JP2017087601A - 液体を吐出する装置、圧電アクチュエータを駆動する装置 - Google Patents

液体を吐出する装置、圧電アクチュエータを駆動する装置 Download PDF

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Abstract

【課題】撓み振動モードで駆動する圧電素子を含む圧電アクチュエータを安定して駆動することができる液体を吐出する装置を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッドは、共通電極、圧電層及び個別電極で構成される圧電素子を含む圧電アクチュエータと、ヘッド温度を検出する温度検出部と、圧電素子の駆動信号が与えられる個別電極と反対の共通電極にバイアス電圧を与えるバイアス電圧出力部を含むバイアス電圧を印加する手段を兼ねる制御部とを備え、温度検出部で検出したヘッド温度に基づいて共通電極に与えるバイアス電圧の電圧値を、液体吐出速度がバイアス電圧を与えないときよりも速くなる領域内で変化させる。
【選択図】図13

Description

本発明は液体を吐出する装置、圧電アクチュエータを駆動する装置に関する。
液体吐出ヘッドの圧力発生手段として使用される圧電アクチュエータとして、撓み振動モードで駆動する圧電素子を含むものが知られている。
従来、液滴吐出ヘッドの撓み振動モードの圧電素子を駆動するとき、駆動波形電圧を印加する電極と反対側の電極にバイアス電圧を印加し、駆動波形電圧を印加するタイミングで、液滴を吐出させない圧電アクチュエータに対するバイアス電圧を変化させるものが知られている(特許文献1)。
また、圧電アクチュエータに印加するバイアス電圧値を、圧電アクチュエータの変位量が最も大きくなる値又はその値に近い値とすることが知られている(特許文献2)。
特開2013−199026号公報 特開2006−321200号公報
ところで、圧電アクチュエータの温度が変化することで圧電素子の変位特性変動が生じるので、温度に対して一定のバイアス電圧を与えるだけでは、変位特性変動に対応することができず、安定した駆動を行うことができないという課題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、安定した駆動を行うことを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体を吐出する装置は、
ノズルから液体を吐出させる圧力を発生させる圧電素子を含む液体吐出ヘッドと、
前記圧電素子の温度に相関する温度を検出する温度検出手段と、
前記圧電素子の駆動波形を与える電極と反対側の電極にバイアス電圧を与える手段と、を備え、
前記バイアス電圧を与える手段は、前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記バイアス電圧を変化させる
構成とした。
本発明によれば、安定した駆動を行うことができる。
本発明に係る液体を吐出する装置の一例の要部平面説明図である。 同装置の要部側面説明図である。 液体吐出ヘッドの一例の分解斜視説明図である。 同液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。 図2の要部拡大断面説明図である。 同液体吐出ヘッドのノズル配列方向に沿う要部断面説明図である。 同液体吐出ヘッドの温度検出手段の説明に供するアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。 同装置の制御部の概要のブロック説明図である。 ヘッドの駆動制御に係わる部分の一例のブロック説明図である。 個別電極に与える駆動波形と共通電極に与えるバイアス電圧の関係の一例の説明に供する説明図である。 温度に対する圧電素子のP−E(力−電界)ヒステリシス特性の説明に供する説明図である。 バイアス電圧と液体吐出速度及び圧電素子の変位量の関係の一例の説明に供する説明図である。 同装置における電圧制御の一例の説明に供するフロー図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体を吐出する装置の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同装置の要部平面説明図、図2は同装置の要部側面説明図である。
この装置は、シリアル型装置であり、主走査移動機構493によって、キャリッジ403は主走査方向に往復移動する。主走査移動機構493は、ガイド部材401、主走査モータ405、タイミングベルト408等を含む。ガイド部材401は、左右の側板491A、491Bに架け渡されてキャリッジ403を移動可能に保持している。そして、主走査モータ405によって、駆動プーリ406と従動プーリ407間に架け渡したタイミングベルト408を介して、キャリッジ403は主走査方向に往復移動される。
