JP2015117766A - 円すいころ軸受及び動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】円すいころ軸受のトルク損失を低減する。【解決手段】内輪軌道面2a及び大鍔部を有する内輪2と、外輪軌道面3aを有する外輪3と、複数の円すいころ4と、円すいころ4の保持器10と、を備え、保持器10は、小径環状部、大径環状部、及び複数の柱部13を有し、隣り合う柱部13と環状部とによって囲まれる空間を、円すいころ4を収容するポケット14とし、柱部13の径方向内側面13bの大径環状部側の端部が、大鍔部の外周面よりも径方向内側に配置され、径方向外側面13aと外輪軌道面3aとの摺接により、保持器10を径方向に位置決めし、柱部13の周方向側面13eの内周側により、円すいころ4の転動面4cから余分な潤滑油を掻き取るために、周方向側面13eの内周側が、転動面4cに沿った曲面状に形成されて、柱部13の径方向内側面13bの周方向幅W2が柱部13の径方向外側面13aの周方向幅W1よりも広くされている。【選択図】図6

Description

本発明は、円すいころ軸受、及びこの円すいころ軸受を用いた動力伝達装置に関する。
円すいころ軸受は、同サイズの他の転がり軸受と比較して負荷容量が大きく、剛性が高いという特徴を有している。
図12は、従来の円すいころ軸受を示す軸方向断面図である。図12に示すように、円すいころ軸受100は、内輪101と、外輪102と、内外輪101,102間に転動自在に介在している複数の円すいころ103と、複数の円すいころ103を周方向に等間隔に保持している環状の保持器104とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
保持器104は、小径環状部105と、大径環状部106と、これら両環状部105,106の間に架設した複数の柱部107とを備えている。また、保持器104は、両環状部105,106と隣り合う柱部107とによって、円すいころ103を収容するポケット108を構成している。
特許第4151347号公報
一般に、円すいころ軸受は、多くの滑り摺動部があることから、玉軸受等と比較して回転トルクが大きくなる傾向がある。
ここで、円すいころ軸受のトルク損失は、軌道輪と円すいころとの間における転がり粘性抵抗と、軸受の内部空間に流入する潤滑油の撹拌抵抗とが大部分を占めており、これら抵抗が、回転トルクの増大化の主原因となっている。
上記転がり粘性抵抗や、潤滑油の撹拌抵抗は、内外輪間に形成される環状の内部空間に流入する潤滑油量に依存しており、潤滑油の流入量を適切に抑制することによってトルク損失を低減することができる。
また、軌道輪と円すいころとの間の潤滑油を必要量まで少なくすれば、上記転がり粘性抵抗を更に小さくでき、これによっても、トルク損失を低減することができる。
そして、上記のように、トルク損失を低減できれば、燃費を改善したり、二酸化炭素の排出量を削減できる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、軸受の内部空間に流入する潤滑油の流入量を適切に抑制すると共に、軌道輪と円すいころとの間の潤滑油を少なくすることによってトルク損失を低減することができる円すいころ軸受、及びこの円すいころ軸受を用いた動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る円すいころ軸受は、内輪軌道面を有すると共に、軸方向一端部に大鍔部を有する内輪と、前記内輪の外周側に同心に配置され、前記内輪軌道面に対向している外輪軌道面を有する外輪と、前記両軌道面の間に転動自在に介在する複数の円すいころと、前記内外輪間の環状空間に配置され、前記円すいころを保持する保持器と、を備え、前記保持器は、小径環状部、当該小径環状部に対して所定間隔離して対向させた大径環状部、及び前記両環状部の間に架設した複数の柱部を有し、隣り合う前記柱部と前記環状部とによって囲まれる空間を、前記円すいころを収容するポケットとした円すいころ軸受において、前記柱部の前記径方向外側面には、前記外輪軌道面に摺接することで、前記外輪軌道面によって前記保持器を径方向に位置決めする摺接面が設けられ、前記柱部の径方向内側面の前記大径環状部側の端部が、前記大鍔部の外周面よりも径方向内側に配置され、前記柱部の周方向側面の内周側が、前記円すいころの転動面に沿った曲面状に形成されて、前記柱部の前記径方向内側面の周方向幅W2が前記柱部の径方向外側面の周方向幅W1よりも広くされていることを特徴としている。
上記構成によれば、保持器は、柱部を外輪軌道面に摺接させることで径方向に位置決めされ、外輪軌道面に案内されて回転するので、内外輪間を精度よく安定して回転することができる。
また、柱部を外輪軌道面に摺接させるので、保持器と外輪軌道面との間からの、軸受内部空間への潤滑油の流入を抑制でき、流入する潤滑油量に依存する転がり粘性抵抗や、潤滑油の撹拌抵抗を低減できて、円すいころ軸受のトルク損失を低減することができる。
更に、柱部の周方向側面の内周側により、円すいころの転動面の潤滑油を掻き取ることができて、軌道輪と円すいころとの間の潤滑油を少なくでき、これにより、転がり粘性抵抗を低減できて、トルク損失を更に低減することができる。
また、上記のように、保持器が径方向に位置決めされているので、柱部の周方向側面の内周側と円すいころの転動面との間隔を適切に維持でき、転動面から潤滑油を良好に掻き取ることができる。
