53Bは、給電経路である電源線533の電位を高電位側の一定の電位VLHに設定し、放電経路である電源線534の電位を電位VLHよりも低電位の電位VLLに設定する。
合成回路54は、電位VCH及び電位VCLの電位差と、電位VLH及び電位VLLの電位差と、を加算した電圧を、電源線541と電源線542との間に印加する回路であり、例えば、チャージポンプ回路を含んで構成される。
具体的には、合成回路54は、放電経路である電源線542の電位を、基準電位VSSに設定する。また、合成回路54は、給電経路である電源線541の電位を、電位VCH及び電位VCLの電位差と、電位VLH及び電位VLLの電位差と、基準電位VSSと、を加算して得られる電位VDDに設定する。
図15に示すように、ヘッド駆動回路52は、4M個の吐出部Dのそれぞれに対して駆動信号DRVを供給する回路であり、原駆動信号発生部55と、駆動信号生成部56とを含む。
また、ヘッド駆動回路52は、給電経路である電源線541と、放電経路である電源線542と、にそれぞれ電気的に接続され、電源線541及び電源線542から供給される電力により動作する。
原駆動信号発生部55は、制御部6から供給される制御信号CtrHに含まれる原駆動信号生成用パラメーターPRMに基づいて、原駆動信号ODRVを生成する。ここで、原駆動信号生成用パラメーターPRMとは、原駆動信号ODRVの波形形状等を規定するパラメーターである。
図15に示すように、駆動信号生成部56には、制御部6が生成する制御信号CtrHに含まれる印刷信号PRTが供給される。
印刷信号PRTとは、制御部6が画像データImgに基づいて生成する信号であり、記録媒体Pの各画素に対する吐出部Dからのインクの吐出の有無と、吐出部Dから各画素に対してインクを吐出する場合におけるインクの吐出量と、を規定する信号である。印刷信号PRTには、4M個の吐出部Dと1対1に対応する印刷信号PRT(1)、PRT(2)、…、PRT(4M)が含まれる。
駆動信号生成部56は、印刷信号PRT(m)と、原駆動信号発生部55が生成する原駆動信号ODRVと、に基づいて、駆動信号DRV(m)を生成し、生成した駆動信号DRV(m)をm番目の吐出部Dに供給する。
図16は、原駆動信号ODRV、印刷信号PRT(m)、及び、駆動信号DRV(m)の波形の一例を示す図である。以下、図16を参照しつつ、駆動信号生成部56の動作の詳細を説明する。
図16に示すように、原駆動信号ODRVは、単位期間(キャリッジ101が一画素の間隔を横切る期間)毎に、パルスW1とパルスW2の2つのパルスを含む信号である。
駆動信号生成部56は、m番目の吐出部Dに対応する印刷信号PRT(m)に基づいて、原駆動信号ODRVを遮断したり通過させたりすることで、駆動信号DRV(m)を生成する。
例えば、図16に示すように印刷信号PRT(m)が2ビット信号である場合において、駆動信号生成部56は、印刷信号PRT(m)の示す値が『00』の場合には、原駆動信号ODRVの両パルスW1及びW2を遮断し、また、印刷信号PRT(m)の示す値が『10』の場合には、パルスW1のみを遮断してパルスW2は通過させ、印刷信号PRT(m)の示す値が『01』の場合には、パルスW2のみを遮断してパルスW1は通過させ、印刷信号PRT(m)の示す値が『11』の場合には、両パルスW1及びW2を通過させる。そして、駆動信号生成部56は、通過させたパルスを駆動信号DRV(m)として、m番目の吐出部Dに対して供給する。
駆動信号DRV(m)は、m番目の吐出部Dが備える圧電素子500の上部電極502に供給される。また、m番目の吐出部Dが備える圧電素子500の下部電極501は、電位が基準電位VSSに設定された電源線542に電気的に接続される。このため、m番目の吐出部Dは、駆動信号生成部56からの駆動信号DRV(m)に基づいて応じて駆動される。
例えば、図16に示す例では、駆動信号DRV(m)がパルスW1及びW2を含む場合、m番目の吐出部Dは大ドットに相当する量のインクを吐出するように駆動され、駆動信号DRV(m)がパルスW2のみを含む場合、m番目の吐出部Dは中ドットに相当する量のインクを吐出するように駆動され、駆動信号DRV(m)がパルスW1のみを含む場合、m番目の吐出部Dは小ドットに相当する量のインクを吐出するように駆動され、駆動信号DRV(m)がパルスW1及びW2の双方を含まない場合、m番目の吐出部Dはインクを吐出しないように駆動される。
なお、図示は省略するが、ヘッドユニット50は、電位VDD及び基準電位VSSとで定められる電圧を、ヘッドユニット50の各部が必要とする適宜な電圧に変圧するDC−DCコンバーターを有するものであってもよい。
また、本実施形態において、ヘッドユニット50は、4M個の吐出部Dに対して1つのヘッド駆動回路52が共通に設けられているが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、ヘッドユニット50は、複数のヘッド駆動回路52を備えるものであってもよい。例えば、ヘッドユニット50は、4列のノズル列と1対1に対応するように、4個のヘッド駆動回路52を備えるものであってもよい。
ヘッドユニット50が、複数のヘッド駆動回路52を備える場合、制御部6は、複数のヘッド駆動回路52のそれぞれに、互いに異なる値を示す原駆動信号生成用パラメーターPRMを供給してもよい。この場合、複数のヘッド駆動回路52は、互いに異なる波形の原駆動信号ODRVを出力することができる。
