JP6311290B2 - 円すいころ軸受 - Google Patents
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Description
図8は、従来の円すいころ軸受を示す軸方向断面図である。図8に示すように、円すいころ軸受100は、内輪101と、外輪102と、内外輪101,102間に転動自在に介在している複数の円すいころ103と、複数の円すいころ103を周方向に等間隔に保持している環状の保持器104とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、円すいころ軸受のトルク損失は、軌道輪と円すいころとの間における転がり粘性抵抗と、軸受の内部空間に流入する潤滑油の撹拌抵抗とが大部分を占めており、これら抵抗が、回転トルクの増大化の主原因となっている。
上記転がり粘性抵抗や、潤滑油の撹拌抵抗は、内外輪間に形成される環状の軸受内部空間に流入する潤滑油量に依存しており、軸受内部空間に流入する潤滑油の流入量を適切に抑制することによってトルク損失を低減することができる。
よって、例えば、円すいころ軸受100の一部又は全部を潤滑油に浸漬して用いた場合、内輪101の軸方向一端側に設けられている小鍔部101aと外輪102の軸方向一端部とで構成される小径開口部110から円すいころ軸受100の軸受内部空間に潤滑油が流入し、軸方向他端側の大径開口部111から円すいころ軸受100の軸受内部空間の潤滑油が流出する。
そこで、軸受内部空間に流入する潤滑油の流入量を抑制するために、小径開口部110を保持器104の小径環状部105で塞ぎ、円すいころ軸受100の軸受内部空間に潤滑油が流入するのを適度に制限することが考えられる。
小径環状部105の回転が不安定であると、小径開口部との間が僅かな隙間となるように小径環状部105を形成し、小径環状部105によって小径開口部110を塞いだとしても、その僅かな隙間を安定して維持できなかったり、小径環状部が小径開口部の周面に接触したりして、小径開口部110を安定的に塞ぐことができず、適切に潤滑油の流入量を制限できないという問題が生じるおそれがあった。
本発明者らは、上記問題に着目して本発明を完成させた。
また、上記円すいころ軸受の保持器は、柱部を外輪軌道面に摺接させることで径方向に位置決めされ、外輪軌道面に案内されて回転するので、内外輪間を精度よく安定して回転することができ、環状開口部を塞ぐ小径環状部も精度よく安定して回転することができる。この結果、環状開口部を安定的に塞ぐことができ、適切に潤滑油の流入量を制限することができる。
一方、上記円すいころ軸受では、保持器の柱部が外輪軌道面と摺接することによって、外輪軌道面近傍の潤滑油を撹拌する効果が高まり、潤滑油の流速が高められることによってポンプ作用の効果が高められ、外部の潤滑油を環状空間内に吸引する作用が高められることがある。
この点、上記円すいころ軸受によれば、柱部の径方向外側面に、径方向に凹むことで互いに隣り合うポケット同士を連通する凹部が設けられているので、外輪軌道面近傍の潤滑油を、互いに隣り合うポケット間で流動させることができ、撹拌効果を弱めて潤滑油の流速が過度に高まるのを抑えることができる。これにより、ポンプ作用の効果を弱めることができ、環状空間への潤滑油の過度な流入を抑制することができる。この結果、軸受の内部空間である環状空間への潤滑油の流入量を適切に制限することができる。
以上のように、上記円すいころ軸受によれば、軸受の内部空間に流入する潤滑油の流入量を適切に抑制することによってトルク損失を低減することができる。
よって、上記構成では、底面と外輪軌道面との隙間は、小径側と比較して撹拌効果が高い大径側に向かって広くなっているので、撹拌効果がより高くポンプ作用への寄与が大きい部分である大径側の部分を通過する潤滑油量を増加させることができる。これにより、効果的にポンプ作用を弱めることができる。
