JP2012102838A - 円すいころ軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑不良状態での耐久性向上を十分に図れる構造を実現する。
【解決手段】保持器5eを構成する大径側リム部12cのうちで、円周方向に関する位相が各ポケット15bに整合する部分の内周面部分に、径方向外方に凹んだ保油凹部20aを設け、これら各保油凹部20aを前記各ポケット15bの内面に開口させる。又、小径側リム13bの内径を、各円すいころ4(4a)のピッチ円直径よりも大きくする。更に、前記大径側リム部12cの内周面の一部に、径方向内方に向けて突出した突条23を、全周に亙って形成する。故障により潤滑不良になると、前記各保油凹部20a部分を含め、前記突条23よりも前記各ポケット15b側に溜まった潤滑油が、軸受内部空間21内に、その上流端開口から取り込まれる少量の潤滑油と共に、前記各円すいころ4(4a)の大径側端面10と、大径側鍔部8の軸方向内側面11との摺接部を潤滑する。
【選択図】図2

Description

この発明は、鉄道車両の車軸や駆動装置を構成する伝達軸、或は、自動車用デファレンシャルギヤを構成するピニオン軸の如く、大きなラジアル荷重及びスラスト荷重が加わる状態で回転する各種回転軸を支承する為の円すいころ軸受の改良に関する。具体的には、円すいころ軸受を構成する複数個の円すいころを転動自在に保持する保持器の形状、構造を工夫する事により、潤滑不良状態での耐久性向上、即ち、潤滑不良状態になってから焼き付きにより回転不能に至るまでの時間の延長を図るものである。
[従来技術の説明]
例えばデファレンシャルギヤのピニオン軸の如く、大きなラジアル荷重及びスラスト荷重を支承しつつ回転する回転軸の為の回転支持部に、図8に示す様な円すいころ軸受1が組み込まれている。この円すいころ軸受1は、互いに同心に配置された外輪2及び内輪3と、複数個の円すいころ4、4と、保持器5とを備える。このうちの外輪2は、内周面に部分円すい凹面状の外輪軌道6を有する。又、前記内輪3は、この外輪の内径側に配置されたもので、外周面に部分円すい凸面状の内輪軌道7を有する。又、前記内輪3の外周面のうちの大径側端部に大径側鍔部8を、同じく小径側端部に小径側鍔部9を、それぞれ前記内輪軌道7から径方向に関して外方に突出する状態で形成している。又、前記各円すいころ4、4は、前記外輪軌道6と前記内輪軌道7との間に、転動自在に配置された状態で、それぞれの大径側端面(頭部)10を、前記大径側鍔部8の軸方向内側面11と対向させている。又、前記保持器5は、前記各円すいころ4、4を保持する為のものである。
この保持器5は、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状である大径側リム部12及び小径側リム部13と、これら両リム部12、13同士の間に掛け渡された複数本の柱部14、14とを備える。そして、これら両リム部12、13と円周方向に隣り合う1対ずつの柱部14、14とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ前記各円すいころ4、4を転動自在に保持する為のポケット15、15としている。尚、図8に示した保持器5は、金属板を曲げ加工して成るもので、小径側端部から径方向内方に折れ曲がった、内向フランジ状の曲げ板部16を形成する事により、全体の剛性確保を図っている。
又、図9〜11は、従来から知られている円すいころ軸受の第2例として、形状の異なる保持器5aを組み込んだ円すいころ軸受1を示している。この保持器5aは、合成樹脂を射出成形する事により、或は金属製の素材に削り出し加工を施す事により、一体に造られている。基本的構造は、上述の図8に示した従来構造の第1例に組み込まれた保持器5と同様に、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状である大径側リム部12a及び小径側リム部13aと複数本の柱部14a、14aとを備え、これら両リム部12a、13aと円周方向に隣り合う1対ずつの柱部14a、14aとにより四周を囲まれる部分を、それぞれポケット15a、15aとしている。本例の場合には、前記両リム部12a、13a自体で剛性を十分に確保できる為、上述の第1例の保持器5の様な曲げ板部16(図8参照)は設けていない。又、円すいころ4aの大径側端面10の中央部に、円形の凹部17を設けている。
何れの構造の場合でも、円すいころ軸受1の運転時に前記各円すいころ4、4aは、部分円すい凹面状の外輪軌道6と部分円すい凸面状の内輪軌道7とから加わる大きなラジアル荷重により、これら両軌道6、7の大径側に変位する傾向になる。この結果、前記円すいころ軸受1の運転時に前記各円すいころ4、4aは、前記外輪2と前記内輪3との相対回転に伴って、それぞれの大径側端面10と大径側鍔部8の軸方向内側面11とを摺接させつつ、自転及び公転する。この場合に於いて、これら大径側端面10と大径側鍔部8の軸方向内側面11との摩擦状態は、殆ど滑り摩擦だけの状態になる為、耐摩耗性及び耐焼き付け性を確保する面からは、非常に厳しい条件となる。この為従来から、上述の様な円すいころ軸受1を組み込んだ回転支持部には、十分な潤滑油を供給して、前記大径側端面10と前記大径側鍔部8の軸方向内側面11との摺動面に、十分な潤滑油膜を介在させる様に構成している。
前記円すいころ軸受1を組み込んだ回転支持部に十分な量の潤滑油を供給できる平常状態であれば、上述の様な従来構造の円すいころ軸受1でも、特に問題を生じる事はない。但し、この円すいころ軸受1を組み込んだ回転支持装置の種類に拘らず、何らかの故障や整備不良等により、この円すいころ軸受1に供給される潤滑油が不足乃至は枯渇する可能性を、完全に否定する事はできない。この円すいころ軸受1に供給される潤滑油が不足乃至は枯渇した場合、先ず、最も条件が厳しい、前記大径側端面10と前記大径側鍔部8の軸方向内側面11との摺動面の摩耗が著しく進行する。更に著しい場合には、これら大径側端面10と軸方向内側面11とが凝着して前記各円すいころ4、4aの自転及び公転が不能になり、更にはこれら各円すいころ4、4aの転動面と前記外輪軌道6とが凝着して、前記外輪2と前記内輪3との相対回転が不能になる、所謂焼き付きを発生する。
