JP2014223726A - 液体噴射装置の調整方法、および、液体噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】同時に液体を噴射するノズルの数によらず着弾位置精度を向上させることが可能な液体噴射装置の調整方法、および、液体噴射装置を提供する。【解決手段】ノズル列方向に対して傾斜した第1罫線を、記録ヘッドの往動時と復動時のそれぞれで形成する第1パターン形成工程と、往動時の第1罫線と復動時の第1罫線との相対的な位置ずれを、噴射タイミングの調整により補正するための第1補正値を取得する第1補正値取得工程と、第1補正値が適用された状態で、ノズル列方向に沿った第2罫線を往動時と復動時のそれぞれで形成する第2パターン形成工程と、往動時の第2罫線と復動時の第2罫線との相対的な位置ずれを、駆動信号生成部と圧電素子との間における駆動信号の信号経路に設けられたダミー負荷により補正するための第2補正値を取得する第2補正値取得工程と、を経る。【選択図】図7
Description
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射装置の調整方法、および、液体噴射装置に関し、特に、駆動信号に含まれる駆動波形を圧力発生手段に印加することにより当該圧力発生手段を駆動させ、ノズルに連通する圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズルから液体を噴射させる液体噴射装置の調整方法、および、液体噴射装置に関するものである。
液体噴射装置は液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから各種の液体を噴射(吐出)する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を活かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを噴射し、ディスプレイ製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極形成装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を噴射し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を噴射する。
上記のプリンターに搭載されるインクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッドの一種。以下、記録ヘッドと略記する。)は、インクを噴射させるノズルを複数列設してなるノズル列(ノズル群)や、これらのノズルに連通する圧力室内のインクに圧力変動を生じさせてノズルからインクを噴射させる圧力発生手段として、例えば圧電素子、発熱素子、又は静電アクチュエーターなどを備えている。そして、このプリンターでは、制御装置の駆動信号発生部によって生成された駆動信号を上記の圧力発生手段に印加することで、当該圧力発生手段を駆動してインクを噴射させるように構成されている。
ここで、例えば、いわゆるPOP広告やグラフなどのように、写真画像等と比較して特に輪郭や色分けが明確な画像をプリンターで印刷する場合、着弾対象(記録紙)の所定の範囲を特定の色のインクで隙間無く埋めて塗りつぶす所謂ベタ印刷を行うことがある(例えば、特許文献1参照。)。この場合、着弾対象に対して多くのインクを着弾させることが優先されることから、ノズル列を構成する各ノズルに関し、同時にインクを噴射するノズルの数が多くなる傾向となる。これに対し、CAD等で使われる線図やテキスト等のようにドットを並べて線や文字などを表現する線画印刷では、同時にインクを噴射するノズルの数が、前者の場合と比して大幅に少なくなる(例えば、特許文献2参照。)。
ここで、記録紙等の着弾対象に対して記録ヘッドを相対的に移動させながらインクを噴射させて印刷を行う構成のプリンターでは、着弾対象の幅方向の一方から他方に移動する往動時と他方から一方に移動する復動時の双方でインクの相対的な着弾位置が揃うように、噴射タイミングの補正値が予め設定されている。一般的には、テストパターンとしてヘッド移動方向に対して直交する方向に沿った縦罫線を往復の双方向で印刷し、両方の縦罫線の位置が揃うような噴射タイミングの補正値が求められる。縦罫線は、ノズル列を構成する全てのノズルから同時にインクを噴射することで形成される。すなわち、タイミング補正に用いられるテストパターンは、上記のベタ印刷に近い条件で印刷される。
ところが、上記の記録ヘッドでは、当該記録ヘッドの小型化やノズルの高密度化に伴い、同時にインクを噴射するノズルの数に応じてノズルから噴射されるインクの量や飛翔速度が変化する所謂クロストークと呼ばれる現象が問題となる。当該クロストークの詳細については周知事項であるため省略するが、一般的に、ノズル列を構成する各ノズルから同時にインクを噴射した場合、噴射されるインクの量や飛翔速度が相対的に増加し、1つのノズルから単独でインクを噴射する(当該噴射ノズルに隣接するノズルからはインクを噴射しない)場合、噴射されるインクの量や飛翔速度が相対的に減少する。