底面と外輪軌道面との隙間が、軸受使用温度において外輪軌道面と摺接面とが摺接するのに必要な隙間寸法の10倍よりも小さい場合、外輪軌道面近傍の潤滑油を、互いに隣り合うポケット間で十分に流動させることが困難となり、ポンプ作用を弱める効果が低下する。よって、底面と外輪軌道面との隙間を、軸受使用温度において外輪軌道面と摺接面とが摺接するのに必要な隙間寸法の少なくとも10倍とすることで、ポンプ作用を効果的に弱めることができる。
この場合、軸受外部から環状隙間を通過して環状空間に流入する潤滑油の一部は、小径環状部の内周面から柱部の内周面に伝わる。さらに柱部の内周面が潤滑油を大鍔部の基端部に導く案内面とされているので、この柱部の内周面に伝わる潤滑油を大鍔部の基端部に導くことができる。これにより、環状空間に流入する潤滑油量を制限しつつも、互いに滑り摺動する円すいころの端面と大鍔部との接触部分付近に対しては、環状空間内の潤滑油を積極的に供給することができる。この結果、環状空間に流入する潤滑油量を制限しつつも、円すいころの端面と大鍔部との滑り摩擦抵抗を低減でき、さらに潤滑油の不足による焼き付きの発生を抑制することができる。
小鍔部の外周面は、比較的高い精度の仕上げ面とされている外輪軌道面と比較してその精度が低いため、環状隙間の軸受使用温度における寸法が、軸受使用温度において外輪軌道面と前記摺接面とが摺接するのに必要な隙間寸法以下であると、必要以上に当該環状隙間が狭まるおそれがあり、必要な潤滑油の流入量を確保できないおそれが生じる。
また、環状隙間の軸受使用温度における寸法が、軸受使用温度において外輪軌道面と前記摺接面とが摺接するのに必要な隙間寸法の3倍より大きくなると、必要量以上に潤滑油の流入を許容してしまうおそれがある。
環状隙間の軸受使用温度における寸法を軸受使用温度において外輪軌道面と前記摺接面とが摺接するのに必要な隙間寸法よりも大きく、かつ、この隙間寸法の3倍以下に設定することで、好適に潤滑油の流入量を制限することができる。
また、上記円すいころ軸受において、前記柱部の前記ポケットの内側に臨む柱部側面は、前記柱部の径方向外側面の周方向端縁から径方向内側に向かって平面状に延びている平面状部を含み、互いに対向して前記ポケットを形成している前記平面状部同士は、径方向断面視において互いに平行となるように形成されている。
また、前記柱部の径方向内側面は、前記小径環状部から前記大径環状部側に向かって、その周方向幅寸法が漸次広くなるように形成されていることが好ましい。
円すいころ軸受1は、内輪2と、内輪2の外周側に同心に配置された外輪3と、内外輪2,3の間に配列された複数の円すいころ4とを備えている。
内輪2は、軸受鋼や機械構造用鋼等を用いて形成された環状の部材であり、その外周には、複数の円すいころ4が転動する内輪軌道面2aが形成されている。
外輪3も、内輪2同様、軸受鋼や機械構造用鋼等を用いて形成された環状の部材であり、その内周には、内輪軌道面2aに対向しているとともに、複数の円すいころ4が転動する外輪軌道面3aが形成されている。
円すいころ4は、軸受鋼等を用いて形成された部材であり、内輪軌道面2aと外輪軌道面3aとの間に転動自在に介在している。
図2は、保持器10を外周側からみたときの部分斜視図であり、図3は、保持器10を内周側から見たときの部分斜視図である。図2,3及び図1も参照して、保持器10は、射出成形等によって形成された合成樹脂製の部材であり、所定間隔離して対向させた一対の環状部11,12(小径環状部11、及び大径環状部12)と、これら環状部11,12の間に周方向に所定間隔をおいて架設された複数の柱部13とを備えている。一対の環状部11,12と、互いに隣り合う2本の柱部13とによって囲まれる空間が、円すいころ4を収容保持するポケット14を構成している。
小径環状部11は、内輪2の軸方向一端側に設けられている小鍔部5と、外輪3の軸方向一端部6との間に配置されており、当該小径環状部11の内周面11a及び外周面11bが小鍔部5及び外輪3の軸方向一端部6と摺接可能とされて、小鍔部5と、外輪3の軸方向一端部6とで構成されている小径側開口部A1を塞いでいる。