この様な焼き付きが発生すると、車両(鉄道車両や自動車)の通常運行はおろか、この車両を移動させる事も困難となり、鉄道の復旧が遅れたり、交通渋滞を引き起こす等の問題を生じ易くなる。又、回転支持部の回転不能が他の部分の故障の原因となって、修理に要する費用並びに時間が嵩む等の問題も生じ易い。この様な事情に鑑みて、特許文献1、2には、少ない潤滑油を有効利用して、各円すいころの大径側端面と大径側鍔部の軸方向内側面との摺接部を潤滑する構造が記載されている。図12〜14は、このうちの特許文献1に記載された、従来構造の2例を示している。
先ず、図12に示した従来から知られている対策済構造の第1例の場合には、金属板製の保持器5bの大径側端部を径方向内方に向け折り曲げる事により、この保持器5bの内周面の大径側端部に保油部18を、全周に亙って設けている。この従来構造の第1例は、この保油部18に貯溜された潤滑油を、円すいころ4の大径側端面10と大径側鍔部8の軸方向内側面11との摺接部に供給して、潤滑不良の際の摩耗を抑えるとしている。
次に、図13〜14に示した従来から知られている対策済構造の第2例の場合には、保持器5cの小径側端部を径方向外方に向け折り曲げる事により、この保持器5cの外周面の小径側端部に保油部18aを設けている。又、仕切板部19、19によりこの保油部18aを円周方向に関して複数に分割している。この従来構造の第2例は、前記保持器5cの外周面に付着してこの保持器5cの小径側端部に達した潤滑油の流失を防止し、この潤滑油を、円すいころ4の大径側端面10と大径側鍔部8の軸方向内側面11との摺接部に供給して、潤滑不良の際の摩耗を抑えるとしている。
上述の様な従来から知られている対策済構造の2例の場合、前述の図8〜9に示した、未対策構造に比べれば優れた耐久性を得られるにしても、少量の潤滑油を前記大径側端面10と前記軸方向内側面11との摺接部に必ずしも効率良く供給できる(少量の潤滑油を有効利用できる)とは言えない。先ず、図12に示した第1例の構造の場合には、保油部18に溜まったままの状態で各円すいころ4の大径側端面10に付着しない潤滑油の量が多くなり、残された少量の潤滑油の有効利用を図りにくい。又、図13〜14に示した第2例の構造は、保油部18aが前記大径側端面10と前記軸方向内側面11との摺接部から大きく外れた部分に設けられている為、やはり少量の潤滑油をこの摺接部の潤滑に有効利用する事が難しい。この様に、少量の潤滑油を前記大径側端面10と前記軸方向内側面11との摺接部の潤滑に有効利用できない点は、前記両対策済構造の2例を組み合わせ、図12に示した保油部18に図14に示した仕切板部19、19を設けたとしても同様である。
特許文献2には、保持器の内周面に沿って導いた潤滑油を、この保持器の大径側端縁部に設けた内向きの大径側フランジにより、円すいころの大径側端面と内輪外周面の大径側鍔部の軸方向内側面との摺接部に導く構造が記載されている。この様な特許文献2に記載された、対策済構造の第3例の場合も、前記未対策構造に比べれば優れた耐久性を得られるにしても、少量の潤滑油を前記大径側端面と軸方向内側面との摺接部により効率良く供給する面からは、改良の余地がある。
[先発明に係る構造の説明]
上述の様な点を改良した円すいころ軸受に関する発明として、特願2009−261470に係る発明(先発明)がある。本発明は、この先発明を改良して、この先発明に係る構造の効果をより一層向上させるものであるから、先ず、この先発明に係る構造に就いて、図15〜18により説明する。円すいころ軸受1を構成する保持器5dは、合成樹脂を射出成形する事により、或は金属材料に削り出し加工を施す事により、一体に造った、所謂籠型保持器で、全体を部分円すい筒状に形成している。
前記保持器5dを構成する大径側リム部12bのうちで、円周方向に隣り合う柱部14a、14a同士の間部分、言い換えれば、円周方向に関する位相が各ポケット15a、15aと一致する(これら各ポケット15a、15aの大径側端部に整合する)部分の内周面に、それぞれ保油凹部20、20を設けている。これら各保油凹部20、20は、前記保持器5dの径方向に(内径側から)見た形状が爪型であって、円周方向に関する幅が、前記各ポケット15a、15aの側ほど広く、これら各ポケット15a、15aから離れるに従って狭くなる。又、前記保持器5dの径方向(厚さ方向)に関する、前記各保油凹部20、20の深さは、前記各ポケット15a、15aの側ほど深く、これら各ポケット15a、15aから離れるに従って漸減する。
又、前記各保油凹部20、20は、前記保持器5dの内径側及び前記各ポケット15a、15aの側にのみ開口しており、円周方向両側及び軸方向外側には開口していない。又、前記各保油凹部20、20のうち、円周方向に関する幅方向中央部で、この幅方向に関して最も深くなった部分である底部は、前記各ポケット15a、15aに向かうに従って径方向外方に向かう方向に、前記保持器5dの中心軸に対し傾斜している。要するに、前記各保油凹部20、20を、幅方向中央部ほど、更に(軸方向に関しては)この幅方向中央部で前記各ポケット15a、15aに向かう程、それぞれ深くして、これら各ポケット15a、15aに近付くに従って前記保持器5dの径方向外方に向かう方向に傾斜させている。
又、前記各ポケット15a、15a内にそれぞれ転動自在に保持された各円すいころ4aの大径側端面10の中央部に、円形又は円輪形の凹部17を形成して、前記各保油凹部20、20の底面のうちで前記各ポケット15a、15aの内面に開口している部分を、前記凹部17に対向させている。この為、前記各保油凹部20、20内に存在して、前記保持器5dの回転に基づく遠心力によりこれら各保油凹部20、20の底部に押し付けられた潤滑油は、前記各ポケット15a、15aの内面側開口から前記凹部17に流入する傾向になる。
