JP2015223800A - 液体吐出装置、及びその制御方法 - Google Patents

液体吐出装置、及びその制御方法 Download PDF

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Shuji Otsuka
修司 大▲塚▼
勲 野村
Isao Nomura
勲 野村
臼田 秀範
Hidenori Usuda
秀範 臼田
徹 松山
Toru Matsuyama
徹 松山
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Abstract

【課題】キャリッジの移動に伴い位置を変動させる配線を用いることなくキャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して安定的な給電を行う。【解決手段】液体を吐出するノズルNが形成された吐出面を備えるヘッド30と、ヘッド30を搭載し、移動可能なキャリッジ32と、ノズルNから液体を吐出させるための電力を供給する電源ユニットと、電源ユニットが設置された筐体31と、筐体31に設置された第1導電体21(23)と、第1導電体21(23)との間の距離L2が第1導電体21(23)と吐出面との間の距離L1以上となるようにキャリッジ32に設置された第2導電体22(24)と、を備える液体吐出装置。電力は、第1導電体21(23)と第2導電体22(24)との間の電界結合で形成される結合容量を介して、電源ユニットからキャリッジ32へ伝送される。【選択図】図4

Description

本発明は、液体吐出装置、及びその制御方法に関する。
プリンターにおいては、筐体の内部に、インクを記録媒体へ吐出するプリンターヘッド(以下、ヘッドという。)を搭載したキャリッジが設けられており、キャリッジは主走査方向に移動する。ヘッドは駆動制御部により駆動される。ここで駆動制御部とヘッドとが共にキャリッジに搭載されている構成のプリンターが知られている。この種のプリンターにおいては、ヘッドを制御する印刷信号を、筐体に設けられた回路基板で生成する。ここで回路基板からキャリッジへ印刷信号を伝送する必要があるため、回路基板とキャリッジとは、屈曲性の高いフレキシブルフラットケーブル(以下、FFC(Flexible Flat Cable)という。)で連結されている。FFCは、筐体に設置された電力供給源から、キャリッジに搭載された駆動制御部への電力供給にも用いられる。
上述したようにキャリッジは主走査方向に移動する部材であるため、その移動の際に、FFCが機構上の物理的障害となり易い。また、FFCを通じて印刷信号等の制御信号にノイズが乗り易い。これらの問題が存在するため、FFCを用いずに液体吐出装置を構成する技術が望まれている。
上述した事情から、特許文献1には、キャリッジを往復移動させるタイミングベルトを金属等の導電性物質で構成し、タイミングベルトとプーリーとを介してキャリッジの駆動制御部に電力供給を行う液体吐出装置が提案されている。また、この特許文献1に提案されている液体吐出装置では、制御信号については無線通信技術を用いてキャリッジに供給する。
特開2011−46118号公報
しかしながら、導電性物質で構成されたタイミングベルトを用いる場合には、通電中のタイミングベルトにミスト化したインク等の異物が付着した場合、短絡による発熱等の危険性がある。また、タイミングベルトにおいて静電気放電(Electro Static Discharge;ESD)と称される放電現象に起因する静電気ノイズが生じた場合、キャリッジへ供給する電力に変動が生じ、電子回路たる駆動制御部の動作が影響を受けてしまう可能性がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、安全性を確保しつつ、FFCを用いずに、筐体に設置された電力供給源から、キャリッジに搭載されたヘッドの駆動制御部へ電力を供給可能な液体吐出装置を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、記録媒体に液体を吐出する吐出口が形成された吐出面を備えるヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを搭載し、移動可能なキャリッジと、前記吐出口から前記液体を吐出させるための電力を供給する電力供給源と、前記電力供給源が設置された筐体と、前記筐体に設置された第1導電体と、前記第1導電体との間の距離が、前記第1導電体と前記吐出面との間の距離以上の長さとなるように、前記キャリッジに設置された第2導電体と、を備え、前記電力は、前記第1導電体と前記第2導電体との間の電界結合で形成される結合容量を介して、前記電力供給源から前記キャリッジへ伝送される、ことを特徴とする。
この態様によれば、キャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して、結合容量によりワイヤレスで電力を伝送するため、物理的な配線により電力を供給する場合と比較して、ノイズの発生する可能性を低減することができる。これにより、ノイズに起因して印刷品質が劣化することを防止することが可能となる。
また、この態様によれば、例えば吐出口から液滴として吐出された液体が着弾する記録媒体に対して、第2導電体よりも吐出面の方が近くなる。これにより、記録媒体に対して、吐出面よりも第2導電体が近い構成と比較して、第2導電体がインクの吐出特性に与える影響が低減される。また、第2導電体と記録媒体との間の距離が、第2導電体と記録媒体とが擦れ合ってしまうことがないように保たれる。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第1導電体及び前記第2導電体は略平板形状を呈し、前記第2導電体は、前記キャリッジが移動している期間の一部又は全部において、前記第1導電体の少なくとも一部と向かい合う、ことを特徴とする。
この態様によれば、キャリッジが移動している期間であっても、筐体に設置された第1導電体とキャリッジに設置された第2導電体との間で電界結合が形成される。これにより、キャリッジが移動している期間においても、電力供給源からキャリッジへ電力が安定的に伝送される。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記キャリッジは、第1の方向と、前記第1の方向の逆方向である第2の方向とに移動可能であり、前記第2導電体は、前記吐出面の位置を基準として前記第1の方向側又は前記第2の方向側のうち少なくとも一方に設置されている、ことを特徴とする。
この態様によれば、仮にキャリッジの移動方向における筐体の一方端部(第1の方向側の端部又は第2の方向側の端部)に、ヘッドユニットのメンテナンス処理を実行するメンテナンス機構を設けた場合、キャリッジが当該一方端部に位置したときに、第2導電体がメンテナンス機構近傍に位置する。従って、ヘッドユニットのメンテナンス処理と共に第2導電体のメンテナンス処理も実行する機能をメンテナンス機構に備えさせることで、キャリッジが当該一方端部に位置したときにヘッドユニットのメンテナンス処理と第2導電体のメンテナンス処理とを同時に実行することが可能となる。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第2導電体は、前記吐出面の位置を基準として前記記録媒体の搬送方向の上流側に設置されている、ことを特徴とする。
記録媒体の搬送方向における上流側の領域は、下流側(搬送された記録媒体が筐体から排出される側)の領域と比べて、外気が流入し難い。従って、上流側の領域に第2導電体を配置することで、電力伝送時に発熱した第2導電体が、外気によって冷却され難くなるため、当該第2導電体に生じた熱を有効活用することが可能となる。例えば、第2導電体の近傍に液体の流路を配置することで、当該第2導電体に生じた熱で流路内の液体を加熱して液体の粘度を低下させることができる。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第2導電体は、前記吐出面の位置を基準として前記記録媒体の搬送方向の下流側に設置されている、ことを特徴とする。
記録媒体の搬送方向における下流側の領域は、上流側の領域と比べて外気が流入しやすい。従って、この下流側の領域に第2導電体を配置することで、電力伝送時に発熱した第2導電体が、外気によって冷却されやすくなる。つまり、当該第2導電体の発熱に起因して、その近傍に配置された部材が加熱されてしまうことが抑制される。例えば、第2導電体の近傍にヘッドユニットが配置されている場合には、当該ヘッドユニットの温度上昇が抑制される。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第2導電体は、前記吐出面の位置を基準として、前記第1の方向側に設置されている、ことを特徴とする。
この態様によれば、仮に第2の方向における筐体の端部に、ヘッドユニットのメンテナンス処理を実行するメンテナンス機構が設けられている場合、キャリッジのうち吐出面の位置を基準位置として第1の方向側の領域に第2導電体を配置することで、当該第2導電体によって、メンテナンス機構によるメンテナンス処理が阻害されない。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第2導電体は、前記吐出面の位置を基準として、前記第2の方向側に設置されている、ことを特徴とする。
この態様によれば、仮に第2の方向における筐体の端部に、ヘッドユニットのメンテナンス処理を実行するメンテナンス機構が設けられている場合、キャリッジが当該端部に位置したときに、第2導電体がメンテナンス機構近傍に位置する。従って、ヘッドユニットのメンテナンス処理と共に第2導電体のメンテナンス処理も実行する機能をメンテナンス機構に備えさせることで、キャリッジが当該端部に位置したときに、ヘッドユニットのメンテナンス処理と共に第2導電体のメンテナンス処理をメンテナンス機構に行わせることが可能となる。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記キャリッジには前記液体が封入されたカートリッジが載置され、前記第2導電体の少なくとも一部は、前記カートリッジに設けられている、ことを特徴とする。
この態様によれば、キャリッジに載置されるカートリッジに第2導電体が設けられる。従って、当該液体吐出装置の駆動においてカートリッジが必須の構成要件の一つとなり、カートリッジは、当該液体吐出装置にとって、液体が封入される単なる容器以上の付加価値を有することとなる。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記キャリッジには前記液体が封入されたカートリッジが載置され、前記カートリッジは、所定の情報を記憶する記憶部を備え、前記記憶部に前記電力を供給して、前記記憶部に記憶された前記所定の情報を取得した後、前記所定の情報に基づいて前記キャリッジへ前記電力を伝送するか否かを制御する制御部が前記筐体に設けられている、ことを特徴とする。
この態様によれば、カートリッジの記憶部に記憶された所定の情報に基づいて、キャリッジへ電力を伝送するか否かが判定され、判定結果に基づいて電力の伝送が制御される。従って、例えばカートリッジが当該液体吐出装置に適合するものである場合にのみ電力を伝送するといった制御が可能となる。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記キャリッジは、前記記録媒体に対して向かい合う第1の面と、前記第1の面と比較して前記記録媒体との間の距離が長い第2の面と、を含み、前記第2導電体は、前記第2の面に沿って設けられている、ことを特徴とする。
