JP6314055B2 - サイレントチェーン - Google Patents
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Description
長ピン540は、ガイドプレート510のピン孔511に嵌合固定されるとともにミドルプレート520のピン孔521のピンシート部522に着座して相対的に回転しない。 短ピン550はインナープレート530のピン孔531のピンシート部532に着座して相対的に回転しない。
このことで、長ピン540の転動面541と短ピン550の転動面551が直接接触して転動することで、ガイド列501と非ガイド列503とが屈曲する。
サイレントチェーン500がスプロケットに掛け回されて内周側に屈曲(以降、「正屈曲」という。)する際には、図6に示すように、長ピン540の転動面541と短ピン550の転動面551が、接触点T2が外周側(上方)に変位するように転動する。
サイレントチェーン500が外周側に屈曲(以降、「逆屈曲」という。)する際には、図7に示すように、長ピン540の転動面541と短ピン550の転動面551が、接触点T3が内周側(下方)に変位するように転動する。
このため、正屈曲、逆屈曲ともに、長ピン540の転動面541と短ピン550が転動可能な範囲において自由に屈曲可能となっている。
したがって、使用時のフリースパンでのサイレントチェーン500の屈曲を規制して振動や波打を抑制するためには、チェーンガイドやテンショナ等の規制部材を設ける必要があった。
これらの規制部材はサイレントチェーンに直接接触するため、摺動抵抗や接触音の新たな発生源となる虞があった。
また、ピン孔の上下に屈曲規制部(直線状屈曲変位許容面46、直線状逆反り阻止面48)を設け、サイレントチェーンの振動や波打を抑制するものが公知である(特許文献2等参照。)。
また、高負荷の動力伝達で使用するような場合はロッカーピンの剛性、強度、耐久性が要求され、弾性変形を大きくすることは困難で振動や波打を充分に抑制することはできなかった。
さらに、チェーン張力方向にロッカーピンの弾性変形に起因する別の振動が発生する虞があった。
また、ロッカーピンをピン位置規制面(40、42)によってピン孔に固定するために、ロッカーピンの断面形状も特別な形状とする必要があり、さらに、要求される許容屈曲範囲によっては、ピン孔のピン位置規制面(40、42)と屈曲規制部(直線状屈曲変位許容面46、直線状逆反り阻止面48)を連続して形成するために、ロッカーピン自体の形状も変更しなければならない場合があり、特殊な設計とするために製造コストが増大するという問題があった。
また、特殊な形状や材質のロッカーピンを使用する必要がないため、高負荷の動力伝達で使用するような場合でも、要求される剛性、強度、耐久性を容易に確保できるロッカーピンを採用することが可能となる。
本請求項3に記載の構成によれば、ミドルプレート及びインナープレートの両方の前後一対のピン孔は、外周側直線部及び内周側直線部とを有することにより、一対のロッカーピンの両方を、両方のピン孔で規制することができるため、さらに確実に正屈曲、逆屈曲を規制し、振動や波打を抑制することが可能となる。
本請求項4に記載の構成によれば、サイレントチェーンが直線状に延びた状態で、ミドルプレートの内周側直線部とインナープレートの内周側直線部とが側方から見て交差するように設けられていることにより、ピン孔と相対的に固定されるロッカーピンを内周側直線部に当接しないように設計できるため、ロッカーピンとピン孔の隙間や公差を従来のサイレントチェーンと同じ隙間や公差とすればよく、特殊な形状や材質のロッカーピンを使用する必要がなく、かつロッカーピンの寸法精度も従来と同じとすることができる。
本請求項5に記載の構成によれば、ミドルプレート及びインナープレートの両方の前後一対のピン孔は、外周側直線部、内周側直線部及びロッカーピンとの係合部を除いて、複数の異なる半径の円弧を繋げた形状に形成されていることにより、長孔のピン孔用に設計されたロッカーピンを有するサイレントチェーンに適用することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態であるサイレントチェーンについて、図面に基づいて説明する
ミドルプレート120のピン孔121及びインナープレート130のピン孔131は、図1、図2に示すように、それぞれ、平坦面状に形成された外周側直線部123、133と内周側直線部124、134とを有しており、外周側直線部123、133と内周側直線部124、134は、それぞれ、平行かつ同一の長さに形成されている。
このことで、長ピン140の転動面141と短ピン150の転動面151の当接点T1がピッチラインPより下がる方向の屈曲が規制されるため、フリースパンにおける逆屈曲が抑制される。
このことで、長ピン140の転動面141と短ピン150の転動面151の当接点T1がピッチラインPより上がる方向の屈曲は許容されており、直線状態から正屈曲が許容される。
