JP6314661B2 - 印刷装置、及び、印刷装置のヘッドユニットに対する電力伝送方法 - Google Patents
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Description
印刷装置の筐体の内部で移動する配線が存在する場合、移動している配線が、筐体の内部に設けられた印刷装置の構成要素に接触することがある。このため、筐体の内部で移動する配線が存在する場合、移動している配線と印刷装置の構成要素との接触に起因する故障が発生することがある。また、ヘッドユニットは大きな電力を必要とするため、大きな電力を供給する配線が筐体の内部で移動する場合には、当該配線からノイズが生じ、当該ノイズが印刷装置の各部に伝播することがある。
ところで、非接触電力伝送方式による電力の伝送においては、物理的な配線を用いた電力を伝送の場合と比較して、電力の伝送効率の変動が大きくなる可能性が高い。これに対して、この発明では、互いに異なる2つの非接触電力伝送方式により電力を伝送するため、電力の伝送効率の変動の程度を小さく抑えることが可能となり、また、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
この態様によれば、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
この態様によれば、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
この態様によれば、互いに異なる2つの非接触電力伝送方式により電力を伝送するため、電力の伝送効率の変動の程度を小さく抑えることが可能となり、また、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
結合容量を介して電力を伝送する場合、結合容量を形成する2つの導電体の距離が短くなるにつれて電力の伝送効率が向上する。
この態様によれば、第1電力伝送部が備える結合容量を形成する2つの導電体の距離が短い場合に、第1電力伝送部により伝送する電力を大きくすることができるため、第1電力伝送部及び第2電力伝送部が全体として、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
なお、上述した印刷装置は、例えば、前記電力供給部が前記第1電力伝送部及び前記第2電力伝送部に対して供給する電力の大きさを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1導電体と前記第2導電体との距離が所定距離よりも短い場合、前記電力供給部から前記第1電力送電部に供給される電力が、前記電力供給部から前記第2電力送電部に供給される電力よりも大きくなるように、前記電力供給部が供給する電力の大きさを制御する、ことを特徴としてもよい。
結合容量を介して電力を伝送する場合、結合容量を形成する2つの導電体の間の空間における湿度が高くなるにつれて、当該結合容量の容量値が大きくなり、電力の伝送効率が向上する。
この態様によれば、第1電力伝送部が備える結合容量を形成する2つの導電体の間の空間における湿度が高くなる場合、第1電力伝送部により伝送する電力を大きくすることができるため、第1電力伝送部及び第2電力伝送部が全体として、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
なお、上述した印刷装置は、例えば、前記筐体の内部の湿度を検出する検出部と、前記電力供給部が前記第1電力伝送部及び前記第2電力伝送部に対して供給する電力の大きさを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検出部が検出した湿度が所定の湿度よりも高い場合、前記電力供給部から前記第1電力送電部に供給される電力が、前記電力供給部から前記第2電力送電部に供給される電力よりも大きくなるように、前記電力供給部が供給する電力の大きさを制御する、ことを特徴としてもよい。
この発明によれば、キャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して、非接触電力伝送方式により非接触(ワイヤレス)で電力を伝送するため、ヘッドユニットに対して物理的な配線により電力を伝送する場合に生じるような配線との接触に起因する故障の発生を抑制し、また、キャリッジの移動に伴い移動する物理的な配線を用いて電力を伝送する場合と比較して電力の伝送に伴い生じるノイズを低減することが可能となる。
また、この発明では、互いに異なる2つの非接触電力伝送方式により電力を伝送するため、電力の伝送効率の変動の程度を小さく抑えることが可能となり、また、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
本実施形態では、印刷装置として、インク(「液体」の一例)を吐出して記録媒体Pに画像を形成するインクジェットプリンター1を例示して説明する。
図2に示すように、移動体5は、キャリッジ101と、キャリッジ101に搭載されたヘッドユニット50と、キャリッジ101に搭載された4個のインクカートリッジ102と、を含む。
4個のインクカートリッジ102は、イエロー(Yl)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、及び、ブラック(Bk)の4つの色と1対1に対応して設けられたものであり、各インクカートリッジ102には、当該インクカートリッジ102に対応する色のインクが充填されている。
なお、ヘッド駆動回路52は、駆動信号DRV(1)、DRV(2)、…、DRV(4M)を、4M個の吐出部Dと1対1に対応して生成する。4M個の吐出部Dのうちm番目の吐出部Dは、駆動信号DRV(1)、DRV(2)、…、DRV(4M)のうち、m番目の吐出部Dに対応する駆動信号DRV(m)により駆動される(mは、1≦m≦4Mを満たす自然数)。
以下において、駆動信号DRV(1)、DRV(2)、…、DRV(4M)の各々を「駆動信号DRV」と総称する場合がある。
また、インクジェットプリンター1の構成要素のうち、移動体5を除く構成要素を、「非搭載物」と総称する場合がある。非搭載物は、キャリッジ101の外側に設けられた構成要素であり、移動体5が往復動する場合であっても筐体100に対して移動しない構成要素である。以下では、インクジェットプリンター1の構成要素について、キャリッジ101の外側に設けられ(非搭載物であり)、且つ、移動体5が往復動する場合であっても筐体100に対して移動しないように設けられることを、「筐体100に設けられる」と表現することがある。
また、本実施形態において、各インクカートリッジ102は、キャリッジ101に搭載される搭載物EBであるが、キャリッジ101の外部に設けられる非搭載物であってもよい。
移動機構4は、移動体5を往復動させる駆動源となるキャリッジモーター41と、両端が筐体100に固定されたキャリッジガイド軸44と、キャリッジガイド軸44と平行に延在してキャリッジモーター41により駆動されるタイミングベルト42と、キャリッジモーター41を駆動するためのキャリッジモータードライバー43と、を有している。