上述の様に構成する先発明に係る円すいころ軸受1を組み込んだ回転機械装置の運転時に潤滑油は、前記各円すいころ4aの公転運動に伴う遠心力に基づくポンプ作用により、外輪2の内周面と内輪3の外周面との間の軸受内部空間21を、外輪軌道6及び内輪軌道7の小径側から大径側に向けて(図15の左上から右下に向けて)流れる。潤滑油の供給量が十分である場合には、この様に前記軸受内部空間21内を流れる潤滑油が、前記各円すいころ4aの大径側端面10と前記内輪3の外周面の大径側端部に設けた大径側鍔部8の軸方向内側面11との摺接部も十分に潤滑する。又、この状態では、前記軸受内部空間21内を流れる潤滑油の一部が、前記大径側リム部12bの内周面の複数箇所に形成した前記各保油凹部20、20内に、前記各ポケット15a、15a側の開口部から流入しつつ、この大径側リム部12bの軸方向外端縁側に排出される(押し出される)。従って、潤滑油供給が十分に行われている通常運転時には、これら各保油凹部20、20内に、常に潤滑油が溜まっている(存在している)状態となる。
この状態から、例えば潤滑油供給ポンプの故障、ケーシング内からの潤滑油の漏洩等により、前記軸受内部空間21内の潤滑油の流通量が、減少乃至は零になった場合には、前記各ポケット15a、15a側の開口部から前記各保油凹部20、20内への潤滑油の送り込みは、減少乃至は停止する。この様に、開口部からの送り込みが減少乃至は停止した状態では、既に前記各保油凹部20、20内に溜まっていた潤滑油は、これら各保油凹部20、20から前記大径側リム部12bの外端縁側に押し出される事はなくなり、これら各保油凹部20、20内に留まる。この状態でこれら各保油凹部20、20内の潤滑油は、前記保持器5dの回転に伴う遠心力により、これら各保油凹部20、20の底面に押し付けられつつ、前記各ポケット15a、15a内に保持された前記各円すいころ4aの大径側端面10に形成された凹部17に入り込む。そして、この凹部17内に入り込んだ潤滑油は、前記各円すいころ4aの自転運動に伴って、前記大径側端面10と前記大径側リム部12bの軸方向内側面11の摺接部に送られて(この摺接部に染み込んで)、この摺接部を潤滑する。
上述の通り、前記故障或は漏洩等が発生した時点で前記各保油凹部20、20内に留まっている潤滑油は、そのうちの多くの部分を前記摺接部の潤滑に利用できる。従って、潤滑不良状態の発生時から、焼き付きにより回転不能に至るまでの時間を十分に長くできる。オイルディッピングによる焼き付き実験によれば、図15〜18に示した先発明の構造を有する円すいころ軸受は、前述の図9〜11に示した従来構造の場合に比べて、潤滑油枯渇下で焼き付きが発生するまでに要する時間を、凡そ3倍に延ばせる事が分かった。
上述の様に、先発明の構造により、従来技術に比べて、潤滑不良状態が発生してから焼き付き等の重大な故障に結び付くまでに要する時間を著しく延ばせるが、この時間を更に延ばす為に、改良の余地がある。即ち、前記先発明の構造の場合には、図15から明らかな通り、前記軸受内部空間21の上流側端部開口(小径側端部開口)の中央部に、小径側リム部13aが存在する。円すいころ軸受1の運転時に生じるポンプ作用により、液滴状若しくはミスト状の潤滑油を含む流体は、前記軸受内部空間21の上流側端部開口の内径寄り部分からこの軸受内部空間21内に進入し、同じく下流端開口の外径寄り部分から排出される傾向になる。この為、潤滑不良状態、特に、潤滑油が枯渇はしていないが、前記円すいころ軸受1の周囲に存在する潤滑油の量が不足している様な状況下で、前記摺接部に少しでも多くの潤滑油を送り込む為には、前記軸受内部空間21の上流端開口部からこの軸受内部空間21内に、前記円すいころ軸受1の周囲に存在する、潤滑油を含む流体を入り込み易くする事が望ましい。
特開2007−40512号公報 特開2007−270851号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、円すいころ軸受の周囲に存在する潤滑油を含む流体を、軸受内部空間内に入り込み易くする事により、この円すいころ軸受の周囲に存在する潤滑油の量が不足している様な状況下でも、摺接部に送り込む潤滑油の量を少しでも多く確保できる様にして、前記潤滑不良状態での耐久性向上をより一層向上させられる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の円すいころ軸受は、前述した従来から知られている円すいころ軸受と同様に、外輪と、内輪と、複数個の円すいころと、保持器とを備える。
このうちの外輪は、内周面に部分円すい凹面状の外輪軌道を有する。
又、前記内輪は、前記外輪の内径側にこの外輪と同心に配置されたもので、外周面に、部分円すい凸面状の内輪軌道、及び、この内輪軌道の大径側端部から径方向に関して外方に突出した大径側鍔部を有する。
又、前記各円すいころは、前記内輪軌道と前記外輪軌道との間に転動自在に配置されており、それぞれの大径側端面を前記大径側鍔部の軸方向側面と対向させている。
又、前記保持器は、前記各円すいころを保持する為のものである。
そして、この保持器は、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状である大径側リム部及び小径側リム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡された複数本の柱部とを備える。そして、これら両リム部と円周方向に隣り合う1対ずつの柱部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ前記各円すいころを保持する為のポケットとした構造を有するものである。