<5.供給電力調整処理について>
次に、図17を参照しつつ、供給電力調整処理の詳細について説明する。
上述のとおり、制御部6は、印刷処理を実行するときにヘッドユニット50等の搭載物EBが必要となる電力を、電源ユニット10から搭載物EBへと効率的に伝送するために、電源電圧VsC及び電源電圧VsLの大きさを決定する供給電力調整処理を実行する。
具体的には、制御部6は、供給電力調整処理として、以下の処理を実行する。
まず、制御部6は、湿度計85が検出するキャリッジ101内の湿度H(相対湿度)と、温度計86が検出するキャリッジ101内の温度と、に基づいて、キャリッジ101内の絶対湿度VH(g/m)を算出する。ここで、絶対湿度VHとは、単位体積あたりの水蒸気量である。
次に、制御部6は、供給電力情報テーブルTBLにアクセスし、位置検出器83の検出結果に基づいて算出したキャリッジ101の位置Ycと、湿度H等に基づいて算出した絶対湿度VHと、に対応して記憶されている電源電圧VsC及びVsLの値を取得する。
その後、制御部6は、供給電力情報テーブルTBLから取得した電源電圧VsC及びVsLの値に基づいて、電源電圧VsC及びVsLの大きさを指定する制御信号CtrPを生成し、生成した制御信号CtrPを電源ユニット10に供給する。
図17は、供給電力情報テーブルTBLのデータ構造の一例を示す説明図である。
この図に示すように、供給電力情報テーブルTBLは、絶対湿度VH、及び、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycと、電源電圧VsC及びVsLの大きさを示す値と、を関連付けて記憶している。
図17では、一例として、位置Yminと位置Ymaxとの間を100等分するように、位置Y1〜Y99を定めている。なお、この図に示す例では、位置Y4が位置YLに相当し、位置Y96が位置YRに相当する場合を想定している。つまり、この図に示す例では、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが、「Ymin≦Yc<Y4」を満たす領域が−Y側の端部に相当し、「Y4≦Yc≦Y96」を満たす領域が中央部に相当し、「Y96<Yc≦Ymax」を満たす領域が+Y側の端部に相当することとしている。
また、図17では、一例として、絶対湿度VHの示す値を10個の区間に区分している。
また、図17では、一例として、所定の基準電圧をVrとして、電源電圧VsC及びVsLの値を基準電圧Vrの倍数で表現している。
図17に示すように、供給電力情報テーブルTBLに記憶されている電源電圧VsC及びVsLの値は、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように定められている。
例えば、図17に示すように、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが中央部に位置する場合(つまり、Y4≦Yc≦Y96の場合)において、絶対湿度VHが「90≦VH」のときは、電源電圧VsCが「1.00*Vr」であり、電源電圧VsLが「0.00*Vr」であるが、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合が大きくなり、絶対湿度VHが「0≦VH<10」のときは、電源電圧VsCが「0.50*Vr」であり、電源電圧VsLが「1.20*Vr」となる。キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが端部に位置する場合も同様に、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合が大きくなる。但し、この図に示す例では、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが、「Ymin≦Yc<Y4」の場合、及び、「Y96<Yc≦Ymax」の場合には、例外的に、絶対湿度VHの値に関わらず、電源電圧VsCを「0.00*Vr」とし、電源電圧VsLを「2.00*Vr」としている。
上述のとおり、送電部2は、結合容量CM1及びCM2を用いて、電界共鳴方式により電力を伝送する。
結合容量CM1及びCM2の容量値は、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の間に存在する物質の誘電率が小さくなるに従って、小さくなる。水の誘電率は空気の誘電率よりも大きいため、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、結合容量CM1及びCM2の容量値は小さくなる。結合容量CM1またはCM2の容量値が小さくなる場合、送電部2における電力の伝送効率が低下する。送電部2における電力の伝送効率が低下すると、印刷処理に必要な電力をヘッドユニット50に供給できなくなり印刷の品位が低下するという不都合や、印刷処理に必要な電力をヘッドユニット50に供給するために電源ユニット10が送電部2に供給する電力が大きくなりインクジェットプリンター1の消費電力量が増大するという不都合等、各種不都合が生じる場合がある。
一方、送電部3は、磁界共鳴方式により電力を伝送する。一般的に、磁界共鳴方式における電力の伝送効率は、原則として、送電側の回路(コイル)と受電側の回路(コイル)との間に存在する物質が有する誘電率の影響を受けない。よって、送電部3による磁界共鳴方式を利用した電力の伝送においては、絶対湿度VHに関わらず、安定的な電力の伝送が可能である。
