JP2015223803A - 液体吐出装置、及びその制御方法 - Google Patents

液体吐出装置、及びその制御方法 Download PDF

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修司 大▲塚▼
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勲 野村
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Hidenori Usuda
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徹 松山
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Abstract

【課題】電源ユニットからキャリッジに搭載されたヘッドユニットへ電力を無接点で伝送すると共に、当該伝送路を用いてキャリッジ側から筐体に設置されたCPUへ情報を伝送可能とする。
【解決手段】インクジェットプリンター1は、ヘッドユニット5に係るヘッド情報Ihを管理するヘッド情報管理部63と、ヘッドユニット5を搭載したキャリッジと、電力を供給する電源ユニット10と、筐体に設けられ、制御信号CtrHを生成するCPU6と、制御信号CtrHを無線によってヘッドユニット5へ伝送する無線インタフェース81及び82と、ヘッドユニットに対して非接触で電力を供給する送電部2と、ヘッド情報Ihをヘッド情報管理部63から送電部2を介してCPU6へ伝送するヘッド情報伝送部とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出装置、及びその制御方法に関する。
プリンターにおいては、筐体の内部に、インクを記録媒体へ吐出するプリンターヘッド(以下、ヘッドという。)を搭載したキャリッジが設けられており、キャリッジは主走査方向に移動する。ヘッドは駆動制御部により駆動される。ここで駆動制御部とヘッドとが共にキャリッジに搭載されている構成のプリンターが知られている。この種のプリンターにおいては、ヘッドを制御する印刷信号を、筐体に設けられた回路基板で生成する。ここで回路基板からキャリッジへ印刷信号を伝送する必要があるため、回路基板とキャリッジとは、屈曲性の高いフレキシブルフラットケーブル(以下、FFC(Flexible Flat Cable)という。)で連結されている。FFCは、筐体に設置された電力供給源から、キャリッジに搭載された駆動制御部への電力供給にも用いられる。
ヘッドユニットへの給電方法としては、FFCを用いる方法以外にも、キャリッジを移動させるためにキャリッジに接続されたタイミングベルトを利用する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
また、従来よりプリンターにおいては、インクの着弾位置のずれを軽減する補正技術が提案されている。例えば特許文献2には、ヘッドの温度を示す温度情報を、キャリッジに搭載されたセンサによって検出すると共に、印刷信号を生成する回路基板へ伝送し、この回路基板が当該温度情報に基づいて、液体の着弾位置のずれを軽減するような印刷信号を生成してヘッドを制御する技術が開示されている。
特開2011−46118号公報 特開2011−46077号公報
ところで、特許文献2に開示されているような補正技術を、FFCを備えないプリンターに適用する場合、筐体に設置された回路基板へ温度情報を無線送信するモジュールが新たに必要となる。そして、そのようなモジュールをキャリッジ上に設けた場合、当該モジュールの消費電力分だけ、キャリッジ側へ供給しなければならない電力が増加してしまう。また、当該モジュールに起因してキャリッジの重量が増加するため、キャリッジの駆動に要する電力自体も増加してしまう。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、電力供給源からキャリッジへ電力を供給可能とすると共に、キャリッジに搭載されたセンサから、筐体に設置された回路基板へ情報を伝達可能とした液体吐出装置を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置の一態様は、液体を吐出する複数の吐出部を含むヘッドユニットと、前記ヘッドユニットに係るヘッド情報を管理するヘッド情報管理部と、前記ヘッドユニットを搭載し、移動可能なキャリッジと、前記ヘッドユニットが前記液体を吐出する為の電力を供給する電力供給源と、前記電力供給源が設置された筐体と、前記筐体に設けられ、前記ヘッドユニットによる前記液体の吐出を制御する制御信号を生成する制御部と、前記筐体に設けられ、前記制御信号を無線によって前記ヘッドユニットへ伝送する制御信号伝送部と、前記ヘッドユニットに対して非接触で前記電力を供給する電力供給経路と、前記ヘッド情報を前記ヘッド情報管理部から前記電力供給経路を介して前記制御部へ伝送するヘッド情報伝送部とを備える。
この液体吐出装置の一態様によれば、ヘッド情報をヘッド情報管理部から電力供給経路を介して制御部へ伝送するので、キャリッジ側にヘッド情報を送信する送信機を設ける必要がなくなり、構成を簡素化することができる。しかも、送信機を動作させるためにキャリッジ側へより多くの電力を伝送する必要が無く、送信機を搭載しないだけキャリッジの重量を軽くできるのでキャリッジを移動するに要する電力も低減することが可能となる。
本発明に係る液体吐出装置の他の態様は、上述した液体吐出装置の一態様において、前記電力供給経路は、前記筐体に設置された筐体側導電体と、前記キャリッジに設置されたキャリッジ側導電体とを備え、前記電力は、前記筐体側導電体と前記キャリッジ側導電体との間の電界結合で形成される結合容量を介して、前記電力供給源から前記キャリッジへ伝送されることが好ましい。この態様によれば、無接点で電力を筐体側からキャリッジ側へ伝送することができ、ヘッド情報を無接点でキャリッジ側から筐体側へ伝送することができる。
本発明に係る液体吐出装置の他の態様は、上述した液体吐出装置の一態様において、前記ヘッド情報伝送部は、前記ヘッド情報に応じて、前記ヘッドユニット側の前記電力供給経路における共振周波数を変化させることが好ましい。
この態様によれば、筐体側の共振周波数と、ヘッドユニット側の共振周波数とが略一致する場合に電力の伝送効率が最大となるが、ヘッドユニット側の共振周波数をヘッド情報に応じて変化させることによって、電力の伝送効率が変化する。筐体側では、例えば、送信電力の変化を検知することによって、ヘッドユニット側から送信されたヘッド情報を再生することが可能となる。
本発明に係る液体吐出装置の他の態様は、上述した液体吐出装置の一態様において、前記制御信号は、前記吐出部による前記液体の吐出のタイミングを制御するタイミング制御信号であり、前記ヘッド情報は、前記吐出部の特性を示し、前記制御部は、前記ヘッド情報に基づいて、前記液体の吐出のタイミングを調整するように前記タイミング制御信号を生成することが好ましい。
液体の吐出タイミングは、吐出部の特性(特に、圧電素子の特性)によって異なるところ、この態様によれば、ヘッド情報は吐出部の特性を示すので、制御部は、液体の吐出のタイミングを調整したタイミング制御信号を生成することができる。これにより、吐出精度を向上させ、成果物の品質を向上させることができる。
本発明に係る液体吐出装置の他の態様は、上述した液体吐出装置の一態様において、前記制御信号は、前記吐出部を駆動させて前記液体を吐出させる駆動信号であり、前記ヘッド情報は、前記吐出部の特性を示し、前記制御部は、前記ヘッド情報に基づいて、前記吐出部の駆動を調整するように前記駆動信号を生成することが好ましい。
液体の吐出量は、吐出部の特性(特に、圧電素子の特性)によって異なるところ、この態様によれば、ヘッド情報は吐出部の特性を示すので、制御部は、液吐出部の駆動を調整を調整した駆動信号を生成することができる。これにより、液体の吐出量を正確に制御することが可能となり、成果物の品質を向上させることができる。
本発明に係る液体吐出装置の他の態様は、上述した液体吐出装置の一態様において、前記ヘッド情報は、前記ヘッドユニットの温度を示すことを特徴とする。液体の粘性は温度によって変化するところ、この態様によれば、温度を伝送するいことができるので、温度に基づいて補正が可能となる。また、温度が所定温度以上になると、正常な吐出動作が不能になることもあり、そのような場合に吐出動作を停止させることによって、低品質な成果物を減らすことができる。
