JP2014218019A - 液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】着弾対象に対する形成内容或いは形成方法に応じた液体噴射制御が可能な液体噴射装置、および、その制御方法を提供する。
【解決手段】駆動信号生成部11と記録ヘッド6の圧電素子20とは、FFC14を介して電気的に接続される。この信号経路は、圧電素子の駆動電極20aと個別に接続される個別電極ライン33と、圧電素子の共通電極20bと接続される共通電極ライン34からなる。個別電極ラインにおいて、駆動信号生成部とFFCとの間には、切替部12が設けられている。この切替部12は、駆動信号生成部で生じる発振の度合いを、抵抗35a,35bを切り替えることにより調整する。
【選択図】図6
【解決手段】駆動信号生成部11と記録ヘッド6の圧電素子20とは、FFC14を介して電気的に接続される。この信号経路は、圧電素子の駆動電極20aと個別に接続される個別電極ライン33と、圧電素子の共通電極20bと接続される共通電極ライン34からなる。個別電極ラインにおいて、駆動信号生成部とFFCとの間には、切替部12が設けられている。この切替部12は、駆動信号生成部で生じる発振の度合いを、抵抗35a,35bを切り替えることにより調整する。
【選択図】図6
Description
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法に関し、特に、駆動信号に含まれる駆動波形を圧力発生手段に印加することにより当該圧力発生手段を駆動させ、ノズルに連通する圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズルから液体を噴射させる液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法に関するものである。
液体噴射装置は液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射(吐出)する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を活かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
上記のプリンターに搭載されるインクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッドの一種。以下、記録ヘッドと略記する。)は、インクを噴射させるノズルを複数列設してなるノズル列(ノズル群)や、これらのノズルに連通する圧力室内のインクに圧力変動を生じさせてノズルからインクを噴射させる圧力発生手段として、例えば圧電素子、発熱素子、又は静電アクチュエーターなどを備えている。そして、このプリンターでは、制御装置の駆動信号発生部によって生成された駆動信号を上記の圧力発生手段に印加することで、当該圧力発生手段を駆動してインクを噴射させるように構成されている。
ここで、例えば、いわゆるPOP広告やグラフなどのように、写真画像等と比較して特に輪郭や色分けが明確な画像をプリンターで印刷する場合、記録媒体(記録紙)の所定の範囲を特定の色のインクで隙間無く埋めて塗りつぶす所謂ベタ印刷を行うことがある(例えば、特許文献1参照。)。この場合、記録媒体に対して多くのインクを着弾させることが優先されることから、ノズル列を構成する各ノズルに関し、同時にインクを噴射するノズルの数が多くなる傾向となる。これに対し、CAD等で使われる線図やテキスト等のようにドットを並べて線や文字などを表現する線画印刷では、同時にインクを噴射するノズルの数が、前者の場合と比して大幅に少なくなる(例えば、特許文献2参照。)。
近年では、上記のような種々の記録画像や形成方法に対応可能なプリンターが求められている。すなわち、上記のPOP広告等をベタ印刷により記録する場合には記録媒体の所定の範囲をより効率良くインクで埋めて高速化を図る一方、上記の線画印刷では、記録媒体上の所定の位置にインクをより高い精度で着弾させて記録画像の画質を確保することが求められ、これらを両立させることが望ましい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、着弾対象に対する形成内容或いは形成方法に応じた液体噴射制御が可能な液体噴射装置、および、その制御方法を提供することにある。
本発明の液体噴射装置は、上記目的を達成するために提案されたものであり、複数のノズルによりなるノズル群を有し、圧力発生手段の駆動により前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記圧力発生手段を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成部と
