図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つのリールのそれぞれに対応して3つのストップボタン140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
液晶表示装置LCDの位置(前方)には可動体350が設けられている。可動体350は2つのシャッター(可動要素)351L及び351Rを備える。2つのシャッター351L及び351Rは演出に従い左右に動くことにより、液晶表示装置LCDを隠すことが可能になっている。同図では、2つのシャッター351L及び351Rがそれぞれ左右に一杯に開き、液晶表示装置LCDが露出している(遊技者が画面を見ることができる)状態を示している。なお点線は、シャッター351Lと351Rの端同士が接触して閉じた状態を示す。閉じた状態では、液晶表示装置LCDはシャッター351L及び351Rに隠され、遊技者から見えなくなっている。
なお、図1の可動体350は一例であり、他の形態のものもある。例えば、液晶表示装置LCDがゲーム表示部131の右側に設けられているときは可動体350も同じ位置に設けられる。可動体350のシャッター351Lと351Rで隠されるものが、LEDや電球などの電飾である場合もある。シャッターの数が1枚であることもある。
可動体350はシャッター式のものであったが、回転円盤を備えるような可動体もある。例えば、扇形の表示窓の後方に円盤を設け、当該円盤の上に発光素子や装飾が載り、他の演出に併せて当該円盤が回転し、これにより発光素子や装飾が見えたり見えなかったりするものである。
可動体350の右側には、演出ボタン51が設けられている。演出ボタン51は演出に応じて突出し、これを遊技者が押下することで所定の利益を得たり所定の選択を行うためのものである。演出ボタン51が突出するという動きは演出のひとつである。演出ボタン51の構造については、後に詳しく説明を加える。
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個のリールからなるリールユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つのリール(第1リール〜第3リール)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転リールの図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の上側のリールユニット203との間には電源部205が設けられている。
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板(処理部)20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
メイン基板10にはスタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路203a、ホッパ121a、ホッパ駆動部121b及びホッパ121aから払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部121c(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。
ホッパ駆動部121bは、ホッパ121aを回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部121cを備えており、メイン基板10は、メダル検出部121cからの入力信号に基づいてホッパ121aから実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
サブ基板20には、可動体350を制御する可動体制御部360が接続されている。可動体350及び可動体制御部360の構造に関する説明は省略する。
前述のように、可動体350はシャッター351Lと351Rを含むが、シャッターセンサ352Lと353Lはシャッター351Lの位置を検知するセンサ(例えばフォトインタラプタ)であり、シャッターセンサ352Rと353Rもシャッター351Rの位置を検知するセンサ(例えばフォトインタラプタ)である。例えば、シャッターセンサ352Lと352Rはシャッター351Lと351Rの開放位置を検出し、シャッターセンサ353Lと353Rはシャッター351Lと351Rの閉鎖位置を検出する。シャッター351Lと351Rがそれぞれ2枚の可動体(互いに重なる二重シャッター)の場合は、例えば、シャッターセンサ352Lと352Rはシャッター351Lと351Rの一方の閉鎖位置を検出し、シャッターセンサ353Lと353Rはシャッター351Lと351Rの他方の閉鎖位置を検出する。なお、図3では、シャッター351Lと351Rを駆動するモータの表示は省略している。
サブ基板20には、さらに、演出ボタン51が接続されている。演出ボタン51は、第1光センサ81、第2光センサ82、原点検知センサ78及びボタンモータ97を含む。