図1(または、後述する図6)に示すように、タイミングベルト42は、キャリッジモーター41により回転駆動されるプーリー421と、回転自在なプーリー422とに掛けられ(掛け渡され)ている。そして、キャリッジモーター41がプーリー421を回転駆動すると、プーリー421の回転に連動してタイミングベルト42が正逆走行する。具体的には、プーリー421が回転駆動されると、タイミングベルト42のうちプーリー421及び422よりも上側(+Z方向)の部分が、+Y方向及び−Y方向のうち一方に移動し、タイミングベルト42のうちプーリー421及び422よりも下側(−Z方向)の部分が、+Y方向及び−Y方向のうち他方に移動する。このため、キャリッジモーター41がプーリー421を回転駆動することで、タイミングベルト42の端部(タイミングベルト42のうちキャリッジ101の固定具101aに固定された部分)が+Y方向または−Y方向に移動し、これに伴い、キャリッジ101が、キャリッジガイド軸44に案内されて、+Y方向及び−Y方向に往復動する。
給紙機構7は、その駆動源となる給紙モーター71と、給紙モーター71を駆動するための給紙モータードライバー73と、記録媒体Pを設置するトレイ77と、記録媒体Pを排出する排紙口(図示省略)と、記録ヘッド51の下側(−Z側)に設けられるプラテン74と、給紙モーター71の作動により回転して記録媒体Pを1枚ずつプラテン74上に給紙するための給紙ローラ72及び75と、給紙モーター71の作動により回転してプラテン74上の記録媒体Pを排紙口へと搬送する排紙ローラ76と、を備える。
給紙機構7は、記録媒体Pを図において+X方向に搬送することができる。以下、給紙機構7により記録媒体Pが搬送される経路を、「搬送経路」と称する
インクジェットプリンター1は、給紙機構7により記録媒体Pをプラテン74上に搬送したタイミングで、吐出部Dから当該記録媒体Pに対してインクを吐出させることで、記録媒体P上に画像を形成する印刷を行うことができる。
リニアエンコーダは、筐体100に固定され、主走査方向において所定の間隔でストライプ状の模様が印刷されたスケール831(図2参照)と、キャリッジ101においてスケールに向かい合う位置に配置された一対の発光素子及び受光素子からなるフォトインタラプタ(図示省略)と、を含む。リニアエンコーダは、キャリッジ101のY軸方向における移動量を検出し、検出結果を出力する。
ロータリーエンコーダは、図3に示すように、給紙ローラ72及び排紙ローラ76の回転方向において所定の角度でストライプ状の模様が印刷されたスケール832と、スケールに向かい合う位置に配置された一対の発光素子及び受光素子からなるフォトインタラプタ833と、を含む。ロータリーエンコーダは、給紙ローラ及び排紙ローラの回転量を検出し、検出結果を出力する。
送電部2は、非接触電力伝送方式である第1電力伝送方式により電力を伝送する第1電力伝送部の一例であり、送電部3は、第1電力伝送方式とは異なる非接触電力伝送方式である第2電力伝送方式により電力を伝送する第2電力伝送部の一例である。以下では、送電部2及び送電部3を、「送電部」と総称し、また、第1電力伝送部及び第2電力伝送部を「電力伝送部」と総称する場合がある。
なお、本実施形態において、湿度計85が検出する湿度Hは相対湿度である。つまり、湿度Hは、筐体100内部の温度において大気が含むことのできる水蒸気の最大量である飽和水蒸気量に対する、筐体100内部に実際に存在する水蒸気量の比率(%)である。
第1電力供給方式、及び、第2電力供給方式については後述する。
また、制御部6は、位置検出器83のリニアエンコーダが検出するキャリッジ101の主走査方向の移動量に基づいて、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycを算出し、位置検出器83のロータリーエンコーダが検出する給紙ローラ72等の回転量に基づいて、搬送系路上における記録媒体PのX軸方向における位置を算出する。そして、制御部6は、算出したキャリッジ101のY軸方向の位置Yc、及び、記録媒体PのX軸方向の位置等に基づいて、キャリッジモータードライバー43の動作を制御するための制御信号、及び、給紙モータードライバー73の動作を制御するための制御信号を生成し、これら生成した各種制御信号を出力する。これにより、制御部6は、キャリッジモータードライバー43の動作の制御を介して、記録媒体Pを一枚ずつ副走査方向(+X方向)に間欠送りするようにキャリッジモーター41を駆動させ、また、給紙モータードライバー73の動作の制御を介して、キャリッジ101を主走査方向(+Y方向及び−Y方向)に往復動させるように給紙モーター71を駆動させる。
このように、制御部6は、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御することにより、記録媒体Pを搬送しつつ、記録媒体P上に吐出されたインクにより形成されるドットサイズ及びドット配置を調整して、画像データImgに対応する画像を記録媒体Pに形成する印刷処理を実行する。
電力は電圧と電流との積で算出されるところ、負荷に対して電力を伝送するには、電力を発生する電力源から負荷に向かって電流を流し込む給電経路と、負荷から電力源へ戻りの電流が流れる放電経路と、が必要となる。即ち、一般的に、電力源は、給電経路及び放電経路を介して負荷に電気的に接続され、給電経路及び放電経路の間に電源電圧を印加する。
より具体的には、電源ユニット10は、送電部2の給電経路及び放電経路の間に電源電圧VsCを印加し(図7参照)、送電部3の給電経路及び放電経路の間に電源電圧VsLを印加する(図14参照)。
詳細は後述するが、電源ユニット10が出力する給電用の電源信号の電位及び放電用の電源信号の電位、つまり、電源ユニット10が印加する電源電圧の大きさは、制御部6から供給される制御信号CtrPに基づいて決定される。
ワイヤレス伝送部20は、非搭載物としてキャリッジ101の外側に設けられた平板PL1及び平板PL3と、搭載物EBとしてキャリッジ101に搭載された平板PL2及び平板PL4と、を含む。平板PL1〜PL4は、金属その他の導電性材料により形成されている。
本実施形態では、図3に示すように、平板PL1は、プラテン74等の搬送経路を挟んで平板PL2の反対側に設けられ、平板PL3は、搬送経路を挟んで平板PL4の反対側に設けられる。また、本実施形態では、平板PL1〜PL4は、上側(+Z方向)から見たときに、平板PL1の少なくとも一部と平板PL2の少なくとも一部とが重なり合い、平板PL3の少なくとも一部と平板PL4の少なくとも一部とが重なり合うように、配置される。
ここで、平板PL1及び平板PL3の各々は、「第1導電体」の一例であり、平板PL2及び平板PL4の各々は、「第2導電体」の一例である。送電部2の詳細については後述する。
本実施形態では、コイルL1及びL2は、+X方向または−X方向から見たときに、コイルL1の少なくとも一部とコイルL2の全部とが重なり合うように配置される。より具体的には、本実施形態では、図3に示すように、コイルL1は、筐体100のうち、キャリッジ101から見て−X方向の位置に設けられ、コイルL2は、キャリッジ101のうち、コイルL1から見て+X方向の位置に設けられる。ここで、コイルL1は「第3導電体」の一例であり、コイルL2は「第4導電体」の一例である。送電部3の詳細については後述する。
具体的には、制御部6は、湿度計85が検出するキャリッジ101内の湿度Hと、温度計86が検出するキャリッジ101内の温度と、位置検出器83の検出結果に基づいて算出したキャリッジ101の主走査方向の位置Ycと、に基づいて、送電部2の給電経路及び放電経路の間に印加する電源電圧VsCの大きさ(または、電源ユニット10が送電部2に対して供給する電力の大きさ)と、送電部3の給電経路及び放電経路の間に印加する電源電圧VsLの大きさ(または、電源ユニット10が送電部3に対して供給する電力の大きさ)と、を決定する。そして、制御部6は、当該決定結果に基づいて、電源電圧VsCの大きさと、電源電圧VsLの大きさと、を指定する制御信号CtrPを生成し、生成した制御信号CtrPを電源ユニット10に対して供給する。