このキャリッジ403には、液体吐出ヘッド404及びヘッドタンク441を一体にした液体吐出ユニット440を搭載している。液体吐出ユニット440の液体吐出ヘッド404は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色の液体を吐出する。また、液体吐出ヘッド404は、複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配置し、吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド404の外部に貯留されている液体を液体吐出ヘッド404に供給するための供給機構494により、ヘッドタンク441には、液体カートリッジ450に貯留されている液体が供給される。
供給機構494は、液体カートリッジ450を装着する充填部であるカートリッジホルダ451、チューブ456、送液ポンプを含む送液ユニット452等で構成される。液体カートリッジ450はカートリッジホルダ451に着脱可能に装着される。ヘッドタンク441には、チューブ456を介して送液ユニット452によって、液体カートリッジ450から液体が送液される。
この装置は、シート材410を搬送するための搬送機構495を備えている。搬送機構495は、搬送手段である搬送ベルト412、搬送ベルト412を駆動するための副走査モータ416を含む。
搬送ベルト412はシート材410を吸着して液体吐出ヘッド404に対向する位置で搬送する。この搬送ベルト412は、無端状ベルトであり、搬送ローラ413と、テンションローラ414との間に掛け渡されている。吸着は静電吸着、あるいは、エアー吸引などで行うことができる。
そして、搬送ベルト412は、副走査モータ416によってタイミングベルト417及びタイミングプーリ418を介して搬送ローラ413が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
さらに、キャリッジ403の主走査方向の一方側には搬送ベルト412の側方に液体吐出ヘッド404の維持回復を行う維持回復機構420が配置されている。
維持回復機構420は、例えば液体吐出ヘッド404のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングするキャップ421、ノズル面を払拭するワイパ部材422などで構成されている。
主走査移動機構493、供給機構494、維持回復機構420、搬送機構495は、側板491A,491B、背板491Cを含む筐体に取り付けられている。
このように構成したこの装置においては、シート材410が搬送ベルト412上に給紙されて吸着され、搬送ベルト412の周回移動によってシート材410が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ403を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて液体吐出ヘッド404を駆動することにより、停止しているシート材410に液体を吐出して画像を形成する。
次に、液体吐出ヘッドの一例について図3ないし図6を参照して説明する。図3は同液体吐出ヘッドの分解斜視説明図、図4は同液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図、図5は図2の要部拡大断面説明図、図6は同液体吐出ヘッドのノズル配列方向に沿う要部断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材である振動板3と、圧力発生素子である圧電素子11と、保持基板50と、配線部材60と、共通液室部材を兼ねるフレーム部材70とを備えている。
ここで、流路板2、振動板3及び圧電素子11で構成される部分をアクチュエータ基板20とする。ただし、アクチュエータ基板20として独立の部材が形成された後にノズル板1や保持基板50と接合されることまで意味するものではない。
ノズル板1には、液体を吐出する複数のノズル4が形成されている。ここでは、ノズル4を配列したノズル列を4列配置した構成としている。
流路板2は、ノズル板1及び振動板3とともに、ノズル4が通じる個別液室6、個別液室6に通じる流体抵抗部7、流体抵抗部7が通じる液導入部8を形成している。
この液導入部8は振動板3の供給口9と保持基板50の流路となる開口部51を介してフレーム部材70で形成される共通液室10に通じている。
振動板3は、個別液室6の壁面の一部を形成する変形可能な振動領域30を形成している。そして、この振動板3の振動領域30の個別液室6と反対側の面には、振動領域30と一体的に圧電素子11が設けられ、振動領域30と圧電素子11によって圧電アクチュエータ31を構成している。