前記柱部の前記径方向外側面と前記外輪軌道面との間の径方向隙間よりも、前記柱部の前記内周側と前記転動面との間の前記径方向と同方向における隙間が、大とされることもある。
この構成によれば、保持器により、外輪を良好に案内できると共に、保持器と円すいころとの接触によるトルク損失を低減することができる。
なお、前記柱部の前記径方向内側面において、前記大径環状部側の端部の周方向幅W4を前記小径環状部側の端部の周方向幅W3よりも広くすることもある。
この構成によれば、各柱部を径方向から見た際の、各柱部の周方向側面と円すいころとの重なり合う部分が、大径環状部側に向かうに従って、大となる。これにより、円すいころの転動面の内輪軌道面側に付着した潤滑油の掻き取りを、大径環状部側に向かうに従って、より十分に行うことができる。それ故、軌道輪と円すいころとの間の潤滑油が、大径環状部側で滞留したりすることを抑制でき、潤滑油をより速やかに軸受の外部に排出できる。これにより、転がり粘性抵抗をさらに小さくできて、トルク損失をさらに低減することができる。
また、前記周方向幅W3に対する前記周方向幅W4の比率W4/W3を、前記円すいころにおける、最小外径R1に対する最大外径R2の比率R2/R1よりも大とすることもある。
この構成によれば、各柱部を径方向から見た際の、各柱部の周方向側面と円すいころとの重なり合う部分が、大径環状部側に向かうに従って、上記「周方向幅W4を周方向幅W3よりも広くした場合」よりもさらに大とすることが可能となる。これにより、円すいころの転動面の内輪軌道面側に付着した潤滑油の掻き取りを、大径環状部側に向かうに従って、さらに、より十分に行うことが可能となる。それ故、潤滑油を、さらに、より速やかに軸受の外部に排出することが可能となり、転がり粘性抵抗をさらに小さくできて、トルク損失をさらに低減することが可能となる。
さらに、前記柱部の前記径方向内側面に、前記大鍔部に潤滑油を案内する案内溝が軸方向に形成されることもある。
この構成によれば、柱部の周方向側面により円すいころの転動面から掻き取った潤滑油を、溝部内に留めることができ、上記潤滑油が転動面等に戻ることを防止できる。また、溝部内に留められた潤滑油を、この溝部に沿って大鍔部まで導くことができ、円すいころの大径側端面と大鍔部との滑り摩擦抵抗を低減できて、潤滑油の不足による焼き付きの発生を抑制することができる。
また、前記案内溝の幅を、前記大径環状部側に向かうに従って漸次広くすることもある。
ところで、柱部の、軸方向に延びる周方向側面により、円すいころの転動面から潤滑油を掻き取るため、溝部内に収容される潤滑油の量は、大径環状部側に向かうに従って、増大することになる。しかし、上記構成によれば、溝部の幅が、大径環状部側に向かうに従って、漸次広くなるようにされているので、溝部から潤滑油が溢れ出て、転動面等に戻ることを防止することができる。
また、本発明に係る動力伝達装置は、伝動軸と、前記円すいころ軸受と、伝動軸を前記円すいころ軸受を介して回転自在に支持する支持体と、を備えることを特徴としている。
この構成によれば、伝動軸が、トルク損失を低減できる本発明の円すいころ軸受を介して、支持体に支持されているので、伝動軸による動力伝達時の動力損失を低減できる。
本発明によれば、トルク損失を低減できる円すいころ軸受またはこの円すいころ軸受を用いた動力伝達装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る円すいころ軸受の軸方向断面図である。 保持器を外周側から見たときの部分斜視図である。 保持器を内周側から見たときの部分斜視図である。 柱部の断面を示した円すいころ軸受の軸方向断面図である。 図4のV−V線矢視断面図である。 図5の一部拡大図である。 図6の柱部等を径方向内側から見た説明図である。 本発明の一実施形態に係る動力伝達装置の説明図である。 溝部の変形例を示す柱部の要部断面図である。 径方向内側面の変形例を示す説明図である。 径方向内側面の変形例を示す説明図である。 従来の円すいころ軸受を示す軸方向断面図である。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る円すいころ軸受の軸方向断面図である。
円すいころ軸受1は、内輪2と、内輪2の外周側に同心に配置された外輪3と、内外輪2,3の間に配列された複数の円すいころ4とを備えている。
内輪2は、軸受鋼や機械構造用鋼等を用いて形成された環状の部材であり、その外周には、複数の円すいころ4が転動する内輪軌道面2aが形成されている。
外輪3も、内輪2同様、軸受鋼や機械構造用鋼等を用いて形成された環状の部材であり、その内周には、内輪軌道面2aに対向しているとともに、複数の円すいころ4が転動する外輪軌道面3aが形成されている。各軌道面2a,3aは、スーパーフィニッシュ(加工)されている。
円すいころ4は、軸受鋼等を用いて形成された部材であり、内輪軌道面2aと外輪軌道面3aとの間に転動自在に介在している。円すいころの小径側端面4a及び大径側端面4bは、スーパーフィニッシュ(加工)されている。
円すいころ軸受1は、複数の円すいころ4を保持している保持器10を備えている。
図2は、保持器10を外周側から見たときの部分斜視図であり、図3は、保持器10を内周側から見たときの部分斜視図である。図1〜図3に示すように、保持器10は、射出成形等によって形成された合成樹脂製の部材であり、所定間隔離して対向させた一対の環状部11,12(小径環状部11、及び大径環状部12)と、これら環状部11,12の間に周方向に所定間隔をおいて架設された複数の柱部13とを備えている。一対の環状部11,12と、互いに隣り合う2本の柱部13とによって囲まれる空間が、円すいころ4を収容保持するポケット14を構成している。