この態様によれば、第1の面に第2導電体を設ける構成と比較して、液体の吐出口を含むヘッドユニットに対して遠い位置に第2導電体が位置するため、第2導電体が液体の吐出特性に与える電気的な影響が低減される。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記筐体には、前記キャリッジを移動可能に支持するキャリッジ軸が設けられ、前記キャリッジには、前記キャリッジ軸によって支持される被支持部が設けられ、前記第2導電体は、前記キャリッジにおける前記被支持部が設けられた面と反対側の面に設けられている、ことを特徴とする。
第1導電体と第2導電体とは電界結合するので、第2導電体の近傍には電界が発生している。この態様によれば、キャリッジのうちキャリッジ軸によって支持される被支持部が設けられた面と反対側の面に第2導電体が設けられるため、例えば液体の吐出口の近傍に第2導電体が設けられた構成と比較して、液体の吐出口に対してより遠い位置に第2導電体を配置できる。この結果、第2導電体が液体の吐出特性に与える電気的な影響が低減される。
本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記筐体には、前記キャリッジを移動可能に支持するキャリッジ軸が設けられ、前記キャリッジには、前記キャリッジ軸によって支持される被支持部が設けられ、前記第2導電体は、前記キャリッジにおける前記被支持部が設けられた面に設けられている、ことを特徴とする。
第1導電体と第2導電体とは電界結合するので、第2導電体の近傍には電界が発生している。この態様によれば、キャリッジのうちキャリッジ軸によって支持される被支持部が設けられた面に第2導電体が設けられるため、例えば液体の吐出口の近傍に第2導電体が設けられた構成と比較して、液体の吐出口に対してより遠い位置に第2導電体を配置できる。この結果、第2導電体が液体の吐出特性に与える電気的な影響が低減される。
本発明の一態様に係る液体吐出装置の制御方法は、記録媒体に液体を吐出する吐出口が形成された吐出面を備えるヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを搭載し、移動可能なキャリッジと、前記ヘッドユニットから前記液体を吐出する為の電力を供給する電力供給源と、前記電力供給源が設置された筐体と、前記筐体に設置された第1導電体と、前記第1導電体との間の距離が、前記第1導電体と前記吐出面との間の距離以上の長さとなるように、前記キャリッジに設置された第2導電体と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、前記第1導電体と前記第2導電体との間の電界結合で形成される結合容量を介して、前記電力供給源から前記キャリッジへ前記電力を伝送し、前記結合容量を介して前記キャリッジへ伝送された前記電力によって、前記ヘッドユニットが前記液体を液滴として前記吐出口から吐出する、ことを特徴とする。
この態様によれば、キャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して、結合容量によりワイヤレスで電力を伝送するため、物理的な配線により電力を供給する場合と比較して、ノイズの発生する可能性を低減することができる。これにより、ノイズに起因して印刷品質が劣化することを防止することが可能となる。
また、この態様によれば、例えば吐出口から液滴として吐出された液体が着弾する記録媒体に対して、第2導電体よりも吐出面の方が近くなる。これにより、記録媒体に対して、吐出面よりも第2導電体が近い構成と比較して、第2導電体がインクの吐出特性に与える影響が低減される。また、第2導電体と記録媒体との間の距離が、第2導電体と記録媒体とが擦れ合ってしまうことがないように保たれる。
本発明の実施形態に係るインクジェットプリンターの構成を示すブロック図。 インクジェットプリンターの構成の概要を示す斜視図。 インクジェットプリンターの概略的な部分断面図。 第1導電体及び第2導電体の配置態様の一例を模式的に示す図。 第1導電体及び第2導電体の配置態様の一例を模式的に示す図。 第1導電体及び第2導電体の配置態様の一例を模式的に示す図。 第1導電体及び第2導電体の配置態様の一例を模式的に示す図。 第1導電体及び第2導電体の配置態様の一例を模式的に示す図。 第1導電体及び第2導電体の配置態様の一例を模式的に示す図。 第1導電体及び第2導電体の配置態様の一例を模式的に示す図。 第1導電体及び第2導電体の配置態様の一例を模式的に示す図。 ヘッド部の概略的な部分断面図。 ヘッド部におけるノズルの配置を示す平面図。 送電部の給電経路及び放電経路の説明図。 送電部の回路図。 送電部の動作を説明するための説明図。 送電部の動作を説明するための説明図。 送電部の動作を説明するための説明図。 送電部の動作を説明するための説明図。 送電部の動作を説明するための説明図。 ヘッドユニットの構成を示すブロック図。 原駆動信号ODRV、印刷信号PRT、駆動信号DRVを説明するための説明図。 変形例に係る送電部の等価回路図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<1.インクジェットプリンターの構成>
図1は、印刷システム100の構成を示す機能ブロック図である。この図に示すように、印刷システム100は、インクジェットプリンター1と、ホストコンピューター9とを備える。
ホストコンピューター9は、例えば、パーソナルコンピューターやデジタルカメラ等である。
図1に示すように、ホストコンピューター9は、ホストコンピューター9の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)91と、RAM(Random Access Memory)やハードディスクドライブ等を含む記憶部92と、ディスプレイ等の表示部93と、キーボードやマウス等の操作部94と、を備える。
記憶部92には、インクジェットプリンター1に対応するプリンタードライバープログラムが記憶されている。CPU91は、プリンタードライバープログラムを実行することで、インクジェットプリンター1の利用者が印刷しようとする画像データに対して、ハーフトーン処理や、ラスタライズ処理を施す。これにより、CPU91は、画像データを変換して、インクジェットプリンター1による印刷処理に対応した印刷データPDを生成する。
図2は、インクジェットプリンター1の内部構成の概略を示す斜視図であり、図3は、インクジェットプリンター1の断面構造の概略を示す断面図である。図1に加え、図2及び図3を参照しつつ、インクジェットプリンター1の構成について説明する。
本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、インク(「液体」の一例)を吐出して記録媒体Pに画像を形成する「液体吐出装置」の一例である。
図2に示すように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各構成要素を収容する筐体31と、筐体31に対して+Y方向及び−Y方向(「主走査方向」の一例)に往復動するキャリッジ32と、を備える。
図2に示すように、キャリッジ32には、ヘッドユニット5と、4個のインクカートリッジ33と、が搭載されている。
キャリッジ32に搭載された4個のインクカートリッジ33は、イエロー(Yl)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、及び、ブラック(Bk)の4つの色と1対1に対応して設けられたものであり、各インクカートリッジ33には、当該インクカートリッジ33に対応する色のインクが充填されている。
図1に示すように、ヘッドユニット5は、M個の吐出部Dを具備するヘッド30と、各吐出部Dを駆動するための駆動信号DRVを生成するヘッド駆動回路50と、を備える(Mは、4以上の自然数)。M個の吐出部Dは、4個のインクカートリッジ33と1対1に対応するように4つのグループに分けられている。各吐出部Dは、4個のインクカートリッジ33のうち、対応するインクカートリッジ33からインクの供給を受ける。そして、各吐出部Dは、対応するインクカートリッジ33から供給されたインクを内部に充填し、充填したインクを、駆動信号DRVに基づいて、当該吐出部Dが備えるノズルN(吐出口)から吐出することができる。このため、M個の吐出部Dから全体として4色のインクを吐出することができ、インクジェットプリンター1によるフルカラー印刷が可能となる。これら、ヘッドユニット5の詳細については後述する。
なお、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素のうち、キャリッジ32の搭載されたものを、「搭載物EB」と総称する場合がある。
また、図1に示すように、インクジェットプリンター1は、キャリッジ32をY軸方向(キャリッジ移動方向)に往復動させるための移動機構4を備える。以下、キャリッジ移動方向のうち−Y方向を第1の方向と称し、+Y方向を第2の方向と称する。
図1及び図2に示すように、移動機構4は、キャリッジ32を往復動させる駆動源となるキャリッジモーター41と、その両端が筐体31に固定されたキャリッジガイド軸44と、キャリッジガイド軸44と平行に延在してキャリッジモーター41により駆動されるタイミングベルト42と、キャリッジモーター41を駆動するためのキャリッジモータードライバー43と、を含む。
キャリッジ32は、キャリッジガイド軸44に往復動自在に支持されている。また、キャリッジ32に固定された固定具321(図14参照)は、タイミングベルト42の接続部に固定されている。
図2に示すように、タイミングベルト42は、プーリー421とプーリー422とに掛けられ(掛け渡され)ている。そして、キャリッジモーター41がプーリー421を回転駆動すると、プーリー421の回転に連動してタイミングベルト42が正逆走行する。具体的には、プーリー421が回転駆動されると、タイミングベルト42のうちプーリー421及び422よりも上側(+Z方向)の部分が、+Y方向及び−Y方向のうち一方に移動し、タイミングベルト42のうちプーリー421及び422よりも下側(−Z方向)の部分が、+Y方向及び−Y方向のうち他方に移動する。このため、キャリッジモーター41がプーリー421を回転駆動することで、タイミングベルト42の接続部(タイミングベルト42のうちキャリッジ32の固定具321に固定された部分)が+Y方向又は−Y方向に移動し、これに伴い、キャリッジ32が、キャリッジガイド軸44に案内されて、+Y方向及び−Y方向に往復動する。
図1に示すように、インクジェットプリンター1は、記録媒体Pを供給・排出するための給紙機構7を備える。
図1乃至図3に示すように、給紙機構7は、その駆動源となる給紙モーター71と、給紙モーター71を駆動するための給紙モータードライバー73と、記録媒体Pを設置するトレイ77と、キャリッジ32の下側(−Z方向)に設けられるプラテン74と、給紙モーター71の作動により回転して記録媒体Pを1枚ずつプラテン74上に供給するための給紙ローラ72及び75と、給紙モーター71の作動により回転してプラテン74上の記録媒体Pを排紙口(図示省略)へと搬送する排紙ローラ76と、を備える。給紙機構7は、記録媒体Pを同図における+X方向(搬送方向)へ向かって搬送することができる。以下、給紙機構7により記録媒体Pが搬送される経路を、「搬送経路」と称する。
インクジェットプリンター1は、搬送経路上(より正確には、プラテン74上)に搬送された記録媒体Pに対して、複数の吐出部Dからインクを吐出させることで、記録媒体P上に画像を形成する印刷処理を実行する。