圧電素子11は、振動領域30側から下部電極である共通電極13、圧電層(圧電体)12及び上部電極である個別電極14を順次積層形成して構成している。この圧電素子11上には絶縁膜21が形成されている。
複数の圧電素子11の共通電極13は、図4に示すように、ノズル配列方向ですべての圧電素子11に跨って形成される1つの電極層であり、圧電素子11を構成していない部分15に共通電極電源配線パターン121が接続されている。
また、圧電素子11の個別電極14は、個別配線16を介して駆動回路部である駆動IC(なお、回路構成では「ヘッドドライバ」という。)509に接続されている。なお、個別配線16は絶縁膜22で被覆されている。
駆動IC509は、圧電素子列の列間の領域を覆うようにアクチュエータ基板20にフリップチップボンディングなどの工法により実装されている。
そして、アクチュエータ基板20上には保持基板50を設けている。
保持基板50は、共通液室10の壁面の一部を形成するとともに、共通液室10から個別液室6への流路の一部を形成する流路形成部材でもあり、共通液室10と個別液室6側を通じる流路となる開口部51を形成している。
また、保持基板50は、アクチュエータ基板20を保持する機能も有し、圧電素子11を収容する凹部52、ドライバIC509を収容する開口部53が形成されている。
フレーム部材70は、各個別液室6に液体を供給する共通液室10を形成する。なお、共通液室10は4つのノズル列に対応してそれぞれ設けられる。また、外部からの液体供給口71(図1)を介して共通液室10に所要の色の液体が供給される。
フレーム部材70には、ダンパ部材90が接合されている。ダンパ部材90は、共通液室10の一部の壁面を形成する変形可能なダンパ91と、ダンパ91を補強するダンパプレート92とを有している。
フレーム部材70はノズル板1の外周部と接合され、アクチュエータ基板20及び保持基板50を収容して、このヘッドのフレームを構成している。
そして、ノズル板1の周縁部及びフレーム部材の70の外周面の一部を覆うカバー部材45を設けている。
この液体吐出ヘッドにおいては、駆動IC509から圧電アクチュエータ31の圧電素子11の共通電極13と個別電極14との間に電圧を与えることで、圧電素子11が撓み変形し、振動領域30が個別液室6側に撓んで内部の液体を加圧することで、ノズル4から液体が吐出される。
次に、この液体吐出ヘッドの温度検出手段について図7を参照して説明する。図7はアクチュエータ基板の模式的平面説明図である。
アクチュエータ基板20は、前述したように、複数の圧電素子11を配列した4つの圧電素子列と、2つの圧電素子列間に配置された駆動IC509を有している。
また、アクチュエータ基板20には、圧電素子11の共通電極13と一体の部分15に接続された共通電極電源配線パターン121が接続された電極パッド23と、駆動IC509に配線18を介して接続された複数の電極パッド24が配置されている。なお、複数の電極パッド24には、例えば駆動波形、データ、クロック、ラッチ、制御信号などが与えられる(すべてのパッドを図示していない。)。
また、アクチュエータ基板20には、ヘッド温度に相関する温度(ここでは、ヘッド温度)を検出する温度検出手段である温度検出部80を設けている。
温度検出部80は、共通電極13を形成している電極層を使用して形成している。そして、温度検出部80は取り出し配線83を介して接続パッド25に接続されている。
なお、温度検出部80は、アクチュエータ基板20の中央部に1つに配置した例で説明しているが、これに限るものではない。アクチュエータ基板20の中央部以外に配置することもでき、また複数個配置することもできる。
この温度検出部80では、温度検出部80に対して外部回路から定電流を与えたときの電圧値によって温度を検出することができる。
次に、この装置の制御部の概要について図8を参照して説明する。図8は同制御部のブロック説明図である。
制御部500は、装置全体の制御を司るCPU501、CPU501が実行するプログラムを含む各種プログラムなどの固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503で構成される主制御部500Aを備えている。
制御部500は、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504を備えている。制御部500は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505を備えている。
制御部500は、液体吐出ヘッド404を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段、バイアス電圧出力手段を含む印刷制御部508と、液体吐出ヘッド404を駆動するための駆動IC(ここでは「ヘッドドライバ」という。)509を備えている。