本発明に係る液体吐出装置の他の態様は、上述した液体吐出装置の一態様において、前記ヘッド情報は固定の値であり、前記ヘッド情報伝送部は、前記電力の供給開始時に前記ヘッド情報を前記ヘッド情報管理部から前記電力供給経路を介して前記制御部へ伝送する、ことが好ましい。固定の値であれば、一度伝送すればその後は繰り返し伝送する必要もない。このような場合、電力開始時にヘッド情報を伝送することによって、その後の液体の吐出動作にヘッド情報を反映させることができる。なお、電力の供給開始時とは、電力の供給開始から所定時間が経過するまでの期間であって、液体の吐出動作が開始する前であることが好ましい。
本発明に係る液体吐出装置の他の態様は、上述した液体吐出装置の一態様において、前記ヘッド情報は可変の値であり、前記ヘッド情報伝送部は、前記ヘッドユニットが所定状態にある場合に、前記ヘッド情報を前記ヘッド情報管理部から前記電力供給経路を介して前記制御部へ伝送することが好ましい。この態様によれば、所定状態になると(例えば、温度が所定温度以上になる)、リアルタイムでヘッド情報が伝送されるので、時間経過に応じて変化するヘッドユニットの状態を制御部で把握することが可能となる。
本発明に係る液体吐出装置の制御方法の一態様は、液体を吐出する複数の吐出部を含むヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを搭載し、移動可能なキャリッジと、前記ヘッドユニットが前記液体を吐出する為の電力を供給する電力供給源と、前記電力供給源が設置された筐体と、前記筐体に設けられ、前記ヘッドユニットによる前記液体の吐出を制御する制御信号を生成する制御部と、前記筐体に設けられ、前記制御信号を無線によって前記ヘッドユニットへ伝送する制御信号伝送部と、前記ヘッドユニットに対して非接触で前記電力を供給する電力供給経路とを備えた液体吐出装置を制御する方法であって、前記電力供給経路を介して前記電力を前記電力供給源から前記ヘッドユニットに伝送し、前記ヘッドユニットに係るヘッド情報を、前記電力供給経路を介して前記制御部へ伝送する、ことを特徴とする。この態様によれば、ヘッド情報を電力供給経路を介して伝送するので、ヘッド情報の伝送路を別途設ける必要がなくなり、構成と制御の方法を簡素化することができる。
本発明の実施形態に係るインクジェットプリンターの構成を示すブロック図。 インクジェットプリンターの構成の概要を示す斜視図。 インクジェットプリンターの概略的な部分断面図。 ヘッド部の概略的な部分断面図。 ヘッド部におけるノズルNの配置を示す平面図。 送電部の給電経路及び放電経路について説明するための説明図。 送電部の回路図。 送電部の動作を説明するための説明図。 送電部の動作を説明するための説明図。 送電部の動作を説明するための説明図。 送電部の動作を説明するための説明図。 送電部の動作を説明するための説明図。 ヘッドユニットの構成を示すブロック図。 原駆動信号、印刷信号、駆動信号を説明するための説明図。 補正部の構成例を示す図。 ヘッド情報の伝達を示す図。 変形例に係る整合調整部の構成を示す回路図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<1.インクジェットプリンターの構成>
図1は、印刷システム100の構成を示す機能ブロック図である。この図に示すように、印刷システム100は、インクジェットプリンター1と、ホストコンピューター9とを備える。
ホストコンピューター9は、例えば、パーソナルコンピューターやデジタルカメラ等である。
図1に示すように、ホストコンピューター9は、ホストコンピューター9の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)91と、RAM(Random Access Memory)やハードディスクドライブ等を含む記憶部92と、ディスプレイ等の表示部93と、キーボードやマウス等の操作部94と、を備える。
記憶部92には、インクジェットプリンター1に対応するプリンタードライバープログラムが記憶されている。CPU91は、プリンタードライバープログラムを実行することで、インクジェットプリンター1の利用者が印刷しようとする画像データに対して、ハーフトーン処理や、ラスタライズ処理を施す。これにより、CPU91は、画像データを変換して、インクジェットプリンター1による印刷処理に対応した印刷データPDを生成する。
図2は、インクジェットプリンター1の内部構成の概略を示す斜視図であり、図3は、インクジェットプリンター1の断面構造の概略を示す断面図である。図1に加え、図2及び図3を参照しつつ、インクジェットプリンター1の構成について説明する。
本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、インク(「液体」の一例)を吐出して記録媒体Pに画像を形成する「印刷装置」の一例である。
図2に示すように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各構成要素を収容する筐体31と、筐体31に対して+Y方向及び−Y方向(「主走査方向」の一例)に往復動するキャリッジ32と、を備える。
図2に示すように、キャリッジ32には、ヘッドユニット5と、4個のインクカートリッジ33と、が搭載されている。
キャリッジ32に搭載された4個のインクカートリッジ33は、イエロー(Yl)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、及び、ブラック(Bk)の4つの色と1対1に対応して設けられたものであり、各インクカートリッジ33には、当該インクカートリッジ33に対応する色のインクが充填されている。
図1に示すように、ヘッドユニット5は、M個の吐出部Dを具備するヘッド部30と、各吐出部Dを駆動するための駆動信号DRVを生成するヘッド駆動回路50と、を備える(Mは、4以上の自然数)。M個の吐出部Dは、4個のインクカートリッジ33と1対1に対応するように4つのグループに分けられている。各吐出部Dは、4個のインクカートリッジ33のうち、対応するインクカートリッジ33からインクの供給を受ける。そして、各吐出部Dは、対応するインクカートリッジ33から供給されたインクを内部に充填し、充填したインクを、駆動信号DRVに基づいて、当該吐出部Dが備えるノズルNから吐出することができる。このため、M個の吐出部Dから全体として4色のインクを吐出することができ、インクジェットプリンター1によるフルカラー印刷が可能となる。これら、ヘッドユニット5の詳細については後述する。
なお、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素のうち、キャリッジ32の搭載されたものを、「搭載物EB」と総称する場合がある。
また、図1に示すように、インクジェットプリンター1は、キャリッジ32を+Y方向及び−Y方向に往復動させるための移動機構4を備える。
図1及び図2に示すように、移動機構4は、キャリッジ32を往復動させる駆動源となるキャリッジモーター41と、その両端が筐体31に固定されたキャリッジガイド軸44と、キャリッジガイド軸44と平行に延在してキャリッジモーター41により駆動されるタイミングベルト42と、キャリッジモーター41を駆動するためのキャリッジモータードライバー43と、を含む。
キャリッジ32は、キャリッジガイド軸44に往復動自在に支持されている。また、キャリッジ32に固定された固定具321(図6参照)は、タイミングベルト42の接続部に固定されている。
図2(または、後述する図6)に示すように、タイミングベルト42は、プーリー421とプーリー422と掛けられ(掛け渡され)ている。そして、キャリッジモーター41がプーリー421を回転駆動すると、プーリー421の回転に連動してタイミングベルト42が正逆走行する。具体的には、プーリー421が回転駆動されると、タイミングベルト42のうちプーリー421及び422よりも上側(+Z方向)の部分が、+Y方向及び−Y方向のうち一方に移動し、タイミングベルト42のうちプーリー421及び422よりも下側(−Z方向)の部分が、+Y方向及び−Y方向のうち他方に移動する。このため、キャリッジモーター41がプーリー421を回転駆動することで、タイミングベルト42の接続部(タイミングベルト42のうちキャリッジ32の固定具321に固定された部分)が+Y方向または−Y方向に移動し、これに伴い、キャリッジ32が、キャリッジガイド軸44に案内されて、+Y方向及び−Y方向に往復動する。
図1に示すように、インクジェットプリンター1は、記録媒体Pを供給・排出するための給紙機構7を備える。
図1及び図2に示すように、給紙機構7は、その駆動源となる給紙モーター71と、給紙モーター71を駆動するための給紙モータードライバー73と、記録媒体Pを設置するトレイ77と、キャリッジ32の下側(−Z方向)に設けられるプラテン74と、給紙モーター71の作動により回転して記録媒体Pを1枚ずつプラテン74上に供給するための給紙ローラ72及び75と、給紙モーター71の作動により回転してプラテン74上の記録媒体Pを排紙口(図示省略)へと搬送する排紙ローラ76と、を備える。この、給紙機構7は、記録媒体Pを図において+X方向に搬送することができる。以下、給紙機構7により記録媒体Pが搬送される経路を、「搬送経路」と称する。