第1光センサ81は、演出ボタン51が遊技者によって操作されたことを検知するためのセンサである(図7及び図9参照)。第2光センサ82は、演出ボタン51が飛び出した状態(飛び出し状態)であることを検知するためのセンサである(図10及び図11参照)。演出ボタン51が飛び出していない状態のことを「通常状態」と呼ぶ。原点検知センサ78は、水平面89(図13〜図15参照)の略中央部がローラ59(図8及び図14参照)と接している状態を検知するためのセンサである。
なお、第2光センサ82は、演出ボタン51の操作だけでなく、ボタンモータ97による演出ボタン51の押し下げ動作も検知することができる。
ボタンモータ97は、演出ボタン51を上下させるための駆動源としてのモータである。ボタンモータ97により、演出ボタン51は、通常状態と飛び出し状態の2つの状態をとることができる。
演出ボタン51については後に詳しく説明を加える。
メイン基板10は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う(投入受付機能)。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
メイン基板10は、乱数発生手段を内蔵する(図示せず)。乱数発生手段は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
メイン基板10は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う(内部抽選機能)。すなわち、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理などを行う。
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
メイン基板10は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある(リプレイ確率変動機能)。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
メイン基板10は、遊技者のスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動させ、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う(リール制御機能)。
メイン基板10は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
すなわち、メイン基板10は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるインデックスセンサ(図示せず)を備えており、メイン基板10は、リールが1回転する毎にインデックスセンサで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(インデックスセンサによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップボタン140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
メイン基板10は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
メイン基板10は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する(入賞判定機能)。
メイン基板10は、入賞判定機能による判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ121aを駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
メイン基板10は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う(払出制御機能)。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部121bでホッパ121aを駆動して払い出させる。
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ121aによって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
メイン基板10は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う(リプレイ処理機能)。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
サブ基板20は、例えば、複数のビット(配線)からなるBUSに、CPU(処理装置)、ROM(不揮発性記憶部)、メモリRWM(読み出し及び書き込み可能なメモリ)及びI/O(入出力装置)が接続されている構造を備える。後述する処理は、ROMに予め記憶されたプログラムに従ってCPUが動作することで実行される。CPUは、処理を行う際に各種データをメモリRWMに記憶させ、必要に応じて読み出し、処理を行い、必要に応じて再度記憶する、といった処理を行う。メモリRWMはバッテリバックアップを受けていることがあり、この場合は電源断の間でもその記憶内容は保持されている。
