JP6313738B2 - 水不溶性鉄塩組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、水不溶性鉄塩組成物およびその製造方法に関する。
鉄は、健康にとって重要な栄養素であり、鉄を強化した飲食品や医薬組成物が数多く検討されている。
特許文献1では、酵素分解レシチンおよび水不溶性ミネラルを用いることにより、分散性及び風味、吸収性に優れたミネラル組成物が報告されている。官能検査を実施した実施例4では、ピロリン酸第二鉄及びモノミリスチン酸ペンタグリセリン、酵素含有レシチンを配合し、ホモミキサーにて分散させ、ピロリン酸第二鉄組成物懸濁液を調製する方法が例示されている。
特許文献2では、水不溶性鉄塩に、増粘安定剤のガティガムを用いることにより、水不溶性鉄塩を長時間保存しても凝集することなく安定に分散し、更には飲食品中で鉄が金属味を呈することなく、飲食品自体の良好な風味を維持可能とした鉄強化飲食品用組成物を提供できることが報告されている。かかる鉄強化飲食品用組成物としては、水や多価アルコール等の親水性溶媒に水不溶性鉄塩とガティガムを混合して調製すると記載されており、実施例では、ピロリン酸第二鉄の水分散液にガティガムを混合した溶液が、常温で3日間保存後に良好な分散性を示したことが開示されている。
特許文献3では、鉄が強化された飲食品で鉄味を抑えるために、鉄剤としての3価鉄と、甘味成分としての非還元性糖質及び/又は高甘味度甘味料とを含有したところ、製造や保存中における鉄味の発生が抑制されるということが報告されている。
特許文献4では、水不溶性鉄塩にメタリン酸塩及びリゾレシチンを配合することにより、微粒子に調整された水不溶性鉄塩組成物において、風味に優れており、且つ保存時の二次凝集防止効果を有するということが報告されている。
特許第3050921号公報 特開2009−89634号公報 特開平11−178543号公報 特許第4673235号公報
しかしながら、特許文献1記載の発明では、ピロリン酸第二鉄由来の鉄味のマスキングが不充分であり、組成物の風味が良好とはいえない。また、特許文献2〜4記載の発明では、鉄味を抑制するために、増粘剤や甘味成分、リン酸塩の添加が必須であるが、それら添加物の風味が塩味など他の風味に悪影響を及ぼすことがあり、また、鉄味自体の抑制も充分とはいえない。したがって、さらなる風味改善が求められるところである。
本発明の課題は、鉄味を抑え、他の風味についても良好な水不溶性鉄塩組成物を提供することである。
本発明は、
[1]水不溶性鉄塩および酵素分解レシチンを含有する水不溶性鉄塩組成物であって、該組成物から検出される鉄とナトリウムとの質量比(鉄/ナトリウム)が2.0以上であり、該組成物から検出される脂肪酸成分の組成割合として炭素数16〜18の飽和脂肪酸と炭素数16〜18の不飽和脂肪酸との質量比(飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸)が0.01〜1.0である、水不溶性鉄塩組成物、
[2][1]記載の水不溶性鉄塩組成物の製造方法であって、中和造塩法により水不溶性鉄塩を造塩する工程、該組成物から検出される鉄とナトリウムとの質量比(鉄/ナトリウム)が2.0以上となるように調整する工程、および酵素分解レシチンを添加する工程を含む、水不溶性鉄塩組成物の製造方法、
[3][1]記載の水不溶性鉄塩組成物を含有する、飲食品、および
[4][1]いずれか記載の水不溶性鉄塩組成物を含有する、医薬組成物、に関する。
本発明によれば、鉄味を抑え、他の風味についても良好な水不溶性鉄塩組成物を提供することができる。
本発明にかかる水不溶性鉄塩組成物は、水不溶性鉄塩および酵素分解レシチンを含有する。
水不溶性鉄塩としては、ピロリン酸第二鉄、リン酸第二鉄、水酸化第二鉄、酸化第二鉄、水酸化第一鉄、ピロリン酸第一鉄、リン酸第一鉄等が挙げられ、このうち、ピロリン酸第二鉄、リン酸第一鉄およびピロリン酸第一鉄からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
本明細書における水不溶性とは、25℃水中における溶解度積が1.0×10−7以下を指し、例えば、ピロリン酸第二鉄の25℃水中における溶解度積は2.0×10−13である。
水不溶性鉄塩の体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、分散性の観点から、0.8μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましく、また、下限値として例えば0.05μm以上とすることができる。