制御部500は、キャリッジ403を移動走査する主走査モータ405、搬送ベルト412を周回移動させる副走査モータ416、維持回復機構420のキャップ421やワイパ部材422の移動、キャップ421に接続される吸引手段の駆動などを行なう維持回復モータ556を駆動するためのモータ駆動部510を備えている。
制御部500は、送液ユニット452の送液ポンプ452Aを駆動する供給系駆動部512を備えている。
制御部500は、I/O部513を有している。I/O部513は、様々のセンサ情報を処理することができ、液体吐出ヘッド404の温度検出部80からの検出信号、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得する。そして、装置の制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510の制御などに使用する。
センサ群515は、その他シート材Pの位置を検出するための光学センサやカバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどが含まれる。
制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。
ここで、制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、画像読み取り装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像を出力するためドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行なうことも、制御部500で行なうこともできる。
印刷制御部508は、画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する。
印刷制御部508は、駆動波形のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含む。そして、印刷制御部508は、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成してヘッドドライバ509に対して出力する。
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される液体吐出ヘッド404の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択して液体吐出ヘッド404の圧力発生手段としての圧電素子11に対して与える。これにより、液体吐出ヘッド404を駆動する。
このとき、駆動波形を構成する1又は2以上の駆動パルスの全部又は一部(駆動パルスを形成する波形用要素の一部)を選択する。これにより、例えば、大滴、中滴、小滴など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
次に、ヘッドの駆動制御に係わる部分の一例について図9のブロック説明図を参照して説明する。
印刷制御部508は、駆動波形VAを生成出力する駆動波形生成手段としての駆動波形生成部701を含んでいる。また、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号、共通駆動波形を構成する駆動パルスを選択する選択信号を出力するデータ転送部702を含んでいる。
また、印刷制御部508は、圧電素子11の共通電極13に対してバイアス電圧VBを出力するバイアス電圧出力部703を備えている。
ここで、駆動波形生成部701からは、1印刷周期(1駆動周期)内に、液体を吐出させる複数の駆動パルス(駆動信号)が時系列で配置された駆動波形VAが生成出力される。
なお、選択信号は、ヘッドドライバ509のスイッチ手段であるアナログスイッチASの開閉を滴毎に指示する信号である。駆動波形VAの印刷周期に合わせて選択すべき駆動パルス(又は波形要素で)Hレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
ヘッドドライバ509は、シフトレジスタ711と、ラッチ回路712と、デコーダ713と、レベルシフタ714と、アナログスイッチアレイ715とを備えている。
シフトレジスタ711は、データ転送部702からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/1チャンネル(1ノズル)を入力する。ラッチ回路712は、シフトレジスタ711の各レジスト値をラッチ信号によってラッチする。
デコーダ713は、階調データと選択信号をデコードして結果を出力する。レベルシフタ714は、デコーダ713のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチアレイ715のアナログスイッチASが動作可能なレベルへとレベル変換する。
アナログスイッチアレイ715のアナログスイッチASは、レベルシフタ714を介して与えられるデコーダ713の出力でオン/オフ(開閉)される。