このため、上記のテストパターンに基づいた補正値のままで線画印刷を行った場合、往動時の着弾位置と復動時の着弾位置とが揃わないという問題があった。その結果、線にガタツキが生じて印刷品質が低下してしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、同時に液体を噴射するノズルの数によらず着弾位置精度を向上させることが可能な液体噴射装置の調整方法、および、液体噴射装置を提供することにある。
本発明の液体噴射装置の調整方法は、上記目的を達成するために提案されたものであり、複数のノズルによりなるノズル群を有し、圧力発生手段の駆動により前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記圧力発生手段を駆動させる駆動波形を含む駆動信号を発生する駆動信号生成部と、を備え、前記液体噴射ヘッドを着弾対象に対して相対的に移動させながら液体を噴射する液体噴射装置の調整方法であって、
前記ノズル群の各ノズルの並設方向に対して傾斜した第1罫線を、前記着弾対象に対して前記液体噴射ヘッドの往動時と復動時のそれぞれで形成する第1パターン形成工程と、
往動時の第1罫線と復動時の第1罫線との相対的な位置ずれを、噴射タイミングの調整により補正するための第1補正値を取得する第1補正値取得工程と、
前記第1補正値が適用された状態で、前記ノズル群の各ノズルの並設方向に沿った第2罫線を、前記着弾対象に対して前記液体噴射ヘッドの往動時と復動時のそれぞれで形成する第2パターン形成工程と、
往動時の第2罫線と復動時の第2罫線との相対的な位置ずれを、前記駆動信号生成部と前記圧力発生手段との間における前記駆動信号の信号経路に設けられたダミー負荷により補正するための第2補正値を取得する第2補正値取得工程と、
を経ることを特徴とする。
前記ノズル群の各ノズルの並設方向に対して傾斜した第1罫線を、前記着弾対象に対して前記液体噴射ヘッドの往動時と復動時のそれぞれで形成する第1パターン形成工程と、
往動時の第1罫線と復動時の第1罫線との相対的な位置ずれを、噴射タイミングの調整により補正するための第1補正値を取得する第1補正値取得工程と、
前記第1補正値が適用された状態で、前記ノズル群の各ノズルの並設方向に沿った第2罫線を、前記着弾対象に対して前記液体噴射ヘッドの往動時と復動時のそれぞれで形成する第2パターン形成工程と、
往動時の第2罫線と復動時の第2罫線との相対的な位置ずれを、前記駆動信号生成部と前記圧力発生手段との間における前記駆動信号の信号経路に設けられたダミー負荷により補正するための第2補正値を取得する第2補正値取得工程と、
を経ることを特徴とする。
本発明によれば、第1パターン形成工程で形成された第1罫線に基づいて第1補正値を取得するとともに第2形成パターン工程で形成された第2罫線に基づいて第2補正値を取得し、これらの補正値を用いて液体噴射ヘッドを制御することで、ノズル群における同時に液体を噴射するノズルの数によらず、往路と復路での着弾位置ずれを抑制することが可能となる。このため、着弾対象の所定の位置に高い精度で液体を着弾させることができ、特に線画等の画質を良好に維持することができる。
上記構成において、前記ダミー負荷は、抵抗であり、
前記第2補正値は、当該抵抗の抵抗値である構成を採用することが望ましい。
前記第2補正値は、当該抵抗の抵抗値である構成を採用することが望ましい。
また、上記構成において、前記ダミー負荷は、コンデンサーであり、
前記第2補正値は、当該コンデンサーの容量である構成を採用することも可能である。
前記第2補正値は、当該コンデンサーの容量である構成を採用することも可能である。
また、本発明の液体噴射装置は、上記何れかの調整方法により取得された第1補正値および第2補正値を記憶する記憶部と、
前記液体噴射ヘッドによる液体の噴射を制御する制御部と、
を備え、
前記駆動信号生成部は、前記第1補正値が適用されたタイミングで駆動信号を発生させ、
前記制御部は、前記着弾対象に対して液体を着弾させて形成する内容に応じて、第2補正値を用いて前記ダミー負荷を調整することを特徴とする。
前記液体噴射ヘッドによる液体の噴射を制御する制御部と、
を備え、
前記駆動信号生成部は、前記第1補正値が適用されたタイミングで駆動信号を発生させ、
前記制御部は、前記着弾対象に対して液体を着弾させて形成する内容に応じて、第2補正値を用いて前記ダミー負荷を調整することを特徴とする。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
図1は、プリンター1の電気的な構成を説明するブロック図、図2は、プリンター1の内部構成を説明する斜視図である。外部装置2は、例えばコンピューター、デジタルカメラ、携帯電話機などの電子機器である。この外部装置2は、プリンター1と無線又は有線で電気的に接続されており、プリンター1において記録紙等の着弾対象に画像やテキストを印刷させるため、その画像等に応じた印刷データをプリンター1に送信する。