図1に示すように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御するCPU6と、各種情報を記憶する記憶部62と、インクジェットプリンター1の各部に電力を供給する電源ユニット10(「電力供給源」の一例)と、電源ユニット10から供給された電力をヘッドユニット5に伝送するための送電部2(「電力伝送部」の一例)と、キャリッジ32や記録媒体Pの位置を検出する検出器群83と、エラーメッセージ等を表示する表示部や各種スイッチ等で構成される操作部等からなる操作パネル84と、を備える。
記憶部62は、ホストコンピューター9から図示省略したインタフェース部を介して供給される印刷データPDをデータ格納領域に一時的に格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)と、印刷処理等の各種処理を実行する際に必要なデータを一時的に格納し、あるいは印刷処理等の各種処理を実行するための制御プログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)と、インクジェットプリンター1の各部を制御するための制御プログラムや、後述する記録媒体情報テーブルTBL等を格納する、不揮発性半導体メモリーの一種であるPROMと、を備える。
CPU6は、ホストコンピューター9から図示省略したインタフェース部を介して供給される印刷データPDを、記憶部62に記憶させる。そして、CPU6は、これら印刷データPDに基づいて、ヘッドユニット5、電源ユニット10、移動機構4、及び、給紙機構7等の動作を制御することにより、記録媒体Pに印刷データPDに応じた画像を形成する印刷処理を実行する。
具体的には、CPU6は、印刷データPDに基づいて、ヘッド駆動回路50の動作を制御して各吐出部Dを駆動させるための制御信号CtrHを生成し、筐体31に設けられた無線インタフェース81と、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載された無線インタフェース82との間の無線通信を介して、制御信号CtrHをヘッドユニット5に供給する。これにより、CPU6は、ヘッド駆動回路50の動作の制御を介して、各吐出部Dからのインクの吐出の有無と、インクを吐出する場合におけるインクの吐出量及び吐出タイミングを制御する。
また、CPU6は、記憶部62に格納されている各種データと、検出器群83からの検出値と、に基づいて、キャリッジモータードライバー43の動作を制御するための制御信号、及び、給紙モータードライバー73の動作を制御するための制御信号を生成し、これら生成した各種制御信号を出力する。これにより、CPU6は、キャリッジモータードライバー43の動作の制御を介して、記録媒体Pを一枚ずつ副走査方向(+X方向)に間欠送りするようにキャリッジモーター41を駆動させ、また、給紙モータードライバー73の動作の制御を介して、キャリッジ32を主走査方向(+Y方向及び−Y方向)に往復動させるように給紙モーター71を駆動させる。
このように、CPU6は、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御することで、記録媒体P上に吐出されたインクにより形成されるドットサイズ及びドット配置を調整し、印刷データPDに対応する画像を記録媒体Pに形成する印刷処理を実行する。
検出器群83は、リニアエンコーダ831(図2参照)と、ロータリーエンコーダ832(図3参照)とを含む。
リニアエンコーダ831は、主走査方向において所定の間隔でストライプ状の模様が印刷されたスケールと、キャリッジ32のスケールに向かい合う位置に配置された一対の発光素子及び受光素子と、を含む(図2においては、スケールのみ図示)。このリニアエンコーダ831は、キャリッジ32の主走査方向における移動量を検出し、検出結果を出力する。
ロータリーエンコーダ832は、給紙ローラ及び排紙ローラの回転方向において所定の角度でストライプ状の模様が印刷されたスケールと、スケールに向かい合う位置に配置された一対の発光素子及び受光素子と、を含む。このロータリーエンコーダ832は、給紙ローラ及び排紙ローラの回転量を検出し、検出結果を出力する。CPU6は、リニアエンコーダ831からの検出結果に基づいて、キャリッジ32のY軸方向における位置を算出することができ、また、ロータリーエンコーダ832からの検出結果に基づいて、搬送系路上における記録媒体PのX軸方向における位置を算出することができる。
電源ユニット10は、筐体31に設けられ、送電部2を介して、ヘッドユニット5等の搭載物EBに対して電力を供給する。
電力は電圧と電流との積で算出されるところ、負荷に対して電力を伝送するには、電力を発生する電力源から負荷に向かって電流を流し込む給電経路と、負荷から電力源へ戻りの電流が流れる放電経路と、が必要となる。即ち、一般的に、電力源は、給電経路及び放電経路を介して負荷に電気的に接続され、給電経路及び放電経路に電源電圧を印加する。
本実施形態にかかる電源ユニット10は、電気コード等を介して家庭用ACコンセント等に接続され、交流電圧を発生する。そして、電源ユニット10は、給電経路に第1の電源信号を供給し、放電経路に第2の電源信号を供給することによって、第1の電源信号と第2の電源信号の電位差として与えられる電源電圧を、給電経路及び放電経路に印加する。
なお、本実施形態において、「電力を供給する」には、給電経路及び放電経路の少なくとも一方に電源信号を供給することで、給電経路及び放電経路に電源電圧を印加することを含む。
また、詳細は後述するが、電源ユニット10が出力する第1の電源信号の電位、及び、第2の電源信号の電位、又は、電源電圧の大きさは、CPU6から供給される電源制御信号CtrPに基づいて決定される。
なお、インクジェットプリンター1は、電源ユニット10の他に、家庭用ACコンセント等に接続されたDC電源(図示省略)を備える。筐体31に固定された各部に対しては、当該DC電源から電力が供給される。
図1に示すように、送電部2は、筐体31に設けられた送電回路11と、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載された受電回路12と、ワイヤレス伝送部20と、を含む。
ワイヤレス伝送部20は、筐体31に設けられた第1導電体(高位)21及び第1導電体(低位)23と、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載された第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24と、を含む。
第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24は、それぞれ略平板形状の導電体である。ここで第1導電体(高位)21の少なくとも一部と第2導電体(高位)22とは、キャリッジ32の移動期間中であっても向かい合う状態が保たれるように構成されている。つまり、第1導電体(高位)21は、キャリッジ32が移動しても第2導電体(高位)22と向かい合う部分を有するように、キャリッジ32の移動範囲に対応して、その大きさ及び位置が設定されている。
同様に、第1導電体(低位)23の少なくとも一部と第2導電体(低位)24とは、キャリッジ32の移動期間中であっても向かい合い続けるように構成されている。つまり、第1導電体(低位)23は、キャリッジ32が移動しても第2導電体(低位)24と向かい合う部分を有するように、キャリッジ32の移動範囲に対応して、その大きさ及び位置が設定されている。
より具体的には、図3に示す例では、第1導電体(高位)21は、プラテン74等の搬送経路を挟んで第2導電体(高位)22の反対側に設けられ、第1導電体(低位)23は、搬送経路を挟んで第2導電体(低位)24の反対側に設けられる。また、第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24は、上側(+Z方向)から見たときに、第1導電体(高位)21の少なくとも一部と第2導電体(高位)22の少なくとも一部とが重なり合い、第1導電体(低位)23の少なくとも一部と第2導電体(低位)24の少なくとも一部とが重なり合うように、配置される。
詳細には図13に示すように、キャリッジ32には、+X方向側の端部に第2導電体(高位)22がY軸方向に延在するように設けられ、且つ、−X方向側の端部に第2導電体(低位)24がY軸方向に延在するように設けられている。
なお、送電部2の詳細については後述する。
ここで第1導電体(高位)21、第2導電体(高位)22、第1導電体(低位)23、及び第2導電体(低位)24の配置態様は図3に示す例に限られない。以下、第1導電体(高位)21、第2導電体(高位)22、第1導電体(低位)23、及び第2導電体(低位)24の他の配置態様について説明する。
まず、図4及び図5を参照して、筐体31の天板31tを利用した配置態様について説明する。図4は、筐体31及びキャリッジ32を+Y方向から観たときの第1導電体(高位)21、第2導電体(高位)22、第1導電体(低位)23、及び第2導電体(低位)24の配置態様を示す模式図である。図5は、筐体31及びキャリッジ32を+X方向から観たときの第1導電体(高位)21、第2導電体(高位)22、第1導電体(低位)23、及び第2導電体(低位)24の配置態様を示す模式図である。
キャリッジ32には、ヘッド30が搭載されている。ヘッド30の下面には複数のノズルN(吐出口)が形成された吐出面330が設けられてる。キャリッジ32の下面32dは、プラテン74上の記録媒体Pと向かい合う側の端面であり、キャリッジ32の上面32uは、天板31tと向かい合う側の端面である。この例では、キャリッジ32の下面32dとヘッド30の吐出面330とは、同一面となるようにキャリッジ32にヘッド30が搭載されているが、下面32dより下側に吐出面330が位置するようにヘッド30をキャリッジ32に搭載してもよい。
図4及び図5に示す例では、X軸方向における第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24の配置位置は、X軸方向における中心位置C2を基準として、−X方向側の領域R2−1内である。換言すれば、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24は、ヘッド30の配置位置を基準位置として、記録媒体Pの搬送方向に係る上流側に配置されている。
上流側の領域R2−1は、下流側(搬送された記録媒体Pが筐体31から排出される側)の領域R2−2と比べて、外気が流入し難い。従って、この上流側の領域R2−1に第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24を配置することで、電力伝送時に発熱した第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24が、外気によって冷却され難くなり、当該第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24に生じた熱を有効活用することが可能となる。例えば、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24の近傍にインクの流路を配置することで、当該第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24に生じた熱で流路内のインクの粘度を低下させることができる。