なお、式(23)において説明したとおり、送電部2における電力透過係数は「1」に近づけることが可能であるため、送電部2は、絶対湿度VHの低下に起因して送電部2の伝達伝送が著しく低下する場合を除き、送電部3よりも高い伝送効率で電力を伝送することが可能である。
このような事情を勘案し、本実施形態では、供給電力情報テーブルTBLに記憶される電源電圧VsC及びVsLの値を、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合が大きくなるように定める。
これにより、絶対湿度VHの値が大きく、送電部2が高い伝送効率で電力を伝送できるときは、送電部2により伝送される電力の大きさを大きくし、一方、絶対湿度VHの値が小さく、送電部2における電力の伝送効率が低下するときは、送電部3により伝送される電力の大きさを大きくすることができる。
このため、本実施形態に係るインクジェットプリンター1では、絶対湿度VHの値に関わらず、送電部2及び送電部3の2つの送電部が全体として、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
また、図17に示すように、供給電力情報テーブルTBLに記憶されている電源電圧VsC及びVsLの値は、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように定められている。
例えば、図17に示すように、絶対湿度VHが「90≦VH」の場合において、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが中央部に位置するときは、電源電圧VsCが「1.00*Vr」であり、電源電圧VsLが「0.00*Vr」であるが、位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合が大きくなり、位置Ycが「Ymin≦Yc<Y1」または「Y99<Yc≦Ymax」に位置するときは、電源電圧VsCが「0.00*Vr」であり、電源電圧VsLが「2.00*Vr」となる。
結合容量CM1及びCM2の容量値は、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の重なり合う面積が小さくなるに従って、小さくなる。結合容量CM1またはCM2の容量値が小さくなる場合には、送電部2における電力の伝送効率が低下し、上述した各種不都合が生じる。
また、一般的に、送電部3のように磁界共鳴方式で電力を伝送する場合、送電部2のように電界共鳴方式で電力を伝送する場合と比較して、送電側の回路と受電側の回路との間の距離が遠くなることに起因する電力の伝送効率の低下の程度は小さい。
このため、磁界共鳴方式により電力を伝送する送電部3は、送電回路31(特に、コイルL1)と受電回路32(特に、コイルL2)との間の距離が離れる場合であっても、安定的に電力を伝送することが可能である。また、本実施形態において、キャリッジ101が往復動する場合であっても、+X方向または−X方向から見て、コイルL1は、コイルL2の全部と重なる。すなわち、送電部3による電力の伝送においては、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycに関わらず、安定的な電力の伝送が可能である。
このような事情を勘案し、本実施形態では、供給電力情報テーブルTBLに記憶される電源電圧VsC及びVsLの値を、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合が大きくなるように定める。
これにより、位置Ycが中央部に位置し、送電部2により高い伝送効率で電力を伝送できるときは、送電部2により伝送される電力の大きさを大きくし、一方、位置Ycが端部に位置し、送電部2における電力の伝送効率が低下するときは、送電部3により伝送される電力の大きさを大きくすることができる。
このため、本実施形態に係るインクジェットプリンター1では、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycに関わらず、送電部2及び送電部3の2つの送電部が全体として、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
なお、図17に示す例では、図において一点差線で示す境界線の両側で、電源電圧VsC及びVsLの大小関係が逆転している。
より具体的には、境界線よりも中央部側、または、境界線よりも下側(絶対湿度VHが大きくなる側)では、電源電圧VsCが電源電圧VsL以上となり、境界線よりも端部側、または、境界線よりも上側(絶対湿度VHが小さくなる側)では、電源電圧VsCが電源電圧VsL以下となる。
このように、絶対湿度VH及び位置Ycに応じて、電源電圧VsC及びVsLの大きさの比率を変化させることで、絶対湿度VH及び位置Ycが変化する場合であっても、送電部2及び送電部3の2つの送電部が全体として、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
制御部6は、供給電力情報テーブルTBLから取得した電源電圧VsC及びVsLの値に基づいて、制御信号CtrPを生成する。そして、電源ユニット10は、制御信号CtrPが指定する大きさの電源電圧VsCを送電部2に印加し、制御信号CtrPが指定する大きさの電源電圧VsLを送電部3に印加する。