次に、遊技機における遊技処理について図4を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図4の処理が開始される。
ステップSS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップSS2に進む。
ステップSS2において、メイン基板10により内部抽選が行われる。そして、次のステップSS3に進む。
ステップSS3において、第1リール〜第3リールの回転が開始する。そして、次のステップSS4に進む。
ステップSS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップSS5に進む。
ステップSS5において、第1リール〜第3リールのうち押下されたストップボタン140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップSS6に進む。
ステップSS6において、三個のリールに対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップSS7に進む。
ステップSS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップSS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
ステップSS8において、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
メダルの投入からステップSS8の実行完了までが、一遊技である。ステップSS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
次に、図5〜図15を参照しつつ、演出ボタン51を含むボタンユニット50の構成、及び演出ボタン51の動作について詳細に説明する。ここで、図5は、演出ボタン51が飛び出していない状態におけるボタンユニット50の上面側を示す斜視図である。図6は、演出ボタン51が飛び出した状態におけるボタンユニット50の上面側を示す斜視図である。図7は、演出ボタン51が飛び出していない状態におけるボタンユニット50の内部構成を示す縦断面図である。図8は、演出ボタン51の下面側を示す斜視図である。図9は、飛び出していない演出ボタン51が押圧された状態におけるボタンユニット50の内部構成を示す縦断面図である。図10は、演出ボタン51が飛び出した状態における電飾基板96周辺の構成を示す部分拡大図である。図11は、飛び出した演出ボタン51が押圧された状態における電飾基板96周辺の構成を示す部分拡大図である。図12は、ユニット本体80の上面側を示す斜視図である。図13は、ボタンユニット50の駆動伝達機構90を示す斜視図である。図14は、演出ボタン51が飛び出していない状態におけるローラ59の位置を示す円筒カム83の斜視図である。図15は、演出ボタン51が飛び出した状態におけるローラ59の位置を示す円筒カム83の斜視図である。なお、図7及び図9においては、電飾基板96の実装部品の図示が省略されている。
このボタンユニット50は、図5〜図7に示されるように、大別して、演出ボタン51、カバー70、ユニット本体80及びボタンモータ97を有して構成されている。
演出ボタン51は、遊技者によって押下される押ボタンとして機能するものである。本実施形態では、演出ボタン51は、図6に示されるように、3層の樹脂部材を積層した下面に開口を有する略円筒形状に形成されている。この演出ボタン51の内部には、演出ボタン51を電飾する複数のボタンランプ98(図10参照)が実装された電飾基板96が設けられている(図7参照)。このため、演出ボタン51の上面を通してボタンランプ98の光を遊技者が視認できるように、演出ボタン51は半透明な樹脂で形成されている。図7に示されるように、演出ボタン51の下端には、演出ボタン本体52の外周面に対して径方向の外側に突出した突部53が形成されている。この突部53は、演出ボタン51が上方へ移動した際に、後述するカバー70のストッパ72(図7参照)に当接するものである。このため、突部53の外径寸法は、ストッパ72の内径寸法よりも大きく設定されている。
図8に示されるように、演出ボタン51の突部53には、演出ボタン51の下面を構成する略円板形状の第1可動体54が固定されている。この第1可動体54の裏面には、第1可動体54から下方に突出する遮光板57が設けられている。遮光板57は、演出ボタン51が飛び出していない状態(図5に示されるように演出ボタン51が枠部材3から第1突出量(例えば5mm程度)だけ突出した第1位置にある状態、以下「通常状態」という。)において、演出ボタン51が遊技者によって操作されたことを検知するために、第1光センサ81(図7参照)によって検知される。
また、図10に示されるように、第1可動体54には、電飾基板96の裏面に設けられた第2光センサ82と対応する位置に、遮光板63が設けられている。遮光板63は、演出ボタン51が飛び出した状態(図6に示されるように演出ボタン51が枠部材3から第2突出量(例えば30mm程度)だけ突出した第2位置にある状態、以下「飛び出し状態」という。)であることを検知するために、第2光センサ82によって検知される。また、図7に示されるように、第1可動体54には、後述する円筒カム83を挿通するための挿通孔55と、2本の支柱84を挿通するための2つの挿通孔56が形成されている。