インクジェットプリンター1は、搬送経路上(より正確には、プラテン74上)に搬送された記録媒体Pに対して、複数の吐出部Dからインクを吐出させることで、記録媒体P上に画像を形成する印刷処理を実行する。
図1に示すように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御するCPU6と、各種情報を記憶する記憶部62と、インクジェットプリンター1の各部に電力を供給する電源ユニット10(「電力供給源」の一例)と、電源ユニット10から供給された電力をヘッドユニット5に伝送するための送電部2(「電力伝送部」の一例)と、キャリッジ32や記録媒体Pの位置を検出する検出器群83と、エラーメッセージ等を表示する表示部や各種スイッチ等で構成される操作部等からなる操作パネル84と、を備える。
記憶部62は、ホストコンピューター9から図示省略したインタフェース部を介して供給される印刷データPD及び記録媒体データMDをデータ格納領域に一時的に格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)と、印刷処理等の各種処理を実行する際に必要なデータを一時的に格納し、あるいは印刷処理等の各種処理を実行するための制御プログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)と、インクジェットプリンター1の各部を制御するための制御プログラムや、後述する記録媒体情報テーブルTBL等を格納する、不揮発性半導体メモリーの一種であるPROMと、を備える。
CPU6は、ホストコンピューター9から図示省略したインタフェース部を介して供給される印刷データPD及び記録媒体データMDを、記憶部62に記憶させる。そして、CPU6は、これら印刷データPD及び記録媒体データMDに基づいて、ヘッドユニット5、電源ユニット10、移動機構4、及び、給紙機構7等の動作を制御することにより、記録媒体Pに印刷データPDに応じた画像を形成する印刷処理を実行する。
具体的には、CPU6は、印刷データPD及び記録媒体データMDに基づいて、ヘッド駆動回路50の動作を制御して各吐出部Dを駆動させるための制御信号CtrHを生成し、筐体31に設けられた無線インタフェース81と、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載された無線インタフェース82との間の無線通信を介して、制御信号CtrHをヘッドユニット5に供給する。これにより、CPU6は、ヘッド駆動回路50の動作の制御を介して、各吐出部Dからのインクの吐出の有無と、インクを吐出する場合におけるインクの吐出量及び吐出タイミングを制御する。
また、CPU6は、記憶部62に格納されている各種データと、検出器群83からの検出値と、に基づいて、キャリッジモータードライバー43の動作を制御するための制御信号、及び、給紙モータードライバー73の動作を制御するための制御信号を生成し、これら生成した各種制御信号を出力する。これにより、CPU6は、キャリッジモータードライバー43の動作の制御を介して、記録媒体Pを一枚ずつ副走査方向(+X方向)に間欠送りするようにキャリッジモーター41を駆動させ、また、給紙モータードライバー73の動作の制御を介して、キャリッジ32を主走査方向(+Y方向及び−Y方向)に往復動させるように給紙モーター71を駆動させる。
このように、CPU6は、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御することで、記録媒体P上に吐出されたインクにより形成されるドットサイズ及びドット配置を調整し、印刷データPDに対応する画像を記録媒体Pに形成する印刷処理を実行する。
検出器群83は、リニアエンコーダ831と、ロータリーエンコーダ832とを含む。
リニアエンコーダ831は、主走査方向において所定の間隔でストライプ状の模様が印刷されたスケールと、キャリッジ32のスケールに向かい合う位置に配置された一対の発光素子及び受光素子と、を含む(図2においては、スケールのみ図示)。このリニアエンコーダ831は、キャリッジ32の主走査方向における移動量を検出し、検出結果を出力する。
ロータリーエンコーダ832は、給紙ローラ及び排紙ローラの回転方向において所定の角度でストライプ状の模様が印刷されたスケールと、スケールに向かい合う位置に配置された一対の発光素子及び受光素子と、を含む(図3参照)。このロータリーエンコーダ832は、給紙ローラ及び排紙ローラの回転量を検出し、検出結果を出力する。CPU6は、リニアエンコーダ831からの検出結果に基づいて、キャリッジ32のY軸方向における位置を算出することができ、また、ロータリーエンコーダ832からの検出結果に基づいて、搬送系路上における記録媒体PのX軸方向における位置を算出することができる。
電源ユニット10は、筐体31に設けられ、送電部2を介して、ヘッドユニット5等の搭載物EBに対して電力を供給する。
電力は電圧と電流との積で算出されるところ、負荷に対して電力を伝送するには、電力を発生する電力源から負荷に向かって電流を流し込む給電経路と、負荷から電力源へ戻りの電流が流れる放電経路と、が必要となる。即ち、一般的に、電力源は、給電経路及び放電経路を介して負荷に電気的に接続され、給電経路及び放電経路に電源電圧を印加する。
本実施形態にかかる電源ユニット10は、電気コード等を介して家庭用ACコンセント等に接続され、交流電圧を発生する。そして、電源ユニット10は、給電経路に第1の電源信号を供給し、放電経路に第2の電源信号を供給することによって、第1の電源信号と第2の電源信号の電位差として与えられる電源電圧を、給電経路及び放電経路に印加する。
なお、本実施形態において、「電力を供給する」には、給電経路及び放電経路の少なくとも一方に電源信号を供給することで、給電経路及び放電経路に電源電圧を印加することを含む。
また、詳細は後述するが、電源ユニット10が出力する第1の電源信号の電位、及び、第2の電源信号の電位、または、電源電圧の大きさは、CPU6から供給される電源制御信号CtrPに基づいて決定される。
なお、インクジェットプリンター1は、電源ユニット10の他に、家庭用ACコンセント等に接続されたDC電源(図示省略)を備える。筐体31に固定された各部に対しては、当該DC電源から電力が供給される。
図1に示すように、送電部2は、筐体31に設けられた送電回路11と、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載された受電回路12と、ワイヤレス伝送部20と、を含む。
ワイヤレス伝送部20は、筐体31に設けられた、導電体21及び導電体23と、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載された、導電体22及び導電体24と、を含む。より具体的には、図3に示すように、導電体21は、プラテン74等の搬送経路を挟んで導電体22の反対側に設けられ、導電体23は、搬送経路を挟んで導電体24の反対側に設けられる。また、導電体21〜24は、上側(+Z方向)から見たときに、導電体21の少なくとも一部と導電体22の少なくとも一部とが重なり合い、導電体23の少なくとも一部と導電体24の少なくとも一部とが重なり合うように、配置される。なお、送電部2の詳細については後述する。
また、インクジェットプリンター1は、ヘッドユニット5に係るヘッド情報Ihを収集して利用することで、インクの着弾位置のずれを軽減する制御(以下、「補正制御」という。)を行うための補正部200を備える。ヘッド情報Ihは、ヘッドユニット5に関する情報であればどのようなものであってもよいが、この例では、インクの吐出に関する情報であって、ヘッドユニット5の温度を示すものである。インクは温度に応じて粘性が変化する。したがって、ヘッドユニット5の温度は、インクの吐出を制御するのに有用な情報となる。
補正部200は、筐体31に設けられたヘッド情報取得部67と、キャリッジ32に設けられた温度センサ61とヘッド情報管理部63と整合調整部65と、を備える。このうち、整合調整部65とヘッド情報取得部67とは、ヘッド情報Ihをヘッド情報管理部63から電力供給経路たる送電部2を介してCPU6へ伝送するヘッド情報伝送部として機能する。本実施形態では、ヘッド情報Ihは、上述した電力供給経路たる送電部2を介して、キャリッジ32から筐体31に設置されたCPU6に伝達される。従って、ヘッド情報Ihをキャリッジ32側から、筐体31に設置されたCPU6へ伝送するための無線モジュール等が不要となる。なお、補正部200に係る構成については、図面を参照して後に詳述する。