このことで、長ピン140の転動面141と短ピン150の転動面151の当接点がT2より上方まで達することが規制されるため、正屈曲の上限を規制することができる。
この上限を、最小径のスプロケットに巻き掛けた際の正屈曲を基準に設定することで、フリースパンにおける必要以上の正屈曲が抑制される。
このため、外周側直線部123、133と内周側直線部124、134を同一の長さとしても、直線状態において逆屈曲が規制され正屈曲が許容されるが、ピッチラインPの位置や、必要とする正屈曲の角度等の条件に応じて、外周側直線部123、133と内周側直線部124、134を、それぞれ、適宜の長さに形成してもよい。
また、外周側直線部と内周側直線部は、ミドルプレート120のピン孔121及びインナープレート130のピン孔131の、いずれか一方にのみ設けてもよい。
ミドルプレート220のピン孔221及びインナープレート230のピン孔231は、図3に示すように、それぞれ、平坦面状に形成された外周側直線部223、233と内周側直線部224、234とを有しており、外周側直線部223、233と内周側直線部224、234は、それぞれ、平行かつ同一の長さに形成されている。
また、ピン孔221、231は、それぞれ、外周側直線部223、233、内周側直線部224、234及び長ピン240、短ピン250との係合部であるピンシート部222、232を除いて、複数の異なる半径の円弧を繋げた形状に形成されている。
また、本実施形態では、正屈曲時の長ピン240の転動面241と短ピン250の転動面251との当接点の移動にともなって、ピン孔221、231と、長ピン240、短ピン250の上下方向の相対位置を変化させることができ、このことで、屈曲に応じてチェーン長手方向のピッチ長さを変化させることが可能となる。
このことで、規制された範囲内の屈曲であっても、チェーン張力によって振動や波打を抑制することが可能となる。
501 ・・・ ガイド列
503 ・・・ 非ガイド列
504 ・・・ ロッカーピン
510 ・・・ ガイドプレート
511 ・・・ ピン孔
120、220、520 ・・・ ミドルプレート
121、221、521 ・・・ ピン孔
122、222、522 ・・・ ピンシート部
123、223 ・・・ 外周側直線部
124、224 ・・・ 内周側直線部
130、230、530 ・・・ インナープレート
131、231、531 ・・・ ピン孔
132、232、532 ・・・ ピンシート部
133、233 ・・・ 外周側直線部
134、234 ・・・ 内周側直線部
140、240、540 ・・・ 長ピン
141、241、541 ・・・ 転動面
150、250、550 ・・・ 短ピン
151、251、551 ・・・ 転動面
P ・・・ ピッチライン
T1 ・・・ 当接点(直線時)
T2 ・・・ 当接点(正屈曲時)
T3 ・・・ 当接点(逆屈曲時)
Claims (5)
- 左右一対のガイドプレート及び前記左右一対のガイドプレート間に配置されたミドルプレートから成るガイド列と、複数のインナープレートから成る非ガイド列とを、前記ミドルプレート及びインナープレートに設けられた前後一対のピン孔に挿入される一対のロッカーピンによってチェーン長手方向に交互に連結したサイレントチェーンであって、
前記ミドルプレート及び前記インナープレートの少なくとも一方の前後一対のピン孔は、外周側直線部と内周側直線部とを有し、
前記外周側直線部は、順方向屈曲時の前記ロッカーピンの屈曲外周側への移動を規制する平坦面状に形成され、
前記内周側直線部は、逆方向屈曲時の前記ロッカーピンの屈曲内周側への移動を規制する平坦面状に形成され、
前記外周側直線部及び前記内周側直線部は、互いに平行に形成されていることを特徴とするサイレントチェーン。 - 前記外周側直線部は、サイレントチェーンが直線状に延びた状態で、ピッチラインに対して傾きを有するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のサイレントチェーン。
- 前記ミドルプレート及び前記インナープレートの両方の前後一対のピン孔は、前記外周側直線部及び前記内周側直線部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサイレントチェーン。
- サイレントチェーンが直線状に延びた状態で、前記ミドルプレートの前記内周側直線部と前記インナープレートの前記内周側直線部とが側方から見て交差するように設けられていることを特徴とする請求項3に記載のサイレントチェーン。
- 前記ミドルプレート及び前記インナープレートの両方の前後一対のピン孔は、前記外周側直線部、前記内周側直線部及び前記ロッカーピンとの係合部を除いて、複数の異なる半径の円弧を繋げた形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のサイレントチェーン。
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