このような水不溶性鉄塩を得る方法としては、ホモミキサー、ボールミル、ジェットミルなどを用いた物理的破砕方法、中和造塩法などがあげられるが、それらの方法の中では、均一な粒子径を有する微粒子を得やすい観点から、中和造塩法が好ましい。ここで中和造塩法とは、酸とアルカリとを反応させ、塩を得る方法であり、例えば、塩化第二鉄とピロリン酸四ナトリウムとの中和反応を用いてピロリン酸第二鉄を得る方法などが知られている。
水不溶性鉄塩組成物中の水不溶性鉄塩の含有量は、特に限定されるものではないが、鉄摂取性の観点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、また、水不溶性鉄塩の水分散性及び風味(嗜好性)の観点から、95質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
酵素分解レシチンとしては、植物レシチンまたは卵黄レシチンをホスホリパーゼAによって脂肪酸エステル部分を限定的に加水分解することで得られるリゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシートルおよびリゾホスファチジルセリンを主成分とするモノアシルグリセロリン脂質、ならびにホスホリパーゼDを用いて生成されるホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロールおよびリゾホスファチジルグリセロールからなる群より選ばれた少なくとも1種を好適に使用しうる。それらの中では、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミンおよびリゾホスファチジルセリンが好ましく、リゾホスファチジルコリンがより好ましい。酵素分解に用いるホスホリパーゼは、豚膵臓などの動物起源、キャベツなどの植物起源、カビ類などの微生物起源などの由来を問わず、ホスホリパーゼAおよび/またはD活性を有するものであればよい。本発明においては、不飽和脂肪酸を多く含む観点及び風味(嗜好性)の観点から、酵素分解レシチンが、菜種由来のレシチンを含むものであることが好ましい。
酵素分解レシチンは、いずれも界面活性を有し、その親水基部分に等しくリン酸基を有しており、ショ糖脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤と比較して、水不溶性鉄塩表面の吸着被覆力が著しく強い性質を有している。そのため、水不溶性鉄塩の微粒子表面に熱的に安定な酵素分解レシチンの吸着界面層が形成され、加熱処理を施した際にも剥離することがなく、効果的に2次凝集が抑制され、その結果、良好な水不溶性鉄塩の分散性が得られる。
水不溶性鉄塩組成物中の酵素分解レシチンの含有量は、特に限定されるものではないが、水不溶性鉄塩組成物の分散性及び組成物の風味(嗜好性)の観点から、水不溶性鉄塩100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上がさらに好ましく、また、食品に使用する際に、食品の風味に悪影響を与えないようにする観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。
本発明にかかる水不溶性鉄塩組成物は、任意の添加剤を含むことができる。任意の添加剤としては、酵素分解レシチン以外の界面活性剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
水不溶性鉄塩組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、一態様として、中和造塩法により水不溶性鉄塩を造塩する工程、該組成物から検出される鉄とナトリウムとの質量比(鉄/ナトリウム)が2.0以上となるように調整する工程、および酵素分解レシチンを添加する工程を含む製造方法が挙げられる。本態様の製造方法において、不飽和脂肪酸を多く含む観点及び風味(嗜好性)の観点から、酵素分解レシチンが、菜種由来のレシチンを含むものであることが好ましい。
本発明にかかる水不溶性鉄塩組成物には製造原料に由来するナトリウムが含まれることがあるが、該組成物から検出される鉄とナトリウムとの質量比(鉄/ナトリウム)は、塩味及び鉄味を抑制し、飲食品等に配合した際の雑味を少なくする観点から、2.0以上であり、2.4以上が好ましく、2.8以上がより好ましく、また、質量比の上限は特に限定されるものではないが、100以下が好ましく、50以下がより好ましい。この質量比を調整する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、水不溶性鉄塩の造塩反応を行い、その後遠心分離を行い得られた固形分に水を加水し、再度遠心分離を行うような工程により調整することができる。