<2.ヘッド部について>
次に、図4及び図5を参照しつつ、ヘッド部30と、ヘッド部30に設けられる吐出部Dと、について説明する。図4は、ヘッド部30の概略的な一部断面図の一例である。なお、この図では、図示の都合上、ヘッド部30のうち、M個の吐出部Dの中の1個の吐出部Dと、当該吐出部Dにインク供給口360を介して通連するリザーバ350と、インクカートリッジ33からリザーバ350にインクを供給するためのインク取り入れ口370と、を示している。
図4に示すように、吐出部Dは、圧電素子300と、内部にインクが充填されたキャビティ320(圧力室)と、キャビティ320に通連するノズルNと、振動板310と、を備える。この吐出部Dは、圧電素子300が駆動信号DRVにより駆動されることにより、キャビティ320内のインクをノズルNから吐出させる。
吐出部Dのキャビティ320は、凹部を有するような所定の形状に成形されたキャビティプレート340と、ノズルNが形成されたノズルプレート330と、振動板310と、により区画される空間である。このキャビティ320は、インク供給口360を介してリザーバ350と連通している。リザーバ350は、インク取り入れ口370を介してインクカートリッジ33と連通している。
本実施形態では、圧電素子300として、図4に示すようなユニモルフ(モノモルフ)型を採用する。この圧電素子300は、下部電極301と、上部電極302と、下部電極301及び上部電極302の間に設けられた圧電体303と、を有する。そして、下部電極301に後述する基準電位VSSが供給され、上部電極302に駆動信号DRVが供給されることで、下部電極301及び上部電極302の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子300が図において上下方向に撓み、その結果、圧電素子300が振動する。
キャビティプレート340の上面開口部には、振動板310が設置され、この振動板310には、下部電極301が接合されている。このため、圧電素子300が駆動信号DRVにより振動すると、振動板310も振動する。そして、この振動板310の振動によりキャビティ320の容積(キャビティ320内の圧力)が変化し、キャビティ320内に充填されたインクがノズルNより吐出される。
インクの吐出によりキャビティ320内のインクが減少した場合、リザーバ350からインクが供給される。また、リザーバ350へは、インクカートリッジ33からインク取り入れ口370を介してインクが供給される。
図5は、キャリッジ32を+Z方向または−Z方向から見たときの、ヘッド部30が備えるM個のノズルNの配置と、導電体22及び導電体24の配置と、を説明するための説明図である。
M個のノズルNは、キャリッジ32にも受けられたヘッド部30において、4列のノズル列に整列された態様で配置されている。より具体的には、図5に示すように、ヘッド部30には、ブラックのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LBKと、シアンのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LCyと、マゼンタのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LMgと、イエローのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LYlと、が設けられている。なお、各ノズル列において、ノズルN間のピッチPxは、印刷解像度(dpi:dot per inch)に応じて適宜設定され得る。
また、キャリッジ32において、ヘッド部30の+X方向には、導電体22がY軸方向に延在するように設けられ、ヘッド部30の−X方向には、導電体24がY軸方向に延在するように設けられている。
なお、本実施形態において、各ノズル列は、図5に示すように、複数のノズルNをX軸方向に一列に整列したものであるが、本発明はこのような態様のノズル列に限定するものではなく、例えば、各ノズル列を構成する複数のノズルNのうち偶数番目のノズルNと奇数番目のノズルNとのY軸方向の位置が異なる、所謂千鳥状に配列されたノズル列を有するものであってもよい。
<3.送電部について>
次に、図6及び図7を参照しつつ、送電部2について説明する。
図6は、送電部2の給電経路及び放電経路について説明するための説明図である。
図6に示すように、電源ユニット10は、給電経路211を介して送電回路11に電気的に接続されるとともに、放電経路221を介して送電回路11に電気的に接続される。そして、電源ユニット10は、給電経路211に第1の電源信号を供給し、放電経路221に第2の電源信号を供給することで、送電回路11に対して電源電圧を印加する。
送電回路11は、給電経路212を介して導電体21に電気的に接続され、放電経路222を介して導電体23に電気的に接続される。
図6に示すように、導電体21は、キャリッジ32に設けられた導電体22の下側(−Z方向)であって、キャリッジ32の往復動に伴う導電体22のY軸方向の移動範囲を包含するように、Y軸方向に延在している。このため、導電体21及び導電体22は、キャリッジ32が主走査方向に往復動する場合であっても、互いに向かい合った状態を維持することができる。よって、導電体21及び導電体22は、電界結合して結合容量CM1を形成し、当該結合容量CM1の容量値は、キャリッジ32が主走査方向に往復動しても、略一定の値に保たれる。当該結合容量CM1は、給電経路の一部を構成する。
同様に、導電体23は、キャリッジ32に設けられた導電体24の下側(−Z方向)であって、キャリッジ32の往復動に伴う導電体24のY軸方向の移動範囲を包含するように、Y軸方向に延在している。このため、導電体23及び導電体24は、電界結合して結合容量CM2を形成し、当該結合容量CM2の容量値は、キャリッジ32が主走査方向に往復動しても、略一定の値に保たれる。当該結合容量CM2は、給電経路の一部を構成する。
導電体22は、給電経路213を介して受電回路12に電気的に接続され、導電体24は、放電経路223を介して受電回路12に電気的に接続される。そして、受電回路12は、給電経路214を介してヘッドユニット5に電気的に接続されるとともに、放電経路224を介してヘッドユニット5に電気的に接続される(図7参照)。
このように、本実施形態では、給電経路211〜214及び結合容量CM1により給電経路が形成され、放電経路221〜224及び結合容量CM2により放電経路が形成される。すなわち、給電経路の一部が結合容量CM1により構成され、放電経路の一部が結合容量CM2により構成される。このため、電源ユニット10から、キャリッジ32に搭載されたヘッドユニット5等の搭載物EBに対する電力の伝送を、非接触(ワイヤレス)で行うことが可能となる。
なお、導電体21及び導電体23の各々は「第1導電体」の一例であり、導電体22及び導電体24の各々は第1導電体に向かい合う「第2導電体」の一例である。すなわち、ワイヤレス伝送部20は、電源ユニット10から供給された電力の少なくとも一部を、第1導電体及び第2導電体で形成される結合容量を介して、ヘッドユニット5等の搭載物EBに伝送する。
このため、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、筐体31に設けられた電源ユニット10から、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載されたヘッドユニット5に対して、FFC等の物理的な配線を用いることなく電力を伝送することが可能となる。
上述のとおり、従来のインクジェットプリンターでは、筐体側の電源源からキャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して、FFC等の物理的配線を用いて電力を伝送していた。このような従来のインクジェットプリンターにおいては、キャリッジが主走査方向に往復動する場合において、FFCが物理的障害となることがあった。また、従来のインクジェットプリンターにおいては、キャリッジの往復動に伴ってFFCが動くことに伴い発生するノイズが、ヘッドユニットに対して送信される制御信号に伝播することがあった。
このような、FFCの存在に起因する不都合が、インクジェットプリンターの故障の原因となり、または、インクジェットプリンターが印刷する画像の画質の劣化の原因となることがあった。
これに対して、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、FFCを用いることなく電力を伝送することが可能となる。これにより、FFCに関連する各種不都合を解消することができ、ヘッドユニットに対してFFCを用いて電力を伝送する従来のインクジェットプリンターと比較して、印刷の品位を高めることが可能となり、または、インクジェットプリンター1の故障頻度を低減させることが可能となる。