本実施形態におけるプリンター1は、紙送り機構3、キャリッジ移動機構4、リニアエンコーダー5、記録ヘッド6、及び、プリンターコントローラー7等を有する。記録ヘッド6は、インクカートリッジ17(液体供給源)を搭載したキャリッジ16の底面側に取り付けられている。そして、当該キャリッジ16は、キャリッジ移動機構4によってガイドロッド18に沿って往復移動可能に構成されている。すなわち、プリンター1は、紙送り機構3によって記録紙等の着弾対象S(着弾対象)を順次搬送すると共に、着弾対象に対して記録ヘッド6を着弾対象Sの幅方向(主走査方向)に相対移動させながら当該記録ヘッド6のノズル21(図3および図4参照)からインクを噴射させて、着弾対象S上に当該インクを着弾させることにより画像等を記録する。なお、インクカートリッジ17がプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジ17のインクが供給チューブを通じて記録ヘッド6側に送られる構成を採用することもできる。
プリンターコントローラー7は、プリンターの各部の制御を行う制御ユニットである。本実施形態におけるプリンターコントローラー7は、インターフェース(I/F)部8と、制御部9と、記憶部10と、駆動信号生成部11と、を有する。インターフェース部8は、外部装置2からプリンター1へ印刷データや印刷命令を送ったり、プリンター1の状態情報を外部装置2側に出力したりする際にプリンターの状態データの送受信を行う。制御部9は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。記憶部10は、制御部9のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。制御部9は、記憶部10に記憶されているプログラムに従って、各ユニットを制御する。また、本実施形態における制御部9は、外部装置2からの印刷データに基づき、記録動作時にどのノズル21からどのタイミングでインクを噴射させるかを示す噴射データを生成し、当該噴射データを記録ヘッド6のヘッド制御部に送信する。さらに、本実施形態における制御部9は、噴射データに基づいて着弾対象Sに記録する画像等の内容や記録方法を判定し、当該判定結果に応じて駆動信号の信号経路に設けられた負荷調整部12(後述)を制御する。
駆動信号生成部11は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの電圧信号を生成する。また、駆動信号生成部11は、上記の電圧信号を増幅して駆動信号COMを生成する。例えば、図5に示すような駆動パルスDP(駆動波形)を含んで構成されている。この駆動パルスDPの詳細については後述する。この駆動信号生成部11の後段には、信号経路における可変抵抗35(ダミー負荷の一種)の接続あるいはバイパス、または当該可変抵抗35の抵抗値を切り替える負荷調整部12が設けられている。駆動信号生成部11で発生された駆動信号は、負荷調整部12を介してフレキシブルフラットケーブル(FFC)14(配線部材の一種)を通じて記録ヘッド6側に伝送される。負荷調整部12の詳細についても後述する。
次に、プリントエンジン13について説明する。このプリントエンジン13は、図1に示すように、紙送り機構3、キャリッジ移動機構4、リニアエンコーダー5、及び、記録ヘッド6等を備えている。キャリッジ移動機構4は、液体噴射ヘッドの一種である記録ヘッド6が取り付けられたキャリッジ16と、このキャリッジ16を、タイミングベルト等を介して走行させる駆動モーター(例えば、DCモーター)等からなり(図示せず)、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド6を主走査方向に移動させる。紙送り機構3は、紙送りモーター及び紙送りローラー等からなり、記録紙をプラテン上に順次送り出して副走査を行う。また、リニアエンコーダー5は、キャリッジ16に搭載された記録ヘッド6の走査位置に応じたエンコーダパルスを、主走査方向における位置情報としてプリンターコントローラー7に出力する。プリンターコントローラー7は、リニアエンコーダー5側から受信したエンコーダパルスに基づいて記録ヘッド6の走査位置(現在位置)を把握することができる。
図3は、記録ヘッド6の要部断面図である。また、図4は、記録ヘッド6のノズルプレート22の平面図である。図3に示すように、記録ヘッド6は、複数の基板が積層されて構成されており、インクが導入されるインク流路(液体流路の一種)と、当該インク流路の一部を構成する圧力室19内のインクに圧力変動を生じさせる圧力発生手段としての圧電素子20等を備えている。この記録ヘッド6の下部(記録動作時における着弾対象側の面)には、ノズル21が複数開設されたノズルプレート22が配設されている。このノズルプレート22は、図4に示すように、複数(例えば、360個)のノズル21が、着弾対象Sの搬送方向に相当する方向に沿って並設されてノズル列23が構成されている。このノズル列23は、例えば、インクの色毎に設けられる。
記録ヘッド6内部のインク流路は、インクカートリッジ17側からのインクが導入されるリザーバー25と、当該リザーバー25と圧力室19とを連通するインク供給口26と、圧力室19と、当該圧力室19とノズル21とを連通するノズル連通口27と、ノズル21とから構成されている。リザーバー25は、複数の圧力室19に共通な空部であり、インクの種類(色)毎に設けられている。圧力室19は、ノズル21毎に設けられた空部であり、そのノズルプレート側とは反対側の上部開口は、弾性膜28によって封止されている。この弾性膜28上には、圧力室19毎に対応して圧電素子20が配設される。例示した圧電素子20は、所謂撓み振動モードの圧電素子であり、駆動電極20aと共通電極20bとによって圧電体20cを挟んで構成されている。