外輪軌道面3aと柱部13の径方向外側面13aとの間には、円すいころ軸受1が使用される使用温度において外輪軌道面3aと径方向外側面13aとが摺接するために必要な隙間(クリアランス)が設けられており、小径環状部11の外周面11bと、外輪3の軸方向一端部6の内周面6aとの間には、前記クリアランスと同じ寸法の隙間である第1環状隙間K1が設けられている。
小径環状部11の内周面11aと、小鍔部5の外周面5aとの間においても、小径環状部11の内周面11aと、小鍔部5の外周面5aとが摺接するために必要な隙間として第2環状隙間K2が設けられている。
これら小径側開口部A1を塞いで形成された軸方向一端側の環状隙間K1,K2は、軸受内部空間Sに流入する当該円すいころ軸受1を潤滑するための潤滑油の流入口となる。
よって、円すいころ軸受1の軸受内部空間Sには、上記ポンプ作用によって、小径側開口部A1側から潤滑油が流入する。しかし、本実施形態の円すいころ軸受1では、小径環状部11によって、環状隙間K1,K2をあけつつ、小径側開口部A1を塞いでいるので、軸受内部空間Sに流入する潤滑油は、環状隙間K1,K2を通過する潤滑油に制限される。
第1環状隙間K1及び第2環状隙間K2は、潤滑油の通過を許容するが、軸受内部空間Sの潤滑に必要な量以上の潤滑油が軸受内部空間Sに流入するのを制限している。
つまり、小径環状部11は、必要な量以上の潤滑油が軸受内部空間Sに流入するのを制限するように小径側開口部A1を塞いでいる。
この点、本実施形態では、小径環状部11によって軸受内部空間Sに流入する潤滑油の流入量が制限されるので、軸受内部空間Sに流入する潤滑油の流入量を抑制することができ、円すいころ軸受1の回転トルクを低減することができる。
よって、第1環状隙間K1及び第2環状隙間K2の隙間寸法は、潤滑油を通過させ、かつ各部の動作に影響を与えない範囲でできるだけ小さい値となるように設定される。
例えば、円すいころ軸受1の軸受のサイズが、内径30〜40mm、外径70〜80mm程度である場合、円すいころ軸受1が使用される使用温度において外輪軌道面3aと径方向外側面13aとが摺接するために必要なクリアランスは、それぞれの直径同士の比較で少なくとも100μmに設定される。100μmよりも小さくなると、保持器10の径方向外側面13aと外輪軌道面3aとの間の接触面圧が大きくなり、保持器10が外輪軌道面3aに対して滑らかに摺接することができないおそれが生じるからである。
前記クリアランスを少なくとも100μm以上に設定することで、保持器10と外輪軌道面3aとを滑らかに摺接させることができる。
また、第1環状隙間K1の隙間寸法は、上述のように、前記クリアランスと同じ寸法に設定されるため、前記クリアランスと同様、少なくとも100μmに設定される。
このため、軸受のサイズが上記であって、保持器の材質がPPS樹脂(Poly Phenylene Sulfide Resin:ポリフェニレンサルファイド樹脂)である場合、前記クリアランスは、常温においては、それぞれの直径同士の比較で少なくとも200μmに設定される。これによって、使用温度150℃とされることで外輪3と保持器10とが熱膨張したときに、前記クリアランスをそれぞれの直径同士の比較で少なくとも100μmとすることができる。
小鍔部5の外周面5aは、比較的高い精度の仕上げ面とされている外輪軌道面3aと比較してその精度が低いため、第2環状隙間K2の使用温度における寸法が、軸受使用温度において外輪軌道面3aと径方向外側面13aとが摺接するために必要なクリアランス以下であると、必要以上に当該第2環状隙間K2が狭まるおそれがあり、必要な潤滑油の流入量を確保できないおそれが生じる。さらに、外輪軌道面3aと径方向外側面13aとの接触面圧が必要以上に大きくなり、外輪3と保持器10との間で回転抵抗を生じさせるおそれがある。
また、第2環状隙間K2の使用温度における寸法が、軸受使用温度において前記クリアランスの3倍より大きくなると、必要量以上に潤滑油の流入を許容してしまうおそれがある。