図7は、送電部2の等価回路図の一例である。
この図に示すように、電源ユニット10は、端子TE01から給電経路211に対して第1の電源信号VS1を出力し、端子TE02から放電経路221に対して第2の電源信号VS2を出力することで、送電回路11の端子TE11と端子TE12との間に、第1の電源信号VS1の示す電位と第2の電源信号VS2の示す電位との電位差である電源電圧VSを印加する。
図7に示すように、送電回路11は、端子TE11と端子TE12との間に設けられた容量C1と、容量C1に並列に接続されたインダクタL1と、端子TE13と端子TE14との間に設けられた容量C2と、容量C2に並列に接続されたインダクタL2と、を備える。インダクタL1及びインダクタL2は、電磁的に結合しており、インダクタL1に流れる電流の大きさが変化すると電磁誘導により磁場が発生し、当該磁場によりインダクタL2に誘導起電力を生じる。これらインダクタL1及びインダクタL2は、変圧器として機能する。
図7に示すように、送電回路11の端子TE13は、給電経路212を介して、結合容量CM1の一方の電極である導電体21に電気的に接続され、送電回路11の端子TE14は、放電経路222を介して、結合容量CM2の一方の電極である導電体23に電気的に接続される。
結合容量CM1の他方の電極である導電体22は、給電経路213を介して、受電回路12の端子TE21に電気的に接続される。また、結合容量CM2の他方の電極である導電体24は、放電経路223を介して、受電回路12の端子TE22に電気的に接続される。
図7に示すように、受電回路12は、端子TE21と端子TE22との間に設けられた容量C3と、容量C3に並列に接続されたインダクタL3と、端子TE23と端子TE24との間に設けられた容量C4と、容量C4に並列に接続されたインダクタL4と、を備える。インダクタL3及びインダクタL4は、電磁的に結合しており、インダクタL3に流れる電流の大きさが変化すると電磁誘導により磁場が発生し、当該磁場によりインダクタL4に誘導起電力を生じる。これらインダクタL3及びインダクタL4は、変圧器として機能する。
受電回路12は、端子TE23から給電経路214に対して第1の出力信号Vout1を出力し、端子TE24から放電経路224に対して第2の出力信号Vout2を出力することで、ヘッドユニット5の端子TE31と端子TE32との間に、第1の出力信号Vout1の示す電位と第2の出力信号Vout2の示す電位との電位差である出力電圧Voutを印加する。
なお、本実施形態では、インダクタL2及び容量C2により構成されるLC回路の共振周波数と、インダクタL3及び容量C3により構成されるLC回路の共振周波数と、が略同じとなるように、インダクタL2及びインダクタL3のそれぞれのインダクタンスと、容量C2及び容量C3のそれぞれの容量値と、が定めらる。この場合、送電部2における電力の伝送効率を高くすることが可能となる。
<4.送電部の伝送効率について>
次に、図8乃至図12を参照しつつ、送電部2による電力の伝送効率について説明する。
なお、図8では、図7に示す電源ユニット10の内部抵抗RSが示され、ヘッドユニット5の端子TE31及び端子TE31の間の電気抵抗を抵抗RLで表している。
また、図8では、送電回路11を、インダクタンスLAのインダクタと容量値CAの容量とを有する、送電回路11と等価な回路11Aで表し、受電回路12を、インダクタンスLBのインダクタと容量値CBの容量とを有する、受電回路12と等価な回路12Aで表している。
さらに、図8では、図7に示す結合容量CM1及び結合容量CM2の容量値が互いに等しいと仮定して、結合容量CM1及び結合容量CM2のインピーダンスを、ともにインピーダンスZMで表している。
図9は、計算を容易にするために、図8に示す回路を、電源ユニット10の発生する第1の電源信号VS1の電位と第2の電源信号VS2の電位との中心電位VCを基準として、上側と下側の2つの回路に分割した回路である。
ここで計算の便宜上、図9に示す回路における各種値を下記のように置き換える。
RS/2=RL/2=z0 ……式(1)
LA/2=LB/2=L ……式(2)
2CA=2CB=C ……式(3)
ZM=R ……式(4)
この場合、図9に示す回路は、これと等価な図10に示す回路で表すことができる。
図10において、回路10Sは、電源ユニット10を、中心電位VCを基準として分割した2つの回路のうちの一方に相当し、回路(二端子対回路)2Sは、送電部2のうち、給電経路または放電経路のうちの一方に相当し、回路5Sは、ヘッドユニット5の端子TE31及び端子TE31の間の抵抗RLを、中心電位VCを基準として分割した2つの抵抗のうちの一方に相当する。
以下、二端子対回路2Sによる電力の伝送効率を示す値として、二端子対回路2Sの電圧透過係数と電力透過係数とを求める。
ここで、電圧透過係数とは、二端子対回路の入力端に印加された電圧に対する、出力端から出力される電圧の比率(電圧利得)を表す値である。また、電力透過係数とは、二端子対回路の入力端に供給される電力に対する、出力端から出力される電力の比率(電力利得)を表す値である。
二端子対回路の電圧透過係数は、当該二端子対回路の伝達特性を示す2行2列の散乱行列(scattering matrix)のうち、第2行第1列の成分によって表される。また、二端子対回路の電力透過係数は、散乱行列の第2行第1列の成分の絶対値の二乗として表される。これら、電圧透過係数や電力透過係数を求めるために必要となる、二端子対回路の散乱行列は、二端子対回路のインピーダンス行列(impedance matrix)から求めることができる。
そこで、以下では、まず二端子対回路2Sのインピーダンス行列Zを算出し、次に二端子対回路2Sの散乱行列Sを算出することで、二端子対回路2Sの電圧透過係数及び電力透過係数を求める。
図10に示す二端子対回路2Sは、二端子対回路TN1と二端子対回路TN2とからなる。
具体的には、二端子対回路2Sは、図11に示すように、二端子対回路TN1と二端子対回路TN2とを直列に接続したものである。
そして、二端子対回路TN1のインピーダンス行列をZ1とし、二端子対回路TN2のインピーダンス行列をZ2とすると、二端子対回路2Sのインピーダンス行列Zは、以下の式(5)に基づいて定めることができる。
Z=Z1+Z2 ……式(5)
図11に示す二端子対回路TN1のインピーダンス行列Z1は、インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bにより、以下の式(6)で表される。
Figure 2015223803
インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bは、それぞれインダクタンスLに係るインピーダンスである。よって、インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bは、虚数単位j、電源電圧VSの角周波数ωを用いて、以下の式(7)で表される。
Z1A=Z1B=jωL …式(7)
すなわち、式(6)に式(7)を代入することで、インピーダンス行列Z1を、以下の式(8)で表すことができる。
Figure 2015223803
次に、二端子対回路TN2のインピーダンス行列Z2を、二端子対回路TN2のアドミタンス行列Y2の逆行列として求める。
図12に示す、アドミタンスYA、YB、YCを備える二端子対回路のアドミタンス行列Yは、以下の式(9)で表される。
Figure 2015223803
図10に示す二端子対回路TN2の要素である容量Cのアドミタンスは、図12に示す二端子対回路のアドミタンスYA及びYCに対応し、以下の式(10)で表される。
YA=YC=jωC …式(10)
同様に、二端子対回路TN2の要素である抵抗Rのアドミタンスは、図12に示す二端子対回路のアドミタンスYBに対応し、以下の式(11)で表される。
YB=1/R …(式11)
よって、二端子対回路TN2のアドミタンス行列Y2は、式(9)に対して、式(10)及び式(11)を代入した、式(12)として表される。
Figure 2015223803
二端子対回路TN2のインピーダンス行列Z2は、式(12)に示すアドミタンス行列Y2の逆行列として求めることができる。このため、二端子対回路2Sのインピーダンス行列Zは、以下の式(13)として求められる。
Figure 2015223803
散乱行列Sは、一般的に、インピーダンス行列Zと2行2列の単位行列Iとを用いて、以下の式(14)で表される。
Figure 2015223803