電源ユニット10は、制御信号CtrPが供給されると、制御信号CtrPの指定する大きさの電源電圧VsCを、送電部2の給電経路及び放電経路の間に印加し、制御信号CtrPの指定する大きさの電源電圧VsLを、送電部3の給電経路及び放電経路の間に印加する。
なお、供給電力調整処理の詳細については後述する。
次に、図4及び図5を参照しつつ、記録ヘッド51と、記録ヘッド51に設けられる吐出部Dと、について説明する。
図4は、記録ヘッド51の概略的な一部断面図の一例である。なお、この図では、図示の都合上、記録ヘッド51のうち、4M個の吐出部Dの中の一の吐出部Dと、当該一の吐出部Dにインク供給口507を介して通連するリザーバ511と、インクカートリッジ102からリザーバ511にインクを供給するためのインク取り入れ口512と、を示している。
吐出部Dのキャビティ505は、凹部を有するような所定の形状に成形されたキャビティプレート506と、ノズルNが形成されたノズルプレート513と、振動板504と、により区画される空間である。キャビティ505は、インク供給口507を介してリザーバ511と連通している。リザーバ511は、インク取り入れ口512を介してインクカートリッジ102と連通している。
キャビティプレート506の上面開口部には、振動板504が設置され、この振動板504には、下部電極501が接合されている。このため、圧電素子500が駆動信号DRVにより振動すると、振動板504も振動する。そして、振動板504の振動によりキャビティ505の容積(キャビティ505内の圧力)が変化し、キャビティ505内に充填されたインクがノズルNより吐出される。
インクの吐出によりキャビティ505内のインクが減少した場合、リザーバ511からインクが供給される。また、リザーバ511へは、インクカートリッジ102からインク取り入れ口512を介してインクが供給される。
4M個のノズルNは、キャリッジ101に設けられた記録ヘッド51において、4列のノズル列に整列された態様で配置されている。より具体的には、図5に示すように、記録ヘッド51には、ブラックのインクを吐出するM個の吐出部Dにそれぞれ対応するM個のノズルNからなるノズル列LBKと、シアンのインクを吐出するM個の吐出部Dにそれぞれ対応するM個のノズルNからなるノズル列LCyと、マゼンタのインクを吐出するM個の吐出部Dにそれぞれ対応するM個のノズルNからなるノズル列LMgと、イエローのインクを吐出するM個の吐出部Dにそれぞれ対応するM個のノズルNからなるノズル列LYlと、が設けられている。なお、各ノズル列において、ノズルN間のピッチPxは、印刷解像度(dpi:dot per inch)に応じて適宜設定され得る。
また、キャリッジ101において、記録ヘッド51の+X方向には、平板PL2がY軸方向に延在するように設けられ、記録ヘッド51の−X方向には、平板PL4がY軸方向に延在するように設けられている。
次に、図6乃至図14を参照しつつ、第1電力伝送部の一例である送電部2、及び、第2電力伝送部の一例である送電部3について説明する。
図6は、送電部(送電部2、送電部3)の概要を示す説明図である。
図6に示すように、電源ユニット10は、給電経路211を介して送電回路21に電気的に接続されるとともに、放電経路221を介して送電回路21に電気的に接続される。そして、電源ユニット10は、制御信号CtrPに基づいて、給電経路211に給電用の電源信号を供給し、放電経路221に放電用の電源信号を供給することで、送電回路21に対して電源電圧VsCを印加する。
また、電源ユニット10は、給電経路311を介して送電回路31に電気的に接続されるとともに、放電経路321を介して送電回路31に電気的に接続される。そして、電源ユニット10は、制御信号CtrPに基づいて、給電経路311に給電用の電源信号を供給し、放電経路321に放電用の電源信号を供給することで、送電回路31に対して電源電圧VsLを印加する。
平板PL1は、キャリッジ101が往復動した場合であっても+Z方向または−Z方向から見て平板PL1の少なくとも一部と平板PL2の少なくとも一部とが重なるように、且つ、平板PL2の下側(−Z方向)に位置するように設けられる。このため、平板PL1及び平板PL2は電界結合して結合容量CM1を形成する。
当該結合容量CM1は、送電部2の給電経路の一部を構成する。また、結合容量CM1の容量値は、キャリッジ101のY軸方向の位置Yc(平板PL2のY軸方向位置)により変化する。
平板PL3は、キャリッジ101が往復動した場合であっても+Z方向または−Z方向から見て平板PL3の少なくとも一部と平板PL4の少なくとも一部とが重なるように、且つ、平板PL4の下側(−Z方向)に位置するように設けられる。このため、平板PL3及び平板PL4は電界結合して結合容量CM2を形成する。
当該結合容量CM2は、送電部2の放電経路の一部を構成する。また、結合容量CM2の容量値は、キャリッジ101のY軸方向の位置Yc(平板PL4のY軸方向位置)により変化する。
なお、平板PL2及びPL4の位置と、結合容量CM1及びCM2の容量値との関係については、後述する。
受電回路22は、給電経路214を介してヘッドユニット50に電気的に接続されるとともに、放電経路224を介してヘッドユニット50に電気的に接続される(図7参照)。
受電回路32は、給電経路312を介してヘッドユニット50に電気的に接続されるとともに、放電経路322を介してヘッドユニット50に電気的に接続される(図14参照)。
このため、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、筐体100に設けられた非搭載物である電源ユニット10から、キャリッジ101に搭載された搭載物EBであるヘッドユニット50に対して、非接触(ワイヤレス)で電力を伝送することができる。換言すれば、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、電源ユニット10から、ヘッドユニット50に対して、FFC等のキャリッジ101の往復動に連動してその位置を変化させる物理的な配線を用いることなく電力を伝送することができる。
また、従来のインクジェットプリンターにおいては、キャリッジの往復動に伴ってFFCが動くことに伴い発生するノイズが、ヘッドユニットに対して送信される制御信号に伝播することがあった。この場合、インクジェットプリンターが印刷する画像の画質の劣化の原因となることがあった。
次に、図7乃至図13を参照しつつ、送電部2の構成と、送電部2における電力の伝送効率について説明する。
この図に示すように、電源ユニット10は、端子TE01から給電経路211に対して給電用の電源信号VsC1を出力し、端子TE02から放電経路221に対して放電用の電源信号VsC2を出力することで、送電回路11の端子TE11と端子TE12との間に、電源信号VsC1の電位と電源信号VsC2の電位との電位差である電源電圧VsCを印加する。
結合容量CM1の他方の電極である平板PL2は、給電経路213を介して、受電回路22の端子TE21に電気的に接続される。また、結合容量CM2の他方の電極である平板PL4は、放電経路223を介して、受電回路22の端子TE22に電気的に接続される。