保持器10は、内輪2と、外輪3との間に形成されている環状空間である軸受内部空間Sに配置されており、複数の円すいころ4をそれぞれ各ポケット14に収容し、複数の円すいころ4が周方向にほぼ等間隔に配置されるように保持している。
保持器10は、両環状部11,12のポケット14側に臨む環状部側面11c,12cが円すいころ4の小径側端面4a及び大径側端面4bに摺接することによって、軸方向への移動が規制されている。つまり、保持器10は、各環状部11,12が円すいころ4の各端面4a,4bに摺接することで、軸方向に位置決めされている。
また、保持器10は、柱部13の径方向外側面13aを外輪軌道面3aに摺接可能に形成されており、径方向外側面13aを外輪軌道面3aに摺接させながら周方向に相対回転する。これによって、保持器10は、外輪軌道面3aによって径方向に位置決めされている。
保持器10の小径環状部11は、径方向の厚みが柱部13の径方向の厚みと同程度に形成された円環状の部分である。小径環状部11は、内輪2の軸方向一端側に設けられている小鍔部5と、外輪3の軸方向一端部6との間に配置されており、小鍔部5と、外輪3の軸方向一端部6とで構成されている小径側開口部A1を塞いでいる。
小径環状部11の外周面11bは、外輪軌道面3aに摺接する柱部13の径方向外側面13aからそのまま延ばされたテーパ面とされている。外輪軌道面3aと柱部13の径方向外側面13aとの間には、円すいころ軸受1が使用される使用温度において外輪軌道面3aと径方向外側面13aとが摺接するために必要な隙間(クリアランス)が設けられており、小径環状部11の外周面11bと、外輪3の軸方向一端部6の内周面6aとの間には、前記クリアランスと同じ寸法の隙間である第1環状隙間K1が設けられている。
小径環状部11の内周面11aは、ほぼ円筒状に形成されている。小径環状部11の内周面11aと、小鍔部5の外周面5aとの間においても、第2環状隙間K2が設けられている。
このように、小径環状部11は、小鍔部5及び外輪3の軸方向一端部6それぞれの間で環状隙間K1,K2をあけつつ、小径側開口部A1を塞いでいる。これら環状隙間K1,K2は、円すいころ軸受1を潤滑するために、軸受内部空間Sに流入する潤滑油の流入口となる。
円すいころ軸受1は、内外輪2,3が相対回転すると、軸受内部空間S内に存在する潤滑油の円すいころ4の公転等による撹拌及びこの潤滑油に作用する遠心力によって、軸受内部空間S内の潤滑油を、軌道面2a,3aの径寸法が小さい方から大きい方に向かって流動させようとするポンプ作用を生じさせる。
本実施形態の円すいころ軸受1は、一般に、その一部又は全部を潤滑油に浸漬させた状態で使用される。
よって、円すいころ軸受1の軸受内部空間Sには、上記ポンプ作用によって、小径側開口部A1側から潤滑油が流入する。しかし、本実施形態の円すいころ軸受1では、小径環状部11によって、環状隙間K1,K2をあけつつ、小径側開口部A1を塞いでいるので、軸受内部空間Sに流入する潤滑油は、環状隙間K1,K2を通過する潤滑油に制限される。
第1環状隙間K1及び第2環状隙間K2は、潤滑油の通過を許容するが、軸受1の内部での潤滑に必要な量以上の潤滑油が軸受内部空間Sに流入するのを制限している。
つまり、小径環状部11は、必要な量以上の潤滑油が軸受内部空間Sに流入するのを制限するように小径側開口部A1を塞いでいる。
軸受内部空間Sに流入する潤滑油が必要以上に多量になると、潤滑油の撹拌抵抗や転がり粘性抵抗によって円すいころ軸受1の回転トルクを増加させるおそれがある。
この点、本実施形態では、小径環状部11によって軸受内部空間Sに流入する潤滑油の流入量が制限(抑制)されるので、円すいころ軸受1の回転トルクを低減することができる。
ここで、円すいころ軸受1の潤滑に必要な潤滑油量は僅かであり、軸受内部空間Sに潤滑油を流入させるために僅かな隙間を設ければ、必要な潤滑油量を確保することができる。
よって、第1環状隙間K1及び第2環状隙間K2の隙間寸法は、潤滑油を通過させ、かつ各部の動作に影響を与えない範囲でできるだけ小さい値となるように設定される。
上述したように、第1環状隙間K1の隙間寸法は、円すいころ軸受1が使用される使用温度において外輪軌道面3aと径方向外側面13aとが摺接するために必要なクリアランスと同じ寸法に設定されている。
例えば、円すいころ軸受1のサイズが、内径30〜40mm、外径70〜80mmである場合、円すいころ軸受1が使用される使用温度において外輪軌道面3aと径方向外側面13aとが摺接するために必要なクリアランスは、それぞれの直径同士の比較で少なくとも100μmに設定される。100μmよりも小さくなると、保持器10の径方向外側面13aと外輪軌道面3aとの間の接触面圧が大きくなり、保持器10が外輪軌道面3aに対して滑らかに摺接することができないおそれが生じるからである。
前記クリアランスを少なくとも100μm以上に設定することで、保持器10と外輪軌道面3aとを滑らかに摺接させることができる。
また、第1環状隙間K1の隙間寸法は、上述のように、前記クリアランスと同じ寸法に設定されるため、前記クリアランスと同様、少なくとも100μmに設定される。
円すいころ軸受1が使用される使用温度が150℃であるとすると、常温において上記クリアランスを設定したとしても、外輪3と保持器10とは材質が異なることによる熱膨張係数の差によって、使用温度下では、目標のクリアランスとはならない。