特に、本発明の円すいころ軸受に於いては、前記大径側リム部のうちで、円周方向に関する位相が少なくとも前記各ポケットのうちの一部のポケットに整合する部分の内周面部分に、径方向外方に凹んだ保油凹部を設け、この保油凹部を前記ポケットの内面に開口させている。
且つ、前記小径側リム部の内周面の少なくとも一部(但し、当該部分に関しては軸方向に貫通させる状態で)を、前記各円すいころの中心軸よりも、前記内輪及び前記外輪の径方向に関して外側に位置させている。
上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記大径側リム部の内周面の一部で前記保油凹部よりもこの大径側リム部の外端面寄り部分に、径方向内方に向けて突出した突条を、全周に亙って形成する。
尚、前記大径側リム部の内周面のうちでこの突条を設ける軸方向位置は、この内周面の軸方向中間部で前記保油凹部の外端部に接する位置と、この大径側リム部の外端部との間で設定できる。好ましくは、この保油凹部側(保油凹部に接する部分若しくはその近傍部分)とする事により、前記大径側リム部の内周面のうちで、前記突条と前記各ポケットとの間に存在し、且つ、前記保油凹部から外れた部分に存在する潤滑油を、この保油凹部内に効率的に捕集できる様にする。但し、この部分の傾斜方向を規制する(この保油凹部に向う程径方向外方に向う方面に傾斜させる)等により、この部分の存在する潤滑油を前記保油凹部に効率的の捕集できる様にできるのであれば、前記突条を前記大径側リム部の外端部寄りに形成する事もできる。
又、特許請求の範囲中の請求項には記載していないが、本発明の円すいころ軸受を実施する場合に、好ましくは、前記保油凹部の数を、前記ポケットの数と同じとする。そして、円周方向に関して互いに独立した状態で設けられたこれら各保油凹部を、それぞれ前記各ポケットに向けて開口させる。
又、好ましくは、前記保油凹部の底部を、前記ポケットに向かうに従って径方向外方に向かう方向に傾斜させる。
又、好ましくは、前記各円すいころの大径側端面でこれら各円すいころの径方向に関して中央部に凹部を形成し、前記各保油凹部をこの凹部に向けて開口させる。
更に、好ましくは、前記大径側リム部の内周面を、前記保持器の中心軸と平行な円筒面、乃至は、前記各ポケットに向かうに従って径方向外方に向かう方向に傾斜した部分円すい凹面状の傾斜面とする。
上述の様に構成する本発明の円すいころ軸受は、次の様に作用する事により、潤滑不良状態での耐久性向上、即ち、潤滑不良状態になってから、焼き付きにより回転不能に至るまでの時間の延長を、より十分に図れる。
本発明の円すいころ軸受を組み込んだ回転機械装置の運転時に潤滑油は、一般的な円すいころ軸受の場合と同様に、円すいころ軸受特有の、各円すいころの公転運動に伴う遠心力に基づくポンプ作用により、外輪の内周面と内輪の外周面との間の軸受内部空間を、外輪軌道及び内輪軌道の小径側から大径側に向けて流れる。潤滑油の供給量が十分である場合には、この様に軸受内部空間を流れる潤滑油が、前記各円すいころの大径側端面と内輪外周面の大径側鍔部の軸方向内側面との摺接部も、十分に潤滑する。又、この状態では、前記軸受内部空間を流れる潤滑油の一部が、大径側リム部の内周面に形成した保油凹部内に、各ポケット側の開口部から流入する。そして、先に前記保油凹部内に入り込んでいた潤滑油が、前記開口部から新たに流入する潤滑油により、この保油凹部から押し出される。従って、潤滑油供給が十分に行われている通常運転時には、前記保油凹部内に、常に潤滑油が溜まっている(存在している)状態となる。
この状態から、例えば潤滑油供給ポンプの故障、ケーシング内からの潤滑油の漏洩等により、前記軸受内部空間内の潤滑油の流通量が、減少乃至は零になった場合には、前記ポケット側の開口部から前記保油凹部内への潤滑油の送り込みは、減少乃至は停止する(潤滑不良状態となる)。この様に、潤滑不良状態になると、既に前記保油凹部内に溜まっていた潤滑油は、この保油凹部から大径側リム部の外端縁側に押し出される事はなくなる。そして、この保油凹部内に留まっていた潤滑油は、前記ポケット内に保持された円すいころの大径側端面と前記大径側リム部の軸方向内側面の摺接部に入り込み、この円すいころの自転運動に伴って、この摺接部を潤滑する。
しかも、本発明の場合には、小径側リム部の内周面を、前記各円すいころの中心軸よりも、前記内輪及び前記外輪の径方向に関して外側に位置させている為、円すいころ軸受の周囲に存在する潤滑油を含む流体が、軸受内部空間内に入り込み易くできる。この為、前記円すいころ軸受の周囲に存在する潤滑油の量が不足している様な状況下でも、この周囲に存在する潤滑油を、前記軸受内部空間内に効率良く取り込んで、前記摺接部に送り込む潤滑油の量をより多くできる。
即ち、前記潤滑不良状態の発生後に、前記摺接部の潤滑に利用可能な潤滑油は、容量の大きな前記保油凹部内に存在する潤滑油の大部分に加えて、円すいころ軸受の周囲に存在する、液滴状若しくはミスト状である、少量の潤滑油を加えたものとなる。この為、潤滑不良状態の発生時から、焼き付きにより回転不能に至るまでの時間を十分に長くできる。この結果、車両を邪魔にならない場所にまで運行する事ができ、鉄道の復旧までに要する時間を短くしたり、道路渋滞を引き起こしにくくできる。更に、前記潤滑不良が、回転支持部の回転不能にまで至りにくくして、他の部分の故障を誘発しにくくでき、修理に要する費用並びに時間が嵩む等の問題を生じにくくできる。
又、請求項2に記載した発明によれば、前記潤滑不良状態の発生後に、前記摺接部の潤滑に利用できる潤滑油の量を、更に増大させる事ができる。即ち、前記大径側リム部の内周面に突条を設ける事により、通常の運転時に、前記保油凹部から溢れ出した潤滑油が、前記大径側リム部の内周面のうちで前記突条よりもポケット寄り部分に溜まる。更に、この部分に溜まった潤滑油の量が増えると、この潤滑油が、前記突条の内周縁を乗り越えつつ、前記大径側リム部の軸方向外端縁側から排出される。そして、前記潤滑不良状態が発生すると、前記大径側リム部の内周面のうちで前記突条よりもポケット寄り部分に溜まっていた潤滑油は、この突条を乗り越えて前記大径側リム部の軸方向外端縁側に押し出される事がなくなる。