そして、圧電素子20の駆動電極に駆動信号COM(駆動パルスDP)が印加されると、駆動電極20aと共通電極20bとの間には電位差に応じた電場が発生する。この電場は圧電体20cに付与され、圧電体20cが付与された電場の強さに応じて変形する。即ち、駆動電極20aの電位を高くする程、圧電体層20cの幅方向(ノズル列方向)の中央部が圧力室19の内側(ノズルプレート22に近づく側)に撓み、圧力室19の容積を減少させるように弾性膜28を変形させる。一方、駆動電極20aの電位を低くする程(0に近づける程)、圧電体層20cの短尺方向の中央部が圧力室19の外側(ノズルプレート22から離れる側)に撓み、圧力室19の容積を増加させるように弾性膜28を変形させる。このように、圧電素子20を駆動すると圧力室19の容積が変化するので、これに伴って当該圧力室19内部のインクの圧力が変化する。そして、このインクの圧力変化を制御することによりノズル21からインク滴を噴射させることができる。
次に、記録ヘッド6の電気的な構成について説明する。
図1に示すように、記録ヘッド6は、ラッチ回路30、デコーダー31、スイッチ32、および圧電素子20を有している。これらのラッチ回路30、デコーダー31、およびスイッチ32は、ヘッド制御部を構成し、当該ヘッド制御部は、圧電素子20毎、すなわち、ノズル21毎に設けられている。ラッチ回路30は、印刷データに基づく噴射データをラッチする。この噴射データは、各ノズルからのインクの噴射・非噴射を制御するデータである。デコーダー31は、ラッチ回路30にラッチされている噴射データに基づき、スイッチ32を制御するスイッチ制御信号を出力する。デコーダー31から出力されたスイッチ制御信号は、スイッチ32へ入力される。このスイッチ32は、スイッチ制御信号に応じてオン・オフされるスイッチであり、オン期間において、駆動信号生成部11からの駆動信号COMを圧電素子20へ印加させる。このスイッチ32には、駆動信号生成部11からの駆動信号COMがFFC14を介して入力される。また、スイッチ32の出力側には圧電素子20が接続されている。そして、スイッチ制御信号がデータ[1]の場合、スイッチ32がオン状態となって、駆動信号COMが圧電素子20に印加される。また、スイッチ制御信号がデータ[0]の場合、スイッチ32がオフ状態となるので、駆動信号COMは圧電素子20に印加されない。
図1に示すように、記録ヘッド6は、ラッチ回路30、デコーダー31、スイッチ32、および圧電素子20を有している。これらのラッチ回路30、デコーダー31、およびスイッチ32は、ヘッド制御部を構成し、当該ヘッド制御部は、圧電素子20毎、すなわち、ノズル21毎に設けられている。ラッチ回路30は、印刷データに基づく噴射データをラッチする。この噴射データは、各ノズルからのインクの噴射・非噴射を制御するデータである。デコーダー31は、ラッチ回路30にラッチされている噴射データに基づき、スイッチ32を制御するスイッチ制御信号を出力する。デコーダー31から出力されたスイッチ制御信号は、スイッチ32へ入力される。このスイッチ32は、スイッチ制御信号に応じてオン・オフされるスイッチであり、オン期間において、駆動信号生成部11からの駆動信号COMを圧電素子20へ印加させる。このスイッチ32には、駆動信号生成部11からの駆動信号COMがFFC14を介して入力される。また、スイッチ32の出力側には圧電素子20が接続されている。そして、スイッチ制御信号がデータ[1]の場合、スイッチ32がオン状態となって、駆動信号COMが圧電素子20に印加される。また、スイッチ制御信号がデータ[0]の場合、スイッチ32がオフ状態となるので、駆動信号COMは圧電素子20に印加されない。
図5は、駆動信号COMに含まれる駆動パルスDPの構成を説明する波形図である。図5(a)に示す駆動パルスDP(駆動波形)は、駆動信号生成部11における発振の影響を受けていない状態の基本波形を示している。駆動パルスDPは、膨張要素p1と、膨張ホールド要素p2と、収縮要素p3と、収縮ホールド要素p4と、復帰要素p5とからなる。膨張要素p1は、圧力室19の基準容積(膨張又は収縮の基点となる容積)に対応する中間電位VB(基準電位)から膨張電位VL(まで一定勾配で電位を変化(下降)させる波形要素である。膨張ホールド要素p2は、膨張要素p1の終端電位である膨張電位VLを維持する波形要素である。収縮要素p3は、膨張電位VLから収縮電位VHまで急勾配で電位を変化(上昇)させる波形要素である。収縮ホールド要素p4は、収縮電位VHを所定期間維持する波形要素である。また、復帰要素p5は収縮電位VHから中間電位VBまでインクを噴射させない程度の一定勾配で電位を復帰させる波形要素である。