前記液体噴射ヘッドからの液体の前記駆動信号生成部で生じる発振の度合いを調整する発振調整部と、
を備え、
前記発振調整部は、前記液体噴射ヘッドから着弾対象に液体を着弾させて当該着弾対象に対する形成内容または形成方法に応じて前記発振の度合いを調整することを特徴とする。
前記圧力発生手段を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成部と
前記液体噴射ヘッドからの液体の前記駆動信号生成部で生じる発振の度合いを調整する発振調整部と、
を備え、
前記発振調整部は、前記液体噴射ヘッドから着弾対象に液体を着弾させて当該着弾対象に対する形成内容または形成方法に応じて前記発振の度合いを調整することを特徴とする。
本発明によれば、発振調整部が、着弾対象に対する形成内容(例えば、画像やテキスト)または形成方法(例えば、ベタ印刷や線画印刷)に応じて駆動信号生成部で生じる発振の度合いを調整するので、これらの形成内容等により適したインクの噴射制御が可能となる。すなわち、例えば、着弾対象に対して着弾する液体の量や処理速度が優先される形成内容もしくは形成方法、特に、ノズル群を構成する各ノズルから同時に液体の噴射を行う場合には、発振の度合いを大きく設定して駆動信号に意図的に歪みを生じさせることで、駆動信号の見かけ上の駆動電圧が、発振がない状態の駆動信号の駆動電圧よりも高まる。これにより、当該駆動信号により圧力発生手段を駆動することでノズルから噴射される液体の量および飛翔速度が高まる。したがって、液体の量や処理速度を優先した記録が可能となる。また、例えば、着弾対象に対する着弾精度が優先される形成内容もしくは形成方法では、発振の度合いを小さく設定して、駆動信号に生じる歪みを抑制することで、その駆動電圧が、発振がない状態の駆動信号の駆動電圧に揃えられる。これにより、当該駆動信号によりノズルから噴射される液体の量および飛翔速度は、同時に液体を噴射するノズルの数によらず、一定に揃う。このため、記録媒体の所定の位置に高い精度で液体を着弾させることができ、線画等の画質を良好に維持することができる。
上記構成において、前記発振調整部は、抵抗を有し、当該抵抗の選択若しくは非選択、又は切り替えにより前記発振の度合いを調整する構成を採用することが望ましい。
また、上記構成において、前記発振調整部は、コンデンサーを有し、当該コンデンサーの選択若しくは非選択、又は切り替えにより前記発振の度合いを調整する構成を採用することも可能である。
上記構成において、前記発振調整部は、前記液体噴射ヘッドからの液体の噴射を指示する噴射データに基づき形成内容または形成方法を判断し、当該判断結果に応じて前記発振の度合いを調整する構成を採用することが望ましい。
この構成によれば、噴射データに基づいて形成内容または形成方法を判断し、当該判断結果に応じて前記発振の度合いを調整するので、使用者が面倒な設定等をする必要が無い。
上記構成において、前記発振調整部は、ドライバーソフトウェアの設定に基づき形成内容または形成方法を判断し、当該判断結果に応じて前記発振の度合いを調整する構成を採用することも可能である。
また、本発明の液体噴射装置の制御方法は、複数のノズルによりなるノズル群を有し、圧力発生手段の駆動により前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記圧力発生手段を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部で生じる発振を調整する発振調整部と、を備える液体噴射装置の制御方法であって、
前記発振調整部は、前記液体噴射ヘッドから着弾対象に液体を着弾させて当該着弾対象に対する形成内容または形成方法に応じて発振の度合いを調整することを特徴とする。
前記発振調整部は、前記液体噴射ヘッドから着弾対象に液体を着弾させて当該着弾対象に対する形成内容または形成方法に応じて発振の度合いを調整することを特徴とする。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図、図2は、プリンター1の内部構成を説明する斜視図である。外部装置2は、例えばコンピューター、デジタルカメラ、携帯電話機などの電子機器である。この外部装置2は、プリンター1と無線又は有線で電気的に接続されており、プリンター1において記録紙等の記録媒体に画像やテキストを印刷させるため、その画像等に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