より具体的には、本実施形態では、送電部2が電界共鳴方式による電力の伝送を可能とするために、コイルL12及びコイルL21のそれぞれのインダクタンスと、容量C12及び容量C21のそれぞれの容量値と、が以下の条件1〜3を充足するように定められている。
(条件1)
コイルL12及び容量C12により構成されるLC回路においてLC共振が生じる。
(条件2)
コイルL21及び容量C21により構成されるLC回路においてLC共振が生じる。
(条件3)
コイルL12及び容量C12により構成されるLC回路の共振周波数と、コイルL21及び容量C21により構成されるLC回路の共振周波数と、が略同一の値となる。
なお、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、上述した条件1〜3の全ての条件を充足するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、条件1〜3のうちの一部の条件を充足するものであってもよいし、条件1〜3を充足しないものであってもよい。
また、本明細書において「略同一」とは、完全一致の場合のほか、製造誤差、ノイズによる誤差、その他の誤差が存在する場合をも含む概念である。
換言すれば、設計上同一であることを、「略同一」と称する。
なお、図8では、図7に示す電源ユニット10の内部抵抗を抵抗RSで表し、ヘッドユニット50の端子TE51及び端子TE52の間の電気抵抗を抵抗RLで表し、電源電圧VsCを電源電圧VSで表している。また、図8では、送電回路21を、インダクタンスLAのコイルと容量値CAの容量とを有する、送電回路21と等価な回路21Aで表し、受電回路22を、インダクタンスLBのコイルと容量値CBの容量とを有する、受電回路22と等価な回路22Aで表している。さらに、図8では、図7に示す結合容量CM1及びCM2の容量値が互いに等しいと仮定して、結合容量CM1及びCM2のインピーダンスを、インピーダンスZCMで表している。
ここで計算の便宜上、図9に示す回路における各種値を下記のように置き換える。
RS/2=RL/2=z0 ……式(1)
LA/2=LB/2=L ……式(2)
2CA=2CB=C ……式(3)
ZCM=R ……式(4)
この場合、図9に示す回路は、これと等価な図10に示す回路で表すことができる。
ここで、電圧透過係数とは、二端子対回路の入力端に印加された電圧に対する、出力端から出力される電圧の比率(電圧利得)を表す値である。また、電力透過係数とは、二端子対回路の入力端に供給される電力に対する、出力端から出力される電力の比率(電力利得)を表す値である。
そこで、以下では、二端子対回路2Sのインピーダンス行列ZMを算出し、次に二端子対回路2Sの散乱行列SMを算出することで、二端子対回路2Sの電圧透過係数及び電力透過係数を求める。
そして、二端子対回路TN1のインピーダンス行列をZM1とし、二端子対回路TN2のインピーダンス行列をZM2とすると、二端子対回路2Sのインピーダンス行列ZMは、以下の式(5)に基づいて定めることができる。
ZM=ZM1+ZM2 ……式(5)
Z1A=Z1B=jωL ……式(7)
すなわち、式(6)に式(7)を代入することで、二端子対回路TN1のインピーダンス行列ZM1を、以下の式(8)で表すことができる。
図12に示す、アドミタンスYMA、YMB、YMCを備える二端子対回路のアドミタンス行列YMは、以下の式(9)で表される。
YMA=YMC=jωC ……式(10)
同様に、図12に示す二端子対回路のアドミタンスYMBは、図10に示す二端子対回路TN2の要素である抵抗Rのアドミタンスに対応し、以下の式(11)で表される。
YMB=1/R ……式(11)
よって、図10に示す二端子対回路TN2のアドミタンス行列YM2は、式(9)に対して式(10)及び式(11)を代入した、式(12)として表される。
ω2LC=1 ……式(15)
z0<<R<<ωL ……式(19)
式(19)が成立することを前提とした場合、式(18)に示す値|s21|2は、以下の式(20)に示す値に近似される。この場合、電力透過係数の値|s21|2は、ほぼ「1」に近い値となり、送電部2は高い伝送効率を有することになる。
一般的に、インピーダンスz0に対応する電源ユニット10の抵抗RSは、小さい値に設定することが可能である。また、一般的に、結合容量(CM1、CM2)に係るインピーダンスZCMは、大きな値となる。よって、一般的に、「z0<<R」という条件は充足される。
結合容量CM1及びCM2の容量値をCMとした場合、インピーダンスR(インピーダンスZCM)は、容量値CMを用いることで以下の式(21)で表される。
この場合には、式(23)に示すように、電力透過係数の値|s21|2は、ほぼ「1」に近い値となる。
図13は、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycと、平板PL1〜PL4の位置との関係を説明するための説明図である。より具体的には、図13は、+X方向または−X方向から見たときの、キャリッジ101と、平板PL1〜PL4との位置関係を表している。
図13に示すように、「Ymin<YL<YR<Ymax」を満たす位置YL及び位置YRに対して、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが、「YL≦Yc≦YR」を満たす領域を中央部と称し、「Ymin≦Yc<YL」を満たす領域を−Y側の端部と称し、「YR<Yc≦Ymax」を満たす領域を+Y側の端部と称する。
換言すれば、本実施形態では、平板PL1がY軸方向に延在する範囲は、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL2のY軸方向の移動範囲よりも狭く、且つ、平板PL3がY軸方向に延在する範囲は、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL4のY軸方向の移動範囲よりも狭い。
また、キャリッジ101が−Y側または+Y側の端部を移動する場合、+Z方向または−Z方向から見て、平板PL1及びPL2が重なり合う面積は変化し、平板PL3及びPL4が重なり合う面積は変化する。このため、キャリッジ101が−Y側または+Y側の端部を移動する場合、結合容量CM1の容量値は変化し、結合容量CM2の容量値も変化する。
次に、図14を参照しつつ、送電部3について説明する。
図14は、送電部3の等価回路図の一例である。この図に示すように、電源ユニット10は、端子TE03から給電経路311に対して給電用の電源信号VsL1を出力し、端子TE04から放電経路321に対して放電用の電源信号VsL2を出力することで、送電回路31の端子TE31と端子TE32との間に、電源信号VsL1の電位と電源信号VsL2の電位との電位差である電源電圧VsLを印加する。
受電回路32は、端子TE33及び端子TE34の間に直列に設けられた容量C2及びコイルL2を備える。なお、本実施形態では、容量C2及びコイルL2は直列に接続されているが、容量C2及びコイルL2は並列に接続されるものであってもよい。また、容量C2として、コイルL2の寄生容量を利用するものであってもよい。
本実施形態では、送電部3が磁界共鳴方式による電力の伝送を可能とするために、コイルL1及びコイルL2のそれぞれのインダクタンスと、容量C1及び容量C2のそれぞれの容量値と、が以下の条件4〜7を充足するように定められている。
(条件4)