すなわち、電源ユニット10は、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、または、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように、電源電圧VsC及びVsLを出力する。
換言すれば、電源ユニット10は、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、または、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って、送電部2に供給する電力の大きさに対する送電部3に供給する電力の大きさの割合が大きくなるように、送電部2及び送電部3に電力を供給する。
このため、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、または、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って、送電部2が伝送する電力の大きさ(及び出力電圧VoutCの大きさ)に対する、送電部3が伝送する電力の大きさ(及び出力電圧VoutLの大きさ)の割合が、大きくなる。
<6.実施形態の結論>
以上に説明したように、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、FFC等のキャリッジ101の往復動に連動してその位置を変化させる物理的な配線を用いることなく、キャリッジ101に搭載されたヘッドユニット50等の搭載物EBに対して電力を伝送することができる。このため、ヘッドユニットに対してFFC等の物理的な配線を用いて電力を伝送する従来のインクジェットプリンターと比較して、故障の頻度を低減させることが可能となり、または、電力伝送に伴うノイズの発生を抑制することが可能となる。
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1では、電源ユニット10から搭載物EBへの電力の伝送を、電界共鳴方式で電力を伝送する送電部2と、磁界共鳴方式で電力を伝送する送電部3と、という、互いに異なる2つの非接触電力伝送方式で電力を伝送する2つの送電部を用いて実行する。このため、キャリッジ101内部の湿度H、キャリッジ101内部の温度、キャリッジ101のY軸方向の位置Yc等、送電部による電力の伝送効率に影響を及ぼす可能性のある各種要因が変化する場合であっても、これらの各種要因の変化に対応した安定した電力の伝送が可能となる。
<7.変形例>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下において説明する変形例では、説明の重複を避けるため、上述した本発明の実施形態との共通点については説明を省略する。
<変形例1>
上述した実施形態では、平板PL1及び平板PL3の両方が、キャリッジ101の−Z方向側であって、キャリッジ101から見て記録媒体Pの搬送経路の逆側に設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、平板PL1及び平板PL3の一方または双方が、筐体100またはキャリッジガイド軸44に設けられてもよい。
この場合、平板PL2及び平板PL4は、キャリッジ101において、平板PL1及びPL2が互いに向かい合い、且つ、平板PL3及びPL4が互いに向かい合うような位置に設ければよい。
<変形例2>
上述した実施形態及び変形例では、コイルL1は、筐体100のうち、キャリッジ101から見て−X方向となる位置に設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、コイルL1は、キャリッジ101の外側に非搭載物として設けられていれば、どのような位置に設けられていてもよい。
例えば、図18に示すように、コイルL1を、筐体100のうち、キャリッジ101から見て+Z方向となる位置に設けてもよい。この場合、コイルL2は、例えば、キャリッジ101において、コイルL1と向かい合うように設けることが好ましい。
例えば、図19に示すように、コイルL1を、キャリッジ101から見て−Y方向となる位置に設けてもよい。この場合も、コイルL2は、例えば、キャリッジ101において、コイルL1と向かい合うように設けることが好ましい。
<変形例3>
上述した実施形態及び変形例において、インクジェットプリンター1は、電界共鳴方式により電力を伝送する送電部2と、磁界共鳴方式により電力を伝送する送電部3と、を備えるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、2以上の非接触電力伝送方式により電力を伝送する2以上の送電部を備えるものであればよい。
例えば、インクジェットプリンター1は、電界共鳴方式により電力を送電する送電部2、及び、磁界共鳴方式により電力を送電する送電部3、に加え、電磁誘導方式により電力を伝送する送電部を更に備えるものであってもよい。
また、例えば、インクジェットプリンター1は、送電部2または送電部3に代えて、電磁誘導方式により電力を伝送する送電部を備えてもよい。