本実施形態におけるプリンター1は、紙送り機構3、キャリッジ移動機構4、リニアエンコーダー5、記録ヘッド6、及び、プリンターコントローラー7等を有する。記録ヘッド6は、インクカートリッジ17(液体供給源)を搭載したキャリッジ16の底面側に取り付けられている。そして、当該キャリッジ16は、キャリッジ移動機構4によってガイドロッド18に沿って往復移動可能に構成されている。すなわち、プリンター1は、紙送り機構3によって記録紙等の記録媒体S(着弾対象の一種)を順次搬送すると共に、記録媒体に対して記録ヘッド6を記録媒体Sの幅方向(主走査方向)に相対移動させながら当該記録ヘッド6のノズル21(図3および図4参照)からインクを噴射させて、記録媒体S上に当該インクを着弾させることにより画像等を記録する。なお、インクカートリッジ17がプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジ17のインクが供給チューブを通じて記録ヘッド6側に送られる構成を採用することもできる。
プリンターコントローラー7は、プリンターの各部の制御を行う制御ユニットである。本実施形態におけるプリンターコントローラー7は、インターフェース(I/F)部8と、制御部9と、記憶部10と、駆動信号生成部11と、を有する。インターフェース部8は、外部装置2からプリンター1へ印刷データや印刷命令を送ったり、プリンター1の状態情報を外部装置2側に出力したりする際にプリンターの状態データの送受信を行う。制御部9は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。記憶部10は、制御部9のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。制御部9は、記憶部10に記憶されているプログラムに従って、各ユニットを制御する。また、本実施形態における制御部9は、外部装置2からの印刷データに基づき、記録動作の際、どのノズル21からどのタイミングでインクを噴射させるかを示す噴射データを生成し、当該噴射データを記録ヘッド6のヘッド制御部に送信する。さらに、本実施形態における制御部9は、噴射データに基づいて記録媒体Sに記録する画像等の形成内容や形成方法(記録方法)を判定し、当該判定結果に応じて切替部12(後述)を制御して駆動信号生成部11の発振を調整する。したがって、本実施形態における制御部9および切替部12は、本発明における発振調整部として機能する。
駆動信号生成部11は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成する。また、駆動信号生成部11は、上記の電圧信号を増幅して駆動信号COMを生成する。例えば、図5に示すような駆動パルスDP(駆動波形)を含んで構成されている。この駆動パルスDPの詳細については後述する。この駆動信号生成部11の後段には、当該駆動信号生成部11における増幅回路で発生する発振の度合いを調整するための抵抗35を切り替える切替部12が設けられている。駆動信号生成部11で発生された駆動信号は、切替部12を介してフレキシブルフラットケーブル(FFC)14(配線部材の一種)を通じて記録ヘッド6側に伝送される。切替部12の詳細についても後述する。
次に、プリントエンジン13について説明する。このプリントエンジン13は、図1に示すように、紙送り機構3、キャリッジ移動機構4、リニアエンコーダー5、及び、記録ヘッド6等を備えている。キャリッジ移動機構4は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド6が取り付けられたキャリッジ16と、このキャリッジ16を、タイミングベルト等を介して走行させる駆動モーター(例えば、DCモーター)等からなり(図示せず)、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド6を主走査方向に移動させる。紙送り機構3は、紙送りモーター及び紙送りローラー等からなり、記録紙をプラテン上に順次送り出して副走査を行う。また、リニアエンコーダー5は、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド6の走査位置に応じたエンコーダパルスを、主走査方向における位置情報としてプリンターコントローラー7に出力する。プリンターコントローラー7は、リニアエンコーダー5側から受信したエンコーダパルスに基づいて記録ヘッド6の走査位置(現在位置)を把握することができる。