このため、円すいころ軸受1のサイズが上記の場合で、かつ、保持器10の材質がポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂である場合には、前記クリアランスは、常温においては、それぞれの直径同士の比較で少なくとも100μmに設定される。これによって、使用温度150℃とされることで外輪3と保持器10とが熱膨張したときに、前記クリアランスをそれぞれの直径同士の比較で少なくとも200μmとすることができる。
第2環状隙間K2の使用温度における隙間寸法は、使用温度における前記クリアランス及び第1環状隙間K1の隙間寸法よりも大きく、かつ、これら寸法の2倍以下に設定される。
小鍔部5の外周面5aは、比較的高い精度の仕上げ(たとえば、スーパーフィニッシュ)面とされている外輪軌道面3aと比較してその精度が低いため、第2環状隙間K2の使用温度における寸法が、軸受使用温度において外輪軌道面3aと径方向外側面13aとが摺接するために必要なクリアランス以下であると、必要以上に当該第2環状隙間K2が狭まるおそれがあり、必要な潤滑油の流入量を確保できないおそれが生じる。さらに、外輪軌道面3aと径方向外側面13aとの接触面圧が必要以上に大きくなり、外輪3と保持器10との間で回転抵抗を生じさせるおそれがある。
また、第2環状隙間K2の使用温度における寸法が、軸受使用温度において前記クリアランスの2倍より大きくなると、必要量以上に潤滑油の流入を許容してしまうおそれがある。
第2環状隙間K2の使用温度における寸法を軸受使用温度において前記クリアランスよりも大きく、かつ、前記クリアランスの2倍以下に設定することで、好適に潤滑油の流入量を制限することができる。
例えば、常温下における前記クリアランスが、それぞれの直径同士の比較で200μmに設定され、150℃の使用温度下における前記クリアランスが100μmであるとすると、第2環状隙間K2の隙間寸法は、常温下においては、100μmより大きく、かつ200μm以下、使用温度下においては、200μmより大きく、かつ300μm以下に設定される。
以上のように、第1環状隙間K1及び第2環状隙間K2の隙間寸法は、潤滑油を通過させ、かつ各部の動作に影響を与えない範囲でできるだけ小さい値となるように設定される。
保持器10の大径環状部12は、内輪2の軸方向他端側に設けられている大鍔部7と、外輪3の軸方向他端部8との間に配置された円環状の部分である。
大径環状部12は、径方向の厚みが、柱部13の径方向の厚みよりも小さくされている。よって、大径環状部12は、図2及び図3に示すように、柱部13の径方向内側面13b及び径方向外側面13aが、当該大径環状部12の内周面12a及び外周面12bとの間で径方向に段差を形成するように設けられている。つまり、柱部13は、柱部13の径方向内側面13bと、大径環状部12の内周面12aとの間の段差を繋いでいる内周側端面13cを有するとともに、柱部13の径方向外側面13aと、大径環状部12の外周面12bとの間の段差を繋いでいる外周側端面13dを有している。
図1に示すように、大径環状部12は、大鍔部7と軸方向他端部8とで構成されている大径側開口部A2に配置されている。大径環状部12の内周面12aと、大鍔部7の外周面7aとの間には、比較的大きな隙間が形成されている。また、大径環状部12の外周面12bと、軸方向他端部8の内周面8aとの間にも、比較的大きな隙間が形成されている。これら大径環状部12と、内外輪2,3との間に形成された隙間は、上述の環状隙間K1,K2よりも、大きく形成されている。
これら他端側環状開口部A2に形成された、大径環状部12と、内外輪2,3との間に形成された隙間は、上記ポンプ作用によって軸受内部空間Sに流入している潤滑油の排出口となる。
つまり、上記ポンプ作用によって軸受内部空間Sに流入した潤滑油は、軸受内部空間Sにおける潤滑に供され、他端側環状開口部A2から排出される。
本実施形態では、大径環状部12と、内外輪2,3との間に形成された隙間は、上述の環状隙間K1,K2よりも、大きく形成されているので、軸受1の外部に流出しようとする潤滑油を速やかに外部に排出することができる。
図4は、柱部13の断面を示した円すいころ軸受1の軸方向断面図である。
図2、図3も参照して、保持器10の柱部13は、上述したように、径方向外側面13aを外輪軌道面3aに摺接させながら周方向に相対回転することで、外輪軌道面3aによって径方向に位置決めされている。
柱部13の径方向外側面13aには、軸方向小径環状部11側に小径側摺接面15が、軸方向大径環状部12側に大径側摺接面16が、それぞれ設けられている。小径側摺接面15及び大径側摺接面16は、共に、外輪軌道面3aに沿う曲面に形成されており、外輪軌道面3aに摺接するように設けられている。小径側摺接面15及び大径側摺接面16は、外輪軌道面3aに摺接することで、外輪軌道面3aによって保持器10を径方向に位置決めしている。
また、小径側摺接面15が外輪軌道面3aに摺接しているので、保持器10と外輪軌道面3aとの間からの軸受内部空間Sへの潤滑油の流入を抑制でき、流入する潤滑油量に依存する転がり粘性抵抗や、潤滑油の撹拌抵抗を低減できて、円すいころ軸受1のトルク損失を低減することができる。
小径側摺接面15と大径側摺接面16との間には、これら小径側摺接面15及び大径側摺接面16に対して径方向に凹んでいる凹部17が形成されている。凹部17は、各柱部13それぞれに形成されている。凹部17は、軸方向外輪軌道面3aのほぼ中央に位置するように設けられている。小径側摺接面15及び大径側摺接面16は、凹部17の軸方向両側に設けられている。