また、例えば、インクジェットプリンター1は、1または複数の送電部2と、1または複数の送電部3とを備えてもよい。すなわち、インクジェットプリンター1は、送電部2を2個以上備えるものであってもよいし、送電部3を2個以上備えるものであってもよい。
なお、インクジェットプリンター1が複数の送電部を備える場合、制御部6は、供給電力調整処理において、まず、絶対湿度VHと、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycと、に基づいて、複数の送電部の中から電力の伝送効率の高い1または複数の送電部を選択し、次に、電源ユニット10からの電力の供給が、制御部6の選択した1または複数の送電部に対してのみ行われるような制御信号CtrPを生成してもよい。
<変形例4>
上述した実施形態及び変形例に係る制御部6は、供給電力調整処理において、絶対湿度VHとキャリッジ101のY軸方向の位置Ycとに基づいて制御信号CtrPを生成することで、電源ユニット10が複数の送電部の各々に対して供給する電力の大きさ(例えば、実施形態では、電源電圧VsC及びVsLの大きさ)を制御するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、制御部6は、送電部による電力の伝送効率を変化させる可能性のある各種要因のうち1または複数の要因に基づいて、電源ユニット10が複数の送電部の各々に対して供給する電力の大きさを制御するものであればよい。
換言すれば、上述した実施形態及び変形例に係る制御部6は、供給電力調整処理において、各送電部における電力の伝送効率が、絶対湿度VHとキャリッジ101のY軸方向の位置Ycとに基づいて決定されるとの前提の下に、電源ユニット10が複数の送電部の各々に対して印加する電圧(供給する電力)の大きさを決定するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、制御部6は、各送電部における電力の伝送効率が、送電部による電力の伝送効率を変化させる可能性のある各種要因のうち1または複数の要因に基づいて決定されるとの前提の下に、電源ユニット10が複数の送電部の各々に対して印加する電圧(供給する電力)の大きさを決定するものであればよい。
本変形例に係る供給電力調整処理としては、例えば、以下の第1乃至第4の態様が想定される。なお、以下の第1乃至第4の態様についての説明では、主に、実施形態のように、インクジェットプリンター1が送電部2及び送電部3の2つの送電部を備える場合を例示して説明するが、変形例3のように、インクジェットプリンター1が3以上の送電部を具備する場合についても、同様に当てはまる。
供給電力調整処理の第1の態様として、制御部6は、少なくとも絶対湿度VHに基づいて、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧の大きさを制御する。
例えば、実施形態に示す例のように、インクジェットプリンター1が送電部2及び送電部3の2つの送電部を備える場合、制御部6は、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御する。
実施形態に示す例の場合、制御部6は、例えば、絶対湿度VHの値が所定の値よりも大きい場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも大きくなり、絶対湿度VHの値が所定の値よりも小さい場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも小さくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御すればよい。
また、実施形態に示す例の場合、制御部6は、例えば、絶対湿度VHの値が所定の値よりも大きい場合に、送電部2が伝送する電力の大きさ(または、出力電圧VoutCの大きさ)が、送電部3が伝送する電力の大きさ(または、出力電圧VoutLの大きさ)よりも大きくなり、絶対湿度VHの値が所定の値よりも小さい場合に、送電部2が伝送する電力の大きさ(または、出力電圧VoutCの大きさ)が、送電部3が伝送する電力の大きさ(または、出力電圧VoutLの大きさ)よりも小さくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御してもよい。
なお、第1の態様において、供給電力情報テーブルTBLは、絶対湿度VHと、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧(実施形態に示す例の場合は、電源電圧VsC及びVsLの大きさを示す値)と、を関連付けて記憶していればよい。
供給電力調整処理の第2の態様として、制御部6は、少なくとも、湿度計85が検出するキャリッジ101内の湿度H(相対湿度)に基づいて、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧の大きさを制御する。
例えば、実施形態に示す例のように、インクジェットプリンター1が送電部2及び送電部3の2つの送電部を備える場合、制御部6は、湿度Hが低くなるに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御する。