第1可動体54の裏面に第2可動体58が固定されている(図7及び図8参照)。図8に示されるように、第2可動体58の裏面には2つのローラ59が設けられている。これらのローラ59は、円筒カム83の中心を通る円筒カム83の径方向を軸方向として回転自在に構成されている。これらのローラ59は、円筒カム83の凹部86(図14参照)に配置される。ローラ59の動作については、後に詳述する。
図8に示されるように、第2可動体58における挿通孔55,56と対応する位置に、挿通孔60,61が形成されている。挿通孔60は、挿通孔55と同様に円筒カム83を挿通するためのものである。挿通孔61は、挿通孔56と同様に支柱84を挿通するためのものである。なお、第2可動体58には、上述した遮光板57を第2可動体58の下方に突出させるための切り欠き62が形成されている。
カバー70は、演出ボタン51を上下動可能に支持するものであり、上下に開口を有する略円筒形状に形成されている(図7参照)。このカバー70のカバー本体71は、演出ボタン51の突部53を上下方向にスライド可能に支持するものである。このため、カバー本体71の内径寸法は、突部53の外径寸法よりも若干大きく設定されている。このカバー本体71の上端には、断面が略L字型のストッパ72(図7参照)が形成されている。このストッパ72は、演出ボタン本体52を上下方向にスライド可能に支持するとともに、所定の位置まで上昇した演出ボタン51の上方への更なる移動を規制するものである。このため、ストッパ72の内径寸法は、演出ボタン本体52の外径寸法よりも若干大きく、且つ突部53の外径寸法よりも小さく設定されている。
上述したように、演出ボタン51に第1可動体54及び第2可動体58が固定されており、演出ボタン51がカバー本体71及びストッパ72によって上下方向にスライド可能に支持されているので、演出ボタン51、第1可動体54、及び第2可動体58は、一体的に上下動可能である。また、図には示されていないが、第2可動体58は、支柱84を囲繞するように配置されたコイルバネによって上方に付勢されている。これに対して、遊技者がコイルバネの弾性力に抗して演出ボタン51を押し下げることによって演出ボタン51、第1可動体54、及び第2可動体58が一体的に下方へ移動する。そして、第2可動体58が所定の最下点位置まで下降すると、第2可動体58がユニット本体80に当接して、演出ボタン51の下方への更なる移動が規制される(図9参照)。また、カバー70にストッパ72が設けられていることにより、演出ボタン51がコイルバネの弾性力によってカバー70に対して大きく飛び出して所定の最上点位置まで上昇すると、突部53がストッパ72に当接して、演出ボタン51の上方への更なる移動が規制される。
カバー本体71の下端は、例えばネジ止め等によってユニット本体80に固定されている。このユニット本体80には、遮光板57と対応する位置に、第1光センサ81が設けられている。この第1光センサ81は、通常状態において、遊技者によって演出ボタン51が操作されたことを検知するためのものである。本実施形態では、第1光センサ81として、発光部と受光部とが所定の間隔を隔てて対向配置されたフォトインタラプタが使用される。第1光センサ81では、受光部によって受光された輝度に応じた信号レベルのセンサ信号(電気信号)が生成され、生成されたセンサ信号がサブ基板20へ出力される。このようにしてサブ基板20へ出力されるセンサ信号の信号レベルは、第1光センサ81の受光部によって受光される輝度に応じて変化する。遊技者によって演出ボタン51が押下されていない状態では、図7に示されるように、第1光センサ81の発光部から受光部への光路が開放されている。これに対して、遊技者によって演出ボタン51が押下されると、第1可動体54に設けられている遮光板57がユニット本体80に形成された挿通孔79(図7参照)を介して第1光センサ81の発光部と受光部との間に進入する。このため、通常状態において、遊技者による演出ボタン51の操作の前後、つまり、演出ボタン51が操作されていないときと、演出ボタン51が操作されたときとで、第1光センサ81からのセンサ信号の信号レベルが相異なることになる。したがって、サブ基板20は、第1光センサ81から出力されるセンサ信号の信号レベルの変化に基づいて、演出ボタン51が操作されたことを検知することができる。
ユニット本体80には、2本の支柱84が立設されており、これら2本の支柱84の上端部には、電飾基板96を支持する支持板95が固定されている(図10参照)。電飾基板96は、演出ボタン51を電飾するものであって、図10に示されるように、その表面に複数のボタンランプ98が実装されている。ボタンランプ98は、演出ボタン51を電飾する発光素子であって、例えばカラーLEDである。支柱84によって、ボタンランプ98が実装された電飾基板96がカバー70のストッパ72と略同じ高さに配置されているので(図7参照)、演出ボタン51がカバー70に対して上方に大きく飛び出した飛び出し状態(図6に示される状態)においても、遊技者がボタンランプ98の光を十分に視認することができる。