前記潤滑不良状態が発生すると、前記保油凹部内の潤滑油が減少するのに伴って、前記大径側リム部の内周面のうちで前記突条よりもポケット寄り部分に溜まっていた潤滑油が、前記保油凹部内に入り込み、この保油凹部を通じて前記摺接部に入り込む。この結果、潤滑不良状態が発生した後に、前記摺接部の潤滑に利用可能な潤滑油の量を、前記大径側リム部の内周面のうちで前記突条よりもポケット寄り部分に溜まっている分だけ多くして、潤滑不良の発生時から焼き付きに至るまでの時間をより長くできる。
尚、前記保油凹部は、少なくとも一部のポケットに整合する部分に形成すれば、当該ポケットに保持された円すいころの大径側端面を通じて、大径側鍔部の軸方向内側面に潤滑油が供給され、この軸方向内側面と他の円すいころの大径側端面との摺接部の潤滑も行える。従って、前記保油凹部は、例えば円周方向に関して一つ置き或は二つ置きのポケット部分に設ける事もできる。但し、前記保油凹部の数を前記ポケットの数と同じとして、円周方向に関して互いに独立した状態で設けられたこれら各保油凹部を、それぞれ前記各ポケットに向けて開口させれば、全保油凹部内に溜まる潤滑油の量(保持器全体に溜めておける潤滑油の量)を確保して、潤滑不良状態の発生時から回転不能に至るまでの時間を長くする面から有利である。
又、前記保油凹部の底部を、前記ポケットに向かうに従って径方向外方に向かう方向に傾斜させれば、前記保油凹部内に溜まった潤滑油、更には前記大径側リム部の内周面に付着した潤滑油を、前記各円すいころの大径側端面に向けて効率良く導ける。
この結果、潤滑不良状態が発生した時点で、前記保持器の大径側端部に残留している潤滑油を、前記各円すいころの大径側端面と前記大径側鍔部の軸方向内側面との摺接部の潤滑に有効利用できて、前記潤滑不良状態の発生時から回転不能に至るまでの時間をより長くできる。
又、前記各円すいころの大径側端面でこれら各円すいころの径方向に関して中央部に凹部を形成し、前記各保油凹部をこの凹部に向けて開口させれば、前記保油凹部内に溜まった潤滑油、更には前記突条に基づいて前記大径側リム部の内周面部分に貯溜した潤滑油を、前記凹部を通じて、前記各円すいころの大径側端面と前記大径側鍔部の軸方向内側面との摺接部に向けて効率良く導ける。又、前記凹部の容量分、潤滑不良状態の発生時に、この摺接部に供給可能な潤滑油の量を多くできて、この潤滑不良状態の発生時から回転不能に至るまでの時間を、より一層長くできる。
更に、前記大径側リム部の内周面を、前記保持器の中心軸と平行な円筒面、乃至は、前記各ポケットに向かうに従って径方向外方に向かう方向に傾斜した部分円すい凹面状の傾斜面とすれば、前記大径側リム部の内周面のうちで前記各保油凹部から外れた部分に貯溜された潤滑油も、前記各円すいころの大径側端面と前記大径側鍔部の軸方向内側面との摺接部に向けて効率良く導ける。
本発明の実施の形態の1例を示す断面図。 図1の下部拡大断面図。 図2のイ部拡大図。 実施の形態の1例に組み込んだ保持器を取り出して、大径側且つ径方向外方から見た状態で示す斜視図。 図4のロ部拡大断面図。 本発明の効果を確認する為に行ったシミュレーションの対象となる、従来例(A)と、比較例1(B)と、比較例2(C)とをそれぞれ示す、図2と同様の拡大断面図。 シミュレーションの結果を示す棒グラフ。 従来から知られている一般的な円すいころ軸受の第1例を示す、部分切断斜視図。 同第2例を示す部分断面図。 この第2例に組み込んだ保持器を取り出して示す、図4と同様の斜視図。 図10のハ部拡大図。 焼き付き防止の為の対策済の従来構造の第1例を示す部分断面図。 同第2例を示す部分断面図。 この第2例に組み込む保持器の一部を取り出して、大径側且つ径方向外側から見た状態で示す斜視図。 焼き付き防止の為の対策済の先発明の実施の形態の1例を示す部分断面図。 図15のニ部拡大図。 この先発明の実施の形態の1例に組み込んだ保持器を取り出して示す、図4と同様の斜視図。 図17のホ部拡大図。
図1〜5は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例の構造を含めて、本発明の特徴は、保持器5eの大径側、小径側両端部の形状、構造及び寸法を工夫する事により、潤滑不良状態の発生時から回転不能に至るまでの時間の延長を図る点にある。その他の、円すいころ軸受の基本的構成に就いては、前述の図8、9、12、13に示した従来から知られている、或いは、前述の図15〜18に示した先発明の円すいころ軸受と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分、並びに、先に説明しなかった部分を中心に説明する。
本例の円すいころ軸受1aを構成する保持器5eは、合成樹脂を射出成形する事により、或は金属材料に削り出し加工を施す事により、一体に造った、所謂籠型保持器で、全体を部分円すい筒状に形成している。射出成型用の合成樹脂の種類は特に問わず、例えばポリアミド66(PA66)、ポリアミド46(PA46)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等、合成樹脂製保持器の射出成型用として従来から一般的に使用されていた、各種合成樹脂を使用できる。何れの合成樹脂にしても、単独で、或は炭素繊維、ガラス繊維等の強化用繊維或は強化用のセラミックウィスカ等と混合したものを使用できる。又、金属材料としては、鋼材、ステンレス鋼材等の鉄系合金や、真鍮等の銅系合金等を使用できる。