アナログスイッチアレイ715のアナログスイッチASは、圧電素子11の個別電極14に接続され、駆動波形生成部701からの駆動波形VAが入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と選択信号をデコーダ713でデコードした結果に応じてアナログスイッチASがオンにする。これにより、駆動波形VAを構成する所要の駆動パルス(あるいは波形要素)が通過して(選択されて)、圧電素子11の個別電極14に与えられる。
一方、バイアス電圧出力部703から出力されるバイアス電圧VBは、圧電素子11の駆動波形VAの内の選択された駆動パルス(駆動信号:波形要素だけの部分を含む。)が与えられる個別電極14と反対側(圧電層12を挟んで反対側)の電極である共通電極13に与えられる。
主制御部500Aは、ヘッド温度に対するバイアス電圧VBの補正値(調整値)を格納したバイアス電圧調整用の温度テーブルを備えている。そして、主制御部500Aは、温度検出部80で検出されたヘッド温度に基づいてバイアス電圧VBを補正した(変化させた)電圧データをバイアス電圧出力部703に与える。バイアス電圧出力部703は、主制御部500A側から与えられた電圧データに対応するバイアス電圧VBを出力する。
主制御部500Aは、ヘッド駆動時間の累積時間(累積駆動時間)に対するバイアス電圧VBの補正値(調整値)を格納したバイアス電圧調整用の駆動時間テーブルを備えている。そして、主制御部500Aは、ヘッド温度に基づいて補正したバイアス電圧VBを更に累積駆動時間に基づいて補正した(変化させた)バイアス電圧VBの電圧データをバイアス電圧出力部703に与える。バイアス電圧出力部703は、主制御部500A側から与えられた電圧データに対応するバイアス電圧VBを出力する。
なお、ヘッド温度に対するバイアス電圧VBの電圧値を格納したバイアス電圧調整用の温度テーブルを備えること、あるいは、累積駆動時間に対するバイアス電圧VBの電圧値を格納したバイアス電圧調整用の駆動時間テーブルを備えることもできる。ただし、補正を重畳して行う場合には補正値(電圧倍率)のテーブルを使用することが好ましい。
次に、本実施形態の駆動波形とバイアス電圧の関係について図10を参照して説明する。
駆動波形生成部701は、例えば図10に示すように複数(ここでは2つ)の駆動パルスP1、P2で構成される駆動波形VAを生成して出力する。駆動波形VAの駆動波形データはROM502などに格納保持されている。
この駆動波形VAを構成する駆動パルスP1、P2の一部又は全部が選択されて、所定の圧電素子11の個別電極14に与えられる。なお、ここでは、説明上、駆動波形VAを構成する駆動パルスP1、P2がいずれも個別電極14に与えられるものとして説明する。
一方、バイアス電圧出力部703からは駆動パルスP1、P2に対して逆バイアスとなる(圧電素子11に対して逆バイアスとなる。)バイアス電圧VBが出力され、各圧電素子11に共通の共通電極13に与えられる。
駆動波形VAを構成する駆動パルスP1、P2は基準電位を中間電位Veとし、中間電位Veから所定の電位まで立ち下がる膨張波形要素(引き込み波形要素)aと、立下り電位を保持する保持波形要素bと、保持された電位から所要の電位(ここでは、中間電位Veを越える電位)まで立ち上がる収縮波形要素(押し込み波形要素)cを含んでいる。
この駆動波形VAは、所定の温度域で波形形状を変化させるとともに、同一波形形状においてもヘッド温度の変化に応じた電圧倍率によって電圧値(駆動電圧値)などが補正される。
ここで、温度検出部80で検出されたヘッド温度に応じてバイアス電圧VBを変化される。ここでは、検出されてヘッド温度において、液体の吐出速度が最大となる電圧をバイアス電圧VBとして出力するように変化させている。
次に、温度に対する圧電素子のP−E(力−電界)ヒステリシス特性について図11を参照して説明する。
図11は温度0度、20℃、30°における圧電素子のP−Eヒステリシス特性を示している。温度が変化することで特性が変動し、最適なバイアス電圧VBの特性も変化する。
したがって、ヘッド温度を検出して、検出したヘッド温度に基づいてバイアス電圧VBの電圧値を補正(変化)することで、ヘッド温度による変位量の変化を抑制でき、安定した駆動を行うことができる。
また、圧電素子に正側抗電界を越えて電圧波形を印加した場合、圧電素子の駆動時間とともにP−Eヒステリシス特性も変化することが知られている。
そこで、ヘッド駆動時間に応じてバイアス電圧VBの電圧値を補正(変化)させるようにすることで、より安定した駆動を行うことができる。
次に、バイアス電圧の電圧値の変化域について図12も参照して説明する。図12はバイアス電圧と液体吐出速度及び圧電素子の変位量の関係の一例の説明に供する説明図である。