本明細書において、水不溶性鉄塩組成物中の鉄およびナトリウムの質量は、原子吸光光度法により測定された値から算出されるものである。
鉄とナトリウムとの質量比を前記の範囲とすることで塩味や鉄味が抑制されるメカニズムは定かではないが、口腔内には塩味や鉄味を認識する受容体があると考えられ、ナトリウムイオンや鉄イオンがそれぞれお互いの受容体に何らかの影響を及ぼし、塩味や鉄味を抑制すると推定される。
本発明にかかる水不溶性鉄塩組成物から検出される脂肪酸成分の組成割合として炭素数16〜18の飽和脂肪酸と炭素数16〜18の不飽和脂肪酸との質量比(飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸)は、鉄味を抑制し、飲食品等に配合した際の雑味を少なくする観点から、1.0以下であり、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、また、下限値として例えば0.01以上とすることができる。
炭素数16〜18の飽和脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸などが挙げられる。また、炭素数16〜18の不飽和脂肪酸としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
本明細書において、水不溶性鉄塩組成物中の脂肪酸成分の組成割合は、ガスクロマトグラフ法により測定された値から算出されるものである。この脂肪酸成分は、酵素分解レシチンや、任意に添加されるポリグリセリン脂肪酸エステルなどの脂肪酸含有物質に由来するものである。
脂肪酸成分の組成割合を前記の範囲とすることで鉄味が抑制されるメカニズムは定かではないが、不飽和脂肪酸は特有の風味を有しており、不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸に対して一定割合、含まれることによって、鉄味をマスキングする効果を有し、鉄味が抑制されると推定される。
本発明にかかる水不溶性鉄塩組成物は、従来の水不溶性鉄塩組成物と比べて、鉄味が抑制されるものであり、また、塩味なども抑制されることから組成物全体の風味についても良好である。したがって、本発明にかかる水不溶性鉄塩組成物を含有する飲食品や医薬組成物は雑味が少なく、飲食品等の風味を損なうことなく、鉄を強化することができる。
飲食品としては、例えば、パン、麺類などに代表される小麦粉加工食品、お粥、炊き込み飯などの米加工品、ビスケット、ケーキ、キャンディ、チョコレート、せんべい、あられ、錠菓、和菓子などの菓子類、豆腐、その加工食品などの大豆加工食品、清涼飲料、果汁飲料、乳飲料、乳酸菌飲料、炭酸飲料、アルコール飲料などの飲料類、ヨーグルト、チーズ、バター、アイスクリーム、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、牛乳などの乳製品、醤油、味噌、ドレッシング、ソース、たれ、マーガリン、マヨネーズなどの調味料、ハム、ベーコン、ソーセージなどの畜肉加工食品、蒲鉾、はんぺん、ちくわ、魚の缶詰などの水産加工食品、濃厚流動食、半消化態栄養食、成分栄養食などの経口腸栄養食などが挙げられる。
医薬組成物としては、医薬品、医薬部外品等として幅広く利用することができる。例えば、鉄分の補給あるいは維持が望まれている任意の疾患の治療や予防のために用いることができる。具体的には、鉄欠乏性貧血症、スポーツ貧血の治療や予防の用途に好適に用いることができる。なお、本発明の医薬組成物は、本発明の水不溶性鉄塩組成物と同じ作用を有する他の成分等を共に配合して調製することもできる。
医薬組成物の製剤形態としては、本発明の水不溶性鉄塩組成物を含有するのであれば特に制限されず、具体的には、散剤、粉末剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤、錠剤〔素錠、糖衣錠、口腔内速崩壊錠、咀嚼可能錠(チュアブル錠)、発泡錠、トローチ剤、フィルムコーティング錠等を含む〕、ドライシロップ剤、フィルム剤、液剤〔懸濁剤、乳剤、シロップ剤、リモナーデ剤等を含む〕、ゼリー剤が例示され、製菓剤〔キャンディー(飴)、グミ剤、ヌガー剤等〕も包含される。なお、カプセル剤としては、ハードカプセル剤の他に、本発明の水不溶性鉄塩組成物を分散させた溶液を充填したソフトカプセル剤も含まれる。