電飾基板96の裏面には、遮光板63と対応する位置に第2光センサ82が実装されている。この第2光センサ82は、飛び出し状態にある演出ボタン51が遊技者によって操作されたことを検知するためのものである。本実施形態では、第2光センサ82として、第1光センサ81と同様にフォトインタラプタが使用される。この第2光センサ82で生成されるセンサ信号は、第1光センサ81で生成されるセンサ信号と同様に、サブ基板20へ出力される。演出ボタン51が完全に飛び出した飛び出し状態(突部53がストッパ72に当接した状態)では、第2光センサ82の発光部と受光部との間に遮光板63が位置している(図10参照)。これに対して、遊技者によって演出ボタン51が押下されると、第1可動体54に設けられた遮光板63が下方に移動して、第2光センサ82の発光部から受光部への光路が開放される。このため、飛び出し状態にある演出ボタン51の操作の前後、つまり、演出ボタン51が完全に飛び出した位置にあるときと、演出ボタン51が飛び出し状態の位置から下降した位置にあるときとで、第2光センサ82からサブ基板20へ出力されるセンサ信号の信号レベルが相異なることになる。したがって、サブ基板20は、第2光センサ82から出力されるセンサ信号の信号レベルの変化に基づいて、演出ボタン51が完全に飛び出した飛び出し状態から遊技者によって押下されたことを検知することができる。なお、演出ボタン51がコイルバネの弾性力によって飛び出すとき、及び飛び出し状態の演出ボタン51が後述するボタンモータ97(図7参照)の駆動力によって下降するときにも第2光センサ82からのセンサ信号の信号レベルが変化する。このため、第2光センサ82の検知結果に基づいて、演出ボタン51の操作だけでなく、弾性力による演出ボタン51の飛び出し動作、及びボタンモータ97による演出ボタン51の押し下げ動作も検知することができる。
ユニット本体80の中心部には、演出ボタン51の移動方向(上下方向)を軸方向として回転可能な円筒カム83が設けられている。この円筒カム83は、演出ボタン51を遊技者の操作とは無関係に動作させるためのものである。図12及び図13に示されるように、この円筒カム83の外周面85には、外周面85に対して円筒カム83の径方向の内側に凹んだ凹部86が形成されている。外周面85と凹部86との段差部分には、円筒カム83の軸方向(上下方向)に延びる2つの垂直面87と、円筒カム83の軸方向に対して傾斜した方向に延びる2つの傾斜面88と、垂直面87の下端部と傾斜面88の下端部とを両端として水平方向に延びる2つの水平面89とが形成されている。
この円筒カム83の下方には、駆動伝達機構90が設けられている。駆動伝達機構90は、ユニット本体80の下方に設けられたボタンモータ97の駆動力を円筒カム83に伝達するものである。図12及び図13に示されるように、駆動伝達機構90は、第1ギヤ91、第2ギヤ92、第3ギヤ93、及び第4ギヤ94を有して構成されている。第1ギヤ91は、ボタンモータ97の回転軸に固定されている。第2ギヤ92は、第1ギヤ91と噛み合わされた状態で、ユニット本体80に回転可能に支持されている。第3ギヤ93は、第2ギヤ92と軸方向が一致するように一体的に構成されており、円筒カム83の下端部に設けられた第4ギヤ94と噛み合わされている。
ボタンモータ97が駆動すると、その駆動力が第1ギヤ91、第2ギヤ92、及び第3ギヤ93を介して円筒カム83の第4ギヤ94に伝達される。これにより、円筒カム83が回転する。なお、ボタンモータ97の回転方向を切り換えることによって、円筒カム83の回転方向を図14に示される第1方向75と第2方向76との間で切り換えることができる。
上述したように、演出ボタン51に固定された第2可動体58には、2つのローラ59が設けられている。これらのローラ59は、円筒カム83の凹部86に配置されている。これらのローラ59は、第2可動体58が受けるコイルバネの弾性力によって、常に上方に付勢されている。これらの2つのローラ59は、円筒カム83が回転することによって、円筒カム83からの摩擦力を受けて、垂直面87、傾斜面88、又は水平面89に沿って回転する。
図14は、図5に示される通常状態におけるローラ59の位置を示している。この状態では、上方に付勢されているローラ59の上方への移動が円筒カム83の水平面89によって規制されている。このため、遊技者が演出ボタン51を押下した場合にローラ59が下方へは移動するものの、ローラ59が水平面89よりも上側に移動することはない。この状態から図14に示されるようにボタンモータ97の駆動力によって円筒カム83が第1方向75に回転すると、水平面89がローラ59を第3方向77に回転させながらローラ59に対して第1方向75に移動する。そして、垂直面87と接する水平面89の端部がローラ59よりも第1方向75側へ移動すると、ローラ59に対する規制が解除されて、ローラ59が垂直面87に沿って回転しながらコイルバネの弾性力によって上方へと移動する(図14及び図15参照)。その結果、演出ボタン51、第1可動体54、及び第2可動体58が、突部53がストッパ72に当接する飛び出し位置(図6に示される位置)まで勢い良く飛び出すことになる。