これにより、小径側摺接面15及び大径側摺接面16は、それぞれ、外輪軌道面3aの軸方向小径側の端部、及び大径側の端部に摺接することができる。この結果、柱部13の径方向外側面13aに凹部17を設けたとしても、保持器10が軸方向に対して傾いたりすることはなく、小径側摺接面15及び大径側摺接面16を外輪軌道面3aに対して安定した状態で摺接させることができる。
また、凹部17は、柱部13の周方向全域に亘って凹んでおり、互いに隣り合うポケット14同士を連通している。
ここで、本実施形態の円すいころ軸受1では、保持器10の小径環状部11によって軸受内部空間Sに流入する潤滑油の流入量を抑制することができるので、トルク損失を低減することができる。
また、円すいころ軸受1の保持器10は、柱部13を外輪軌道面3aに摺接させることで径方向に位置決めされ、外輪軌道面3aに案内されて回転するので、内外輪2,3間を精度よく安定して回転することができ、小径側開口部A1を塞ぐ小径環状部11も精度よく安定して回転することができる。この結果、小径側開口部A1を安定的に塞ぐことができ、適切に潤滑油の流入量を制限することができる。
一方、この円すいころ軸受1では、保持器10の柱部13が外輪軌道面3aと摺接することによって、外輪軌道面3a近傍の潤滑油を撹拌する効果が高まり、潤滑油の流速が高められることによってポンプ作用の効果が高められ、外部の潤滑油を軸受内部空間S内に吸引する作用が高められることがある。
この点、本実施形態の円すいころ軸受1によれば、保持器10の径方向外側面13aに、径方向に凹むことで互いに隣り合うポケット14同士を連通する凹部17が設けられているので、外輪軌道面3a近傍の潤滑油を、互いに隣り合うポケット14間で流動させることができ、撹拌効果を弱めて潤滑油の流速が過度に高まるのを抑えることができる。これにより、ポンプ作用の効果を弱めることができ、軸受内部空間Sへの潤滑油の過度な流入を抑制することができる。この結果、軸受内部空間Sへの潤滑油の流入量を適切に制限することができる。
これにより、本実施形態の円すいころ軸受1によれば、軸受内部空間Sに流入する潤滑油の流入量を適切に抑制することによってトルク損失を低減することができる。
凹部17の底面17aは、軸方向から見たときの形状が円すいころ軸受1の軸中心を中心とした円弧に形成されている。また、凹部17の底面17aと、外輪軌道面3aとの間の隙間T(図4)は、円すいころ軸受1が使用される使用温度において外輪軌道面3aと両摺接面15,16とが摺接するために必要な隙間(上述のクリアランス)の少なくとも10倍に設定されている。
例えば、上述のように、150℃の使用温度下における前記クリアランスが100μmに設定されているとすると、隙間Tは、少なくとも1mmに設定される。
隙間Tが、円すいころ軸受1の使用温度下における前記クリアランスの10倍よりも小さい場合、外輪軌道面3a近傍の潤滑油を、互いに隣り合うポケット14間で十分に流動させることが困難となり、ポンプ作用を弱める効果が低下する。よって、隙間Tを、使用温度における前記クリアランスの少なくとも10倍とすることで、ポンプ作用を効果的に弱めることができる。
なお、隙間Tを大きくすればするほど、凹部17を通過する潤滑油量をより増やすことができ、よりポンプ作用の効果を弱めることができる。しかし、間隔Tを大きくしすぎると、柱部13の径方向の肉厚が減少するため、柱部13の強度を低下させるおそれがある。このため、隙間Tは、柱部13として必要とされる強度が確保することができる範囲で設定される。
また、柱部13は、大径側の部分ほどその周速が高いので、潤滑油に対する撹拌効果も高く、それ故、大径側の部分ほどポンプ作用への寄与も大きい。一方、上述のように、凹部17を通過する潤滑油量がより増えれば、よりポンプ作用の効果を弱めることができる。
そこで、本実施形態における凹部17の底面17aは、隙間Tが軸方向小径環状部11から大径環状部12に向かって漸次広がるように、外輪軌道面3aに対して直線状に傾斜して形成されている。
これによって、隙間Tは、小径側と比較して撹拌効果が高い大径側に向かって広くなっているので、撹拌効果がより高くポンプ作用への寄与が大きい部分である大径環状部12側寄りの部分で、隙間Tを通過する潤滑油量を増加させることができる。これにより、小径側から大径側に亘ってバランスよく、効果的にポンプ作用を弱めることができる。
また、柱部13においてポンプ作用への寄与が相対的に少ない小径側の部分では、凹部17の径方向深さを浅くすることができるので、柱部13の径方向の肉厚を大きく減少させる必要がない。つまりこの場合、必要な部分のみ、径方向深さが深くなるように凹部17を形成するので、柱部13として必要な強度を確保する上で有利となる。
凹部17の軸方向長さL(図4)は、外輪軌道面3aの軸方向長さに対して40%以上、70%以下の範囲に設定される。凹部17の軸方向長さLを外輪軌道面3aの軸方向長さの40%よりも小さくすると、ポンプ作用を弱める効果が著しく低下する。凹部17の軸方向長さLを外輪軌道面3aの軸方向長さの70%より大きくすると、径方向外側面13aにおける両摺接面15,16として必要な面積を確保することが困難となる。凹部17の軸方向長さLを外輪軌道面3aの軸方向長さに対して40%以上、70%以下の範囲に設定することで、ポンプ作用を効果的に弱めつつ、両摺接面15,16として必要な面積を確保することができる。
図5は、図4のV−V線矢視断面図である。図6は図5の一部拡大図である。
図4〜図6で示すように、柱部13の径方向内側面13bは、円すいころ4の軸中心のピッチ円Cの径方向内側に配置されると共に、径方向内側面13bの大径環状部12側の端部は、大鍔部7の外周面よりも径方向内側に配設されている。