実施形態に示す例の場合、制御部6は、例えば、湿度Hが所定の湿度よりも高い場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも大きくなり、湿度Hが所定の湿度よりも低い場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも小さくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御すればよい。
なお、第2の態様において、供給電力情報テーブルTBLは、湿度Hと、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧(実施形態に示す例の場合は、電源電圧VsC及びVsLの大きさを示す値)と、を関連付けて記憶していればよい。
供給電力調整処理の第3の態様として、制御部6は、少なくとも、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycに基づいて、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧の大きさを制御する。
例えば、実施形態に示す例のように、インクジェットプリンター1が送電部2及び送電部3の2つの送電部を備える場合、制御部6は、位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御する。
なお、第3の態様において、供給電力情報テーブルTBLは、位置Ycと、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧(実施形態に示す例の場合は、電源電圧VsC及びVsLの大きさを示す値)と、を関連付けて記憶していればよい。
供給電力調整処理の第4の態様は、インクジェットプリンター1が、1または複数の送電部2を具備する場合の供給電力調整処理である。
供給電力調整処理の第4の態様として、制御部6は、各送電部2が備える平板PL1及びPL2の距離、または、各送電部2が備える平板PL3及びPL4の距離の、一方または双方に基づいて、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧の大きさを制御する。ここで、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の距離とは、例えば、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の間の最短距離である。
例えば、実施形態に示す例のように、インクジェットプリンター1が送電部2及び送電部3の2つの送電部を備える場合、制御部6は、平板PL1及びPL2の距離(または、平板PL3及びPL4の距離)が長くなるに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御する。
実施形態に示す例の場合、制御部6は、例えば、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の距離が所定距離よりも短い場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも大きくなり、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の距離が所定距離よりも長い場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも小さくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御すればよい。
供給電力調整処理の第4の態様は、例えは、平板PL1及びPL2の間隔、または、平板PL3及びPL4の間隔の少なくとも一方が、キャリッジ101の移動に伴い変化する場合に適用することが好ましい。
なお、第4の態様において、供給電力情報テーブルTBLは、例えば、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の距離と、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧(実施形態に示す例の場合は、電源電圧VsC及びVsLの大きさを示す値)と、を関連付けて記憶していればよい。
<変形例5>
上述した実施形態及び変形例において、平板PL1のY軸方向に延在する範囲は、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL2のY軸方向の移動範囲よりも狭く、且つ、平板PL3のY軸方向に延在する範囲は、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL4のY軸方向の移動範囲よりも狭いが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、平板PL1〜PL4は、平板PL1のY軸方向に延在する範囲が、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL2のY軸方向の移動範囲を包含し、且つ、平板PL3のY軸方向に延在する範囲が、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL4のY軸方向の移動範囲を包含するように設けられるものであってもよい。
換言すれば、キャリッジ101が往復動する場合であっても、+Z方向または−Z方向から見て、平板PL2の全部が平板PL1と重なり、平板PL4の全部が平板PL3と重なるように、平板PL1〜PL4が設けられていてもよい。