また、Y軸方向(キャリッジ移動方向)における第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24の配置位置は、図5に示すようにY軸方向における中心位置C3を基準として、+Y方向側(第2の方向側)の領域R3−1内である。換言すれば、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24は、ヘッド30の位置を基準として、+Y方向側(第2の方向側)に配置されている。
ところで、Y軸方向における筐体31の一方端部(本例では第2の方向側の端部)近傍は、キャリッジ32のホームポジションに設定されている。そしてホームポジションには、例えばヘッド30のメンテナンス処理を実行するメンテナンス機構(不図示)が設けられている。
従って、上述したようにキャリッジ32のうち第2の方向側の領域R3−1(ホームポジション側の領域)に第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24を配置することで、当該キャリッジ32がホームポジションに位置したときに、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24がメンテナンス機構近傍に位置する。
よって、ヘッド30のメンテナンス処理と共に、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24のメンテナンス処理も実行する機能をメンテナンス機構(不図示)に備えさせることで、キャリッジ32がホームポジションに位置したときに、当該メンテナンス機構によってヘッド30のメンテナンス処理と共に第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24のメンテナンス処理も実行することが可能となる。
また、図5に示すようにヘッド30に対してY軸方向に並列に第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24を設けることで、ヘッド30に対してX軸方向に並列に第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24を設けた場合と比較して、X軸方向におけるキャリッジ32の大きさを小さくすることができ、ひいてはX軸方向にけるインクジェットプリンター1の大きさも小さくすることができる。
ここでZ軸方向(高さ方向)については、筐体31においてキャリッジ32の下面32dと向かい合うプラテン74近傍に(例えばプラテン74に沿って)第1導電体(高位)21が設けられ、キャリッジ32の上面32uと向かい合う天板31t近傍に(例えば天板31tに沿って)第1導電体(低位)23が設けられている。
キャリッジ32においては、Z軸方向における略中心位置C1を基準にして、−Z方向側(下側)の領域R1−1に、第1導電体(高位)21と向かい合うように第2導電体(高位)22が設けられ、+Z方向側(上側)の領域R1−2に、第1導電体(低位)23と向かい合うように第2導電体(低位)24が設けられている。
ここで図4及び図5に示す例では、第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24は、それぞれ吐出面330に対して略平行に設けられている。そして、Z軸方向において、第2導電体(高位)22と第1導電体(高位)21との間の距離L2は、吐出面330と第1導電体(高位)21との間の距離L1以上の距離である。
このように構成することで、プラテン74上で搬送される記録媒体Pに対して、第2導電体(高位)22よりも吐出面330の方が近くなる。これにより、記録媒体Pに対して、吐出面330よりも第2導電体(高位)22の方が近い構成と比較して、第2導電体(高位)22がインクの吐出特性に与える影響が低減される。また、第2導電体(高位)22が記録媒体Pに対して接近し過ぎることがないため、第2導電体(高位)22と記録媒体Pとが擦れ合ってしまうことが抑制される。
また、第2導電体(低位)24はキャリッジ32の上面32u近傍に配置され、且つ、第2導電体(高位)22はキャリッジ32の下面32d近傍に配置される。すなわち、キャリッジ32において、Z軸方向(上下方向)にできるだけ離間させて第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とを配置している。このように配置することによって、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24との間には、結合容量が殆ど発生しない。従って、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが電界結合して結合容量を形成してしまうことに起因して、本来意図したものとは異なる電力伝送系統が形成され、電力伝送の効率が低下してしまうことが抑制される。
なお、キャリッジ32の上面32uの一例としては、キャリッジ32に搭載されたインクカートリッジ33の上面を挙げることができる。インクカートリッジ33の上面に第2導電体(低位)24を設けてもよい。この場合、インクカートリッジ33は、インク収納容器として機能するばかりでなく、電力伝送経路の一部としても機能する。また、インクジェットプリンター1における既存の構成部材であるインクカートリッジ33を用いた構成であるため、第2導電体(低位)24を配置するスペースを新たに設ける構成に比べて、キャリッジ32を小型化することができる。
すなわち、キャリッジ32は、インクの液滴が着弾する記録媒体Pに対して向かい合う第1の面(下面32d)と、該第1の面と比較して記録媒体Pとの間の距離が長い第2の面(上面32u)と、を含み、第2導電体(低位)24は、前記第2の面(上面32u)に沿って設けられている。
以下、図6及び図7を参照して、筐体31の天板31tを利用した他の配置態様について説明する。図6は、筐体31及びキャリッジ32を+Y方向から観たときの第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24の配置態様を示す模式図である。図7は、筐体31及びキャリッジ32を+X方向から観たときの第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24の配置態様を示す模式図である。以下、図6及び図7に示す例を説明する。
図6及び図7に示す例では、X軸方向における第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24の配置位置は、X軸方向における中心位置C2を基準として、+X方向側の領域R2−2内である。換言すれば、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24は、ヘッド30の位置を基準として、記録媒体Pの搬送方向の下流側に配置されている。
上述したように下流側の領域R2−2は、上流側の領域R2−1と比べて外気が流入しやすい。従って、この下流側の領域R2−2に第2導電体(高位)22を配置することで、電力伝送時に発熱した第2導電体(高位)22が、外気によって冷却されやすくなる。つまり、当該第2導電体(高位)22の発熱に起因して、その近傍に配置された部材の温度が上昇することが抑制される。例えば、第2導電体(高位)22の近傍にヘッド30が配置されている場合には、当該ヘッド30の温度上昇が抑制される。
また、図7に示すように、Y軸方向における第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24の配置位置は、Y軸方向における中心位置C3を基準として、−Y方向(第1の方向)側の領域R3−2内である。換言すれば、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24は、ヘッド30の位置を基準として−Y方向(第1の方向)側に配置されている。
ここで筐体31のうち+Y方向(第2の方向)側の端部近傍は、キャリッジ32のホームポジションであり、キャリッジ32が当該ホームポジションに位置したときにはメンテナンス機構(不図示)によってヘッド30のメンテナンス処理が行われるところ、−Y方向(第1の方向)側の領域R3−2に第2導電体(高位)22を配置することで、当該第2導電体(高位)22がメンテナンス機構によるヘッド30のメンテナンス処理を阻害しない構成となる。
以上説明した配置態様は、第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24を、キャリッジ32の上面32u/下面32dに対して略平行に配置するものであるが、このような配置態様に限られることはなく、例えばキャリッジ32の上面32u/下面32dに対して略垂直にそれらを配置してもよい。以下、図8乃至図11を参照して、キャリッジ32の上面32u/下面32dに対して略垂直な配置態様を説明する。
図8に示す例では、筐体31のうち、キャリッジ32の−X方向側の端面(以下、上流側端面という)32bと向かい合う導電体設置部31b近傍に(例えば導電体設置部31bに沿って)第1導電体(低位)23が設けられ、キャリッジ32の下面32dと向かい合うプラテン74近傍に(又はプラテン74に沿って)第1導電体(高位)21が設けられている。
また、キャリッジ32においては、キャリッジ32の上流側端面32b近傍に(例えば上流側端面32bに沿って)、第1導電体(低位)23と向かい合うように第2導電体(低位)24が設けられ、キャリッジ32の下面32d近傍に(例えば下面32dに沿って)、第1導電体(高位)21と向かい合うように第2導電体(高位)22が設けてられている。
換言すれば、キャリッジ32は、記録媒体Pに対して向かい合う第1の面(下面32d)と、該第1の面(下面32d)と交差する第3の面(上流側端面32b)と、を含み、第3の面(上流側端面32b)には、キャリッジ32を筐体31に対して相対移動可能に支持するキャリッジガイド軸44によって支持される被支持部(不図示)と、第2導電体(低位)24とが設けられている。また、第1の面(下面32d)には、第2導電体(高位)22が設けられている。
ここで第1導電体(高位)21と第2導電体(高位)22とは、吐出面330に対して略平行に設けられている。また、第1導電体(低位)23と第2導電体(低位)24とは、吐出面330に対して略垂直に設けられている。
このように第2導電体(低位)24をキャリッジ32のうち上流側端面32b近傍に設けることで、当該第2導電体(低位)24をキャリッジ32の下面32d近傍に設けた場合と比べて、当該第2導電体(低位)24とヘッド30との間の距離が長くなる。これにより、第2導電体(低位)24によるヘッド30及びヘッド駆動回路50への電気的な影響が低減され、インクの吐出特性の変化が抑制される。
また、図8に示す配置態様によれば、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが向かい合わない配置態様であるため、両者が向かい合う配置態様に比べて、両者が電界結合しにくくなる。また、仮に第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが電界結合したとしても、両者間に生じる結合容量は、実質的に電力伝送の効率(電力利得)に悪影響を与えない程度である。従って、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが電界結合して結合容量を形成してしまうことに起因して、本来意図したものとは異なる電力伝送系統が形成されてしまい、電力伝送の効率が低下してしまうことが抑制される。