柱部13のポケット14の内側に臨む周方向側面13eは、図5に示すように、径方向外側面13aの周方向端縁13a1から径方向内側に向かって平面状に延びている平面状部20と、平面状部20の径方向端部から繋がってさらに径方向内側に延びている曲面状部21とによって構成されている。
平面状部20は、外輪軌道面3aから内輪軌道面2aまでの径方向間隔のほぼ中央を越えた位置まで延びている。平面状部20は、当該平面状部20が臨むポケット14に収容されている円すいころ4の軸中心と円すいころ軸受1の軸中心とを結んだ直線Pに対して、軸方向に沿って互いに平行となる平面に形成されている。よって、互いに対向してポケット14を形成している平面状部20同士は、軸方向に沿って互いに平行に形成されている。互いに対向している平面状部20同士の周方向の間隔は、円すいころ4の外周径よりも僅かに大きくされており、円すいころ4の転動面4cと、平面状部20との間に僅かな隙間が設けられている。
このように、互いに対向してポケット14を形成している平面状部20同士を、軸方向に沿って互いに平行に形成することで、円すいころ4の保持性を高めることができる。
曲面状部21は、平面状部20の径方向端部から柱部13の径方向内側面13bの周方向端縁(先端)13b1まで延びている。この端縁(先端)13b1は、曲面状部21の径方向内側端縁とも見なせる。平面状部20と曲面状部21の接続点Hは円すいころ4の軸中心のピッチ円Cの径方向内側に配置されている。
曲面状部21は、円すいころ4の転動面4cの内輪軌道面2a側に沿う曲面状に形成されて、柱部13の曲面状部21における周方向幅は、径方向内側に向かって漸次広がっており、径方向内側面13bの周方向幅W2は、柱部13の径方向外側面13aの周方向幅W1よりも広く形成されている。
また、径方向内側面13bの周方向端部と曲面状部21の径方向内側端部とにより、角部(先端部、隅部)30が構成されている。角部30の先端は、径方向内側面13bの周方向端縁(曲面状部21の径方向内側端縁)13b1とされている。そして、径方向内側面13bの周方向端部と曲面状部21の径方向内側端部とのなす角度は鋭角とされ、好ましくは、60°以下とされている。これにより、角部30が先鋭状とされている。
上記構成により、曲面状部21を円すいころ4の転動面4cの内輪軌道面2a側に接近させることができ、曲面状部21により、転動面4cの内輪軌道面2a側に付着した必要量以上の余分な潤滑油を掻き取れるようにしている。特に、曲面状部21の内、その径方向内側端部が転動面4cの内輪軌道面2a側に最も近接すると共に、当該径方向内側端部と径方向内側面13bの周方向端部により構成される角部30が先鋭状とされているので、この角部30により、転動面4cの内輪軌道面2a側から余分な潤滑油を良好に掻き取れる。上記の掻き取りにより、内外輪2,3と円すいころ4との間の余分な潤滑油を少なくできて、転がり粘性抵抗を小さくでき、トルク損失をさらに低減することができる。
また、上記の際、小径側摺接面15及び大径側摺接面16が外輪軌道面3aに摺接することで、外輪軌道面3aによって保持器10を径方向に位置決めしているので、曲面状部21と円すいころ4の転動面4cとの間隔(隙間、距離)を適切に維持でき、余分な潤滑油の掻き取りを良好に行うことができる。
なお、外輪軌道面3aと柱部13の径方向外側面13aとの間のクリアランス(隙間)の径方向長さDを、上述のように、100μmに設定したとすると、柱部13、すなわち、保持器10は、径方向外側に100μm移動可能となる。この移動により、柱部13の周方向側面13eが円すいころ4の転動面4cと接触しないように、平面状部20と曲面状部21の接続点Hとピッチ円Cとの径方向の距離L1が200μm程度とされている。
また、曲面状部21と円すいころ4の転動面4cとの間隔(距離)の、円すいころ4の径方向に関する長さは、200〜800μmとされている。間隔を200〜800μmとすることで、曲面状部21と円すいころ4の転動面4cとの間に、表面張力により適度な量の潤滑油が保たれやすくなる。これにより、円すいころ4が円滑に転動しやすくなり、トルク損失を低減できる。
上記間隔を200μmよりも大としたのは、保持器10の径方向外側への100μmの上記移動により、曲面状部21と円すいころ4とが接触しないようにするためである。換言すれば、上記間隔が200μmよりも小になると、曲面状部21と円すいころ4とが接触しやすくなり、保持器10による外輪3の案内を良好にできなくなる。
また、上記間隔が800μmを超えると、曲面状部21と円すいころ4の転動面4cとの間に、適度な量の潤滑油を保ちにくくなる。さらに、上記間隔が800μmを超えると、円すいころ4の転動面4cから余分な潤滑油を良好に掻き取れなくなる。
さらに、曲面状部21と円すいころ4の転動面4cとの隙間(間隔)を上記のように設定することで、曲面状部21の径方向内側端縁13b1と転動面4cとの隙間の、円すいころ軸受の径方向に関する長さ(曲面状部21と転動面4cとの隙間の、円すいころ軸受の径方向に関する最小長さ)Eを、外輪軌道面3aと柱部13の径方向外側面13aとの間の隙間(クリアランス)の径方向長さDよりも大としている。これにより、保持器10により、外輪3を良好に案内できると共に、保持器10と円すいころ4との接触によるトルク損失を低減することができる。