この場合、キャリッジ101が往復動しても、結合容量CM1の容量値は略同一の値を維持し、結合容量CM2の容量値は略同一の値を維持する。このため、送電部2は、キャリッジ101が往復動する場合であっても、安定的に電力を伝送することができる。
なお、本変形例では、供給電力調整処理において、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycを考慮する必要が無い。このため、本変形例では、供給電力調整処理として、例えば、変形例4で説明した第1の態様、第2の態様、または、第4の態様を適用することが好ましい。
<変形例6>
上述した実施形態及び変形例において、結合容量CM1が備える2つの電極は、平板上の形状を有する平板PL1及びPL2であり、結合容量CM2が備える2つの電極は、平板上の形状を有する平板PL3及びPL4であるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、結合容量CM1が備える2つの電極の形状、及び、結合容量CM2が備える2つの電極の形状は、任意の形状でよい。
<変形例7>
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンター1は、圧電素子500を振動させることによりノズルNからインクを吐出させるものであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、キャビティ505に設けられた発熱体(図示省略)を発熱させることによりキャビティ505内に気泡を生じさせてキャビティ505内部の圧力を高め、
これによりインクを吐出させる、所謂サーマル方式であってもよい。
1……インクジェットプリンター、2……送電部、3……送電部、4……移動機構、5……移動体、6……制御部、7……給紙機構、9……ホストコンピューター、10……電源ユニット、20……ワイヤレス伝送部、21……送電回路、22……受電回路、31……送電回路、32……受電回路、50……ヘッドユニット、51……記録ヘッド、52……ヘッド駆動回路、62……記憶部、83……位置検出器、85……湿度計、86……温度計、D……吐出部、EB……搭載物、L1……コイル、L2……コイル、P……媒体、PL1……平板、PL2……平板、PL3……平板、PL4……平板。

Claims (6)

  1. 筐体と、
    前記筐体に対して移動可能なキャリッジと、
    前記キャリッジに搭載され、液体を吐出する吐出部を備えるヘッドユニットと、
    前記筐体に設けられた電力供給部と、
    前記電力供給部から供給された電力の少なくとも一部を、電界共鳴方式により前記ヘッドユニットに伝送する第1電力伝送部と、
    前記電力供給部から供給された電力の少なくとも一部を、前記電界共鳴方式とは異なる方式の非接触電力伝送方式により前記ヘッドユニットに伝送する第2電力伝送部と
    備える、
    ことを特徴とする印刷装置。
  2. 前記非接触電力伝送方式は磁界共鳴方式である、
    ことを特徴とする、請求項記載の印刷装置。
  3. 前記第1電力伝送部は、
    前記筐体に設けられた導電体である第1導電体と、
    前記キャリッジに搭載された導電体である第2導電体と、
    を備え、
    前記第1導電体と前記第2導電体とで形成される結合容量を介して、前記電力供給部から供給された電力を前記ヘッドユニットに伝送し、
    前記第2電力伝送部は、
    前記筐体に設けられた導電体である第3導電体と、
    前記キャリッジに搭載された導電体である第4導電体と、
    を備え、
    前記第3導電体と前記第4導電体とによる電磁結合を介して、前記電力供給部から供給された電力を前記ヘッドユニットに伝送する、
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の印刷装置。
  4. 前記第1導電体と前記第2導電体との距離に基づいて、
    前記電力供給部が前記第1電力伝送部に供給する電力の大きさと、
    前記電力供給部が前記第2電力伝送部に供給する電力の大きさと、を制御する制御部を備える、
    ことを特徴とする、請求項に記載の印刷装置。
  5. 前記筐体の内部の湿度を検出する検出部と、
    前記検出部が検出した湿度に基づいて、
    前記電力供給部が前記第1電力伝送部に供給する電力の大きさと、
    前記電力供給部が前記第2電力伝送部に供給する電力の大きさと、を制御する制御部と、
    を備える、
    ことを特徴とする、請求項に記載の印刷装置。
  6. 筐体と、
    前記筐体に対して移動可能なキャリッジと、
    前記キャリッジに搭載され、液体を吐出する吐出部を備えるヘッドユニットと、
    前記筐体に設けられた電力供給部と、
    を備える印刷装置の前記ヘッドユニットに対する電力伝送方法であって、
    前記電力供給部が供給する電力の少なくとも一部を、電界共鳴方式により前記ヘッドユニットに伝送し、
    前記電力供給部が供給する電力の少なくとも一部を、前記電界共鳴方式とは異なる方式の非接触電力伝送方式により前記ヘッドユニットに伝送する、
    ことを特徴とする電力伝送方法。
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