図9に示す例では、筐体31のうち導電体設置部31b近傍に(例えば導電体設置部31bに沿って)、第1導電体(高位)21と第1導電体(低位)23とが同一面内に設けられている。
また、キャリッジ32においては上流側端面32b近傍に(例えば上流側端面32bに沿って)、第1導電体(高位)21と向かい合うように第2導電体(高位)22が設けられ、第1導電体(低位)23と向かい合うように第2導電体(低位)24が設けてられている。ここで第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とは、同一面内に設けられている。
また、第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24は、それぞれ吐出面330に対して略垂直に設けられている。
このように、キャリッジ32は、インクの液滴が着弾する記録媒体Pに対して向かい合う第1の面(下面32d)と、該第1の面(下面32d)と交差する第3の面(上流側端面32b)と、を含み、第3の面(上流側端面)には、キャリッジ32を筐体31に対して相対移動可能に支持するキャリッジガイド軸44によって支持される被支持部(不図示)と、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24とが設けられている。
図9に示す例のように、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24を、キャリッジ32の上流側端面32b近傍に設けることで、キャリッジ32の下面32dに沿ってそれらを設けた場合と比べて、それらとヘッド30との間の距離が長くなる。これにより、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24による、ヘッド30及びヘッド駆動回路50への電気的な影響が低減され、インクの吐出特性の変化が抑制される。
また、図9に示す配置態様によれば、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが同一面内に配置されるため、両者が向かい合うような配置態様に比べて、両者が電界結合しにくくなる。また、仮に第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが電界結合したとしても、両者間に生じる結合容量は、実質的に電力伝送の効率(電力利得)に悪影響を与えない程度である。従って、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが電界結合して結合容量を形成してしまうことに起因して、本来意図したものとは異なる電力伝送系統が形成され、電力伝送の効率が低下してしまうことが抑制される。
さらに、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが同一面内に配置されるため、両者が向かい合うような配置態様に比べて、両者間の距離を短くすることが可能なため、それらを配置することに起因するキャリッジ32の大型化を避けることができる。
なお、キャリッジ32のうち搬送方向における下流側の端面(以下、下流側端面という。)32fと向かい合う導電体設置部31f(図10参照)を、筐体31に設けてもよい。
図10に示す例では、筐体31において、キャリッジ32の下流側端面32fと向かい合うように導電体設置部31fを設けると共に、導電体設置部31f近傍に(例えば導電体設置部31fに沿って)、第1導電体(高位)21と第1導電体(低位)23とが同一面内に設けられている。また、キャリッジ32の下流側端面32f近傍に(例えば下流側端面32fに沿って)、第1導電体(高位)21と向かい合うように第2導電体(高位)22が設けられ、第1導電体(低位)23と向かい合うように第2導電体(低位)24が設けてられている。ここで第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とは同一面内に設けられている。
図10に示す例では、第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24は、それぞれ、吐出面330に対して略垂直に設けられている。
このように、キャリッジ32は、インクの液滴が着弾する記録媒体Pに対して向かい合う第1の面(下面32d)と、該第1の面(下面32d)と交差する第3の面(上流側端面32b)及び第4の面(下流側端面32f)と、を含み、第3の面(上流側端面32b)には、キャリッジ32を筐体31に対して相対移動可能に支持するキャリッジガイド軸44によって支持される被支持部(不図示)が設けられ、第4の面(下流側端面32f)には、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが設けられている。
第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24を、キャリッジ32の下流側端面32f近傍に設けることで、キャリッジ32の下面32d近傍にそれらを設けた場合と比べて、それらとヘッド30との間の距離が長くなる。これにより、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24によるヘッド30及びヘッド駆動回路50への電気的な影響が低減され、インクの吐出特性の変化が抑制される。
また、図10に示す配置態様によれば、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが同一面内に配置されるため、両者が向かい合うような配置態様に比べて、両者が電界結合しにくくなる。また、仮に第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが電界結合したとしても、両者間に生じる結合容量は、実質的に電力伝送の効率(電力利得)に悪影響を与えない程度である。従って、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが電界結合して結合容量を形成してしまうことに起因して、本来意図したものとは異なる電力伝送系統が形成されてしまい、電力伝送の効率が低下してしまうことが抑制される。
さらに、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが同一面内に配置されるため、両者が向かい合うような配置態様に比べて、両者間の距離を短くすることが可能なため、それらを配置することに起因するキャリッジ32の大型化を避けることができる。
なお、上述した図9及び図10に示す配置態様によれば、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが同一面内に配置されるので、それらが互いに異なる面内に配置される態様と比べて、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とに係る配線を簡略化し易くなる。同様に、第1導電体(高位)21と第1導電体(低位)23とが同一面内に配置されるので、それらが互いに異なる面内に配置された態様と比べて、第1導電体(高位)21と第2導電体(低位)23とに係る配線を簡略化し易くなる。
図11に示す例では、筐体31の導電体設置部31f近傍に(例えば導電体設置部31fに沿って)第1導電体(高位)21が設けられ、且つ、導電体設置部31b近傍に(例えば導電体設置部31bに沿って)第1導電体(低位)23が設けられている。
また、キャリッジ32においては、キャリッジ32の下流側端面32f近傍に(例えば下流側端面32fに沿って)、第1導電体(高位)21と向かい合うように第2導電体(高位)22が設けられ、且つ、キャリッジ32の上流側端面32b近傍に(例えば上流側端面32bに沿って)、第1導電体(低位)23と向かい合うように第2導電体(低位)24が設けてられている。
ここで第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24は、それぞれ、吐出面330に対して略垂直に設けられている。第2導電体(高位)22と、第2導電体(低位)24との間の距離dは、仮に両者が電界結合したとしても、両者間に生じる結合容量は、実質的に電力伝送の効率(電力利得)に悪影響を与えない程度である。
このように、キャリッジ32は、インクの液滴が着弾する記録媒体Pに対して向かい合う第1の面(下面32d)と、該第1の面(下面32d)と交差する第3の面(上流側端面32b)及び第4の面(下流側端面32f)と、を含み、第3の面(上流側端面32b)には、キャリッジ32を筐体31に対して相対移動可能に支持するキャリッジガイド軸44によって支持される被支持部(不図示)と第2導電体(低位)24とが設けられ、第4の面(下流側端面32f)には、第2導電体(高位)22が設けられている。
図11に示す例のように、第2導電体(高位)22をキャリッジ32の下流側端面32f近傍に設けると共に、第2導電体(低位)24をキャリッジ32の上流側端面32b近傍に設けることで、それらをキャリッジ32の下面32d近傍に設けた場合と比べて、それらとヘッド30との間の距離が長くなる。これにより、第2導電体(低位)24によるヘッド30及びヘッド駆動回路50への電気的な影響が低減され、インクの吐出特性の変化が抑制される。
また、図11に示す配置態様によれば、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24との間の距離dは、仮に両者が電界結合したとしても、両者間に生じる結合容量は、実質的に電力伝送の効率(電力利得)に悪影響を与えない程度である。従って、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが電界結合して結合容量を形成してしまうことに起因して、本来意図したものとは異なる電力伝送系統が形成され、電力伝送の効率が低下してしまうことが抑制される。
また、第1導電体(高位)21と第1導電体(低位)23とは、筐体31の導電体設置部31fと導電体設置部31bとに分けて配置される。このため、図8及び図9に示される両者が同一面内に配置される態様と比較して、筐体31のZ軸方向の寸法を小さくしやすい。
上述した図9乃至図11に示す配置態様によれば、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とが吐出面330に対して略垂直に配置されるため、例えば両者が吐出面330に対して略平行で且つ互いに向かい合うような配置態様、すなわちZ軸方向について両者間の距離を一定以上とる必要がある配置態様と比較して、キャリッジ32のZ軸方向の寸法を小さくしやすい。
なお、第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24の配置態様は、図3乃至図11に示す例に限られない。すなわち、第1導電体(高位)21と第2導電体(高位)22とが電界結合を形成可能であって、第1導電体(低位)23と第2導電体(低位)24とが電界結合を形成可能な位置であれば、それらを筐体31又はキャリッジ32の任意の場所に設けてよい。
また、本実施形態においては、電界結合を形成する導電体として、第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24のように平板形状の導電体を採用しているが、電界結合を形成可能な形状であれば平板形状に限られず、任意の形状の導電体を採用してよい。
さらには、図3乃至図11に示す各例において、第1導電体(高位)21と第1導電体(低位)23とを入れ替えて配置してもよいし、第2導電体(高位)22と第2導電体(低位)24とを入れ替えて配置してもよい。
<2.ヘッド部について>