また、本実施形態では、上述したようにLC共振現象を利用して高効率で電力伝送を行うため、式(2)に示すインダクタンスLと、式(3)に示す容量値Cとは、以下の式(15)に示す共振条件を満たすように定められる。
ωLC=1 ……式(15)
よって、式(12)〜式(15)より、以下の式(16)で表される散乱行列Sの各成分のうち、第2行第1列の成分s21を求めることができる。この成分s21は、二端子対回路2Sの電圧透過係数を表す値であり、以下の式(17)で表される。
Figure 2015223803
また、上述のとおり、二端子対回路2Sの電力透過係数は成分s21の絶対値の二乗|s21|であり、以下の式(18)で表される。
Figure 2015223803
本実施形態では、電圧透過係数及び電力透過係数を大きくするために、以下の式(19)が成立するように、電源ユニット10、送電部2、及び、ヘッドユニット5の各構成要素を設計する。
z0<<R<<ωL …式(19)
式(19)が成立することを前提とした場合、式(18)に示す値|s21|は、以下の式(20)に示す値に近似される。この場合、電力透過係数の値|s21|は、ほぼ「1」に近い値となり、送電部2は高い伝送効率を有することになる。
Figure 2015223803
以下、上述した式(19)を充足するために必要となる条件を検討する。
まず、式(19)のうち、「z0<<R」について検討する。
一般的に、インピーダンスz0に対応する電源ユニット10の内部抵抗RSは、小さい値に設定することが可能である。また、一般的に、結合容量(CM1、CM2)に係るインピーダンスZMは、大きな値となる。よって、一般的に、「z0<<R」という条件は充足される。
次に、式(19)のうち、「R<<ωL」について検討する。
結合容量CM1及び結合容量CM2の容量値をCMとした場合、インピーダンスR(インピーダンスZM)は、容量値CMを用いることで以下の式(21)で表される。
Figure 2015223803
式(15)及び式(21)より、以下の式(22)が得られる。また、式(20)及び式(22)より、以下の式(23)が得られる。
Figure 2015223803
式(22)から明らかなように、「R<<ωL」という条件を充足するためには、結合容量CM1及び結合容量CM2の容量値CMを、送電回路11の有する容量の容量値CA、及び、受電回路12の有する容量の容量値CBよりも十分に大きくなるように定めればよい。
この場合には、式(23)に示すように、電力透過係数の値|s21|は、ほぼ「1」に近い値となる。
<5.ヘッド駆動回路50について>
次に、図13及び図14を参照しつつ、ヘッドユニット5の構成及び動作について説明する。
図13は、ヘッドユニット5の等価回路図の一例である。この図に示すように、ヘッドユニット5は、整流回路13と、ヘッド駆動回路50と、ヘッド部30と、を備える。
整流回路13は、例えばAC−DCコンバーターであり、送電部2から供給される交流電圧である出力電圧Voutを、直流電圧に変換する。具体的には、整流回路13は、給電経路である電源線501の電位を高電位側の一定の電位VDDに設定し、放電経路である電源線502の電位を電位VDDよりも低い基準電位VSSに設定する。
ヘッド駆動回路50は、原駆動信号発生部51と駆動信号生成部52とを含む。ヘッド駆動回路50は、M個の吐出部Dのそれぞれに対して駆動信号DRVを供給する。なお、図13及び図14において、各信号名の末尾に付された括弧内の数字は、当該信号が供給される吐出部Dの番号を示している。
なお、ヘッドユニット5は、4列のノズル列と1対1に対応するように4個のヘッド駆動回路50を具備するものであってもよいし、M個の吐出部Dに対して共通する1個のヘッド駆動回路50を具備するものであってもよい。
原駆動信号発生部51は、CPU6から供給される制御信号CtrHに含まれる原駆動信号生成用パラメーターPRMに基づいて、原駆動信号ODRVを生成する。なお、原駆動信号生成用パラメーターPRMとは、原駆動信号ODRVの波形形状等を規定するパラメーターである。
この原駆動信号発生部51は、給電経路である電源線501と、放電経路である電源線502と、にそれぞれ電気的に接続されている。
図14は、原駆動信号ODRV、印刷信号PRT(i)、及び駆動信号DRV(i)の波形の一例を示す図である。原駆動信号ODRVは、単位期間(キャリッジ32が一画素の間隔を横切る期間)毎に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。
駆動信号生成部52には、CPU6から供給される制御信号CtrHに含まれる印刷信号PRTと、原駆動信号ODRVと、に基づいて、駆動信号DRVを生成する。印刷信号PRTは、CPU6が印刷データPDに基づいて生成する信号であり、各画素に対する吐出部Dからのインクの吐出の有無と、吐出部Dからインクを吐出する場合におけるインクの吐出量と、を規定する信号である。
より具体的には、駆動信号生成部52は、M個の吐出部Dのうち第i番目の吐出部Dに対応する印刷信号PRT(i)に基づいて、原駆動信号ODRVを遮断したり通過させたりすることで、駆動信号DRV(i)を生成する。
例えば、駆動信号生成部52は、図14に示すように、印刷信号PRT(i)が2ビット信号である場合において、印刷信号PRT(i)の示す値が『00』の場合には、原駆動信号ODRVの第1パルスW1及び第2パルスW2を遮断し、また、印刷信号PRT(i)の示す値が『01』の場合には、第1パルスW1のみを遮断して第2パルスW2は通過させ、印刷信号PRT(i)の示す値が『10』の場合には、第2パルスW2のみを遮断して第1パルスW1は通過させ、印刷信号PRT(i)の示す値が『11』の場合には、第1パルスW1及び第2パルスW2を通過させる。そして、駆動信号生成部52は、通過させたパルスを駆動信号DRV(i)として、第i番目の吐出部Dが具備する圧電素子300の上部電極302に対して供給する。第i番目の吐出部Dは、駆動信号生成部52からの駆動信号DRV(i)に基づいて応じて駆動される。
駆動信号生成部52は、給電経路である電源線501と、放電経路である電源線502と、にそれぞれ電気的に接続されている。また、各吐出部Dは、圧電素子300の上部電極302が、駆動信号生成部52と電気的に接続されて駆動信号DRV(i)の供給を受け、下部電極301が、放電経路である電源線502に電気的に接続されている。
なお、図示は省略するが、ヘッド駆動回路50は、電位VDD及び基準電位VSSとで定められる電圧を、ヘッド駆動回路50の各部が必要とする適宜な電圧に変圧するDC−DCコンバーターを有するものであってもよい。
<6.補正部200について>
図15に、補正部200の構成を示す。また、図16に、ヘッド情報Ihの伝達過程を示す波形図を示す。
温度センサ61はヘッドユニット5の温度を検出し、その温度を示す温度信号を出力する。温度センサ61は、例えば、サーミスターに定電流を供給し、サーミスターの両端の電圧を温度信号として出力する。ヘッド情報管理部63は、温度信号を閾値と比較して、スイッチ制御信号CTL1を生成する。具体的には、温度信号が閾値以上となり、ヘッドユニット5の温度が所定温度Tmp未満から所定温度Tmp以上に変化した場合に、第1時間T1だけスイッチ制御信号CTL1をアクティブとする。また、温度信号が閾値以下となり、ヘッドユニット5の温度が所定温度以上から所定温度未満に変化した場合に、第2時間T2だけスイッチ制御信号CTL1をアクティブとする。
図16に示す例では、時刻t1においてヘッドユニット5の温度が所定温度Tmp未満から所定温度Tmp以上に変化すると、スイッチ制御信号CTL1がローレベルからハイレベル(アクティブ)に変化し、第1時間T1だけハイレベルを維持した後、時刻t2においてハイレベルからローレベルに変化する。
また、時刻t3においてヘッドユニット5の温度が所定温度Tmp以上から所定温度Tmp未満に変化すると、スイッチ制御信号CTL1がローレベルからハイレベルに変化し、第2時間T2だけハイレベルを維持した後、時刻t4においてハイレベルからローレベルに変化する。
スイッチ制御信号CTL1のハイレベル(アクティブ)の期間は、ヘッドユニット5の温度変化に応じて異なる値となる。このため、スイッチ制御信号CTL1は、ヘッドユニット5の温度を示すヘッド情報Ihに相当する。
次に、図15に示す整合調整部65は、インダクタンスLdと抵抗RdとスイッチSWとを備える。インダクタンスLdは、上述した受電回路12におけるインダクタンスL3,L4(等価な回路12Aにおけるインダクタンス成分LB)と誘導結合している。したがって、受電回路12の共振周波数はインダクタンスLdの影響を受ける。
抵抗Rdは、スイッチSWに対してインダクタンスLdと並列に設けられている。スイッチSWは、スイッチ制御信号CTL1がアクティブになるとオンし、非アクティブではオフする。