コイルL1及び容量C1により構成されるLC回路においてLC共振が生じる。
(条件5)
コイルL2及び容量C2により構成されるLC回路においてLC共振が生じる。
(条件6)
コイルL1及び容量C1により構成されるLC回路の共振周波数と、コイルL2及び容量C2により構成されるLC回路の共振周波数と、が略同一となる。
(条件7)
コイルL1のQ値を、「100」以上、好ましくは「1000」以上とする。
Q=ω1*L1/R1 ……式(24)
ここで、コイルL1及び容量C1により構成されるLC回路の共振周波数をω1は、電源ユニット10が出力する電源電圧VsLの角周波数ωである。
また、本実施形態に係る送電部3は、磁界共鳴方式により電力を伝送するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、電磁誘導方式、つまり、コイルL1及びコイルL2の間の相互誘導により電力を伝送するものであってもよい。
次に、図15及び図16を参照しつつ、ヘッドユニット50の構成及び動作について説明する。
図15は、ヘッドユニット50の等価回路図の一例である。この図に示すように、ヘッドユニット50は、記録ヘッド51と、ヘッド駆動回路52と、整流部53と、合成回路54と、を備える。
整流回路53Aは、送電部2から供給される交流電圧である出力電圧VoutCを、直流電圧に変換する。具体的には、整流回路53Aは、給電経路である電源線531の電位を高電位側の一定の電位VCHに設定し、放電経路である電源線532の電位を電位VCHよりも低電位の電位VCLに設定する。
整流回路53Bは、送電部3から供給される交流電圧である出力電圧VoutLを、直流電圧に変換する。具体的には、整流回路53Bは、給電経路である電源線533の電位を高電位側の一定の電位VLHに設定し、放電経路である電源線534の電位を電位VLHよりも低電位の電位VLLに設定する。
具体的には、合成回路54は、放電経路である電源線542の電位を、基準電位VSSに設定する。また、合成回路54は、給電経路である電源線541の電位を、電位VCH及び電位VCLの電位差と、電位VLH及び電位VLLの電位差と、基準電位VSSと、を加算して得られる電位VDDに設定する。
また、ヘッド駆動回路52は、給電経路である電源線541と、放電経路である電源線542と、にそれぞれ電気的に接続され、電源線541及び電源線542から供給される電力により動作する。
印刷信号PRTとは、制御部6が画像データImgに基づいて生成する信号であり、記録媒体Pの各画素に対する吐出部Dからのインクの吐出の有無と、吐出部Dから各画素に対してインクを吐出する場合におけるインクの吐出量と、を規定する信号である。印刷信号PRTには、4M個の吐出部Dと1対1に対応する印刷信号PRT(1)、PRT(2)、…、PRT(4M)が含まれる。
駆動信号生成部56は、印刷信号PRT(m)と、原駆動信号発生部55が生成する原駆動信号ODRVと、に基づいて、駆動信号DRV(m)を生成し、生成した駆動信号DRV(m)をm番目の吐出部Dに供給する。
図16に示すように、原駆動信号ODRVは、単位期間(キャリッジ101が一画素の間隔を横切る期間)毎に、パルスW1とパルスW2の2つのパルスを含む信号である。
駆動信号生成部56は、m番目の吐出部Dに対応する印刷信号PRT(m)に基づいて、原駆動信号ODRVを遮断したり通過させたりすることで、駆動信号DRV(m)を生成する。
例えば、図16に示す例では、駆動信号DRV(m)がパルスW1及びW2を含む場合、m番目の吐出部Dは大ドットに相当する量のインクを吐出するように駆動され、駆動信号DRV(m)がパルスW2のみを含む場合、m番目の吐出部Dは中ドットに相当する量のインクを吐出するように駆動され、駆動信号DRV(m)がパルスW1のみを含む場合、m番目の吐出部Dは小ドットに相当する量のインクを吐出するように駆動され、駆動信号DRV(m)がパルスW1及びW2の双方を含まない場合、m番目の吐出部Dはインクを吐出しないように駆動される。
ヘッドユニット50が、複数のヘッド駆動回路52を備える場合、制御部6は、複数のヘッド駆動回路52のそれぞれに、互いに異なる値を示す原駆動信号生成用パラメーターPRMを供給してもよい。この場合、複数のヘッド駆動回路52は、互いに異なる波形の原駆動信号ODRVを出力することができる。
次に、図17を参照しつつ、供給電力調整処理の詳細について説明する。
まず、制御部6は、湿度計85が検出するキャリッジ101内の湿度H(相対湿度)と、温度計86が検出するキャリッジ101内の温度と、に基づいて、キャリッジ101内の絶対湿度VH(g/m3)を算出する。ここで、絶対湿度VHとは、単位体積あたりの水蒸気量である。
次に、制御部6は、供給電力情報テーブルTBLにアクセスし、位置検出器83の検出結果に基づいて算出したキャリッジ101の位置Ycと、湿度H等に基づいて算出した絶対湿度VHと、に対応して記憶されている電源電圧VsC及びVsLの値を取得する。
その後、制御部6は、供給電力情報テーブルTBLから取得した電源電圧VsC及びVsLの値に基づいて、電源電圧VsC及びVsLの大きさを指定する制御信号CtrPを生成し、生成した制御信号CtrPを電源ユニット10に供給する。
この図に示すように、供給電力情報テーブルTBLは、絶対湿度VH、及び、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycと、電源電圧VsC及びVsLの大きさを示す値と、を関連付けて記憶している。
また、図17では、一例として、絶対湿度VHの示す値を10個の区間に区分している。
また、図17では、一例として、所定の基準電圧をVrとして、電源電圧VsC及びVsLの値を基準電圧Vrの倍数で表現している。
例えば、図17に示すように、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが中央部に位置する場合(つまり、Y4≦Yc≦Y96の場合)において、絶対湿度VHが「90≦VH」のときは、電源電圧VsCが「1.00*Vr」であり、電源電圧VsLが「0.00*Vr」であるが、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合が大きくなり、絶対湿度VHが「0≦VH<10」のときは、電源電圧VsCが「0.50*Vr」であり、電源電圧VsLが「1.20*Vr」となる。キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが端部に位置する場合も同様に、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合が大きくなる。但し、この図に示す例では、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが、「Ymin≦Yc<Y4」の場合、及び、「Y96<Yc≦Ymax」の場合には、例外的に、絶対湿度VHの値に関わらず、電源電圧VsCを「0.00*Vr」とし、電源電圧VsLを「2.00*Vr」としている。