図3は、記録ヘッド6の要部断面図である。また、図4は、記録ヘッド6のノズルプレート22の平面図である。図3に示すように、記録ヘッド6は、複数の基板が積層されて構成されており、インクが導入されるインク流路(液体流路の一種)と、当該インク流路の一部を構成する圧力室19内のインクに圧力変動を生じさせる圧力発生手段としての圧電素子20等を備えている。この記録ヘッド6の下部(記録動作時における記録媒体側の面)には、ノズル21が複数開設されたノズルプレート22が配設されている。このノズルプレート22は、図4に示すように、複数(例えば、360個)のノズル21が、記録媒体Sの搬送方向に相当する方向に沿って並設されてノズル列23が構成されている。このノズル列23は、例えば、インクの色毎に設けられる。
記録ヘッド6内部のインク流路は、インクカートリッジ17側からのインクが導入されるリザーバー25と、当該リザーバー25と圧力室19とを連通するインク供給口26と、圧力室19と、当該圧力室19とノズル21とを連通するノズル連通口27と、ノズル21とから構成されている。リザーバー25は、複数の圧力室19に共通な空部であり、インクの種類(色)毎に設けられている。圧力室19は、ノズル21毎に設けられた空部であり、そのノズルプレート側とは反対側の上部開口は、弾性膜28によって封止されている。この弾性膜28上には、圧力室19毎に対応して圧電素子20が配設される。例示した圧電素子20は、所謂撓み振動モードの圧電素子であり、駆動電極20aと共通電極20bとによって圧電体20cを挟んで構成されている。
そして、圧電素子20の駆動電極に駆動信号COM(駆動パルスDP)が印加されると、駆動電極20aと共通電極20bとの間には電位差に応じた電場が発生する。この電場は圧電体20cに付与され、圧電体20cが付与された電場の強さに応じて変形する。即ち、駆動電極20aの電位を高くする程、圧電体層20cの幅方向(ノズル列方向)の中央部が圧力室19の内側(ノズルプレート22に近づく側)に撓み、圧力室19の容積を減少させるように弾性膜28を変形させる。一方、駆動電極20aの電位を低くする程(0に近づける程)、圧電体層20cの短尺方向の中央部が圧力室19の外側(ノズルプレート22から離れる側)に撓み、圧力室19の容積を増加させるように弾性膜28を変形させる。このように、圧電素子20を駆動すると圧力室19の容積が変化するので、これに伴って当該圧力室19内部のインクの圧力が変化する。そして、このインクの圧力変化を制御することによりノズル21からインク滴を噴射させることができる。
次に、記録ヘッド6の電気的な構成について説明する。
図1に示すように、記録ヘッド6は、ラッチ回路30、デコーダー31、スイッチ32、および圧電素子20を有している。これらのラッチ回路30、デコーダー31、およびスイッチ32は、ヘッド制御部を構成し、当該ヘッド制御部は、圧電素子20毎、すなわち、ノズル21毎に設けられている。ラッチ回路30は、印刷データに基づく噴射データをラッチする。この噴射データは、各ノズルからのインクの噴射・非噴射を制御するデータである。デコーダー31は、ラッチ回路30にラッチされている噴射データに基づき、スイッチ32を制御するスイッチ制御信号を出力する。デコーダー31から出力されたスイッチ制御信号は、スイッチ32へ入力される。このスイッチ32は、スイッチ制御信号に応じてオン・オフされるスイッチであり、オン期間において、駆動信号生成部11からの駆動信号COMを圧電素子20へ印加させる。このスイッチ32には、駆動信号生成部11からの駆動信号COMがFFC14を介して入力される。また、スイッチ32の出力側には圧電素子20が接続されている。そして、スイッチ制御信号がデータ[1]の場合、スイッチ32がオン状態となって、駆動信号COMが圧電素子20に印加される。また、スイッチ制御信号がデータ[0]の場合、スイッチ32がオフ状態となるので、駆動信号COMは圧電素子20に印加されない。
図1に示すように、記録ヘッド6は、ラッチ回路30、デコーダー31、スイッチ32、および圧電素子20を有している。これらのラッチ回路30、デコーダー31、およびスイッチ32は、ヘッド制御部を構成し、当該ヘッド制御部は、圧電素子20毎、すなわち、ノズル21毎に設けられている。ラッチ回路30は、印刷データに基づく噴射データをラッチする。この噴射データは、各ノズルからのインクの噴射・非噴射を制御するデータである。デコーダー31は、ラッチ回路30にラッチされている噴射データに基づき、スイッチ32を制御するスイッチ制御信号を出力する。デコーダー31から出力されたスイッチ制御信号は、スイッチ32へ入力される。このスイッチ32は、スイッチ制御信号に応じてオン・オフされるスイッチであり、オン期間において、駆動信号生成部11からの駆動信号COMを圧電素子20へ印加させる。このスイッチ32には、駆動信号生成部11からの駆動信号COMがFFC14を介して入力される。また、スイッチ32の出力側には圧電素子20が接続されている。そして、スイッチ制御信号がデータ[1]の場合、スイッチ32がオン状態となって、駆動信号COMが圧電素子20に印加される。また、スイッチ制御信号がデータ[0]の場合、スイッチ32がオフ状態となるので、駆動信号COMは圧電素子20に印加されない。