何れの場合でも、大径側リム部12cのうちで、円周方向に隣り合う柱部14b、14b同士の間部分、言い換えれば、円周方向に関する位相が各ポケット15b、15bと一致する(これら各ポケット15b、15bの大径側端部に整合する)部分の内周面に、それぞれ保油凹部20a、20aを設けている。これら各保油凹部20a、20aは、前記各ポケット15b、15b毎に独立している。又、これら各保油凹部20a、20aは、円周方向に関する位相がこれら各ポケット15b、15bと一致する部分に、それぞれこれら各ポケット15b、15bのほぼ全幅に亙って形成している。又、前記保持器5eの径方向(厚さ方向)に関する、前記各保油凹部20a、20aの深さは、前記各ポケット15b、15bの側ほど深く、これら各ポケット15b、15bから離れるに従って漸減している。特に、前記各保油凹部20a、20aの底面22、22は、前記各ポケット15b、15bに近付くほど、前記保持器5eの径方向に関して外方に向かう方向に傾斜している。従って、前記各保油凹部20a、20aの深さは、前記各ポケット15b、15b側の開口部分で最も深くなっている。又、これら各保油凹部20a、20aは、前記大径側リム部12cの軸方向中間部まで形成しており、前記各ポケット15b、15bと反対側の半部には形成していない。従って前記各保油凹部20a、20aは、前記保持器5eの内径側及び前記各ポケット15b、15bの側にのみ開口しており、円周方向両側及び軸方向外側には開口していない。
又、本例の場合には、前記保持器5eの小径側端部に設けた小径側リム部13bの内周面の少なくとも一部を(図示の例では全周に亙って)、各円すいころ4、4(4a、4a)の中心軸(自転軸)oよりも、外輪2及び内輪3の径方向に関して外側に位置させている。言い換えれば、前記各円すいころ4、4(4a、4a)の軸方向位置が互いに一致する部分で比較した場合に於いて、少なくとも前記小径側リム部13bの一部の内径を、前記各円すいころ4、4(4a、4a)のピッチ円直径よりも大きくしている。尚、上記小径側リム部13bのうちで内径を大きくする部分は、この小径側リム部13bを全幅に亙り貫通する状態で大きくする。
更に本例の場合には、前記大径側リム部12cの内周面の軸方向中間部で、前記各保油凹部20a、20aよりもこの大径側リム部12cの外端面寄り部分に、径方向内方に向けて突出した突条23を、全周に亙って形成している。この突条23の高さHは、前記保持器5eを射出成形する際の型抜きを支障なく行え、しかも、この突条23の先端縁(内周縁)と、内輪3の端部に形成した大径側鍔部8の外周面との間の環状隙間24の径方向幅Wが狭くなり過ぎない範囲で、できるだけ大きい事が好ましい。尚、この環状隙間24の径方向幅Wは、前記円すいころ軸受1aの通常運転時に、前記外輪2の内周面と前記内輪3の外周面との間に存在する軸受内部空間21内を潤滑油が流動する事に対する抵抗が過大にならない様にする為に、或る程度確保(極端に狭くならない様に)する必要がある。これに対して、前記突条23の高さHは、後述する潤滑油供給ポンプの故障時等に、前記各ポケット15b、15b内に保持された各円すいころ4、4(4a、4a)の大径側端面10と、前記大径側リム部12cの軸方向内側面11の摺接部に供給可能な潤滑油の量を確保する面から、大きいほど好ましい。尚、前記突条23の設置位置は、前記保油凹部20a、20aから外れた部分に存在する潤滑油をこれら各保油凹部20a、20a内に効率的に捕集する面からは、これら各保油凹部20a、20aに近いほど好ましい。
上述の様に構成する本例の円すいころ軸受を組み込んだ回転機械装置の運転時に潤滑油は、前記各円すいころ4、4(4a、4a)の公転運動に伴う遠心力に基づくポンプ作用により、前記外輪2の内周面と前記内輪3の外周面との間の軸受内部空間21を、外輪軌道6及び内輪軌道7の小径側から大径側に向けて(図1〜2の左から右に向けて)流れる。この際に前記潤滑油を含む流体は、前記軸受内部空間21の上流端開口の内径寄り部分からこの軸受内部空間21内に進入し、同じく下流端開口の外径寄り部分から排出される傾向になる(流体のうちの多くの部分が、この経路で流れる)。潤滑油の供給量が十分である場合には、この様に前記軸受内部空間21内を流れる潤滑油が、前記各円すいころ4、4(4a、4a)の大径側端面10と前記内輪3の外周面の大径側端部に設けた大径側鍔部8の軸方向内側面11との摺接部も十分に潤滑する。又、この状態では、前記軸受内部空間21内を流れる潤滑油の一部が、前記大径側リム部12cの内周面の複数箇所に形成した前記各保油凹部20a、20a内に、前記各ポケット15b、15b側の開口部から流入しつつ、この大径側リム部12cの軸方向外端縁側に排出される。即ち、先に前記各保油凹部20a、20a内に入り込んでいた潤滑油が、前記各ポケット15b、15bの側の開口部から新たに流入する潤滑油によって、前記各保油凹部20a、20aから押し出される。従って、潤滑油供給が十分に行われている通常運転時には、これら各保油凹部20a、20a内に、常に潤滑油が溜まっている(存在している)状態となる。
本例の場合には、前記各保油凹部20a、20aから溢れ出した潤滑油は、前記大径側リム部12cの内周面のうちで、前記突条23よりも前記各ポケット15b、15b寄り部分に、全周に亙って溜まる。即ち、この突条23の存在に基づき、前記各保油凹部20a、20aの容量が、この突条23の高さHに見合う分だけ多くなると共に、円周方向に関する位相が各柱部14b、14bと一致する、前記各保油凹部20a、20aの間部分にも潤滑油が溜まる。