結合容量CM1及びCM2の容量値は、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の間に存在する物質の誘電率が小さくなるに従って、小さくなる。水の誘電率は空気の誘電率よりも大きいため、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、結合容量CM1及びCM2の容量値は小さくなる。結合容量CM1またはCM2の容量値が小さくなる場合、送電部2における電力の伝送効率が低下する。送電部2における電力の伝送効率が低下すると、印刷処理に必要な電力をヘッドユニット50に供給できなくなり印刷の品位が低下するという不都合や、印刷処理に必要な電力をヘッドユニット50に供給するために電源ユニット10が送電部2に供給する電力が大きくなりインクジェットプリンター1の消費電力量が増大するという不都合等、各種不都合が生じる場合がある。
一方、送電部3は、磁界共鳴方式により電力を伝送する。一般的に、磁界共鳴方式における電力の伝送効率は、原則として、送電側の回路(コイル)と受電側の回路(コイル)との間に存在する物質が有する誘電率の影響を受けない。よって、送電部3による磁界共鳴方式を利用した電力の伝送においては、絶対湿度VHに関わらず、安定的な電力の伝送が可能である。
なお、式(23)において説明したとおり、送電部2における電力透過係数は「1」に近づけることが可能であるため、送電部2は、絶対湿度VHの低下に起因して送電部2の伝達伝送が著しく低下する場合を除き、送電部3よりも高い伝送効率で電力を伝送することが可能である。
これにより、絶対湿度VHの値が大きく、送電部2が高い伝送効率で電力を伝送できるときは、送電部2により伝送される電力の大きさを大きくし、一方、絶対湿度VHの値が小さく、送電部2における電力の伝送効率が低下するときは、送電部3により伝送される電力の大きさを大きくすることができる。
このため、本実施形態に係るインクジェットプリンター1では、絶対湿度VHの値に関わらず、送電部2及び送電部3の2つの送電部が全体として、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
例えば、図17に示すように、絶対湿度VHが「90≦VH」の場合において、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが中央部に位置するときは、電源電圧VsCが「1.00*Vr」であり、電源電圧VsLが「0.00*Vr」であるが、位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合が大きくなり、位置Ycが「Ymin≦Yc<Y1」または「Y99<Yc≦Ymax」に位置するときは、電源電圧VsCが「0.00*Vr」であり、電源電圧VsLが「2.00*Vr」となる。
また、一般的に、送電部3のように磁界共鳴方式で電力を伝送する場合、送電部2のように電界共鳴方式で電力を伝送する場合と比較して、送電側の回路と受電側の回路との間の距離が遠くなることに起因する電力の伝送効率の低下の程度は小さい。
このため、磁界共鳴方式により電力を伝送する送電部3は、送電回路31(特に、コイルL1)と受電回路32(特に、コイルL2)との間の距離が離れる場合であっても、安定的に電力を伝送することが可能である。また、本実施形態において、キャリッジ101が往復動する場合であっても、+X方向または−X方向から見て、コイルL1は、コイルL2の全部と重なる。すなわち、送電部3による電力の伝送においては、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycに関わらず、安定的な電力の伝送が可能である。
これにより、位置Ycが中央部に位置し、送電部2により高い伝送効率で電力を伝送できるときは、送電部2により伝送される電力の大きさを大きくし、一方、位置Ycが端部に位置し、送電部2における電力の伝送効率が低下するときは、送電部3により伝送される電力の大きさを大きくすることができる。
このため、本実施形態に係るインクジェットプリンター1では、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycに関わらず、送電部2及び送電部3の2つの送電部が全体として、高い伝送効率で電力を伝送することが可能となる。
より具体的には、境界線よりも中央部側、または、境界線よりも下側(絶対湿度VHが大きくなる側)では、電源電圧VsCが電源電圧VsL以上となり、境界線よりも端部側、または、境界線よりも上側(絶対湿度VHが小さくなる側)では、電源電圧VsCが電源電圧VsL以下となる。
すなわち、電源ユニット10は、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、または、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように、電源電圧VsC及びVsLを出力する。
換言すれば、電源ユニット10は、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、または、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って、送電部2に供給する電力の大きさに対する送電部3に供給する電力の大きさの割合が大きくなるように、送電部2及び送電部3に電力を供給する。
このため、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、または、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って、送電部2が伝送する電力の大きさ(及び出力電圧VoutCの大きさ)に対する、送電部3が伝送する電力の大きさ(及び出力電圧VoutLの大きさ)の割合が、大きくなる。
以上に説明したように、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、FFC等のキャリッジ101の往復動に連動してその位置を変化させる物理的な配線を用いることなく、キャリッジ101に搭載されたヘッドユニット50等の搭載物EBに対して電力を伝送することができる。このため、ヘッドユニットに対してFFC等の物理的な配線を用いて電力を伝送する従来のインクジェットプリンターと比較して、故障の頻度を低減させることが可能となり、または、電力伝送に伴うノイズの発生を抑制することが可能となる。
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下において説明する変形例では、説明の重複を避けるため、上述した本発明の実施形態との共通点については説明を省略する。
上述した実施形態では、平板PL1及び平板PL3の両方が、キャリッジ101の−Z方向側であって、キャリッジ101から見て記録媒体Pの搬送経路の逆側に設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、平板PL1及び平板PL3の一方または双方が、筐体100またはキャリッジガイド軸44に設けられてもよい。
この場合、平板PL2及び平板PL4は、キャリッジ101において、平板PL1及びPL2が互いに向かい合い、且つ、平板PL3及びPL4が互いに向かい合うような位置に設ければよい。
上述した実施形態及び変形例では、コイルL1は、筐体100のうち、キャリッジ101から見て−X方向となる位置に設けられるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、コイルL1は、キャリッジ101の外側に非搭載物として設けられていれば、どのような位置に設けられていてもよい。
例えば、図18に示すように、コイルL1を、筐体100のうち、キャリッジ101から見て+Z方向となる位置に設けてもよい。この場合、コイルL2は、例えば、キャリッジ101において、コイルL1と向かい合うように設けることが好ましい。