図5は、駆動信号COMに含まれる駆動パルスDPの構成を説明する波形図である。図5(a)に示す駆動パルスDP(駆動波形)は、駆動信号生成部11における発振の影響を受けていない状態の基本波形を示している。駆動パルスDPは、膨張要素p1と、膨張ホールド要素p2と、収縮要素p3と、収縮ホールド要素p4と、復帰要素p5とからなる。膨張要素p1は、圧力室19の基準容積(膨張又は収縮の基点となる容積)に対応する中間電位VB(基準電位)から膨張電位VLまで一定勾配で電位を変化(下降)させる波形要素である。膨張ホールド要素p2は、膨張要素p1の終端電位である膨張電位VLを維持する波形要素である。収縮要素p3は、膨張電位VLから収縮電位VHまで急勾配で電位を変化(上昇)させる波形要素である。収縮ホールド要素p4は、収縮電位VHを所定期間維持する波形要素である。また、復帰要素p5は収縮電位VHから中間電位VBまでインクを噴射させない程度の一定勾配で電位を復帰させる波形要素である。
このような駆動パルスDPが圧電素子20に印加されると、次のように作用する。まず、膨張要素p1が印加されると圧電素子20は圧力室19の外側(ノズル21とは反対側)に向けて撓み、これにより圧力室19が膨張する。この圧力室19の膨張によってインク圧力が低下し、リザーバー25から圧力室19内にインクが供給されると共にノズル21に露出したインクの自由表面(メニスカス)が圧力室側に引き込まれる。次に、膨張ホールド要素p2が圧電素子20に印加され、その印加期間に亘って圧電素子20は、圧力室19の外側に撓んだ状態が維持される。この間にメニスカスが自由振動する。その後、メニスカスが圧力室側から噴射側(圧力室19側とは反対側)に変位するタイミングで収縮要素p3が印加されて圧電素子20は圧力室19の内側(ノズル21側)に撓む。これにより、圧力室19が急激に収縮してインク圧力が上昇し、ノズル21からインクが噴射される。圧力室19の収縮状態は収縮ホールド要素p4により一定時間維持され、メニスカスが圧力室側から噴射側に変位するタイミングで復帰要素p5が印加されて圧電素子20は中間電位VBに対応する基準位置まで復帰し、これにより圧力室19も基準容積まで膨張する。
図6は、プリンターコントローラー7の駆動信号生成部11から記録ヘッド6の圧電素子20までの駆動信号の信号経路を示す模式図である。なお、同図では、便宜上、圧電素子3つ分の構成を例示している。上述したように、駆動信号生成部11と記録ヘッド6の圧電素子20とは、FFC14を介して電気的に接続される。この信号経路は、圧電素子20の駆動電極20aと個別に接続される個別電極ライン33と、圧電素子20の共通電極20bと接続される共通電極ライン34からなる。個別電極ライン34は、スイッチ32を介して各圧電素子20の個別電極20aとそれぞれ接続されている。また、この個別電極ライン34において、駆動信号生成部11とFFC14との間には、切替部12が設けられている。この切替部12は、高負荷時、すなわち、同時に多数のノズル21からインクを噴射するべく各ノズル21に対応する圧電素子20を駆動する際に駆動信号生成部11で生じる発振の度合いを、抵抗35を切り替えることにより調整する部分である。
ここで、駆動信号生成部11で発振が生じると、図5(b)に示すように、駆動パルスDPに波形の乱れ、具体的には、立ち下がりである膨張要素p1にはアンダーシュートが、立ち上がりである収縮要素p3にはオーバーシュートがそれぞれ現れる。すなわち、膨張要素p1の終端電位VL′が、基本波形における膨張要素p1の終端電位VLよりも低くなり、収縮要素p3の終端電位VH′が、基本波形における収縮要素p3の終端電位VHよりも高くなる。これにより、駆動パルスDPの基本波形の駆動電圧Vd(膨張電位VLと収縮電位VHとの電位差)と比較して、見かけ上、駆動電圧Vd′(膨張電位VL′と収縮電位VH′との電位差)が高まる。このような現象は、ノズル列23を構成する各ノズル21から同時にインクを噴射する場合、具体的には、縦罫線を印刷する際や、所謂ベタ印刷を行う際に生じ易い。上記オーバーシュートやアンダーシュートは、駆動パルスDPに、高周波ノイズ(リップル)が重畳することにより生じる。
本発明におけるプリンター1では、記録媒体Sに記録する画像の種類(形成内容)や記録方法(形成方法)に応じて、駆動信号生成部11の発振の度合いを調整することに特徴を有している。