ここでは、個別電極14にVpp:20Vの矩形波を与え、共通電極13に与えるバイアス電圧VBの電圧値を変化させて、液体吐出速度と圧電素子の変位量を測定した。この結果、圧電素子の変位量が最大となるバイアス電圧VBは−4.5(V)であったが、液体吐出速度が最大となるバイアス電圧は−3.5(V)であった。
この図12の例では、バイアス電圧VBを、0V(接地電位)を基準としてバイアス電圧値を大きくしていくに従って、領域VbA1では変位量dが大きくなる。また、バイアス電圧VBを、0V(接地電位)を基準としてバイアス電圧値を大きくしていくに従って、領域VbA2では液体吐出速度Vjが速くなる。
しかしながら、領域VbA2を超えてバイアス電圧値を大きくした場合、変位量dは増加するが、液体吐出速度Vjは低下する現象が生じる。
このように、圧電素子の変位量が最大となるバイアス電圧値と液体吐出速度が最大となるバイアス電圧値との間にはずれがある。
そこで、圧電素子の変位量が増加する電圧値領域の内、液体吐出速度がバイアス電圧を与えないときよりも速くなる電圧値領域内で、バイアス電圧の電圧値を変化させることが好ましい。
さらに、圧電素子の変位量とともに圧電素子の力成分に相当する特性値により、液体吐出速度が最大となるバイアス電圧が決まることが判明した。
この圧電素子の力成分に相当する特性値は、上述したヘッドの温度だけでなく、ヘッド(圧電素子)の累積駆動時間により変化することから、ヘッド温度及び圧電素子の累積駆動時間を検出することで、液体吐出速度が最大になるバイアス電圧値を得ることができる。
そこで、本実施形態では、温度検出部80によってヘッド温度を検出する。また、主制御部500A内に含まれるカウンタを使用してヘッド404の駆動時間の累積時間(駆動累積時間)を計測している。
ここで、ヘッド駆動時間による特性変化は、正側の抗電界を越える電圧を印加している時間との相関が強いことが分かっている。この場合、印加されている電圧の影響も受けるが、個別電極14に与える駆動波形VAとしての中間電位に吊った状態から所定の電圧に移行する波形を印加して駆動する場合、中間電位Veに保持されている時間が最も長く、特性変化量との相関性がもっとも高くなる。
したがって、ヘッド駆動時間としては、個別電極14を中間電位Veまで吊り上げた時間の累積時間としている。
次に、この装置における電圧制御について図13のフロー図を参照して説明する。
ここでは、共通電極用電圧データ格納部801と個別電極用電圧波形データ格納部802を主制御部500AのROM502で構成している。
共通電極用電圧データ格納部801には、共通電極13に与えるバイアス電圧VBの電圧データとともに、バイアス電圧VBの電圧値をヘッド温度に基づいて変化(調整)するための補正率を格納した温度テーブル811と、バイアス電圧VBの電圧値を累積駆動時間に基づいて変化(調整)するための補正率を格納した駆動時間テーブル812を保持している。
個別電極用電圧波形データ格納部802には、個別電極14に与える駆動波形VAのデータとともに、駆動波形VAの電圧値をヘッド温度に基づいて変化(調整)するための補正率を格納した温度補正テーブル821と、駆動波形VAの電圧値を累積駆動時間に基づいて変化(調整)するための補正率を格納した駆動時間補正テーブル822を保持している。
まず、印字動作を開始する前に、温度検出部80でヘッド温度を検出し、NVRAM504などに格納保持される累積駆動時間のデータを読み込む。そして、ヘッド温度及び累積駆動時間に基づいて補正を行った共通電極13に与えるバイアス電圧VBの電圧データをバイアス電圧出力部703にセットする。また、ヘッド温度及び累積駆動時間に基づいて補正を行った個別電極14に与える駆動波形VAの電圧波形データを駆動波形生成部701にセットする。
これにより、バイアス電圧出力部703からはヘッド温度及び累積駆動時間に基づいて補正を行ったバイアス電圧VBが圧電アクチュエータ31の圧電素子11の共通電極13に与えられる。
また、印刷を行うときに1印刷周期毎に駆動波形生成部701からはヘッド温度及び累積駆動時間に基づいて補正を行った駆動波形VAがヘッドドライバ509に与えられ、画像データに応じて選択された駆動パルスが圧電素子11の個別電極14に与えられる。
その後、印字データを元に印字を開始する。印字開始にあたり、個別電極14側を中間電位Veに吊り始めた時間から中間電位Veを落とすまでの時間を計測し、その差分を累積駆動時間に加算して、新たな累積駆動時間として格納保持する。
このように、ヘッド温度に応じて圧電素子の共通電極に与えるバイアス電圧を変化させることで、ヘッド温度変化による変位特性の変化を抑制し、安定した変位特性で圧電アクチュエータを駆動することができる。
なお、上記実施形態において、圧電素子11を含む圧電アクチュエータ31を駆動する装置は、ヘッドドライバ509及び制御部500のうちの駆動波形の生成に係わる部分及びバイアス電圧の生成並びにヘッド温度などに基づく補正を行う部分で構成されている。