このような駆動パルスDPの膨張要素p1が圧電素子20に印加されると、当該圧電素子20は圧力室19の外側(ノズル21とは反対側)に向けて撓み、これにより圧力室19が膨張する。この圧力室19の膨張によってインク圧力が低下し、リザーバー25から圧力室19内にインクが供給されると共にノズル21に露出したインクの自由表面(メニスカス)が圧力室側に引き込まれる。次に、膨張ホールド要素p2が圧電素子20に印加され、その印加期間に亘って圧電素子20は、圧力室19の外側に撓んだ状態が維持される。この間にメニスカスが自由振動する。その後、メニスカスが圧力室側から噴射側(圧力室19側とは反対側)に変位するタイミングで収縮要素p3が印加されて圧電素子20は圧力室19の内側(ノズル21側)に撓む。これにより、圧力室19が急激に収縮してインク圧力が上昇し、ノズル21からインクが噴射される。圧力室19の収縮状態は収縮ホールド要素p4により一定時間維持され、メニスカスが圧力室側から噴射側に変位するタイミングで復帰要素p5が印加されて圧電素子20は中間電位VBに対応する基準位置まで復帰し、これにより圧力室19も基準容積まで膨張する。
図6は、プリンターコントローラー7の駆動信号生成部11から記録ヘッド6の圧電素子20までの駆動信号の信号経路を示す模式図である。なお、同図では、便宜上、圧電素子3つ分の構成を例示している。上述したように、駆動信号生成部11と記録ヘッド6の圧電素子20とは、FFC14を介して電気的に接続される。この信号経路は、圧電素子20の駆動電極20aと個別に接続される個別電極ライン33と、圧電素子20の共通電極20bと接続される共通電極ライン34からなる。個別電極ライン34は、スイッチ32を介して各圧電素子20の個別電極20aとそれぞれ接続されている。また、この個別電極ライン34において、駆動信号生成部11とFFC14との間には、負荷調整部12が設けられている。
上記負荷調整部12は、高負荷時、すなわち、同時に多数のノズル21からインクを噴射するべく各ノズル21に対応する圧電素子20を駆動する際に、駆動パルスDPの駆動電圧を可変抵抗35により調整する部分である。この可変抵抗35の抵抗値は、制御部9によって変更することができるように構成されている。また、この可変抵抗35には、バイパス用スイッチ36が並列に設けられている。このバイパス用スイッチ36により可変抵抗35をバイパスすることが可能となっている。この負荷調整部12の制御については後述する。
本実施形態におけるプリンター1では、ノズル列23において同時にインクを噴射するノズル21の数によらず、記録ヘッド6の往動時と復動時でそれぞれインクを噴射させたときの主走査方向の相対的な着弾位置が揃うように調整される。以下、この調整方法(適宜、双方向調整方法と言う。)について説明する。
プリンター1では、製造時において、ノズル21から噴射されるインクの一滴あたりの量が設計値に一致するように上記駆動信号における駆動パルスDPの駆動電圧Vdが基本駆動電圧として設定されている。ところが、上記の記録ヘッド6では、当該記録ヘッドの小型化やノズルの高密度化に伴い、同時にインクを噴射するノズル21の数に応じてノズル21から噴射されるインクの量や飛翔速度が変化する所謂クロストークと呼ばれる現象が問題となる。すなわち、基本駆動電圧に設定された駆動パルスDPを用いて圧電素子20を駆動することを前提として、ノズル列23を構成する各ノズル21から同時にインクを噴射した場合、噴射されるインクの量や飛翔速度が相対的に増加し、1つのノズル21から単独でインクを噴射する場合、噴射されるインクの量や飛翔速度が相対的に減少する。
この点に鑑み、本発明に係るプリンター1では、クロストークを考慮した双方向調整方法が行われる。この双方向調整方法では、上記の基本駆動電圧に設定された駆動パルスDPを使用して記録ヘッド6から着弾対象Sに対してインクを噴射させて調整用パターンを形成(記録)し、当該調整用パターンに基づいて調整用の補正値を取得することで行われる。なお、パターンの記録を行う際には、記録ヘッド6のノズル面から着弾対象Sまでの距離を、プリンター1において設定可能な範囲の最大値に設定することが望ましい。
図7は、双方向調整方法の流れを説明するフローチャートである。
まず、第1パターン形成(記録)工程(S1)では、着弾対象Sに対し、図8に示す斜め罫線(本発明における第1罫線に相当)が往復の走査で記録される。ここで、記録ヘッド6のノズル列23が副走査方向と平行であるものとし、当該副走査方向に対して45°に傾斜した罫線が斜め罫線である。また、本実施形態におけるノズル列23を構成する360個のノズル21のうち、1番目のノズル21が図8における上側、360番目のノズル21が図8における下側に位置するものとする。
まず、第1パターン形成(記録)工程(S1)では、着弾対象Sに対し、図8に示す斜め罫線(本発明における第1罫線に相当)が往復の走査で記録される。ここで、記録ヘッド6のノズル列23が副走査方向と平行であるものとし、当該副走査方向に対して45°に傾斜した罫線が斜め罫線である。また、本実施形態におけるノズル列23を構成する360個のノズル21のうち、1番目のノズル21が図8における上側、360番目のノズル21が図8における下側に位置するものとする。
第1パターン形成工程で斜め罫線が記録される際には、ノズル列23の各ノズル21から一つずつ単独でインクが順次噴射される。すなわち、図8(a)において左側から右側に向かう往路では360番目のノズル21から1番目のノズル21まで1つずつ時間差でインクを噴射させることで1番目の斜め罫線を形成する。続いて着弾対象Sをノズル列23の全長に相当する距離だけ搬送方向下流側に送った後、図8(a)において右側から左側に向かう復路で1番目のノズル21から360番目のノズル21まで1つずつ時間差でインクを噴射させることで2番目の斜め罫線を形成する。本実施形態においては、同様の処理を繰り返して往復の走査により3番目の斜め罫線および4番目の斜め罫線を順次記録する。