図4を参照して、柱部13の径方向内側面13bは、小径環状部11の内周面11aの軸方向内側端縁11a1(内周面端部)から、内周側端面13cの内周側端縁13c1に亘って直線状に延びている。柱部13の内周側端縁13c1は、大鍔部7の基端部7b近傍まで延びている。このため、径方向内側面13bは、小径環状部11の軸方向内側端縁11a1から、大鍔部7の基端部7bに向かって延びている。
より具体的には、柱部13の径方向内側面13bは、軸方向小径環状部11から大径環状部12側に向かって拡径するように傾斜している。さらに、径方向内側面13bは、当該径方向内側面13bと内輪軌道面2aとの間の隙間が軸方向小径環状部11から大径環状部12側に向かって漸次狭まるように内輪軌道面2aに対して傾斜している傾斜面とされている。
図7は、図6の柱部13等を径方向内側から見た説明図である。
図7で示すように、各柱部13の径方向内側面13bの周方向端縁13b1を、軸方向に対して傾斜する直線状とし、径方向内側面13bにおいて、大径環状部12側の端部の周方向幅W4を、小径環状部11側の端部の周方向幅W3よりも広くしている。これにより、各柱部13を径方向から見た際の、各柱部13の周方向側面13eと円すいころ4との重なり合う部分Gが、大径環状部12側に向かうに従って、大となるようにしている。さらに、周方向幅W3に対する周方向幅W4の比率W4/W3を、円すいころの最小外径R1に対する最大外径R2の比率R2/R1よりも大としている。これにより、上記重なり合う部分Gを、大径環状部12側に向かうに従って、より一層大とできるようにしている。
各柱部13の径方向内側面13bを上記のように構成することで、円すいころ4の転動面4cの内輪軌道面2a側に付着した余分な潤滑油の掻き取りを、大径環状部12側に向かうに従って、より十分に行うことができる。それ故、内外輪2,3と円すいころ4との間の余分な潤滑油が、大径環状部12側で滞留したりすることがなく、余分な潤滑油をより速やかに軸受1の外部に排出できる。従って、転がり粘性抵抗をさらに小さくできて、トルク損失をさらに低減することができる。
上述したように、小径環状部11の内周面11aと、小鍔部5の外周面5aとの間には、円すいころ軸受1の潤滑に必要な量以上の潤滑油が軸受内部空間Sに流入するのを制限している第2環状隙間K2が設けられている。
よって、ポンプ作用によって第2環状隙間K2から軸受内部空間Sに流入する潤滑油の一部は、小径環状部11の内周面11aから柱部13の径方向内側面13bに伝わる。
柱部13の径方向内側面13bは、軸方向小径環状部11から大径環状部12側に向かって拡径するように傾斜している。このため、径方向内側面13bに潤滑油が伝わっていると、その潤滑油は、保持器10が回転することによる遠心力の作用によって、さらに径方向内側面13bを伝って移動する。径方向内側面13bは、小径環状部11の軸方向内側端縁11a1から、大鍔部7の基端部7bに向かって延びているため、径方向内側面13bを伝って移動する潤滑油は、大鍔部7の基端部7bに導かれる。
このように、径方向内側面13bは、第2環状隙間K2から軸受内部空間Sに流入する潤滑油を大鍔部7の基端部7bに導く案内面を構成している。
このため、第2環状隙間K2から流入して径方向内側面13bに伝わる潤滑油を大鍔部7の基端部7bに導くことができる。これにより、軸受内部空間Sに流入する潤滑油量を制限しつつも、互いに滑り摺動する円すいころ4の大径側端面4bと大鍔部7との接触部分付近に対しては、軸受内部空間S内の潤滑油を積極的に供給することができる。この結果、回転トルク低減のために軸受内部空間Sに流入する潤滑油量を制限しつつも、円すいころ4の大径側端面4bと大鍔部7との滑り摩擦抵抗を低減でき、潤滑油の不足による焼き付きの発生を抑制することができる。
つまり、本実施形態によれば、軸受内部空間S内に流入する潤滑油量を制限することによって、軸受内部空間S内に流入する潤滑油量に依存している転がり粘性抵抗や潤滑油の撹拌抵抗を抑制して回転トルクの低減をしつつ、潤滑油が必要な滑り摺動部分に対しては、軸受内部空間Sに流入した潤滑油を導いて積極的に供給することにより滑り摩擦抵抗を低減し、焼き付きの発生を抑制することができる。
また、上述したように、柱部13の周方向側面13eを、平面状部20と曲面状部21とによって構成したので、径方向内側面13bの周方向幅W2は、柱部13の平面状部20における周方向幅よりも広く形成されている。このため、径方向内側面13bの面積は、例えば、周方向側面13eを径方向に沿う直線状に形成した場合と比較して、大きくなっている。
そのため、径方向内側面13bを伝わることができる潤滑油量、すなわち、案内できる潤滑油量を増加させることができる。
さらに、図4〜図7に示すように、径方向内側面13bには、周方向のほぼ中央に、径方向外側に凹む溝部25が形成されている。溝部25は、各柱部13それぞれに形成されている。溝部25は、半円状に凹んでおり、軸方向に沿って径方向内側面13bの軸方向全域に亘って形成されている。また、溝部25の幅は、大径環状部12側に向かうに従って、漸次広くなるようにされている。
この溝部25を径方向内側面13bに形成することによって、第2環状隙間K2から流入して径方向内側面13bに伝わる潤滑油を溝部25内に留めることができる。さらに、溝部25内に留められた潤滑油を、この溝部25に沿って大鍔部7の基端部7bにまで導くことができる。これにより、潤滑油を大鍔部7の基端部7bにより確実に導くことができる。