次に、図12及び図13を参照しつつ、ヘッド30と、ヘッド30に設けられる吐出部Dと、について説明する。
図12は、ヘッド30の概略的な一部断面図の一例である。なお、この図では、図示の都合上、ヘッド30のうち、M個の吐出部Dの中の1個の吐出部Dと、当該吐出部Dにインク供給口360を介して通連するリザーバ350と、インクカートリッジ33からリザーバ350にインクを供給するためのインク取り入れ口370と、を示している。
図12に示すように、吐出部Dは、圧電素子300と、内部にインクが充填されたキャビティ320(圧力室)と、キャビティ320に通連するノズルNと、振動板310と、を備える。この吐出部Dは、圧電素子300が駆動信号DRVにより駆動されることにより、キャビティ320内のインクをノズルNから吐出させる。
吐出部Dのキャビティ320は、凹部を有するような所定の形状に成形されたキャビティプレート340と、ノズルNが形成された吐出面330と、振動板310と、により区画される空間である。このキャビティ320は、インク供給口360を介してリザーバ350と連通している。リザーバ350は、インク取り入れ口370を介してインクカートリッジ33と連通している。
本実施形態では、圧電素子300として、図12に示すようなユニモルフ(モノモルフ)型を採用する。この圧電素子300は、下部電極301と、上部電極302と、下部電極301及び上部電極302の間に設けられた圧電体303と、を有する。そして、下部電極301に後述する基準電位VSSが供給され、上部電極302に駆動信号DRVが供給されることで、下部電極301及び上部電極302の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子300が図において上下方向に撓み、その結果、圧電素子300が振動する。
キャビティプレート340の上面開口部には、振動板310が設置され、この振動板310には、下部電極301が接合されている。このため、圧電素子300が駆動信号DRVにより振動すると、振動板310も振動する。そして、この振動板310の振動によりキャビティ320の容積(キャビティ320内の圧力)が変化し、キャビティ320内に充填されたインクがノズルNより吐出される。
インクの吐出によりキャビティ320内のインクが減少した場合、リザーバ350からインクが供給される。また、リザーバ350へは、インクカートリッジ33からインク取り入れ口370を介してインクが供給される。
図13は、キャリッジ32を+Z方向から見たときの、ヘッド30が備えるM個のノズルNの配置と、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24の配置と、を説明するための説明図である。なお、図13においては、図3に示す配置態様で第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24を配置している。
M個のノズルNは、キャリッジ32に設けられたヘッド30において、4列のノズル列に整列された態様で配置されている。より具体的には、図13に示すように、ヘッド30には、ブラックのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LBKと、シアンのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LCyと、マゼンタのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LMgと、イエローのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LYlと、が設けられている。なお、各ノズル列において、ノズルN間のピッチPxは、印刷解像度(dpi:dot per inch)に応じて適宜設定され得る。
また、キャリッジ32には、+X方向側の端部に第2導電体(高位)22がY軸方向に延在するように設けられ、且つ、−X方向側の端部に第2導電体(低位)24がY軸方向に延在するように設けられている。
なお、本実施形態において、各ノズル列は、図13に示すように、複数のノズルNをX軸方向に一列に整列したものであるが、本発明はこのような態様のノズル列に限定するものではなく、例えば、各ノズル列を構成する複数のノズルNのうち偶数番目のノズルNと奇数番目のノズルNとのY軸方向の位置が異なる、所謂千鳥状に配列されたノズル列を有するものであってもよい。
<3.送電部について>
次に、図14を参照しつつ、送電部2について説明する。
図14は、送電部2の給電経路及び放電経路について説明するための説明図である。なお、図14においては、図3に示す配置態様で第1導電体(高位)21、第1導電体(低位)23、第2導電体(高位)22、及び第2導電体(低位)24を配置している。
図14に示すように、電源ユニット10は、給電経路211を介して送電回路11に電気的に接続されると共に、放電経路221を介して送電回路11に電気的に接続される。そして、電源ユニット10は、給電経路211に第1の電源信号を供給し、放電経路221に第2の電源信号を供給することで、送電回路11に対して電源電圧を印加する。
送電回路11は、給電経路212を介して第1導電体(高位)21に電気的に接続され、放電経路222を介して第1導電体(低位)23に電気的に接続される。
図14に示すように、第1導電体(高位)21は、キャリッジ32に設けられた第2導電体(高位)22の下側(−Z方向)であって、キャリッジ32の往復動に伴う第2導電体(高位)22のY軸方向の移動範囲を包含するように、Y軸方向に延在している。このため、第1導電体(高位)21及び第2導電体(高位)22は、キャリッジ32が主走査方向に往復動する場合であっても、互いに向かい合った状態を維持することができる。よって、第1導電体(高位)21及び第2導電体(高位)22は、電界結合して結合容量CM1を形成し、当該結合容量CM1の容量値は、キャリッジ32が主走査方向に往復動しても、略一定の値に保たれる。当該結合容量CM1は、給電経路の一部を構成する。
同様に、第1導電体(低位)23は、キャリッジ32に設けられた第2導電体(低位)24の下側(−Z方向)であって、キャリッジ32の往復動に伴う第2導電体(低位)24のY軸方向の移動範囲を包含するように、Y軸方向に延在している。このため、第1導電体(低位)23及び第2導電体(低位)24は、電界結合して結合容量CM2を形成し、当該結合容量CM2の容量値は、キャリッジ32が主走査方向に往復動しても、略一定の値に保たれる。当該結合容量CM2は、給電経路の一部を構成する。
第2導電体(高位)22は、給電経路213を介して受電回路12に電気的に接続され、第2導電体(低位)24は、放電経路223を介して受電回路12に電気的に接続される。
そして、詳細は後述するが、受電回路12は、給電経路214(図15参照)を介してヘッドユニット5に電気的に接続されると共に、放電経路224(図15参照)を介してヘッドユニット5に電気的に接続される(図15参照)。
このように、本実施形態では、給電経路211〜214及び結合容量CM1により給電経路が形成され、放電経路221〜224及び結合容量CM2により放電経路が形成される。すなわち、給電経路の一部が結合容量CM1により構成され、放電経路の一部が結合容量CM2により構成される。このため、電源ユニット10から、キャリッジ32に搭載されたヘッドユニット5等の搭載物EBに対する電力の伝送を、非接触(ワイヤレス)で行うことが可能となる。
なお、第1導電体(高位)21及び第1導電体(低位)23の各々は「第1導電体」の一例であり、第2導電体(高位)22及び第2導電体(低位)24の各々は第1導電体に向かい合う「第2導電体」の一例である。すなわち、ワイヤレス伝送部20は、電源ユニット10から供給された電力の少なくとも一部を、第1導電体及び第2導電体で形成される結合容量を介して、ヘッドユニット5等の搭載物EBに伝送する。
このため、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、キャリッジ32の外側(筐体31側)に設けられた電源ユニット10から、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載されたヘッドユニット5に対して、FFC等の物理的な配線を用いることなく電力を伝送することが可能となる。
上述のとおり、従来のインクジェットプリンターでは、筐体に設置された電源からキャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して、FFC等の物理的配線を用いて電力を伝送していた。このような従来のインクジェットプリンターにおいては、キャリッジが主走査方向に往復動する場合において、FFCが物理的障害となることがあった。また、従来のインクジェットプリンターにおいては、キャリッジの往復動に伴ってFFCが動くことで発生するノイズが、ヘッドユニットに対して送信される制御信号に伝播することがあった。
このような、FFCに起因する不都合が、インクジェットプリンターの故障の原因となり、また、インクジェットプリンターが印刷する画像の画質の劣化の原因となることもあった。
これに対して、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、FFCを用いることなく電力を伝送することが可能となる。これにより、FFCに起因する各種不都合を解消することができ、ヘッドユニットに対してFFCを用いて電力を伝送する従来のインクジェットプリンターと比較して、印刷の品位を高めることが可能となり、また、インクジェットプリンター1の故障頻度を低減させることも可能となる。
図15は、送電部2の等価回路図の一例である。
この図に示すように、電源ユニット10は、端子TE01から給電経路211に対して第1の電源信号VS1を出力し、端子TE02から放電経路212に対して第2の電源信号VS2を出力することで、送電回路11の端子TE11と端子TE12との間に、第1の電源信号VS1の示す電位と第2の電源信号VS2の示す電位との電位差である電源電圧VSを印加する。
図15に示すように、送電回路11は、端子TE11と端子TE12との間に設けられた容量C1と、容量C1に並列に接続されたインダクタL1と、端子TE13と端子TE14との間に設けられた容量C2と、容量C2に並列に接続されたインダクタL2と、を備える。インダクタL1及びインダクタL2は、電磁的に結合しており、インダクタL1に流れる電流の大きさが変化すると電磁誘導により磁場が発生し、当該磁場によりインダクタL2に誘導起電力を生じる。これらインダクタL1及びインダクタL2は、変圧器として機能する。
図15に示すように、送電回路11の端子TE13は、給電経路212を介して、結合容量CM1の一方の電極である第1導電体(高位)21に電気的に接続され、送電回路11の端子TE14は、放電経路222を介して、結合容量CM2の一方の電極である第1導電体(低位)23に電気的に接続される。
結合容量CM1の他方の電極である第2導電体(高位)22は、給電経路213を介して、受電回路12の端子TE21に電気的に接続される。また、結合容量CM2の他方の電極である第2導電体(低位)24は、放電経路223を介して、受電回路12の端子TE22に電気的に接続される。
図15に示すように、受電回路12は、端子TE21と端子TE22との間に設けられた容量C3と、容量C3に並列に接続されたインダクタL3と、端子TE23と端子TE24との間に設けられた容量C4と、容量C4に並列に接続されたインダクタL4と、を備える。インダクタL3及びインダクタL4は、電磁的に結合しており、インダクタL3に流れる電流の大きさが変化すると電磁誘導により磁場が発生し、当該磁場によりインダクタL4に誘導起電力を生じる。これらインダクタL3及びインダクタL4は、変圧器として機能する。