なお、円筒カム83を第1方向75とは逆の第2方向76に回転させてローラ59を上方へ移動させることも可能である。図14に示されるようにローラ59の上方への移動が円筒カム83の水平面89によって規制されている状態から、円筒カム83が第2方向76に回転するようにボタンモータ97を駆動させると、水平面89がローラ59を第3方向77とは逆方向に回転させながらローラ59に対して第2方向76に移動する。そして、傾斜面88と接する水平面89の端部がローラ59よりも第2方向76側へ移動すると、ローラ59の外周面が円筒カム83と接する位置が、円筒カム83が回転するに連れて傾斜面88のより上方の位置へと変化するので、ローラ59が傾斜面88に沿って回転しながらコイルバネの弾性力によって上方へと移動する。その際、ローラ59が傾斜面88から常に下方への抵抗を受けているので、ローラ59が垂直面87に沿って上昇する場合に比べて、演出ボタン51、第1可動体54、及び第2可動体58がより遅い速度で飛び出すことになる。
このように、円筒カム83の回転方向(すなわちボタンモータ97の回転方向)を切り換えることによって、演出ボタン51を飛び出させる際の飛び出し速度を変化させることができる。
また、カバー70から大きく飛び出した演出ボタン51をボタンモータ97の駆動力によって押し下げることも可能である。ボタンモータ97を駆動させて、図15に示される状態から円筒カム83を第1方向75(図14参照)に回転させると、ローラ59の外周面が傾斜面88の上端部に接触する。この状態から円筒カム83を第1方向75に更に回転させると、ローラ59は、傾斜面88との摩擦力によって回転しながら、傾斜面88から受ける下方向への押圧力によって下方に押し下げられる。そして、水平面89と接する傾斜面88の端部がローラ59よりも第1方向75側へ移動すると、ローラ59が水平面89と接触した元の状態へと復帰する。これにより、飛び出し状態にある演出ボタン51がボタンモータ97の駆動力によって通常状態に戻る。
このように、移動手段として機能するボタンモータ97、駆動伝達機構90、円筒カム83、及びコイルバネは、演出ボタン51を第1位置(演出ボタン51が通常状態である位置)と第2位置(演出ボタン51が飛び出し状態である位置)との間で演出ボタン51を双方向(本実施形態では上下方向)に移動させる。
なお、図5〜図15には表れていないが、ユニット本体80には、水平面89の略中央部がローラ59と接している状態を検知するための原点検知センサ78が設けられている。サブ基板20は、この原点検知センサ78の検知結果に基づいて、演出ボタン51が通常状態であるか否かを判断することができる。
図16は、発明の実施の形態に係る遊技機における複数のセンサの信号を取り込む装置(サブ基板20)のブロック図を示す。発明の実施の形態に係る要素のみを示し、他の要素の表示は省略している。
サブ基板20のCPU(処理部)は演出に関する処理を実行する。例えば、演出に用いられる演出ボタン51や可動体350(演出デバイス)の状態を検知するとともに、これらを駆動制御する。その制御処理において、CPUは、演出ボタン51や可動体350のシャッター351L、351R(可動要素)に設けられている原点検知センサ78、第1光センサ81、第2光センサ82、シャッターセンサ352L、352R、353L、353R(これらをまとめて「センサ」と表記することがある)の検知信号を受け、所定の判定処理(演出ボタン51が操作されたかなど)を行う。
原点検知センサ78は、水平面89の略中央部がローラ59と接している状態を検知するためのセンサである。水平面89の略中央部がローラ59と接しているときは第2可動体58が引きこまれた状態であり、演出ボタン51は突出していない。このとき遊技者によるボタン操作は行われないので、原点検知センサ78の検知は、ボタン操作によらない非突出状態を意味する。
第1光センサ81は、演出ボタン51が遊技者によって操作されたことを検知するためのセンサである。
第2光センサ82は、演出ボタン51が飛び出した状態であることを検知するためのセンサであるが、このとき遊技者はボタン操作を行うことができる。第2光センサ82に基づき、ボタン操作に起因して非突出状態になったことを検知できる。
第1光センサ81が検知、第2光センサ82が非検知であれば、遊技者が演出ボタン51を押下したことを意味し、第1光センサ81と第2光センサ82の両方が検知したのであれば、遊技者が演出ボタン51を押下したのみならず、非突出状態にまで押し込んだことを意味する。他方、原点検知センサ78が検知であれば、遊技者による演出ボタン51の押下及び非突出状態への押し込みが発生しない状態であることを意味する。
原点検知センサ78、第2光センサ82は、適用されるタイミングが遊技者による操作可能なタイミングであるかそうでないかの点で相違するが、演出ボタン51という可動要素の位置を検知する点で共通する。よって、原点検知センサ78、第2光センサ82は、シャッターセンサ352L、352R、353L、353Rとともに、可動要素の位置を検知する位置検知センサである。