また、周方向側面13eの曲面状部21により円すいころ4の転動面4cから掻き取った潤滑油を、溝部25内に留めることができ、潤滑油が円すいころ4の転動面4c等に戻ることを防止できる。また、上記のように、軸方向に延びる曲面状部21により潤滑油を掻き取るため、溝部25内に収容される潤滑油の量は、大径環状部12側に向かうに従って、増大することになるが、溝部25の幅が、大径環状部12側に向かうに従って、漸次広くなるようにされているので、溝部25から潤滑油が溢れ出て、転動面4c等に戻ることを防止できる。
また、本実施形態では、柱部13の径方向内側面13bと内輪軌道面2aとの間の隙間が軸方向小径環状部11から大径環状部12側に向かって漸次狭まるように、径方向内側面13bが内輪軌道面2aに対して傾斜しているので、潤滑油を、軸方向に沿って段差等がない径方向内側面13bによってスムーズに大鍔部7の基端部7bにまで導くことができる。
図8は自動車の動力伝達装置31の説明図である。
図8に示すように、動力伝達装置31では、駆動軸32により、デファレンシャル33を介して、左右の車軸34,35が駆動される。デファレンシャル33は、支持体とされるハウジング36に内装され、このハウジング36に、伝動軸とされる駆動軸32及び各車軸34,35が、本発明に係る円すいころ軸受37〜39を介して、回転自在に支持されている。
この構成例によれば、伝動軸とされる駆動軸32及び各車軸34,35が、トルク損失を低減できる本発明の円すいころ軸受37〜39を介して、ハウジング36に支持されているので、駆動軸32及び各車軸34,35による動力伝達時の動力損失を低減できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることはない。上記実施形態では、径方向内側面13bに設けた溝部25を半円状に凹んだ溝として形成した場合を示したが、潤滑油をその内部に留めることができれば、溝部25を、例えば、図9(a),(b)に示すように、矩形状や三角状等の形状に形成してもよいし、図9(c)に示すように、径方向内側面13bの径方向ほぼ全域に亘って凹みを設けることで溝部25を形成してもよい。この場合、径方向内側面13bの径方向ほぼ全域に亘って潤滑油を留めることができ、より多くの潤滑油を集めて大鍔部7の基端部7bに導くことができる。
又、上記実施の形態では、各柱部を径方向から見た際の、各柱部の径方向内側面13bの周方向端縁13b1を直線状としたが、周方向端縁13b1を、図10で示すように周方向に湾曲凸状としたり、図11で示すように湾曲凹状とすることもある。
1 円すいころ軸受 2 内輪 2a 内輪軌道面
3 外輪 3a 外輪軌道面 4 円すいころ
4c 転動面 7 大鍔部 10 保持器
11 小径環状部 12 大径環状部 13 柱部
13a 径方向外側面 13b 径方向内側面 13e 周方向側面
14 ポケット 15 小径側摺接面 16 大径側摺接面
25 溝部 32 駆動軸(伝動軸)
33、34車軸(伝動軸) 36 ハウジング(支持体)C ピッチ円
G 重なり合う部分 W1〜W4 周方向幅

Claims (7)

  1. 内輪軌道面を有すると共に、軸方向一端部に大鍔部を有する内輪と、
    前記内輪の外周側に同心に配置され、前記内輪軌道面に対向している外輪軌道面を有する外輪と、
    前記両軌道面の間に転動自在に介在する複数の円すいころと、
    前記内外輪間の環状空間に配置され、前記円すいころを保持する保持器と、
    を備え、
    前記保持器は、小径環状部、当該小径環状部に対して所定間隔離して対向させた大径環状部、及び前記両環状部の間に架設した複数の柱部を有し、隣り合う前記柱部と前記環状部とによって囲まれる空間を、前記円すいころを収容するポケットとした円すいころ軸受において、
    前記柱部の前記径方向外側面には、前記外輪軌道面に摺接することで、前記外輪軌道面によって前記保持器を径方向に位置決めする摺接面が設けられ、
    前記柱部の径方向内側面の前記大径環状部側の端部が、前記大鍔部の外周面よりも径方向内側に配置され、
    前記柱部の周方向側面の内周側が、前記円すいころの転動面に沿った曲面状に形成されて、前記柱部の前記径方向内側面の周方向幅W2が前記柱部の径方向外側面の周方向幅W1よりも広くされていることを特徴とする円すいころ軸受。
  2. 前記柱部の前記径方向外側面と前記外輪軌道面との間の径方向隙間よりも、前記柱部の前記内周側と前記転動面との間の前記径方向と同方向における隙間が、大とされている請求項1に記載の円すいころ軸受。
  3. 前記柱部の前記径方向内側面において、前記大径環状部側の端部の周方向幅W4を前記小径環状部側の端部の周方向幅W3よりも広くしている請求項1または2に記載の円すいころ軸受。
  4. 前記周方向幅W3に対する前記周方向幅W4の比率W4/W3を、前記円すいころにおける、最小外径R1に対する最大外径R2の比率R2/R1よりも大としている請求項3に記載の円すいころ軸受。
  5. 前記柱部の前記径方向内側面に、前記大鍔部に潤滑油を案内する案内溝が軸方向に形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の円すいころ軸受。
  6. 前記案内溝の幅が、前記大径環状部側に向かうに従って漸次広くなる請求項5に記載の円すいころ軸受。
  7. 伝動軸と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の円すいころ軸受と、伝動軸を前記円すいころ軸受を介して回転自在に支持する支持体と、を備えることを特徴とする動力伝達装置。

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