受電回路12は、端子TE23から給電経路214に対して第1の出力信号Vout1を出力し、端子TE24から放電経路224に対して第2の出力信号Vout2を出力することで、ヘッドユニット5の端子TE31と端子TE32との間に、第1の出力信号Vout1の示す電位と第2の出力信号Vout2の示す電位との電位差である出力電圧Voutを印加する。
なお、本実施形態では、インダクタL2及び容量C2により構成されるLC回路の共振周波数と、インダクタL3及び容量C3により構成されるLC回路の共振周波数と、が略同じとなるように、インダクタL2及びインダクタL3のそれぞれのインダクタンスと、容量C2及び容量C3のそれぞれの容量値と、が定められる。この場合、送電部2における電力の伝送効率を高くすることが可能となる。
<4.送電部の伝送効率について>
次に、図16乃至図20を参照しつつ、送電部2による電力の伝送効率について説明する。なお、図16においては、図15に示す電源ユニット10の内部抵抗RSを図示すると共に、ヘッドユニット5の端子TE31と端子TE32との間の電気抵抗RLを図示している。
また、図16では、送電回路11を、インダクタンスLAのインダクタと容量値CAの容量とを有する、送電回路11と等価な回路11Aで表し、受電回路12を、インダクタンスLBのインダクタと容量値CBの容量とを有する、受電回路12と等価な回路12Aで表している。
さらに、図16では、図15に示す結合容量CM1及び結合容量CM2の容量値が互いに等しいと仮定して、結合容量CM1及び結合容量CM2のインピーダンスを共にインピーダンスZMで表している。
図17は、計算を容易にするために、図16に示す回路を、電源ユニット10の発生する第1の電源信号VS1の電位と第2の電源信号VS2の電位との中心電位VCを基準として、上側と下側の2つの回路に分割した回路である。
ここで計算の便宜上、図17に示す回路における各種値を下記のように置き換える。
RS/2=RL/2=z0 ……式(1)
LA/2=LB/2=L ……式(2)
2CA=2CB=C ……式(3)
ZM/2=R ……式(4)
この場合、図17に示す回路は、これと等価な図18に示す回路で表すことができる。
図18において、回路10Sは、電源ユニット10を、中心電位VCを基準として分割した2つの回路のうちの一方に相当し、回路(二端子対回路)2Sは、送電部2のうち、給電経路又は放電経路のうちの一方に相当し、回路5Sは、ヘッドユニット5の端子TE31及び端子TE31の間の抵抗RLを、中心電位VCを基準として分割した2つの抵抗のうちの一方に相当する。
以下、二端子対回路2Sによる電力の伝送効率を示す値として、二端子対回路2Sの電圧透過係数と電力透過係数とを求める。
ここで、電圧透過係数とは、二端子対回路の入力端に印加された電圧に対する、出力端から出力される電圧の比率(電圧利得)を表す値である。また、電力透過係数とは、二端子対回路の入力端に供給される電力に対する、出力端から出力される電力の比率(電力利得)を表す値である。
二端子対回路の電圧透過係数は、当該二端子対回路の伝達特性を示す2行2列の散乱行列(scattering matrix)のうち、第2行第1列の成分によって表される。また、二端子対回路の電力透過係数は、散乱行列の第2行第1列の成分の絶対値の二乗として表される。これら、電圧透過係数や電力透過係数を求めるために必要となる、二端子対回路の散乱行列は、二端子対回路のインピーダンス行列(impedance matrix)から求めることができる。
そこで、以下では、まず二端子対回路2Sのインピーダンス行列Zを算出し、次に二端子対回路2Sの散乱行列Sを算出することで、二端子対回路2Sの電圧透過係数及び電力透過係数を求める。
図18に示す二端子対回路2Sは、二端子対回路TN1と二端子対回路TN2とからなる。具体的には、二端子対回路2Sは、図19に示すように、二端子対回路TN1と二端子対回路TN2とを直列に接続したものである。
そして、二端子対回路TN1のインピーダンス行列をZ1とし、二端子対回路TN2のインピーダンス行列をZ2とすると、二端子対回路2Sのインピーダンス行列Zは、以下の式(5)に基づいて定めることができる。
Z=Z1+Z2 ……式(5)
図18に示す二端子対回路TN1のインピーダンス行列Z1は、インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bにより、以下の式(6)で表される。
Figure 2015223800
インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bは、それぞれインダクタンスLに係るインピーダンスである。よって、インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bは、虚数単位j、電源電圧VSの角周波数ωを用いて、以下の式(7)で表される。
Z1A=Z1B=jωL …式(7)
すなわち、式(6)に式(7)を代入することで、インピーダンス行列Z1を、以下の式(8)で表すことができる。
Figure 2015223800
次に、二端子対回路TN2のインピーダンス行列Z2を、二端子対回路TN2のアドミタンス行列Y2の逆行列として求める。
図20に示す、アドミタンスYA、YB、YCを備える二端子対回路のアドミタンス行列Yは、以下の式(9)で表される。
Figure 2015223800
図18に示す二端子対回路TN2の要素である容量Cのアドミタンスは、図20に示す二端子対回路のアドミタンスYA及びYCに対応し、以下の式(10)で表される。
YA=YC=jωC …式(10)
同様に、二端子対回路TN2の要素である抵抗Rのアドミタンスは、図20に示す二端子対回路のアドミタンスYBに対応し、以下の式(11)で表される。
YB=1/R …(式11)
よって、二端子対回路TN2のアドミタンス行列Y2は、式(9)に対して、式(10)及び式(11)を代入した、式(12)として表される。
Figure 2015223800
二端子対回路TN2のインピーダンス行列Z2は、式(12)に示すアドミタンス行列Y2の逆行列として求めることができる。このため、二端子対回路2Sのインピーダンス行列Zは、以下の式(13)として求められる。
Figure 2015223800
散乱行列Sは、一般的に、インピーダンス行列Zと2行2列の単位行列Iとを用いて、以下の式(14)で表される。
Figure 2015223800
また、本実施形態では、上述したようにLC共振現象を利用して高効率で電力伝送を行うため、式(2)に示すインダクタンスLと、式(3)に示す容量値Cとは、以下の式(15)に示す共振条件を満たすように定められる。
ωLC=1 ……式(15)
よって、式(12)〜式(15)より、以下の式(16)で表される散乱行列Sの各成分のうち、第2行第1列の成分s21を求めることができる。この成分s21は、二端子対回路2Sの電圧透過係数を表す値であり、以下の式(17)で表される。
Figure 2015223800
また、上述のとおり、二端子対回路2Sの電力透過係数は成分s21の絶対値の二乗|s21|であり、以下の式(18)で表される。
Figure 2015223800
本実施形態では、電圧透過係数及び電力透過係数を大きくするために、以下の式(19)が成立するように、電源ユニット10、送電部2、及び、ヘッドユニット5の各構成要素を設計する。
z0<<R<<ωL …式(19)
式(19)が成立することを前提とした場合、式(18)に示す値|s21|は、以下の式(20)に示す値に近似される。この場合、電力透過係数の値|s21|は、ほぼ「1」に近い値となり、送電部2は高い伝送効率を有することになる。
Figure 2015223800
以下、上述した式(19)を充足するために必要となる条件を検討する。
まず、式(19)のうち、「z0<<R」について検討する。
一般的に、インピーダンスz0に対応する電源ユニット10の抵抗RSは、小さい値に設定することが可能である。また、一般的に、結合容量(CM1、CM2)に係るインピーダンスZMは、大きな値となる。よって、一般的に、「z0<<R」という条件は充足される。
次に、式(19)のうち、「R<<ωL」について検討する。
結合容量CM1及び結合容量CM2の容量値をCMとした場合、インピーダンスR(インピーダンスZM)は、容量値CMを用いることで以下の式(21)で表される。
Figure 2015223800
式(15)及び式(21)より、以下の式(22)が得られる。また、式(20)及び式(22)より、以下の式(23)が得られる。
Figure 2015223800
式(22)から明らかなように、「R<<ωL」という条件を充足するためには、結合容量CM1及び結合容量CM2の容量値CMを、送電回路11の有する容量の容量値CA、及び、受電回路12の有する容量の容量値CBよりも十分に大きくなるように定めればよい。
この場合には、式(23)に示すように、電力透過係数の値|s21|は、ほぼ「1」に近い値となる。
<5.ヘッド駆動回路50について>
次に、図21及び図22を参照しつつ、ヘッドユニット5の構成及び動作について説明する。
図21は、ヘッドユニット5の等価回路図の一例である。この図に示すように、ヘッドユニット5は、整流回路13と、ヘッド駆動回路50と、ヘッド30と、を備える。
整流回路13は、例えばAC−DCコンバーターであり、送電部2から供給される交流電圧である出力電圧Voutを、直流電圧に変換する。具体的には、整流回路13は、給電経路である電源線501の電位を高電位側の一定の電位VDDに設定し、放電経路である電源線502の電位を電位VDDよりも低い基準電位VSSに設定する。
ヘッド駆動回路50は、原駆動信号発生部51と駆動信号生成部52とを含む。ヘッド駆動回路50は、M個の吐出部Dのそれぞれに対して駆動信号DRVを供給する。なお、図21及び図22において、各信号名の末尾に付された括弧内の数字は、当該信号が供給される吐出部Dの番号を示している。
なお、ヘッドユニット5は、4列のノズル列と1対1に対応するように4個のヘッド駆動回路50を具備するものであってもよいし、M個の吐出部Dに対して共通する1個のヘッド駆動回路50を具備するものであってもよい。
原駆動信号発生部51は、CPU6から供給される制御信号CtrHに含まれる原駆動信号生成用パラメーターPRMに基づいて、原駆動信号ODRVを生成する。なお、原駆動信号生成用パラメーターPRMとは、原駆動信号ODRVの波形形状等を規定するパラメーターである。
この原駆動信号発生部51は、給電経路である電源線501と、放電経路である電源線502と、にそれぞれ電気的に接続されている。
図22は、原駆動信号ODRV、印刷信号PRT(i)、及び駆動信号DRV(i)の波形の一例を示す図である。原駆動信号ODRVは、単位期間(キャリッジ32が一画素の間隔を横切る期間)毎に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。
駆動信号生成部52には、CPU6から供給される制御信号CtrHに含まれる印刷信号PRTと、原駆動信号ODRVと、に基づいて、駆動信号DRVを生成する。印刷信号PRTは、CPU6が印刷データPDに基づいて生成する信号であり、各画素に対する吐出部Dからのインクの吐出の有無と、吐出部Dからインクを吐出する場合におけるインクの吐出量と、を規定する信号である。