具体的には、切替部12は、駆動信号生成部11の発振を低減するダンピング抵抗として、互いに抵抗値が異なる2つの第1の抵抗35aおよび第2の抵抗35bを有している。これらの抵抗35a,35bは、制御部9によって切り替えることができるように構成されている。本実施形態において、第1の抵抗35aの抵抗値A〔Ω〕および第2の抵抗35bの抵抗値B〔Ω〕に関し、A<Bの関係となっている。例えば、A=0.5〔Ω〕、B=2〔Ω〕とされている。この抵抗値は、予めプリンター毎に適切な値が決定される。
具体的には、切替部12は、駆動信号生成部11の発振を低減するダンピング抵抗として、互いに抵抗値が異なる2つの第1の抵抗35aおよび第2の抵抗35bを有している。これらの抵抗35a,35bは、制御部9によって切り替えることができるように構成されている。本実施形態において、第1の抵抗35aの抵抗値A〔Ω〕および第2の抵抗35bの抵抗値B〔Ω〕に関し、A<Bの関係となっている。例えば、A=0.5〔Ω〕、B=2〔Ω〕とされている。この抵抗値は、予めプリンター毎に適切な値が決定される。
図7は、同時にインクが噴射されるノズル21の数と、各ノズル21から噴射されるインクの量との関係を示すグラフであり、切替部12における抵抗値が小さい場合と抵抗値が大きい場合のそれぞれを示している。抵抗値が低い側の第1の抵抗35aに切り替えられた場合(図6(a))、発振が抑制される度合いが小さい。このため、当該発振により駆動パルスDPにオーバーシュート等が現れ(図5(b))、その結果、基本波形の駆動電圧よりも、見かけ上、駆動電圧が高まる。そして、駆動パルスDPの駆動電圧が高まることで、ノズル21から噴射されるインクの量および飛翔速度が高まる。したがって、同時にインクを噴射するノズル21の数が多いほど、上記の発振により駆動パルスDPの見かけ上の駆動電圧が高まり、噴射されるインクの量および飛翔速度が増加する。これに対し、抵抗値が高い側の第2の抵抗35bに切り替えられた場合(図6(b))、発振がより抑制されるので、駆動パルスDPに生じるオーバーシュート等は小さくなり(図5(c))、その結果、その見かけ上の駆動電圧は。基本波形の駆動電圧から殆ど変わらない。このため、この場合、ノズル21から噴射されるインクの量および飛翔速度は、同時にインクを噴射するノズル21の数によらず、基本波形によりインクを噴射した場合と同程度に揃う。
プリンターコントローラー7の制御部9は、上記の原理を利用して、記録媒体Sに記録する画像あるいは印刷方法(記録モード)に応じて切替部12の抵抗を切り替えるように構成されている。例えば、記録媒体Sの所定の領域をドットで隙間無く埋めるベタ印刷では、ノズル21から噴射されるインクの量ができるだけ多いことが望ましい。このため、この場合、制御部9は、抵抗値が低い側の第1の抵抗35aに切り替える。このベタ印刷では、同時にインクが噴射されるノズル21の数も比較的多くなるので、発振が生じることで駆動パルスDPの見かけ上の駆動電圧も上昇し、各ノズル21から噴射されるインクの量および飛翔速度がより増加する。これにより、より効率良くベタ印刷を行うことが可能となる。上述したように、ベタ印刷か否かについては、噴射データに基づいて判断することが可能である。すなわち、例えば、記録媒体Sの1枚あたり、或いは、1パス(1回の走査)あたりのインク噴射量に閾値を設け、噴射データを解析してインク噴射量が当該閾値を超えた場合にはベタ印刷と判断し、インク噴射量が閾値に満たない場合はそれ以外(線画印刷等)と判断することができる。これにより、使用者が面倒な設定等をする必要が無い。
また、例えば、線図や文字等のテキストのようにインクのドットを並べて線や文字などを表現する線画印刷では、上記のベタ印刷よりも記録媒体Sに対するインクの着弾精度がより高く求められる。したがって、同時に噴射するノズル21の数によらず、一定のインク量および飛翔速度が得られることが望ましい。この場合、制御部9は、抵抗値が高い側の第2の抵抗35bに切り替える。この線画印刷では、例えば、記録媒体Sの幅方向(ノズル列23に交差する方向)に沿った横罫線、或いは、当該方向あるいは記録媒体Sの搬送方向(副走査方向)に対して傾斜した斜め罫線を記録する場合には、ノズル列23において同時にインクを噴射するノズル21の数が、1つ或いはごく少数となる。この場合、駆動信号生成部11における発振自体が小さいので、基本波形を用いてインクを噴射した場合と同程度のインクの量および飛翔速度が得られる。その一方で、記録媒体Sの搬送方向(ノズル列方向)に沿った縦罫線を記録する場合には、基本的にはノズル列23を構成する全てのノズル21から同時にインクを噴射する。この場合、対策をしなければ駆動信号生成部11における発振がより大きくなる。しかしながら、この場合においても、本実施形態においては抵抗値が高い側の第2の抵抗35bによって発振が抑制されるので、基本波形を用いてインクを噴射した場合と同程度のインクの量および飛翔速度が得られる。したがって、同時に噴射するノズル21の数によらず、インク量および飛翔速度の変動が低減されるので、より高い精度で線画等を記録することが可能となる。