第2環状隙間K2の使用温度における寸法を軸受使用温度において前記クリアランスよりも大きく、かつ、前記クリアランスの3倍以下に設定することで、好適に潤滑油の流入量を制限することができる。
大径環状部12の内周面12aと、大鍔部7の外周面7aとの間には、比較的大きな隙間が形成されている。
また、大径環状部12の外周面12bと、軸方向他端部8の内周面8aとの間にも、比較的大きな隙間が形成されている。
これら大径環状部12と、内外輪2,3との間に形成された隙間は、上述の環状隙間K1,K2よりも、大きく形成されている。
つまり、上記ポンプ作用によって軸受内部空間Sに流入した潤滑油は、軸受内部空間Sにおける潤滑に供され、他端側環状開口部A2から排出される。
本実施形態では、大径環状部12と、内外輪2,3との間に形成された隙間は、上述の環状隙間K1,K2よりも、大きく形成されているので、軸受外部に流出しようとする潤滑油を速やかに外部に排出することができる。
図2、図3も参照して、保持器10の柱部13は、上述したように、径方向外側面13aを外輪軌道面3aに摺接させながら円周方向に相対回転することで、外輪軌道面3aによって径方向に位置決めされている。
小径側摺接面15及び大径側摺接面16は、共に、外輪軌道面3aに沿う曲面に形成されており、外輪軌道面3aに摺接するように設けられている。
小径側摺接面15及び大径側摺接面16は、外輪軌道面3aに摺接することで、外輪軌道面3aによって保持器10を径方向に位置決めしている。
一方、小径側摺接面15及び大径側摺接面16は、テーパ面とされている外輪軌道面3aに摺接している。
このように保持器10は、傾斜角度が互いに異なるように形成された内輪2側の内周面11aと、外輪3側の外輪軌道面3aとに摺接している。この構成によって、保持器10をより確実に径方向に位置決めすることができる。
凹部17は、軸方向外輪軌道面3aのほぼ中央に位置するように設けられている。
小径側摺接面15及び大径側摺接面16は、凹部17の軸方向両側に設けられている。
これにより、小径側摺接面15及び大径側摺接面16は、それぞれ、外輪軌道面3aの軸方向小径側の端部、及び大径側の端部に摺接することができる。この結果、柱部13の径方向外側面13aに凹部17を設けたとしても、保持器10が軸方向に対して傾くのを抑制しつつ、小径側摺接面15及び大径側摺接面16を外輪軌道面3aに対して安定した状態で摺接させることができる。
また、円すいころ軸受1の保持器10は、柱部13を外輪軌道面3aに摺接させることで径方向に位置決めされ、外輪軌道面3aに案内されて回転するので、内外輪2,3間を精度よく安定して回転することができ、小径側開口部A1を塞ぐ小径環状部11も精度よく安定して回転することができる。この結果、小径側開口部A1を安定的に塞ぐことができ、適切に潤滑油の流入量を制限することができる。
一方、この円すいころ軸受1では、保持器10の柱部13が外輪軌道面3aと摺接することによって、外輪軌道面3a近傍の潤滑油を撹拌する効果が高まり、潤滑油の流速が高められることによってポンプ作用の効果が高められ、外部の潤滑油を軸受内部空間S内に吸引する作用が高められることがある。
これにより、本実施形態の円すいころ軸受1によれば、軸受内部空間Sに流入する潤滑油の流入量を適切に抑制することによってトルク損失を低減することができる。
また、凹部17の底面17aと、外輪軌道面3aとの間の隙間T(図4)は、円すいころ軸受1が使用される使用温度において外輪軌道面3aと両摺接面15,16とが摺接するために必要な隙間(上述のクリアランス)の少なくとも10倍に設定されている。
例えば、上述のように、150℃の使用温度下における前記クリアランスが100μmに設定されているとすると、隙間Tは、少なくとも1mmに設定される。
そこで、本実施形態における凹部17の底面17aは、隙間Tが軸方向小径環状部11から大径環状部12に向かって漸次広がるように、外輪軌道面3aに対して直線状に傾斜して形成されている。