スイッチSWがオンされると、整合調整部65が備えるインダクタンスLdが短絡される。このとき、インダクタンスLdに生じた誘導起電力によって当該インダクタンスLdに電流が流れ(流れる電流が増加し)、上述した受電回路12におけるインダクタンスL3,L4(等価な回路12AにおけるインダクタンスLB)に影響を与える。受電回路12におけるLC回路の共振周波数(等価な回路12AにおけるLBとCBとにより構成されるLC回路の共振周波数)は、スイッチSWがオフからオンに変化すると、これに伴って変化することになる。
次に、ヘッド情報取得部67の構成を説明する。図15に示すように、ヘッド情報取得部67は、検出回路67−1とコンパレータ67−2とを備える。検出回路67−1は、インダクタンスLiと抵抗Riとダイオードdと容量Ciとを備える。インダクタンスLiは、上述した送電回路11のインダクタL1,L2(等価な回路11AにおけるであるインダクタンスLA)と誘導結合している。したがって、インダクタンスLiとインダクタL1,L2との誘電結合の影響を受けて、送電回路11の共振周波数が定まる。また、送電回路11のインダクタL1,L2に電流が流れると、インダクタンスLiに電圧が誘起される。 抵抗Riは、インダクタンスLiの両端間に接続されている。ダイオードd及び容量Ciは、インダクタンスLi及び抵抗Riに直列に接続され、インダクタンスLiの両端間に生じた誘導起電力を半波整流して、送電電力に応じた大きさの電力信号Vnを出力する。
コンパレータ67−2には、電力信号Vnと基準電位Vrefとが入力される。コンパレータ67−2は、電力信号Vnを基準電位Vrefとを比較してヘッド情報Ihを再生する。コンパレータ67−2は、図16に示すように電力信号Vnが基準電位Vref以下のときにハイレベルとなり、電力信号Vnが基準電位Vrefを上回るときにローベルとなるヘッド情報Ihを出力する。ヘッド情報IhはCPU6に入力される。
図16に示す例では、時刻t1において、ヘッドユニット5の温度が所定温度Tmp未満から所定温度Tmp以上に変化すると、スイッチ制御信号CTL1が第1時間T1だけオンする。すると、上述したように受電回路12におけるLC回路の共振周波数(等価な回路12AにおけるLBとCBとにより構成されるLC回路の共振周波数)がずれ、送電部2における電力の伝送効率が低下する。
これにより、ヘッドユニット5の端子TE31と端子TE32との間の電圧が降下すると共に、送電回路11(等価な回路11A)に流れる電流量も低下し、検出回路67−1のインダクタンスLiの両端間に生じる誘導起電力も低下する。従って、電力信号Vnの電位が低下する。この例では、受電回路12の共振周波数と送電回路11の共振周波数が略一致している場合、電力信号Vnは電位Vm1となる一方、スイッチ制御信号CTL1がアクティブになり、受電回路12の共振周波数が送電回路11の共振周波数とずれた場合、電力信号Vnは電位Vm2となる。
具体的には、時刻t1aにおいて電力信号Vnの電位が基準電位Vref以下になると、ヘッド情報Ihはローレベルからハイレベルに遷移して第1時間T1だけハイレベルを維持し、時刻t2aにおいて電力信号Vnの電位が基準電位Vrefを上回ると、ヘッド情報Ihがハイレベルからローレベルに遷移する。同様に、時刻t3aから第2時間T2が経過する時刻t4aまでの期間において、ヘッド情報Ihはハイレベルとなる。
このように、本実施形態では、ヘッドユニット5の温度が所定温度Tmp未満から所定温度Tmp以上に変化した場合、及びヘッドユニット5の温度が所定温度Tmp以上から所定温度Tmp未満に変化した場合に、そのことがヘッド情報Ihとして、CPU6に伝達される。そして、このヘッド情報Ihの伝達経路として、電力の伝送経路である送電部2が用いられる。
CPU6は、ヘッド情報Ihがハイレベルとなる時間を監視し、当該時間が基準時間Trefより長い場合にハイレベルとなり、当該時間が基準時間Trefより短い場合にローレベルとなる補正制御信号CTL2を生成する(図16参照)。ここで、基準時間Trefは第1時間T1と第2時間T2を判別できるように、Tref=(T1+T2)/2に設定されている。
CPU6は、補正制御信号CTL2がハイレベルの期間(アクティブ)において、ヘッドユニット5の温度が所定温度Tmp以上となった適した公知の補正制御を行う制御信号を生成し、無線インタフェース81によってキャリッジ32へ送信し、ヘッド駆動回路50へ当該制御信号を供給する。具体的には、制御信号は、例えば上述した原駆動信号ODRVである。インクの粘性は温度に応じて変化するが、原駆動信号ODRVを温度に応じて変化させることによって、温度が変化してもインクの吐出量を一定に保つことが可能となる。
また、ヘッド駆動回路50においては、原駆動信号ODRVから駆動信号DRVを生成し、各吐出部Dに供給するが、ある温度以上になると、ヘッド駆動回路50が正常に動作しなくなる。正常動作と異常動作とを区別できるように所定温度Tmpを設定することによって、CPU6は、ヘッド駆動回路50が異常動作することを検知できる。このような場合、印刷を続行すると、記録媒体が無駄になってしまう。そこで、CPU6は補正制御信号CTL2がハイレベルの期間は印刷動作を中止して、ヘッドユニット5の温度が下がるのを待つようにしてもよい。この場合、CPU6は、印刷を中止すべく制御信号CtrHを生成し、無線インタフェース81及び82を介して制御信号CtrHをヘッド駆動回路50に供給すればよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、電源ユニット10からヘッドユニット5(ヘッド駆動回路50)へ非接触(無接点)で電力を伝送可能となるため、FFCを用いることなく電力を供給可能となる。
また、ヘッドユニット5に係る温度が所定温度Tmp以上となると、そのことがヘッド情報として、筐体31に設置されたCPU6へ伝達される。この伝達には、電力の伝送経路である送電部2を兼用し、ヘッド情報Ihを電力変化として伝送する。
仮に、送電部2を兼用しない場合には、キャリッジ側に送信機を筐体側に受信機を設ける必要があり、構成が複雑となる。また、このため、送信機を動作させるためキャリッジ側の消費電力が増加し、より多くの電力をキャッジに供給する必要が生じる。さらに、キャリッジの重量が増加するため、キャリッジモーター41の消費電力が増加する。
本実施形態では、電力の伝送経路である送電部2を兼用し、ヘッド情報Ihを電力変化として伝送するので、構成を簡素化でき、消費電力を低減することが可能となる。
<7.変形例>
上述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる変形例であっても、本発明に含まれるものである。また、実施形態と各変形例とは適宜組み合わせることができる。
(1)上述した実施形態においては、ヘッド情報Ihは、ヘッドユニット5の温度を示すものであり、可変の値を取るものあった。このように可変の値を取るヘッド情報Ihとしては、湿度を示すものであってもよい。この場合、温度センサ61の替りに湿度センサを用いればよい。
(2)上述した実施形態においては、受電回路12の共振周波数を変化させる時間を変化させることによって、複数ビットの情報を伝送したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、共振周波数を変化させる回数によって、複数ビットを伝送してもよい。具体的には、2ビットの情報を伝送する場合、所定期間に共振周波数を変化させない場合に「00」を割り当て、所定期間に共振周波数を1回変化させる場合に「01」を割り当て、所定期間に共振周波数を2回変化させる場合に「10」を割り当て、所定期間に共振周波数を3回変化させる場合に「11」を割り当てもよい。
また、送信回路の共振周波数をf0とした場合、受電回路12の共振周波数をf0とする場合に「00」、受電回路12の共振周波数をf1とする場合に「01」、受電回路12の共振周波数をf2とする場合に「10」、受電回路12の共振周波数をf3とする場合に「11」を割り当てもよい。この場合には、整合調整部65の替りに図17に示す整合調整部65Aを用いればよい。ここで、インダクタンスLd1とインダンクタンスLd2とは、受電回路12におけるインダクタンスL3,L4(等価な回路12AにおけるインダクタンスLB)と誘電結合しており、それらの値は異なる。伝送すべきヘッド情報が「00」の場合、スイッチSW1及びSW2がオフとなり、伝送すべきヘッド情報が「01」の場合、スイッチSW1がオン且つスイッチSW2がオフとなり、伝送すべきヘッド情報が「10」の場合、スイッチSW1がオフ且つスイッチSW2がオンとなり、伝送すべきヘッド情報が「11」の場合、スイッチSW1及びSW2がオンとなる。