これに対し、第1光センサ81は、演出ボタン51が遊技者により操作されたことを検知する操作検知センサである。なお、第2光センサ82による遊技者の操作の検知を重視するときは、第2光センサ82を操作検知センサに含めるようにしてもよい。
例えば、図16に示すようにセンサはCPUに接続されている。すなわち、3つの入出力部(I/OのIC)20A〜20CがCPUのBUSに接続され、3つの入出力部20A〜20Cにそれぞれシャッターセンサ352L、353Lと、シャッターセンサ352R、353Rと、第1光センサ81、第2光センサ82及び原点検知センサ78が接続されている。センサの出力は入出力部20A〜20Cを介してCPUに入力される。
なお、筐体の構造上、遊技機正面から見て左側に位置するシャッターセンサ352L、353Lと右側に位置するシャッターセンサ352R、353Rの配線を同じワイヤーハーネスとすることができず、別々のハーネスWH1、WH2を通すことになる。図16の例では、ハーネスWH2に第1光センサ81、第2光センサ82及び原点検知センサ78の配線を通しているが、このようなことは可能である。あるいは、図17のように別々のハーネスとすることもできる。
左側に位置するシャッターセンサ352L、353Lと右側に位置するシャッターセンサ352R、353Rの配線が別々のハーネスを通るために、それらは入出力部20Bと20Cという別々のICに接続されている。シャッターセンサ352L、353L、352R、353Rは同じ演出デバイスの類似の信号であり、同じ入出力部に入力することもできるが、遊技機及び演出デバイスの構造に起因してハーネスが別々になるためにそれぞれ異なる入出力部20Bと20Cに入力されている。また、このために入出力部の数が増えている。もし仮に、シャッターセンサ352L、353L、352R、353Rが同じ入出力部に配線できるのであれば、図16では3つの入出力部が必要なところ、2つで済む。ここでは3つの入出力部20A、20B、20Cを備える場合について説明を加える。
サブ基板20のCPUは、予め定められた周期T(例えば1ms)でデータを読み込むものである。つまり、周期Tで入出力部20A、20B、20Cのいずれかにアクセスし、センサから出力された信号(データ)を読み込む。
ところで、センサには動きの速い演出デバイス(役物)を検知するためのものと、動きの遅い演出デバイスを検知するためのものとがある。すなわち、センサは、サブ基板20のCPUが検知出力に基づく所定の処理を予め定められた第2時間(例えば4ms)以内に開始しなければならないセンサ(第2群センサ)と、所定の処理を予め定められた時間であって第2時間よりも短い第1時間(例えば2ms)以内に開始しなければならないセンサ(第1群センサ)とに区分されている。
図16の例では、入出力部20Aに接続されている第1光センサ81、第2光センサ82及び原点検知センサ78は遊技者の操作を検知するものであり、その処理は迅速に行われなければならないから、第1群センサに属する。第1群センサに対する応答が遅いと遊技者に違和感を生じ、強くたたく、繰り返し操作するなどの想定外の操作が行われることになりかねない。これに対し、入出力部20B、20Cに接続されているシャッターセンサ352L〜353Rは遊技者の操作とは無関係なので、多少遅れても問題がない。停止位置にもかかわらず駆動が継続することにより機械的ストレスが生じるが、これが問題ない程度であれば多少の遅延は許容できる。
以上の点に鑑みサブ基板20のCPUは、入出力部20Aと入出力部20B、20Cで読み込み周期を異ならせている。
サブ基板20のCPUは、入出力部20B、20C(第2入出力部)から周期T(例えば1ms)の整数倍の間隔T2(例えば4ms)でデータを読み込み、読み込まれたデータに基づき予め定められた処理を行うとともに、入出力部20A(第1入出力部)から周期Tの整数倍の周期であって間隔T2よりも短い間隔T1(例えば2ms)でデータを読み込み、読み込まれたデータに基づき予め定められた処理を行う。このようにすることにより、前述の処理開始許容時間である第1時間(例えば2ms)と第2時間(例えば4ms)の条件を満たすことができる。
具体的には、図18に示す処理を行う。SS10〜SS13の各処理は周期T(例えば1ms)間隔で実行される。
SS10:サブ基板20のCPUは、入出力部20Aからデータを読み込み、所定の処理を行う。
SS11:サブ基板20のCPUは、入出力部20Bからデータを読み込み、所定の処理を行う。
SS12:サブ基板20のCPUは、入出力部20Aからデータを読み込み、所定の処理を行う。
SS13:サブ基板20のCPUは、入出力部20Cからデータを読み込み、所定の処理を行う。
以上のSS10〜SS13を繰り返す。
図19は、図18の処理のタイミングチャートを示す。
入出力部20Aの読み込み間隔TAは2×T(2ms)であり、入出力部20B、20Cの読み込み間隔TB、TCの4×T(4ms)よりも短い。これにより、第1光センサ81、第2光センサ82及び原点検知センサ78(第1群センサ)の処理開始許容時間である第1時間(例えば2ms)と、シャッターセンサ352L〜353R(第2群センサ)の処理開始許容時間である第2時間(例えば4ms)の条件を満たすことができる。
図20と図21は比較例を示す。