尚、前記突条23を、前記大径側リム部12cの内周面の軸方向外端部に形成すれば、この前記大径側リム部12cの内周面で前記突条23よりも前記各ポケット15b、15bとの間部分に、より多くの潤滑油を貯溜できる。但し、その場合には、この間部分の傾斜方向を規制する等により、この間部分に存在する潤滑油を前記各保油凹部に20a、20a効率的に捕集できる様に配慮する事が好ましい。何れにしても、前記間部分に溜まった潤滑油の量が増えると、この潤滑油が、前記突条23の内周縁を乗り越えつつ、前記大径側リム部12cの軸方向外端縁側から排出される。言い換えれば、先に前記各保油凹部20a、20a内に入り込んでいた潤滑油が、前記開口部から新たに流入する潤滑油によって、これら各保油凹部20a、20aから押し出され、前記大径側リム部12cの内周面のうちで前記突条23よりもポケット寄り部分に溜まる。そして、この部分に溜まった潤滑油が、前記各保油凹部20a、20aから押し出される潤滑油により、更に前記大径側リム部12cの軸方向外端縁側に押し出される。従って、潤滑油供給が十分に行われている通常運転時には、前記各保油凹部20a、20a内、及び、前記大径側リム部12cの内周面のうちで前記突条23よりも前記各ポケット15b、15b寄り部分に、常に潤滑油が溜まっている(存在している)状態となる。
この状態から、例えば潤滑油供給ポンプの故障、ケーシング内からの潤滑油の漏洩等により、前記軸受内部空間21内の潤滑油の流通量が、極端に減少した場合には、前記各ポケット15b、15b側の開口部から前記各保油凹部20a、20a内への潤滑油の送り込みも、極端に減少する。この様に、開口部からの送り込みが極端に減少した状態では、既に前記各保油凹部20a、20a内に溜まっていた潤滑油は、これら各保油凹部20a、20aから前記大径側リム部12cの外端縁側に押し出される事はなくなり、これら各保油凹部20a、20a内に留まったままとなる。同様に、前記大径側リム部12cの内周面のうちで前記突条23よりもポケット寄り部分に存在する潤滑油も、この部分に留まったままとなる。
この状態で、前記各保油凹部20a、20a内の潤滑油は、前記保持器5eの回転に伴う遠心力により、これら各保油凹部20a、20aの底面に押し付けられる傾向になる。これら各保油凹部20a、20aの底面は、前述の様に、幅方向及び軸方向に関して傾斜している為、これら各保油凹部20a、20a内に留まった潤滑油の大部分は、前記各円すいころ4、4(4a、4a)の大径側端面10に向けて送られ、これら各円すいころ4aの自転運動に伴って、この大径側端面10と前記大径側リム部12cの軸方向内側面11との摺接部に送られて(この摺接部に染み込んで)、この摺接部を潤滑する。又、前記各保油凹部20a、20a内の潤滑油が減少するのに伴って、前記大径側リム部12cの内周面のうちで前記突条23よりも前記各ポケット15b、15b寄り部分に溜まっていた潤滑油が、前記各保油凹部20a、20a内に入り込み、これら各保油凹部20a、20aを通じて、前記両面10、11同士の摺接部に入り込む。
又、本例の場合には、前記小径側リム部13bの内周面の少なくとも一部を、前記各円すいころ4、4(4a、4a)の中心軸よりも、前記外輪2及び前記内輪3の径方向に関して外側に位置させている。従って、前記軸受内部空間21の上流端開口部の内径寄り部分が、前記小径側リム部13bに邪魔される事なく、大きく開いた状態となっている。この為、前記円すいころ軸受1aの周囲に存在する潤滑油を含む流体を、前記上流端開口を通じて、前記軸受内部空間21内に取り込み易くできる。この為、前記円すいころ軸受1aの周囲に存在する潤滑油の量が不足している様な状況下でも、この周囲に存在する潤滑油を、前記軸受内部空間21内に効率良く取り込んで、前記摺接部に送り込める。前記潤滑不良が発生した状態で、この摺接部に送り込まれる潤滑油は、前記各保油凹部20a、20a内に貯溜されていた潤滑油と、前記大径側リム部12cの内周面で前記突条23よりも前記各ポケット15b、15b寄り部分に貯溜された潤滑油と、前記上流端開口を通じて前記軸受内部空間21内に取り込まれる潤滑油との合計となる。この為、潤滑不良状態の発生時から、焼き付きにより回転不能に至るまでの時間を十分に長くできる。尚、前記小径側リム部13bの内径は、全周に亙って大きくする事が好ましいが、少なくとも一部の内径を大きくすれば、前記潤滑油の取り込み量の増大を図れる。但し、大きくする部分に関しては、前記小径側リム部13bを、幅方向(軸方向)に貫通する状態で大きくする。
上述の説明から明らかな通り、前記故障或は漏洩等が発生した時点で前記各保油凹部20a、20a内、及び、前記大径側リム部12cの内周面のうちで前記突条23よりも前記各ポケット15b、15b寄り部分に留まっている潤滑油は、そのうちの多くの部分を、前記両面10、11同士の摺接部の潤滑に利用できる。更に加えて、円すいころ軸受1aの周囲に存在する少量の潤滑油に就いても、前記軸受内部空間21内に取り込んで、前記摺接部の潤滑に利用できる。従って、潤滑不良状態の発生時から、焼き付きにより回転不能に至るまでの時間を十分に長くできる。この為、潤滑不良の発生をセンサにより検知する等の対策を講じれば、焼き付き発生以前に、運転速度を遅くしたり安全な状態で停止する等の対策を、十分に余裕を持って行う事が可能になる。そして、焼き付きが発生する以前に、車両を邪魔にならない場所にまで運行する事ができて、鉄道の復旧までの時間を短くしたり、道路渋滞を引き起こしにくくできる。更に、前記潤滑不良が、回転支持部の回転不能にまで至りにくくして、他の部分の故障を誘発しにくくでき、修理に要する費用並びに時間が嵩む等の問題を生じにくくできる。
尚、好ましくは、前記各ポケット15b、15b内にそれぞれ転動自在に保持された各円すいころとして、それぞれの大径側端面10の中央部に、円形若しくは円輪形の凹部17(図9参照)を形成した円すいころ4a、4aを使用する。そして、前記各保油凹部20a、20aの底面のうちで前記各ポケット15b、15bの内面に開口している部分を、当該ポケット15b、15b内に保持された前記円すいころ4aの大径側端面10に形成された凹部17に対向させる。この様な構成を採用すれば、前記各保油凹部20a、20a内に溜まった潤滑油、更には前記突条23の存在に基づいて前記大径側リム部12cの内周面部分に貯溜した潤滑油を、前記各凹部17を通じて、前記両面10、11同士の摺接部に向けて効率良く導ける。又、これら各凹部17の容量分、潤滑不良状態の発生時に、この摺接部に供給可能な潤滑油の量を多くできて、この潤滑不良状態の発生時から回転不能に至るまでの時間を、より一層長くできる。