また、柱部13においてポンプ作用への寄与が相対的に少ない小径側の部分では、凹部17の径方向深さを浅くすることができるので、柱部13の径方向の肉厚を大きく減少させる必要がない。つまりこの場合、必要な部分のみ、径方向深さが深くなるように凹部17を形成するので、柱部13として必要な強度を確保する上で有利となる。
凹部17の軸方向長さLを外輪軌道面3aの軸方向長さの40%よりも小さくすると、ポンプ作用を弱める効果が著しく低下する。凹部17の軸方向長さLを外輪軌道面3aの軸方向長さの70%より大きくすると、径方向外側面13aにおける両摺接面15,16として必要な面積を確保することが困難となる。凹部17の軸方向長さLを外輪軌道面3aの軸方向長さに対して40%以上、70%以下の範囲に設定することで、ポンプ作用を効果的に弱めつつ、両摺接面15,16として必要な面積を確保することができる。
柱部13のポケット14の内側に臨む柱部側面13eは、図5に示すように、径方向外側面13aの周方向端縁13a1から径方向内側に向かって平面状に延びている平面状部20と、平面状部20の径方向内側端部から繋がってさらに径方向内側に延びている曲面状部21とによって構成されている。
平面状部20は、当該平面状部20が臨むポケット14に収容されている円すいころ4の軸中心と円すいころ軸受1の軸中心とを結んだ直線Pに対して、軸方向に沿って互いに平行となる平面に形成されている。よって、互いに対向してポケット14を形成している平面状部20同士は、軸方向に沿って互いに平行に形成されている。互いに対向している平面状部20同士の周方向の間隔は、円すいころ4の外周径よりも僅かに大きい寸法とされており、転動面4cと、平面状部20との間に僅かな隙間が設けられている。
このように、互いに対向してポケット14を形成している平面状部20同士を、軸方向に沿って互いに平行に形成することで、円すいころ4の保持性を高めることができる。
曲面状部21は、円すいころ4の転動面に沿う曲面状に形成されているため、柱部13の曲面状部21における周方向幅寸法は、径方向内側に向かって漸次広がっており、径方向内側面13bの周方向幅寸法は、柱部13の平面状部20における周方向幅寸法よりも広く形成されている。
径方向内側面13bは、大径環状部12側に向かったときに増加する周方向幅寸法の増加量が、径方向外側面13aよりも大きくなるように形成されている。
より具体的には、柱部13の径方向内側面13bは、軸方向小径環状部11から大径環状部12側に向かって拡径するように傾斜している。
さらに、径方向内側面13bは、当該径方向内側面13bと内輪軌道面2aとの間の隙間が軸方向小径環状部11から大径環状部12側に向かって漸次狭まるように内輪軌道面2aに対して傾斜している傾斜面とされている。
よって、ポンプ作用によって第2環状隙間K2から軸受内部空間Sに流入する潤滑油の一部は、小径環状部11の内周面11aから柱部13の径方向内側面13bに伝わる。
このように、径方向内側面13bは、第2環状隙間K2から軸受内部空間Sに流入する潤滑油を大鍔部7の基端部7bに導く案内面を構成している。
このため、径方向内側面13bを伝わることができる潤滑油量を増加させることができ、案内することができる潤滑油量を増加させることができる。
この溝部25を径方向内側面13bに形成することによって、第2環状隙間K2から流入して径方向内側面13bに伝わる潤滑油を溝部25内に留めることができる。
さらに、溝部25内に留められた潤滑油を、この溝部25に沿って大鍔部7の基端部7bにまで導くことができる。これにより、より確実に潤滑油を大鍔部7の基端部7bに導くことができる。
また、図6(b)に示すように、底面17aを軸方向からみたときの形状を、三角状としてもよい。この場合も、図6(a)と同様、潤滑油を、凹部17と外輪軌道面3aとの間の隙間にスムーズに導いて通過させることができる。