より具体的には、駆動信号生成部52は、M個の吐出部Dのうち第i番目の吐出部Dに対応する印刷信号PRT(i)に基づいて、原駆動信号ODRVを遮断したり通過させたりすることで、駆動信号DRV(i)を生成する。
例えば、駆動信号生成部52は、図22に示すように、印刷信号PRT(i)が2ビット信号である場合において、印刷信号PRT(i)の示す値が『00』の場合には、原駆動信号ODRVの両パルスW1及びW2を遮断し、また、印刷信号PRT(i)の示す値が『01』の場合には、パルスW1のみを遮断してパルスW2は通過させ、印刷信号PRT(i)の示す値が『10』の場合には、パルスW2のみを遮断してパルスW1は通過させ、印刷信号PRT(i)の示す値が『11』の場合には、両パルスW1及びW2を通過させる。そして、駆動信号生成部52は、通過させたパルスを駆動信号DRV(i)として、第i番目の吐出部Dが具備する圧電素子300の上部電極302に対して供給する。第i番目の吐出部Dは、駆動信号生成部52からの駆動信号DRV(i)に基づいて駆動される。
駆動信号生成部52は、給電経路である電源線501と、放電経路である電源線502と、にそれぞれ電気的に接続されている。また、各吐出部Dは、圧電素子300の上部電極302が、駆動信号生成部52と電気的に接続されて駆動信号DRV(i)の供給を受け、下部電極301が、放電経路である電源線502に電気的に接続されている。
なお、図示は省略するが、ヘッド駆動回路50は、電位VDD及び基準電位VSSとで定められる電圧を、ヘッド駆動回路50の各部が必要とする適宜な電圧に変圧するDC−DCコンバーターを有するものであってもよい。
<6.実施形態の結論>
以上に説明したように、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、FFCを用いることなく、キャリッジ32に搭載されたヘッドユニット5等の搭載物EBに対して電力を伝送することができる。このため、ヘッドユニットに対してFFCを用いて電力を伝送する従来のインクジェットプリンターと比較して、印刷の品位を高めることが可能となり、更には、インクジェットプリンター1の故障頻度を低減させることが可能となる。
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1では、電源ユニット10が、記録媒体Pの種類に応じた適切な大きさの電力を供給するため、インクジェットプリンター1の低消費電力化が可能となると共に、ヘッドユニット5に対する供給電力が不足することを抑止することができる。
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下において説明する変形例では、説明の重複を避けるため、上述した本発明の実施形態との共通点については説明を省略する。
《変形例1》
上述した実施形態及び変形例では、送電部2は、給電経路上の結合容量CM1と、放電経路上の結合容量CM2と、を有するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、結合容量CM1又は結合容量CM2の一方のみを有するものであってもよい。例えば、送電部2は、図23に示すように、放電経路をグランド電位に設定し、給電経路のみに結合容量CM1を有する態様であってもよい。図23に示す例においては、例えば、キャリッジガイド軸44の電位をグランド電位に設定し、ヘッドユニット5の端子TE32をキャリッジガイド軸44に電気的に接続させることにより、放電経路をグランド電位に設定すればよい。なお、図23に示す例において、給電経路の駆動態様は、上述した実施形態と同様である。
《変形例2》
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンター1は、圧電素子300を振動させることによりノズルNからインクを吐出させるものであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、キャビティ320に設けられた発熱体(図示省略)を発熱させることによりキャビティ320内に気泡を生じさせてキャビティ320内部の圧力を高め、これによりインクを吐出させる、所謂サーマル方式であってもよい。
《変形例3》
インクカートリッジ33に、所定の情報(例えばインクの種類やインクの残量等を示す情報)を記憶する記憶素子(Customer Service Integrated Circuit;以下、CSICという。)を設けると共に、電力を供給したCSICから所定の情報を取得する情報取得部をキャリッジ32に設ける。情報取得部によって取得された所定の情報は、キャリッジ32に搭載された無線インタフェース82によって送信され、筐体3に設置された無線インタフェース81によって受信される。
CPU6は、無線インタフェース81によって受信された所定の情報に基づいて、キャリッジ32への電力伝送を行うか否かを判定し、判定結果が肯定のときのみ、キャリッジ32への電力伝送を実行するように各部を制御する。
具体的には、CPU6による判定は、例えばキャリッジ32に搭載されているインクカートリッジ33が、当該インクジェットプリンター1に適合するものであるか否か(当該インクジェットプリンター1を正常に動作させるものであるか否か)の判定である。この判定結果が肯定のときのみ、CPU6は、キャリッジ32への電力伝送を実行するように各部を制御する。換言すれば、CPU6は、CSICから取得した所定の情報に基づいて、キャリッジ32への電力伝送を実行するか否かを制御する。
なお、無線インタフェース81によって受信された所定の情報は、例えばホストコンピューター9に出力され、表示部93に表示する等して利用することもできる。
1…インクジェットプリンター、2…送電部、4…移動機構、5…ヘッドユニット、6…CPU、7…給紙機構、9…ホストコンピューター、10…電源ユニット、11…送電回路、12…受電回路、20…ワイヤレス伝送部、21…第1導電体(高位)、22…第2導電体(高位)、23…第1導電体(低位)、24…第2導電体(低位)、30…ヘッド部、31…筐体、32…キャリッジ、50…ヘッド駆動回路、74…プラテン、D…吐出部、EB…搭載物。

Claims (13)

  1. 記録媒体に液体を吐出する吐出口が形成された吐出面を備えるヘッドユニットと、
    前記ヘッドユニットを搭載し、移動可能なキャリッジと、
    前記吐出口から前記液体を吐出させるための電力を供給する電力供給源と、
    前記電力供給源が設置された筐体と、
    前記筐体に設置された第1導電体と、
    前記第1導電体との間の距離が、前記第1導電体と前記吐出面との間の距離以上の長さとなるように、前記キャリッジに設置された第2導電体と、を備え、
    前記電力は、前記第1導電体と前記第2導電体との間の電界結合で形成される結合容量を介して、前記電力供給源から前記キャリッジへ伝送される、
    ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記第1導電体及び前記第2導電体は略平板形状を呈し、
    前記第2導電体は、前記キャリッジが移動している期間の一部又は全部において、前記第1導電体の少なくとも一部と向かい合う、
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記キャリッジは、第1の方向と、前記第1の方向の逆方向である第2の方向とに移動可能であり、
    前記第2導電体は、前記吐出面の位置を基準として前記第1の方向側及び前記第2の方向側のうち少なくとも一方に設置されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記第2導電体は、前記吐出面の位置を基準として前記記録媒体の搬送方向の上流側に設置されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
  5. 前記第2導電体は、前記吐出面の位置を基準として前記記録媒体の搬送方向の下流側に設置されている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
  6. 前記第2導電体は、前記吐出面の位置を基準として、前記第1の方向側に設置されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  7. 前記第2導電体は、前記吐出面の位置を基準として、前記第2の方向側に設置されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  8. 前記キャリッジには前記液体が封入されたカートリッジが載置され、
    前記第2導電体の少なくとも一部は、前記カートリッジに設けられている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  9. 前記キャリッジには前記液体が封入されたカートリッジが載置され、
    前記カートリッジは、所定の情報を記憶する記憶部を備え、
    前記記憶部に前記電力を供給して、前記記憶部に記憶された前記所定の情報を取得した後、前記所定の情報に基づいて前記キャリッジへ前記電力を伝送するか否かを制御する制御部が前記筐体に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  10. 前記キャリッジは、前記記録媒体に対して向かい合う第1の面と、前記第1の面と比較して前記記録媒体との間の距離が長い第2の面と、を含み、
    前記第2導電体は、前記第2の面に沿って設けられている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
  11. 前記筐体には、前記キャリッジを移動可能に支持するキャリッジ軸が設けられ、
    前記キャリッジには、前記キャリッジ軸によって支持される被支持部が設けられ、
    前記第2導電体は、前記キャリッジにおける前記被支持部が設けられた面と反対側の面に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
  12. 前記筐体には、前記キャリッジを移動可能に支持するキャリッジ軸が設けられ、
    前記キャリッジには、前記キャリッジ軸によって支持される被支持部が設けられ、
    前記第2導電体は、前記キャリッジにおける前記被支持部が設けられた面に設けられている、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
  13. 記録媒体に液体を吐出する吐出口が形成された吐出面を備えるヘッドユニットと、
    前記ヘッドユニットを搭載し、移動可能なキャリッジと、
    前記ヘッドユニットから前記液体を吐出する為の電力を供給する電力供給源と、
    前記電力供給源が設置された筐体と、
    前記筐体に設置された第1導電体と、
    前記第1導電体との間の距離が、前記第1導電体と前記吐出面との間の距離以上の長さとなるように、前記キャリッジに設置された第2導電体と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、
    前記第1導電体と前記第2導電体との間の電界結合で形成される結合容量を介して、前記電力供給源から前記キャリッジへ前記電力を伝送し、
    前記結合容量を介して前記キャリッジへ伝送された前記電力によって、前記ヘッドユニットが前記液体を液滴として前記吐出口から吐出する、
    ことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
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