(3)上述した実施形態において、ヘッド情報Ihはヘッドユニット5の温度であったが本発明はこれに限定されない。例えば、圧電素子300に検査用の駆動信号DRVを印加すると、キャビティ320の圧力が変化し、残留振動が発生する。この残留振動によって圧電素子300に起電力が発生する。これを残留振動信号として検出し、残留振動信号に基づいて生成された、残留振動の位相、周期、及び振幅のうち少なくとも一つをヘッド情報Ihとして伝送してもよい。
(4)上述した実施形態において、ヘッド情報Ihは可変の値であったが、固定の値であってもよい。圧電素子300やキャビティ320の容積などの吐出部Dの特性に応じて、インクの吐出タイミングを調整することによって、インクの吐出精度を高め、インクの吐出によって生成される成果物の品質を向上させることができる。そして、吐出部Dの特性は、ヘッド部30に種類に応じて特定することができる。そこで、ヘッド部30の種類を示すヘッド情報Ihをヘッド情報管理部63で記憶し、これを伝送するようにしてもよい。CPU6は、ヘッド情報Ihを取得すると、吐出部Dの特性に応じて、印刷信号PRTや原駆動信号ODRVのタイミングを調整するように制御信号CtrHを生成することによって、インクの吐出タイミングを調整することが可能となる。なお、ヘッド情報Ihは、ヘッド駆動回路50の種類を示す情報の替りに、吐出タイミングを調整するための情報であってもよい。
また、圧電素子300の特性には製造上のばらつきがある。そこで、圧電素子300の特性を予め測定して、ヘッド情報管理部63に記憶しておき、これをヘッド情報Ihとして伝送してもよい。CPU6は、ヘッド情報Ihを取得すると、圧電素子300の特性に応じて、原駆動信号ODRVの波形(特に振幅)を調整するように制御信号CtrHを生成することによって、圧電素子300の特性のばらつきを補正して、インクを吐出することができる。この結果、印刷物の品質を向上させることができる。
また、ヘッド情報Ihとして固定の値を伝送する場合には、電力の供給開始時にヘッド情報Ihの伝送を実行することが好ましい。ヘッド情報管理部63において記憶することによって保持される情報であれば、CPU6は一度取得すれば十分であり、さらに、制御信号CtrHを生成する前に取得する必要があるからである。このように、パワーオン時の初期化動作にヘッド情報Ihの取得を含ませることによって、効率的に補正を実行することが可能となる。
(5)上述した実施形態において、電力供給路には電界結合による結合容量を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、電力供給路に電磁結合を用いて電力を伝送するものであってもよい。すなわち、送電側のコイルと受電側のコイルとを電磁結合させ、送電側から受電側に電力を伝送する。この場合、受電側においてヘッド情報Ihに応じて送信電力を変化させるように受電の状態を切り替えればよい。具体的には、受電側の共振周波数をヘッド情報Ihに応じて変化させればよい。
1…インクジェットプリンター、2…送電部、4…移動機構、5…ヘッドユニット、7…給紙機構、9…ホストコンピューター、10…電源ユニット、11…送電回路、12…受電回路、13…整流回路、20…ワイヤレス伝送部、21,22,23,24…導電体、30…ヘッド部、31…筐体、32…キャリッジ、33…インクカートリッジ、41…キャリッジモーター、42…タイミングベルト、43…キャリッジモータードライバー、44…キャリッジガイド軸、50…ヘッド駆動回路、51…原駆動信号発生部、52…駆動信号生成部、62…記憶部、71…給紙モーター、72…給紙ローラ、73…給紙モータードライバー、74…プラテン、76…排紙ローラ、77…トレイ、81,82…無線インタフェース、81…温度センサ、83…検出器群、83…ヘッド情報管理部、831…リニアエンコーダ、832…ロータリーエンコーダ、84…操作パネル、85…整合調整部、85A…整合調整部、91…ヘッド情報取得部、91−1…検出回路、91−2…コンパレータ、92…記憶部、93…表示部、94…操作部、100…印刷システム、200…補正部、211,212,213,214…給電経路、221,222,223,224…放電経路、300…圧電素子、301…下部電極、302…上部電極、303…圧電体、310…振動板、320…キャビティ、321…固定具、330…ノズルプレート、340…キャビティプレート、350…リザーバ、360…インク供給口、370…インク取り入れ口、421,422…プーリー、D…吐出部、N…ノズル。

Claims (9)

  1. 液体を吐出する複数の吐出部を含むヘッドユニットと、
    前記ヘッドユニットに係るヘッド情報を管理するヘッド情報管理部と、
    前記ヘッドユニットを搭載し、移動可能なキャリッジと、
    前記ヘッドユニットが前記液体を吐出する為の電力を供給する電力供給源と、
    前記電力供給源が設置された筐体と、
    前記筐体に設けられ、前記ヘッドユニットによる前記液体の吐出を制御する制御信号を生成する制御部と、
    前記筐体に設けられ、前記制御信号を無線によって前記ヘッドユニットへ伝送する制御信号伝送部と、
    前記ヘッドユニットに対して非接触で前記電力を供給する電力供給経路と、
    前記ヘッド情報を前記ヘッド情報管理部から前記電力供給経路を介して前記制御部へ伝送するヘッド情報伝送部と、
    を備えることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記電力供給経路は、前記筐体に設置された筐体側導電体と、前記キャリッジに設置されたキャリッジ側導電体とを備え、
    前記電力は、前記筐体側導電体と前記キャリッジ側導電体との間の電界結合で形成される結合容量を介して、前記電力供給源から前記キャリッジへ伝送される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記ヘッド情報伝送部は、前記ヘッド情報に応じて、前記ヘッドユニット側の前記電力供給経路における共振周波数を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記制御信号は、前記吐出部による前記液体の吐出のタイミングを制御するタイミング制御信号であり、
    前記ヘッド情報は、前記吐出部の特性を示し、
    前記制御部は、前記ヘッド情報に基づいて、前記液体の吐出のタイミングを調整するように前記タイミング制御信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記制御信号は、前記吐出部を駆動させて前記液体を吐出させる駆動信号であり、
    前記ヘッド情報は、前記吐出部の特性を示し、
    前記制御部は、前記ヘッド情報に基づいて、前記吐出部の駆動を調整するように前記駆動信号を生成する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記ヘッド情報は、前記ヘッドユニットの温度を示すことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記ヘッド情報は固定の値であり、
    前記ヘッド情報伝送部は、前記電力の供給開始時に前記ヘッド情報を前記ヘッド情報管理部から前記電力供給経路を介して前記制御部へ伝送する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記ヘッド情報は可変の値であり、
    前記ヘッド情報伝送部は、前記ヘッドユニットが所定状態にある場合に、前記ヘッド情報を前記ヘッド情報管理部から前記電力供給経路を介して前記制御部へ伝送する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  9. 液体を吐出する複数の吐出部を含むヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを搭載し、移動可能なキャリッジと、前記ヘッドユニットが前記液体を吐出する為の電力を供給する電力供給源と、前記電力供給源が設置された筐体と、前記筐体に設けられ、前記ヘッドユニットによる前記液体の吐出を制御する制御信号を生成する制御部と、前記筐体に設けられ、前記制御信号を無線によって前記ヘッドユニットへ伝送する制御信号伝送部と、前記ヘッドユニットに対して非接触で電力を供給する電力供給経路とを備えた液体吐出装置の制御方法であって、
    前記電力供給経路を介して前記電力を前記電力供給源から前記ヘッドユニットに伝送し、
    前記ヘッドユニットに係るヘッド情報を、前記電力供給経路を介して前記制御部へ伝送する、
    ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
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