ここで、これらの罫線は、往路で記録された罫線と復路で記録された罫線とが、理論上、一直線状に繋がって一つの連続する斜め罫線となるような暫定的なタイミングで記録される。図8(a)の例では、インクの飛翔速度が理論値(設計値)よりも遅いため、記録された各斜め罫線が一連に繋がらずにガタついている。すなわち、この斜め罫線を記録する際には、各ノズル21から単独でインクが噴射されるので、つまり、噴射ノズルの両隣のノズルではインクが同時には噴射されないので、当該噴射ノズルに対応する圧力室内で圧力変化が生じた際に、圧力室同士の隔壁の変形により圧力が損失されやすい状況となる。これにより、当該噴射ノズルから噴射されるインクの飛翔速度が理論値よりも低下する傾向となる。そして、ノズル21から噴射されたインクは着弾対象Sに対して斜めに飛翔するため、飛翔速度が遅いほど着弾対象Sに着弾するまでの主走査方向の飛翔距離が長くなり、その結果、上記のように各罫線同士の位置ずれが生じる。本実施形態においては、記録ヘッド6のノズル面から着弾対象Sまでの距離が最大値に設定されているので、位置ずれがより顕著に現れる。
この場合、往路あるいは復路の何れか一方、または両方におけるインクの噴射タイミングを理論値よりも早めるように補正が行われる。その後、同様にして、補正後の噴射タイミングで斜め罫線が再度記録される。そして、図8(b)に示すように、往復で記録された各罫線が一直線状に繋がった場合、そのときの噴射タイミングとなるような補正値が第1補正値として取得され、記憶部10に記憶される(第1補正値取得工程S2)。この第1補正値は、エンコーダパルスを基準とした駆動パルスDPの発生タイミングを補正するものである。以降では、この第1補正値が適用されたタイミングで駆動パルスDPが発生されるものとする。
次に、第2パターン形成(記録)工程(S3)が行われる。この工程では、着弾対象Sに対し、図9に示すように、副走査方向(ノズル列23の方向)に沿った縦罫線(本発明における第2罫線に相当)が往復の走査でそれぞれ記録される。この縦罫線は、ノズル列23を構成する各ノズル21からインクが同時に噴射されることで記録される。本実施形態においては、第1パターン形成工程と同様に、往復の主走査と着弾対象Sの副走査を行いつつ1番目の縦罫線から4番目の縦罫線を記録する。そして、各縦罫線が一連に繋がって一つの縦罫線となることが理想であるが、図9(a)の例では、インクの飛翔速度が理論値(設計値)よりも速く、このため、記録された各縦罫線の位置が主走査方向にずれてガタついている。縦罫線を記録する際には、各ノズル21からインクが同時噴射されるので、隣接する圧力室同士で同時に圧力変化が生じるため隔壁が変形しにくく、圧力が損失されにくい状況となる。これにより、当該噴射ノズルから噴射されるインクの飛翔速度が理論値よりも増加する傾向となる。さらに、同時に多数のノズル21からインクを噴射する際には、多数の圧電素子20を同時に駆動するので、その分、高負荷となり、これにより駆動信号生成部11で発振が生じる。
駆動信号生成部11で発振が生じると、図5(b)に示すように、駆動パルスDPに波形の乱れ、具体的には、立ち下がりである膨張要素p1にはアンダーシュートが、立ち上がりである収縮要素p3にはオーバーシュートがそれぞれ現れる。すなわち、膨張要素p1の終端電位VL′が、基本波形における膨張要素p1の終端電位VLよりも低くなり、収縮要素p3の終端電位VH′が、基本波形における収縮要素p3の終端電位VHよりも高くなる。これにより、駆動パルスDPの基本波形の駆動電圧Vd(膨張電位VLと収縮電位VHとの電位差)と比較して、見かけ上、駆動電圧Vd′(膨張電位VL′と収縮電位VH′との電位差)が高まる。このような現象は、縦罫線を記録するときのように、ノズル列23を構成する各ノズル21から同時にインクを噴射する場合に生じる。したがって、所謂ベタ印刷を行う際にもこのような現象が生じやすい。なお、上記オーバーシュートやアンダーシュートは、駆動パルスDPに、高周波ノイズ(リップル)が重畳することにより生じる。
これらの理由から、1つのノズル21からインクを単独で噴射する場合と、ノズル列23の各ノズル21からインクを同時に噴射する場合とで、噴射されるインクの飛翔速度や重量が異なる。このため、第1パターン形成工程の斜め罫線に基づいて取得された第1補正値によってインクの噴射タイミングが補正されていても、縦罫線の位置ずれが生じてしまう。そこで、本発明に係るプリンター1では、駆動信号の信号経路に設けられた負荷調整部12の可変抵抗35を利用して、同時に噴射されるノズル21の数によらず往復の相対的なインクの着弾位置が揃うように構成されている。
図10は、同時にインクが噴射されるノズル21の数と、各ノズル21から噴射されるインクの飛翔速度との関係を示すグラフであり、負荷調整部12における可変抵抗35がバイパスされた場合(抵抗無し)、可変抵抗35の抵抗値が比較的小さい値に設定された場合、可変抵抗35の抵抗値が比較的大きい値に設定された場合のそれぞれを示している。負荷調整部12におけるバイパス用スイッチ36が接続されて可変抵抗35がバイパスされた場合、駆動信号生成部11で生じる発振により駆動パルスDPにオーバーシュート等が現れ(図5(b))、その結果、基本波形の駆動電圧よりも、見かけ上、駆動電圧が高まる。そして、駆動パルスDPの駆動電圧が高まることで、ノズル21から噴射されるインクの量および飛翔速度が高まる。したがって、同時にインクを噴射するノズル21の数が多いほど、上記の発振により駆動パルスDPの見かけ上の駆動電圧が高まり、噴射されるインクの量および飛翔速度が増加する。