例えば、図19に示すように、コイルL1を、キャリッジ101から見て−Y方向となる位置に設けてもよい。この場合も、コイルL2は、例えば、キャリッジ101において、コイルL1と向かい合うように設けることが好ましい。
上述した実施形態及び変形例において、インクジェットプリンター1は、電界共鳴方式により電力を伝送する送電部2と、磁界共鳴方式により電力を伝送する送電部3と、を備えるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、2以上の非接触電力伝送方式により電力を伝送する2以上の送電部を備えるものであればよい。
例えば、インクジェットプリンター1は、電界共鳴方式により電力を送電する送電部2、及び、磁界共鳴方式により電力を送電する送電部3、に加え、電磁誘導方式により電力を伝送する送電部を更に備えるものであってもよい。
また、例えば、インクジェットプリンター1は、送電部2または送電部3に代えて、電磁誘導方式により電力を伝送する送電部を備えてもよい。
また、例えば、インクジェットプリンター1は、1または複数の送電部2と、1または複数の送電部3とを備えてもよい。すなわち、インクジェットプリンター1は、送電部2を2個以上備えるものであってもよいし、送電部3を2個以上備えるものであってもよい。
上述した実施形態及び変形例に係る制御部6は、供給電力調整処理において、絶対湿度VHとキャリッジ101のY軸方向の位置Ycとに基づいて制御信号CtrPを生成することで、電源ユニット10が複数の送電部の各々に対して供給する電力の大きさ(例えば、実施形態では、電源電圧VsC及びVsLの大きさ)を制御するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、制御部6は、送電部による電力の伝送効率を変化させる可能性のある各種要因のうち1または複数の要因に基づいて、電源ユニット10が複数の送電部の各々に対して供給する電力の大きさを制御するものであればよい。
換言すれば、上述した実施形態及び変形例に係る制御部6は、供給電力調整処理において、各送電部における電力の伝送効率が、絶対湿度VHとキャリッジ101のY軸方向の位置Ycとに基づいて決定されるとの前提の下に、電源ユニット10が複数の送電部の各々に対して印加する電圧(供給する電力)の大きさを決定するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、制御部6は、各送電部における電力の伝送効率が、送電部による電力の伝送効率を変化させる可能性のある各種要因のうち1または複数の要因に基づいて決定されるとの前提の下に、電源ユニット10が複数の送電部の各々に対して印加する電圧(供給する電力)の大きさを決定するものであればよい。
本変形例に係る供給電力調整処理としては、例えば、以下の第1乃至第4の態様が想定される。なお、以下の第1乃至第4の態様についての説明では、主に、実施形態のように、インクジェットプリンター1が送電部2及び送電部3の2つの送電部を備える場合を例示して説明するが、変形例3のように、インクジェットプリンター1が3以上の送電部を具備する場合についても、同様に当てはまる。
例えば、実施形態に示す例のように、インクジェットプリンター1が送電部2及び送電部3の2つの送電部を備える場合、制御部6は、絶対湿度VHの値が小さくなるに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御する。
実施形態に示す例の場合、制御部6は、例えば、絶対湿度VHの値が所定の値よりも大きい場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも大きくなり、絶対湿度VHの値が所定の値よりも小さい場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも小さくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御すればよい。
また、実施形態に示す例の場合、制御部6は、例えば、絶対湿度VHの値が所定の値よりも大きい場合に、送電部2が伝送する電力の大きさ(または、出力電圧VoutCの大きさ)が、送電部3が伝送する電力の大きさ(または、出力電圧VoutLの大きさ)よりも大きくなり、絶対湿度VHの値が所定の値よりも小さい場合に、送電部2が伝送する電力の大きさ(または、出力電圧VoutCの大きさ)が、送電部3が伝送する電力の大きさ(または、出力電圧VoutLの大きさ)よりも小さくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御してもよい。
なお、第1の態様において、供給電力情報テーブルTBLは、絶対湿度VHと、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧(実施形態に示す例の場合は、電源電圧VsC及びVsLの大きさを示す値)と、を関連付けて記憶していればよい。
例えば、実施形態に示す例のように、インクジェットプリンター1が送電部2及び送電部3の2つの送電部を備える場合、制御部6は、湿度Hが低くなるに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御する。
実施形態に示す例の場合、制御部6は、例えば、湿度Hが所定の湿度よりも高い場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも大きくなり、湿度Hが所定の湿度よりも低い場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも小さくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御すればよい。
なお、第2の態様において、供給電力情報テーブルTBLは、湿度Hと、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧(実施形態に示す例の場合は、電源電圧VsC及びVsLの大きさを示す値)と、を関連付けて記憶していればよい。
例えば、実施形態に示す例のように、インクジェットプリンター1が送電部2及び送電部3の2つの送電部を備える場合、制御部6は、位置Ycが位置Yminまたは位置Ymaxに近づくに従って電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御する。
なお、第3の態様において、供給電力情報テーブルTBLは、位置Ycと、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧(実施形態に示す例の場合は、電源電圧VsC及びVsLの大きさを示す値)と、を関連付けて記憶していればよい。
供給電力調整処理の第4の態様として、制御部6は、各送電部2が備える平板PL1及びPL2の距離、または、各送電部2が備える平板PL3及びPL4の距離の、一方または双方に基づいて、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧の大きさを制御する。ここで、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の距離とは、例えば、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の間の最短距離である。