なお、画像の種類や印刷方法(記録モード)の種別に関しては、プリンターのドライバーソフトウェアにおける設定に基づいて判定することも可能である。
なお、画像の種類や印刷方法(記録モード)の種別に関しては、プリンターのドライバーソフトウェアにおける設定に基づいて判定することも可能である。
このように、本発明に係るプリンター1によれば、記録画像(着弾対象に対する形成内容)や印刷方法(画像等の形成方法)に応じて切替部12を制御することにより、これらの記録画像等により適したインクの噴射制御が可能となる。すなわち、液体の量や処理速度を優先した記録と、着弾精度・高画質を優先した記録の両方に対応することが可能となる。
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
図8(a)は、本発明の第2の実施形態における信号経路を示す模式図である。本実施形態においては、切替部12は、互いに容量が異なる第1のコンデンサー37aおよび第2のコンデンサー37bを有している。これらのコンデンサー37a,37bは、個別電極ライン33と共通電極ライン34との間に設けられ、共通電極ライン34側は接地されている。また、第1のコンデンサー37aの容量C〔μF〕および第2のコンデンサー37bの容量D〔Ω〕に関し、C<Dの関係となっている。本実施形態においては、容量が小さい側の第1のコンデンサー37aに切り替えられた場合(図8(a))、上記オーバーシュート等の原因である高周波ノイズがコンデンサー37aを比較的通過しにくいため、駆動パルスDPにオーバーシュート等が現れ(図5(b))、その結果、基本波形の駆動電圧よりも駆動電圧が高まる。これに対し、容量が大きい側の第2のコンデンサー37bに切り替えられた場合(図8(b))、高周波ノイズが第2のコンデンサー37bを通過してグラウンドに逃されるので、駆動パルスDPに生じるオーバーシュート等は小さくなり(図5(c))、その結果、その見かけ上の駆動電圧は。基本波形の駆動電圧から殆ど変わらない。本実施形態の構成においても、記録画像や印刷方法に応じてコンデンサー37a,37bを選択することで、上記第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。なお、他の構成については第1の実施形態と同様である。
なお、上記各実施形態では、複数の抵抗あるいは複数のコンデンサーを切り替える構成を例示したが、これには限られない。例えば、1つの抵抗35を設け、発振を抑制する場合には当該抵抗35を接続し、発振を抑制しない場合には抵抗35をバイパスするように構成してもよい。同様に、1つのコンデンサー37を設け、発振を抑制する場合には当該コンデンサー37を接続し、発振を抑制しない場合には当該コンデンサー37を非接続とする構成であってもよい。また、抵抗35を可変抵抗としてもよいし、コンデンサー37を可変コンデンサーとしても良い。その他、発振を抑制する回路素子としては、抵抗、コンデンサー、或いはコイルを組み合わせても良い。
また、切替部12を、プリンターコントローラー7側(駆動信号生成部11とFFC14との間)に設けた構成を例示したが、これには限られず、記録ヘッド6側(FFC14とスイッチ32との間)に設ける構成を採用することも可能である。
また、切替部12を、プリンターコントローラー7側(駆動信号生成部11とFFC14との間)に設けた構成を例示したが、これには限られず、記録ヘッド6側(FFC14とスイッチ32との間)に設ける構成を採用することも可能である。
さらに、上記実施形態では、圧力発生手段として、所謂撓み振動型の圧電素子20を例示したが、これには限られず、例えば、所謂縦振動型の圧電素子を採用することも可能である。この場合、上記実施形態で例示した駆動パルスDPに関し、電位の変化方向、つまり上下が反転した波形となる。
また、圧力発生手段としては圧電素子には限らず、圧力室内に気泡を発生させる発熱素子や静電気力を利用して圧力室の容積を変動させる静電アクチュエーター等の各種圧力発生手段を用いる場合にも本発明を適用することができる。
また、圧力発生手段としては圧電素子には限らず、圧力室内に気泡を発生させる発熱素子や静電気力を利用して圧力室の容積を変動させる静電アクチュエーター等の各種圧力発生手段を用いる場合にも本発明を適用することができる。