比較例によれば、入出力部20A、20B、20Cの読み込み間隔TA、TB、TCはいずれも3×T(3ms)である。比較例は、第1光センサ81、第2光センサ82及び原点検知センサ78(第1群センサ)の処理開始許容時間である第1時間(例えば2ms)を超えており、処理遅延の問題が生じる。例えば、演出デバイス(役物)の動きに応じた適切な処理(スイッチ押下検出など)をできない場合がある。演出ボタン51を押下した際にボタンモータ97で素早くロックをかけ、演出ボタン51が突出しないようにしなければならないが、比較例では遊技者の操作に迅速に対応できないことがある。
これに対し、図18及び図19によれば、センサごとの処理開始許容時間に応じて読み込み周期を変更してセンサの信号を取り込むようにしたので、処理遅延は生じない。
なお、図18及び図19によれば、図20及び図21と比べてシャッターセンサ352L〜353R(第2群センサ)の読み込み間隔が長くなるが、処理開始許容時間である第2時間(例えば4ms)を超えないので問題とはならない。
以上のように、発明の実施の形態によれば、処理開始許容時間の異なる複数のセンサを備える場合でも、処理開始許容時間の短いセンサの読み込みを短い周期で行うことができ、処理遅延の問題を回避することができる。
図18及び図19では、入出力部20B、20C(第2入出力部)の処理開始許容時間が入出力部20A(第1入出力部)の2倍であるので、入出力部20A(第1入出力部)が2×T、入出力部20B、20C(第2入出力部)が4×Tとなり、後者の周期は前者の2倍になっていた。入出力部20B、20C(第2入出力部)の処理開始許容時間がもっと長ければ他のやり方も可能である。例えば、入出力部20B、20C(第2入出力部)の処理開始許容時間が5×Tであれば、ABAACというパターンも可能である(A、B、Cはそれぞれ入出力部20A、20B、20Cを示す)。
もし、シャッターセンサ352L、353L、352R、353Rが同じ入出力部に配線できるのであれば、図16では3つの入出力部が必要なところ、2つで済む。入出力部が2つの場合には、ABABのように交互に入出力部を読み出すか、又はAAABのように処理開始許容時間が短い方を頻繁に読み出すようにする。入出力部20B、20C(第2入出力部)の処理開始許容時間が5×Tであれば、AAAABというパターンも可能である。
図17〜図19は、第1光センサ81、第2光センサ82及び原点検知センサ78用の入出力部20A(第1入出力部)をひとつ、シャッターセンサ352L〜353R用の入出力部20B、20C(第2入出力部)を二つ備え、第2時間が、第1時間の2倍以上であり、図18のように、入出力部20A、入出力部20B、入出力部20A、入出力部20Cの順番で繰り返しデータを読み込むものであった。このやり方は、処理が簡単で、かつ、処理開始許容時間の条件を確実に満たすことができ、図17のケースのベストモードであると言える。
しかし、このような読み込み以外でも処理遅延を生じさせないようにできる。より一般的な処理を図22に示す。
図22(a)は発明の実施の形態に係るセンサ出力読み込み処理(メインルーチン)を示し、図22(b)は第1入出力部アクセス処理(サブルーチン)を示し、図22(c)は第2入出力部アクセス処理(サブルーチン)を示す。
同図において、第1入出力部は入出力部20Aであり、第2入出力部は入出力部20B、20Cである。また、図示しないが、入出力部のアクセス間隔(直近のアクセスからの経過時間)を計時するためのタイマを備えるものとする(第1入出力部用タイマと第2入出力部用タイマ)。
図22(a)の処理SS30とSS40は周期Tで順番に繰り返し行われるものとする。図22(b)(c)の処理時間は周期Tよりも短く無視できるものとする。なお、図22(b)(c)の処理時間を考慮するようにしてもよい。例えば、図22(b)(c)の処理時間をΔTとして、SS31の「第1入出力部用タイマ+周期T」を「第1入出力部用タイマ+周期T+ΔT」とする。
SS30:サブ基板20のCPUは、第1処理部アクセス(図22(b))を実行する。
SS31:サブ基板20のCPUは、図示しない第1入出力部用タイマを読み出し、これに周期Tを加えた時間が処理開始許容時間である第1時間を超えたかどうか判断する。超えたとき、今回の第1入出力部アクセスで読み込みしないと、次の第1入出力部アクセスで読み込んだときに第1時間を超えると予想される。そこで読み込みを行う。
SS32:サブ基板20のCPUは、第1入出力部の読み込みを行う。
SS33:サブ基板20のCPUは、図示しない第1入出力部用タイマをリセットし、計時を再開させる(タイマリスタート)。
SS40:サブ基板20のCPUは、第2処理部アクセス(図22(c))を実行する。
図22(c)の処理は、図22(b)と同じなので、その説明は省略する。
図22の処理によれば、処理開始許容時間の異なる複数のセンサを備える場合でも、処理開始許容時間の短いセンサの読み込みを短い周期で行うことができ、処理遅延の問題を回避することができる。
以上の説明において、遊技機としてスロットマシンを用いていたが、本発明の実施の形態はパチンコ機などの他の遊技機にも適用することができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。