例えば、実施形態に示す例のように、インクジェットプリンター1が送電部2及び送電部3の2つの送電部を備える場合、制御部6は、平板PL1及びPL2の距離(または、平板PL3及びPL4の距離)が長くなるに従って、電源電圧VsCに対する電源電圧VsLの割合(VsL/VsC)が大きくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御する。
実施形態に示す例の場合、制御部6は、例えば、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の距離が所定距離よりも短い場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも大きくなり、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の距離が所定距離よりも長い場合に、電源ユニット10が送電部2に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsCの大きさ)が、電源ユニット10が送電部3に供給する電力の大きさ(または、電源電圧VsLの大きさ)よりも小さくなるように、電源電圧VsC及びVsLの大きさを制御すればよい。
供給電力調整処理の第4の態様は、例えは、平板PL1及びPL2の間隔、または、平板PL3及びPL4の間隔の少なくとも一方が、キャリッジ101の移動に伴い変化する場合に適用することが好ましい。
なお、第4の態様において、供給電力情報テーブルTBLは、例えば、平板PL1及びPL2(平板PL3及びPL4)の距離と、電源ユニット10が各送電部に対して印加する電圧(実施形態に示す例の場合は、電源電圧VsC及びVsLの大きさを示す値)と、を関連付けて記憶していればよい。
上述した実施形態及び変形例において、平板PL1のY軸方向に延在する範囲は、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL2のY軸方向の移動範囲よりも狭く、且つ、平板PL3のY軸方向に延在する範囲は、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL4のY軸方向の移動範囲よりも狭いが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、平板PL1〜PL4は、平板PL1のY軸方向に延在する範囲が、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL2のY軸方向の移動範囲を包含し、且つ、平板PL3のY軸方向に延在する範囲が、キャリッジ101が往復動する場合の平板PL4のY軸方向の移動範囲を包含するように設けられるものであってもよい。
換言すれば、キャリッジ101が往復動する場合であっても、+Z方向または−Z方向から見て、平板PL2の全部が平板PL1と重なり、平板PL4の全部が平板PL3と重なるように、平板PL1〜PL4が設けられていてもよい。
この場合、キャリッジ101が往復動しても、結合容量CM1の容量値は略同一の値を維持し、結合容量CM2の容量値は略同一の値を維持する。このため、送電部2は、キャリッジ101が往復動する場合であっても、安定的に電力を伝送することができる。
なお、本変形例では、供給電力調整処理において、キャリッジ101のY軸方向の位置Ycを考慮する必要が無い。このため、本変形例では、供給電力調整処理として、例えば、変形例4で説明した第1の態様、第2の態様、または、第4の態様を適用することが好ましい。
上述した実施形態及び変形例において、結合容量CM1が備える2つの電極は、平板上の形状を有する平板PL1及びPL2であり、結合容量CM2が備える2つの電極は、平板上の形状を有する平板PL3及びPL4であるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、結合容量CM1が備える2つの電極の形状、及び、結合容量CM2が備える2つの電極の形状は、任意の形状でよい。
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンター1は、圧電素子500を振動させることによりノズルNからインクを吐出させるものであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、キャビティ505に設けられた発熱体(図示省略)を発熱させることによりキャビティ505内に気泡を生じさせてキャビティ505内部の圧力を高め、
これによりインクを吐出させる、所謂サーマル方式であってもよい。
Claims (6)
- 筐体と、
前記筐体に対して移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、液体を吐出する吐出部を備えるヘッドユニットと、
前記筐体に設けられた電力供給部と、
前記電力供給部から供給された電力の少なくとも一部を、電界共鳴方式により前記ヘッドユニットに伝送する第1電力伝送部と、
前記電力供給部から供給された電力の少なくとも一部を、前記電界共鳴方式とは異なる方式の非接触電力伝送方式により前記ヘッドユニットに伝送する第2電力伝送部と、
を備える、
ことを特徴とする印刷装置。 - 前記非接触電力伝送方式は磁界共鳴方式である、
ことを特徴とする、請求項1記載の印刷装置。 - 前記第1電力伝送部は、
前記筐体に設けられた導電体である第1導電体と、
前記キャリッジに搭載された導電体である第2導電体と、
を備え、
前記第1導電体と前記第2導電体とで形成される結合容量を介して、前記電力供給部から供給された電力を前記ヘッドユニットに伝送し、
前記第2電力伝送部は、
前記筐体に設けられた導電体である第3導電体と、
前記キャリッジに搭載された導電体である第4導電体と、
を備え、
前記第3導電体と前記第4導電体とによる電磁結合を介して、前記電力供給部から供給された電力を前記ヘッドユニットに伝送する、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の印刷装置。 - 前記第1導電体と前記第2導電体との距離に基づいて、
前記電力供給部が前記第1電力伝送部に供給する電力の大きさと、
前記電力供給部が前記第2電力伝送部に供給する電力の大きさと、を制御する制御部を備える、
ことを特徴とする、請求項3に記載の印刷装置。 - 前記筐体の内部の湿度を検出する検出部と、
前記検出部が検出した湿度に基づいて、
前記電力供給部が前記第1電力伝送部に供給する電力の大きさと、
前記電力供給部が前記第2電力伝送部に供給する電力の大きさと、を制御する制御部と、
を備える、
ことを特徴とする、請求項3に記載の印刷装置。 - 筐体と、
前記筐体に対して移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジに搭載され、液体を吐出する吐出部を備えるヘッドユニットと、
前記筐体に設けられた電力供給部と、
を備える印刷装置の前記ヘッドユニットに対する電力伝送方法であって、
前記電力供給部が供給する電力の少なくとも一部を、電界共鳴方式により前記ヘッドユニットに伝送し、
前記電力供給部が供給する電力の少なくとも一部を、前記電界共鳴方式とは異なる方式の非接触電力伝送方式により前記ヘッドユニットに伝送する、
ことを特徴とする電力伝送方法。
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