水不溶性鉄塩組成物の調製
実施例1
塩化第二鉄6水和物13kgをイオン交換水60kgに溶解して鉄溶液を得た。ピロリン酸四ナトリウム(10水和物)20kgをイオン交換水500kgに溶解したピロリン酸溶液中に、撹拌下で鉄溶液を徐々に添加し、混合液のpHを3.0に調整した。中和反応によるピロリン酸第二鉄の造塩が終了した後、遠心分離(3000×g、5分間)によって固−液分離を行った。ピロリン酸第二鉄の体積平均粒子径をベックマン・コールター(BECKMAN COULTER)社製レーザ回折散乱法 粒度分布測定装置 LS 13 320で測定した結果、0.15μmであった。得られた固相部に対して4倍量のイオン交換水を加え、再度遠心分離(3000×g、5分間)を行い、固相部を回収して、ナトリウム量を調整した。ナトリウム量が調整された固相部をイオン交換水中に再懸濁して、10質量%ピロリン酸第二鉄組成物80kgを得た。さらに菜種由来の酵素分解レシチン(太陽化学社製)を0.2kg添加し、水不溶性鉄塩組成物を得た。得られた水不溶性鉄塩組成物から検出された鉄とナトリウムとの質量比、および脂肪酸成分の組成割合を表1に示す。
実施例2
ナトリウム量の調整を、2倍量のイオン交換水を加えて実施した以外は実施例1と同様に調製して、水不溶性鉄塩組成物を得た。得られた水不溶性鉄塩組成物から検出された鉄とナトリウムとの質量比、および脂肪酸成分の組成割合を表1に示す。
実施例3
10質量%ピロリン酸第二鉄組成物80kgに、菜種由来の酵素分解レシチン(太陽化学社製)を0.2kgおよびジグリセリンモノラウレート(サンソフトQ−12D:太陽化学社製)を1.1kg添加した以外は実施例2と同様に調製して、水不溶性鉄塩組成物を得た。得られた水不溶性鉄塩組成物から検出された鉄とナトリウムとの質量比、および脂肪酸成分の組成割合を表1に示す。
実施例4
10質量%ピロリン酸第二鉄組成物80kgに、大豆由来の酵素分解レシチン(サンレシチンL:太陽化学社製)を0.2kg、デカグリセリンオレイン酸エステル(サンソフトQ−17Y:太陽化学社製)を0.5kg、およびデカグリセリンモノステアリン酸エステル(サンソフトQ−18Y:太陽化学社製)を0.6kg添加した以外は実施例2と同様に調製して、水不溶性鉄塩組成物を得た。得られた水不溶性鉄塩組成物から検出された鉄とナトリウムとの質量比、および脂肪酸成分の組成割合を表1に示す。
比較例1
ナトリウム量の調整を実施せず、造塩後の遠心分離により得られた固相部をイオン交換水中に再懸濁して10質量%ピロリン酸第二鉄組成物80kgを得て、さらに大豆由来の酵素分解レシチン(サンレシチンL:太陽化学社製)を0.2kg添加した以外は実施例1と同様に調製して、水不溶性鉄塩組成物を得た。得られた水不溶性鉄塩組成物から検出された鉄とナトリウムとの質量比、および脂肪酸成分の組成割合を表1に示す。
比較例2
10質量%ピロリン酸第二鉄組成物80kgに、大豆由来の酵素分解レシチン(サンレシチンL:太陽化学社製)を0.2kg添加した以外は実施例2と同様に調製して、水不溶性鉄塩組成物を得た。得られた水不溶性鉄塩組成物から検出された鉄とナトリウムとの質量比、および脂肪酸成分の組成割合を表1に示す。
比較例3
10質量%ピロリン酸第二鉄組成物80kgに、菜種由来の酵素分解レシチン(太陽化学社製)を0.2kg添加した以外は比較例1と同様に調製して、水不溶性鉄塩組成物を得た。得られた水不溶性鉄塩組成物から検出された鉄とナトリウムとの質量比、および脂肪酸成分の組成割合を表1に示す。
比較例4
10質量%ピロリン酸第二鉄組成物80kgに、大豆由来の酵素分解レシチン(サンレシチンL:太陽化学社製)を0.2kg、およびデカグリセリンオレイン酸エステル(サンソフトQ−17Y:太陽化学社製)を0.2kg、デカグリセリンモノステアリン酸エステル(サンソフトQ−18Y:太陽化学社製)を0.9kg添加した以外は比較例1と同様に調製して、水不溶性鉄塩組成物を得た。得られた水不溶性鉄塩組成物から検出された鉄とナトリウムとの質量比、および脂肪酸成分の組成割合を表1に示す。
風味の評価
各実施例、比較例の水不溶性鉄塩組成物について、訓練された10名の専門パネラーにより、鉄味、塩味の強さについて7段階評価を実施し、平均点を算出した。