そして、本発明は、駆動パルスの印加により圧力発生手段を駆動して液体の噴射制御が可能な液体噴射装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置にも適用することができる。
1…プリンター,6…記録ヘッド,7…プリンターコントローラー,9…制御部,11…駆動信号生成部,12…切替部,14…FFC,20…圧電素子,21…ノズル,23…ノズル列,33…個別電極ライン,34…共通電極ライン,35…抵抗,37…コンデンサー
Claims (6)
- 複数のノズルによりなるノズル群を有し、圧力発生手段の駆動により前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記圧力発生手段を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号生成部で生じる発振を調整する発振調整部と、
を備え、
前記発振調整部は、前記液体噴射ヘッドから着弾対象に液体を着弾させて当該着弾対象に対する形成内容または形成方法に応じて発振の度合いを調整することを特徴とする液体噴射装置。 - 前記発振調整部は、抵抗を有し、当該抵抗の選択若しくは非選択、又は切り替えにより前記発振の度合いを調整することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記発振調整部は、コンデンサーを有し、当該コンデンサーの選択若しくは非選択、又は切り替えにより前記発振の度合いを調整することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記発振調整部は、前記液体噴射ヘッドからの液体の噴射を指示する噴射データに基づき形成内容または形成方法を判断し、当該判断結果に応じて前記発振の度合いを調整することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
- 前記発振調整部は、ドライバーソフトウェアの設定に基づき形成内容または形成方法を判断し、当該判断結果に応じて前記発振の度合いを調整することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
- 複数のノズルによりなるノズル群を有し、圧力発生手段の駆動により前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記圧力発生手段を駆動させる駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号生成部で生じる発振を調整する発振調整部と、を備える液体噴射装置の制御方法であって、
前記発振調整部は、前記液体噴射ヘッドから着弾対象に液体を着弾させて当該着弾対象に対する形成内容または形成方法に応じて発振の度合いを調整することを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013098983A JP2014218019A (ja) | 2013-05-09 | 2013-05-09 | 液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=51936957
Family Applications (1)
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JP2013098983A Pending JP2014218019A (ja) | 2013-05-09 | 2013-05-09 | 液体噴射装置、および、液体噴射装置の制御方法 |
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JP (1) | JP2014218019A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018199316A (ja) * | 2017-05-30 | 2018-12-20 | セイコーエプソン株式会社 | 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法 |
US11104125B2 (en) | 2019-03-19 | 2021-08-31 | Ricoh Company, Ltd. | Liquid discharge apparatus |
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2013
- 2013-05-09 JP JP2013098983A patent/JP2014218019A/ja active Pending
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