また、ヘッド温度に相関する温度としてヘッドの温度を直接的に検出したが、ヘッド温度に相関する温度として装置の環境温度を使用することもできる。
本願において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、液体を吐出させて媒体に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
上記「液体が付着可能もの」とは液体が一時的にでも付着可能なものを意味する。「液体が付着するもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、インク、処理液、DNA試料、レジスト、パターン材料、結着剤、造形液なども含まれる。
また、「液体を吐出する装置」には、特に限定しない限り、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとしては、液体吐出ユニット440のように、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
また、「液体吐出ヘッド」は、使用する圧力発生手段が限定されるものではない。例えば、上記実施形態で説明したような圧電アクチュエータ(積層型圧電素子を使用するものでもよい。)以外にも、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものでもよい。
また、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板
4 ノズル
6 個別液室
10 共通液室
11 圧電素子
13 下部電極(共通電極)
14 上部電極(個別電極)
20 アクチュエータ基板
80 温度検出部
403 キャリッジ
404 液体吐出ヘッド
440 液体吐出ユニット
500 制御部
701 駆動波形生成部
703 バイアス電圧出力部

Claims (9)

  1. ノズルから液体を吐出させる圧力を発生させる圧電素子を含む液体吐出ヘッドと、
    前記圧電素子の温度に相関する温度を検出する温度検出手段と、
    前記圧電素子の駆動信号を与える電極と反対側の電極にバイアス電圧を与える手段と、を備え、
    前記バイアス電圧を与える手段は、前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記バイアス電圧を変化させる
    ことを特徴とする液体を吐出する装置。
  2. 前記バイアス電圧を与える手段は、前記圧電素子に対して逆バイアスになるバイアス電圧を与える
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
  3. 前記バイアス電圧の電圧値は、液体吐出速度がバイアス電圧を与えないときよりも速くなる電圧値領域内で変化させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の液体を吐出する装置。
  4. 前記温度に対応する前記バイアス電圧の電圧値又は補正値を格納したテーブル
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  5. 前記圧電素子の駆動時間を計測する手段を備え、
    前記バイアス電圧を与える手段は、前記駆動時間の計測結果に基づいて前記バイアス電圧を変化させる
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  6. 前記駆動信号を含む駆動波形は所定の中間電位を基準として変化する電圧であり、
    前記駆動時間は、前記駆動電圧を前記中間電位に保持している時間である
    ことを特徴とする請求項5に記載の液体を吐出する装置。
  7. 前記駆動時間に対応する前記バイアス電圧の電圧値又は補正値を格納したテーブルを備えている
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の液体を吐出する装置。
  8. 前記温度検出手段は前記液体吐出ヘッドに設けられている
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
  9. 圧電素子を含む圧電アクチュエータと、
    前記圧電素子の温度に相関する温度を検出する温度検出手段と、
    前記圧電素子の駆動信号を与える電極と反対側の電極にバイアス電圧を与える手段と、を備え、
    前記バイアス電圧は、前記圧電素子に対して逆バイアスになる電圧であり、
    前記バイアス電圧を与える手段は、前記温度検出手段の検出結果に基づいて前記バイアス電圧を変化させる
    ことを特徴とする圧電アクチュエータを駆動する装置。
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