負荷調整部12におけるバイパス用スイッチ36が開放された状態で可変抵抗35の抵抗値が比較的低い値に設定された場合、駆動信号生成部11で生じる発振は若干抑えられるが、その度合いは小さい。このため、図5(b)の場合よりも程度は低いものの、当駆動パルスDPにオーバーシュート等が現れるので、基本波形の駆動電圧よりも、見かけ上、駆動電圧が高まる。また、同様に可変抵抗35の抵抗値が比較的高い値に設定された場合、発振がより抑制されるので、図5(c)に示すように、駆動パルスDPに生じるオーバーシュート等は小さくなる。したがって、可変抵抗35の抵抗値を適切に定めれば、高負荷時に生じる発振が生じた場合においても、駆動パルスDPの見かけ上の駆動電圧が抑えられる。これにより、ノズル21から噴射されるインクの量および飛翔速度は、同時にインクを噴射するノズル21の数によらず、基本波形によりインクを噴射した場合と同程度に揃えることが可能となる。
上記の第2パターン形成工程S3では、往復で記録された縦罫線が一連に繋がるように、可変抵抗35の抵抗値を変化させる。図9(a)の場合、往路あるいは復路の何れか一方、または両方におけるインクの飛翔速度を低下させるべく、可変抵抗35の抵抗値を小さい側から大きくする側に補正が行われる。そして、図9(b)に示すように、往復で記録された各罫線が一直線状に繋がった場合、そのときの抵抗値が第2補正値として取得され、記憶部10に記憶される(第2補正値取得工程S4)。すなわち、この第2補正値は、駆動信号生成部11における発振および隣接クロストークを起因とする飛翔速度の増加による着弾位置ずれを抑制し得る補正値である。
以上のようにして、双方向調整方法が行われることで第1補正値および第2補正値が取得される。そして、プリンターコントローラー7の制御部9は、線画印刷のようにインクを同時に噴射するノズル21の数が比較的少ない場合には、負荷調整部12におけるバイパス用スイッチ36を接続して可変抵抗35をバイパスする(図6(a))。また、着弾対象Sの所定の領域をドットで隙間無く埋めるベタ印刷や縦罫線の記録時のようにインクを同時に噴射するノズル21の数が比較的多い場合には、バイパス用スイッチ36を開放して可変抵抗35の抵抗値を第2補正値に設定する(図6(b))。なお、記録媒体Sに形成する内容、つまり、画像や文字等の記録内容の種別については、噴射データに基づいて判断することが可能である。
このように、本発明に係るプリンター1によれば、第1パターン形成工程で記録された斜め罫線に基づいて第1補正値を取得するとともに第2パターン形成工程で記録された縦罫線に基づいて第2補正値を取得し、これらの補正値を用いて記録ヘッド6による双方向記録を制御することで、同時に液体を噴射するノズルの数によらず、往路と復路での着弾位置ずれを抑制することが可能となる。このため、着弾対象の所定の位置に高い精度で液体を着弾させることができ、特に、線画等の画質を良好に維持することができる。
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
上記の第1の実施形態においては、負荷調整部12において可変抵抗35に対して並列にバイパス用スイッチ36を設けて当該可変抵抗35をバイパス可能とした構成を例示したが、これには限られず、可変抵抗35のみとすることも可能である。この場合、線画印刷等を行う場合には可変抵抗35の抵抗値を最小値に設定すればよい。
また、第1の実施形態における可変抵抗35に替えて、互いに抵抗値が異なる複数の抵抗を設け、これらの抵抗を制御部9によって切り替えるように構成してもよい。
さらに、第1の実施形態においては、双方向印刷を行う構成を例示したが、これには限られず、一方向のみの単方向印刷を行う構成においても本発明を適用することが可能である。この場合、第1パターン形成工程および第1補正値取得工程は行わず、第2パターン形成工程および第2補正値取得工程を行うことで着弾位置調整が完了する。
また、第1の実施形態における可変抵抗35に替えて、互いに抵抗値が異なる複数の抵抗を設け、これらの抵抗を制御部9によって切り替えるように構成してもよい。
さらに、第1の実施形態においては、双方向印刷を行う構成を例示したが、これには限られず、一方向のみの単方向印刷を行う構成においても本発明を適用することが可能である。この場合、第1パターン形成工程および第1補正値取得工程は行わず、第2パターン形成工程および第2補正値取得工程を行うことで着弾位置調整が完了する。