3 外輪 3a 外輪軌道面 4 円すいころ
5 小鍔部 5a 外周面 6 軸方向一端部
7 大鍔部 7b 基端部 10 保持器
11 小径環状部 11a 内周面
11a1 軸方向内側端縁(内周面端部) 12 大径環状部
13 柱部 13a 径方向外側面 13b 径方向内側面
14 ポケット 15 小径側摺接面 16 大径側摺接面
17 凹部 17a 底面 25 溝部
A1 小径側開口部 K2 第2環状隙間
Claims (8)
- 内輪軌道面を有する内輪と、
前記内輪の外周側に同心に配置され前記内輪軌道面に対向している外輪軌道面を有する外輪と、
前記内輪軌道面及び前記外輪軌道面との間に転動自在に介在している複数の円すいころと、
前記内輪と前記外輪間の環状空間に配置され、前記複数の円すいころを保持している保持器と、を備え、
前記保持器は、小径環状部、前記小径環状部に対して所定間隔離して対向させた大径環状部、及び前記小径環状部と前記大径環状部との間に架設した複数の柱部を有し、隣り合う柱部と前記小径環状部と前記大径環状部とによって囲まれる空間を、前記円すいころを収容するポケットとして構成している円すいころ軸受において、
前記小径環状部は、前記内輪の軸方向一端側に設けられている小鍔部と前記外輪の軸方向一端部との間に配置され、当該小径環状部の内周面及び外周面が前記小鍔部及び前記外輪の軸方向一端部と摺接可能とされて、前記小鍔部と前記外輪の軸方向一端部とで構成される環状開口部を塞いでおり、
前記柱部は、前記小径環状部側及び前記大径環状部側それぞれの径方向外側面に、前記外輪軌道面に摺接することで、前記外輪軌道面によって前記保持器を径方向に位置決めする一対の摺接面が所定間隔離して設けられ、
前記柱部の径方向外側面における前記一対の摺接面の相互間には、前記一対の摺接面に対して径方向内側に凹むことで互いに隣り合うポケット同士を連通し前記外輪軌道面近傍の潤滑油を互いに隣り合うポケット同士間で流動させるための凹部が設けられ、
前記凹部の底面と、前記外輪軌道面との間の隙間は、軸方向小径環状部側から大径環状部側に向かって漸次広がるように前記外輪軌道面に対して傾斜していることを特徴とする円すいころ軸受。 - 前記凹部は、前記外輪軌道面の軸方向中央に位置するように設けられている請求項1に記載の円すいころ軸受。
- 前記凹部の軸方向長さは、前記外輪軌道面の軸方向長さに対して40%以上、70%以下の範囲に設定されている請求項1又は請求項2に記載の円すいころ軸受。
- 前記小径環状部の内周面は、前記小鍔部の外周面との間で、潤滑油の通過を許容するが前記環状空間に流入する潤滑油の量を制限する微小な環状隙間を形成しており、
前記柱部の径方向内側面は、前記小径環状部の内周面端部から、前記内輪の軸方向他端側に設けられている大鍔部の基端部に向かって延びることで、前記環状隙間から前記環状空間に流入する潤滑油を前記大鍔部の基端部に導く案内面とされている請求項1に記載の円すいころ軸受。 - 前記径方向内側面は、当該径方向内側面と前記内輪軌道面との間の隙間が軸方向前記小径環状部から前記大径環状部側に向かって漸次狭まるように前記内輪軌道面に対して傾斜している傾斜面である請求項4に記載の円すいころ軸受。
- 前記径方向内側面には、径方向外側に凹む溝部が軸方向に沿って形成されている請求項4又は5に記載の円すいころ軸受。
- 前記柱部の前記ポケットの内側に臨む柱部側面は、前記柱部の径方向外側面の周方向端縁から径方向内側に向かって平面状に延びている平面状部を含み、
互いに対向して前記ポケットを形成している前記平面状部同士は、径方向断面視において互いに平行となるように形成されている
請求項1〜6のいずれか一項に記載の円すいころ軸受。 - 前記柱部の径方向内側面は、前記小径環状部から前記大径環状部側に向かって、その周方向幅寸法が漸次広くなるように形成されている
請求項1〜7のいずれか一項に記載の円すいころ軸受。
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