中力小麦粉750g、タピオカ澱粉250g、食塩10g、及びかん水5gに各実施例、比較例の水不溶性鉄塩組成物2gを添加し、水370gを加えて10分間混捏して麺生地を調製した。この麺生地を複合機により複合、圧延して厚さ1.1mmの麺帯にした後、18番の丸の切刃を用いて麺線に切り出した。切り出した麺線を温度100℃の蒸気で2分30秒蒸熱処理した後、90℃で5分間、さらに続いて130℃で5分間熱風乾燥してノンフライ即席麺を得た。ノンフライ即席麺70gに熱湯350mlを注ぎ、5分間かけて復元させた後、雑味の強さについて7段階評価を実施し、平均点を算出した。また、同様に調製されたノンフライ即席麺における風味全体の総合的な評価を5段階評価で実施し、平均点を算出した。結果を表1に示す。
<鉄味、塩味、雑味>
1点(極めて弱い)
2点(弱い)
3点(やや弱い)
4点(普通)
5点(やや強い)
6点(強い)
7点(極めて強い)
<総合評価>
1点(悪い)
2点(やや悪い)
3点(普通)
4点(良好)
5点(極めて良好)
Figure 0006313738
実施例1、2、比較例3より、鉄/ナトリウムの質量比が高いほど、鉄味および塩味が抑制され、飲食品等に配合した際の雑味が少なく、飲食品等の風味全体の総合的な評価が良いことがわかる。また、実施例2〜4、比較例2より、上記脂肪酸組成の質量比が低いほど、鉄味が抑制され、飲食品等に配合した際の雑味が少なく、飲食品等の風味全体の総合的な評価が良いことがわかる。
処方例1:鉄配合清涼飲料
イオン交換水750mLに果糖ブドウ糖液糖100g、クエン酸2.0g、クエン酸ナトリウム0.5g、実施例1で得られた水不溶性鉄塩組成物1.0g、及び香料を適量添加し、混合後、イオン交換水を添加して1000mLに調整した後、100mLずつ瓶に詰め、90℃で10分間加熱殺菌を行い、鉄配合清涼飲料を調製した。
処方例2:鉄配合乳飲料
実施例1で得られた水不溶性鉄塩組成物1.0gをイオン交換水880mLに溶解させ、脱脂粉乳89gを添加してホモミキサーで均質化した。その後、生クリーム28.6gを加え、混合後、イオン交換水を添加して1000mLに調整した後、200mLずつ瓶に詰め、63℃で30分間の殺菌処理をして、鉄配合乳飲料を調製した。
処方例3:鉄配合クッキー
小麦粉100g、マーガリン60g、粉糖40g、粉塩1g、ベーキングパウダー1.6g、全卵30g、水10g、及び実施例1で得られた水不溶性鉄塩組成物を0.2g添加し、均一に混合し、クッキー生地とする。型抜き後、180℃、11〜12分焼成し、鉄配合クッキーを調製した。
処方例4:鉄配合錠剤
実施例1で得られた水不溶性鉄塩組成物0.5g、結晶セルロース10g、トウモロコシデンプン27.5g、乳糖65g、及びヒドロキシプロピルセルロース6.5gを混合し、顆粒化した。この顆粒化物にステアリン酸マグネシウム2.0gを加え、均一に混合し、この混合物をロータリー式打錠機を用いて加圧成形して一錠が130mgの鉄配合錠剤を調製した。
本発明は、前記の実施態様及び実施例によりなんら限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の実施態様を取り得る。
本発明は、飲食品や医薬組成物などの鉄強化において有用である。

Claims (5)

  1. 水不溶性鉄塩と、少なくとも酵素分解レシチンを含む界面活性剤とを含有する水不溶性鉄塩組成物であって、該水不溶性鉄塩と該界面活性剤に由来する鉄とナトリウムとの質量比(鉄/ナトリウム)が2.0〜3.0であり、該界面活性剤に由来する脂肪酸成分の組成割合として炭素数16〜18の飽和脂肪酸と炭素数16〜18の不飽和脂肪酸との質量比(飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸)が0.01〜1.0である、水不溶性鉄塩組成物。
  2. 前記酵素分解レシチンが、菜種由来のレシチンを含む、請求項1記載の水不溶性鉄塩組成物。
  3. 前記水不溶性鉄塩の体積平均粒子径が0.05〜0.8μmである、請求項1または2記載の水不溶性鉄塩組成物。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の水不溶性鉄塩組成物の製造方法であって、中和造塩法により水不溶性鉄塩を造塩する工程、該水不溶性鉄塩と該界面活性剤に由来する鉄とナトリウムとの質量比(鉄/ナトリウム)が2.0〜3.0となるように調整する工程、および少なくとも酵素分解レシチンを含む界面活性剤を添加する工程を含む、水不溶性鉄塩組成物の製造方法。
  5. 前記酵素分解レシチンが、菜種由来のレシチンを含む、請求項4記載の水不溶性鉄塩組成物の製造方法。
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