図11は、本発明の第2の実施形態における信号経路を示す模式図である。本実施形態においては、負荷調整部12は、ダミー負荷としての可変コンデンサー37およびスイッチ38を有している。これらは個別電極ライン33と共通電極ライン34との間に設けられ、共通電極ライン34側は接地されている。当該構成では、可変コンデンサー37を利用して、駆動信号生成部11で生じる発振の影響を低減する。すなわち、スイッチ38を接続した状態では、発振による高周波ノイズが可変コンデンサー37を通過してグラウンドに逃されるので、駆動パルスDPに生じるオーバーシュート等を抑えることができる。このため、第2パターン形成工程における斜め罫線および縦罫線の位置ずれは、可変コンデンサー37の容量を変化させることで補正し、往復の罫線が一連に繋がる状態の容量が第2補正値取得工程において第2補正値として取得される。そして、プリンターコントローラー7の制御部9は、線画印刷のようにインクを同時に噴射するノズル21の数が比較的少ない場合には、負荷調整部12におけるスイッチ38を開放する(図11(a))。また、ベタ印刷や縦罫線の記録時のようにインクを同時に噴射するノズル21の数が比較的多い場合には、スイッチ38を接続して可変コンデンサー37の容量を第2補正値に設定する(図11(b))。本実施形態の構成においても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。なお、他の構成については第1の実施形態と同様である。
なお、上記実施形態では、圧力発生手段として、所謂撓み振動型の圧電素子20を例示したが、これには限られず、例えば、所謂縦振動型の圧電素子を採用することも可能である。この場合、上記実施形態で例示した駆動パルスDPに関し、電位の変化方向、つまり上下が反転した波形となる。
また、圧力発生手段としては圧電素子には限らず、圧力室内に気泡を発生させる発熱素子や静電気力を利用して圧力室の容積を変動させる静電アクチュエーター等の各種圧力発生手段を用いる場合にも本発明を適用することができる。
また、圧力発生手段としては圧電素子には限らず、圧力室内に気泡を発生させる発熱素子や静電気力を利用して圧力室の容積を変動させる静電アクチュエーター等の各種圧力発生手段を用いる場合にも本発明を適用することができる。
そして、本発明は、液体噴射ヘッドと着弾対象を相対移動させつつ液体の噴射制御を行う液体噴射装置であれば、プリンターに限らず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置、あるいは、着弾対象の一種である布帛(被捺染材)に対して液体噴射ヘッドからインクを着弾させて捺染を行う捺染装置にも適用することができる。
1…プリンター,6…記録ヘッド,7…プリンターコントローラー,9…制御部,11…駆動信号生成部,12…負荷調整部,14…FFC,20…圧電素子,21…ノズル,23…ノズル列,33…個別電極ライン,34…共通電極ライン,35…可変抵抗,36…バイパス用スイッチ,37…可変コンデンサー,38…スイッチ
Claims (4)
- 複数のノズルによりなるノズル群を有し、圧力発生手段の駆動により前記ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記圧力発生手段を駆動させる駆動波形を含む駆動信号を発生する駆動信号生成部と、を備え、前記液体噴射ヘッドを着弾対象に対して相対的に移動させながら液体を噴射する液体噴射装置の調整方法であって、
前記ノズル群の各ノズルの並設方向に対して傾斜した第1罫線を、前記着弾対象に対して前記液体噴射ヘッドの往動時と復動時のそれぞれで形成する第1パターン形成工程と、
往動時の第1罫線と復動時の第1罫線との相対的な位置ずれを、噴射タイミングの調整により補正するための第1補正値を取得する第1補正値取得工程と、
前記第1補正値が適用された状態で、前記ノズル群の各ノズルの並設方向に沿った第2罫線を、前記着弾対象に対して前記液体噴射ヘッドの往動時と復動時のそれぞれで形成する第2パターン形成工程と、
往動時の第2罫線と復動時の第2罫線との相対的な位置ずれを、前記駆動信号生成部と前記圧力発生手段との間における前記駆動信号の信号経路に設けられたダミー負荷により補正するための第2補正値を取得する第2補正値取得工程と、
を経ることを特徴とする液体噴射装置の調整方法。 - 前記ダミー負荷は、抵抗であり、
前記第2補正値は、当該抵抗の抵抗値であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置の調整方法。 - 前記ダミー負荷は、コンデンサーであり、
前記第2補正値は、当該コンデンサーの容量であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置の調整方法。 - 請求項1から請求項3の何れか一項の第1補正値および第2補正値を記憶する記憶部と、
前記液体噴射ヘッドによる液体の噴射を制御する制御部と、
を備え、
前記駆動信号生成部は、前記第1補正値が適用されたタイミングで駆動信号を発生させ、
前記制御部は、前記着弾対象に対して液体を着弾させて形成する内容に応じて、第2補正値を用いて前記ダミー負荷を調整することを特徴とする液体噴射装置。
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JP2013102717A JP2014223726A (ja) | 2013-05-15 | 2013-05-15 | 液体噴射装置の調整方法、および、液体噴射装置 |
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