又、前記大径側リム部12cの内周面のうちで、前記各保油凹部20a、20a及び前記突条23から外れた部分を、前記各ポケット15b、15bに向かうに従って径方向外方に向かう方向に傾斜した部分円すい凹面状の傾斜面とすれば、前記大径側リム部12cの内周面のうちで前記各保油凹部20a、20aから外れた部分に貯溜された潤滑油も、前記各円すいころ4(4a)の大径側端面10と前記内輪3の外周面の大径側鍔部8の軸方向内側面11との摺接部に向けて効率良く導ける。そして、潤滑不良状態の発生時から回転不能に至るまでの時間を、より一層長くできる。
本発明の効果を確認する為に行った、コンピュータによるシミュレーションの結果に就いて説明する。尚、このシミュレーションは、潤滑不良が発生した状態で、各円すいころ4、4(4a、4a)の大径側端面10と大径側鍔部8の軸方向内側面11との摺接部の潤滑に供される(この摺接部に存在する)潤滑油の量の比較として行った。この比較の基礎として、図6の(A)に示す様な、金属板製の保持器5を備えた円すいころ軸受1内に、潤滑不良状態で前記摺接部に存在する潤滑油の量を「1」とした。図6(A)に示した基準となる構造以外は、総て合成樹脂製の保持器とし、大径側、小径側両リム部の形状及び寸法以外の条件は互いに同じとした。シミュレーションの条件は、少量潤滑状態(潤滑油の供給量を通常時の状態よりも大きく減少させて、そのままでは何れ焼き付きが発生する状態)とし、運転状態は、外輪2を固定し、内輪3を3000min-1で回転させる事とした。
前記シミュレーションの対象には、前述の図1〜5に示した実施の形態の第1例の構造に加えて、図6の(B)(C)に示した比較例1、2を含めた。このうち、図6の(B)に示した比較例1は、大径側リム部12cに保油凹部20aを設けているが、小径側リム部13aが、軸受内部空間21の上流端開口部の中央部に存在する(この小径側リム部13aの内周面が、各円すいころ4の中心軸よりも径方向に関して内側に位置する)構造(前述の図9〜11に示した先発明に係る構造)である。これに対して、図6(C)に示した比較例2は、小径側リム部13bの内周面を各円すいころ4の中心軸よりも径方向に関して外側に位置させているが、保油凹部を設けていない構造である。
図6の(A)に示した構造を基準として、本発明の実施の形態の1例の構造、並びに上述した比較例1、2の構造に関して、前記摺接部の潤滑に供される潤滑油の量を求めた結果を、図7に示す。
この図7にその結果を示したシミュレーションから、本発明の場合、潤滑不良の状態でも、前記摺接部の潤滑に供される潤滑油の量を確保できる事が分かる。特に、保油凹部20aを設けると同時に、内径が大きな小径側リム部13bを使用する事により、これらの構成を個々に使用した場合に比べて、前記摺接部に供給可能な潤滑油の量を大幅に(個々の効果を合計した以上に)増量できる事が分かる。即ち、個々の構成では、基準構造に対して凡そ1.16倍程度の増量に留まっているが、組み合わせる事で、凡そ1.6倍の増量効果を得られた。
尚、潤滑不良状態の発生後、焼き付きの如く重大な損傷に至るまでの時間は、摺接部に存在する潤滑油の量が少し増えただけでも大幅に延長される。従って、この摺接部に存在する潤滑油の量を少しでも増やす事が、前述した様な、潤滑不良状態発生後に適切な回避動作を行い易くする為に重要である。
本発明の円すいころ軸受は、鉄道車両の車軸や駆動装置を構成する伝達軸や自動車用デファレンシャルギヤを構成するピニオン軸に限らず、工作機械の主軸や各種産業機械装置の回転軸等、大きなラジアル荷重及びスラスト荷重が加わる状態で回転する各種回転軸を支承する為に利用できる。
1、1a 円すいころ軸受
2 外輪
3 内輪
4、4a 円すいころ
5、5a、5b、5c、5d、5e 保持器
6 外輪軌道
7 内輪軌道
8 大径側鍔部
9 小径側鍔部
10 大径側端面
11 軸方向内側面
12、12a、12b、12c 大径側リム部
13、13a、13b 小径側リム部
14、14a、14b 柱部
15、15a、15b ポケット
16 曲げ板部
17 凹部
18、18a 保油部
19 仕切板部
20、20a 保油凹部
21 軸受内部空間
22 底面
23 突条
24 環状隙間

Claims (2)

  1. 内周面に部分円すい凹面状の外輪軌道を有する外輪と、この外輪の内径側にこの外輪と同心に配置された、外周面に部分円すい凸面状の内輪軌道及びこの内輪軌道の大径側端部から径方向に関して外方に突出した大径側鍔部を有する内輪と、この内輪軌道と前記外輪軌道との間に転動自在に配置され、それぞれの大径側端面を前記大径側鍔部の軸方向側面と対向させた複数個の円すいころと、これら各円すいころを保持する為の保持器とを備え、この保持器は、互いに同心に、且つ、軸方向に間隔をあけて配置された、それぞれが円環状である大径側リム部及び小径側リム部と、これら両リム部同士の間に掛け渡された複数本の柱部とを備え、これら両リム部と円周方向に隣り合う1対ずつの柱部とにより四周を囲まれる部分を、それぞれ前記各円すいころを保持する為のポケットとした構造を有するものである円すいころ軸受に於いて、前記大径側リム部のうちで、円周方向に関する位相が少なくとも前記各ポケットのうちの一部のポケットに整合する部分の内周面部分に、径方向外方に凹んだ保油凹部を設けると共に、この保油凹部を前記ポケットの内面に開口させており、前記小径側リム部の内周面の少なくとも一部を、前記各円すいころの中心軸よりも、前記内輪及び前記外輪の径方向に関して外側に位置させた事を特徴とする円すいころ軸受。
  2. 前記大径側リム部の内周面の一部で前記保油凹部よりもこの大径側リム部の外端面寄り部分に、径方向内方に向けて突出した突条を、全周に亙って形成している、請求項1に記載した円すいころ軸受。
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